収録作品6『笑福屋』『桜の町』『春唄』『揺り籠の中で』『よろずの八記商店』『電気街のメイドさん』『あの日』『柚子胡椒』『黒歴史』『城下町』『桜花が降る』『探偵ミサキハルカの日常』『スクラップ』ほか

101

歳をとるのは、いやだね〜。

あちこち、ガタがきて前とは大違いだ。

肩なんてほら、四十肩になってここまでしか上がんない。

あんたも、気をつけた方がいいよ。

いつまでも、自分が若いなんて思って無茶ばかりしていたら、大怪我しちまうよ。


             「笑福屋」

               如月 千輝

               ※一部抜粋


      3月21日 蛇絶やし(カダヤシ)

      魚言葉 四十肩

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102

私の地元では、巫女さんが各家を巡って祈祷する行事がある。

祈祷した後に巫女さんからお札と紅白饅頭をもらう。

幼い私は、箱の中に何が入っているのか気になって家に残った。

紙を剥がし、箱を開けると、白と桃色の物体が入っている。

私は、桃色の物体を口に無理矢理詰めて食べた。

すぐに家を出て、親のところに向かった。


              「桜の町」

                清水 蛍

               ※一部抜粋


   3月22日 龍宮沙魚(リュウグウハゼ)

   魚言葉 紅白饅頭

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103

敬語は、正しく使わないとだめじゃない。

いい、敬語には尊敬語、謙譲語、丁寧語があるの。

これくらいは、学校の授業で習ったはずでしょう。


            「春唄」

              小原田 秋水

               ※一部抜粋


         3月24日 真鱈(マダラ)

         魚言葉 丁寧語

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104

答えはもう出ているはずなのに、答えを出すことができずにいる。

こう言う状態を優柔不断と言うのだろうか?


            「揺り籠の中で」

              田塚 恵太郎

               ※一部抜粋


       3月25日 奴智鮫(ドチザメ)

       魚言葉 優柔不断

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105

「なぁ、八記。さっき商店街歩いてたら、これ貰ったんだけど、なんて書いてあるんだ?」

八記は、ジンから紙を受け取り目を通した。

「これは、スタンプラリーの台紙だ」

「スタンプラリー?」

「商店街の店に行って、スタンプを集めて景品を貰う催しだ。うちも毎年参加している」


         「よろずの八記商店4」

               花形 竜星

               ※一部抜粋


     3月26日 潤目鰯(ウルメイワシ)

     魚言葉 商店街

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106

俺とあいつが依存関係に陥っている……。

ないない、そんな訳があるか。

確かに、あいつ頼りのところがあるのは認める。

だが、俺とあいつの関係は、対等だ。


          「よろずの八記商店7」

               花形 竜星

               ※一部抜粋


      3月27日 小判鮫(コバンザメ)

      魚言葉 依存関係

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107

休日に電気街を目的もなく、ぶらぶらと歩いていたときの話である。

家で過ごすのも飽きてしまい、着の身着のまま家を出た。

仕事以外で外に出ることなんて、あまりなかった。

今日は、自分が普段行かない場所に行ってみるのもいいなぁ。


         「電気街のメイドさん」

              知念 柚子夏

               ※一部抜粋


          3月28日 鰱(タナゴ)

          魚言葉 電気街

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108

ちゃんと食わないと、だめじゃないか。

栄養失調になったら、どうするんだ。

お前がよくても、こっちは全然よくねぇんだ。

もういい加減、教えてくれ。

お前は、一体何がしたいんだ。


            「揺り籠の中で」

              田塚 恵太郎

               ※一部抜粋


       3月29日 島河豚(シマフグ)

       魚言葉 栄養失調

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109

おい、さっきから俺の鼻息を窺っているようだが、何を企んでいる。

お前のことだ、どうせろくでもないことだろ。


          「よろずの八記商店6」

               花形 竜星

               ※一部抜粋


      3月30日 波の花(ナミノハナ)

      魚言葉 鼻息

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110

ヘリウムガスで膨らませた風船は、ふわふわと浮いている。

手を離してしまったら、上へ上へと飛んで行ってしまう。

風に流され、もう元の場所には帰って来ない。


              「あの日」

                津田 和

               ※一部抜粋


    3月31日 風船鰻(フウセンウナギ)

    魚言葉 ヘリウム

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111

今日の相撲は、面白かった。

特に中入り後からが一番最高潮だった。

今日は、気分がいいから奮発しよう!


             「柚子胡椒」

               寺坂 大成

               ※一部抜粋


     3月10日 裸狗母魚(ハダカエソ)

     魚言葉 中入り後

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112

いつまで、待たせるんだよ。

もう、待ちくたびれた。

八記のやつは、置いて一人でお祭りに行こうかな。

仕事終わらしたら、渡したいものがあるってなんだよ。


         「よろずの八記商店5」

               花形 竜星

               ※一部抜粋


        3月23日 松鯛(マツダイ)

        魚言葉 待ちくたびれ

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113

私が住んでいるアパートの隣人に厄介なやつがいる。

その人は、とても親切で一人暮らしの手助けしてもらっている。

ただ、彼は話が長い。

そのうえ、彼がだいたい言っていることは嘘八百を並べている。

だから、彼の言ったことはあまり信用していない。


             「黒歴史」

               佐田 健人

               ※一部抜粋


        4月1日 鰤擬(ブリモドキ)

        魚言葉 嘘八百

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114

ゴールデンウィークは、ウチの書入れ時だ。

売って売って売りまくるぞ!

今年こそは、いけ好かねぇあの野郎の店を閑古鳥にしてやる!


             「城下町」

               伏見 京助

               ※一部抜粋


        4月2日 葉血引(ハチヒキ)

        魚言葉 書入れ時

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115

花見の席どりのために、なんで俺だけ集合時間が朝5時なわけ。

納得いかねぇんだけど。

俺ばっかり、こんな役割しか振り分けられるんだよ。


             「桜花が降る」

                丹山 灯

               ※一部抜粋


        4月3日 桜鱒(サクラマス)

        魚言葉 花見の席取り

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116

実は、あの時その場にいたんだ。

このまま、知らないふりを突き通すべきなのか、正直に言ってしまえばいいのか。

いいや、正直に言ったところで誰も僕のことなんて信じてくれない。

だって僕は、犯罪者の子供なんだから……。


       「探偵ミサキハルカの日常」

              百合崎 未来

               ※一部抜粋


         4月4日 石斑魚(ウグイ)

         魚言葉 実はあの時

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117

マッサージチェアを買う余裕がうちにあると思うか?

ただでさえ、自分らの日銭を稼ぐのに必死なんだ。

そんなものが買いたきゃ、俺の倍稼いでから言え。


            「スクラップ」

               抜山 慎司

               ※一部抜粋


         4月5日 壺鯛(ツボダイ)

         魚言葉 マッサージ

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118

消灯時間が過ぎた。

早く自分の部屋に戻らないと、先生に見つかって廊下に正座させられる。

堂々と、廊下を歩くのはリスクが高すぎる。

どうする、私に残された時間はもうない。


             「黒歴史」

               佐田 健人

               ※一部抜粋


         4月6日 白魚(シラウオ)

         魚言葉 消灯時間

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119

ここだけの話にしといてくださいね。

一昨日の夜、私見たんです。

早坂主任と藤本さん2人で路地裏に入って行くところを……。

なんか、ものすごく怪しくないですか。


            「ナンバーズ6」

               樋川 五月

               ※一部抜粋


       4月7日 錦沙魚(ニシキハゼ)

       魚言葉 ここだけの話

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120

諸行無常というように、人も世の中も変わらないものなんてないんだよ。

過去にどんなに思いを寄せても、そこには戻って来れない。

いつまでも、停まっていることはできないんだよ。

今、僕らができることは進むことしかないんだ。


        「過実川(カサネガワ)」

               戸来 勇巳

               ※一部抜粋


     4月8日 仏泥鰌(ホトケドジョウ)

     魚言葉 諸行無常

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