第4話:相互理解は難しいのか? ①

私自身が感じる社会的風潮の中に“相互理解の欠乏”という観点がある。これは、いわゆる“弱者を生み出してしまった責任の所在が分からない状態”といういわば“公的責任の無効化”を図っている状態ではないだろうか?もちろん社会的に立場が弱い人にとってはこれらの現状を打破するためには相当な労力を要することになり、単独で打破することは困難に近い。だからといって、当人自ら“助けてほしい”というサインを出してくれるわけではない。これは、その場に居合わせた人がその状況からどうすると良いのかを判断できる環境形成を必要としている。だからではないが、彼らの助け合いの精神が壊れていくことだけはなんとしてでも避けなくてはいけない。特に専門職ではない方々に対する啓発が高校程度までで止まってしまう事が多い。そういう事があって、高校以上で何かあっても学んでいないことであれば傍観者となってしまう。そうなると、いわゆる差別や偏見につながっていくことになり、みるみるうちに外に向けてSOSのサインを出さなくなってしまい、本当に親しい人でさえ気がつかない状態になる。その段階まで行くと社会に対する恐怖感が出てくることもあり、今まで何かあったとしても解決出来ていたが、一定年齢以上になるとお互いに知識がないことが苦しむ要因になる場合もあり、常に何かに対して興味を持ってもらわなくてはいけない状態になる。現在の社会では親しい人であってもなかなか解決に至るような知識を持ち合わせていない。その要因としてはほとんどの人がお互いのことを理解する機会が少なくなり、彼ら・彼女たちにとっては自分のことをする事で精一杯になっていることが大半の要因だろう。現代は他者よりも自分自身の事がきちんと出来る状況にある人が少なく、他者の良いところを盗んで自分の物にしようとすることが増えている。そのため、他人のことをあまり干渉しない傾向にあるのではないかと推測する。しかし、本当に助けてほしい人の中には世間体や過激な攻撃を避けるためになかなか表に発さない人も多いことから可能な限り注意して接する必要がある。


 今の日本には弱者を救済する制度などは存在しているが、極端すぎる部分もあり、なかなか申請したくても出来ないように感じている。例えば、生活保護では車が乗れないというが、地方によっては移動手段がなく、車でないと身動きが取れない場合もある。そうなった場合に車を維持管理するだけの資金力があるなら申請しないでほしいと思っているのならそれは弱者に対するいじめになってしまう。これは、本人の必要最低限に抑えた結果として、車両は残しておかなければ通院が出来ないなど生活に支障をきたしてしまう可能性があると判断したのだろう。その他にも傷病手当や療養手当などの手当類に関しても少し改正しなくてはいけないように感じる。例えば、会社で働いているAさんが休日になると人と会いたくなくなり、外出もしたくなくなるという症状が出て、病院に行ったところ“精神疾患の可能性がある”と判断され、会社に通院の結果と療養休暇の申請をしたところ、会社から解雇通告を受けたというケースから考えてみたい。このケースの場合、会社側がどの程度この社員を評価していたか?という部分が分かる。この場合、療養休暇の申請をする事になる=労働衛生上に問題があったと判断しているように感じる。そして、その社員が精神疾患になった要因を会社側に押しつけてきたと感じているのだろう。しかし、これは見当違いだろう。なぜなら、会社には社員を保護する義務を課されており、正社員に関しては労働基準法に“正当な理由以外での解雇を認めない”となっている。つまり、社会通念上の反社会的行為、各社が独自に定めている懲罰規定や懲戒規定に逸脱しない行為の場合には解雇できないように法律で労働者側が保護されている。


しかし、これらの法律の抜け穴を利用して、社員の選別を行っている会社があることも現状としては少なくない。そのため、彼らがどのように頑張ったとしても会社には勝つことが出来ない。そのように労働者の権利がかなり弱体化していることも目を背けてはいけないだろう。


 会社はきちんとルールさえ守っていると自然と守ってくれるが、時には理不尽な理由を付けて辞めさせられてしまう事もある。そのような状況が長期化していると日本の労働環境の悪化の一途をたどり、これからの労働世代のすぐ下の世代からよく見られることはないだろう。1つの理不尽な行為が会社員になりたい人を減らし、自分で何かを始めようとする人が増えていく。


 日本は全体的に見ると良い部分が多いですが、このような悪い部分が見え隠れしている状態では働くことに対する意識の多角化が目立つようになり、下手をすると働きたくても働くことに対する違和感や不信感から避けられていく可能性もある。

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