第24話 小説現代長編新人賞の一次選考
今年に入って書いた長編を、大幅リニューアルして、「小説現代長編新人賞」に出しておりました。
「小説現代」の十月号に、第一次選考通過作品が発表されるということで、ちょうど日本にいる時期に販売だったので、買おうと思ってたんですよ。で、買う前に「ウェブで発表されたりしてないのかな」と検索してみたんです。
そうしたら「第一次選考通過作品リスト」みたいなのがウェブであるじゃあないですか! 「え〜? 雑誌買わなくてもわかるんじゃん」と、さっそく自分の作品名を探しました。
「きっとないだろうな」と思いつつ「もしかしたら」と期待に胸をふくらませて探しましたが、ありません。念のため、リストを最初から最後まで三回見てみましたが、やはりありませんでした。
このあたりで、読者さまの中には「アンタばかじゃないの?」って思っている人もいるかもしれません。当時の私は、大切なことに気がついていませんでした。
「生まれて初めて書いた長編が、最初から通るわけないじゃん。『箸にも棒にもかからない』作品だってわかってて出したでしょ。これからよ、これから。ドンマイ自分」って自分に言い聞かせましたが、やっぱりヘコみました。
私は趣味で小説を書いているので、このまま何十年でも、飽きるまでは執筆を続けたいんですよ。その間に、一度も公募に引っかからなくて、書籍化が夢のまま執筆人生を終えてもいいって思っています。好きだから書く。好きなことがあるってことが幸運だと思っています。
でも、今後十回でも二十回でも公募に出したとして(そんな根性があればの話ですが)、一度も一次選考さえ引っかからずに全滅したら、心が折れるかもなぁって思いました。
しょぼんとしながらも、高校の同級生とランチしたり、新宿にお買い物に行ったり、美術館に行ったり、お一人様東京ライフを心から満喫しておりました。そんな中、私が新人賞に応募する際、大変お世話になった方から「小説現代買われました?」とメッセージをいただきました。
「買う前に、自分の作品が一次選考通っているかウェブで調べることにしました。ウェブで見てみたら名前がなかったのでがっかりして買っていません」みたいな返信をすると、「それ、去年の結果じゃないですか?」とお返事がきました。
オー・マイ・ガッ!!!
「アンタばかじゃないの?」って自分でも思いましたよ、ええ。今年の結果は、まだ紙面でしか発表されてないんだよ! ってことに気づきました。
その足でさっそく書店へダッシュ。「小説現代」の十月号を手に入れました。ドキドキしながら自分の作品とペンネームを探したら……、あ・り・ま・し・たぁぁぁ! うぎゃー!
「小説現代買われました?」とメッセージしてくださった方は、ご自分は買っていらっしゃって、私の作品とペンネームを見つけてくださっていたんです。でも、私が自分で見つけるほうがいいだろうと判断されて、黙っていてくださったのでした。もしメッセージをしてくださらなかったら、私は「やはり私の駄作など、おもしろくないのだな」と落ち込んだままだったと思います。感謝しかないです。
一次通過がうれしすぎて、夜なかなか寝付けなくて、七月末に提出した原稿を、最初から読み直してみました。「あら、けっこういいじゃない。ミッドポイントでの急展開、おもしろい! 最後にどんでん返し増やしたの、いい仕事してる〜」って自画自賛しながら最後まで読んだら、夜中の一時くらいになってました。現金なおバカさんですね。わはは。
カクヨムの野々ちえさまにお会いしたとき、あるエッセイを紹介していただきました。
「新人賞受賞は運=確率! 1年9カ月で投稿96回、受賞2回、最終候補6回! 投稿戦線異状なし」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888031782
書籍化作家、一田和樹さんのエッセイです。ご存じの方も、このエッセイを読んだことがある方も、多いかもしれません。
エッセイの題名どおり、一年九ヶ月で公募に96回も出された経験を記録されたエッセイです。これを読むと、一回公募に落ちたくらいで落ち込むのは愚の骨頂だなと思えます。
カクヨムを始めた当初から、「最初の十作はたたき台」「量は質への道」と思って、とにかく物語を最後まで書くことを目標にしていたのですが、ここへきて、公募を意識するあまり、筆が乗らなくなってたんですよ。
今まで続けてきた三つのエッセイでも、たびたび「書けない〜」って言ってきているので、「またか」と思われる読者さまも多いかもしれません。
今執筆中の短編も、三回ほど最初から書き直して、それでもぜんぜん納得がいかなくて、進んでいませんでした。
このエッセイに励まされて、「やっぱり、とにかく最後まで書こう。一日に何百字でもいいから進めよう」と考え直しました。「一日千字」を目標に、ちみちみ書き進めています。
一田和樹さんは、最短一週間で長編を一本書かれたりするほど、驚愕の多筆・速筆です。ご自身は「速筆はトレーニングで習得できる」とおっしゃってますが、「凡人には限りがあるだろ!」って思います。
でも、とにかく書けるだけ書いてみよう。この作品の出来が良くなかったら、改稿すればいいし、また書けばいい。駄作を量産するつもりで書こう。って思いながら書いてます。最後まで書くだけなら、できるので。
結局、できることをやるしかないんですよね。できることしかできないんだから。どんなレベルでも、できることをやれば、なんか見えてくるものがあるんじゃないかなって思います。
小説現代長編新人賞は、第一次選考に通っただけでも、書評がいただけるんですよ〜。書評は十一月号に載るはずなので、今から楽しみです。執筆の神様から「書いていいよ」って背中押してもらえたみたいでうれしいです。
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