不幸な僕へ

<以下は、学生の『僕』の叫び>


 ああ、なんでこうなるのだ。僕の人生は、いつもこうだ……。



 物を壊したり、誰のせいでもなく傷ついたり……不幸続きの毎日だ。



 転倒して怪我したり、交通事故に巻き込まれたり……そんな日常にも飽きてきた。


 ふと今日は不幸が降りかからないなあとか思っていると、僕の影響で何らかの不幸を周りに与えていたりもする。


 誰かにボールを当ててしまうとか、そんな軽いものは別にいい……わけではないがまだマシだ。


 相手のメガネを割ってしまう、相手のスマホの画面を割ってしまうといったことにより、多額の弁償をさせられるとか。


 それは、被害を受けた人も金を払わされる親(自分の場合もある)にも迷惑がかかる。


 そんなのもう、罪悪感が半端ないのだ。僕だけならいい。



 だけど僕には、制御できない。僕は運命にあらがうことができないのか。


 それなら何か、僕の理想の相手でも現れて、甘酸っぱい恋を送ることができたら……その人に迷惑かけないように、一生けんめい頑張るからさ……!


 自分の不幸な体質を嘆くようにして、はぁ……とため息を吐く。


 いや矛盾しているだろう。


 人に被害を与えて罪悪感が半端ないのに、恋人になら良い?


 僕はなんてヤなやつなんだよ。



 ……僕はたまに自己嫌悪のようなものに陥ることがある。


 自分のせいではないことも、自分のせいにしてしまったり……もっと言えばこう――自分を弱者に仕立て上げたり。


 自分を下位に置くことで、誰かに助けてもらおうとする。


 誰かに構ってもらおうとする。


 誰かを利用しようとする。


 そんな僕を誰が好きになってくれるだろうか。


 人間の悪い所を集めたような僕に。


 実際、他の人にも不幸を与えることが多いのは本当だ。だから僕なんかと関わるお人よしの方がおかしいのだ。


 学校っていうのは『正しいこと』を教えてくれるけど……人への優しさや人の正しさ――まあ正義感のようなものか。そういうものは……時にまた人を傷つけることもあるんだよ、って教えてやりたい。


 そんなひねくれた僕に――教えてやりたい。死ねば楽になれるよ、と。





 ………………僕は、何のおかげで生きているんだろう。


 きっと、生きている限りそれが探せる。


 たとえ自分が傷つこうが他人を傷つけようが、生きればいい。


 そう教えてくれたのは、何者でもない僕自身だった。


 死ねない僕自身だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ねえお姉様、あの男が淫靡な視線を私に向けているのですが。 星色輝吏っ💤 @yuumupt

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説