そばにいて ~disappearing lover~ (限定公開)
塚田誠二
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俺の名前は
一応文学研究をしている。一応と言ったのは、学校に通っているのは、社会に出て働くのが嫌だからという理由であり、モラトリアム期間を延長したというただそれだけで進学したのだ。
文学研究者になる意欲はもうなくなった。初めは自分には鋭い感性があると思い込み、先生になれば学生に面白い授業を展開できるはずだという気持ちがあり、自己陶酔していたものの、すぐに教授に鼻っ柱を折られて断念した。
精神にどこか弱さがあるのも少しずつ自覚し始め、子どもから大人になれない自分を認め、自分を情けないと思う時もある今日この頃。ここまでくると、どこかに自分にメンタルの欠陥があるとしか思えない。
身長は百七十五cm、六十三kg。顔は普通。かっこ良くも悪くもない。中の上といったところか。いたって普通の男と言いたいところだが、悔しいことに女子から全くモテない。さらに一度も女子と付き合ったことがない。
思いつくままその理由を言ってみる。男らしくない、面倒なことはやりたがらない、堂々としていない、遠慮がち、声も小さいから存在感もない、どうぞどうぞと道を譲って、これまでずっと生きてきた人生。一つ挙げようとしたら六つも見つかってしまった。これはもう笑うしかない。女子にだって、全く相手にされていないのかもしれない。周りの同級生の男子は女子と付き合っている奴らばかりで、結婚し子どもがいる人もいる。俺だって当然女子にモテたいのだが、やはりここまでくると、もう無理に女子にアプローチせず、一人でのんびり暮らす日々も、穏やかでいいかなと思い始めていた。
そばにいて ~disappearing lover~ (限定公開) 塚田誠二 @Seiji_Tsukada
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