第29話 狂い斬り舞う




 ろうはまた、眠りの中で目覚めている。

 しかしここに、いつもの彼はいない。

 ただ、若い姫君が、部屋の中で琴を弾いていた。

 柔らかい輪郭と優しい面差しが伊奈いなによく似た姫君は、波留はるだ。

 伊奈の姉で、十馬とおまの妻として、籠原かごはらへ嫁いできた。

 波留は、微笑みを浮かべ、穏やかな音色を爪弾いている。

 彼はそれを見て、今ここにないはずの胸が裂けるように痛むのを感じた。

 ないはずの両目から涙が溢れ、それを払おうとして瞬きする。

 瞬きのあとに開いた視界の中、姫君の背後に、白い影が立っていた。

 彼は痛みの上に、恐れを感じる。

 白い影が悪いものであると、彼は知っている。

 知っているのに、彼は囚われており、何もできない。

 いつの間にか、影の足元に、命を失った姫君が艶やかな髪と鮮やかな裾を散らして横たわっていた。

 叫ぼうとしたが、音を発することができない。

 影が彼を振り返った。

 白い歯がにいと笑い、白い手が彼に向かって伸ばされる。

 そこにないはずの左手に絡み付く感触を感じ、彼は戦慄しながら、ただ祈った。

 誰か、助けてくれ――

『おう』

 岩が口をきいたような低音が、耳元で転がった。

『俺の左目を貸してやる』

 彼は、この声も知っている。

 岩のような声は、怒りを含んだ声で続けた。

『代わりにてめえは、あの野郎を殺せ』







 篭は目覚めた。

 またも頭は枕から落ちている。布団の敷かれた、旅籠の座敷部屋だった。

 呼吸が凍り付いており、最初に吸い込んだ一息が震えた。

 紙を張った障子戸の向こうから、朝日が柔らかく差し込んでいる。

 彼は体を起こして宋十郎そうじゅうろうを探し、一人きりだと気付いて混乱した。顔を触ると包帯がなく、枕元に眼帯が落ちているのに気付いた。

 そこでやっと思い出す。

 彼は昨日峠道で茂都もとという青年と出会い、舘部たてべという町まで辿り着き、そこで宿を取ったのだった。

 舘部に着いたのは昼過ぎのことで、茂都は約束通り、町外れの広場で篭に剣術指南をしてくれた。すぐに近所の子供たちが集まってきて物見し始めたので、篭は子供たちを誘った。

 稽古は剣術ごっこになってしまったが、そうして彼らは日暮れまで過ごした。稽古にならなかったことを茂都は謝罪したが、子供たちと遊んでしまったのは篭だったので、彼は茂都にそのように伝えた。

 茂都は町の中でも随分立派な旅籠はたごを選び、彼らはそこで宿を取った。宿の亭主はなぜか茂都を篭の付き人と勘違いし、篭を座敷部屋へ、茂都を狭い板の間へ案内した。

 着ているもののせいで誤解を招いていると気付いた篭は訂正しようとしたが、茂都は懐具合からしてもちょうどいいと言って、そのまま板の間へ行ってしまった。

 そこまで思い出して、篭はひやりとした。

 懐具合とは、何のことだろうか。もしかしたら今彼が寝ている部屋は、宋十郎なら選ばないような高価な部屋なのではないか。彼はそれを払うための路銀というやつを持っていただろうか。

 篭は着崩れた浴衣姿のまま、部屋の隅に転がしておいた風呂敷包みのところに這っていった。昨日、夢が彼にくれたものである。

 不器用に風呂敷包みを解こうとしていると、襖の向こうで足音がした。

 続いて聞こえたのは、茂都の声だった。

「十馬さま。おはようございます、茂都でございます。お目覚めですか?」

 跳び上がりそうに驚いた篭は、左目を覆い隠そうとしてあたふたと周囲を見回し、枕元に戻って眼帯を掴んだ。

 しかし、彼の予想に反して、茂都は勝手に部屋に入ってくるわけではなかった。

「十馬さま?」

 返事がないのを訝る声がした。

 篭は、眼帯を着けながら、慌てて声をあげる。

「起きてるよ。おはよう、茂都」







 大好きなはずの朝餉の間も上の空で、篭はずっと考えていた。

 路銀というやつを、彼は持っているのだろうか。

 やがて宿を出る時になって、彼は茂都と並んで、帳簿台の前に立った。

 亭主が算盤そろばんを弾き、おいくらですと数字を告げる。やはり数字の意味を理解できなかった篭は、隣の茂都に向かって、恐る恐る言った。

「あの、おれ、お金を数えられないんだ」

 一瞬驚きかけた茂都だったが、すぐに表情を繕うと、真摯そのものの声で言う。

「大丈夫です。差し支えなければ、私がお手伝いさせていただきます。お財布を拝借しても、よろしいですか」

 彼はその場で背負っていた風呂敷包みを下ろすと、帳場の床板の上に広げ始めた。

 篭は慌てているので気付いていないが、旅籠の亭主もその下男も、そのそばに立っていた別の宿泊客も、ぎょっとして篭とその荷物を見つめている。

「と、十馬さま」

 明らかに戸惑った様子の茂都が足を動かして、それらの視線を遮る位置に立った。

 風呂敷包みの中には草鞋と着物が一揃えと手拭い、篭には何かわからない木札、布の小袋がいくつか入っていた。袋の一つを持ち上げると、金物が鳴る音がした。

「これかな」

 篭が袋の口を解いて逆さにすると、中からばらばらと銅銭がこぼれ落ちた。一つが土間へ落ちて転がってゆき、茂都が慌ててそれを拾いに行く。

 素早く戻ってきた茂都は銅銭の数枚を掴むと、それを亭主に差し出した。

「釣りをくれ」

「はい、勿論でございます」

 亭主が釣り銭を茂都へ渡している間に、篭はぶちまけた銭を袋に戻した。

 茂都は釣り銭を篭に渡すと、彼が荷物を結うのを手伝い、彼らは旅籠の間口を出た。

「またのお越しを、お待ち申し上げております」

 玄関に下りて深く腰を折る亭主に向かって、篭は去りつつ、「ありがとう」と手を振った。


「十馬さま」

 通りを歩き始めて間もなく、茂都が日焼けした顔を曇らせて、言った。

「何?」

 彼が答えると、若い侍は間を置いて、話し始めた。

「差し出がましいとは存じますが……先ほどのように、お荷物を人前で開くのは、よしたほうがよろしいと存じます。特に今は供もなく、お一人です。私のこととて、まだ昨日会ったばかりなのですから、このように信用されては危のうございますよ」

 篭は目を瞬きさせ、考えた。そしてふと、鎌倉の路傍で女が恵んでくれた銅銭を、もらった次の瞬間に盗人に奪われたことを思い出した。

 彼は頷いた。

 それを見て、茂都は続ける。

「悪人でなかった者も、金を目の前にすると人が変わることがあります。どこで誰が見ているかわかりませんから、どうか、お気を付けください」

 篭はもう一度頷き、しかし、疑問にも思ったので、訊ねた。

「でも、茂都は、変わらないよね?」

 若い侍の顔に、戸惑いと悲しみと、決意がよぎったように見えた。

「……私の義母と弟は、物取りに襲われて死にました。弟は未熟とはいえ剣の心得もあり、供も三人いたのですが、旅の途中に泊まった村で、里人に寝込みを襲われ、皆殺しにされました。私は武士の誇りにかけて、飢えて路傍で野垂れ死のうとも、強盗まがいのことはしまいと誓っております。ただ生きるためだけに争うのは、獣の道です。まだ仕える主も定まっておりませんが、私は武士として、家と誇りのためにのみ、生き、死にたいのです」

 茂都の言葉は、篭に衝撃を与えた。

 義母と弟の死を嘆く茂都の心は、ものを知らない彼にも想像できた。あだと同じことをすまいと誓う心根は、立派だと思った。しかし茂都は、家と誇りのために生き、死にたいという。

 人間たちが争い続けているのは、その家と誇りのためなのだろうか。そのために戦がやまず、多くの人が飢え、傷つくのだろうか。家も誇りも、獣であるからだろうか、篭には理解が届かない。

 黙り込んでしまった篭の顔を、茂都が覗き込んだ。

「十馬さま……」

 声を掛けられ、篭は我に返る。

 茂都が言う。

「すみません、私の小志など、つまらないことを申しました」

 篭は慌てて、首を振った。

「ううん。茂都も戦に行くのかなって……それで怪我をしたり、死んでしまったら嫌だなって、思ったんだ。茂都は、優しいのに」

 茂都は、返事をしなかった。

 不思議そうに彼の横顔を見つめ、後になってそれをごまかそうとするかのように、微笑みを繕った。

「いえ、お優しいのは、貴方さまでございましょう」







 鬼の名を口にすると鬼が来ると言う。

 舘部を出て歩くうちに差し掛かった山道で、彼らは物盗りの集団に襲われた。

 その付近は沢や沼が多く、街道も沼に浸かっていたため、彼らは迂回して山道へ入っていた。それを待っていたかのように、十五人ほどの男が彼らの前後左右に飛び出してきたのである。武装しているが、どう見ても風体は農民だった。

 茂都は不審な影が見えるとすぐに剣を抜いて構えた。

「十馬さま、刀を抜いてください!」

 言われて、篭も脇差を抜いた。瑞城がくれた手袋は彼の手によく合っているが、果たしてこの手で彼はまともに刀を振れるのだろうか。

 迷う暇を与えずに、男たちはめいめいの凶器を振り上げ駆け込んでくる。二人は四方を囲まれているために逃げ場もない。

 茂都が自ら足を進めて、突出していた大柄な男に斬りかかってゆく。

 篭には、まずなたを振り上げた男が躍りかかった。

 今まで何度か盗賊に襲われたが、篭はこの日、妙に落ち着いていた。しかし彼は、自分でそれに気付いていない。

 一方で鉈の男は蒼褪めており、武器を振り下ろす動作も粗雑だった。篭がこの数日で目にしていた宋十郎や來、比良目と比べると、全く武器の扱いに慣れていない。

 篭は、痺れが脳髄を灼き手足へ駆けてゆくのを感じる。彼の右目が敵の動きを察し、体は自ずと半回転して、彼を襲う凶器を避けた。

 これは十馬の体の反応だ。しかしここまでよく動いたのは、初めてだった。

 勢い余った鉈の男が過ぎてゆくのを見送るとすぐに、次の敵が突っ込んでくる。今度の武器は畑を耕すくわだった。農具と言えど、あんなものを食らっては頭が割れる。

 男が武器を振る動きが見える。その軌跡を、彼の頭のどこかが勝手に予測した。本能に突き動かされるように彼は身を滑らせると、鍬を振り下ろす寸前の男の腹へ、右肩から突進していった。

 鍬が彼を打つ前に、彼が男を突き倒した。

「こんの、」

 今度は左手から唸り声がする。振り返ると、農民風の男が錆びた刀を横向きに薙いできた。

 痺れは篭の背から腕へ走る。十馬の腕が、脇差で刀を受け流した。心臓が早鐘を打っている。

『殺せ』

 岩の声が、囁いた。

 彼は凍る。

 その隙に、錆びた刀の二撃目が彼の脳天目掛けて振り下ろされる。

 辛うじて目の前で刀を受けた。

『食わせろ』

 声が言う。

 その時、戻ってきた鉈の男が、彼の背後から切り付けた。

 しかし裂けたのは彼の荷であり、篭が聞いたのは自分の悲鳴ではなく、十馬の声だった。

「うるさい」

 十馬の腕は、彼が一撃を食らったのを見て油断していた刀の男を、斜めに裂いた。錆びた刀が手首ごと落ちる。そしてそのまま体を返し、鉈男の上半身を袈裟斬りにする。

 鍬男は顔を蒼白にし、間合いを計りかねてたじろいだ。地面の上でのたうっている鉈男の向こうから、つちをふりかぶった男が現れた。

 十馬の足は一歩を踏み出すと、身を捻って槌を躱し、その側面に回り込む格好で、槌男の左腿を斬り上げた。

「三匹目」

 十馬が呟きながら唇を舐めた。十馬はあらかじめ仕込まれた芝居を筋書き通りに舞っているようだと、篭は思う。

 また別な刀を持った男が、わああと破れかぶれの雄叫びをあげながら斬りかかってきた。

 篭はそれを見た瞬間、男がたおれる姿を脳裏に描いた。果たして次の瞬間に、目の前には同じ絵が流れる。十馬は同じようにして、更に別の一人も斬った。

 既に戦意を失っている鍬の男が、踵を返して逃げだした。

「六匹目、」

 呟いた十馬が追う。その瞬間、篭はそれを言った口が自分のものでもあることにやっと気付いた。彼は絵や夢を見ているのではない。現実に、男が殺されようとしている。

「いやだ!」

 飛ぶような速さで鍬の男に追い付いた十馬を引き止めようとして、彼は叫んだ。

 彼の体は動きを止め、足は落ち葉の上で踏みとどまった。脇差を振ろうとしていた左腕が下がる。全身が痺れている。

 追手の変化を見る余裕もなく、鍬の男は全速力で駆け去ってゆく。他の襲撃者たちも、足の動く者は次々に逃げ去りつつあった。どうやら茂都のほうも、身を守り切ったようである。

 手首を落とされた男も呻き声を上げながら、木々の奥へ走って行く。襲撃者のうち二人が、虫の息で地面の上に転がっている。

 篭はそれらの人々を見、自分の体がひどく震え始めたのを感じた。

 もう、十馬の声はしない。眩暈がする。

「十馬さま」

 敵が逃げ去るのを見届けた茂都が抜身の剣を手にしたまま、彼に駆け寄ってきた。

「お怪我は」

 小さく首を振るのが、篭には精一杯だった。

 彼を覗き込む茂都の顔が歪んで見える。

 体の上下と世界の天地が逆さになるように感じて、篭は目を閉じた。

 ふらりと傾いた彼の肩を、茂都が支える。

「大丈夫です、まずはここを離れましょう。荷を拾います、しばしお待ちください」

 茂都が言い、崩れる篭を地面の上に座らせ、篭の脇差を鞘に戻させてから、地面に散らばった荷物を掻き集めた。鉈男に背後から裂かれた時に落ちたものだ。

 篭の荷物を手拭いに包むと、茂都はそれを左肩に掛け、篭を立ち上がらせた。

 彼らは地面の上で呻く男たちを残して、その場を後にした。







 岩や木の根につまずきながら山道を下るうちに、彼の感覚は天地の上下を取り戻してきた。

 眩暈は吐き気に変わり、しかし耳に風の音や鳥の囀りが届くようになる。

 うっすらと開いた視界に、のろのろと歩く茂都と自分の足元が見えた。

 彼は、鬼の声を思い出していた。

 殺せと言われたから、十馬は殺したのだろうか。それとも、もしかしたらあの恐ろしい青年を呼んだのは、自分だろうか。

 涙がいつものようにせり上がってきた。しかし、篭は唇を噛んで、それをこらえた。

 いつも、彼は泣いてばかりだ。

 泣いてばかりで、何も、自分の意思すら、守ることができない。

 自分は愚かだ。そしてそれを、苦しいと思う。

 篭の体に多少軸が戻ってきたことを感じたらしく、彼を支えて歩いていた茂都が、彼の顔を覗き込んだ。

「十馬さま」

 吐き気を堪えながら、しかし篭は茂都に預けていた体を、ゆっくりと離した。

「ごめん、茂都、ありがとう」

「いえ」

 自分の足で歩き始めた篭の様子を窺いながら、茂都が訊ねた。

「ご病気とは、これのことですか」

 まだあまり頭の回らない篭は、きちんと考える前に、頭を上下させた。

 茂都の声が言う。

「十馬さま、立ち入ったことを申すようでしたらお許しください。ですが、剣が使えないと仰ったのは、嘘ですね」

 それは、質問だ。しかしまだ濁っている彼の脳は、言葉を紡ぎ出せなかった。

 構わぬように、茂都は続けた。

「賊を追い払った貴方の腕は、稽古どころか、幾度も人を斬ったことのある者の腕でした。素性を明かせとは申しません。ですが、なぜ私に稽古を頼むような真似をされたのですか」

 茂都の視線がこちらを向いているのを、篭は感じる。

 何と説明すべきだろうか。自分は物怪もののけの魔物憑きだと話すべきだろうか。彼は生まれてこのかた、作り話などしたことがない。回らない頭では一層、何を言うべきなのか、わからない。

 縺れる舌で、彼は言った。

「おれが、使い方をわからないのは、ほんとだ。剣で人を斬るんじゃなくて、自分を、人を守るには、どうしたらいいか、知りたかった」

 茂都の呼吸が変わったことを感じたが、まだ視線を上げられない篭は、茂都の声だけを聞いた。

「十馬さま、今は乱世です。守るだけでは守れないもののほうが、多うございます。貴方がその若さでその腕をどのように身に付けられたのか、私は聞きません。ですが、ご病気を口実に京へゆくというのは、もしや家を追われたということではないのですか。もう貴方には、帰る場所はないのではありませんか」

 そこでやっと、篭は顔を上げて、茂都の顔を見た。

 青年の顔にある表情は、切実に何かを訴えていた。

「私とて、同じです。嘘を申しました。私は、父母に放逐されたのです。剣の腕のみが取り柄の不忠者と言われ、家を追われました。私は我が家が、滅びゆく瑞城たまきに仕えることが我慢ならなかったのです。だから夏納かのうへゆくのです。夏納で身を立て名を上げ、瑞城が倒れたあとに主と家を失う父母兄妹を救いたいのです。十馬さま、私とともへ夏納へゆきませんか。夏納の当主飛梁ひばりは、氏素性の知れぬ者でも有用ならば、取り立てて禄を与えるそうです」

 茂都が長々と語ったことは篭には難しく、彼は半ばほどしか理解できなかった。しかし彼は、家を追われたわけではない。豊松に、戻ってくると約束したのである。

 茂都の訴えが悲痛であることを感じながらも、彼は、首を振った。

「おれは、病を治したら、籠原の屋敷へ戻るよ」

 短い返答を聞いて、茂都は口を閉じ、束の間に荒立てていた呼吸を、流水のように戻した。

「……左様ですか。申し訳ございません、またつまらない話をしてしまいました。……貴方の腕ならば天下を窺う夏納のもとでも、大いに活きるのではと思ったものですから」

 篭は、ただ首を振った。

 彼には、沈黙が必要だった。

 一人で闘う茂都は、孤独だろう。それでも青年は、彼自身の誇りというものと、家族のために剣を振るう。もしかしたらそれが、篭に必要な強さというものだろうか。

 だが今の篭は、彼が誰かを斬る話も、茂都が戦に行く話も、これ以上聞けると思えなかった。

 先ほど嗅いだばかりの錆ような血の匂いが、鼻孔の奥で燻っている。

 その記憶が呼び起されたら、また十馬や鬼が現れるような気がしていた。

 彼はそれらと、闘わねばならない。




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