第5話 誤解
「おかえり、結衣。ホームルームで担任が結衣のこといないって騒いでたけど、保健室にいるって嘘ついといた。」
「基本そこいるしね、歩。ありがとう。」
じーっと歩は私を見つめてくる。
「…なんか、結衣すっきりした顔してる」
歩は、すぐびっくりした顔になる。
なんというかコロコロ変わる表情が見て面白い。
「き、気のせい…とも、言えなくもないかも」
ちょっとだけ、ぎくっと、した。
顔に出やすいとは重々承知していたが、まさか歩に見破られるぐらい分かりやすかったのか。
「なになに、相談事があるならいつでも言ってよ〜?!」
私の背中をさすさすと撫でてくれる歩が少し頼もしく優しくて、私は自然と笑顔になった。
「ぁあ、じゃあ…ちょっと頼ってもいい?」
「金はないが、人望アリ!
無文だけど、懐アリ!
そんな歩ちゃんにいっちゃおまかせ!」
「わかったってばぁ…
あのね、
耳を近づけて、一言、一言、
「この願いが叶いますように」と祈りながら呟いてった。
冴えない男に恋をして 黑圓 @kuro_maru25
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