第2話 理由は生まれた。

私は生まれてすぐにに母を亡くした。

親は父1人だけだった。

父は私を世界中あらゆるところへ連れて行ってくれた。

灼熱の砂漠、大雪の山中、大樹の森林

どれも辛くて怖くてとてもいい思い出ではないが、多くのことをそこで学んだ。

父はいつも言っていた。「地球を知ることは人を知るのに一番いい方法だ。」

父はいつも遠くを見つめていた気がする。


それから十数年後、父は死んだ。正確には殺されたのだ。

私は父を、唯一の家族を失いとても悲しんだと同時に殺した犯人を憎んだ。

そこから私の人生の目的は一つだ。父を救うことだ。

そのために私はこの時代に来たのだ。私は未来から来たのだ。


「タイムマシンがあったらな~」

烏賊本はそんな軽口を言いながら大学の食堂で昼ご飯のラーメンを食べていた。

どうやら授業のテストの点数が悪かったようだ。

「そんなことにタイムマシン使うなよ、ちゃんと勉強しとけ。」

「それは分かってるんだけどな~。」

そんなことを言い合いながらタイムマシンのことを言われると冗談と分かっていながらも内心冷や冷やしてしまう。私が今していること、過去に戻って死ぬはずだった人を助けたり、逆に生きているはずの人を殺すことは未来では犯罪行為であるからだ。

常に未来の警察への恐怖心は付きまとう。私はそれでも父を救いたい。例えどんなことをしようとも。父が殺されるまであと数日しかない。

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そこからそこへあと一歩 めるるかん @melukan

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