まどおーむメンバーはカフェのお立ち台に上がっていました。

リハーサルを見せつけて聴衆から浴びたのは温かい拍手!!

「自信を持って!!自分たちならできる」　不安が洗われた感じがしました。

そんなお話　前話より少し前のお話になります。

7月9日　朝9時　まどおーむメンバーがカフェの入り口から奥に進んだ一角にあるテーブルを囲んでいました。

高校訪問前にまとまった時間を取って集まる最後の日。9時から18時までカフェ『トパーズ・リッター』にいました。

ホタルさん行きつけのカフェで、「魚戸ホタル旅行の父」トルノスさんがかつて経営しており現在は後任のマスターがブレンドを淹れています。コーヒーを宝石のトパーズに見立てて名前を付けたと聞きました。魚戸ホタル族として老年になった後も探求したいという心を現しているとも思いました。現在のマスターはもちろん同族です。大きなヒレがコーヒー豆のように茶色く光っています。

7月21日に高校訪問する予定です。終業式の催しとして自分たちが登場しパフォーマンスを行います。30分パフォーマンス、入場・退場も含めれば40分も時間を取るのでぜひとも成功させて歯切れよく夏休みを迎えてほしいものです。

全員集まったのを確認して魚戸ホタル（みか）からあいさつ

「

ほたー　梅雨が明けたかと思ったらざあざあ雨が降って大変ですね～。今日はリハーサル、高校訪問前最後のリハーサルです。不安あれば晴らしていきましょう。何をするか既に聞いていますが、今日はそれを1本のストーリーに起こします。カフェのお客さんも見ます。まあまあ肩肘はらず楽しんでいきましょう。それじゃあみんな手を出して

」

手を重ねたところで

「「「「「まどおーむ　はじめ!! 」」」」」

開始の号令を告げて最初にやること。ずばり役割の振り返りと進捗の確認です。

役割は確かこんな感じでしたね。

・ホタルさん　：企画と高校への交渉、まどおーむホームページの改修

・まいはさん　：お金とスケジュールの管理

・トモチカさん：高校に貼るポスターのデザイン

・トウリちゃん：高校生向けのレクリエーションの考案

・衣文さん　　：交渉の同伴、人間向けの広報文作成

箇条書きの順に報告しあいます。まずはホタルさんからどうぞ

「

　高校への交渉は順調。2日に衣文さんと高校に行って体育館の壇上にある音響設備やスクリーンを実際に触りました。パワポのスライドに貼ったアニメーション、動画を再生して画質・音質ともに期待以上、手ごたえを得ました、自分たちはここでパフォーマンスをして成功する。今日はその手ごたえを確信に変えていきたいと思います。あとホームページに衣文さんが作った広報文を実際に載せました。同族だけじゃなくて人間さんからも「いいね」をもらってて好感触。ありがとう　ほた～。次　まいはさん　よろしく～

」

「

　ご紹介に与りました　まいはです。スケジュールは順調すぎてもう驚き!! トウリちゃん出遅れたかなと思いましたが衣文さんが高校生の流行りを教えてくれたり、ホタルさんが音楽をかけてノリノリにさせたりフォローしあっていました。最初ですから皆さん手探り。聞く前に自分から作ってみる。結果的にそれが上手くいっています。良い習慣だと思いますので続けていきましょう。予算は10万円以上余裕があります。23日の反省会、もっと豪華にしましょうか？　面白くなりそう　ふふっ。次っ　トモチカさんですよ。

」

「

　トモチカです。ポスター　承認もらって　貼りだしています…。ホタルさんが学校から「見やすいデザインで生徒たちもワクワクしている。君たちの面白さ・神秘がこちらに迫ってくるようだ。いいデザイナー持ってるね。よそ向けの発表会、例えば吹奏楽部かな、君のデザイナーにポスターの依頼したいくらいだよ。」と言われて驚きを隠せません…。今はホタルぽーたるの仕事してますけど　他にしてみてもいいかなと思いました。次　トウリちゃんだよ…。

」

「

　トウリちゃんだよ。パフォーマンス　ちょっと遅れてたけどできてるよ～。早速反応してくれて嬉しいな♪ つたえもんから「最近は閉塞感の反動で一体になる曲が流行ってる」って聞いたから創作ダンスやってみたよ。つたえもんやホタルさんも大きいけどまいはさんが作ったポプリ嗅いでやる気だしたり、トモモンがテストで赤点取ったときに勉強法を教えてくれたのも大きいかな。次　つたえもんだよ。まどおーむのホームページ見て感動しちゃった。アタシたちの本音を聞いてくれるヒトいたんだなって。さあ言っちゃってよ。

」

「

　蔦凪衣文です。トウリちゃん広報文見てくれてありがとね。広報文はなんかもう自分たちは気にしてなくてもホタルさんは気にしてる表現がないか探したり、生態を交えた小ネタを入れる隙間がないか探したり、疲れました。でもやり切ったという感じが湧いてきます。ホタルさんと何回も高校に行って頼もしく感じたけど「自分ならどう思う？」と度々意見求められて、そっか私ヒトを求められてる、頼られてるんだなと思いました。何が手助けになるか探っているところですが、ホームページに付いたコメント見てると「好きでも嫌いでもない　ありのままを伝えたい」って取り組んでたのが報われたかなという感じがします。といってもホッとするのはまだ早いです。本番はもうすぐそこ　引き締めていきましょう。

」

お互い進捗を報告しあい、質問しあって10時30分になりました。一旦ブレイクタイムを挟みます。イカさんマスターに熱い麦茶を持ってきてもらいホッと一息。マイブームを話し始めました。まいはさん最近電子工作を始めたそうです。木の枝や花弁を使ったアートや編み物を得意にしていますが、規則的に光るLEDの電飾で照らしたくなったそうです。Lチカというボードに乗ったLEDをチカチカさせる技を見せていました。「自分も同じことできる」とホタルさん、つられてトモチカさんもチカチカし始めました。トウリちゃんは相の手を打っていました。いつもいつも面白いなあと衣文は楽しげな眼差しを送っていました。リラックスしたところでリハーサルを始めましょう。

11時　リハーサル開始。

最初にみんなでタイムスケジュールの確認をします。

① 初めのあいさつ：4分

② まどおーむメンバー自己紹介：3分

③ （株）ホタルぽーたる紹介：5分

④ まどろみみっく文化紹介：8分

➄ 質問コーナー：8分

⑥ 創作ダンス：5分

➆ 終わりのあいさつ：2分

合計で2分くらいは増えても構いません、と教頭先生から説明を受けていました。しかしなるべく40分で終わらせたい。流れを原稿に書いて覚えました。

　司会進行役がタイムスケジュールを説明する時間も必要です。そのため実際の発表時間は36分前後になります。担当は生徒会副会長の網干さんに決まりました。成績優秀で書道部で優秀賞を受賞している頑張り屋さんだそうです。発表前に会えるそうなので楽しみにしてます。

　あと会場内に傷つけようという悪意のある人間がいるかもしれないので、不用意に壇上に上がれないよう見張りの生徒も付けるように頼み、承諾を得ました。一応言っておきますが、まどろみみっくは襲ってきた人間を返り討ちにできる能力を持っています。

カフェのお立ち台に上がります。スクリーンや音響設備もあるため本番を想定したリハーサルになります。貸し切りではないため初めは私たち含め10人程度だったお客さんが40人ほどになっています。魚戸ホタルたちだけでなく人間も、訪問する予定の高校生もいるかもしれません。それならリハーサルを見ていただいて当日はクオリティアップすればいいだけです。

この位置に書いておきますが、12時にランチを取ってから1時にリハーサルを再開して4時にメロンパフェの登場。45分ごとに休憩を5分取りました。

まず初めのあいさつはまどおーむ人間代表の衣文さんから。

とその前に客席の方々に「真屋代（まやしろ）高校への発表へのリハーサルを始めます。私語をしてもらっても構いませんが野次を飛ばさないようにお願いいたします。」と注意喚起しました。それでは衣文さんどうぞ

「

真屋代高校の皆様初めまして、ご紹介に与りました蔦凪衣文と申します。皆さん～こんにちは～

」

ここでみんなが一斉に「こんにちは～」と言うので、やまびこのように返事が返ってきたと想定して続けます。

「

私はまどろみみっく文化普及団体「まどおーむ」のメンバーの一人です。私の左右におりますのは左から魚戸ホタルさん・色織まいはさん・トモチカさん・トウリさんです。彼らは「まどろみみっく」と呼ばれるここ10年で地上に現れた未解明の部分も多い不思議な生き物です。みんなそれぞれ得意なこと、苦手なことがありますが、互いにフォローしあい、頼りになるメンバーです。今回は皆さんにもっとまどろみみっくのことを知ってほしいと思っています。姿形が苦手な方もいらっしゃるかもしれませんが大した理由もなく嫌いにならないで欲しいと願っています。私は最初、興味本位でお近づきになりたいと思っていました。実際に広報として彼らと接するうちに私たち人間も生物の一つで互いに支えていかないと続かないと思うようになりました。

さて挨拶はこのくらいにして「まどおーむ」メンバーの自己紹介をします。名前・特技・マイブームを30秒程度で話します。名前だけでも覚えていって興味を持った方は夏休みに実際に文献に当たってもらえると嬉しいです。

」

そして次にホタル→まいは→トモチカ→トウリ→衣文の順番で自己紹介するところですが、早速客席から拍手が湧いてきました。衣文は照れくさくなって四方八方に向かって一礼していました。

自己紹介はだいたい30秒前後でしたが、トモチカさんが45秒程度かかっていました。許容範囲内です。

続けて（株）ホタルぽーたるの紹介です。「まどおーむ」はこの会社の認可を受けて活動しています。いざという時に責任の一端を負ってくれる、ということは言わずに会社の紹介に留めます。（株）ホタルぽーたるについて以下の内容を紹介するようにしました。

・上陸した魚戸ホタルたちを人間が支援、調査する目的で設立されたこと

・代表製品KibiTalk

・人間向けの製品・サービス

・在校生も在籍していること

実際に読んでみて4分くらいかかりました。

まどろみみっく文化の紹介では簡単に言うとホタルさんが墨を吐いたり、まいはさんが空を飛んだり、トモチカさんが柔らかボディをブヨブヨ伸ばしたりといった特技を披露します。披露した後に衣文さんがまどろみみっくごとの特徴を紹介します。始まるタイミング、終わるタイミングを確認してスムーズにパフォーマンスが進むように何度も練習しました。

質問コーナーでは生徒会から寄せられた質問から衣文さんが答える質問を1つ、ホタルたちが答える質問を2つ選ぶ必要がありました。8分なのでホタルたちの質問は一言ずつになります。なるべくスパッと答えられる質問を選びました。一番多かったのが「人間たちと暮らしていて嬉しかったことは何でしょうか？」という質問で、トウリちゃんは大はしゃぎで仲良しの人間ができた話、人間が自分の桃色ふわふわ尻尾をカワイイと受け入れてくれた話をしてくれました。トウリちゃんはとにかく明るい性格をしていますが、最初は人間に化けているのがばれたらどうしようと自分をさらけ出さないでいました。高校生にも共感される話だと思い、「トウリちゃんそのエピソードで行って」とつい進めました。トウリちゃんは「うんわかった♪変わりたいと思ってる人が変わろうとするきっかけになればいいな。ありがとうつたえもん。」と答えてくれました。他のメンバーの答えも共感できるものでした。他にも興味深い質問が寄せられたので、選ばなかったものはまどおーむ公式サイトで回答集を投稿するように決め、意見を出し合いました。

創作ダンスではトウリちゃんが振り付けを作って実際に踊ってみた動画を作っていました。高校生に人気のダンス曲の中で1番は有名なダンス動画を参考に、2番はKibiTalkが不具合を起こして使えなくなったときに使うジェスチャーを参考に振り付けを作りました。共有して練習したのでみんなで踊ってみます。トウリちゃんに「まいはさん、動かす翼が反対かな」「つたえもん、カクカクしてた。もっと柔らかく」と指摘され直します。休憩も入れつつ1時間半、何とか最後まで付いていけるようになりました。みなさんゼエゼエ疲れたところでメロンパフェの登場。目を輝かせ、甘いもの好きのトモチカさんは食べ終えて恍惚の表情。40分休んだ後にこれまでのリハーサルを撮影していたので振り返りました。高校生にまどろみみっくたちは面白く、人間たちから学ぼうとする姿勢も持っていると受け取ってくれればいいです。

　休憩の中でトモチカさんが「『おてまえロマンツェ』という恋愛小説に沼ってる…って言っていいのかな」と相談されました。もちろんOKと伝えました。人間の感情がむき出しなのが好きって知られたら興味持ってもらえるかもしれません。トウリちゃん曰く中高生に話題沸騰中だそうです。。188cmと一回り大きくて怖がられることが多いトモチカさんにはチャンスです。メンバー全員トモチカさんに薦められ買ったのでストーリーをご存じです。4人で感想を言い合っていたら15分以上たっていました。

　「おてまえロマンツェ」は架空の恋愛小説なのでここで簡単にご紹介。主人公の手虎直助（てとらなおすけ）は自分の仕事の出来なさにイライラして周りに当たっては「なんでこんなことしたんだろう」と後悔していました。上司に相談して「君は茶の作法から落ち着く方法を学んでこい」と薦められ渋々始めます。すると黒いショートヘアーの似合う綺麗な女性がいました。登竜佐知子（とうりゅうさちこ）さんと言います。直助と佐知子が茶の作法を学びつつ、互いに引かれあう物語です。直助の自意識過剰さから引き起こされる葛藤と佐知子さんがそんな彼に飴と鞭を入れる過程が高校生にも受けてドラマ化が決定している作品です。

　終わりのあいさつはみんなで。今日は楽しかったです、少しでも興味を持ってくれたら嬉しいと伝えるようにしました。最後の挨拶が終わったらすっかり17時、あとは反省点を10分で書き出して意見を出し合いまとめます。

　18時になりカフェを出る時間になりました。別れ際に衣文はホタルさんから貝殻の護符を受け取りました。7月13日スーパームーンの夜なので自分たちの踊りを見てほしいとのことです。また一つホタルさんを知れるのかと思うと眠れない、いやいや寝るのも仕事のうちです。風呂に入ってから今日撮影したリハーサル動画を見返した後にぐっすりと眠りに就きました。