〜実は片方死んでいます〜 存在感がありすぎる少年と存在感がありすぎる少女、異世界で目的を達成します

真堂 赤城

第1話 救世主になるか?

最初だけ三人称視点です


 街を二人の少年少女が歩いている、周りの視線を二人じめにしながら。

 そしてそれを一切気にした様子もなく悠々と。

「ねぇねぇ夏(なつ)くん、これからカフェ行かない?」


「これまた急だね、三冬(みふゆ)、別にいいけど」


 そんなふうに仲良さそうに話している二人に三人組の悪い兄ちゃん達が近づいていく。


「スタビで新作出たからさ?飲みたいなと思って」


「いいねぇ、俺も飲みたいわ」


 そしてリーダーであろう男が二人にぶつかる。


 ドンッ


「おいおいおいおい!!いてぇじゃねぇ……」

 が途中でどもり始めたリーダー格の男、それに気づかず追撃をする二人の子分。

「な〜にあたってくれてんだぁ?」


「そうだそうだ!兄貴が肩怪我しちまったじゃねぇか?」


「「どう落とし前つけてくれるんだぁ?」」

 息ピッタリの二人が完璧なコンビネーションで攻めてくる。

 これは明らかに常習犯である。


 少女は怖がり彼氏であろうか、少年に抱きつき隠れている。

 対して少年は一切怖がっている様子もなく、三人組をゴミを見るような目線で見つめている。

 にもかかわらずリーダー格の男は、


「こ、怖がらせてしまって申し訳ない、少し気が立ってしまっていて…こんなことをするつもりは無かったんです」

 とヘコヘコしながら去っていく、それに納得できていない子分二人にリーダー格の男は、「馬鹿野郎、あれは関わっちゃいけない人種だ」と言い聞かせている声が聞こえた。


 その時だった、少年少女の足元に魔法陣のようなものが急に現れ、光を放ち始めた。

「なになにこれ!?私聞いてないよこんなの!夏くん助けて!!」


「三冬、俺から離れるなよ」

 光はどんどんと強くなり、とうとう二人を飲み込んでしまった。


…………………………………………………

「あ〜、目がいてぇ、ちゃんとつむってても貫通してきた」


「ありがと夏くん、手で目を隠してくれて、大丈夫?」

 俺達はさっきまでは町中にいたはず…ここは建物?

 てか日本っぽくなさすぎないか?

「夏くんここどこ?」


「さあ?」

 と俺達があたりを見回すと、とても豪華な服を着たおじさんと少女がいた。

「お二方、どうか驚かずに聞いていただきたい」

「実は、ここはお二方の元いた世界とは別の異世界なのです、そしてお二方にはこの世界で勇者として世界を救っていただきたい」


 とても急だった、これを驚かずに聞く、それは無理な話だった。

「お、おい三冬、これやばくね?」


「そうだね夏くん、異世界だって!勇者だって!」


「お二方が驚かれるのもわかりますがどうか落ち着いて…」


「「激アツ展開来たじゃん!!」」


「え?」

 異世界転移、それは物語でしか聞いたことのない物。

 新鮮な感覚、圧倒的新鮮な感覚!!

「すごいね夏くん、私達すごいよ!」


「そうだな、何かすごいな!」


「お二方、これは驚いているのでしょうか…」

 ずっと喋っていた少女はとても驚いているような、でも困惑しているような複雑そうな表情だった。

 何か申し訳ない。


 そして俺達が落ち着いてから。

「こほん、では改めて、お二方、どうかこの世界を救ってはいただけませんでしょうか」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

〜実は片方死んでいます〜 存在感がありすぎる少年と存在感がありすぎる少女、異世界で目的を達成します 真堂 赤城 @akagi33229

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ