第4話 リレー小説「フルボディ」 担当:欠け月


「やっぱりこれだと無理があるっしょ?」

 固めのグミをくちゃくちゃ噛みながら、今ヶ瀬は腕を組んだまま、椅子の背もたれに思いっきり体重をかけて、チェアーのロッキング機能を楽しみながら、眠たそうに呟いた。


「まあな。2つのストーリーをミックスさせるんだから、かなり歪みが出るのは想定内なんだが、最初の構成で立てたフラグ、ハリオのピアスだっけ?

 ここでの、成功と失敗ルートでは、本来は受け取ると失敗ルートのプログラミングだったんだが、途中から成功ルートに入っちゃうんだよ。まさしく性交してやがる」

 

 管理職とは言え、30半ばの倉田は見た目は、8歳下の今ヶ瀬とさほど違わない様に見えた。


「そういうジョークを言うようになると、終わりっすよ。 ほかにもイツキがフォークで頭刺されたあと、喉元にフォークを押し付けながら、白状させるorこれ以上は止めるの選択の後バグが出て、イツキの頭、最後までフォーク刺されたままなんっすよね」


「あれ、一旦とれたんじゃなかったっけ?」

「そう、解消したはずなんだけど、結局真美との会話の途中から、無意味にフォーク  

刺されたイツキ登場なんっすよ。

もう、めんどいから、イツキは二又イツキってことで、フォーク刺すのが趣味の

ドМキャラにしたらどうすか?」


「おいおい、これさ、一応スパダリモノだぜ。イツキが色んなキャラの女達から言い寄られて、最後は女性恐怖症になってシスコに飛んで、ゲイの外科医として名声を得るっていうね」


「グレイズアナトミーかよ。いっそ、凛子と真美はレズにしたらどうです?後は、色んな人種を次々出せば、欧米ウケしますぜ、倉田の旦那。 ママ活と柴のフラグ回収、どこでします?」


「ママ活の方は、イツキが担当した芦屋の金持ち少女の母親からの誘い、乗る、乗らないのチョイス入れとこう。で、柴は表向き凛香の執事になってるが、医者である凛香の父親の誤診で亡くなった少年の父親だろ。当然、ことあるごとに復讐を仕掛けてくる。登場と同時に凛香が不利になる行動をとるわけだな。

しかしさ、お前みたいにいシナリオも書けるプログラマーは貴重だよな。何でうちみたいな弱小企業に入ったんだか」


「あ、何れ会社乗っ取るんで。そしたら、倉田さんも使ってやらんでなくもないっすね。俺、元々ライター志望っすよ。自分の好きなようにゲーム作りたかったんで、プログラムも学んだって訳です。弱小じゃないと、直ぐに頭角あらわせないっしょ?」


「クソ生意気な奴だな。とは言え、実力ある奴ってのは、羨ましいわ。自由に生きてるよな、お前。俺も今度生まれ変わるなら、すげぇ美人か、今ヶ瀬のどっちかになりたいよ」


「なんすか、その果てしなくかけ離れた2択。どの道、生まれ変わるって時点で、俺いないんすけどね。 ところで、柴の野郎、頼まれもの用意するふりして、凛香の部屋で下着漁ってまっせ。こいつ初期段階で、目的忘れてますわ。趣味が入り過ぎだっての。 これ初期シナリオ、誰がやったんですかね」


「え?社長。先が全く読めない乙ゲーとして、ヒットしたらしいよ。それで、2023年バージョンで復活させ、新たなキャラ放り込んで、二匹目のドジョウ狙うわけよ」


「ははーん、それで柴の野郎の髭が、社長そっくりなんっすね。笑けるわ」


「悪いけどさ、社長直々の命令だからコードチェック入念にやってみてよ。バグ解消できれば多少見栄えするでしょ。じゃ、宜しくね」


「かしこまり。さてと、ナード女子ウケするように、ニコ動超会議に2.5次元でも放り込んでみるか。で、ここでハリオの色違いのピアスをしたウクライナ人のモデル、ダリーナ登場。ひと悶着と。あーあ、全く俺の仕事がダリーナだよ。

あ、俺終わったな」




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リレー小説「フルボディ」一旦ここで完結です。

読んで頂いた方々に、深く深く御礼申し上げます。

(ついでに、謝罪もします。予想の展開とは全く違い、期待をはずしてしまったかもしれません。だとしても、何卒お許しください<m(__)m>)


 

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フルボディ 欠け月 @tajio10adonis

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