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「お兄さま……?」
その声に俺と未白こころが振り向くと、そこにはブレザー姿の幼げな中学生の姿があった。
前髪はぱっつんで、かすかに切れ目がある。
瞳は大きく、都会に行けばスカウトされそうな美しい顔立ちのスラっとした女の子である。
「堂島、この子は?」
負けず劣らずの美少女である、金髪金眼・未白こころが瞳をぱちぱちして訊ねてくる。
「ああ、お隣の家の子。黒松みやびちゃん」
「はじめまして。失礼ですが、外国の方でしょうか? とてもきれいな顔立ちをしています」
「あらま、照れちゃうな。でも、照れないよ」
「お兄さまのようなことをおっしゃいますね、あなた。……さては、お兄さま。高校生になって、ガールフレンドを作ったの?」
ジロリ。不機嫌そうにこちらを睨んでくる黒松みやびに、俺は心拍数が上がってくる。
「ちがう。手を繋いでるけど、恋人じゃない。その、わかるだろ? 俺と似たやつだ」
「似たもの同士。……お兄さま、みやびは寂しいです!」
黒松みやびはたんたんたんとこちらに歩み寄ってくる。
顔をずいっと寄せてきた。
「お兄さま、みやびはもう不要ということでしょうか!」
「いや、そんなこといってないだろ」
顔が近い。
……と、思ったら。
「むぐ」
「ん」
黒松みやびはそのまま、唇を重ねてきた。
彼女の方が背丈が小さいので、精一杯背伸びする感じだ。
そう、お隣の娘が、キスしてきたのである。
「ぷは」
「ちょ、みやびちゃん⁉︎」
俺は動揺しまくっていた。
やばい、初めてのキスを今日友達になった同級生に見られてしまった。気まずい。
「先にされそうなのでしておきました」
「えー……」
未白こころはカーっと真っ赤になりながら、反論する。
「黒松さん、だっけ。意味がわからないよ?」
「わたしはお兄さまには不完全なままでいてほしいです。なので、お二人がくっつかないように、未来永劫、動揺させまくります……!」
「「⁉︎」」
まさかの宣戦布告だった。
そう、この子はメンタルが強い。
相手にどこまで迫ったら引かれるのかもちゃんと弁えているハズだ。
そして、俺が来るもの拒まず、な性格だということも熟知している。
黒松みやびは涙目になって語りかけてくる。
「お兄さま、私に憧れているって言ってくれたじゃない。特別にならなくてもいいよ。これからも一緒に悩みながら、前へ進もうよ」
「黒松さん。少しわたしに失礼じゃないかな?」
――――――あとがき
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