7
一触即発の未白こころと黒松みやび。
ここはカフェの店内だ。俺は周囲の視線に気づいて、二人に注意する。
「お二人さん。あまり騒ぐと出禁になる」
「別に騒ぐつもりはありません。せっかくお兄さまとお茶できるんですし」
「君、一人でここに来てたよね。堂島はわたしとお茶しに来たんだけど」
「………………」
黒松みやびの視線が恐い。メンタルが強い子だから、凛々しさもある。どこか愛でたくなってくるような印象だ。
未白こころは日々の研鑽の賜物か、ニコニコしているが目は笑っていない独特な無表情で、見つめ返す。
「あれ、俺っていつからこんなにも女の子に慕われるようになったんだっけ……」
「お兄さまを慕うのはみやびだけでいいです。ずっとみやびだけに憧れていてほしいです。みやびはお兄さまを愛しておりますので」
「君みたいに小さい娘から言われても、堂島、困っちゃうよ?」
「知らないのですが? 男性は小さい方がかわいくて好きなんですよ」
「へー、そうなんだ」
未白こころは、急に俺の腕に抱きついてくる。
彼女の胸の柔らかさを知ってしまった。
さっきまで静かだった俺の心の湖は、大荒れだ。
女性の、その……初めて触れたが、こんなにも柔らかいのか。
「おい、未白さん」
「君に抱きつかれても当てるものがないんじゃない? 黒松さん」
「お兄さま、あとでちゃんとあることを確かめてください」
黒松みやびはムッとして、ブレザーの上から自分の胸に両手で触れる。
「えーっと、すまん。もう、限界」
俺はフラフラっと倒れそうになった。
「お兄さま⁉︎」
「堂島! わわっ」
未白こころも一緒に倒れそうになり、俺はギリギリで倒れるのをこらえた。
「交感神経が高まりすぎると、眩暈がするんだ。すまない」
「あー、ごめんね堂島」
パッと腕を離して、未白こころは赤い顔になってドギマギした。
「そ、そんなにドキドキしたんだ」
「お兄さま、みやびと一緒に――」
「いや、みやびちゃん。ちょっと俺と一緒に深呼吸しようか。いつもの君らしく……、いや、もともと君はそういう子だったか……」
俺が苦笑すると、黒松みやびはキョトンとした後、照れたように笑った。
――――――
あとがき
キャラのかわいさには気を遣って書いています。フラットにお楽しみください。
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