エピローグ
未成年の少年が起こした連続殺人は、彼の自殺という形で幕を下ろした。
これによって、警察はマスコミや世間から非難の目を浴びせられる結果となり、その世間ではしばらくこのニュースでもちきりとなる。
何故カミソリがその場に落ちていたのか。
そして、彼が犯罪に至るまでの経緯。
家庭環境。
精神の錯乱具合。
様々な議題が上がり、専門家も様々な持論を持ち出し、それで世の中は更に盛り上がった。
特に
その理由としては、彼が最後まで答えなかった、3人の遺体の所在にある。
黒田 白亜の死後、しばらくして3人の遺体は警察の捜索のにより発見されたのだが、その遺体は100キロ以上離れた森の中だったのだ。
何処にも目撃情報を出さずに、3人の遺体を運ぶとなれば、かなりの工夫が必要になるだろう。
それに、彼は未成年で車を運転した経験もない。
つまりこの死体遺棄は、彼には不可能な状態で発見されたのだ。
だがこれにも、余計な異議を唱える人間の手により真実はうやむやになり、世間はただ面白いという願望だけで死神という説が広く知れ渡る結果となった。
「幽霊なんて、存在しないのにね」
そして最終的に、この事件は様々な説が行き交ったのにも関わらず、黒田 白亜が狂乱し、ひとりで行った犯行として処理されてしまった。
***
時を同じくして、外では雪が降り頻る中、この事件の最大の被害者でもある桜木 桃の元に、ひとりの人物が姿を現す。
「両親も失い、恋人も失い、文字通りの天涯孤独になった感想はどう?」
他には誰もいない、真っ白な病室で手足を縛られた桜木 桃に、その人物は問いかける。
「悔しくない? 憎くない?」
桜木 桃はその質問にゆっくりと反応し、その人物の方を向いた。
「自分だけ、こんな状況になっているなんて理不尽だと思わない?」
その言葉に、ついに桜木 桃はゆっくりと涙を流す。
「自由が欲しいと思わないかい?
私は、貴方に自由な殺人を行って欲しくてココに来た」
桜木 桃にそう問いかけた人物の姿は、まるで自分の姿を隠すかのように口元だけが見える真っ白な仮面をつけ、服装はかっちりとしたスーツ姿。
そう……その姿は、まるで黒田 白亜の見た幻影そのものだ。
それからその人物は、動けない彼女の頭を優しくなで下ろす。
「お願い……たすけて」
桜木 桃のその一言に、仮面から見える赤い唇が不気味に微笑んだ。
黒いアルビノ 翻 輪可 @56483219
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