そよ風カフェ 🐦

上月くるを

そよ風カフェ 🐦




 深い森のずうっと奥のほうに、一軒の小さなカフェがあります。

 風変わりなのは、スタッフもお客さんも全員が野鳥であること。


 たとえば、店長さんはオオルリで、店員さんはコルリやキビタキ。

 お客さんはキツツキ、コマドリ、アオバズク、アカショウビンetc.

 仕入れ業者はサンコウチョウやブッポウソウといったぐあいです。


 もっと変わっているのは、柱も壁もなく、すなわち建物らしきものは見当たらず、「そよ風カフェ」と記された小さなボードが1枚、白樺の枝にゆれているだけ……。


 まあ、あれですよね、考えてみれば、この店に関わる全員が野鳥なので、里の人間たちが好んで造りたがるような建造物はかえって邪魔なだけという話でして。(笑)



      🎭



 この「そよ風カフェ」が大人気なのは、スタッフがみんな感じがいいからですが、もうひとつ、午前7時スタート「季節の虫🐛モーニングセット」の絶品さも……。


 もちろん、生まれつき虫が食べられないベジタリアンの鳥たちには美味しい「季節の若葉🍀モーニングセット」を用意しているので、どんなお客さんでもOKです。👌


 今朝も今朝とて開店前に10羽の常連鳥たちがやって来て、それぞれのお気に入りの枝でスタンバイしており、このまま、ほぼ満席状態が夕方の閉店までつづきます。



      👩‍🎨



 美しい瑠璃色をした店長のオオルリや、その弟のコルリ、あざやかな黄色が可憐で可愛らしいキビタキは、白シャツに黒いエプロン、三角巾でビシッと決めています。


 来るもの拒まずの接客業ゆえ、順番を横入りしたり、客は神なんだと威張ったり、マスクもせずピーチクパーチク騒いだり……めいわくな野鳥も、ときどきはいます。


 でも、大方はマナーのいいお客さまで、「いつも美味しい🐛や🍀をありがとう」「あなたたちの明るい笑顔を見ているだけで幸せになるの」と言ってくださいます。




      🦖🐇🐐🦥🦎🦨🐿️🐲




 で、森の奥の「そよ風カフェ」は、今日も千客万来の大繁盛!ヾ(@⌒ー⌒@)ノ

 そんな野鳥専門のカフェ、お近くの森の奥でも、絶賛営業中かもですよ~(笑)。

 

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