第9話 爆奉の十字架



 ▶【作者からの質問】◀


 この話多少せんしてぃぶな話題が出ますがこれくらいなら性的な描写あり、みたいなタグつけなくてもいいんですかね?


 それとも、『いや、カクヨムそこらへん厳しいから。ちゃんと付けたほうがいいよ』みたいな感じなんでしょうか。


 なんとなーくキスくらいなら大丈夫だろという価値観が出来上がってます。(巧妙なコメ稼ぎだと後で気付いた模様)





 昼下り、貴族の男女が茶会をしていた。

 年の差はあるが、政略結婚なのでそういうのは全く持って関係ない…が。


 まぁ、快く受けてくれて楽しそうにしてくれたら少しは嬉しい物である。


 ましてや、男の貴族は女好きで有名なのだ。

 それはもう鼻の下を伸ばしていた。


 「あら、お茶菓子が付いていますわよ?」 


 と、言いながら子爵の口元に付けた…おっと。

 付いた(笑)お菓子をペロる女性。


 「おっと、これは失礼」


 などと言っている子爵だが、

 狙っているのは明白。


 一見『下心あるのは分かるけどまぁ一応結婚している状態だからイチャつけるだけマシでしょ』と思いたくなる現場だが、


 性奴隷制度に肯定的で、

 なおかつ『貴族派』と呼ばれる平民を虐げる側の人間なのでまぁ他と比べれば普通にマシではあるが悪徳貴族なことに変わりはない。


 談笑は暫く続く。



 「――」


 庭の花を眺め、ボーッとしていた彼女ら。

 それにより会話は一時的に途切れる、が、令嬢が突如として子爵に距離を詰め、


 「お花、綺麗ですわね」


 ややぎこちないお嬢様口調。

 違和感を覚えない子爵は女好きだからかそれとも事前に槍を持った彼女の従者からお転婆なので、と伝えられていたからか。


 「そ、そうですな」


 流れ変わったな、と内心で考えてそうな欲望丸出しな子爵に扇情的な態度で近寄り、まーた唐突にキスをした。


 それもでぃーぷなやつを。


 (いやまぁわかるけども)


 槍を持った従者―もとい、アルフォンスがそう考える。


 (男相手に躊躇なく行くかー)


 おお怖っ、と口に出しかけたアルだったが、ギリギリで踏みとどまった。


 最初はかなり上機嫌になっていて、饒舌に語り始めた子爵だったが数分後には胸を抑え、吐血して地面に倒れ込んだ。


 「あがっ、がは…おげ、ぐふぅうっ!?」


 「やぁっと回ったかニトロダケ」


 ウィッグをとり、変装を強引に破り捨てて元の格好に戻った令嬢――もといレイク・ビースト。


 地面を這いずり回る子爵を一瞥すると苛烈な色をした毒々しいキノコを懐から取り出すレイク。


 「毒は勿論あるものの、全部食っても致死量には至らない。」


 しかし、と続けたレイクは自慢げに言った。


 「そのキノコは、可燃性物質であり…まぁ、単純に言ったら火のマナを多少加えるだけで即死級の体内爆発が起きるわけだな。」


 ただ、キノコ自体が可燃性なのではなく毒が可燃性なのが肝だ。


 いや、使い難くね?って思うかもしれないが全身に毒が周り調子を崩したのを確認してから火のマナを送り込めば確実に全身爆破を起こせる訳だな。


 俺が住んでる荒屋の近隣の森に自生しているキノコなので実に都合がいい。


 「アル、神器を返してくれ」


 「おう。………お前ってもしかしてそっちの趣味ある?」


 「ねえな。ぶっちゃけ初でもなけりゃ拘りとかねえだろ。それに、暗殺者ギルド出身なら貞操観念もクソもねえぞ?」


 「何もかもなさすぎで草」


 草とは、笑いという意味らしい。

 よくわからんが知り合いの異世界召喚者からそういう風に聞いたからそうなんだろう。


 「…あー、これが終わったら久し振りに孤児院行くか。6代目元気してっかなー」


 初代にはお世話になったなー。

 暗殺者ギルド入る切っ掛けは初代に聞いたからな。


 「フェス坊みたいのは…もう、要らないな」


 「なんだろう、ナチュラルに性格悪いの辞めてもらっていいですか?」


 「あっ、それ知ってるよ。友達が覚えたらウザい言い回しランキング第一位」


 「それって貴方の感想ですよね?」


 「殺すぞ」


 「ごめんね」


 割とガチで殺しそうになったけど許した。

 何気に勇者以外だと見逃したの初めてだったかもしれないなー。




 ◇◆◇



 王国は、誰一人として。

 王家でさえ異変に気づいていなかった。


 しかし、ただ一人。


 王都の中央区に吊るされた十字架の爆殺死体の存在に気付いた者がいた。


 「何故…どういうことだ、ヴォルフ!!!」


 三百年前のあの日、確かに交わした約束。

 否、契約は決して破れる者ではなかった。


 つまり…


 「まさか…まさか、誰か、僕以外が?居たのか、本当に…。」


 あの家の者は皆、穢れた偽物の存在に奪い去られたはず。


 だからこそ、僕が来たのに。


 「……違う!そうじゃない!絶対だ。絶対にこのことをヴォルフに…レーストに知られちゃいけない!そうしたら…契約が破られる…!?」


 激しく動揺している人類最強とされている男。

 整えられた金髪を崩し、勇者ギルドの外壁を破壊しながら出ていった勇者の事すら、


 人々の認識からは外れていた。


 それはまるで、三百年前の繰り返しのように。

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ワイ、暗殺者ギルド一位で獣魔ギルドニ位の一般モフリスト。配下と共に王都転覆して城に絶対住んでやる! マンチカン推しの人間 @evenkoko

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