第5話:弱者と信用の違和感 ①

私自身も最近は使うことが少なくはなりましたが、最近よく周囲から聞くのは「カード飛ばされちゃったよ」(訳:カードの会員情報が取り消されてしまって、使えなくなっちゃった。)という言葉だ。現代はキャッシュレス化が進み、多くの人が持っているクレジットカードだが、かなり使う事に対して勇気がいる。なぜなら、上限まではいくらでも使えてしまうからだ。しかし、このカードは支払い猶予が最長で二ヶ月程度しかないため、失職してしまうとそのままカードを飛ばすか、キャッシングでお金を借りて払うかしかない。そのため、かなりのリスクが伴う。そのため、カード破産などの自己破産のケースが多い。大半の理由としては、お金がなくて使わざるを得なくなった。という家庭の事情や個人の事情だ。しかし、あまり表面化しないのは「会社に勤めているが、給料が未払いでやむなく使った」「仕事を辞めさせられてしまって、お金がなくて仕方なく使った」など会社などの組織からの契約違反などにより、自己防衛をしなくてはいけないと思って使用するケースも存在している。これらは、経済格差という認識よりも経済制裁という認識の方がしっくりくる。このように給与の未払いや生活の困窮などによる使用も想定しなくてはいけない。


 私はこの制度を改正・改善しても良いような気がする。例えば、働いていなくて、お金がない場合に事情を鑑みて一時使用として最大猶予が3ヶ月~6ヶ月まで支払い延長出来るようにすることや会社都合や個人的な事由で働けなくなってしまった際に上限額を下げて使える状態にし、長期にわたる就業不能の場合を除き、その人の会員資格の一時停止を行うことも重要になってくる。しかし、現在はこれらの行為は悪質滞納者というレッテルを貼られて、会員資格を剥奪されるだけでなく、信用も同時に失ってしまう。その結果、経済が回らなくなり、消費も落ち込むというデフレスパイラルのような状態になってしまうだろう。むしろ、カード会社各社の会員数は増加傾向にあり、その中でもきちんと対策を練ることで、このようなシステムを構築していても十分に問題がないように感じる。むしろ、社会経済を回すためには一定程度の許容を必要とするように感じる。なぜなら、日本は海外とは異なり、物質的支援はしても、個人に対して経済的支援はあまり聞いたことがないからだ。今の日本には生活保護や年金なども存在するが、若年層からすると手を出すことに対して違和感しかない。そうなると、経済的、精神的に追い詰められていき、自殺や犯罪など負のスパイラルに陥ってしまうことになる。それでは、日本がいったいどの方向を向いているのか分からなくなる。だからこそ、若年層の経済支援の一環として、カードの規制緩和や払い込む事が難しい状況になった場合にも彼らの購買意欲や消費が落ちることはない。


 日本は全てを“信用”という二文字で片づけているが、これは視点を変えると「お金がないなら何もしなくて良い。」という歯切れの悪いきこえになってしまう可能性があり、そのような状況では消費も全て落ち込んでいく。むしろ、働いて消費したいと思ってもどこからも求められないと人は歩みを止めてしまう。もしも、キャッシュレス化を進めたいのであれば、もう少し踏み込んで一般枠とは別に特別会員枠を設定し、個々の経済状況により、最小5万円からカードが作れるようにすることで時代に対応した流れを作ること、所得が不安定だとしても、物を変える喜びなどが社会経済のマンパワーとして動いていくだろう。


 すぐにとは言わないが、社会からの包括的な支援を受けることでいじめやハラスメントで引きこもってしまった方やそれらが要因となって仕事をすることが怖くなってしまった方が復帰するための道筋を立てることが出来るようになると思う。

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