魔王のくせに生イキすぎだろっ!?〜「ざまぁ」から始まる異世界ライフ〜
あずま悠紀
第1話
「ふあー」
「ルゥちゃん、眠いの?」
昼寝から目覚めた俺を見てアリサは言った。
そういえば最近は忙しくてまともに寝る時間がなくて疲れていたのだ。だからか少し頭がぼんやりとしている。
俺はあくびをしてから、伸びをした。
ちなみに今日は俺の部屋での勉強会であり、今いる場所はリビングルームのような場所である。テーブルやソファーなどがあり、本棚には様々な種類の本がある。そして壁にはタペストリーがかけられていてとてもオシャレな雰囲気を出していた。
「んーまあ、そんな感じかも」
「それじゃあちょっと待ってね!」
そう言うなり彼女は立ち上がり部屋から出て行った。どうしたのかと思っていると、彼女はすぐに戻ってきてあるモノを差し出した。
それはクッションのようなものであった。大きさ的に人一人分ぐらいの大きさである。それにしては形が丸くない。まるで大きな風船のような形だった。
なんだこれ? と思いつつもとりあえず受け取ってみようとするが、それをする直前になってあることに気づいた。
この部屋、エアコンの温度が低く設定されていたせいでめちゃくちゃ暑い!! というわけで早速俺は受け取ったクッション状の物体を部屋の床に置くとその上に腰掛けた。
そして、さっきまでアリサが勉強していた席を見る。そこには彼女が座っていた形跡があり机の上に置かれた教科書などがある。
「あっちー!!」
すると突然声を上げる少女が現れた。アリサとは反対の方から現れた彼女は手に持っていたペットボトルを傾けて飲み物を飲むとその中身を一気飲みして空にした。その後息を大きく吐いた後、「ふう、美味かったぜ。でももうぬるくなったな」と言って立ち上がると再び部屋から出て行った。今度はどこに行ったんだろう? と思いながら俺は渡されたクッションを触ってみた。すると何か弾力があって柔らかい感触であった。なんだろうこれ、と思った瞬間――いきなり俺の中に大量の情報が一気に流れ込んできて頭痛が起こった。しかもかなり強いものだ。頭の中で何かが爆発するような衝撃が起こり、視界にノイズのようなものが発生すると同時に激しい目眩に襲われた。俺は思わず顔を手で押さえてしまう。そしてその痛みに耐え切れず膝を突いてしまった。何が起きたんだよマジで!? と心の中では叫ぶものの、意識が遠のいて行くのを感じるとともに俺はそこで意識を失った。
◆ ◆ 次に目を覚ましたとき俺はベッドの上に横たわっていて天井を見つめていた。一体どうしてここに居るのか分からなかった。だがその疑問はすぐに解消された。なぜならすぐ隣に心配そうな表情をしているアリサの顔があったからだ。
彼女の瞳にはうっすら涙が溜まっていた。それでようやく思い出す。俺が今こうしてベッドに寝ているのは、アリサが自分の魔力を分けてくれたおかげだということに。彼女のおかげで俺は今生きているのだと理解できたのだ。
俺はまだ痛む頭を抑えながらも体を起こすと、彼女は俺のことを見て安堵するように微笑んだ。それから口を開いたのは、彼女が言ったセリフが理由だったのである。なんでも俺は丸一日ほど眠り続けていたらしい。そのため心配していたとのことだ。俺は彼女に謝った後に改めて状況の説明を聞いたのだが――驚いたことにここは日本ではなく、全く別の世界であるということがわかった。つまりあの時渡ってきたアレは夢とか幻ではなく本当のことだったということかよ!と驚くと共に、まさか異世界に転生することになるなんてと内心思っていたりもした。まあそれはともかく今は目の前にいるアリサとのコミュニケーションをとる方が優先だと思い、話をした。
まず、俺たちが住むここについて説明を受けたわけなのだが、簡単に言えば俺たちがいるこの場所は日本の田舎にあるような場所らしい。といっても本当にドがつくほどのどかなところであり、自然が多いことから観光地として有名らしく多くの人たちが訪れるという。特にこの村で作られている野菜は大変美味しいらしく評判もいいみたいだ。ただ都会からはかなり距離があるため不便なことばかりだけど、それもこの景色を楽しめるなら安いものだと言っていた。まあその言葉の意味はよくわからなかったけど。そしてアリサの家族についても少し話を聞いて分かったことがある。というのも俺と同じでこの世界にやってきており元勇者だったということだ。ただし彼女は両親をすでに事故で亡くしているため一人っきりであり家族はいないようだ。そして俺と同じように前世の記憶を持っていて異世界へと転生を果たしたらしい。ちなみに今住んでいる村は俺が来る前の世界で住んでいたところと似ている部分があり懐かしい感じがしたという。また、俺の容姿や性格などについても色々と聞かれたりした。そして俺の過去についても聞いたのだ。そうしてアリサはこの世界での俺の身辺事情を大まかにではあるが知ることが出来たわけだ。
そんなこんなで話は進み今に至るわけだが――ここで問題が発生した。俺自身のことについてはある程度は話すことができたのだが、実は前世の自分のことがよくわからない状態になっていたのだ。その理由がなんと――"名前以外何も思い出せない!"ということである。これにはアリサはとても困惑し、ショックを受けていた様子であったが、すぐに俺に対して質問したり記憶を取り戻す手伝いをすると言ってきた。しかし正直なことを言えば、これは別に構わないと思う。そもそも前世が男であったことぐらいは思い出しているのでそこまで重要でもないと思ったからである。だからアリサには気を使わなくていいから今まで通りにしてほしいとお願いしておいた。するとアリサはその言葉を信じて今まで通りの接してくれることとなったのであった。ちなみに今の彼女は16歳であり高校一年生だということが判明したのである。だから俺は今年受験する高校生であると伝えるとそれには驚き、応援すると彼女は言ってくれたのであった。
そしてもう一つ、俺にとって重要なことがあったりする。そうそれはこの世界の通貨価値である。というのも、お金の価値を知ることで生活の質を左右するものだと思うのでしっかり確認しておく必要があったのだ。まあそれについてはアリサも知らなかったらしく、それじゃあ買い物に行けば分かるだろうということで一緒に出掛けることにした。
外に出る際に、家の庭にあった井戸水を飲むのが当たり前だったせいで、俺はその水がどれほど貴重だったかを知らず、アリサに「そんなものを飲んだら罰が当たるよ!」と言われてしまった。なので、家に戻ってから飲むようにしたのだがそれが正解だったようである。そして外に出てからしばらく歩くと商店街がある場所にたどり着いた。そして、俺はアリサに連れられて中に入っていった。すると様々な商品が売られており中には野菜を売っているお店もある。どうやらこの辺りは農業が盛んらしい。
そして早速、俺は店員さんを捕まえて値段を聞くとなんと驚くべきことがわかった。こちらの世界には紙幣はなく硬貨が使われていたのだ。しかも種類が豊富で銅貨から始まり銀貨や金貨などの種類があるというからさらに驚いた。そしてこれらの相場を聞けば、一番高いのが銅貨100枚=10万円であり、最低額が銅貨5枚(500円)であることを知るとこれはかなり安いと思った。だって物価は日本に比べて低いみたいだしね。そしてこれを踏まえると俺の元いた国の日本は、世界的に見ても結構物価が低かったということになる。ということはこっちでは俺は金持ちなんじゃないかと思いつつもその考えを頭の隅に置いておいてアリサと一緒に食材を買うために歩いて行くことにした。その際、俺は彼女が持っていた財布を受け取ろうとしたが彼女は遠慮していた。そこで、俺の方こそ遠慮なくお金を使うつもりだからと告げて半ば無理やり受け取ってもらうことに成功したのであった。
そして俺が買いたかったモノというのは調味料類であった。というのも料理を作るためでありこれから先、食べるものに困らないようにするために必要なことでもあるからだ。それに俺の前世の知識を活かして美味しい料理を作ることで、俺自身やこの世界に住む人々に喜んでもらいたいと思ったのである。ちなみにアリサの作る食事は非常に質の高いものであり毎日食べたくなるぐらい美味しかった。
それから俺は肉や魚などを少し購入し他にも必要なものを購入するとそれらを全部鞄に入れて持ち帰ることになった。そして俺が持ち帰ろうとした際、アリサは自分が運ぶと言い張ったので、それならば一緒に持ってくれれば楽だと伝えた。そうしたところで俺が彼女の荷物を持つことになった。そうやって俺たちが帰宅することになったわけである。
そんな感じで買い物を終えた俺たちは再び村の中を歩いていくと宿屋を見つけそこに泊まることを決めた。そして夜ご飯はアリサのお母さんが作った手料理を食べて就寝することとなったのであった。
翌朝――目を覚ました俺は起き上がるとベッドの横においてある鞄から服を取り出す。
「おはようございます、アリサ様」
「あっ、お、お姉ちゃん。ふ、服着るの手伝おうか?」
「あ、はい、よろしくおねがいします」
そう言うなり俺はアリサによって服を着替えさせられると、二人で階段を下りていった。
そして、俺の姿を見て反応を示したのは昨日の俺のことを心配してくれていた女性だった。俺が挨拶すると彼女も同様に返してきた。そして俺に抱きついてきたのは昨日会ったばかりの女の子である。すると、今度は俺よりも少し小さい男の子が話しかけてきて、「俺とも仲良くしてよ」と言ってきたのである。そして俺はその子とも友達になることができた。ちなみにこの二人は姉妹でありアリサの妹のレイナという名前であるらしい。年齢は13歳で小学6年生だという。
その後、俺をここまで案内してくれた少女が姿を見せた。その少女とはアリサであった。その服装は学校へ行く準備をしている途中のようで、彼女は制服を着ている。
それからアリサのお父さんも姿を見せ、彼もまた制服姿で俺たちに挨拶をした。なんでもこの人は村長を務めているらしくこの村の取りまとめをしている人でもあった。そしてこの村には学校のようなものがあり子供が通っているというのだから凄いと思った。
「おっと忘れるところでした、ルゥ殿にはこれを差し上げます。これを使ってくれれば私たちの住むこの村には自由に来られるはずですぞ」
俺が不思議そうな顔をしているとその気持ちを察したのかアリサの父親は俺に一枚の札を手渡した。それを受け取ってよく見てみるとそれはカード型の物だったようだ。
「お父様それは!?」
「おぉ、さすがは村長であるわしの娘だな、これが何かわかったのか。まぁ詳しい話は朝食のときに話すとしよう、では皆で頂くとするかの。今日はお前たちが来るので腕によりをかけて用意したのじゃ、ぜひ楽しんで欲しいのう。では席に座って待っているといい、今アリサが食事を用意させてくるからのぅ。あーそういえば名前も伝えていなかったの、わしか?わしゃの名は――ロゼリアじゃ。まあ気軽に呼びつけてくれればいいから、では待っておれ」
彼はそれだけを言い残すとどこかへ立ち去って行ってしまった。
俺たちはそのままアリサの家まで行き、食卓をみんなで囲むことになった。そこには豪華な食べ物が用意されていて、とてもおいしそうである。俺は思わずごくりと喉を鳴らしたのだが、それはみんな同じであり、俺たちが揃って食事を始めると俺たちはそれぞれ話し始めた。
そして俺がこの村について聞いた話をすれば彼女たちからは俺がいた日本の話をせがみ聞かれる展開が続いたのであった。そしてそれはアリサの父親であるロゼリアスが戻ってくるまで続いたのであった。そして戻ってきたときにはこの世界の貨幣の価値を教えてもらった。まず、アリサの父親が教えてくれたのだがこの村で一般的に流通してるのは『ラピス』と呼ばれる通貨らしい。それは一年を通して安定しており使いやすく、かつ価値も高いので人気があるとのことだ。ちなみにアリサ曰く、その『ラピス』はこの世界で広く使われているお金でありこの世界で使われている紙幣であるそうだ。その数は20種類以上ありそれぞれ100枚単位であるらしい。
そしてその次にこの世界の国と通貨の説明を受けたのだ。この世界にある国は3つあり、それぞれが互いに牽制するような関係にあるという。1つ目は、この国で最も大きな領土を有する大陸にある王国、『アルティマ』。2つめはその隣の島に存在する共和国国家『オシア帝国』、3つめはこの国から少し離れたところに位置する海洋国家の『ザーン』だと言う。それぞれの国の文化も異なり、王城がある場所は違うものの他の部分はほとんど似通った場所に位置している。そのため俺にとって一番馴染み深いのは、ここら辺は日本と同じだということが分かった。ただ、その違いはやはり宗教が絡んだ歴史が大きく関係してくるようであった。俺の元いた国にはあまりそういう話は出なかったからね。しかし、この世界でもやっぱりそういった争いはあるんだなと俺は改めて実感させられたわけだ。
ただ、俺にはそれよりももっと大事なことがあるわけで――この世界で生き抜くためにはどうしたらいいかを考えないといけないのだ。そこで俺はまず生活するにあたってこの村に滞在するための資金がどうしても必要だということでアリサに相談した。すると彼女はすぐに答えを出し、俺がこの村に滞在するための拠点を用意すると言った。なので俺はその申し出を受け入れると俺はお礼の言葉を言った。ちなみにその拠点は彼女の家が提供してくれることになったのだ。そこで俺はお世話になり続けるのも申し訳なかったので、何か手伝えることがあれば言ってくれと彼女にお願いしたら、その時には手伝ってもらうかもと言われたので了承しておく。そうこうしてから、俺はその提案を受け入れたことでアリサの家に居候することとなったのである。
そんな感じで、俺はしばらくの間この異世界で暮らすこととなったのであった。
ただ俺はこの時知らなかったのだが、実はこの村は魔王を倒した勇者の子孫である者が作った町であったことを――そしてこの先、この村がとんでもない騒動に巻き込まれてしまうということにこの時の俺は知る由もなかったのである。
あれからしばらく経ったが俺はアリサにもらったお金で必要な物資を購入しておいた。といっても、それほど高いものは購入しておらず食料品が中心になっているが。というのも俺がこの世界に来る前から持っていた金はかなり多くあったもののほとんど使ってない状態で残っていたからである。だから食料さえあれば何とかやっていけると思ったんだよね。ちなみに買った食料は全て保存食であるためにいつでも食べられて、そして美味しいのだ! この世界で流通している食べ物の中でもトップクラスの人気商品らしくアリサは俺にこれをくれたというわけだ。
そして俺はそれから数日間はのんびりしていた。そして俺は自分の知識を活用してこの村の発展に寄与すべく何か良い案はないか考えていたのだ。俺の知識と言えば、現代科学に魔法を融合したものなどがあげられる。俺はそこでこの村の人たちの職業を見て、その人たちの特性を生かして新たな技術を生み出すという手段を思いつくと早速その案を実践し始めた。そして俺は早速その案を村の人に伝えると、意外にもあっさりと受け入れられるのであった。それどころか村の人たちは積極的に協力をしてくれると言い出すのであった。
俺が村の人々に広めたものは機械と魔道の融合である。具体的にどういうことかというと、俺の前世で使っていたものに近いモノを作るのに魔法を利用するのである。そして俺はその技術を応用して作ったのが『自動車』、『船』、『列車』『飛行機』の4つである。これらに共通することは、どれも動力は魔力を利用したもので、燃料の代わりを魔素を使って動くようになっている点であろう。さらにこれらの乗り物は基本的に誰でも扱えるように設計されており、また自動運転も可能にしている。
この世界での一般的な乗り物は『徒歩』や、『馬車』、『馬型ゴーレム』の3つがメジャーな存在らしいが、これらの問題点としてはまずは燃費の悪さである。これは俺の作ったものと比べればまだまだ改善の余地はあるが、少なくとも前世の俺が作ったものをこの世界の人たちが使用するのは不可能であっただろう。だがこれならある程度ではあるが問題はないと思う。なぜなら、魔石を動力としたエネルギーを貯蓄できるものを作り、そのエネルギーを使用して走行するようにしたからな。だから、理論上この村にある畑などを移動するのに使うだけならば十分すぎるくらいなのだ。それに、この村に暮らす人の大半は魔法使いであるから、魔法の使えない人間よりも使える人間が断然多い。つまり、それだけ魔石の節約ができるわけである。よってこの村では今までに存在しなかったものが続々と作られることになるのだった。そう、村の中で俺が考案したものを使い、俺が提案したやり方で作った様々なモノたちが作り出されるようになったのである。その結果、村の人はみんな俺に感謝をしてくれたのである。
そうしてこの村に訪れる旅人が増え始めて数ヶ月が経過した頃、俺の耳にとある噂が流れ込んできたのである。それはある国が動き出しているという内容の噂であり、その国の王は魔王が復活したという噂を聞いて討伐のために軍を動かす準備をしているのだという話である。俺にはその話が全くもって信じられないことだったが、もしそれが本当だとすると厄介なことが起きそうな予感がしたので一応警戒だけはしておくことにするのであった。
俺が異世界に転移させられてから早いことに半年が経過していた。季節も変わり夏真っ盛りの時期であり、気温も高くなってきたこの頃、俺と俺の周りにいる少女達は相変わらず楽しく日々を過ごしている最中である。ただ最近俺の生活は大きく変わった。それは俺のところにアリサの家族が訪れてきたことだ。最初はなんで彼女たちが来るのか全く分からなかったが、その理由は意外なものであり、その話はあまりにも信じ難いものであったため当初は俺は夢かと思ってしまうほどだった。でも俺はそれを夢ではなかったと理解した瞬間思わず涙をこぼした。その話がどんな内容であったのかを簡潔に説明するのであれば、この世界の王都に俺のいた世界からの迷い込んだ人間がいてその人が魔王に殺されかけたところを助けてくれたという話だ。この話を聞く限りだとその人は勇者だったのではないかと思い至る。
まぁそんなこんながあって、俺は今アリサの家に住まわせてもらうようになったのである。そして今日はみんながここに遊びに来てくれていて、今はみんなで談笑していたところだ。そして今現在俺はある人物のことをアリサたちに聞いてみた。それはアリサの父親でありこの村の村長であるロゼリアスさんのことだ。彼は俺がこの世界に飛ばされてくる前にも一度出会ったことがある。
彼はその時この国に存在する大きな教会にいた。その教会は魔王復活の際に起きた事件によって倒壊寸前の状態だったのだが彼はそんな状態の教会の最上階で女神さまらしき人に祈っていた。彼は魔王の討伐を依頼されたものの、彼自身は魔王が復活するまで何も知らなかった。その彼がどうしてその情報をつかんだのだろうかという疑問が浮かんできたのである。そこで俺は彼に質問を投げかけてみたところ――彼は俺が思っていた以上に博識でその問いに対しても丁寧に教えてくれることになったのである。そして彼によると魔王の復活というのはかなり前から分かっていたことだそうだ。そしてこの世界の人々はこの事実を知っていても黙っていてくれたのだという。なぜかといえば俺のいた世界の人間は、勇者以外は全員敵だと思われており、勇者召喚が失敗したと分かるとすぐさまその事実を隠すことにしたのだという。その証拠として、彼らはこの国の王城にあった国宝級の聖剣を盗み出してこの村にやってきたのだとロゼリアスさんは説明をしてくれるのであった。
「しかし、あの方はこの村の現状をご存知なかったようです」
とロゼリアスはアリサを見ながら語る。
その表情には懐かしいものを見つめるような優しさがあった。
彼女はその男について語った。彼の名前は、ロゼリアンド=アーレライトと言うらしい。この国において有名な貴族の家系の生まれであり、代々この国で騎士を輩出し続けている一族の末裔でありその中でも歴代最高と呼ばれるほどの強さを持っていたのだという。そんな彼を一言で表すとすれば、『英雄』という言葉が一番しっくりくるかもしれない。ただ、彼が聖女に気に入られたことがきっかけとなり彼の人生は変わっていった。そう、勇者を裏切りこの国に反逆を起こした大罪人であるルゥナという少年の存在により彼は国から追放されてしまったのだ。この国にはもはや彼の居場所などなく、この村に来た時はさぞかし絶望に打ちひしがれていることだろうと村人全員が心配していたのだが――彼は予想に反して元気に暮らしていた。
この村にやってきてから数日後のこと。アリサは彼のことを見てすぐに分かったのだと言う。何故ならこの村の住人には誰ひとりとして彼に見覚えがなかったのにも関わらず、ただ一人彼だけがアリサに反応を示したからである。それからというもの二人は仲良くなったらしい。そしてアリサから話を聞いた村人たちはロゼリウスのことを快く受け入れ、そして彼とは本当の家族のように過ごすようになっていったのだ。ちなみに、アリサの母親もロゼリアスに心を開いていたため、二人とも本当に家族のような関係を築くことができ、さらには父親も今ではすっかり心を開きつつあるようだ。ただ、父親は最初こそアリサたちの家に転がり込んできたこの男を邪険に扱っていたものの、アリサの父親が何度も説得したことによりようやく態度を変え始めたのだという。そうやって少しずつこの村の人たちはロゼリアスと心を開いて接してくれるようになったんだと俺はアリサから聞くのであった。
ただ、そんなロゼリアスだがここ最近では何か悩み事があるみたいだったらしく、時々俺に相談してきた。
なので俺はアリサたちと相談してみた結果、この村でロゼリアスのために何かをしてあげたいという結論に至る。そしてこの村にある道具や技術を利用してこの村の名物を作ってはどうかという案にまとまった。俺がまず作ろうと思ったものは温泉だ。この村は元々鉱山が近くに存在したこともあり近くに源泉が存在している。俺は早速そこを利用しようと決意すると俺は早速作業を開始した。俺は自分のスキルを総動員させ、魔素を利用した新しい素材を作り出していった。この魔素を利用する方法は実は前世でも同じやり方をしたことがあり成功した経験があるのだ。そしてこの魔素を利用するメリットとは簡単に言えば魔力の代わりになるということである。俺が作り出した新素材は従来の魔石と違い劣化することなく永久的に機能するようになっているのだ。ただし、これには欠点が存在してしまえば魔力切れを起こせば使えなくなってしまうのだ。そのため魔素を使った動力を使う乗り物を作る際には注意が必要となるだろう。
こうして俺は新たな技術を生み出すことに成功してしまうのであった。
俺はその技術を村全体に浸透させるように努力することにした。そのおかげでこの村では温泉を掘り当てることができるようになり、この村ではその掘り出されたお湯を有効利用するための施設が作られることとなった。その施設ができたことで村では多くの人が温泉に浸かることが出来ている。
その施設の中身を端的に示すのであれば『銭湯』のようなものである。この村は山に囲まれているために水が豊富にある。その豊富な水を汲み上げることでいつでもお風呂に入ることが出来るのである。しかも、この施設のお湯は全てがこの村に存在している天然資源を利用しているので魔素による悪影響も存在しないという利点がある。まぁ魔素については詳しくないのでよくわからないがおそらくは大丈夫だと思う。まぁ魔素についても調べればもっといいものが作れるような気がしないでもないが、とりあえずは今のところはこれで充分だろうと思っている。
あと、もう一つ俺が作ったものがある。それは、この世界でいうところの『娯楽品店』である。前世の世界の『駄菓子屋』をイメージしつつこの世界で需要がありそうなモノを作ったのである。この村に訪れた人々が少しでも楽しく過ごしてくれればいいなという思いから俺はこの村にある様々な場所でそれらの商売を始めた。その効果は絶大だったようで人々はこの村を訪れて買い物をしていくようになる。その結果俺の店に商品が売れるようになると今度は別の村からも商人が訪れ始めるようになったのだった。またそれ以外にも俺たちはこの村の中で色々と商売をするようになっていた。例えばこの村の人たちの生活をより豊かにする為に俺が作成したアイテムをこの村限定で売るようになったのである。そしてそれは次第にこの村に訪れる旅人たちにも人気が出始めてきた。俺が開発したアイテムはそのすべてが便利なものばかりだ。その便利さゆえに旅の荷物を少なくできると多くの人々に受け入れられたのだ。
さらに、その噂を聞きつけ他の場所の人が訪れるようになっていき、その流れでアリサの家族も訪れて来たわけなのだが。
「あなたはどうしてそんな知識を持っているんですか?」
俺に話しかけてきたのは俺の店の店主を務める女性であった。彼女の名前はアリス=レイフォードというらしい。年齢的には俺と同じくらいだろうか。
見た目は綺麗系であり、長い黒髪で背が高いのが特徴的でとても美人である。ただ彼女には一つ困ったことがあった。それは――彼女は俺のことを好いていそうなのである。俺は別に悪い気はしていないが、だからといって彼女が欲しいとかそういう気持ちはない。それに俺はこの世界においてハーレムを築きたいなどという考えもないのだ。俺はあくまでのんびりと過ごしたいだけ。ただそれだけなんだ。だからあまり恋愛には興味ない。
でもこの村の女性たちからは何故かモテてしまっているのである。まぁ俺の作った商品を買ってくれることもあるからなんとなくわかるんだけどね。特にこの村の特産品であるお菓子をたくさん買ってくれるからその辺の感覚はよく理解している。
そんなこんなでこの村での生活が始まって一年が経った頃、俺はこの村にやって来たロゼリアスさんに呼ばれたため、村長である彼の屋敷に向かうことにした。
「やあ、久しぶりですねルゥナ君」
「そういえばそんな名前を頂戴していたのを忘れていました」
「もうっ! 相変わらず冷たいな君は!」
「ははは。すいません」
このやり取りだけでわかってしまうかもしれないが、俺とロゼリアはそれなりに打ち解け合っている。というのもこの人との会話は楽しいからだ。まるで友達と話しているかのようであり、この人の人柄の良さもあってか、つい時間も忘れて話しこんでしまう。この世界に飛ばされてからというものここまで心の底から安心できる人が今までいただろうか。いやいなかったかもしれない。だからこそこの人にだけはどうしても本当の自分を話せる相手でいてほしいと思ってしまう。そして彼もまた俺のことを同じ気持ちを抱いているらしく、この世界について色々なことを語り合ったりする仲である。
ただこの村にやってきて以来俺はある一つの悩みを抱えていたのだ。
それはアリサのことである。彼女と出会って以降俺の心にはずっと引っかかり続けていた。俺はどうして彼女と一緒に行動しているのか分からなくなってしまっていたのだ。この感情を一言で言うのなら恋煩いといえなくもないだろう。しかし俺は彼女の想いを受け止めることなく無視し続けてきたのだ。この感情は自分勝手なものだとは自覚しているつもりだ。それでもやはりこの関係のままというのは少し違うのではないかと思うようになってきていた。
この村は俺にとっては本当に居心地のよい場所になっていると思う。ここで一生を過ごしていっても構わないとさえ思えてくる。ただそれぐらいアリサのことが好きになりかけていることは事実で俺はそのことについて悩んでいた。このままこの関係を続けていいのか、という疑問だ。だが俺はロゼリアスから聞いたこの村で起きた事件の話を聞けば考えを変えることができた。
どうやら最近この村に魔族がやってきたみたいなんだ。魔族は魔の森と呼ばれる場所に住んでおり滅多に姿を現すことがないのである。そのことから俺はこの村にやってくる理由を探っていた。するとどうやらアリサを聖女と勘違いしてやってきたのだということが分かった。
そこで俺はこの村にやってきた魔族の対処に頭を悩ませることになる。魔族はアリサを狙ってやってきた。ということはこの村にいる人間も狙われるという可能性があるということである。
もしこの村の住人に危害が加えられるようなことがあれば俺は魔素を用いた新しい魔道具を使って戦おうと思っている。そして魔族を倒すことで魔素が回収されることが分かっている。なので魔素を利用した兵器を作ることによってこの村の平和を守っていこうと考えているのだ。
ただ、俺が作ろうとしている武器はかなり危険な代物でもあるのだ。なぜなら俺の持つ"魔王"の力を利用して作ろうと思っているからだ。この力で作る武器は非常に高性能なものになる可能性が高い。下手をすればこの国すら簡単に滅ぼしてしまうほどの性能を発揮する可能性だって存在するのだ。それを俺は危惧した。俺の力を上手く制御できればいいが失敗した場合は取り返しのつかないことになりかねない。そう考えた結果、俺はこの力の使用を出来る限り控えるようにと心掛けてきたのである。
ただ魔素の消費量についてはそこまで多くないはずだ。何故ならば俺の力で作られる素材の大半はこの魔素をエネルギーとして利用したものであり、俺のスキルが使えなくなったわけではないからである。そして俺の魔力が回復次第、この村の周囲に強力なバリアを張るという案で俺は落ち着いた。これならば村のみんなに被害を及ぼすこともないだろうと。
こうしてこの村の安全が確保されるまで俺はしばらくアリサとの別れを覚悟することにした。この村を守り続ける為であるのならば、アリサが俺から離れることも致し方ないことであると考えたのである。この世界において勇者とは最も尊ばれている存在らしいのだ。だからこそ俺は彼女の意思を尊重してやることにした。まぁアリサにはアリサの考えもあるだろうし。俺が彼女の意志を無下にすることなど出来ない。俺は彼女を愛してなんかいないが幸せになってほしいとは願っている。それだけだ。それだけで充分なのだと。
それから一ヶ月が経過した頃にようやくこの村の周囲には平穏が訪れた。
俺はその事を確信すると俺は早速魔素を使用したアイテムの製作に入ることにした。俺の目的は村を守るための武装を開発することだったのだが。俺はこの時すでに魔素を魔力に変換させることに成功していた。俺はスキルを使いながらその作業を進めていった。まずは俺の持っているスキルの中に『錬金術師』というものがあり、これによって素材を変化させることで新しい金属を作ることができるのである。この能力を利用することでまずは剣を作ろうと思っていた。そして完成した剣の柄の部分には宝石を取り付け、その中に特殊な文字を書き込んだ。そしてそこに俺が持つ膨大な量の魔素を流すことによって魔法が発動する仕組みとなっているのだ。
ちなみにその効果はこの世界には存在しない物質を作り出すことである。魔素が凝縮された物質を生み出すことができ、魔素を流し込むことで性質が変化する特性があるのである。
俺がその魔石と名付けたアイテムを試しに地面に埋め込んでみたわけなのだが、それは恐ろしい効果を発揮した。地面から植物が生え始めたのである。しかも成長速度が速い。これは俺が思っていたよりも凄い代物が出来たのかもしれない。俺はそんな期待を抱きつつ、次のアイテムの開発に移ったのだった。
次は鎧の方を作らなければいけないな。といってもそれほど複雑な構造をしたものではなく、あくまで防御力を上げることを目的としたものでしかないので、そこまで時間は掛からないだろうと考えていた。まぁその前にやることはたくさんあるんだけどね。とりあえず、俺は村人たちに説明をするために一度家に戻ることにした。
家に戻ってきた時だった。家のドアの前に人影があることに気が付いた。あれ? と思い近づいていくとその人物は俺に話しかけてきたのである。
「私とパーティーを組んでください!」
いきなりそんなことを言ってきた彼女は俺が知る中で一人だけ心当たりがあった。それは――聖女と呼ばれている少女アリサであった。まさかこの子がこの村にやって来るなんて思いもしなかったよ。一体どうして俺のことを見つめてくるんだろうか? まぁ別にそれは構わないんだけどね。それよりも彼女がこの村にいること自体が謎であった。この子、勇者パーティの一人なんだよね。どうしてこんなところにいるんだろうか。
そんな疑問を抱えながらも彼女の頼みを聞くことにした。俺としては断れる理由もないわけだし別に構わないか、といった程度の考えであった。でも、アリサと一緒に冒険に出掛けた時は正直なところ、不安の方が大きかったかな。
この子は強いかもしれないけれど、まだ経験が足りないと思うんだよ。俺がそんなことを考えていたその時であった。
突如俺に向かって何かが襲い掛かったのである。それは黒い煙のように感じたものだ。そしてその煙は俺の中に吸い込まれてしまった。すると俺は全身から力が抜けるような感覚を覚えた。なんなんだよこれは!? と思ったのと同時に、視界が真っ暗になってしまったのである。何が起きたんだ!? と思っていると俺は意識を失ってしまったのである。俺は自分の身に何が起こったのかも分からないまま意識を失うことになった。
「ここは?」
気が付くとそこは薄暗い森の中にいた。どうも俺は気を失っていたようである。確かアリサと二人で魔物と戦っていたはずだけど。どうしてこんなところにいるんだろうか。もしかしてアリサは俺を一人で置き去りにしたとかそんなことはないよね。それならショックだなぁ、と俺は少し落ち込んでいた。しかしそんなことを考えていた直後である。
「きゃああああっ!」
突然女性の叫び声が聞こえたので慌てて駆け付けるとそこには魔物に襲われている女性の姿があり、襲われているのはアリサだということが分かったのだ。アリサは今にも喰われてしまいそうな状態であり俺は思わず助けようとして走り出した。
でも、この体じゃ無理かもしれないって思った。だって今の俺は何も持っていないんだもん! どうやらあの煙のせいで体が上手く動かなくなってしまったみたいでさ! というか本当にどうしよう! どうしたらいいのかわからないんだよね! だからもうどうなってもいいや!と思って突っ込む事に決めた!そして何とか間一髪間に合った後すぐに蹴りをかまそうと足を動かした瞬間である。なぜかその動きがとても遅く感じるようになり、そして気づいた時には既に魔物に回し蹴りをお見舞いしていた。えっ! どうして動けるようになったの? っていうのが一番最初に思いついた感想であったのだが。とにかくアリサに声を掛けようと振り返った時であった。背後にはいつの間にいたのか一人の男が立っており俺に殴りかかろうとしたのである。俺はそれをなんとかかわすことができた。すると今度は別の方から槍を突き付けられた。
その行動に対して、この人たちは何をしたいのだろうか? と不思議に思っているのも束の間のことであった。目の前に現れた男たちは次々に俺のことを攻撃してきたのだ。俺はそのことに困惑しながら攻撃を必死に避け続けていたのだが――
ふっと体の力が全て抜けたのを感じ取ったので、もしかしたらこれが死ぬ直前というものなのかもしれない、と感じてしまうのであった。俺、この人たちに殺されちゃうのかな? そう思ってしまっていたのだが、ここで奇跡的に目が覚めることが出来た。どうやら俺は夢を見ており、先ほどまでのことはただの夢に過ぎなかったということが判明したわけだが、ここでようやく俺は自分の置かれた状況を把握することが出来るようになっていた。どうやらベッドの上にいるらしい。
そして何故か知らないが、アリサが隣で座っていた。そして俺のことを見て笑みを浮かべてこう言ったのだ。
「あなたのおかげで助かりました。私はアリサといいます」
そこで初めてこの女の子が誰なのか分かった気がしたのだ。聖女アリサといえば王都では知らぬ者はいないくらいに有名な聖女なのである。勇者様の傍に常に控えている女剣士というのが彼女の存在らしい。そしてその容姿はとても美しいものでありそのことから、彼女こそが本物の聖女なのだという噂が流れ始めていたのである。そんな有名人が自分の前にいるのだと思うと俺は嬉しくなってきたのだ。俺のような人間とは住む世界が違うはずなのに。
そんな風に思っている時にアリサが急にある話を始めたので、俺は驚いてしまった。というのもアリサがとんでもない事を言ってきたからだ。俺の力を利用してこの村を守ろうとしているのだと言ったのである。そんなの許されるの? と思っていた。俺の力を利用するなんて絶対にいけない事だ、と思ったからだ。
だけどアリサは真剣な表情で俺の事を説得するのであった。そして最後には涙を流しながら俺に頭を下げてきた。その姿を見たら断ることはできなかった。それにこんな可愛い子と知り合えるなんて俺は運が良い、と心の底で喜んでしまっている自分もいたのである。
そしてこの子と一緒に戦っていく決意を固めた。
この子が望むのならば魔王にだって俺はなるぜ。
勇者が魔王を倒すために存在するというならば俺はこの子に魔王になってもらうためにこの世界に舞い戻ったのかもしれねぇ。
そんな気持ちを抱く俺であった。アリサと共に戦うことを決意してから一ヶ月が経過した。俺は村の人達を説得するための話し合いをしていた。それは俺が持つスキルの危険性を理解してもらい村を守ってほしいから、ということを納得してもらうためのものだった。そのために俺は村のために俺が出来ることは全てやるつもりでいたのだ。まず俺が行ったのはこの村の周囲を強固な結界を張る作業から始めることにした。まず村の周りを囲むように強力な結界を張り巡らせることにしたのである。これは俺にしか出来ない芸当でもあった。俺はスキルを全力で使用することにより、この村の周囲の土地から一切のエネルギーを吸い上げることに成功したのである。すると、その力は俺の中で魔力へと変化されていったのである。
魔力に変換していく作業を行っている最中、俺は大量の魔力をその土地に吸い上げてしまうことによって、この周辺に存在している動植物に悪影響があるのではないかと考えたのだが、俺が作り出した魔石を利用することによって、この土地に住む動物や虫たちに影響を与えることはないだろうという結論に達した。そして全ての準備を終えることが出来た俺は、魔石を埋め込んで魔法を発動させることにしてみたのである。魔素を吸収してそのエネルギーを俺の体内を通して変換させていった。その際には膨大な魔力が必要とされたのでその分だけ魔素を集める必要があったのである。俺が作り上げた魔石の中には特殊な文字が組み込まれており、そこに魔素を流し込むことでその効果を発揮させる仕組みになっていたので、俺の中にある膨大な魔素が一瞬で無くなってしまうのではないかと懸念したわけである。
俺はそのことを気に掛けていたが、特に問題はなく無事に成功するのであった。俺の中に大量の魔力が蓄えられた。これで俺は勇者と戦うために必要な力が手に入ったことになるのであった。
ちなみにこの時使用した魔法はかなり危険なものであることは言うまでもないと思う。なによりも俺の持つ全能力を駆使して行う魔法なので下手をすれば自分自身の命すらも危険に晒してしまう可能性があるからである。だから俺は自分の持つ力を出来る限り使わないようにして、他の村人たちを頼ることにした。
俺はそれから村人たちに自分が考えている作戦を説明した。その方法は至ってシンプルなもので、勇者にわざと負けたフリをするというものである。そして俺の代わりに勇者と戦ってくれる人を用意するつもりなのである。それが誰かと言うと、もちろんアリサである。俺が考えていた方法を実行する上で最適な人材であったのだ。この村は俺が作ることが出来る道具のお陰もあり、周辺の魔物たちを討伐して食料を確保しているという実績がある。そのためこの村には他の場所に住んでいる住民よりも圧倒的に強い人がたくさん住んでいる。だからこそアリサを選んだわけであった。
この作戦が上手くいくかは分からないけれど俺はこの子に任せるしかないと思っている。だってアリサってばめちゃくちゃ強いからさ。俺は彼女の実力を知らないけれどこの子はきっと強いと思うんだよね。まぁ、それはそれでいいと思うよ! とりあえずアリサの実力を確かめる必要があるから一度戦いに行ってもらいたいんだよね。でもなぁ~、もしかしたら俺の方がやられてしまう可能性もあるんだけど。その可能性についてはどうしたらいいのか分からず困り果てていたのである。そんな俺に村長さんはあることを提案してくれたのである。それは非常に単純であり簡単なものであった。俺がアリサの相手役になるというのであった。要はアリサが俺と戦いたいと言わなければこの案は意味が無いということである。俺はそれを聞いた時、マジですか!?と思ったのであった。
アリサと俺は村の外れに移動して向かい合っていた。周りには多くの村人たちの姿が見える。みんな俺達の勝負に興味があったようで見に来てくれているのだ。
俺は今更引き返すことも出来ず覚悟を決めた。もしかしてこのまま負ければ全て解決してくれるかもしれないからな。そんな甘い考えを抱いていた。そんな訳で俺達はお互いに距離を取る。俺は木剣を持ってアリサのことを見ていた。彼女は腰に差していた鞘付きのロングソードを抜き、俺に刃を向けてくる。その視線には殺気が含まれていた。俺はそのことに少しばかりビビリながらも何とか踏みとどまった。ここで逃げ出すことは出来ないと自分に言い聞かせて、俺は構えを取ったのである。
俺は戦闘モードに移行すると身体能力を向上させることが出来るのであった。それこそ人間離れした力を手に入れることができるのである。それ故に俺が弱い振りをしていればアリサはすぐに騙されてくれるのではないのか? という思惑もあった。だけど俺の本当の力を知っている人から見ればただのハッタリにしか見えないわけであり、結局はその人の目次第ということになる。アリサがどう思っているのか分からない以上、俺としては賭けに出なければいけないわけである。俺はこの子の強さをまだ把握出来ていない。俺なんかじゃ相手にならずに瞬殺される可能性もあるからな。だからこそ慎重に立ち回り、何とか時間を稼ごうと考えていた。
アリサが一歩ずつこちらに近付いてきた。すると彼女がいきなり消えたのである。俺はその事に驚きつつも反射的に上体を逸らした。その直後だった。俺の顔の真横をアリサが放った斬撃が通過したのである。もし俺の反応が遅かったら間違いなく頬が切れていたことだろう。そんな風に思えるくらいにギリギリの位置にアリサの攻撃は迫っていた。俺とアリサの距離はまだ離れていたはずだ。だというのにここまで届くなんて一体どういうことだ? もしかすると何かしらのスキルを使用したのか、それとも魔法を行使されたのかのどちらかであろう。どちらにせよ、アリサに隙を見せたら一気に攻め込まれる可能性が高い。そうなると厄介だな。俺は心の中で呟きつつアリサのことを見た。そして再び彼女に向かって突撃したのである。
アリサもそれを予想していたのかもしれない。なぜならアリサの方からも俺に斬り掛かってきたのである。しかもかなり素早い。まるで弾丸のように速い速度で移動しながらアリサは何度も攻撃を繰り返してきた。俺は必死にそれをかわし続けるものの次第に追い込まれ始めてしまったのである。「どうして俺が攻撃されないんだろう?」そんな疑問を抱いた俺が、ふと顔を上げた瞬間、俺の目に信じられない光景が飛び込んできたのである。アリサが俺に攻撃してくる様子がまったく無いのに、俺の方に飛んでくる矢が見えて咄嵯に避けようとしたのだが、体が動かないのに気づく。俺は何が起きたのだろうかと思ってしまう。そんな俺にアリサが笑いながら話しかけてくる。
「あなたは既に私の支配下に置かれているので逃げることは不可能ですよ」
そこでアリサは俺の額に手を当てた。俺はその事を理解するのに数秒かかった。
もしかしてこれってもしかしなくても洗脳されてるの? そんなことを考えているうちに俺はどんどん意識が遠のいて行くのを感じる。アリサはそんな状態の俺にキスをしたのであった。すると体の中に魔力が入ってきて俺は思わず悲鳴を上げそうになるのだが、アリサはそれを許さなかった。彼女の腕に思いっきり力が入ってしまって俺は息ができなくなる。それでも俺の体は何故か彼女の命令に逆らうことが出来ないのであった。やがて魔力が流れ込んだことを感じた俺は完全に意識を失ってしまったのである。
「あなたに呪いをかけてあげます。これから一生私の言う事に従う奴隷として生きるんですよ。あなたの人生は今日この時から私の思うがままになるのです!」
アリサがそう言った後、俺は自分の体の中が作り替えられていくのを感じてしまうのであった。俺の意識が戻るまでに数時間は掛かったと思われる。俺が目を覚ました時、アリサはもうそこにはいなかったのである。
その後、俺はこの村で勇者との戦いをすることになったのであった。正直言って勝てる見込みはない。俺に残されている選択肢といえば勇者に殺されることだけであった。そんな俺のためにアリサは自分の身を犠牲にすることを決めてくれたのであった。俺はそんな優しい彼女を騙してしまっていることを申し訳なく思ったのであった。だからせめて俺は自分の全力を尽くそうと心に決めるのであった。勇者を殺すことは俺の目的でもあるからね。
――俺達の目的は一致しているのだ。
俺は勇者をぶっ殺す。それが目的だった。だけど今の俺の力ではその目的を達成するのは不可能であることは理解している。それに俺はこの世界の事情とかよく分かっていない。そもそもなんでこんな世界に転生してしまったのかさえも良く分かってはいないのだ。もしかしたらこれは夢なのかも、と思ったりすることもある。しかし現実逃避したところで意味がない。
とにかくこの世界ではレベルという概念があるみたいである。このレベルというステータスを上げることによって、身体能力が上昇したり様々な効果を得ることが出来るのだ。また魔法というものも存在している。俺は魔法を使うことが出来なかったのだが、この村に住む魔法が使える人たちに教えてもらった結果、ようやく使えるようになったのだ。俺はそれからアリサと一緒に戦うための準備を始めていくのであった。まず俺はアリサと戦うために武器を作ることから始めることにしたのである。そしてそのために必要な材料を集めようと俺は森の中に入った。アリサが一緒にいるときは常に監視されている状態になっているから俺のしていることはあまり人に見られたくない。そのため俺が単独で動く必要があったわけである。
森の奥に入ると早速魔物が現れた。その魔物の名前はゴブリンと言って人型の魔物だと言われている魔物であり、醜悪な顔をしていて背丈が小さいのが特徴である。その見た目通りに知能は低い方であり馬鹿だと村の人々は言っている。ただし魔物にしてはかなり高い能力を持っており、村の人々であっても数人集まって挑めば倒すことが可能だと言われているのだそうだ。ちなみにこの村は魔王軍の侵略を受けるまではそれほど強力なモンスターが出現することは無かったらしいけど、今では違うようだと村の人々は言っていたのだけれどそれは事実なのかどうか分からないところでもあった。まぁいいか、そんなことはさておき今は俺の敵となるかもしれない存在を倒すのに集中すべきだよね。
「お前たちを倒し、村に帰る!そしてみんなと幸せになろう!!」
俺は大きな声で叫んでからゴブリン達に襲い掛かるのであった。俺はゴブリン達を倒してからすぐに村に帰り準備を整えると再びこの山に来た。その途中で遭遇した魔物は全てアリサの操っている人形たちが倒してくれる。俺はその間はただひたすら歩くことにだけに集中して歩いていた。俺にだって一応スキルは存在する。俺が使える魔法の中には、魔物を操ることが出来るものがあったのである。そのスキルを使用してからアリサが魔物と戦ってくれたので、その間に俺が目的のアイテムを探すことが出来るという訳である。まぁ俺も戦闘には参加したんだけどね。だってアリサに任せていたら確実に負ける未来しかないわけだし、それじゃあわざわざ危険を冒す意味が無いわけである。俺はアリサを上手く利用することに決めたのである。そんなことを思いながら山を登る。しばらく歩いていると突然俺達の目の前に黒い球体が出現させられた。そこから何かが出てこようとしていたのである。それは明らかに危険なものだと判断した俺とアリサは警戒を強めた。そんな俺たちに黒衣の男は話し掛けてきたのである。
「私は女神様に使える神官である。君たちに頼みたいことがある。聞いてくれるなら私についてきてほしい。断ってくれてもいいが、その時にはここで死んでもらうことになるぞ」
俺はアリサと目を合わせてから答えを出す。俺は男の提案を受け入れると決めた。どう考えてもこの提案を受け入れた方が楽に帰れるような気がしたからだ。すると彼は俺達が話に乗ったと思ったのか笑みを浮かべていた。
俺は黒衣の男に付いていくと巨大な扉の前に到着する。
「ここから先は私一人で行く。もしも中に誰かがいたら絶対に殺さずに戻って来てくれ。そして私が殺されそうになった場合はすぐに応援を頼む。その時はこの水晶玉を壊せば私に連絡が届くはずだ。そしてこの場所にも救援を要請できるようにしておいたから何か異変が起こった場合にはここに来てこの玉を割ればすぐに連絡が繋がるから覚えておくようにな。それじゃあいってこい。死ぬなよ。そして生きて帰るんだ!」
「えっ、ちょ!?ちょっと待った!!!!」俺はそう叫ぶと男が消えてしまい慌てて辺りを見渡してもその姿はなかった。俺は仕方がなく覚悟を決めると、恐る恐るアリサと手を繋いで中に入る。その途端、扉は閉まり始め、完全に閉じてしまうと奥から声が聞こえてくる。
「待っていた。早く俺と戦おうじゃないか。それじゃあさようなら。《サンダーブレード》」
そんな声と共に俺とアリサの足元から剣のようなものが現れてそのまま二人を貫くのであった。アリサの腹部からは大量に血が吹き出し俺の背中に刺さっている剣にどんどんと赤い染みが出来ていく。そこで俺は自分の状況を理解した。俺達はどうやら罠に引っかかってしまったようである。そんな風に冷静に考えている自分が少しばかり嫌になってしまうのと同時に俺の中で意識が遠のいて行き、視界がぼやけていった。俺はアリサの方を見ると彼女も俺のことを見ていて笑顔をこちらに向けてくる。
俺はまだ死にたくないなーなんて考えながらゆっくりと意識がなくなってゆくのであった。
目が覚めるとそこには見知らぬ天井があった。ここは一体どこなんだ?そんな疑問を抱きつつも体を起こす。隣には俺と同じベッドで寝ているアリサがいることに気づく。彼女のお腹には綺麗に治療された跡が残っていて俺の傷も治されていたのである。とりあえず俺が生きていることにホッと胸を撫で下ろしていると、アリサが俺の頬に唇を押し当ててきたのであった。その行為によってアリサは目覚めたらしく、俺のことを見るなり微笑んでくれてた。
「よかったです。無事に目覚めることができて」
そう言われて改めてアリサの顔をよく見ると彼女はとても美しくて可愛い女性なのだと思い知らされた。前世の世界では一度もモテたことがない俺にとっては、美少女からそんなことをされて嬉しく思ってしまうのは仕方がないことだと思って欲しいところである。
「俺をこんな場所に運んで看病してくれてありがとう」
「当然のことですよ」
「俺としてはどうして助けられたのか全く分からなくて困惑している。もしかしてアリサは実は凄く強かったりする?」
そんなことは無いですよ?みたいな反応をされるかと思ったのだがアリサは真顔で即答したのであった。
「いえ、そんなことはありません。確かに普通の人よりは身体能力がかなり高いのですが、それでもあなたの足下にも及びませんよ。それに私の力はあの程度の相手ならいくらでも生み出すことができますしね。正直、あなたがいなければ危なかったかもしれません。本当にありがとうございます。それと、申し訳ございませんでした」
頭を下げながら謝ってくる彼女に俺は「気にしなくても大丈夫だよ。アリサのおかげで俺は助かったわけだしね。それでここに連れて来てくれた理由は教えてもらえるかな?」そう質問を投げかける。
アリサは小さく深呼吸してから口を開く。
「あなたは私を助けて下さいました。だから私はあなたのために出来ることは全てしようと思っているんですよ。なので今回の件で恩を返させてください。まずはこの部屋にあるものを受け取ってください。これは女神さまからの贈り物になります」
俺は手渡されたものを眺めてから中身を取り出すと、そこには武器が用意されていた。
その武器は大鎌のような武器であるものの俺が手に取ると俺に合わせて変化してくれるようだ。しかも刃が二つありそれぞれ異なった動きが可能となっていた。この武器の能力は斬ったものに対して呪印を与えることができるというものであり、さらに使用者の意思に応じて様々な効果を付与することも可能となっているのだそうだ。この武器を扱える人間は世界中でも数少ないらしく俺の体に刻まれていた刻印がこの武器を使うためのものだと教えられたのである。俺はこの武器の名前を聞くことにした。
「その刀の名前はデスサイス、死を司る神の名を持つ剣なんです。私とこの子たちにとって大切な人、そして私にとってもかけがえのない存在であるあなたの命が奪われた瞬間、この子は真の力を解放します。つまりあなたが死ぬまでは永遠にこの子はその力を解放することは出来なくなり、あなたが殺されれば次の新しい宿主を見つけない限りは永遠に封印され続けることとなります。そして所有者の寿命が来るまでこの子が朽ちることは有り得ません。あなたが死んだ後にこの子を処分するのは簡単だとは思いますが、もしものことがあった場合に備えて、大切に使って頂ければ幸いですね」
アリサが俺に優しく語り掛けてきてくれるけど、これって実質俺は一生この武器を使わなければならないということになったんじゃないだろうか?そんな風に不安を抱いている俺に彼女は笑いかけたのである。
「安心してください。私があなたを裏切ることは絶対にあり得ませんから。だってそうじゃなきゃわざわざこの山の奥地に住む村人から離れて暮らす意味が無くなってしまいますもの」
そんな言葉を告げられて俺は何も言い返すことが出来ずに無言になってしまったのだが「それよりもこれからどうしますか?私はあなたとずっと一緒に居られるのであれば何でも構いませんけれど、村に帰らなきゃならないと思うのですけれど?」その問いかけに対し俺は「うん、そうだよね。一応村に帰った方がいいだろうから戻らないとなんだけどさ。どうしたらここから帰ることができるのか全然分からないんだよ」そんな俺の言葉を聞いたアリサは首を傾げて俺に視線を送ってきたため俺はアリサに俺達がこの場所に転移した時の経緯を説明する。すると納得がいった様子で話し始める。
「その黒衣の男なら私がここに呼んだ方々の仲間の一人でしたのですぐに分かります。この扉の向こうで今も私たちのことを待っていると思いますよ。多分あなたたちが扉を通った直後に私達が来たのではないでしょうか。その方が扉を開けたらすぐにあなたたちの姿が無かったら不思議に思うはずですからね。とりあえずは私に付いてきて貰えばその方がきっと色々と手助けしてくれるはずですのでお願いしてみてはいかがですか?それに、私がここにいることを他の人達には秘密にしておいて欲しいとも頼まれておりますので」
アリサからそんな提案を受けて俺達はすぐにこの部屋の扉を開けようと試みるが開くことはなかった。俺は仕方なく先に進むことを決めたのである。
扉の前には一つの小さな水晶玉が飾られておりその水晶に俺が手をかざすようにアリサに指示を受けたので、言われた通りに行動してみる。
水晶玉は赤く光り輝き出したのを確認してから手を離す。そんな風にアリサと一緒に行動する中で俺は疑問に思ったことがあるので彼女に声をかけることにした。
「ねえ、ちょっと気になったんだけど、どうして君はこの世界に転生させられたんだろう?何か聞いているかい?」
アリサは首を振り、それから少しだけ悲しげな表情を浮かべた。
「詳しい事情は聞かされておりません。ただ私に魔王として生きる運命を与えれば、あなたが救ってくれた世界を救うことが出来ると言われて、それを承諾しました」
「えっと、それって誰かから頼まられたっていうことだよね?誰なのかは覚えていないの?」
「それはもう忘れてしまいましたが、とても優しい男性であったことは記憶しています。確かその人の名前は、――」
アリサは俺の名前を呟きかけた。だがそこで口を閉ざしてしまった。おそらく何かあったのだろうと思いつつも、その人物が誰だったのか俺には知る由もない。もしかしたらこの世界に来てしまったせいで思い出せなくなっているのかもしれないが、それでも彼女のために出来ることを考えた時に真っ先に思いついたのは彼女の過去を忘れてしまった理由を知ることだった。そのために俺は「そっか、俺とアリサが出会えたのはその人のおかげなんだ。アリサはどう思ってるの?もし良かったら教えてくれないかな?」そんな俺の問いを聞いて少し戸惑うアリサだったが、しばらくしてゆっくりと口を開いた。
「その方はとっても強く優しい人でした。それに彼はとっても良い人だったので、私の力を使って欲しいと言い出しても嫌だなんて全く思えなかったんです。そして彼の願いは、あなたに自分のことを救ってもらうことともう一つあるのです。それはもちろんあなたに救われたことへの恩返しのためでもあるそうです。そして彼があなたに願ったこと、それが私の本当の使命になるんですよ」
その話を聞いた瞬間に俺は彼女が口にした名前、そして今の状況について考えていくと、もしかしたらアリサの言う男性がこの世界を創造してくれたのでは?という考えに至ったのである。そしてアリサが前世の世界での記憶を思い出したことでこの世界に居るもう一人の存在についても確信を持つことが出来た。
そんな感じでアリサと話しながらしばらく歩いていると俺達はようやく村の入口に到着することができた。そしてアリサに言われて村の中央広場に向かうとそこには見知った人物の顔があった。
「やあ。やっと来てくれたみたいで助かったよ。僕の可愛い弟子である君たちに一つ頼みたい仕事があるんだけど引き受けてもらえるかな?」
そう言った男の姿を見て俺は言葉を失った。アリサが「師匠!」と声を上げると男は驚いた顔をしてから「アリサ!まさか君もこの村にやって来ているとは思わなかったよ。でも無事に出会えて本当によかった」そんなことを言い出すので俺は呆然としながら目の前にいる男がかつて自分が前世の世界にて殺したはずの人間だったことを思い出すのであった。
そんな俺の反応に気づきつつ何も言わない男に対してアリサは口を開き質問する。
「師匠は何故、こちらの世界の服を身に纏われているのでしょうか?その姿から察するにこの村で暮らしていたということでしょうか?」
アリサは前世の世界でも使っていた丁寧な口調のまま話す。その話し方に俺は違和感を覚えながらも、この場に漂う異様な空気を敏感にも察知していた。そしてその雰囲気を作り出しているであろうアリサの師匠と呼ばれた男に俺は話しかけようとするのだが「そういえば君のことは何と呼べばいいのかな?」逆にそんな言葉を返されて俺は黙ってしまう。
「私は今はアリサと名乗っております。それでよろしいでしょうか?」
そう言ってから彼女は「それとあなたの名前を聞きたいです。私としてはあなたが私の大切な人を裏切った大罪人であるあなたを許すつもりはありませんが、だからといって別に殺そうとかそんな風には全く思ってはいないのでご安心くださいね?」
俺はそのアリサの言葉を聞いてホッとした。だけどそれと同時に疑問を抱く。なぜ彼女はこんな場所に居続けているのだろうか、俺のことを許したのならばすぐにでも出ていけばいいはずだし、それにわざわざこの世界に来た理由もよく分からないし、どうしてこの人が生きているのかという疑問もあるわけだし、聞きたいことはまだ沢山残っていた。俺はそれらの疑問を全て吐き出すとアリサの師匠を名乗る男性は笑顔を向けてくる。
「なるほどね。僕から話せることは何も無いんだけどなぁ。そうだな。君たちはどこまで知っているのかな?例えば女神の話していた勇者とか、魔族と呼ばれる人々とかね。まずはそこを説明しないといけないと思うんだ」
そんな言葉を告げて、その話をしようとしてくるのだが「いらっしゃいませー」と元気よく店員さんの声が響いてきた。その瞬間にその声がした方向を向いていた男性の意識はそちらに向かってしまう。
そしてそんなタイミングでアリサが俺の背中を軽く押したのだ。そのことに気がついた俺は思わず「えっ!?」と情けない声を出してしまう。だがアリサはそのまま俺をどこかに連れ出そうとして腕を掴んで引っ張ってきたのだ。すると男性は慌てて引き止めようと俺に手を伸ばしてきたのだが「待ってくれアリサ。その少年には僕の仕事の手伝いをしてもらうことになったんだよ。だから勝手に連れて行かれちゃうと困っちゃうんだ。お願いだから彼を解放してくれないか?」と言ってきた。だがアリサは首を振ってこう答えたのである。
「すみません。今回はどうしても彼と一緒じゃないとダメなのでこの辺りで失礼します。あなたはこの世界のことをもっと良く知る必要があると思いますので、私からあなたに伝えなければいけないことが山程残っているんですよ」
その一言で男性はアリサに気圧されたようで何も言えずにそのまま立ち尽くしてしまう。その様子を見て俺はこの隙を利用してその場から離れて行こうとするが、アリサが俺のことを呼び止める。
その様子に俺は嫌な予感がしつつ振り返ると彼女は俺の手を握って歩き始めた。
俺は一体これからどこに行かされるのだろうかと思っていると、「あなたの泊まる宿は私が手配しておくからあなたはここで待っていて下さい。それでは、いってまいります」
そう告げてアリサは俺の傍から離れて行くのである。
俺はそんな彼女を見送った後に大きなため息を吐くと、アリサが指差していた方向に歩いていくのだった。
俺はアリサに言われた通りこの場所で待っていることにした。それからしばらくして先程の女性が俺に近づいてきた。その顔には疲れが滲み出ているような気がして俺は心配になる。その女性の名前はリゼと名乗り、先程アリサから聞いた情報を俺に伝える。それから俺はその話を聞いている中で一つの考えを思いついたのである。そして俺が話を終えると女性は不思議そうな目で俺を見つめてきて首を傾げた。それから彼女は俺に対して色々と話を始める。この世界の歴史について話してくれた。この世界の歴史は意外と複雑らしく、魔王と呼ばれる人物が何度も現れるが必ず最後には倒されている。その理由は、この世界に突如として現れる異界からの魔物を倒すためだというのだ。
そして俺はその事実を聞いてアリサが言っていた黒衣の男の存在について考える。
魔王は魔物を生み出し操り、その魔物たちをこの世界に送り込み、さらには異世界からも魔王としての資質を持つ存在を呼ぶと言われているという。ただ、それはあくまで噂程度にしか広まっておらず、実際の所は何の根拠も無かったりするらしい。だが俺はこの話が本当なのだと確信していた。何故ならこの世界に転生させられたときに、俺の前にこの世界の神様を名乗る存在が現れたからである。そいつは確か――、そうそう思い出してきたぞ! 俺はその神様が言った言葉を今一度思い返すと、そこでアリサが戻って来たことに気づく。俺は咄嵯に隠れようとしたがその前に彼女が話しかけて来た。そして彼女は、リゼに近づき何やらコソコソと喋っている。その様子が気になった俺は隠れるのをやめることにした。
そして少し時間が経過するとリゼの表情に変化があった。それを見たアリサは何かを決意したように俺の元に駆け寄ってくると手をギュッと握ったのである。
「あなたが、私を守ってくれた人なんですよね?どうして今まで隠されていたのは分かりませんが、私は嬉しかったんです。またあなたと出会えたことを。だからこそあなたにはこの世界を救ってほしいと本気で思っております」
そうアリサは言った。それに対して俺は戸惑いつつ「でも俺は――」と否定しようとした。しかし俺の目の前でいきなりアリサの目から一筋の涙が流れたのである。そんな光景を見てしまえば何も言えないじゃないか。そして俺は彼女の想いを受け取めることに決めた。俺のせいで苦しめてしまったアリサのために出来ることは少しでも早く前世の世界での出来事を終わらせることだと考えたのである。そのためにもこの世界を救いたいと思い俺は口を開く。
アリサは「ありがとうございます。あなたのおかげでようやく前に進むことができました」そう言いながら笑みを見せてくれたので俺もつられて笑顔になり、アリサと一緒に歩き出すのであった。そんな俺たちの様子を微笑ましそうに見守る女性の姿が視界に入ったのだが、それは見なかったことにしておこう。
俺は今から村の外に向かうことになる。理由はこの村の周辺を調査する必要があるからだ。何故こんな状況に陥ってしまったのかと言うと話は少しだけ遡る。
アリサのお母さんが作った夕食を食べ終えて就寝しようとすると突然に扉が叩かれた。俺はそれに気づき「どなたでしょうか?」と尋ねる。すると、そこには見知らぬ中年男性が立っていて彼は村長だと名乗らず、その代わりに俺の名前を訪ねてくるので正直困ってしまったが「タクミです」と名乗るとその男性は部屋の中に入ってくる。
俺は慌てて逃げようとした。だけど俺の動きより男性の動作の方が早かったのだ。俺の腕を掴んだかと思うと、そのままベッドに押し付けてきたのである。その衝撃で頭を強く打ってしまう。そんな状態で俺は男に押し倒された状態になって、そして服を脱ぎだしたのだから堪ったものじゃない。
俺は男を突き飛ばし、その勢いで男は壁にぶつかり、床に転がる。だが男は痛みなど感じていないかのように俺に向かって襲い掛かってきたので必死に抵抗するが力の差がありすぎて敵わなかった。その男は「お前の体さえ手に入れば他の奴らはいらん!さあ大人しくしろ!」そんなことを言いながら、強引に服をはぎ取ろうとする。その時に俺の中で何かが切れて怒り狂うと気がつくと体が勝手に動いて男に向かって攻撃を仕掛けている自分がいた。そして男の体は宙を舞ったのであった。俺は自分の体を確認をしようと思ってからすぐに立ち上がる。そんな俺にリゼさんは慌てふためきつつも俺を気遣おうと声を掛けてくれるのだが「私は大丈夫です。それよりもアリサと村長さんを連れてきてください」とお願いしたのだ。それからすぐにアリサとアリサの師匠を名乗る男が戻ってくるとリゼはアリサの後ろに隠れたので俺は安心した。その二人を引き連れて俺達は村を出ることにしたのである。その村を出てしばらく歩くと先程の男性の叫び声を聞いた村人たちが騒ぎ始めるので、その隙を突いて村から逃げ出した。
村から離れることが出来た俺はアリサたちと合流するために、その場所へと向かうとすでに二人は待っていた。
「ごめん。遅れてしまって。怪我とかしていないか? それにアリサの方は無事だったのか?」
俺の言葉にアリサは笑顔で応える。
それから事情を軽く説明するが、その際に俺はアリサが身に付けていたペンダントを見つけるとそれを渡して欲しいと頼まれる。アリサの言うことを信じたい気持ちはあるのだが、この世界に来る前のことを考えると信じられなかった。そのため「アリサ。それを見せてもらってもいいか?」そう頼むとアリサは首を振ると「これは大切なものなんです。本当にあなたにだけは見せたくありません。私のことを信用してくれるというのであれば別なんですけどね」と返してくるので「ああ、信じてるよ。だからこそアリサの持っている物を確認しないと俺は信じられないんだ」と言って俺はアリサが大事にしているネックレスを見たいとお願いをする。
その言葉にアリサは大きく目を開いて驚き、その反応を見た俺は不安を覚える。だが俺はそれでも知りたかった。
俺のその強い意志を感じたアリサは何も言わずにゆっくりとそれを渡してくれたのだ。俺はそれを受け取ると慎重に中身を確認する。アリサが大切にしているからこそ傷つけたくなかったのだ。だからまずは箱から中身を取り出そうとして触れただけで分かったことがあった。この箱には何か特別な仕掛けがあるということだった。そのことに気づいた俺が驚いているとリゼも同じように驚くと、この場にいる全員に分かるように丁寧に説明を始めたのだ。そのおかげでこの中にはアリサにとって大切で危険な物が仕込まれていることが分かった。この事を踏まえて改めて中身を確認した。その中には小さな宝石が入っていた。それが魔道具だということは一目見てわかった。その証拠として宝石に触れることによってアリサが使っていたような魔法が使えたのである。つまりはこの中に込められているのは魔力ということがわかった。そこでアリサがどうやってこれを手に入れていたのかを知りたいと思っていたので尋ねてみると彼女は答えてくれた。なんでもアリサのお祖父さんの持ち物にこのような魔道具が眠っていたというのだ。そのことから俺はこの世界に転生させられた時にアリサの前世に干渉していた黒衣の男のことを思い出す。
俺はそのことを話さずにこの世界に来た目的を果たすための旅を続けようとするとリゼから「あのう、私も一緒に行かせて頂けないですか? あなた方について行けば、いつかこの世界の真実が知れる気がするのです」と頼み込まれるので俺もアリサも断ることなく受け入れるのであった。
それから三人旅が始まったのである。
俺達が村にたどり着いた時には日が暮れかけていたため野宿することに決める。それからテントを組み立てた後、夕食を済ませて明日の目的地をどこにしようかと考えているとリゼが俺達の元から姿を消したことに気がついたのである。その行動に対して俺はアリサに相談をしようとしたところで彼女は立ち上がり「リゼを追いかけましょう。きっと一人では危険でしょうから」と言うので俺はアリサと一緒にリゼの後を追い掛けたのである。
その後に俺達が発見したのは盗賊に襲われる彼女の姿であり、俺は助けるために声をかけるが既に意識を失っており、アリサと一緒に近くの家に隠れて、そこからこっそり様子を見ることにした。
そこで俺はリゼの過去を知ることとなる。彼女は実はこの世界の住人ではなく前世の世界に生きていた少女なのだそうだ。それが原因で彼女の母親は娘を殺そうとしたのだという。その出来事がきっかけで彼女の精神は壊れかけてしまい自殺まで考えていたところをリーゼに助けられてから彼女と家族ぐるみの関係になり今では幸せだと語ってくれるのであった。そしてリーゼの話を聞く中でアリサが何故この世界のことを話してくれなかったのか理解できた。リゼも俺と同じ立場の人間だったという訳である。俺はリゼの口から聞かされるその壮絶な話を聞き終えた後、彼女は俺にお礼を言うのであった。
俺はその後のことについて考えた。このままアリサについていくのが正解なのかそれとも俺だけがこの世界に留まるべきか悩んでいると彼女は俺がこの世界に残るのは嫌だという表情を見せたのである。それを見た俺も彼女がそう思っているならそうした方が良いだろうと考えた。ただ俺はリゼが言っていたように元の世界で死んだ存在なのでどうなるのか分からなかったが俺の体が光るとそこには見覚えのあるスマホがあったのだ。俺がその現象を見て困惑していると隣にいたアリサとリゼが「「良かった」」と声を合わせて喜ぶ。そして二人は嬉しそうに抱き合うと涙を流したのだ。そんな二人の様子を俺が黙って見ていると俺の手にもアリサたちの時と同じようにスマホがいつの間にか握られており、俺が戸惑いながら手に取ったスマホは突然画面が真っ暗になった。そんな時に誰かの声が聞こえたので俺の耳を疑った。その相手は前世での俺自身だったのである。俺はそんなことがあり得るのかと驚きながら俺は彼に質問をしたのだが「それは自分で考えろよ」と言われただけだった。
それからしばらくして俺とアリサはお互いに見つめ合っていた。それはこれからのことを考えたからだ。そして俺は決めたのである。この世界での人生をアリサと共に生きることを決めた。その決意を告げると彼女も同じ想いだと返してくる。
それからリゼと合流して俺たちは旅を再開する。それから数日の間、特に問題なく順調に進んで行くと、リゼはアリサからある事実を聞かされる。
アリサによると、俺たちが向かっている先に存在する村では最近行方不明者が続出しているらしい。そのことで村人たちは不安を募らせていて、そのせいでピリついている状況が続いているというのだ。
そんなこともあり、俺達はその村の人たちの役に立つため何か出来ることがないかと考えてみたが、残念なことにその村は森に囲まれているので直接、村の中に入らなければ入ることも出来なかったのである。
そして数日後に辿り着いた村の様子はかなり悲惨なもので村人たちも疲れきっており、そんな彼らを救うには何か力になってあげられないかと思った。その矢先に村人の一人と偶然出会ったので事情を話すと、その人はこの村が抱え込んでいる悩みを話してくれることになった。その話を聞いて驚いたのだが、その問題は魔王軍の残党が村を襲撃をしてきたのでそれを食い止めるのに手一杯で他のことをする余裕がなかったというのだ。
その話を聞いた俺はどうにかその魔物を倒せないかと思ってしまう。だが今のままでは難しいと判断し、それから俺達は情報収集と休息を兼ねて数日間、村に滞在し続けた。その間に俺とアリサで色々と調べて回った結果、この村に襲い掛かっている脅威の正体を掴むことに成功する。その結果、俺達は村長にこの危機から救い出すことを約束する。すると村長はその方法について提案を出してきた。その方法はリゼと俺の魔法を使って魔物たちを閉じ込めるという作戦であった。
その話が決まった後は村にある洞窟で練習を行うと俺は見事に成功する。それを見た村長たちは驚いているが俺はそれどころではなかった。俺の頭の中では前世とのリンクが強くなっていることを感じていたのだ。俺は試すつもりでその感覚に身をゆだねると自分の記憶を取り戻すことが出来るのではないかと考えるとすぐに実行したのだ。その結果、俺は前世で起こったことを思い出したのである。
それはとても衝撃的なものだった。その出来事とは俺の家族や友人の死とアリサの父親が起こした村での出来事、さらにはリーゼの父親である村長がこの世界を救おうと必死になっていたことなどである。そのことを思い出したことでこの世界に来て初めて心の底からこの世界の平和を願っていた。それからしばらく時間が経過するが、俺の心の中には後悔ばかりが存在していた。もっと早くそのことに気づいていれば、と俺は嘆いていたのであった。だが今は過去のことは忘れてこの村のために頑張ることだけを考えて行動を開始することにした。
俺が目覚めた時には既に日が沈みかけていた頃で空腹を感じるが我慢して、まずはこの場にいるみんなが無事に生きて帰ってこれるように祈ってから、それから魔法を発動させてリゼと二人で魔物たちに奇襲を仕掛けた。
だがその途中で俺はアリサの身に何が起こったのかを知ったのである。なんと、俺の魔力が急激に減少し始めたのだ。そして、俺はその理由を理解すると怒りで我を忘れそうになったが何とか抑え込むと目の前の問題に集中する。
それから数分間、俺は一人でリゼたちを守り抜き、リゼは俺に攻撃魔法を撃とうとするも俺は止めさせた。リゼにもしものことがあった場合の俺の責任が大きすぎるからであった。そのおかげで俺一人で戦うことが出来て、最終的には俺の勝利で終わった。その後、この村に戻ってきたリゼとアリサが俺に謝り倒したのは言うまでもない。
それからリゼがどうして急に強くなったかという説明を受けた。リゼは元々この村の中で魔法の才能が一番高く、将来、この村を守るために勇者になりたいと語っていたのだという。その言葉通りリゼは魔法の練習を熱心に行い、この世界で俺が知る中でもかなり強力な部類に入る魔道師となった。また俺が見た感じでアリサよりも素質が高いことが分かったのでリゼには期待していた。そして今回の戦いが終わった直後に彼女は魔法の才能に目覚めた。それもリゼは魔法を扱うのがとても上手くなっていたのである。それに加えて身体能力の方もかなり強化されているようだった。おそらくはアリサが持っているスキルの影響だろうと俺は判断する。
俺のステータスを確認してみて、新たに追加された項目はレベルだけしかなくて他には何も変化が見られなかったが魔力量が増加していることに俺は気づき嬉しかったのだ。この異世界に来てからというもの、まともにレベルアップしてなかった俺は久しぶりにレベルが上がるという実感を得て嬉しくなってしまった。
俺がアリサたちと会話をしている間に魔物たちは俺達を取り囲もうとしていたが、リゼの援護もあり、俺はリゼが放った風の魔法によってできた巨大な竜巻で拘束されていたのだ。そこに俺が上空に舞い上がると一気に下降することで勢いよく地面に向かって叩きつけるように着地をする。それによって地面に亀裂が入った。それからは俺はリゼと一緒に戦い続けた。アリサは二人の戦闘を見ていて自分も戦えるようになりたいと言って来たのでアリサが魔法を使えるようになるまで俺が護衛しながら修行をして、それからはアリサの好きなようにさせているのである。リゼが言っていたのだがアリサは回復系の能力に長けていたらしく、そのおかげでアリサの回復薬のおかげで傷は塞がっている。またリゼが俺を守れるぐらい強くなりたいという想いが強いからこそアリサの成長速度は早かったのだ。リゼ自身も自分が強くなることには興味はないが、俺のことを守れるくらい強くありたいと常々語っていた。
俺はアリサにそんなことを言わなくてもいいと伝えたのだが「それでも私だってユウキ君を守れるような強さは必要だと思うのです」と力強く語るのだ。だから俺が折れる形となったのだ。そのあとは二人にも手伝わせながら盗賊の根城となっている場所までたどり着いたのである。そこで俺たちを待ち受けていたのは、俺とアリサのことを待っていたかのように出迎えてくれた盗賊たちであった。彼らは俺たちの姿を視認すると、すぐに襲いかかってくる。そこで盗賊たちはリゼの姿を見て驚いていたが、すぐさま臨戦態勢を整えた。それからはリゼが前に出て盗賊の相手をしていた。そのリゼの動きはとても綺麗で見惚れてしまうほどだった。
俺は盗賊たちの相手に集中した。リゼが心配だったので、俺はそちらの方に意識を傾けすぎないで済むように戦いに集中させる必要があった。
リゼが一人で盗賊たちを相手にしている間、俺はひたすらに戦い続けていた。そして俺の前に立ちはだかる敵を倒した後、俺の背後に回り込もうとしていた敵にアリサの放つ矢の魔法で俺のサポートをしてもらえたことで、その敵の撃破に成功したのである。アリサには弓を使った攻撃以外にも様々な技があると聞いた。その中には弓矢を使って魔法を使うという特殊な技も存在するそうだ。
その時に俺はふと思ったことがある。アリサには魔法を習うのも良いのではないかと。俺も実は魔法の習得は出来るならやりたいと思っているのである。というのも、この世界に来てからはずっと剣術を扱ってきたが、これからのことも考えていく上で新しい技術を学ぶのは良い経験になるはずだからである。そんなこともあり、アリサに頼んでみる。俺が頼むと、彼女は嫌そうな表情を見せるも渋々と承諾してくれる。アリサは意外にも素直に応じてくれる時もあるので、そこが良いところだと思えたのだ。
そんなことを考えているとアリサは早速俺を特訓するということで連れて行こうとする。その道中で俺は彼女に色んなことを聞いていく。彼女の父親は昔は魔王軍に所属していた元魔王軍の兵士であったこと、しかしある時にアリサが産まれてからはその人生が180度変わることになるという。なぜならその時期、アリサの母親であるリリスが妊娠していることが発覚して、リゼがアリサの妹として誕生したのである。そしてそのせいで父親のリリスと魔王軍のトップに立つ人物から疎まれることになってしまったのだ。それからしばらくするとアリサの母親は精神を病むことになり、ついには死を選ぶようになったのだ。それをきっかけに魔王軍の上層部はリゼの追放を決めるのである。
アリサはそれが原因で父親を恨んでいるのだと言う。その話を聞いた俺は彼女が魔王軍を追放されたことに関して、同情する気持ちもあった。それと同時にこの世界に来たことで、そんな悲劇を繰り返さないようにするにはどうすればいいのかと考え始める。そんな俺にアリサはこんなことを話してくれた。それはこの世界の成り立ちについてであった。それはこの世界はかつて神の手によって作り出されたもので元々は一つしかなかったらしいのだ。
それがどうしてこの世界が二つあることになったか、という話だが、そもそもこの世界は人間を創るために神様が創造したものではなかった。ではなぜそんなものが創られたかといえばこの世界を滅ぼそうとする者に対抗するためだった。この世界を滅ぼされないために、そしてもう一つ理由があった。それは神に反旗を翻した"大罪人"を封印するための檻として作られたのだという。つまりこの世界を二つに分断して閉じ込めた存在がいたということである。
その"大罪人"というのはいったいどういうモノなのかというと、この世界に生きる人間の誰もが恐れを抱く存在で、その存在が現れた時にはこの世は終わるとも言われている。その正体がどんなものかは俺もよくは知らないが、この世でもっとも強い力を持つ化け物であることだけは分かる。その力のせいで人間は今まで生き延びてきたからだ。ただ実際に見たことのある者は一人もいないとされている。
俺はアリサから教えてもらった内容をもとに考察を始める。この世界を二つに分けて作った理由は何となく分かった気がしたのだ。おそらくはこの世界に害を成す存在である"何か"を封じ込めるためのものだろうと思うが、それにしてもスケールがでかいなと感じたのである。それだけの力を持ったヤツが存在するのかもしれないと考えたら少し背筋に寒気を覚えたのであった。
ただ、今の話からすると俺もこの世界を滅茶苦茶にした元凶の一人となるわけである。もしも仮にその話が本当ならばだが、この世界を救うのは非常に困難なことであるということにもなる。そして何よりも問題なのはその元凶がまだ生きている可能性があるという点であろう。もしもそうであれば再びそいつが姿を現す前に倒さなければと思い、それから数日は村で過ごしたのであった。そしてその間に俺やリゼが魔法を使えるようになったのであった。
俺が魔法を覚え、アリサは回復薬の使い方や弓矢の扱い方を学んでいき、そのおかげもあってアリサのレベルはかなり上がった。俺がレベル20台後半なのにリゼとアリサは俺よりもレベルが高いレベル40近くまで達したのである。そのことについてアリサは嬉しそうな顔を見せていたが、逆に俺は申し訳ない気分になっていた。なんでそんなに簡単に強くなるのかと思ってしまったからであった。それから俺が村で過ごしているうちにリゼたちが村での仕事を積極的に引き受けるようになり、この村の人たちと仲が良くなっていく。俺の知らないところでアリサが積極的に村の人と関わってきたことが良かったようである。
ただ俺が勇者であるということをまだ誰にも打ち明けるつもりはなかった。そのせいで、たまに勇者のくせに、といった視線を受けることが時折あった。その度に心の中でため息をつく俺であったがリゼとアリサのお陰であまり気にしないようになっていたのだった。
そんな日々を過ごす中、リゼが俺を訓練のためにと外に連れて行った。そこで魔物と戦うことになるが、その時に初めて魔物と対面して戦うことに俺は不安を抱いたのである。そして俺の隣にいるのが魔王の一人娘だということを思い出して焦る気持ちが出てきた。そんな時に俺はアリサの存在を思い出す。彼女は俺が危なくなった時に助けようとしてくれていた。
アリサに助けられながら戦うことで、何とか俺は無事に戦闘を終えることができたのである。その後アリサが褒めてくれると、俺もようやく戦いに自信が持てるようになったのであった。俺は自分のステータスを確認すると、レベルが25になっていて、魔力量は500以上になっているのが確認できたのである。これはかなりの成長ぶりであった。
それから俺はこの村を出て、旅を続けることに決めたのである。俺はこのままリゼと一緒に旅に出ることをリゼに告げると彼女もまた付いてきたいと言い出す。俺としては一人での旅の方が気楽だったので最初は断る気満々だったが、ここでリゼの決意があまりにも固かったこともあって俺は仕方なく同行を許可することにした。それから俺たちはリリスの容体が悪化してしまったので、俺たちは一旦家に戻って彼女の様子を見ることにした。それから数日後にアリサと一緒に彼女の看病をした。
そして俺たちが再び旅立つ日にリリスに俺たちが行く先を告げてから俺は出発をする。リリスはその言葉に微笑みながら俺の手をぎゅっと握りしめてくる。そして俺は彼女に見送られて出発したのである。それから俺たちはリゼの故郷である王都に向かうことにする。俺にとって初めての町だなと思っていたらそこでリゼがとんでもないことを口にするのだ。リゼの実家に帰ると言っていたのである。俺はそれを聞けばリゼはリゼの母に会うのか? と疑問を口にしたら、そうだという。しかしリゼが言うには母は病気を患っているらしく、まともに動けなくなっているそうだ。そのことに驚きつつ俺も心配になる。
だからと言って、いつまでもこの村に居るわけにもいかない。だから俺たちはすぐにその村を後にしたのだ。
それから俺たちが向かった先はとある場所であった。そこは俺も一度訪れている場所であるのだ――。
俺達が訪れたその場所はリゼの家がある山とは正反対の場所に位置している山にある大きな洞窟だ。俺はリゼとアリサに連れられてこの場所に足を踏み入れることになる。そこには魔物が多数生息しており、そのことからも普通の人が来られる場所ではないだろう。その証拠に、ここに来るまでの間で、盗賊団が潜んでいると思われる場所がいくつか存在しているのを確認したのだ。俺とリザは盗賊たちをどうにかしなければならないので、ここを抜けることは容易ではないのである。それでもリゼの故郷を守るためにはどうしても越えなくてはならない障害なので、俺とリゼは盗賊たちに見つかることを恐れずに進んでいった。
しかし、俺達が洞窟の中に入り込んだ直後に、リゼとアリサが立ち止まるのである。その行動に疑問を抱く俺だが、その理由を聞くと、どうやら俺には感じ取ることのできない存在を二人が発見したからであるという。俺には何がどうなっているのかは分からない。そこで俺は彼女たちから事情を聞いたのだ。するとアリサが俺に魔法を使ってみることを提案したのである。
俺の魔法を使ってみれば何が起こっているのかが分かり、そこからどう動くべきか判断する材料に出来るのではないかと言う。それならと俺も魔法を使ってみると確かに何かを感じた。その何かが俺の脳内で危険信号を発していたのである。それが何かはまだはっきりしていないが、少なくとも良いものではないだろうと思ったのだ。
「リク、私とリゼは先に外に出て状況を見張っておく」
アリサがそう言い残してその場を離れていく。俺は彼女にはリゼの護衛を任せて俺の方は外で起きていることを対処することにする。
リゼをアリサに託したあとに、まずは気配遮断を発動させた状態で周囲の索敵を行う。そして敵がいないことを確認する。次に洞窟の奥へと進んでいく。すると目の前の地面に光り輝く陣が出現しているのを見つけたのである。しかもそれは俺から見て左側の通路から現れたのだ。そして俺がその現象を見て戸惑っていると、俺が入ってきた入り口から大勢の人間がこちらにやって来るのを感じる。どうやら向こう側からこっちにやってくる存在がいるらしい。俺はすぐさま剣を抜き放ち、いつでも応戦できる体勢を取る。そしてその瞬間に姿を現したのは、俺がよく知っている人物だった。それもその人はこの世界で知り合った中でも、かなり濃い関わりを持つ人物なのだ。その人物は金髪のロングヘアをしていて、目元にクマのある少女だった。
その少女の名前はクロネ。
この世界で出会った魔族の少女であり、その実力は魔王の娘であるリゼよりも強いと言われる存在だった。
彼女はこの世界にやって来て最初に出会った存在でもあったが、その性格に難があった。そのため、彼女と仲良くなることは決してなかったのである。俺とクロネの間には常にピリピリとした緊張感が流れ続けていた。そんな中、俺がリゼたちの護衛役を引き受けたことがきっかけで俺は彼女の仲間となることになった。ただリゼは彼女が俺に対して敵意を持っていることを分かっていたようなので、俺はそのことをクロネ本人に伝えるようには言わず、黙っていた。その結果、クロネとの関係はかなり険悪なものになってしまったのは事実である。そんな彼女から突然呼び出されたので俺はとても驚いてしまったのだ。そんな俺のことを他所にクロネは真剣な顔をしながら俺の顔をじっと見つめてきた。
俺が何かあったのかと思っていると、その予想通りの言葉をクロネが俺に向かって口にしたのだ。
「あなたは人間族よね?」
その言葉に俺は少し戸惑いつつも答えたのであった。俺がその問いに肯定すると、さらにこう質問をしてくる。
「"勇者"なの?"大罪人"なの?"大勇者"なの?"救世主"なの?」
その言葉に俺は驚いた。どうしてそんなことが分かるのかと思い、俺が口を開こうとするとクロエはいきなり武器を抜いて、俺に襲い掛かってきたのである。俺は慌てて彼女の攻撃をかわすと、俺は剣を抜いたのであった。そして俺は彼女に問いかける。
『なぜ攻撃してきた!?』と、俺がそう尋ねると、彼女はその質問を無視した上で再び攻撃を仕掛けて来た。そして俺が防ごうとするとまた彼女は別の方向に移動すると今度は後ろに現れて攻撃を仕掛けてくる。俺は彼女のスピードに反応できず、攻撃を受けてしまう。俺は反撃に出ようとしたが、俺の攻撃をあっさりとかわし、逆に俺を追い詰めていった。俺はこのままではやられてしまうと悟り、なんとか彼女を振り払おうとするのだがうまくいかない。
それから数分が経過した後、ついに俺は膝を突き、地面に座り込んでしまう。俺は一体何がどうなっているのか分からないまま呆然と立ち尽くしてしまう。一方クロエはというと息一つ乱さず涼しい顔を浮かべたまま、俺の前に立っていた。
「これでわかったでしょ?私が聞きたいのはその言葉が真実かどうか。あなたの言っていることが本当ならば私の攻撃を受けて立ってはいられないはずだもの。なのにまだ立っているということはそういうことだしね。だからさっさと答えなさい。今度こそ殺すわよ」
そう言うと彼女は剣を構える。俺はそんな彼女を見据えると俺は自分の正体を明かした。俺がその言葉を言うと彼女の瞳に殺気が宿る。
俺は彼女の放つプレッシャーに冷や汗をかきながら必死でその恐怖を押し殺していた。
「ふぅん。やっぱりそうなの。じゃあなんでこんなところにいるの?」
その言葉に俺は返答を躊躇ってしまう。俺がこうして旅をしている理由なんて、魔王の娘に求婚されたからだ。などと言えるはずもない。俺は誤魔化すしかないと悟ったのだ。しかしそこでリゼが姿を現す。そしてリゼが事情を説明してくれたので俺は助かったのである。その話にクロネは納得がいかないようではあったが、これ以上は時間を食ってはいられないと、この場から去っていった。俺はとりあえず安堵のため息をつくと、リゼが話しかけてくる。
「ねぇ、リク。本当にいいの? このままあの子と一緒にいても――。私にはどうしてもあの子が信用できないんだけど」
リゼが珍しく俺のことを名前で呼んだ。それほどリゼにとっては大事な相手だということなのだろうか。俺はそのことには触れずに、返事を返そうとするが言葉が出てこない。するとアリサが会話に割り込んできた。
「そうだな、確かにお前がそう思う気持ちも分からなくはないけど、今はとにかくリリスさんを救い出す方が先だろ。それに私にはあの子の真意もわかるんだ。だから、今はリクを信じてみる価値はあると思う。私はあいつの本当の姿が見たいんだよ。そうしないとこれからの戦いがもっと厳しくなるからな」
俺は二人の話をしっかりと聞いた。その意見は俺にとっても同感なのである。クロネとは一緒にいるととても居心地が悪い。だからこそ、その環境を打開するためには彼女のことを知る必要がある。その点に関してはアリサの言う通りかもしれない。俺はアリサの言い分に同意すると、アリサとリゼと共にクロネが向かった方向へ足を向けるのであった。
クロネが向かったと思われる方向に向かう。すると途中で魔物の群れに遭遇する。その数は百を優に超えていたのだ。それを見た俺は思わず声を出しそうになる。しかしリゼにその言葉を制される。そして彼女は魔物たちの方に向かって手を掲げるとその魔物たちはピタリと止まる。そればかりか俺たちのことを見失ってしまったのだ。そのことからリゼが使った魔法が何なのかは想像が出来た。しかし俺はここで改めて、リゼが普通の人間ではないことを再認識させられるのである。なぜなら俺でも使えるようになる魔法を使いこなすリゼはやはり規格外の存在だからだ。
そしてリゼが俺に対して説明してくれる。俺も実際に見るのは初めてなので、かなり驚く。そして俺は目の前の景色を見つめていると急に視界が切り替わる。どうやらクロネは転移系の魔法が使えるようだ。そのせいでクロネを見つけることが出来なかったらしい。
そして俺達はそのままクロネについていくと、やがて俺達がやってきた道とは明らかに雰囲気が異なる通路に到着するのである。そこから感じる気配に俺は思わず身構えてしまうが、リゼが心配そうにしながら俺の顔を覗いてくる。
「だ、大丈夫?なんだか顔色が悪くなっているように見えるけれど」
俺は彼女に笑顔を返すと、問題ないと伝えて、さらに奥へと進んでいくのであった。それからしばらくして前方に複数の人間の気配を感じ取ることが出来たのである。しかしそれだけではなかった。
『クロネ!』
リゼが焦ったようにそう叫んだ。俺もその声でクロネの姿を確認して安心する。その光景を見て俺も少しホッとするのであった。なぜならそこにいたクロネの服が破れていて肌が見え隠れしていたのだ。それを見た俺はなぜか嫌な予感がしたのである。俺はその不安を打ち消そうとしたのだがどうも消えない。俺はリゼに視線を向けてどうすればいいかを尋ねようとした。だがそれよりも先にリゼが動いたのである。彼女はクロネに向かって叫ぶと俺には何もせずにクロネの方へと近づいていった。そんなリゼを見て俺は困惑するのであった。そんなことをしているうちにリゼはどんどん進んでいってしまい、俺は仕方なくその後をついていくのであった。そして俺はあることに気づく。それはこの部屋の壁際で倒れている男たちだった。俺は彼らに近づき状態を確認していく。そして全員気絶していることを確認する。俺は彼らが気になるところではあるがまずはクロネに声をかけることにした。俺がそう声をかけるとクロネがリゼに引っ張られて俺達の方に歩いてくる。そのクロネは頬を赤くしており、恥ずかしそうにしているように見えた。
それから俺とクロネが向かい合う。俺はその姿を見て違和感を覚えた。クロネの服のボタンが全て外れており、さらに肩が露わになっていたのだ。俺がそのことを指摘しようとするとリゼに口を抑えられてしまい、言葉を遮られてしまう。クロエはそのまま何も言わずに黙り込んでしまう。そんな彼女の様子に疑問を抱きながらも俺が言葉をかけようと試みるのだが、上手くいかない。クロナとの距離感を掴むことが出来ないのだ。
それからしばらくして、クロネは突然俺の腕を引っ張るとどこかへ連れ込もうとしてきたのである。俺が慌てて止めようとしたが彼女は気にした風もなく俺を連れていこうとした。そんな時クロネの動きが急に止まったのだ。
俺の手を離さないようにして必死に抵抗する。その様子を見た彼女はため息をつくと、仕方なさそうに言った。
「まぁいっか。今回は許してあげるわ」
俺はそんなクロネの言葉に呆然としながらも、ひとまずこの場は助かったと思ったのであった。するとその時――。俺の頭に鋭い痛みが走ったのである。俺は頭を抑え、その場にうずくまると、しばらく動くことが出来なくなってしまう。そしてようやく立ち上がると、リゼたちの元へ駆け寄る。俺は二人の様子を伺おうとしたが――。俺の目に飛び込んできたのはあまりの出来事であった。なぜならクロナがリゼの腹に腕を刺していたからだ。しかもその傷口から大量の血が流れ出していたのである。その瞬間に今まで忘れていたことを思い出してしまう。俺が魔王に殺される前、リゼの身体が光に包まれたということを。しかし今の状況はおかしい、どうしてリゼが死ぬことになっているのだ。俺は必死に考えをまとめるが、頭が回らないのである。俺はその事実にパニックになってしまうと、今度はアリサの胸元から剣を生やしたクロエが現れるのであった。その表情は冷たく俺達を見るのであった。
クロエの登場により混乱に陥った俺であったが、なんとか意識を保つと状況の把握に努めることにした。しかしいくら考えてもクロエの行動は読めなかったのである。俺がそんなことを考えている間にもクロエの攻撃が襲い掛かってきた。しかし、俺はそれをかわすことがやっとの状態だったので、俺は防戦一方となる。
俺はこの不利な状況をどうにかしたいと思いつつも反撃することができないでいると、リゼに話しかける機会が訪れた。
「お前は本当にあのリリスなのか? なぜリリスが勇者を殺さなければならない? その理由を教えてくれないか? 私にはわからないんだよ。私はずっと、本当の魔王であるリゼのことを探していたんだ。だけど見つけ出すことはできなくて、もしかしたら私の前に姿を見せない理由があるのかと思って、リゼのことを見守ろうと思っていたんだけど、その矢先にこれだよ。意味がわからなすぎて困る。リゼ、何か心当たりはないのか?」
俺はリゼに必死に語りかける。しかし、リゼはそれに答えることはせず、リゼを攻撃してきたのである。その攻撃をクロネは受け止めると、リゼから距離をとる。俺はそんなクロネと入れ替わるとリゼと剣を交える。
しかしそんな俺に対して、リゼの放った言葉に俺は衝撃を受けることになる。
「私が魔王だと?笑わせるな! 魔王の娘が勇者に危害を加えることなどありえない。貴様らは騙されているだけなんだ。今ならまだ間に合う。大人しく降参してくれ。これ以上罪を重ねさせるわけにはいかない!」
リゼのその言葉に俺は言葉を失ってしまった。それと同時にリゼに対する怒りを覚えるのであった。しかし俺とてこの世界ではまだまだ弱い部類に入るわけでリゼの一撃を食らうだけで瀕死に陥るだろうことだけはわかった。だからこそここは逃げるしかないと判断したのだ。
俺がこの場から離脱しようと考えていることを察してくれたようでリゼはすぐに動き出し、リゼを追うような形で俺たちも行動を開始したのである。しかしここでクロニがリゼの追撃を阻止する形で魔法を放ったのだ。リゼはそれを回避すると俺達のことを睨みつける。どうやら俺の考えがお見通しのようであった。そして再びクロニが攻撃魔法を放ち、リゼはそれを防御しようと魔法を発動しようとしたところで急にその動作が止まる。どうやら魔力が枯渇したようだ。
「はぁ、はぁ。ここまでのようだな。もう、諦めろ」
クロナはそう言うと、苦しそうな表情を見せるのであった。そんなクロネの様子を見たリゼは悲しそうな顔をするのである。
それから俺達は一度この建物から出ていくと近くの建物の陰に隠れ、今後の作戦について話し合うことにしたのである。そしてリゼはクロエについて語ってくれたのだ。俺はそれを聞きながら彼女の話を真剣に聞く。
リゼが話したのは次のような内容であった。彼女は俺が元いた世界で魔王を倒すための旅をしている最中に命を落としてここに転生されたらしいのだ。そしてクロエはリゼの母親だそうだ。どうりで似ている部分があったわけだね。ただ見た目が似ているというだけでなく性格もどことなくクロネに似ている感じがしてならないんだよな。だからクロエが現れた時にリゼが動揺してしまったのかと納得したのである。
ちなみにリゼの話ではどうやらクロエは本物の魔王ではないらしいのだが、それがどういう理由からなのかは不明だった。リゼが嘘をついているとは思えなかったが、かといって本当のことを言っているようにも見えなかったのだ。ただリゼの言っていたクロダについて、俺も知っている人間にそんな名前の人物はいないということと、クロノについても全く知らない人物らしいのでどうしようもないのだが。クロエがクロネをクロナと呼び、クロノにリゼと名乗った時点で俺の知るリゼは偽者ということになるのだが。
クロナについては、俺の知っている限り、彼女はクロネとクロミ以外からはリリスと呼ばれていた。そのことから俺の中で答えは出ているようなものなのだが一応本人に確認したところクロハで間違いないようである。彼女はこの世界に転移した際に記憶を失いクロナとして生まれ変わっているとのことだった。俺が確認するまでもなくクロネとクロナの正体を知っていたということは間違いなく本物であるという証明にもなったのだ。
ただこのリゼの話によるとこの世界のクロコもクロナも元々はリリスであり、魔王の娘であるという。つまり魔王を倒したのがリリスでありリリスは死んだあと別の存在へと生まれ変わったという話である。そして俺と旅をした時のリリスはクロメと名乗っており、俺も彼女がその名前を口にしたことで信じたのである。まぁ、正直俺がリゼのことをリリスと呼んだ時の反応は微妙ではあったが。しかしそれでも彼女を信じることができた理由は、リゼの性格に問題がありすぎたからだ。彼女はクロコのようにクールではなくむしろ真逆と言っていいほど明るいキャラをしていたのである。俺がそんな彼女に恋をして結婚を誓い合ったくらいだ。リゼに好意を抱いていないとなれば、よっぽどのプレイボーイか、相当な変態しかいないだろうと思う。まぁ、俺のことだが。まぁとにかく俺にとって彼女は特別な存在で大切な人だったわけである。そんな彼女を疑うことは絶対にできなかったというのが本音である。だからこそ俺の記憶にあるリリスとの会話をしっかりと覚えていたのだ。
そんなリゼルの話から分かったことは2つ。クロエは魔王じゃないこと、クロナとクロタは元同一人物であること、である。
「まず最初に結論を言うと魔王って何なんだ? クロナがそう名乗っているけど、クロナに聞いても答えてくれないし、他の奴らに聞いても知らないと言われる始末だし、リゼに聞こうと思ったのに肝心の本人は記憶喪失になっているんだもんな。結局俺には何も分からないんだけど」
俺がそう呟くとクロネも賛同する。
「それは私も気になっていたんだ。私は元々クロコと共にクロノに育てられたからね。しかし私もクロネに尋ねたところ、知らないと言われてしまった。だからクロネが私のことをリゼと呼ぶようになった時は驚いたものさ」
するとそこで俺の袖が掴まれる感触を覚える。そこにはクロニがいた。そしてその隣にはリリスの姿もあった。二人を見て俺は驚く。
「えっ? リリスさんどうしてそんなところに? まさか生きていたんですか?」
俺はリリスを問い詰めようとするのだが、それよりも先にクロナのことが心配で仕方なくなるのであった。しかし俺がクロナのことを尋ねようとしたのをリリスが手で制止したのであった。そして俺はなぜかその手に懐かしい温もりを感じてしまう。そしてクロナがリゼに対して攻撃を仕掛ける前に俺の腕を掴んでいたことも思い出してしまう。俺は慌ててリリスの方へ振り返ると、俺の予想に反してその顔は穏やかであった。その様子から俺はクロネの身に危険が迫ったのではなく、リリスの方に危機が迫っているのではないかと思ったのである。
そして俺の予想は当たったらしく、リリスの腹部から黒い腕のようなものが現れ始めると、その手によって身体を切り裂かれたのである。俺はすぐに回復魔法を使おうとするが間に合わないのであった。そして次の瞬間リリスは光に包まれて消えるのである。
「どうしてリゼのやつがこんな攻撃をしてくるんだよ? 意味がわからん。なんで仲間を攻撃する必要があるんだ? は?意味がわかんないわ! というか、あいつは本当にリゼルなのか!? 一体何を考えているっていうんだ!」
クロナが叫ぶと同時にクロニも動き出し、クロネも同時に動き出したのだが、クロニの動きが止まってしまうと俺も動きを止めてしまいそうになるのであった。しかし俺が止まったことで今度はリゼの攻撃対象になったのか俺はリゼに狙われてしまう。そのため俺は全力を出してその場を離脱しクロナの元へ向かうことにしたのだ。
そしてその途中で先程までは動くことができなかったクロナが再び動き出してくれたおかげで何とかリゼから離れることに成功した俺はそのままクロナの手を取ることに成功する。
「ごめんなさい。助けるのが遅くなって。それにしてもクロナ、君は大丈夫かい?」
「うむ、問題ない。しかし、クロナは今消えたばかりだと言うのにまたクロナとクロネが現れるとは不思議な感覚であったな」
「確かにそうですね」
「それよりクロネのやつ、クロエとクロノが一緒にいることを忘れているんじゃないか? あれじゃ、リゼをどうにかできるはずがない。クロナはリゼを殺すつもりなのか? だとしたら俺も手伝わないと。クロナとクロニの二人がかりでもリゼは倒せないかもしれないが、少しぐらいの時間は稼げるはずだ!」
俺はそう言うとリゼと戦おうと構える。
リゼはこちらに向かって剣を振り下ろしてきたのだ。しかしそれをなんとか受け止めることはできたものの、反撃に移ろうとするとすぐさま距離を取られる。やはり簡単には勝たせてもらえなさそうである。
すると俺の視界が真っ暗になる。しかしそれがクロネの仕業であることに気づくと、俺は剣を握る力を強めるのであった。そして再びリゼと戦うと、彼女の表情が驚きに満ちたものになっていくのがわかった。どうやらようやく俺のことを見極められたようだ。
「その剣術、そしてこの魔力、そしてその髪の色。まさかあなたは勇者だったのですか? しかも私を一度殺してこの世界にやってきたという勇者なのですか?」
「ああ、そうだ。よく分かったな」
「それでは、あの時私が倒したのは本物の"勇者"ではなくて偽者だったということでしょうか? それともその勇者がここに来てから偽者が入れ替わったという事でしょうか? どちらにせよ、これはチャンスです。これで魔王の座を再び私のモノにすることが出来ます」
リゼはそう言うと攻撃魔法を放つが、それを避けたあとリゼを睨みつける。そして魔法を使い彼女の行動を阻害するようにしたのだ。するとリゼはすぐに俺に視線を向けて口を開く。どうやら魔法に集中できず俺を攻撃できないことで苛立っているらしい。しかし魔法が邪魔されていることに怒り狂っているわけではなく、単純に俺が自分より強いのかということがわからないようでイラつき始めているのだと思われる。だからここで勝負を決めるために本気で戦うことにしたのだった。俺も本気でやらないと負けるのはわかっていたのである。リゼと初めて出会ったときに俺よりも強かったのだから。だからここで油断するようなことはしなかった。むしろ全開で倒すつもりで挑んだのである。しかしリゼの様子がおかしかったのだ。明らかに先程とは違ったのである。
「くっ、どうしてこの私が押されてしまっているのよ。ありえないでしょ! 私とここまで互角の戦いができるなんて。どうして、どうしてよ! あなたは魔王の味方をしているんじゃなかったの? 私は魔王の敵である勇者を倒すためにここに来たのよ! どうしてよ! 私の方が有利なはずだったでしょ! それなのに、どうしてよ!」
俺はそんな言葉を無視してひたすら攻撃を仕掛けるのだが、俺が本気を出したところで彼女を倒すことは不可能であると判断するとすぐに本性を表すことにした。このままじゃリリスの命まで奪ってしまいかねないからだ。俺は本気を出すことにして彼女を倒しにかかるのである。しかしそれでもリゼを倒すことは出来ず、俺もかなりのダメージを受けてしまう。だがこのタイミングでリリスが駆けつけてくれたのだ。そして彼女はリゼに攻撃を仕掛け、俺への攻撃を止めることに成功する。
「ふぅ、危なかった。ギリギリ間に合ったみたいね。でもまだ安心はできないけど。それよりもクロちゃん、無事かしら? 随分と怪我しているようだけど」
俺はリリスの質問に対して正直に答えることにする。下手な嘘をついても仕方がないし。
「俺は平気だよ。ちょっと攻撃を受けちゃっただけなんだ。ただクロニとクロナの二人の体力を回復する手段はないかな?」
「それなら私に任せてください!」
俺はその聞き覚えのある声に反応して振り向くとそこにはアリサがいたのである。彼女は俺のことを心配してくれているようなので俺も彼女にお礼を言うのであった。
「アリサありがとう。それで回復してくれるっていうのは――あっ、そういうことか」
俺はリリスがリゼの注意を引いてくれていたのを良い事に、こっそりとクロコが近寄ってきていたことに気づいた。だから彼女が俺とアリサの回復役になってくれるのであろうということがわかったのである。クロコが俺の傍に来ると、彼女はまずクロコの治療を行う。クロネはそのあとでクロニの治療を行っていた。そしてクロナについてはすでに治療を済ませておりクロナを治療していたのである。クロナに関しては、俺に迷惑をかけたのが相当ショックだったのか、リゼルとの戦いの最中には姿を見せてくれなかった。そして俺は今度こそリゼと決着をつけるのであった。
しかしそんな時に邪魔が入る。クロナによって意識を奪われたはずのリゼが目を覚ましてしまったのである。俺はすぐに戦いを止めようとするのだが、それよりも先にリゼルの一撃がクロナを切り裂いていた。そしてそのままリゼはクロナの方へ向かうが俺の方にも攻撃を仕掛けてくる。リゼの攻撃を避けるがクロナがリゼの動きを止めようとしたせいかリゼの足がもつれてしまう。その結果、リゼはリゼの攻撃を避けきれずリゼの攻撃がクロナに当たってしまったのであった。しかしクロナはそんな状態でリゼに抱き着く。そしてクロナが光に包まれたかと思うとそこには傷だらけになったクロナがいたのだ。
そしてクロナの攻撃を受けたリゼの腹部には穴が開きそこから血が流れ出ていくのであった。しかしそこでリゼは俺の方を向くなり俺を指差して言う。
「まさか、まさか私の攻撃をまともに受けて生きている人間がいるとは思わなかったわ。それもこの子達と同じように、転生した人間なのね。それにしてもまさか、クロネルの生まれ変わりがクロノと、その妹のクロネだと思っていたら実はその双子が生まれ変わった存在で勇者クロネルだったというわけ? はぁ~、これはさすがに予想外すぎたわ」
「どうしてそこまで知っているんだよ? もしかしてリリスから聞いたってことか?」
「ええ、そうですよ。ちなみにあなたと、あなたの妹さんとクロニの三人は前世の記憶を取り戻したんでしょう? それで私がクロネルとクロネの姉だってことはバレてしまったのでしょう。それじゃ、今度はこっちの質問。リゼルについてどこまで知っているか答えてもらおうかしら?」
リゼルの質問に対して俺が返答に困っているとリゼがさらに追い打ちをかけようと剣を振りかざす。そのため俺は彼女を拘束しようとするのだが、リゼは簡単にそれをかわしてしまう。そして再び俺の方に視線を向けたのだ。
「私の攻撃をあんな簡単に避けることができる相手と戦うのも面倒ね。やっぱりあなたが本物の魔王ということなのかしら。まあ、別に今はどうでもいい話ね。クロエに、そしてクロナとクロニの三人がいれば私は魔王になれる。それだけわかれば十分だから」
「お前は一体何がしたいんだ?」
「魔王になりたいに決まっているじゃないですか。クロネルを倒したあと、私が世界の支配者となるんです。そして世界を支配したあとで私に逆らう奴らを根絶やしにする。それが私の目的です」
リゼルのその発言に俺は思わず言葉を失った。そんな俺の様子を見かねたリゼが再び口を開いたのである。
「勇者がこの世界を支配なんてしたらいけないと思っているのかしら? それは確かにあなたの気持ちはわかるわ。でもこの世界には勇者が必要なの。だからこそ勇者が魔王を倒すことが世界のルールになっている。つまり魔王がいなくなれば勇者は必要なくなるということ」
「なるほどな。確かに一理あるかも知れねえ。だけどそれでも俺はこの世界で生きていければ構わないぜ。俺は俺の意思でこの世界にやってきている。俺に強制されたわけではないから俺の自由にしてもいいはずだろ。そしてもし俺がクロネルとリゼを殺したとしてもそれが原因で新たな争いが起こることはないはずだ。なぜなら俺は元の世界に戻る方法を見つけようとしているのだからな。だから仮にリゼやクロエと戦わなくてもいずれはこの世界を去らないといけない運命にあるんだ」
俺の言葉を聞いてリゼは納得した様子を見せるがどこか寂しげでもあった。しかしリゼルは再び剣を構えると俺に向かって斬りかかってくる。俺はそれを魔法を使い何とか防御するが、リゼの剣技はかなりのものだったのである。その動きがクロネのものと似ていたので、どうやらリゼはクロニと戦って技術を得たのだと推測する。そして彼女の攻撃を防ぐと魔法を使って攻撃を試みることにした。
俺は先程の会話の中で引っかかっていたことを口に出して確認することにした。
「一つだけ教えてほしいことがある。クロエ、リリス、そしてリゼはどうして勇者の力を手に入れられた? 勇者が魔王を倒すことは歴史が証明していること。それなのに勇者である俺たちがその力を持っているということはおかしいじゃないか。勇者の力を手に入れる方法が必ずあるはずなんだ。そしてその方法は、この世界に来てから俺が得た知識では、この世界でも魔法が使えるようになるための儀式があるということだけだ。でもリゼはそれを行った形跡はない。つまり、儀式以外の方法で手に入れたってことなんだろう? リゼはその方法を詳しく知りたい。そしてそれを聞き出すためには俺を殺すしかないと考えているんじゃないのか?」
俺の質問に対してリゼは何やら考え事をするように黙り込むが俺への攻撃の手を休めることはなかった。俺が魔法を放ち続けて攻撃し続けると、やがてリゼルは俺の目の前まで迫ってきたのだ。俺はそれを避けずに攻撃を受けると彼女は驚いたような表情を見せた。そして彼女は少し後退すると何かを考えていた。そしてようやく俺の問いに答えてくれたのである。
「あなたを、あなたを倒すことが出来ればその儀式と、私がどうして勇者の力を扱えるかについて、知ることが出来るのかも知れないと思っただけよ。でも私はもう限界のようね。クロエとリリスはあなたが倒してちょうだい。私はクロエの双子の妹に止めを刺してくるから」
そう言い残して彼女は走り去っていった。それを確認すると俺はリリスにクロニのことを任せてクロナの方に駆けつける。するとそこには血まみれの状態のクロナが横になっていた。そんなクロナをクロコが泣きながら抱きしめている状況である。俺はそんな彼女たちを落ち着かせるために話しかける。
「心配するな、二人とも俺が回復させてやる。クロナとクロコはここで待っていてくれ」
俺はクロコが返事をするよりも先にクロナとクロニの治療に取りかかる。しかしリリスもかなりの傷を負っておりすぐに回復することは出来なかった。
クロナとクロニの治療が終わるのと同時にリリスがリゼを仕留めることができたのか、彼女が姿を現したのである。
「リリス、よく頑張ってくれたな。おかげで助かったぞ。それじゃ、ここからは俺の仕事か。俺一人であいつを相手にするのはきついけど頑張るか!」
「お疲れさまです。リゼルなら私も手伝いますよ。それと一応クロネとクロネの傍にいるクロネの姉妹も助けてあげてください」
俺はその言葉に笑顔を浮かべて答えるとそのままリゼの方に視線を向けるのであった。そして戦いを始めるのである。まず最初にリリスが攻撃を仕掛けるが、リゼはこれを軽々と避けてみせた。しかしリゼルはすぐに体勢を立て直すと俺の背後から斬りつけてきたのである。そのことに気づけたのはたまたまだったと思う。ただ、偶然に俺の背後に目線を移した際に、その視界に入ったから気づいただけだったからだ。
しかしそんなことを言ったところで意味はない。そのため俺にはリゼの一撃を避ける手段はないのであった。なので俺はそのまま斬られる。そしてその攻撃の痛みを堪えている隙をつかれて、リゼルによって首を切断されてしまった。俺はすぐに自分の身体が再生されていく光景を見てホッとする。ただ、これで安心はできないので俺はそのまま立ち上がると、すぐさまリゼを殴り飛ばす。
俺の攻撃で吹き飛ばされてしまったリゼだったが、特に問題もなく立ち上がってきた。そして再び戦い始めるが俺はリゼの攻撃をかわし続けている。正直、俺はリゼルの剣術の腕についてはそれほど評価していない。むしろ弱いとすら思っていた。しかし、それでも彼女が強敵であることは確かであり、このまま長期戦を続けていても勝つことはできないだろう。それならばどうにかして早く勝負を決めたいと考えていたのだ。そこで俺はある作戦を実行することにする。
俺はあえてリゼの攻撃をわざと受けることにした。そして彼女に殴られた俺は地面に叩きつけられる。もちろんリゼルがそんな好機を逃すはずはなく、すぐに俺の方へ走って来て俺の心臓を一突きしてきた。そして俺の胸に手を当てた瞬間だった。俺の中に膨大な量の魔力が流れ込んできたのだ。そのため俺が驚いている間にリゼルの手から炎が生まれ俺を焼き尽くした。
だが俺には火傷ひとつない。そのことを確認したリゼルは驚きの声を上げるのである。
「なぜ生きている? 私の魔導砲を受けたら普通に死ぬはずだ」
俺はそんな彼女の言葉を耳にしながら魔法を発動させる。俺が発動したのは"死眼の盾(デッドアイ)"と呼ばれる技だ。これはその名の通り相手の死に方を選んでその相手を殺す技である。今回は相手が相手だったので、俺自身にも影響があり全身が焼けるように痛む。俺はその状態でリゼルに向けて駆け出すと、彼女を蹴り飛ばした。
リゼルは地面を強く転がって行くと起き上がろうと試みるが、それを俺が許すはずがない。
俺が剣を振るとリゼの右腕が吹き飛んだ。それによりリゼルは激高する。そして怒りに任せて何度も俺に向かって剣を振り下ろす。しかしそのどれもが当たることはない。俺がリゼの攻撃を回避し続けていたからである。
そしてついに俺はリゼの胸元を掴むと、そのまま彼女を持ち上げた。リゼは苦しそうに声を上げながらも剣を突き立てて反撃するが俺は簡単にリゼから剣を奪う。しかしリゼルは俺のことを睨みつけて笑ったのである。俺はそれがどういう意味を持つものなのかを理解していた。だから俺は即座にその場から離れる。そしてリゼルは先程奪ったばかりの剣を俺に向かって投げつけたのである。俺は剣が直撃してしまうが、致命傷は避けることに成功したのであった。しかし剣の柄で俺がダメージを受けていることにリゼルは気づく。そしてニヤリと笑ってみせた。その次の行動でリゼルは俺がダメージを負った箇所を狙うようにして俺に攻撃を開始したのである。
俺は彼女の攻撃を回避するのが難しくなり始めていた。俺はリゼが振り下ろした剣を受け止めた。そのことでリゼルが一瞬だけ驚いた表情を見せる。
俺は彼女の剣をはじき返す。そしてさらに彼女を追い込むべく攻撃を加えるが彼女は俺が繰り広げる攻撃をなんとかかわし続けていた。俺とリゼの戦いは徐々に激しくなって行く。俺はリゼルから受けた攻撃でかなりの数の骨にひびが入る。それだけでなく、肉体にかなりのダメージが入っていた。しかしそれでも俺の方が優勢であったのは事実だった。そんな状況の中で俺はリゼルの攻撃を受け流しきることに成功すると、彼女の顔に回し蹴りを入れる。それによって彼女が倒れ込むと、今度は腹部を踏みつけるように攻撃した。そして最後に頭上に剣を構えるとそのまま一気にリゼルの頭部に向かって剣を叩き落としたのである。そして剣は見事にリゼルの頭に直撃した。彼女はそれで完全に動かなくなった。俺の勝利である。
俺は息を整えるためにその場に腰を落とす。するとリリスたちが俺のもとに近づいてくると俺に声をかけてくれた。
「クロナたちを助けたみたいですね。クロナたちは大丈夫そうですか?」
「ああ、リリスが治療してくれたおかげもあって、クロナたちも元気になったよ。本当にありがとうな」
「いいえ。それよりもクロネはどこです?」
「そうだな、そろそろ探しに行ってくるよ」
俺は立ち上がりクロネを探すことにする。
クロネを見つけるまでにそこまで時間はかからなかった。というより俺はこの村に入ってからあることを忘れていたことに気づいていた。クロネルを殺したのがクロネの姉だと判明した時点で気づかなければならなかったことである。
クロネは自分の家族がこの村の人間たちに殺されたことを聞いて、ショックを受けた様子で家に戻ってしまったのだ。
しかし、俺はこの村の人間がやった行為は決して許されることではないと思っている。それはもちろん村人だけではなく、クロネルを手にかけた犯人も許すつもりはない。それに俺は勇者の力で前世の世界の記憶を取り戻すことができたため知っている。
俺が死んだ後に何が起きたのかということを――。
それは世界を救うために必要なことであったとしても許されないことであり、俺は絶対にそんなことは許さないのであった。俺は決意を新たにするとそのままクロネの家に向かう。
俺はクロネを家の外から呼びだすことにする。俺の声に反応するように中にいた少女が出て来る。そして彼女は俺のことを確認すると泣きながら抱きついてきた。
俺は彼女の涙を止めるために抱きしめると頭を優しく撫でてあげたのである。そうすると彼女はようやく泣き止んでくれたのである。それを確認すると、これからの行動について伝えることにした。俺の話に彼女は首を傾げる。そして俺はある提案をしたのだった。それは一緒に暮らそうとのことだった。もちろんいきなりそんな話をされても困るだろうと予想していたのだが、以外にも二つ返事でOKを出してくれたのだ。それから俺とクロナ、クロナの妹二人を加えた五人で暮らし始めたのであった。ちなみに彼女たちはこの村で生活することになるのだが、その際に村長からお願いされたことがあった。
その願いというのが俺に対する支援物資を定期的に送るから、それをクロネの故郷で暮らすクロナの姉妹に渡してほしいというものなのだ。クロナは俺にそのことを頼んできた時はとても嬉しそうな表情をしていた。どうやらクロニも妹が出来たことに喜びを感じていたようである。しかしリゼを倒すために協力してもらった手前あまり断ることもできずに受け入れることにしたのであった。俺はその頼みを受け入れると約束する。こうして俺たちはクロネリ村での生活を始めて行ったのである。しかしここで問題が起きてしまう。リゼの件が解決してから数日経った日のことだった。
「ご主人様! 助けてください!!」
その声で目が覚める。目をこすりながら起き上がるとそこに現れた人物に俺は思わず声をあげてしまった。その人物はなんと魔王の配下である四天王の一人にして最強の戦士と名高い存在である、あのリゼルだったのである。リゼルが何故ここに? そう思って俺の脳裏に浮かんだのが一つ。おそらくリゼが復活してこの場所を特定してしまったのではないかと考えたのである。ただ俺としてはこのまま戦うよりもまずは落ち着いて話ができる場所に行きたかった。だから俺は何も言わずにある提案をしてみた。その質問というのは俺と一緒に来てはくれないかというものだ。
俺の提案に最初は警戒していたが、リゼルは俺に敵意がないとわかると、すぐに了承してくれるのであった。
とりあえずリゼルと俺は一度クロネルが住んでいた洞窟の中へと移動するとそこで話し合った。そこでわかったことは俺が転生者だということについて、俺が記憶を失っていることなどを伝えると、俺に協力を求めてきたのである。なんでもこの世界を混乱させようとしている者たちがいるらしく、俺が以前暮らしていた世界の技術が悪用されようとしているらしい。それを阻止するには俺の力が必要とのことだ。俺は別にこの世界の住人たちのことなどどうでもよかった。しかし俺が暮らしていた世界に迷惑をかけようとする輩は別だ。なので俺はその計画を実行しようとしている組織を壊滅させることにした。しかしリゼルは自分だけでは戦力不足であると感じていたようだ。だからこそ俺に協力を要請したのである。そして俺はその提案を受け入れて協力することを誓うのであった。
リゼルと共に俺が元の世界に戻るための準備を進めているとリゼが襲撃してきたのである。リゼルはリゼルのことを睨みつけており、すぐに戦闘が始まった。そして俺は戦いの途中で自分が使えるようになった"魔法"の力をリゼルに向けて使用する。その魔法とは"死眼"と呼ばれるもので相手を即死させる能力を持っているのである。しかし俺の魔法は"死眼"のなかでもかなり特殊な魔法であった。その"死眼"の名前は"魔導眼"と言うものである。
俺はこの世界に存在するすべての生物が持つ魔力を見ることができる。そのため、相手の魔力量などを確認できるし、どんな魔法の使い方をするのかということも把握できるのだ。しかし"魔導眼"はその性質を大きく変えることが可能となっていたのだ。俺はこの世界で得た"魔導眼"を使って魔力操作をマスターすることで自分の魔力に作用させることができるようになっているのだ。そのため俺が今使用している技には"死魔導砲"と名前をつけた技を発動した。この技は俺が作り出した技ではなく、この世界では当たり前に存在しているものであった。
"魔導眼"を使い魔力を操作し、そしてリゼに対して攻撃を加えることによって発動した技こそが"魔道砲"だ。俺はその技を放つとリゼルを吹き飛ばすことに成功した。そしてリゼルが倒れたことを確認した俺はリゼルのもとに近づくと、俺は彼女に語りかける。
「さっき言った通り、俺はこの世界が元居た世界とは違うってことを知ってる」
俺はそう言うとリゼルに俺が持っている前世の記憶を話す。それを聞き終えると同時に、俺はリゼルに向けてあることを告げる。それは前世で俺の仲間になってほしいというものだった。
「俺の仲間にならないか? きっと楽しいぜ」
そう言われたリゼルは戸惑いを見せていたが俺はそのまま続けた。そして俺の熱意に負けてくれたのかリゼルは了承してくれた。俺は改めて仲間になったリゼルに自己紹介を行った。俺は前世のことを覚えていないからな。
その後、リゼを倒したことでリゼルから情報を色々と聞くことが出来た。どうやらリゼルは元々俺が所属していたギルドの一員であったみたいでその実力はかなりのものであったという。リリスによると彼女もかなりの使い手だったということであったが、そんな彼女とほぼ互角に戦えるほどだったというのなら納得できた。俺はこの先リゼルにリゼルにリゼルのことについて話すように要求した。すると彼女は俺の要望通りに俺とクロネルの関係について話し始めてくれる。彼女は元々俺とリゼが所属していた『ブラックスミス』というギルドの所属で、俺の幼馴染であったのだという。しかしある日、突然姿を消してしまった俺を探してここまでたどり着いたそうだ。
そしてクロネルの死を知って彼女は俺に復讐を決意したのだそうだ。しかしそれを知った俺が自分の命と引き換えに俺を復活させようとしたため、彼女は思い留まることを決意したという。
俺はその言葉を聞いて少しばかり心苦しくなった。しかしリゼルは俺に感謝していた。それは俺がリゼルを助けに来てくれたことだ。リゼルは俺の言葉を聞くと嬉しかったと言ってくれて俺は胸をなでおろすことができた。そうすると、ここで新たな問題が発生してしまった。それはクロナたち姉妹のことなのである。俺はクロネにリゼルは悪い人間ではないから一緒に暮らすことができるのではないかと聞いてみるが、リゼルに怯えてしまっているクロナたちはそれを拒絶してしまうのである。
俺はそんな彼女たちを見つめると一つの案を出した。俺がリゼルに説明を行い、リゼにクロネルの妹二人を預けるという案を――。クロネはそれを聞くとリゼルの方を見た。リゼルがクロネの姉だと理解すると、クロナはリゼの元に行く。
「私はクロナ、よろしくね!」
クロナがそう言い放つとリゼは驚きながらもクロナのことを抱きしめた。そして二人はお互いの名前を連呼し合うと、その場で抱き合って泣き出すのであった。
俺はクロネルの妹二人をリゼが面倒見てくれればいいかなと考えていたのだが、意外にもリゼルはこの村の人間たちが引き取ってくれることになったのである。どうやら村長に頼まれたようであった。俺がクロネルの墓を作ろうと思っていると告げると、それを聞いたリゼルはクロネルの家の隣に墓を作ってくれることになったのである。
それから俺たちはクロネルが使っていた武器を回収したのちに再び村を出ることにした。それから俺たちは森を抜けて王都へと向かった。俺はその途中でアリサの母親と出会ってクロナが世話になったことを謝り、クロニが生きていることを伝えると大喜びで涙を流していた。俺はその様子に思わずもらい泣きしてしまうのであった。
それから俺とリゼルが王城に向かうまでに様々な問題が起こったが、俺はリゼルと共に乗り越えていき、無事に魔王ルゥの討伐に成功することができたのである。これで俺は元の世界に戻れるのかとホッとしていると、ここでリゼルから提案をされるのであった。それは元いた世界で魔王を倒すことを約束してくれないかという話であった。俺はそれを了承することにしたのである。それから俺とリゼルは魔王ルウの身体と、その力を回収すると、元の世界に戻るべく転移を開始したのであった。
俺が魔王の力を取り込んだ後に目を覚ますとそこは俺が生まれ育った場所、俺の部屋だった。俺は元の世界に戻って来れたのだということに喜びを噛み締めていると、俺はあることに気づく。それは隣にリゼルがいたことであった。リゼルが何故俺と一緒に戻って来たのかと疑問に思ったのだが、そこで俺は彼女が魔王であることを思い出す。リゼとクロナが同一人物だということはクロネルが死んだ時に確認済みであった。つまりは俺とクロナは彼女の正体を知っているということである。しかしここで一つ問題があることに俺は気づいた。魔王と勇者は対立関係なのだ。俺とリゼルの関係が良好なものであることを証明しなければならない。そのために俺とリゼルはまず魔王の力について話し合いを行う。その結果として魔王の力についてだが、まずはリゼルの力はリゼルが元々保有していた力と魔王の力で大きく変わっていることがわかった。
まず俺の場合は俺自身が転生者であることやリゼルの加護のおかげで転生特典を手に入れることが可能となった。しかし俺の"死眼"の場合だが転生者ではなくてもその能力を使用することができる。
まず俺の場合、俺には前世で得た記憶が残っているし、その能力は引き継いでいる。なのでリゼの転生特典としては、スキルの自動取得がついており、俺が使う魔法は全て使用できるのである。しかし、俺が元居た世界の能力を使うためには、リゼルが転生者として俺の世界に来た際に俺と同じように異世界に転生する前の能力を使用することが可能となるのである。しかしそれでもやはり俺は元居た世界の技術についてしか使えない。例えば俺は元居た世界でゲーム会社で働いていた。しかしこちらの世界でそういった技術を俺が使おうとしても使用することができないのだ。これはおそらく、その世界がこの世界とは別であるからだと考えられる。
また、この世界には存在しない物質を作り出すことはできないようだ。しかし俺の持つ魔眼は俺が元居た世界にあったものを再現することができるのである。
リゼルに関してはこの世界に存在している魔法や魔術が使えるようになる。そしてリゼルは転生者としては俺よりも上位の存在なのでこの世界のあらゆる魔法を使えるようになっているのである。
そして次に気になったのは俺が手に入れた魔眼である。リゼルの話によるとこの世界に存在していた全ての魔力を見ることができる"魔導眼"が"魔眼王"に進化していた。俺の視界の右下に"魔眼"の表示が出るようになっていた。ちなみにリゼルにはその能力については既に伝えている。リゼルは驚いていたが俺が前世の話をした時に俺には"眼"の力が引き継がれているということを知っていたためにそこまで大きな反応はなかったのである。
ただ、この魔眼はあくまでも魔眼である。リゼルが持っている"魔眼"は"魔導眼"へと変わってしまったのだから当然その効果も大幅に落ちてしまっていた。そのため俺の視界にある魔眼は"解析眼"というものだけであった。俺がそのことに関して質問をすると魔眼は魔力を消費して発動することができるらしく、魔力量に応じて性能が変わるのだという。
俺はそれを聞き終えると今度はこの世界でのリゼルについてのことを考えた。どうやら俺がこの世界に来る前から、すでに俺以外の仲間が存在していたらしい。リゼルはその仲間のところへ帰りたがっていた。ただ、仲間というのがどうやら"黒猫"という冒険者のようでその居場所を突き止めることができなかったのだという。それで仕方なく一人で旅をしていたのだと言うがリゼルとしてはクロネルの死を知ってしまい、それどころではなくなってしまったのだろう。俺に助けを求めてくれたわけだ。俺はその話を聞き終えると同時にリゼルに協力を申し出た。俺もこの世界を探索してみたかったからというのもある。それに俺はこの世界のことを知っているし、その知識が役に立つこともあると考えたからである。リゼルは俺に礼を言うと同時に、俺に頼みごとがあると言ってきた。俺はその内容を聞くとリゼルの望みを叶えるべく行動することを決めたのであった。
俺の望みをかなえてくれたリゼルと俺の旅が始まったのであった。
俺とリゼルの旅が始まり数日が経過し、その間にも俺とリゼルは様々な困難に遭遇した。リゼルは俺のことを魔王として警戒しているようだったが、俺の正体を知った後、態度が急変したのである。リゼルから俺に対して色々と話しかけてくるようになった。俺もそれに応じるように話すようになっていったのである。
しかし俺たちはリゼが元魔王であったことを知る人間から命を狙われてしまうことになる。どうやらリゼルの存在が邪魔になった者たちによってリゼルの命が狙われているという情報が入ってきたのである。
俺はリゼルを自分の家に置いておくのは危険かもしれないと考え始めるが、その時にはもう遅かった。リゼルはすでに家を出ており、それを探し回るも結局見つけ出すことはできずに俺は諦めてしまう。
俺がどうしようかと悩んでいるとそこにクロネルの妹二人が現れた。彼女たちによるとクロナとクロニに世話になっている人たちを助けてほしいのだという。俺がそのことをクロナに確認をとろうとするとクロナは泣き始めてしまい、それを見たクロナがクロナの代わりにその依頼を受けることを決断したのであった。そして、俺はそのクロネルの妹二人を連れて行くことにしたのである。
俺はリゼルが無事でいてくれるといいなと思いながら彼女を探すため、再び旅立つことを決意する。俺はクロネルから受け取った魔剣『レーヴァテイン』を持って、再び旅を始めるのであった。それから俺がまず向かったのは、王都であった。王都には俺が元いた世界の情報を集めることができるはずだ。そう思い俺は王都に向かった。王都に向かう途中にも魔物が襲ってくる。俺はそれを難なく撃破しながら進んで行ったのである。
俺とクロナ、クロニはクロネルの妹二人を連れてクロナがクロネルの妹二人を引き取ると言った村にやってきた。クロナはクロネルの妹二人を妹だと紹介したのだが二人は納得してくれなかった。しかし、俺がクロネルにそっくりなことを告げると二人は信じてくれていたのである。それから俺はクロネルの墓を作り、リゼルの墓を作ったのちにクロナたちと別れ、俺は再び旅に出るのであった。俺はクロネルに頼まれていた通りクロネルとクロネの墓に花を添えていく。そしてクロネルの墓に向かって俺は言う。
「じゃあ、行って来るね」
俺はその言葉をクロネに伝えてクロネスとクロネルの墓から離れるのであった。それから俺は王都に向かい始めた。クロナたちと一緒にいる時は、なるべくクロエとクニミのことを考えていたのだが一人になるとどうしても二人のことを思い出す。そんな気持ちを押し殺そうとするのだが、やはり押し殺すことができずに涙がこぼれ落ちる。
それから王都についた俺はすぐに行動を起こすことにした。王都では情報収集と買い物をしたのであった。俺は王城で魔王討伐について聞いてみるが特にこれといった情報は得られなかった。しかし、魔王ルウと戦おうと考えている人物がいるということは聞くことができた。
俺は魔王ルウとの戦いに勝てる人間なんていないと考えていたが、その人間は"勇者の子孫"と呼ばれる一族なのだとか。俺はその話を耳にしてから少しばかり興味を持つようになりその人物がどのような人物であるのかを確認するために城から外に出ることにした。俺がその勇者の子孫であると思われる人物はどこの誰なのかを聞いてみたところ、城の兵士たちからは誰もそのことについて答えることはしなかった。
俺は勇者の子孫と言われている人物が気になっていたのである。そこで俺は兵士の誰かが言っていた酒場に向かう。そこには俺と同年代の女の子がいた。俺がその少女に話し掛けようとすると、突然その少女から腕を掴まれる。その瞬間、彼女は俺が元魔王であることに気づきその正体について確認してくるのであった。俺はその問いに素直に答えた。その少女がクロネルに似ていることもあって、俺は彼女にだけは魔王だということを隠すことをしないのであった。俺が彼女の質問に応えていくとその途中でクロネルについて尋ねてきた。
俺が元の世界に帰るときにクロネルと一緒にいたことを話すと、どうやらこのクロナと呼ばれている勇者の子孫である女の子がクロネルの双子の妹のクロネルだったようである。俺の話を聞いたクロナと俺はクロネルのお墓を作ってお祈りをしたあと、クロネルと魔王について話を始めた。そこで俺はクロネルに魔王の力について教えてもらう。魔王の力は魔眼であり、魔力を使って使うことができるということを教えてもらった。俺はその魔眼の効果を確認しようとした時にクロナからストップがかかる。それは魔眼の使用には代償が必要だからである。その使用には魔力を使う必要があり、魔力量に応じて魔眼の性能が変化するのだという。そして魔力を消費することで、俺の目で見る世界がモノクロに変わる。それがその魔眼の機能らしい。そして魔力の消費量が多いほどその性能が高くなるのだという。
俺の"死眼"に関しては自動回復がついているらしく、俺自身の魔力を自動的に回復するようになっているらしい。なので、俺の魔力が枯渇することは無いらしい。そして、魔眼を発動させる際に、消費した魔力量に応じた時間視界にモザイクがかかり、その機能が発動するようになっているのだという。しかし、その発動中はその効果によって目が見えなくなるというデメリットがあった。
また俺の持つ魔眼についてはリゼルとクロネルしか知らなかったが、俺の仲間になった以上は知っておかなければならないだろうと思い俺は全てを話し終えた後でリゼルとリゼルに関係していた者たちの記憶が改竄されていたことやリゼルに力を与えた者についても話し始める。すると、リゼルは驚いたような表情を浮かべてから、何かに気づいたように俺に言った。
「私の力がこの世界に転生する前にもらったものと同じ能力であることはわかったのですが、どうしてその能力が"黒猫"の加護としてこの世界に存在していたはずの私に引き継がれているんですか?」
俺はリゼルからの言葉を受けてからその理由について説明をする。俺には前世という世界があってそこからこの世界に転生した。その前世の世界の人間がこちらに転生した場合のみ俺と同じようにこちらに転移することができる。俺が転生した時点で、リゼルの力は転生した際に引き継がれることになるはずだったが、俺のほうでこの世界に来た時にあった力が引き継がれているようだ。
俺はリゼルのその言葉を聞いた後に自分の考えを伝えたのである。そして、そのリゼルの質問に対して俺はその質問を返すことによって、自分が異世界からの人間だということを明かすことにする。そして、俺は元いた世界で死んだ理由を説明した。するとリゼルが俺がこの世界で生きやすいようにいろいろと協力してくれると申し出てくれるのであった。
俺はその申し出を受けることにしてこれからも共に旅を続けようとリゼルに伝えたのである。リゼルも喜んでその俺の提案を受けてくれたのであった。こうして俺はリゼルとリゼルとクロネル、クロネルとクロナとクニミ、リゼとクロネ、俺の6人と一緒に旅を始めることになったのである。
俺たちがこの村を出発してしばらくが経過した。クロナは聖女と勘違いされているようでこの村の住民に好かれている様子だ。クロナたちはというと、彼女たちも村の人々に受け入れられているみたいだ。俺とリゼルはクロナたちが仲良くしているところを見ながら微笑んでいた。俺は俺の隣にいる魔王リゼルを見る。リゼルも同じように俺たちのことを見ていたのであった。俺が視線に気づいてそちらを見ると俺の方を見て笑顔を向けてくれたのであった。俺はそのことに嬉しく感じつつも、俺はこの世界の人たちのためにも早く世界を救わなければと思うのであった。
俺とリゼルはそれから数日間、野宿をしながら歩き続けた。俺たちが歩いていると魔物が現れたが俺一人で簡単に倒すことができていた。どうやら俺の強さは以前より上がっているようであった。それから俺が魔王城までもう少し距離が近づいていることを告げると、リゼルが急かすようにして先を急ぎ始める。俺はそんなリゼルを必死に追いかけていく。
ようやく俺とリゼルは目的としていた場所にたどり着いた。そこは森の中の開けた場所であった。そこには小さな家のようなものがありその家の煙突から白い煙が出ていたのである。俺は不思議に思ってそこに入っていく。その小屋の中に入ると、どうやら一人の老婆が住んでいたのだ。そして、その女性は俺の顔を見た途端に俺が何者か理解したかのように口を開いた。「おお!あなたが噂の魔王ですね!」
俺がそうだと告げると老婆はこの家にある物を使って魔王城に辿り着ける方法を教えたのである。それを聞いた俺は早速試してみることにした。まず、俺とリゼルを大きな箱に詰め込んでからそれを運んでもらう。その移動の最中に俺はリゼルの体に異常がないか確認することにした。リゼルに確認したところ、今のところ問題なさそうであった。俺が安心した直後、目の前に突如巨大な魔方陣が現れる。俺は驚いていたのだがリゼルは何食わぬ顔でその魔方陣の上に立つのであった。すると俺とリゼルの姿は忽然と消えたのである。
それから俺が目を開けると目の前に城のような建物が現れていて俺の身体に異常がないことに俺は安堵した。それから、俺は城の前に立っている見張り兵たちに声を掛けることにした。すると、彼らは突然現れてしまった俺を警戒する。俺がその兵士たちに向かって危害を加えるつもりはないことを説明すると、その兵士たちは少しの間考えると武器を置いてくれたのである。俺はすぐに城の入口へと向かうことにしたのだが、その時後ろを振り向くとその兵士たちは唖然となって固まってしまっていた。俺はそのことを少し気にしつつも、城の扉を開くことにしたのである。
俺は城の入口の前で立ち止まってしばし城を見上げていた。俺の前に広がる城は西洋風の大きな建造物であったのだ。しかし、見た目が美しい反面、所々に黒いシミのようなものがあることに気づいたのである。俺は少しだけ不気味さを感じたが、気を取り直して中に足を踏み入れることに決めた。俺は恐る恐る城の内部に進んでいった。俺は城の内装について考えていたのだがその途中でとあることを思い出していた。魔王の城には本来、四天王の一人が守っているという話を聞いていたので俺はこの城には誰がいるのかを考えながら歩いていくことにした。それから数分くらい歩くと前方の方に複数の人間の気配を感じ取ったので俺はその方向に向かった。その先にいたのはどうやら4人の女性だったようである。その女性たちの容姿はどうやら魔王軍四天王によく似ているようだ。そのうち一人はとても見覚えのある人物だったのですぐに気づくことができた。どうやらその女性がこちらに気がつき俺の前までやってきたので俺は彼女に話しかけることにした。
俺の前に現れた女性はかつて魔王城にいた四天王のうちの一人である"死神"と呼ばれているクロネルである。クロネルがどうしてここにやって来たのかについて尋ねるとその理由は俺について行くと決めたのだという話を聞かされたのであった。クロネルに俺が何故ついてくる気になったのかと聞くとクロネルは自分の姉クロネスに会えたことで魔王である俺のそばにいる方が面白いからという答えが返ってきたのである。俺は少し複雑な気持ちになってしまったが、そのクロネルの行動についてはあまり深く聞かないことにしようと思った。クロネルのその話を聞いた俺はとりあえずこの城を出ることを決めた。そして俺は城の外に待たせている兵士たちのことを思い出したので彼らにも外に出るよう伝えたのであった。俺の言葉を聞いた兵士は戸惑っていたが、クロネルの指示に従って外に出ていくのであった。
クロネルがこの魔王城を乗っ取ろうとしているのではないかと考えた俺はクロネルに聞いてみた。すると、クロネルはその言葉を否定した上でその理由を説明し始めたのである。俺はその内容に納得して、彼女の意思を尊重しようと心を決めるのだった。そして、クロネルと俺は魔王の部屋に行こうとしているとクロネルからこの魔王城についていろいろ教えてもらう。
クロネルの話によるとこの魔王城はもともと俺のいた世界で"白魔女"と呼ばれていた"リゼネル"という女性のものであったらしい。彼女はこの世界に転生した魔王が前世では人間だったことを聞いてから、彼の手助けをするために自らこの魔王城を造り上げたのだという。そしてこの世界のどこかに存在する"大魔境"に魔王が住んでいることを知ったリゼネルは魔王に力を与えたらしい。リゼネルは元の世界に戻るための力を欲していたという。
リゼルは"黒騎士"という二つ名を持っていた。その通り名はクロネスから受け継いだものでリゼルの父親がかつて"暗黒騎士団団長"であった頃に授かった名前だという。
俺に自分の正体がバレたことでクロネルが俺に質問してきたので俺はそれに対して自分は元々この世界の住人でリゼルとはたまたま知り合ったことを伝えたのである。するとクロネルは驚きながらも俺の言葉を受け入れる。クロネルと俺が話しながら歩いていると一つの部屋についた。俺がその部屋の中に入るように言うとクロネリはその中に入っていき俺もその後に続くように部屋に入った。俺はそこで一人の男を見つける。それはクロネルの兄であり、魔王の側近でもあった人物"赤騎士"であった。彼は俺とクロネルを見るなりこちらに向かって来た。
クロネリはクロノスのほうを向いていたのであった。その様子に気づいたクロネルはこちらにやってきた男性を見る。男性はクロネルのことを心配するように見ていた。俺もその男性がこちらに来てしまったので、こちらに来ないように忠告することにする。そして、リゼルがこの男が俺の邪魔になるから殺そうとしたので、俺もリゼルの意見に賛同した。俺がリゼルを止めたのには理由があった。なぜなら俺の知る限りでこの世界でリゼルに勝つことが出来る者はいないからだった。
それから俺とクロネスは話をすることにした。クロネスは自分がどうしてこの魔王城にいるのかを簡単に説明する。俺はリゼネルにどうしてこの魔王城に住んでいるのかを聞いた。リゼルの姉だと名乗るこの少女が本当に自分の妹なのかを確かめる為でもある。そのことについては、リゼネルも理解してくれていたらしく自分の口で語ろうとしてくれた。
リゼネルは自分がどうやって生まれてきたかを話そうとしてくれた。この世界における"神子制度"と呼ばれるモノによってこの世界は作られたのだと説明を始める。
この世界の全ての命はこの世界で生きる為に存在しているのだという。この星の命ある者は生まれた時に何か特殊な能力を持っていることがあるのだそうだ。リゼネルの場合はそれが魔力操作の天才であるということだ。リゼルはその中でも特に才能にあふれているのだそうだ。リゼルに聞いたら俺と同じで魔王としての特別な能力もあるのだそうだ。それから俺はリゼルに俺がこの世界に転移した時の状況を説明する。その話を黙って聞き終わったリゼルが突然俺に問いかけてくる。その声色は真剣なものになっていたのである。「その話に嘘偽りはないか?もしもその話が真実なら俺は君を見逃すことができない」「俺はお前と戦うために戻ってきたわけじゃない。俺はリゼルと平和な世界を作ればそれでいいんだ」
俺はリゼルがどうしてそのような考えに至るようになったのかを聞きたかった。俺が知っているリゼルの性格を考えると、そのように変わってしまうことはありえないと思っていたからである。俺はリゼルが俺との約束を破ろうと思っているわけではないと知って一安心した。そして、それからしばらくリゼルと話し合った後で、魔王城を案内することにしたのである。俺とクロネスはリゼルの案に賛成することにした。それから俺たちはすぐに城から出て城の外にある村へと向かう。
クロナとクロネスは俺が連れてきたリゼルの姿を見るととても驚いていた。それもそうだろう。俺だって彼女たちがリゼルのことを知っていなかったら同じ反応をしていたと思う。俺はこの魔王城にリゼルが住むことを許してもらうように頼むことにした。クロネスはそれを了承するどころか魔王の配下にならないかと言ってくれた。それについて俺はリゼルがどう答えるのか確認すると、その提案を受け入れたのである。こうして俺が魔王城に住むことになった。
「えっ?」アリサが突然俺の方を振り向いたので俺と目が合ってしまった。そして、お互いに驚いた表情で見つめ合う。しかし俺は動揺していたのもあり慌てている。一方アリサはなぜか頬を赤くして目を泳がせていたが少しして落ち着くと何事もなかったかのようにまた教科書に目を落としてしまった。
「ねぇ、なんでこっち見たのよ!」
突然クロネルがそう言った。クロネルの声は少し大きかったので俺は周りの人たちの視線が俺に集中してしまったことに気がついた。それからすぐに謝るのだがそのタイミングでちょうど昼休憩を知らせる鐘の音が聞こえてきて俺は安堵のため息をつく。そして俺はすぐに食堂に向かおうとするのだがその前に一度席に戻って昼食を取ってくることをクラスメイトに伝える。
俺はすぐに戻ってくると言い残し教室を出た。
それから俺はお弁当を食べていたのだが、隣に座っている美緒さんは少し不機嫌そうな顔をしていて俺に話しかけようとはしなかった。そんな雰囲気の中で食事を終えた俺は教室へと戻る。俺が教室に戻ると、まだ残っているクラスメイトたちはみんな楽しそうに話をしており、その中で一人不自然な行動をする人物がいたため俺は少し気になったのでそいつに近寄る。するとそこにはクロネルの姿があり、机の上に突っ伏していた。俺は彼女が泣いていたことに気づいたので俺はどうすればいいかわからずとりあえずそのままにしておくことにした。するとクロネルがいきなり俺の顔を見上げてきたので俺はビクッとする。
するとクロネルの目に涙が浮かんでいてその瞳でじっと俺のことを見て、それから俺はクロネルに引き寄せられた。俺は抱きついてきたクロネルの頭を撫でる。するとクロネルはそのまま泣き出してしまった。どうやらクロネルはクロネのことを気にして悲しくなっていたようだった。
それから俺はクロネルを慰めることに専念する。俺がクロネルの気持ちを理解しようといろいろ聞いてみたら、クロネルの両親は"白魔女"だったリゼネルに嫉妬しているのが原因だということを知った。だから俺のことも"白魔女"の仲間であると思ったのかもしれない。
俺はクロネルがなぜリゼルの妹であることを言おうとしなかったのか聞く。俺はその言葉を聞くと同時にリゼルについて考えていたのであった。そしてクロネルの話を聞いてクロネスが俺の邪魔をするから殺したのだという話を聞いて少し複雑な気持ちになってしまう。
それから俺とクロネルの二人きりになった俺は彼女に自分の秘密を打ち明けた。
俺はこの世界とは別の世界の住人だということを話した。さらに俺の前世の名前は黒井拓人という名前であり黒野家の跡取り息子だったということ。俺にはこの世界で魔王となった記憶もないし、前世の世界でも俺が前世では異世界の魔王として君臨していたということなど覚えていなかったこと。それから俺は前世が"勇者"であったという話をすると、彼女は驚いたような顔をする。俺はそのことを話すと俺はこの世界に転生したことを話した。
俺とクロネルが二人で話している間もクロネルは俺に引っ付いたままだった。
俺もクロネルの頭を優しくなでると彼女は嬉しそうに俺の胸に頭を埋めて甘えるようにする。
俺が彼女の名前を呼んだら顔を上げて微笑んでくれ、その様子があまりにも可愛かったので俺も自然とその笑みに応えていたのであった。そして、俺の胸で泣く彼女のことをずっと抱きしめていた。
俺は今この場において、クロネルの両親からクロネルを奪うようなことをしないという決断をしたのであった。それからしばらくしてからクロネルは落ち着きを取り戻したので、それから俺はクロネルからいろいろな話を聞いていた。それから俺は彼女を連れて外に出ることにした。
そして俺はクロネスからクロネルがこの魔王城に住むことについての許可を得たことをクロネスに言う。
クロネスはそれならよかったと言うだけで他には何も言わなかった。そして、俺に何かしてほしいことはないのかと聞かれたので、俺はクロネリのことを頼むことにする。それからクロネルがどうしてここに来ることができたのかということをクロネスが質問してきたので俺も同じように疑問を抱いていたため、そのことについてクロネルが説明を始めた。
クロネリは自分の正体がバレないようにするため俺がこの世界に戻ってきた時とクロネリが俺のところにやって来た時に違う姿をしていたらしい。つまり今の姿が本来のクロネリの姿であるのだそうだ。そして、その姿を見てもわかるようにクロネルもクロネルで普通の人間ではないのだという。それからクロネルも俺と同じようにリゼルに呼び出され、そこでクロネリに会ったのだという。そのことからリゼルは何か俺に伝えようとしているのではないかと考えた。
俺はリゼルに会いたいと思っていると、それに気づいたのかクロネリが協力してくれることになった。
それから俺たちはすぐに魔王城に向かう。クロネルの転移で移動してもいいと言ったのだが、それは遠慮したいと言っていた。なぜならリゼネルのいる場所までかなり遠いのだそうだ。その距離から転移するということは相当な力が必要になって来るので負担をかけてしまうと考えたクロネスはその案を却下した。
俺はクロネスの転移能力で魔王城に行くことになる。俺はクロネスの能力についても聞いた。それによるとクロネスはあらゆるものを自由に転移させることが出来るらしい。ただこの能力についてはクロネス自身にも制限があって転移できるモノの大きさなどはその大きさに応じて決められているのだとか。この能力は自分以外に使うとかなりの力を消耗するというデメリットがあるものの使いこなすことが出来れば非常に便利であると言えるだろう。それからクロネスはリゼネルに会う前に一度自分の部屋に行きたいという。俺はクロネスの言葉に従うことにし、俺も自分の部屋に寄った後にリゼネルのいる場所へ向かうのだった。
「さあ入ってください。リゼネルが待っていますよ」
クロネスは俺にそう言って中に入っていく。俺も続いて中に入っていく。そしてクロネスは部屋の扉を開けるとクロネスが何か呪文を唱え始める。それからクロネスは俺をリゼネルの前に連れて行く。リゼネルはとてもうれしそうにしていたが、俺はそのリゼルの顔を見た瞬間、リゼルが何を望んでいるのかわかった。
「おかえり」
リゼルは優しい声色で俺にそう言った。俺は思わず泣いてしまいそうになる。
「うん、帰ってきた」俺は泣きながら答えていた。リゼルがこんな風に迎えてくれるとは思っていなかったからである。
「リゼル。俺はリゼルと約束を果たすために帰って来たんだ」
俺の言葉に対して、リゼルは嬉しそうな笑顔を見せてくれ、そしてすぐに俺を力強く抱き締めてくれた。そのことで、リゼルが俺のことを信じていてくれたことがわかる。そして、リゼルはすぐにリゼルの隣にいた俺の知らない女性に気がつき、俺がどうしてリゼルの元に連れてきたのかを聞いてきたのである。リゼルはすぐに俺に抱きついてきた。そして俺に甘えてきたので俺はリゼルのことがとても愛おしく感じてしまい、俺はそんな彼女を優しく包み込むようにして抱き寄せるのであった。俺はリゼルの体を抱き寄せたまま頭をなでてあげた。
俺はリゲルにクロネルのことについての説明をしていた。
俺の目の前にいる女性は元魔王であり今は勇者の生まれ変わりでもあるクロネル=レティシアという名前であることを伝えるとクロネルは驚きを隠せないでいた。
「そういえばクロナやクロネスは知ってたんだよな?」俺はクロネのほうを見ながら聞く。
「私はリゼルから聞かされて知っていたけど、まさかリネルちゃんだったなんて思ってもなかったよ!」
「クロネル。クロナがあなたの姉になるんですよ?」クロネスが優しくそう伝えるとクロネルは戸惑いながらもよろしくお願いします。と答えていた。
それから俺はクロネルをこの世界に転生した本当の理由を話そうと思っていたのだが、その前に俺はクロネのことをリゼルに話すことにした。
そしてリゼルには俺がリゼルをこの世界に戻すためだけに召喚されたということと俺がこの世界に戻ってこれたのは俺自身の意志によるものだという話をした。リゼルは納得してくれ、俺を褒めてくれたのである。それから俺はリゼルに自分が異世界からやって来たことを伝え、俺の前世の名前を黒井拓人と教えたのである。
それから俺はこの世界に来たばかりの頃のことを思い出していたので懐かしんでいた。俺は自分の名前を名乗る。すると、クロネスとクロネルの二人は目を輝かせて興奮気味で俺にいろいろ聞いてくる。俺もクロネスとクロネルに質問したりしてお互いについて話していた。するとクロネスがいきなり立ち上がりどこかへ向かおうとしたので、俺がクロネルと一緒について行くことにする。そして、クロネリに事情を説明してクロネリは俺とクロネルに付いてきてくれるようだ。それから俺はクロネスに連れられてある部屋に来ていた。そこはリゼルの自室であり俺は中に通される。中には俺のよく知っている顔があり思わず涙をこぼしてしまったのだった。
俺の前に現れたリゼルの顔を見ると俺は嬉しくて涙が流れてくるのが止まらなかった。リゼルの方も泣いていて抱きついてきたのだ。それから俺はしばらくの間リゼットと二人きりにしてもらってリゼルが落ち着くまでリゼルのことを抱いていたのだった。
それから落ち着いた頃合いに俺もリゼに話しかけることにした。するとリゼルは俺のことを優しく包んでくれた。そのことによって俺は心が温まるのを感じながら、しばらくリゼルのことを抱く手に少しだけ力を入れてから俺から離れてもらいリゼルと話すのである。
リゼルが言うには、どうやら俺の魔力の波動が似ているらしくそれが関係しているのではないかということだ。俺はそれを聞いてから、クロネルからクロネルの姉のことについての話を聞きたいと思っておりそのことをリゼルに伝える。
「クロネリさん。あなたが前世では黒井拓人だったという証拠はあるんですか? もし拓人くんの言っていることが正しいというのであれば拓人君と同じように魔王になれるはずです。私には拓人君のことしか魔王に出来る人物はいないと思います。だからそのことについては私が保証いたしましょう。それで、もしも本当に拓人君のように異世界の人間の記憶を持った人物がこの世界に迷い込んだのだとしてもそれは異世界の魔王の力を持つことができる者だけだと思います。その人物はきっと何か大きな秘密を持っていると私も思います。だからこそクロネルがあなたに近づかせたのかと。だって、拓人はリゼに頼まれたと言っていますし、そしてそのクロネルは今や私の家族の一人となっていますしね。だから、拓人はリゼに信用されていたんですよ。リゼルはリゼルでリゼに言われてからずっと考えていました。でも、リゼにとって一番大事なのはこの世界の人たちなのでリゼは今すぐ結論を出すわけにはいかないんです。ですからクロナの気持ちは嬉しいですがもう少し待っていただけませんか?」
リゼルは真剣な態度でそう俺に伝えてくれたのである。その話を聞いた俺は改めてこの世界に戻ってきた時のことを思い出す。俺はクロネリと出会い魔王城に連れていかれた時、そこで魔王城を守る役目を担っている者たちから魔王である俺のことを心配してくれる者がいることを聞いたのだ。俺はこの世界を守るために戻ってきた。しかし魔王の座を奪われこの世界を見捨てた俺に対してこの世界で生きる人たちは決して俺を許してはいないだろうと思っていた。俺はそう思っていた。俺はクロネルにそのことを告げる。そしてクロネルは自分の口から俺に伝えたかったようで俺に真実を伝えたのである。
俺が自分のしたことを打ち明ける前に俺はリゼルにクロネリの正体を明かしたのだった。それから俺はクロネルに自分のことを打ち明かた。そしてクロネルが魔王の城から逃げた時に俺はクロネルの居場所をクロネスから聞いたのでクロネルを追いかけたのだと伝えたのであった。
それからリゼルが俺とクロネルの会話の内容が気になったのだろうか? 俺たちがどうして一緒にいるのかなど俺のことを知りたいと言うので俺はクロネルとの出会いなどを説明したのであった。
「そうですか。クロネルの過去についてもわかりました。確かに魔王城にいた人たちは皆あなたのことを慕っていたみたいですね。まあそのことは今はいいでしょう。クロネについては後々詳しく教えてください。それよりリゲル。クロネリがクロネの姉というのは本当なの?」
「はい。そうです! お久しぶりです。クロネス姉様。リゼル母様。クロネル姉様」
クロネスとクロネルにそう言って頭を下げるクロネリの姿を見てクロネリとクロネスの表情が変わったように見えた。
「あらクロネリ。クロネと姉妹になっていたの?」クロネスがクロネの方をちらっと見つめながら言った。
「そうなのですよ。リゼネス姉様。クロネルと姉様の妹のクロネリの仲は良好でしたよ」と、俺の方を見てクロネスが答えてくれた。
「そういえばリネスって俺のことを父って呼ばないんだな」
「当たり前よ! そんなの恥ずかしくて無理に決まってるじゃない」リゼルは照れ臭そうに答えたのである。俺はリゼルが俺の娘として生まれ変わったことに嬉しさを感じた。それと同時にクロネスとクロネルの姉妹の関係性が少し気になったのであった。
「ところでクロネ。あなたクロネリのこと知っていたの?」クロネスが突然俺にそう聞いてきたので、俺はリゼから聞いたと答えたのだった。その答えにクロネスは納得していた。
クロネに質問されたことに答えた後、クロネはリゼルとリネルの方を見る。それからクロネが口を開いた。
「お二人共。ご無沙汰しております。私はリネス姉様の従者をさせて頂いていたクロネと申します。あの時私はお二人が魔王城を脱出してからお二人の行方を追っていたのですが見つけることができませんでした。そして私はあるお方と出会い、そして私はリリス姉様に拾われました。そして私はリリス姉様にリゼルお嬢様のことを頼まれました。リネルさんには大変お世話になっており、そしてリネスさんにはリゼネスさんのことでお聞きしたいことがあったのでこうしてここに伺わせていただきました。まずリゼル様についてですがリゼル様には勇者に裏切られたということがわかればそれでよいと思います。勇者の生まれ変わりはおそらく私達と同じ世界の住人だと思うのであまり関わらなければ良いだけです。ですが勇者は勇者であってリゼルお嬢様なわけではないのでこれからも仲良くしてくださると助かります。そしてリゼル様。リゼル様と私は幼馴染なんですよ。覚えていなくても当然かもしれませんが。私はリゼル様に助けて貰いました。そのことに感謝しています。ありがとうございます。最後にリゼル姉様。クロネル姉様に優しく接してあげて下さい。クロネル姉様もとても感謝しているんですよ?」と、クロネは俺達にそう伝えてきたのである。そしてクロネがクロネルの頭を撫でてやるように促してきた。俺がそれを実行しようとするとクロネスがクロネの行動を遮り、俺とクロネルの手を強引に引き部屋を出て行く。それからリネルを抱きしめていたのである。
俺がその様子を見ていると、俺に近づいてきたクロネスからリネルについていろいろ話されたのであった。俺はクロネスの話を聞いていたがクロネルのことが気になり部屋に戻ることにする。それからしばらくして俺達はまた話し合いをするのだがその時クロネスはクロネルとリネルと三人で寝たいと俺にお願いしてきたのである。俺は別に問題ないとクロネルに聞く。クロネルも了承したので、リネルに俺達の寝室で一緒に眠るように伝えるとクロネルとクロネスの二人はリゼの部屋に向かっていった。その後、俺も自分用の布団を取り出し、それに包まってから俺は横になるのである。それから俺の意識が遠くなり、俺は再び深い眠りについたのだった。それからしばらく経つと俺を起こそうとする声で目を覚ますことになる。
目を覚まして起き上がると同時に目の前にクロネルがいたので驚いてしまった。俺が慌てて体を起こすと俺の隣にいるリネルとクロネスの姿が視界に入った。どうやら俺はリネルと一緒にクロネスの部屋に泊まったらしいのだ。するとリネルが「タクト。朝だよー!」と声を上げると俺はクロネルの方を見てしまい、クロネスに怒られてしまった。クロナスが起きてから朝食を食べに行くというのでクロネルもついてくるようであり、俺がそれなら一緒に行くかと思いリネルとクロネルに声をかけてから食堂へと向かう。
そして俺は今リゼが座っている椅子の後ろに立ち、クロネルはクロネルでリゼルの後ろからリゼルの顔を覗き込むような姿勢をとっていた。俺は昨日の夕食の時と同じく、俺達がテーブルに座って食事が出来る状態になるのを待つ。ちなみにリネルはもう食べ終わっているらしく、今は食後の紅茶を飲みながらリゼと雑談をしていたのである。それから俺達全員が席に着く。そしてクロネルが俺の横に立ってリゼルの顔色を確認するとリネルが俺に話しかけてくる。
「クロネリ姉ちゃんがね。リゼ姉ちゃんは病気かもしれないんだって。それでね。今からリゼ姉ちゃんの体の中に入って様子を確認しに行こうって言ってたんだけど、拓人はそれでいいかな? もちろん拓人も一緒だから安心して欲しい。私一人でリゼを背負うから拓人にも少し負担があるかもだけれども」
「クロネリ。それは本当? クロネリの身体能力は人間よりも優れているからリゼルを一人担ぐぐらい簡単だけど大丈夫? それにクロネはリゼネスのことを知っているんでしょ? クロネの方が適任なんじゃない?」
俺はクロネリの言葉に驚いた。しかしクロネが俺にそう説明してくるのである。
「はい。私は知っています。ですがこの姿のままではリゼネスお嬢様に触れることはできませんのでクロネリに任せることになります。それとクロネリはクロネのことを信頼していましたからリネにはリネにしかできないことをしてもらいたいので私はクロネがいいと思っています」
俺にはリネの言ってることがよくわからなかったが、俺がクロネのことを見つめていると、俺の方に視線を移したリネは、俺に「私がリゼルお嬢様の中に入ると体が拒絶反応を起こしてしまうんです。ですから私の代わりにリゼネスお嬢様の様子を診てきてもらえませんでしょうか?」と言うのであった。
俺はよくわからないことだらけであったがクロネリに確認した。
「リゼルが病原菌に犯されているとかではないのか?」
「違いますよ。リゼの体はリゼ自身の力の影響で常に健康状態に保たれています。ですから健康です」と、俺がクロネに尋ねるとそう返事が帰ってきた。
リネの話を聞き終えた俺はクロネリの方をもう一度見ると、彼女は真剣な眼差しをこちらに向ける。そしてクロネはリゼルに「では行きましょう。クロネリさん」と言い残し、そしてクロネリもすぐに立ち上がりクロネの後を追いかけるような形で走り出すのであった。そしてクロネリが消えたと思った直後――
「クロネリさん! あなた何をして――」クロネの声が聞こえるがそこで途切れる。クロネリはリゼルの体を持ち上げようとするのだがリゼルを全く持ち上がらなかった。
だがそんなことよりも気になったのはリゼルを持ち上げたはずのクロネリの体が消えて、代わりにクロネが現れたからである。
俺が不思議そうな表情を浮かべているとクロネはため息をついた。それから俺の方を見るとクロネの様子がおかしいことに俺は気づく。そして俺の方を見たまま動こうとしなかったのである。俺はクロネリのことを心配したがクロネスがクロネリのところへ駆け寄った。
「クロネリさん。一体何をしているのですか?」と、そう問いかけられたがクロネリは何も答えなかった。そして俺の方を見て、クロネリは俺の前まで来ると俺の右手を掴みそのまま俺の手を引き歩き出したのだった。俺はいきなりの出来事に驚きはしたが何事もなく立ち上がることができたのでクロネル達について行くことにする。クロネスとクロネルの二人はリゼルを背負って俺とクロネリのことを見てきていた。
俺達五人がクロネルの家に戻ってくるとクロネルが「クロネリ。お前何やってるんだよ! 私のことを助けてくれるんじゃなかったのか?」と、クロネリに怒鳴り散らした。クロネリは「ごめんなさい。お姉様。私の力でもお姉様の体を動かすことができませんでした。クロネ。ごめん。ご主人様を頼む。私はリネと話をするから。クロネスとクロネルにはこの家の中を好きに見てくれて構わないからゆっくり過ごして欲しい」と、クロネに向かって謝るとクロネスにクロネスのことを預け、クロネと一緒にどこかへ行ってしまった。それからしばらくしてクロネスからリゼルがクロネルに連れて行かれてしまった理由を聞くことになったのである。
クロネスはクロネリの行動についてリネスから聞かされていた。クロネルとクロネは二人ともクロネルの家にある倉庫に入りリゼに施された拘束を外すと、そして二人は二人でリゼルを連れて外へ出た。クロネスはクロネリの行動を怪しんで後をつけ、そのあとクロネルと合流、そして二人がリゼルにどんなことをしていたかをクロネスはクロネルに伝えたのだ。そしてその後リネスもクロネスと同じように二人を連れ戻そうとしたがリゼルの力に勝てることができず、仕方なく家に戻って来たのだという。それからクロネスが二人から聞き出した話はこんな感じである。クロネスの話を聞いて俺は思ったことがある。もしかするとクロネスは魔王の魔力を使っていないんじゃないか?と。クロネルが言うには俺と会う前のクロネルは普通に生活してたって言ってたし、もしかしたらクロネスも同じ状況なのかと考えた。それから俺はリネルを背負い、リネと一緒にクロネスのところへ戻る。するとクロネスが慌てて俺達の方へやってくる。俺達はそれからクロネ達の話を聞いたり、リネルの様子を確認するのだがリネルは特に問題ないみたいであった。
それからクロネス達は話し合いをするために俺達の元を離れて行った。俺はそれからしばらくしてから自分の部屋に戻ることにした。リネルとクロネルが寝ている部屋にクロネルがいるのだが、俺は今リネのことを看病しているため一緒にいることができなかったのである。俺はリゼルが眠る部屋のドアを開ける。リゼの部屋に入った俺はとりあえずベッドに横になって眠るリゼルを見ていた。しばらく見ていると、リゼの目が覚める。リゼルはしばらくボーッとしていたので、俺と目を合わせていたが何も反応がない様子だった。リネルと同じような感じなのだと、思い俺は声をかけてみることにする。
「おはようリゼル。気分はどうだ? 俺は別に変なことするつもりもない。安心してくれ。それとクロネスから聞いたんだけどさ。クロネルがクロネスと一緒に外に出ていったみたいなんだ。それでリネルが心配していると思うからさ」
俺がリゼルに話かけた内容を聞いたリゼルは「うん。クロネなら大丈夫。それに私はリネルとずっとここに居たい。だから拓人のことも気にしないでいい。私達のところに帰って来なくていい。拓人にもリネルとの時間を過ごしてほしい。拓人とはもっとお話したかったけど。だから私はここで大人しく待っている。クロネならリネのことも助けてくれるから。それとクロネルは今この家にいない。多分だけどクロネと一緒にリネルを探しに行ったんだと思う」と言ってくれたので俺は少し驚いたが、「ありがとう。俺のために言ってくれた言葉だと思う。だけど俺とリネルの居場所はこの家で俺はもう家族なんだ。リゼルもクロネルとクロネスも大切な家族だと俺は思っている。俺はクロネスのことも信頼しているからクロネスとクロネリのことを少しだけ信じていてほしい。俺はリネルとこれから少し出かけてくるからまたな。あ、それから何かあればすぐに呼ぶといい。すぐに駆け付けるから。それじゃ」と、リゼルに告げてから部屋を出た。
それから俺はリネルの体を持ち上げようとしたがやっぱり持ち上げることはできずに、それからクロネスのところにまで連れていき、クロネリを呼んでから俺はリネルのことを背負ってクロネリに運んでもらう。俺はリゼルをおんぶすることはできなかったがリゼルをお姫様抱っこすることはできた。なのでクロネリに背負ってもらって俺はクロネスの所に行くと、クロネスが俺とクロネリのことを見て驚く。俺は事情を説明してリネルをベッドの上に座らせるのである。それから俺はクロネリの肩に手を置いて「後は任せた。俺は少し休んでくるよ」と言い残して俺は自分専用の部屋に行こうとしたらクロネリに止められる。そしてクロネリが「リゼルお嬢様のことをお願いします。リゼルお嬢様を一人にはさせませんので。私は少し席を離れさせていただきますね」と言い残す。俺がクロネリのことが少し気になり見てみるとクロネリの顔はなぜか嬉しそうであり、口角を上げながらクロネスに話しかけていたのだ。
クロネリの表情の変化を見た後に、クロネのほうを見ると俺の方をじっと見つめていたので俺も「行ってきます」と一言だけ伝えて俺が向かう先はクロネリに借りている一室である。俺はリゼをソファーの上に置いてから床に座り込んでからため息をつく。俺は疲れていて動くのも億劫だったので目を閉じてリゼルのことを見守っていた。俺はリゼと会話をした時のことやリゼルのことをクロネリに頼んできたことを思い出したのであった。リネルにリゼルをまかせた俺は、そのまま自分のベッドに向かい横になる。そしてすぐに眠りにつくのであった。
◆
「ご主人様。朝です。起きてください」と言う声で俺は目が覚める。俺はまだ頭がぼーっとしていてはっきりとしていなかったが、目の前に俺を起こしてくれた人物がいた。そしてそれがクロネリであることを認識すると、一気に目が覚めた。クロネリが起こしてくれたことに驚き、どうしてクロネリが?と思ったのであった。
「クロネリ? なんでお前がここにいるんだ?」と、疑問をぶつけてみたが、よく考えれば俺が寝ている間にリネ達が来た可能性は高かった。クロネス達も一緒に来ていたみたいだが、リネ達がリゼルの世話をしているうちに俺とクロネリが眠ってしまっていたというのが考えられることだろう。
クロネリがここにいることについてはクロネリはクロネのことを信頼していれば、リネルを任せることだって可能なはず、俺もそうだからクロネリのことは信じられるのでそこまではよかったのだが、問題はクロネリの姿が裸だったことにあった。
俺の視線を感じたクロネリは顔を赤くしながら「いやらしいですね。ご主人様は。昨日リネル様には服を着せていましたのに」と言われてしまう。俺は急いで「悪い! でも、そういうつもりはなかったんだよ。それに、リネルには俺の服を着させたけどクロネリのはサイズが合うかどうかわからないから仕方がなかっただろ?」と、言い返すと、クロネリは「まぁ、ご主人様のお望みであれば構いませんけど」と、言っていたので俺も慌てて着替えるためにベッドから出て洗面所に向かうとそこで顔に水をかけるとようやく冷静になれたのでクロネリとリビングに行きクロネリに謝ったのであった。すると、そこにリネルとリネが起きてきてからクロネスは俺とリネに挨拶をしてからクロネリと話を始めた。俺達はその様子を黙って見ているとリネとリネルはクロネに質問をしていたのである。
「お姉様、なぜクロネリさんにあんな酷いことばかりをするのですか? 私、お姉さまに嫌われてるんじゃないかと思ってたんです」
リネが悲しそうな顔をしてリネスに問いかけるとリネスは何も言わずに立ち去ってしまった。俺はクロネに一体どういう状況だったのかと尋ねる。
クロネはリネルに施されていたことを話すのだが、その内容が酷かったのである。俺が最初にクロネから聞いたのが拘束されているリネにリネルは暴行を加え、無理やり犯そうとしているところを止めに入ったが、その途中で拘束を解除されてしまいクロネは抵抗するもリネの勢いが止まらずクロネは捕まり、リネルに痛めつけられてしまったということであった。リネルはそんなことをしていたにも関わらず笑顔を見せながらクロネスと話をしていた。俺がその話を詳しく聞いてみようとリネルのそばに行くとクロネスが俺のことを呼び止めた。そして、リネスがなぜクロネリと仲が悪いかを話し始めた。リネスとクロネは元々仲がよくてリネスが小さい頃にリネルに遊んでもらっていたらしく、二人はとても懐いていたのだそうだ。しかし、クロネが魔王軍に所属していた頃、二人は魔王軍の情報を探り出すためにスパイとして潜入し、クロネスは魔王軍を裏切ってこの国に情報を提供したのだがクロネは裏切ったことが許せなかったのだ。そしてそれから二人はお互いに会うこともなく別々の人生を歩んでいたが、ある時クロネスが偶然この村に来た時にクロネのことが気がかりになりクロネのことを調べ上げていると、リネルに拷問されて死にかけておりそれを俺が治したことと、それからクロネリと俺の関係を疑いだしたのでクロネスはリネスと会うことにしたのだという。
俺はリネスとクロネスにクロネリを仲間に引き入れた理由を話したあとリネルのこともクロネス達に説明をすると、俺はクロネスがリネに暴力を振るった理由を聞いてみるとクロネスは、「リネルの過去は私がリネル様と出会ったときに聞いております。私にとって彼女は命に代えても守るべき人です。それなのに私のせいで彼女の心に大きな傷を負わせてしまいました。私自身に原因があるので私は彼女を責めたりなど絶対にしません。私はリネル様に謝罪しましたが、彼女がリネル様のことを許しているわけではありませんから」と話していた。
俺の話が終わると俺はクロネスのところに行き、俺のことについて話し始めた。俺はクロネスに「リネの件はクロネに頼んだ俺の責任だ。クロネを怒るのは間違っていると思うんだ。リネルのことは俺に任せてくれ。リネルのこともなんとかできるとは思っていないがどうにかしてみせるからさ。俺もできるだけの事はやってみるよ」と伝えるとクロネは「ありがとうございます。拓人様ならそう言ってくださると信じておりました。どうかよろしくお願いします」と丁寧に頭を下げられてしまった。そして、クロネリに案内されるがまま俺はクロネリと一緒にリネルに会いに行った。リネルが俺のことをどんな風に思っているかなんて分からないが俺は俺なりにリネルのために行動しようと思っている。リネルの気持ちが分からずに俺はどうすればいいのか悩んでいたが、俺はまずは、リネルと仲良くなるために頑張ろうと決心したのであった。
俺とクロネリは一緒にリネルの部屋まで向かい、ドアの前に立つとクロネリは俺にリネルと二人っきりにしてもらえるよう頼まれたのだ。リネルと話すのにクロネがいてはいけないという理由はないのだが、俺は少し気になってしまっていたがとりあえず部屋に入ることにする。
俺は「リネル入るぞ」と言い、リネルに返事をもらう前に扉を開けたのであった。するとそこには驚いた表情で固まっているリネルがいたが、しばらくするとリネルの顔つきが変わり、俺に対していきなり魔法を使ってきたのだ。俺の体が光に包まれるとリネルの魔力を吸収していった。
リネルが魔法を発動させたので、俺に何かしようとしていることは分かっていたため、事前に俺がリネルから吸収して自分の魔力に変換するようにスキルの能力を切り替えていたので俺は無事であった。そして俺とリネルの間に魔力の流れがあることを確認した俺は「俺の魔力をお前の中に流し込んでやった。これで少しは落ち着くはずだ」と言ってから俺はリネルのことを見てみるとリネルは涙を流し始め、そしてリネルの体に少し変化が起こり始める。
それからリネルの体からは白い光が漏れ出し始め、それはまるで雪が溶けていくような感覚に陥る光景であった。しばらくして光が収まるとそこには完全に俺の力によって強化された姿になっているリネルがそこにいたのである。髪の色は金髪で長く伸びていて、身長は高く胸の大きさはCカップくらいあるだろうか、腰は引き締まっていて脚が長くスタイルが抜群に良い。目は大きく二重になっておりまつ毛も長い。そして瞳の色が赤色で肌は白銀であった。
俺がじっと見つめていたためかリネルは顔を赤く染めてから俺に抱きついてきた。俺の頬にリネルの大きな柔らかい感触が伝わる。俺が慌てて「ど、どうしたんだよ?」と言うと「あ、あなたは私のものよ!」と突然告白されたのであった。
俺はリネルの言葉を聞いた瞬間、自分の耳を疑ったのだが聞き間違いではなさそうだったのでリネルの頭をよく見てみることにしてみると角はなくなっていることに気づく。おそらくリネルが暴走状態に陥っていて理性を失ってしまい、その状態で発してしまった発言なのではないかと考えた。俺が自分のことをリネルに紹介しようと思ったが先にリネルが話を始めたのである。
「わ、わたしはリネスの姉のリネルよ。こ、こんな感じで私の姿を見た人は全員驚いてくれるから慣れているけど、あなたの場合はちょっと驚かせ過ぎたかも。それにあなたの力は予想以上に強力で正直、びっくりしてるところよ。でもね、もう我慢できなくて、ごめんなさい、本当はリネや村の人達の前でするつもりはなかったのだけど、でもあなたになら別に構わないのよね。だから、ごめん」
そう言いながらリネルは自分の服を脱ぎ始めたのである。リネルの着ていたローブの下はなんともセクシーで、黒色のレースのキャミソールのようなものを来ていたが、その上からでもはっきりと分かる大きな二つの果実が主張していたので、その破壊力がすごすぎて思わず目が奪われてしまっていた。さらに、俺に見られたのが原因なのかリネルは顔だけでなく、首元までも赤くなってしまっていたのでリネルの羞恥が限界を超えてしまうのではないかと心配になっていたが、リネルの体は少しずつ俺の目の前に来て俺を押し倒してきたのであった。
そして、俺がリネルに押し倒された後にリネルは唇を重ねてキスをしてきて俺に舌を入れてきてそのまま激しいディープな口付けに変わっていった。俺はそんなリネルの行動に対して最初は戸惑いを覚えていたものの、だんだん受け入れ始めて、次第に自分からもリネルを求め始めた。俺とリネルの激しい口付けが終わった時に、俺達の口の間には唾液でできた糸ができ、そしてリネルの表情は蕩けきっていたのである。
それから、お互いに息を整えると俺達は改めてお互いの名前を名乗り合ったのだ。
リネルの容姿を見てリネスと同じ顔をしているだけあって、とても美しい女性であることには変わりはないのだがリネスとは違い、どこか母性的な印象を受けてしまった。またリネルは、姉としての自覚があったせいか大人しく優しい性格をしているのだろう。
俺が「じゃあそろそろ俺の仲間を紹介しようかなと思うんだけど、いいかな?もちろんクロネリも含めてだよ」というとリネルは「わかった。リネは本当に幸せになったんだって思うだけで、私は嬉しくなるの、そしてその仲間の人もリネのことを受け入れてくれる人だと嬉しい」と言った。俺はリネに念話を送った。そして、クロネリが俺とリネルのことを見守ってくれていることを告げた。リネルとクロネリの出会いがあまり良くなかったことを俺は知っていたが、それでもリネのことを気にしてくれていることがわかってくれば安心できたのだ。
それから俺はリネス、クロネを部屋に呼んでリネルを紹介した。リネスは初めましてリネル様、リネスと申します。クロネと私は双子の姉妹なんです。これからもよろしくお願いします。リネル様のことはクロネと私達家族が全力で支えます。私にできる事があれば何でもおっしゃってくださいと丁寧に自己紹介したのだ。リネルもリネスが挨拶を終えたあとに、「リネスさん。はじめまして、リネルと申します。妹さんのことはこの国に来る前に聞いたことがあります。私のせいで色々と大変な思いをさせてしまったようですいませんでした。それとリネスさんもありがとうございます。リネが幸せに暮らしてくれればそれが何よりだと思っています。ですが、もし何かあれば私にできることであれば協力させて頂きたいです。ですのでその時は私もぜひ相談に乗って下さいね。こちらこそこれからよろしくお願いします。私のこともリネのように気軽に話しかけてくださいね。私も二人に早く打ち解けられたら嬉しいから」と話してくれたのだった。クロネリは俺の隣で微笑みながら二人の様子を見ていたのであった。
その後俺は、クロネの時と同様に仲間にすることを伝え、クロネは快く引き受けてくれた。
それからクロネスを仲間にした後は、クロネスを仲間にした理由を説明していたのだが、やはり俺が思っていた通りにリネスの過去を聞いており、クロネスもまた、クロネス自身の力について俺に質問してくるのであった。そこで、俺はリネルにスキルの力の説明をしたのと同時にクロネリにステータスを見せてもいいかどうかを確認してから、クロネスにも見せることにしたのである。
そして俺はリネルとクロネに自分の力を試してもらうことにして、リネルとクロネは、まずは俺の魔力をリネルとクロネに流していくと二人は俺の膨大な魔力に耐えて俺の魔力を吸収できるように頑張ってくれているようだ。
俺もリネルの頑張りに応えようとスキルの能力を使ってリネルの魔力量をどんどん増やしていき、最終的にはリネルにかなりの量の魔力を流すことに成功して俺のスキルの効果によって俺のスキルレベルが上昇したことで魔力を流しやすくなるので俺の方も楽になる。そして、俺の体に入ってきた大量の魔力はリネルに吸い込まれていった。それから俺の魔力を取り込んだリネルは、しばらくすると急にリネルが俺にキスをしてきたのだ。それも激しく、そして長いキスになっていく。俺は突然のことで驚いていたのだが、次第に受け入れることになってしまうのであった。リネルにされるがままになっていると俺の中にリネルの熱い想いが流れ込んでくる感覚を覚えたのだ。
俺の中に流れ込んできたのはリネルの強い感情のこもった魔力であり、その感情の正体はすぐにわかったのだ。俺はすぐに魔力の吸収を中断すると俺の体内に入ってきた魔力に抵抗して魔力の吸収量を抑えることに成功した。そのことによって魔力の流れを安定させリネルから魔力を自分の中に流し込まないようにすることに成功したのである。俺がリネスを見ると驚いたような顔で固まっていたので俺は説明した。
「俺の体にリネルから魔力が流れた瞬間、リネルの心の中にある強い感情が一気に流れ込んできて俺はそれに飲み込まれたんだ」と話すとリネルは、少し頬が赤くなっていたので恥ずかしがっているのだろう。リネスは俺のことをじっと見つめてくると少し潤んだ目になりながらもじっと見つめ返していた。リネスの目から俺に対して何か言いたいという意思を感じることができたので俺はリネスに声をかけることにした。
「リネス、大丈夫だ。落ち着いて俺の話をちゃんと聞いてくれ。今俺の体の中にはさっきまでリネルの魂が存在していた。俺の体に入り込みたいと心が叫んでいた。だから俺がそれを受け入れようとしたときに、俺の中でリネルの感情が爆発を起こして俺の意識が押し負けそうになった。それだけじゃない、リネルは俺に助けて欲しいと言っていたんだ。リネルの魂を救ってほしいと。でも、それはできなかった。リネルは、あの世界で俺の仲間たちが助けてくれることを願っていたから、だから俺は、今は俺にできることをやろうと思っている。だからもう少しの間待っていてほしい。いつか必ず俺はリネルのところに行く。その時にはまた俺の体を使ればいい。だからそれまでに自分の気持ちを整理してほしい。自分の心をしっかり制御して欲しい。今のリネルは前世に引きずられすぎているからな。リネルにはもっと自分のことを大事にしてほしいんだ。頼むよ、リネス、俺を信じて付いてきてくれないか?」
俺の言葉を聞いたリネスは「うん、信じる、絶対に信じてる。だって私はルゥ君のこと好きだから。どんなことがあっても私はルウ君の味方だもの。私は、私の意志を持ってる。だから心配しないで欲しいの、私がこうして生きている意味は、あなたのためだから、あなたを守るためだから、私はあなたを守り続けます。だからずっとあなたの傍にいる、もう離さない。あなたを愛し続けてる」そう言うと、今度は俺の方に抱きついてきたのである。俺はリネスのことを抱き寄せ、そして俺の口の中に舌を入れてきて、そのまま激しい口付けをしてきたのだ。それからしばらくの間はお互いに離れることはなかった。
そして落ち着いたところで、改めてリネルを正式に俺の仲間として迎えるとリネルは、「私は本当に幸せ者です。私に生きる喜びを教えてくれてありがとう。私の命が果てるまで、いえ、例え死んでしまったとしてもいつまでもついていきます。そして私はあなたのためだけに生きて行きます。私はルゥのことが好きです。私の全てを受け入れてくれるのなら私を抱いて下さい」と言い、その瞳には俺の顔しか映っていないようだった。俺に抱かれると決心がついたのだろうか、その瞳からは迷いなどなくなっており、まっすぐに俺のことを見つめている。そして俺に顔を近づけると、俺の首に両腕を回してきて顔を近づけて唇を重ねようとする。俺はそれを察して目を瞑ってキスをしやすいようにしてあげたのだ。
すると俺の口にリネスの唇が重ねられると、先程よりもさらに強く抱きしめられてしまったのである。
それから俺とリネスとリネスの姉リネスは食事をするまでの間、ずっとベッドの上で過ごしてしまった。お互いに愛し合い何度も求め合っていたがお互いに満たされることはなかったのだ。だがお互いの心は温かく幸せを感じていたのであった。
リネルは、クロネリに「クロネリ、改めてだけど、よろしくお願いします。それとごめんなさい。私は、リネがこんな風に幸せになれると思っていなかったの、きっとクロネリのことも不幸にしてたよね、本当に私はダメなお姉さんだよ。でも、私は後悔していないの。本当に、二人と一緒にいることが出来て私はすごく幸せなんだから、だから二人も私の大切な妹なんだから、仲良くしてくれないと私許さないんだからね。クロネリも遠慮せずになんでも相談していいからね。リネはとっても優しい子だしリネスはお淑やかな女の子なの。だからリネが幸せになるなら私はリネとリネスのためにできる事をするつもりなの。リネをよろしくお願いします。そして私とリネのために尽くしてくれるというクロネリ、よろしくお願いします。リネルと二人で力を合わせてクロネを全力で守り抜くわ。これからよろしくお願いします」と話すと、クロネもクロネリとリネルを仲間に加えることを快諾してくれたのだ。
それから食事が終わると、俺たちはこれからの事について話していたのだがそこで俺がある提案をした。それは温泉を名物とするというものだった。そこで、俺達は早速温泉に入ることにしたのだがそこでリネスは、「ちょっと待って、クロネス、あんたが先に入ってちょうだい。私は、えっと、あの、その、ル、ルルと入る、うぅ~やっぱりだめ、無理、絶対ムリ!は、裸を見られるとか、恥ずかしすぎて、耐えられない。クロネスも、ほら、早く行って!」と顔を真っ赤にして慌てていたので俺は「あぁー別に気にする必要はないぞ、リネス、クロネスのことは任せて、リネスはゆっくり入っておいで。それからクロネスもリネスを頼むよ。あとは、そうだな。俺は先に部屋に戻っていればいいか?クロネスが戻ってきても大丈夫そうなら戻ってきてくれたまえ。俺はそこで待機しているからクロネスに服を借りてもいいかな?」と言うと、リネスはコクリと小さく首を縦に振り、クロネスはリネスに俺から渡された着替えを渡すとリネスは俺の手を引いて部屋に連れていくのであった。
そしてリネスが部屋の扉を開けると、俺はすぐにベッドに座り込んだのである。するとクロネが近づいてきた。クロネに「少し待っていてくれ、リネスが戻ってきたとき俺がいないと不安に思うかもしれないから、クロネに頼むのは少し気が引けるけどリネスを頼んでもいいかい?」と言うとクロネが笑顔になって「はい、リネスは私の一番の友達なので大丈夫です。任せてください。私も一緒にいてあげますから。でもその代わり後でリネスにたくさん構ってあげて下さい。じゃないと、拗ねると思いますので」と言うので、俺はクロネスとリネスのことをリネルに任せて俺はクロネスとリネスが戻ってくるまでクロネに膝枕をしてもらいながら頭を撫でて貰っていた。クロネスとリネスの二人が部屋に入ってくるまで、そしてその後もクロネにたっぷりと甘えることになるのだが、俺はそんな時間はあっという間に過ぎ去ってしまうように感じてしまう。そしていつの間にやらとっくに夕方になっており、俺とクロネはリネルとリネルの姉のリネスが風呂から上がるのを待っていた。
そして俺はリネスの体に俺が触れているだけでリネスの体に流れている魔力の質が変わったことに気付いたのだ。すると俺は無意識のうちに自分のスキルを使ってリネスの中に流れ込んできたリネルの心の声を聞くことに成功していた。俺はそのことに気付き、急いで自分のスキルのレベルを上げようとしたがすでに遅く、その声は完全に聞こえてしまっていたのである。
俺はそのことに驚いていたものの、その言葉を聞きリネスの心の中にあった想いはリネルに対する想いでありその想いが俺に向けられていることにすぐに気付くと俺はリネスの気持ちに答えることを決めた。その決意を伝えるために俺はリネスに話しかけることにした。
俺は「リネス、リネスに俺の全てを見せるよ。だからリネス、俺を受け入れて欲しいんだ。大丈夫、絶対に傷つけたりしないから。約束だ。俺が全部見せるって言っているんだから安心してくれて構わないよ。俺は、今からリネスを抱くよ。俺は君のことを心の底で求めているんだ。だから俺は、今からリネスとリネルの二人を同時に愛したいと思う。いいか、嫌なら断ってくれてもかまわない」と言ってリネスのことを見つめるとリネスは静かに涙を流すのだった。それからリネスは俺の方を見ながら小さな声で「はい、私をルウのものにしてください。もう逃げないから、私はあなたを離さないから、覚悟を決めて、私をルウの女にしてください。私はもうルウなしでは生きていくことなんてできないのだから」と言うのである。
その瞬間に俺の心に激痛が走り抜け、頭の中から誰かの記憶がどんどんと入っていく。俺は思わず頭を抑えて痛みに耐えることになってしまう。
「はぁはぁはぁはぁはぁ、なんなんだよこれ。くそっ。俺は誰なんだよ。頭がおかしくなりそうなんだけど。リネスとリネスのお姉さんはどうなったんだよ」俺は意識が飛びそうになるが何とか耐え抜き意識を保ち続けると、リネスの姉であるリネルの人格が完全に消え去ったことを確認することができた。俺はリネルのことを完全に自分のモノにしたことでようやく自我を取り戻すことに成功すると、「あれっ、ここはどこだ。って、そういえば俺とリネスってば風呂場にいるんだったよな。俺は確かリネスの体から魂を取り出そうとして失敗しちゃって気絶したはずなのになぜまだリネスとリネルが俺の目の前にいるんだ。まさかとは思うけど二人は死んだのか?」と言い、慌ててリネスに抱きついたのである。するとリネスは驚いた表情を見せた後に、ゆっくりと話し出したのだ。
そしてリネスは俺に向かって、「ルウ落ち着いて、大丈夫、大丈夫だから。私と姉様はまだ死んでいないから。だからまずはこの体を私に預けて」と言われてしまい、俺が困惑してしまう。そしてその言葉を聞いた俺だったが、「えっ?それじゃあリネスが二人いるってことになるのでは」と言い、俺は更に戸惑うことになってしまったのであった。そしてそんな時であった。俺は急に体の力が抜けたと思った次の瞬問には視界に映っている景色が変わってしまっていたのである。そしてそれと同時に激しい頭痛に見舞われると俺はまた気を失ってしまったのであった。
俺が再び目を覚ますとそこにはリネスの顔があった。
「おっ、おはよう。気分はどうかしら?」と優しく微笑むとそう言ってくれたのだ。
俺はそれに驚きながらもリネスのことを見つめる。
すると俺はそこで自分が寝かされていることに気づいたのである。
俺は起き上がろうとすると体が思うように動かず、ただでさえ力が入りにくい状態だったのだが、それを察してなのかリネスに手を握られてしまったために身動きが取れなくなってしまっていたのだ。
それからしばらくの沈黙が続く中、リネスが口を開くのであった。
リネスが「私はルゥが倒れたのを見て本当に怖かったんだよ。だからこうして少しでもルウの近くに居たいと思っているの、いいでしょ?」と言うと、俺は恥ずかしさで顔を赤らめながらコクリと小さくうなずくとリネスも頬を赤く染めたのだった。
俺はその反応が可愛くてリネスのことが欲しくなってしまったため、つい抱きしめてしまうと、俺とリネスの唇が重なってしまい、そのままキスをする。
すると俺とリネスはそのままベッドに押し倒してしまったのだが、俺はそこでリネスの服が乱れていることに気がつきそこでリネスが服を着ていないことがわかってしまう。
そのためそこで俺は理性が崩壊しかけてしまったが、必死に我慢するとそこでリネスにお願いをしたのだ。
俺の願いを聞き入れたリネスは「わかったわ。でもその前にちょっと待ってね」と言ってから立ち上がり、それから服を脱ぐとベッドの上に乗ってきたのである。それからリネスは俺に近寄ると耳元で「私がしてあげるからね。だから今日は大人しい子猫ちゃんになっていてね」と囁き俺の頭を撫でてきたので、俺は何も言わずに黙って受け入れたのだった。そして俺がリネスのされるがままになっていると、彼女は俺の首筋を舐めたのだった。
そこで俺が思わず声を出しそうになり慌てて声を抑えようとしたところリネスが、「うふっ、可愛い、いいのよ、私の前だと恥ずかしがらないで素直になってちょうだい。そのほうがもっと可愛いんだから」と言われる。
俺はそのセリフがあまりにもエロかったために、リネスに対して欲望をぶつけたくなっていたのだがリネスは「もうこんなに大きくなっているのね」と言って俺の男根を手に取り「触っちゃうからね。これがあなたの初めてだって思えば思うほどなんだか変な気持ちになってくるよね」と言うと手で軽く握られたあとに上下に動かされるのであった。そして俺はそれだけで果ててしまうのだがそこでリネスに「もう出しすぎだよ。でもまだまだ元気そうだしもう一回頑張っちゃおっか」と言って再び俺の男根をしごき始める。そこで俺は限界を迎えそうになってしまうと「そろそろいいわよ。全部出してくれた方が嬉しいから。ほら出してもいいよ」と優しい声で言われてしまい、俺はあっけなく絶頂を迎えて、そしてリネスの手の中で男根から勢いよく放出したのだった。その量はとても多かったようでリネスの手を俺の出したもので汚してしまい、そしてそれは重力に従ってリネスの体にかかってしまうのだった。そしてそこで俺は体力を使い果たし、気を失うのだった。そしてその後、俺が起きると既に朝になっていたのである。俺が目覚めるとそこには誰もいなかったのである。俺が慌てて部屋の外に出てみるとそこにはすでに朝食の準備がされており、そしてリネスの姿を見つけると俺は彼女に話しかけるのだった。
「あのリネス、昨日のことは忘れてください。それと俺のことを抱きたかったなら別に言ってくれれば良かったのに、俺はいつでもウェルカムだから。それにしてもいつまでそこに突っ立っているつもりなんですか。もうみんな食事は始めているみたいですから早く行きましょう」と言って手を差し出すとリネスは照れくさそうな顔をしながら俺の手を握ったのである。
俺達はその日の朝は二人で楽しく過ごしたのだった。そしてその日の夜に俺がリネルに俺達の関係性を話しているとなぜかリネルが興奮していた。俺はそんなリネルをなだめるようにしているとリネルが俺の膝の上に座ってきて甘えるようにしながら、俺のことを抱きしめると俺のことをじっと見つめて、「ねえ、私を抱いてくれないかしら。あなたと一つになりたいの。私はあなたがいないと生きていけないから」と言い出したのだ。俺はそれに対して「わかりました。では早速今夜にしましょうか。時間はありますか?」と言ってから時間を確認するために部屋の中にある壁掛け時計を見ると、時刻は既に23時を指していたのである。俺がそのことに焦っているとリネルが俺に抱きついて、「ルウったらもう、そんなに私を妊娠させたいのかしら。いいわ、あなたならきっと私と姉様のことを孕ませてくれるはずだから。私、二人同時にルウの子供が欲しいの」と妖艶な雰囲気を放ちながら俺の胸をまさぐり始めていたのである。俺が困っているとリネスが止めに入ってくれたのだが、リネスもまた発情した様子で「姉様、ダメですよ。ルウはもう疲れて眠っているんだから。私も一緒に寝るんですから邪魔しないでください」と言うのであった。
それからしばらくリネスはリネルを引きずって連れていくと俺と一緒にベッドの中に入り込んできてしまう。
そして二人は裸の状態だったために俺はすぐに二人のことを抱きしめることにしたのだ。
俺に抱かれたリネスは満足げな表情をしていたのである。そしてリネルも同様に、嬉しそうな表情を浮かべると俺のことを優しく包み込むのであった。
その日俺はリネルとリネスの両方を抱いたのだが、やはり俺が受けになる側になった時のほうが感じやすいようなのである。リネルとリネスの二人は俺が攻めになると逆に感じにくかったらしくて、それで俺は自分がそういう性癖であることにこの時初めて気づくことになったのだった。しかし俺にとってはそれでも十分なくらいだったわけで特に何も問題は無かったのである。
リネルが「そう言えばこの村には教会が無いんだけど大丈夫なの?」と不安気にそう言い出したのだ。そこで俺は、この村は観光客を相手にした観光業がメインのようだからあまり必要ではないのかと俺は考え、「確かにそうですね。まあ俺がいるのであれば神頼みなんかする必要はないとは思いますが、どうしてもって言うなら俺が何かしてもらいたい時にリネルさんに頼めば何とかしてくれると思いますよ」と言ったのだ。そして俺はリネルにおやすみなさいを言うとリネスの部屋に向かったのである。
俺がリネスと共に寝るために彼女の部屋に入ろうとすると、扉が開いていたので中を見渡すのだがそこには誰もおらずに明かりがついていなかったのである。そこで俺はリネスに一体どこに行ったのだろうと不思議に思っていたらリネスの声が聞こえてきたのでその方向に目を向けてみるとそこはリネスのお風呂場だったのである。
その状況から察するに恐らくはお湯の入れ替えなどをしてくれていたのだろうと思うのだが俺としては一刻も早くリネスの顔を見たかったからこそ、急いで中に入るとそこで目に入ってきたのは大きなバスタブに浸かる、裸姿の美しい女性――リネスの姿があったのであった。俺はそのあまりにも美しすぎるその姿に魅了されると俺はそのまま固まってしまった。その姿を見てリネスは「ふふっ、ようやく来たわね。これでやっと準備ができたわ」と言って俺に向かって微笑みかけると俺に抱きつく。そして「ねえ私のことどう思う?好き?それとも嫌い?どっちでもいいけどとりあえずキスしましょ。私、我慢できないから、もうしちゃうね」と言うと俺の首筋に噛み付いてきたのだ。
その痛みで正気に戻った俺はなんとかリネスのことを離そうとするが俺の体が動かない。そればかりか徐々に体全体が熱くなり始めてしまい、そして体が火のように熱いと自覚してしまう。そこで意識が飛びそうになっているところにリネスが口づけをする。その瞬間俺とリネスの唇と口内に唾液が流れ込んできて、そのまま俺はリネスと舌と口内が交じり合うことでさらに体が熱くなってしまうのだった。
そしてそこで俺とリネスの体は変化を始めてしまい俺は人ではなくなっていったのである。
それからリネスは俺から唇と口を話した後に、頬を赤くしながらこう言った。
「ううん、ごめん、本当はこういうやり方をしたくはなかったんだけど、我慢できなかったの、でもあなたとこうしてキスをすることができたから嬉しい」と俺の目の前に姿を現した彼女は人間ではなかったのだ。なぜなら彼女の頭には本来人間の耳があるべき場所にはなく、その代わりに獣の耳に、腰元にも大きな尾が伸びていたからである。つまりは狐耳の少女になってしまったというわけなのだ。しかしそれだけでもかなり魅力的なのにその格好もまた扇情的であったために、とても興奮してしまったのであった。
俺はそこで我慢できずに彼女を押し倒すとその場で行為を始めたのだ。そして俺は何度も果ててしまった後にその少女は気絶してしまったので、仕方なく俺のベッドで眠らせてあげた。俺がその後ベッドから出て自分の部屋に戻っていくとそこにはなぜかリネルがいたのである。するとそこでリネルが俺に対してこう話しかけてきた。
「ルウって意外とやるときは大胆だよね。そんな風に強引にされるって結構燃えるかも。でもまだ子供だし仕方ないか」と言ってきたため、そんなことはないと俺は言おうとしたところでリネスの匂いに釣られた俺は彼女を抱きしめると再び彼女と性行為を始めてそして朝を迎えたのであった。
その日の朝目覚めたときにはリネスはいなかったのだが朝食の準備はされていて俺は朝食を食べた後リネルに昨日のことを聞くと「昨日のことは忘れて」と言われてしまい、それからリネルから逃げ回っているうちに夜になってしまいリネスに捕まったのである。
そこでリネスからリネルは妊娠していると知らされると俺とリネスとの間に生まれた子供だというのだ。その話を聞いた俺はあまりの嬉しさから涙を流してしまい、そのせいもあって俺はしばらくの間リネスとずっとイチャイチャし続けることになるのだった。そして俺がある程度落ち着いた頃にリネルの出産に立ち会うために村の人達の協力を得ることにした。その前に俺がリネスと一緒に外に出るとすでにそこには大勢の村人が待っており、俺は慌ててリネスとともにリネルのそばに行くと俺は彼女に「絶対に無事に産まれてくるように祈っていますから安心してくださいね」と優しく声をかけるとリネスが「ありがとうルウ。こんな大役を任せてくれて」と言われたので俺は大きくうなずくと村人全員に声をかけて協力を要請することにしたのである。そしてリネスと俺が協力して妊婦さんであるリネルをお腹の中から出すとその女性はリネスと同じように頭の上に犬の垂れている耳があり、また、尾てい骨付近からはリネスの物と同じであろうふさふさの狐のような尾が見えていた。その女性の名はリーゼ。そしてその娘はレイカと名付けられたのである。
そのレイカは元気な声で泣き出すのだった。
俺はこの世界に転生してから初めて赤ん坊というものを間近で見ることになり、そしてその命を守れたことが本当に幸せだったのである。そんなことを考えているとリネルが突然倒れたので急いで駆け寄るとリネルが俺に微笑んで「ちょっと張り切りすぎちゃったみたい」と言って苦笑いを浮かべる。そこで俺はリネルをゆっくりと地面に下ろすとリネルの服を脱がせてリネルとリネルの赤ちゃんである娘の体を綺麗にしてあげてリネルと俺の子供であるリーザをベッドで寝かせると、そこでリーダとリーレが起きてきてリネルのことを心配そうに見つめていたが、そこで俺のことを視界に入れるなり、リーリアとリータは抱きついてきたのだ。そこでリーネとリネスが二人を俺から引き離してくれたのだが、そこでリネルが「いいわよ別に、私は平気だから、それよりもルウ、私達もあなたの子供を授かりましょう。そろそろ私達も産む時だと思うから」と言い出したので俺が困っているとリネスもそれに同意するように「ルウがしたいならすればいいじゃない。ルウだって私のお腹の中に入ってた時は私達が妊娠してるか分からない状態だったでしょ?だからきっと今からするってことは間違いないはずなの。それで妊娠するかもしれないのにそんな状態で私達にだけさせてあなたが妊娠しなかったらどうするの?ルウ、ちゃんと責任取りなさい」と真面目な顔で言い出したのである。
俺は困りながらも一応考えてみたが、やはりそういう問題ではないような気がすると思ってしまう。そこでとりあえずはリーディア王妃とサーニャの二人の妊娠について考える必要があるのではと思い至ったのだ。俺がそう思っているとリネルがこう言う。
「大丈夫、その件については任せてもらえればいいの。私の力があれば妊娠するのは問題はないの。だけどやっぱり、初めてを捧げるのは愛し合っている男にしてほしいの。でももしその時に妊娠する可能性があったとしたらあなたに私達の子供の面倒を見てほしいの。もちろんあなたと私達で子供を育てていくという選択肢もあるけど、できればそれはしたくないの。だって私達は夫婦なんだから当然でしょ?まあ、私がお母さんになってリーディとリーラが妹になるのかしら。ふふっ、なんか楽しみね。あぁそれともあなたには他にやりたいことがあって、私やリネスにかまけてばかりじゃいけないって思ってるのかな?」と言ってきたのである。
そこで俺は確かにそのとおりだと思い「はい。俺にはまだ他のやるべきことがあると思うのでそちらを優先するべきだと考えてます」と答えた。するとリネスは少し残念そうな顔をしたのだが、そのあとに真剣な眼差しになりながらこう言う。
「確かにその気持ちはよくわかるわ。それにルウが言いたいことは理解できるから今はそれで構わないと思う。ただ一つ言わせてもらってもいい?」と聞いてきたので俺がリネスの言葉を待つと、その言葉を言ったリネスの表情はとても寂しげで悲しそうに感じられ、そしてこう言ってくれたのだ。
「お願い、もっと自分のことも大事にしてくれると嬉しい。そして一番は家族を、子供達のことを第一に考えて欲しいの。そのためにあなたはここにやってきたんだから。それと最後にこれは私のワガママなんだけど、たまに一緒に寝てくれると嬉しいなって思ったの」と。
俺はリネスに言われて改めて自分のことを顧みると、リネスの言っている言葉の意味を理解したと同時に俺は胸の奥にチクリと刺さるような感覚を覚えるとリネスを抱き寄せて、彼女の唇を奪うと舌を入れて彼女の口内を犯し始める。俺はそれからもしばらく唇を重ね続けた後に彼女の口から舌を離すと、俺とリネスの唇の間を銀の糸が引いており、その光景を見て俺はさらに興奮してしまった。そして俺はその興奮のままリネスに再び襲いかかろうとするがそこで邪魔が入ったのである。
俺はそこでリネスから離れようとするがそれをリネスが許してくれず俺が暴れるがリネスが俺を強く抱きしめるため抜け出すことが叶わずに俺はリネスと何度も行為を続けることになった。
そんなふうに俺はリネスと激しい夜を過ごしたのである。
それから数日後にリネルの妊娠が発覚したのであった。
それからリネルの妊娠が確認されたことで村人たちが集まってきて俺はみんなに説明を行うとみんなは快く協力することを申し出てくれたのだ。それからは毎日のように俺はリーリャの面倒とレイナとレイカの世話をして過ごした。そんなある日のこと、村の人達にリネスのことを任せた俺はリネスとリネルと三人で出かけていたのだ。ちなみに俺が連れているのはリネスだけであり、リネルとは手を繋ぐだけでリネルと二人で歩いていたのである。
俺はそんな風にリネルと一緒に森の中で狩りを行っていた。というのも最近この森に魔物が多く住み着いているらしく、その対処法を知るために俺達はこの森に来ていたのだ。
しかし俺はなぜか今日は調子が出ない上に体調が悪くなってしまいリネルに看病されていた。しかしその時リネルはなぜか頬が赤かった。俺はそれが風邪のせいなのかと思ったのだが、リネスによると「それはね、興奮すると体が火照る病気みたいなものなんだよ。しかもその病原菌を体から発してしまうと近くにいる異性は理性がなくなって獣になってしまう恐ろしい病でもあるんだ」と言っていたのである。
俺はそんな話を聞かなくても俺はすでに興奮状態に陥っていたのは自分でも分かっていたがリネスに指摘されて恥ずかしくなる。だがリネスに抱きしめられて耳元で甘い声を聞かされると俺の興奮は増してしまい我慢できなくなった俺はリネスの胸に手を当てて激しく揉み始めてしまう。
そして俺に胸を揉まれたリネスがビクッと震えると「ルウってばいきなりそんなに強く掴まないでよ」と言ってくる。しかしその瞳は明らかに熱を持っており潤んでおり、そして呼吸が乱れていた。そしてそんなリネスを見た俺もまたさらに強く欲情してしまい、その勢いに任せてリネスを押し倒そうとするとそこでリネスが「待ってルウ、それ以上先に進むのならまずはキスをしなさい。あなたは今までの私の体に触っただけだからまだ私に手を触れてない。その順番を踏まなきゃダメだよ」と言われたので俺は慌ててリネスから離れると「すいません」と頭を下げた。するとそこでリネルが俺の顔を両手で包み込んで持ち上げると唇を合わせてきてくれてそのままディープキッスを始めてきたのである。そのことに驚いている俺をよそ目にリネルは俺の口を強引にこじ開けてくるとそこで俺の口の中に唾液を流し込んできたのである。そして流し込んだリネルは俺の舌を吸い上げてから自分のと絡めてきたのである。リネルが絡ませてくるのは普通の人間の何倍もの長さがあるのだが、リネルはそれを巧みに動かして俺と舌の根から先までを執拗に舐め回してきたのである。
俺はそれに対抗できるように俺もリネスとの舌の根元を激しく攻め始めたのである。そのおかげで俺とリネルーの唾液が大量に絡み合い、飲み込めずに口から零れて地面へと流れ落ちた。そしてその時にリネルから「ふぅ、ルウの勝ちね」と言われてからリニスとリネルは俺と唇を放してお互いの顔を見つめ合う。するとそこでリネルが俺に抱きついてきて「今度はこっちよ」と言うと俺を木にもたれさせて、リネルの足の上に座らせるとリネルが俺を後ろから抱え込みながら首筋に軽くキスをしてくる。俺は突然のリネルの行動に驚くも、俺はそれを受け入れているうちにリネルの手が伸びてきた。そしてその手がリネルによってズボンを脱がされてしまい俺の分身が現れると俺の分身を手で優しく扱き始めて刺激し始めたのである。そのことで俺はさらに快楽が全身を走り抜けたのである。そしてリネルが手コキをしながら「ルウのここは相変わらず大きいわよね。私の口で気持ちよくさせてもらうね」と言って俺の息子を口に含んでくれて舌で先端を弄られたのだ。
俺はそれに堪らず「あぁっ、そこは、んぐっ、あふぁっ」と叫んでしまう。そしてそんな俺に気をよくしたのかリネスは手コキを続けながらもフェラも行ってくれたのである。その結果俺は絶頂を迎えそうになって耐えようとしたが、そんな時に俺に限界が来て俺は精を解き放つと、それをリネルは喉の奥で受け止め、全て飲んでしまったのである。
そこで俺とリネルが余韻に浸っているところにリネスが現れ「ねぇ二人とも楽しそうだね。僕達仲間外れにするなんてズルいな」と言い出す。そのことでリネスが怒るのではと思って俺は心配になった。
だがそれは俺の取り越し苦労に終わる。
なんとそのリネスの言葉を聞いたリネルの目が妖しく輝き、それから彼女は自分の服を脱ぎ始めると、俺の前に裸体をさらけ出した。俺はその姿を見るとリネスと同様に興奮し始めてしまったのである。そんな俺をみてリネスが微笑むと「ふふっ、僕の魅力にかかってしまったようだね。じゃあ早速本番に行くけど良いよね?」と言ったのであった。
こうしてリネスも俺の相手をしてくれたが結局三人で愛を交わし合ったのである。そしてその日は朝になっても止まることなく俺は三人で体を重ねた。その結果俺達三人の体は互いの液体にまみれていたがそれでもまだまだ元気だった。しかし俺とリネスの体の異常はまだ終わっていなかったのである。
リネスはリネルと違って体が人間の姿に変わっておらず、肌が黒いままだったのである。そのため俺が不思議に思っているとリネスが「僕の体は人じゃない。これは魔王として転生する時に授かった能力で、魔力を使うことでどんな生き物にでも姿を変えることができるんだよ。でもこれは僕だけが持つ特殊な能力で普通には使うことが出来ないんだよ。だからこの姿に変化したということは、つまりこれから行う行為のために変化させたということなんだよ。ちなみにリネルは魔族で元々こういう姿になれるから特に気にしなくていいから。でもこの力はすごく疲れるし、使ったら一日は元に戻らない。というわけでここから先は君に頼もうかな。僕は動けそうにないから」といってきたので俺はリネスから離れてレイナ達のところに向かうことにしたのであった。
ただその途中で俺とリネルが一緒にいるところを村人が見ていたらしく、俺とリネルは夫婦だと思われており、さらにはリネスも一緒に三人で暮らすように言われてしまったのである。まぁ俺はこの世界について色々と教えて貰う代わりにこの村に住むことを決めていたので、別に構わないと思ったのだが、村人達から「子供も早く作れよ」と言われる。そのことに俺は顔が赤くなってしまっていたが、そこで俺はあることに気づいてしまう。
この世界にきて俺の体がおかしいのだとしたらもしかしたらこの村の人達の体内にもある可能性があるのではないかと、俺はそこで村人達の検査を行い、全員にあるのが確認出来たのである。そこでこの村の特産品に薬があるので俺にそれを作らせて欲しいと頼み込んでその作り方を伝授した。それから俺はしばらくその薬を作って生活していた。そんな俺の元に一人の女の子が訪れてきたのである。
その娘の名前はサーヤ。リネスと同じく褐色で髪の色は白に近い銀。瞳は赤色をしている綺麗な女性であり俺の妻であるレイナと同じような雰囲気を持っていた。そんな彼女に俺の容姿や人柄に惹かれたらしいのだがなぜか俺は彼女の好意に一切応えようとしなかったのだ。そのことでサーヤが少し不機嫌になってしまい、「私はあなたのお嫁さんになります」と宣言されてしまったのだ。そしてそのことで俺はサーヤから毎日のようにプロポーズを受けるようになってしまったのであった。ちなみに俺はそんなことをされているのに何故か嫌だという感情がまったく沸いて来なかったのである。ただ毎日のようにアプローチされるうちに俺は少しずつ彼女に興味を持ち始めていった。そのせいか俺はいつの間にか彼女と恋に落ちていたのだ。
そのことから俺はサーヤの告白を受け入れて結婚し、この世界で生きることになったのである。
俺が異世界にやって来て数日が経ったある日、リネスに頼まれて俺は一人で森の中に来ていた。その理由というのはリネルに料理を教えるためだった。実はリネルの母親は体が弱いらしく病気にかかりやすい体なのだとか。そのこともあり俺はリネスの手助けをしたかったのだが、俺が村に滞在するのはあとわずかだしその間くらいは自分の好きな事をさせてあげるとリネスから許可をもらったのである。なので俺がここに来たのはそういう理由である。それとこの村はリネルの母親の知り合いである村長が作った場所で俺のような余所者をすんなりと受け入れてくれた。しかも村の人たちも良い人でリネルもとても優しい。俺にとってこれほど過ごしやすい環境はないだろう。だが、ここで一つ問題がある。
俺には前世の知識があるのだがそれがどういう原理で生まれてきたのかわからない上に、使い方についてもいまいちわかっていない。だから今のうちに知識を増やそうと思っていたんだけどその矢先に森の中で大量のオークに襲われたのである。
そしてその時に俺を守ってくれたのが、リネルの父親でもあるアルガドという人だった。彼はこの森を守る警備隊の隊長をしていて、今回の件に関しても事前に情報を得ていたらしい。それで俺は彼に連れられて村へと戻り、その後彼にリネルの家へと案内された。そこで彼の家族とも初めて会うことになる。そこで俺に会ったのは娘のリネスとリネルの母親で、二人はすでに俺のことをリネスから聞いていたみたいですぐに迎え入れてくれる。その時にリネルから聞いたのだけど、リネルの父親は数年前まではリネルと共に暮らしていて冒険者のパーティを組んでいたそうなのだが、彼が仕事中に大怪我をしてしまって引退することになり、そのことがきっかけで妻とは離縁して別々に暮らすようになったそうだ。それがきっかけで彼は自分の息子と離れてしまい、今では手紙でやり取りをするという感じになっているのである。その話を詳しく聞いているとリネルはリネルで父親のことが好きらしく、父親もリネルのことは気に入っているようなのだがお互いにどう接すれば良いのかわからずにいるみたいなのであった。俺はそんな話を聞いて親子仲が悪くならなくて良かったと思っている。それにこの村の人たちは皆いい人ばかりだ。だから俺は村を出ることがなくなってしまい、そのままここに住むことになりそうだと最近は思い始めているのである。
そして今日はその村に帰る前に、俺が料理を教えてくれないかとお願いした。その申し出にリネスは「いいよ。私もそろそろ新しいレパートリーを増やしたいと思っていたしね」と快諾してくれた。そして俺はリネスに指導を受けながらリネスと一緒に食事の準備を始める。
まず最初に作るものは野菜スープと魚を使ったムニエルを作ろうと決めている。理由はこの世界の食材にまだ慣れていない俺はこの村に来て最初の頃は美味しいものをあまり食べていなかったからである。そのことからリネルのアドバイスもあって今回は野菜と魚のスープに決めたのであった。だが俺はこの調理法に問題があったのである。
というのも、この世界にも味噌は存在しているので味噌汁を作ることはできるが、醤油がなかったのである。一応砂糖と似たような調味料はあったのであるがそれだけでは味がどうしても薄くなってしまうので俺はその調味料を足しながら食べるのである。
そんなこんなで俺とリネルは料理を作ったがリネルは料理の才能があるのかあっという間に作れるようになり、二人で一緒に作った料理をみんなで食べるとすごく好評だった。
特にサーシャが気に入ったようで「お母さんもお父さんもこれ本当においしいよ。ルウもそう思うよね?」と言われて俺もそのとおりだと思うので同意するとリネスに頭をなでられて「この子は将来絶対にいいお嫁さんになるからね」と嬉しそうに言ってくれる。だが俺のほうは「でも僕は君のこともちゃんとお婿さんにしてあげたいと思ってるんだよね」と言われた。その言葉に俺は顔を赤くしてしまい、それを見ていたサーシャが俺に対して頬を膨らませる。
その姿を見て可愛いと思うのだが、正直サーシャとは恋人関係というよりは友達感覚に近い。そのこともあって彼女は俺の側にいつもいて何かあれば抱きついてくることが多いので俺としても妹的な存在になっていたのである。
そして俺は料理を食べ終わった後、村長が家を訪れ、俺達がいるところにやって来る。それからリネスとリネルの二人を見て少しだけ悲しげな表情をしていたがすぐに切り替えて笑顔を見せてくれた。
「二人とも久しぶりじゃのう。こうして再び会えて嬉しいわい」
そう口にした村長の瞳からは涙がこぼれそうになってる。リネスが「元気で何よりです。でも少しやつれましたか? 顔色が良くないように見えるんですけど大丈夫ですか?」と聞くとリネスは「心配かけてすまんのう。確かにわしはあまり体調がよくないのは本当でな。最近も発作が起きそうになったことがあるのじゃ」と答えた。そこで俺は「それなら一度治療院に行ったほうが良いんじゃないでしょうか?」と言ったがそれに対してリネスが「いえ、この人は私の魔法で治せます。それでは行きますよ」と言ってから両手を握り締めると彼女の手は白い輝きを放ち始めた。
俺も回復魔法の類が使えるようになっていたのである。といっても俺が知っている範囲の回復呪文しか使えず傷口を塞ぐ程度の能力しかないのが今の俺の能力だ。その証拠にアリサは俺の体に触りながら俺の能力を鑑定していたらしいのだが俺の体は異常な状態ではないと判断されたらしい。なので俺自身は自分がどういう風に認識しているのかは理解できない状態である。
リネスが握っていた手を放すと村長の体を包み込むように光が広がる。それから少し経ち村長の顔色に変化が現れた。
「おお!体が軽くなった気がするぞ。これでしばらくは持ちこたえられそうかのぅ」
村長の言葉を聞きリネスが微笑むと「それはよかった。でもあまり無茶はしないでくださいよ」と言い、「うーん。そうしたいのは山々なんだがそうも言っとれんくてなぁ。実は村の近くにある洞窟から魔物が大量に出てきて村の若い衆が討伐に向かったのだが帰ってきとらん。だから村の守りを固めないと安心して眠れんでなぁ」と深刻な顔つきをする。するとそこにリネルとサーヤが村長の元にやって来た。
「村長さん。もしかしてそれってオーガの巣窟であるダンジョンのこと?」
リネルの発言に村長が驚いたような顔をしながら彼女に視線を向ける。
その反応に俺は嫌な予感を感じてしまい、俺はリネルにそのことについて質問をすることにした。
そして俺はある事実を聞かされてしまうのであった。
――その昔。この村にはオーガストという名前の村人がいたという。彼の先祖が魔王を倒すために異世界から召喚され、魔王の封印のために協力してくれていたらしい。それから彼は勇者の子孫と結ばれて子供を作り、その子供が代々この村で暮らしていたという歴史があるのだという。
つまり、リネルの父親の家系はその異世界からの勇者の子孫である可能性があるらしい。その事実をリネルが話したことでリネルとサーヤを除く他の三人は驚いていたのである。
ちなみにリネルは俺の予想どおりリネルの父親から異世界について話をされていたようでそのことに関して驚きもしていなかった。ただ俺の妻のレイナはこの村の歴史を初めて聞かされて驚きと困惑の感情を抱いているようである。そこで俺は村長にどうしてこの村にオースという名の村人がいたことを黙っていたのかと聞いてみたのだ。
その理由というのが、この村の住民は過去の出来事を語りたがらない傾向があるからだそうなのだ。それはこの村に来る前の道中で俺も体験したことであり、その理由についても村長は語り始めた。なんでも過去にもこの村にはオースがいたが彼がこの村を出て行ってしまったあとに悲劇が起こってしまったのである。そしてその悲劇がきっかけで村の人間達はオースの話を口にしようとしなかったのだというのだ。そして俺もそのことを知ればこの村に残るかどうかを決めることができるかもしれないと、村長にそう言われたことで俺も自分の記憶を思い出してみたいという気持ちが生まれた。だがこの話はここで終わりではない。リネルの父親に話を聞いたところこの村は昔この大陸を支配しようとした帝国に支配されていたという過去があるというのだ。しかもその帝国の皇帝とやらは異世界から召喚された人物らしいとのこと。
俺はそこまで話を聞いてからリネルの父親に俺達の素性を話すことにした。
「このリネルというのは、この世界の出身ではありません。別の世界の住人です」
「別の世界から!?」
リネルの父親が驚愕の表情を浮かべる。だがそんなことはリネルから話を聞いていたのでリネルは気にせずに説明を始める。そして彼女がこの世界にきた理由を話し始めてくれたのである。そしてその話を聞き終わるとリネルの父親は複雑な表情を見せた。
「まさかそのようなことがあったとはな。それにしてもお前は本当にリネルなのか? あの時はもっと大人しい感じだったが今の姿を見るとそう思えるのだがな。それにサーシャといったかな。そっちの娘さんもだ。どう見ても普通に見える。どういった経緯があってそんな風になったんだ?」と疑問を口にした。
そんな彼に対してサーシャが俺との出会いやその後に起こった事件などの一連の流れを説明したのである。
サーシャの話が終わってもリネスはしばらく信じられないといったような表情で話を聞いていたが「それでルウさんと一緒に旅をしているわけですね。それに私の息子は、貴方に預けたのも間違いではなかったようね」と言ったのである。
それから俺は気になっていたことを聞く。リネスにサーラは元気にしているかを聞いたのだが彼女は申し訳なさそうな顔になる。そのことに不安を覚えた俺だがサーラの容態が悪化していることを聞かされる。そしてリネスに治療してもらえば助かる可能性が高いとのことだった。
そのことを聞いて俺はいても立ってもいられずに治療してもらいに行くことを告げるとリネスに呼び止められた。その呼びかけに対して俺はサーシャとアリサに先に向かってもらうようにお願いした。そのあとで俺はリネルの母親と村長に治療に行ってもいいか確認を取ったら二人は快く承諾してくれた。そこで俺は村長が案内役になり治療院まで向かうことにする。
そして到着したリネスの家兼診療所はそれなりに大きなものだった。中に入るとそこは綺麗に整頓されていて受付カウンターがありその奥に診察室があった。それからさらに先に進んでいくと、そこには病室のベッドが置かれており、そこにはまだ小さな少女が横たわっている。
俺はその様子を見ながらリネスの治療を受けることになるのであった。するとリネスが魔法を唱え始める。すると俺の中に暖かい力が入ってくるのを感じた。そしてそれと同時に俺の中で何か変化が起きた。今まで忘れていたことを思い出せたかのような感覚だった。俺の記憶の一部が蘇ってくる。だが俺はそれがなんなのだろうかと考えると、すぐにリネスが話しかけてきた。
「お父様が治療を受けているのでルウさんにも私の能力を教えておきますね。この力は母が受け継いでいるものと同じものです。私の母は、私に教えている途中で力を使い果たしてしまったんですけど、お姉さまがこの力を使えました」
俺はその言葉を聞き、リネルはリネルの母の能力を継承したんだろうということが推測できる。そこで俺の中にある違和感の正体に気付いたのである。
「その能力はおそらくリネルちゃんの力と違う部分があるのでは?」
俺がそう尋ねるとリネスは目を丸くしながら俺のほうを見る。
「どういうことですか?」
「その力っていうのが俺の中に入った時に暖かさを感じることが出来たんだよ。ということはリネルちゃんの持っている力とは別のもので君の場合は君の母親の能力を受け継いでいてその力を君自身も使えるようになっているのではないかと思ってさ」
俺の説明を受けてからリネスが納得したかのように笑顔になると「そうかもしれません。実は母も同じようなことをしていましたから」と話す。そこで俺の頭の中では、もしかしたらリネスがサーシャやアリサのように前世での記憶を取り戻して何かの力を得ることが出来るんじゃないかと思ったのである。だから俺はそのことについても質問をしてみることにした。
するとリネスは困ったような顔をしながら答える。「確かに私の体の中にもルゥさん達とは違う魔力が流れていますけど、私はそういったものは使えなくて、でもお姉さまが言うにはそういうものがあるみたいです」
その言葉を耳にして俺はやっぱりなと思うと同時に俺はこの世界でリネルの能力に干渉することが出来れば俺の転生の秘密を解くヒントを掴めるのではと思い、彼女に提案してみることにする。その方法は俺の持つ魔法スキルの一つである『同調魔法』で彼女の体に眠る能力を活性化させることで俺の能力と同調させてしまえばいいのではないかということである。その説明をリネスに伝えると、俺の言った方法についてリネスは賛同を得られたので早速実行に移すことになった。それからしばらくしてからリネスは疲れたのか眠ってしまったので彼女の母親であるリネルの母親は娘が眠ってしまったことに気づき、彼女を優しく抱き上げると部屋を出て行った。
俺はその間、アリサから受け取ったサーシャを見ていた。彼女の状態は良くなっていたが、それでも意識は回復していないようである。
そしてアリサが俺の隣にやってきた。
「大丈夫そう?」
「ああ、とりあえずは問題ないだろう。今は眠っているだけだから心配はいらない」
俺の言葉を聞いた彼女は少しだけ安心した様子を見せた。それから俺は村長が戻ってきてから今後の対応を考えるということになり、俺は家に帰るのであった。そこでアリサが泊まっている宿屋の部屋で彼女と二人きりになる。するとアリサが少しばかり不安そうな顔を見せながら俺に問いかけてきた。
「ねえ。これからどうするの? サーヤさんはしばらく目覚めることは無理だろうし、それにサーシャだってしばらくは目を覚まさないでしょ。リネルが目を覚ましてサーシャのことを見た時にはきっと驚くよね。そうしたら色々と大変なことになっちゃうんじゃ――って、ごめんなさい」
そこまで言って彼女は自分が何を言ってしまったのだろうと気づいたのか謝罪してきたのである。なので俺は「気にしないでくれ」と言っておいた。そのあとは俺とアリサが交代で寝て、夜の間は二人で話し合っていたのだ。
俺達がサーヤ達の元に訪れた翌日の昼頃に俺とリニスは村を出て、近くにあるというオーガの巣窟に向かう。それから数時間ほどで目的地にたどり着くことができた。そしてその入り口には武装をした男たちがおり、彼らは俺とリニスの顔を見て驚愕している。それも当然でオーガストの子孫であるリリスは村を出るまでは俺の妻の一人だったのだが、村に戻ったらリニスと結婚して今では村唯一の女性となっている。そしてその妻であるリスティもまた俺の嫁なのだ。
「リネスはどこに?」
「ここにいるぜ!」とリネスの父親である村長が現れてそう叫ぶ。その後ろにはリネスの姿も見えていた。俺は彼に近づいていくと「どうしてリネスを連れて行ってしまったんだ? まだリネスは若いんだぞ。この村にずっと居ればいいじゃないか?」と言われてしまう。
俺達はオーガの巣で魔石を取りにきたと説明して中に入れてくれないかとお願いした。だが、それは出来ないと断られたのだ。その理由は俺の予想どおりであったが、その前に俺達はオースの墓があるところへ案内された。そこは村外れの山にある洞窟でそこの入り口には木で作られた十字架が立っていたのだ。
「オースは死んだ後、魔王に操られた状態でここを訪れた村人を殺したという。だからこの場所は村の人間は近づくことができない場所なんだ」と彼は悲しそうな表情を浮かべる。俺はそんな彼を見ながら心が痛くなる。そして俺は村長に俺の目的を話して、協力して欲しいと告げる。その説明を聞いた村長は渋々ではあるが俺達の手伝いをすることを受け入れてくれたのである。
「リネスのことは心配する必要はない」
俺は村長のその一言を聞いて、彼もサーヤのことが気になっているのだと理解したのであった。
俺はリネスの父親からオーガスと村長の名前を聞く。その二人の名前が一緒だということが気になり尋ねてみると二人は遠い親戚同士らしい。
俺はこの話を聞きながらも村長の案内の元、墓の側へと向かう。そして俺とリニスは、そこに掘られている二つの棺を目にすると「この中には、リネスのお祖父さんとおばあさんが入っていてね。どちらももう亡くなっていて墓の中に埋葬されているんだ」とリネスが俺に語りかけるように話す。それを聞いてリネスがリリスにそのことを告げていないのも理解できる気がした。そして、リネスは「リリスも知っているの?」と不安そうな顔で尋ねた。リネスはその質問に対して首を横に振ると彼女は俺の方を向いて話しかけてくる。
俺はリネスの気持ちを考えながら彼女と一緒に行動することを決心すると、この世界では当たり前のように行われている風習についても質問することにした。
「この世界に死霊魔術は存在しないんだよな?」
俺がリニスに向かってそう尋ねると、彼女が驚いた顔をして俺のことを見つめてくる。その視線に気づいたリネスが俺にどういうことなのかと問いただしてきた。
そこで俺はこの世界での死人は火葬され骨にされるのが普通であり死体が土の中で魔物に変化したりはしないことを話す。そして、この世界で死者が復活すると言われていることをリネスに伝えた。
「え!? そっ、それはまさかお父様の話ですか!?」
俺の言葉を聞いてリネスが目を見開いて驚きの声を上げる。そして、俺がそのとおりだと伝えるとリネスは困惑の眼差しを俺に向けてくる。そのことについては俺は何も話すことはできないが、リネスのお父さんやお婆さんが蘇っているのかもしれないということだけは伝えてあげる。するとリネスは少しだけ元気になったようだった。だがそこで俺の後ろで様子を見守っていた村長がリネスに声をかけてきた。
「リネス。あまりそのことについて詮索するのは良くないよ。それにしてもルウ殿が生きていたとは思わなかった。それにあのオーガスの子孫とも知り合いだったなんて。リネスから話を聞いた時は私も耳を疑ったものだ。まぁ、でも君が生きているのなら良かった」
「ご迷惑をおかけしました」
「いやいや、君はこの村の恩人でもあるからね。このくらいはお安い御用だよ。それに私もオースには色々と思うことがある。だが君のおかげで彼の命が無駄ではなかったことがわかったんだ。だから私は感謝している。ありがとう」
その言葉を聞いたリネスは涙ぐむと俺の手を握った。
俺はその手を握り返す。それから俺達三人は墓の側でリネスのお母さんとリネルの母親について聞いてみた。すると彼女はリネスと同じように二人をこの村まで送り届けてくれたそうだ。
その言葉を聞いた俺はお礼を言うと共に俺の仲間たちをよろしく頼むと伝えた。そして俺は、リネスの祖父母の話をリネスから聞くと、その二人が亡くなった時もやはり火葬されていたと教えてくれる。リネスとリネルはこの辺りの土地ではほとんど見かけることのない銀髪と瞳を持つ女の子なので二人が生き別れになってしまったのだろうと想像できたのである。
俺はそれからサーヤの眠る場所へと移動してから、村長達と相談することにし、それから俺達は村長の家に戻ってきたのであった。すると俺達を待っていたアリサから、リリスさんがサーシャのことを見て何かを感じたようだと伝えられる。
そこで俺はサーシャに起きていることをアリサに伝えて貰うことにしてからサーヤの元へ戻っていく。その途中であった、俺とリネスの前にリネルが立ち塞がるとサーシャはどこに行ったのかと質問してくる。それに対して俺はアリサに任せていることを説明するとリネルが「わかったわ。じゃあ私も連れて行って!」と言って俺達の後に着いて来たのである。それから俺とリネスはサーヤの部屋を訪れるとそこにはベッドに寝かせられている彼女の姿があった。しかし彼女は眠っているだけで意識を失っているわけではないので安心できる状態だと言えるだろう。そのことに気づいた俺はアリサが上手くやってくれたのだなと思ったのである。
その後、俺とアリサは村で昼食を取るためにリネルと一緒に出かけることにする。そしてリネスをその場に残していくと、俺はリネスの頭を撫でてから家を出ていったのである。そして俺たち四人で食事をした後に村長の家に戻ると彼は俺達に話があるというので俺はそれを受け入れることにした。
◆ 村長から伝えられたことは彼が昔、オーガスから聞いた話が真実であったということだという話だった。その話ではオーガスはオーガスの祖先であるオーガスに自分が持っている能力の全てを託したという。その能力こそが俺の魂を転生させたものなのだと言うが俺にはまったくわからない話であった。その話を聞かされた俺はこの世界に自分の肉体を持ったままでやって来た時に、俺の体には魔力がなかった理由がこれではっきりしたのである。俺はその理由を知ってからは今まで以上にオーガスのことを考えるようになった。この世界に俺を呼び込んだ張本人でもあり、その力がなければこの世界での生活はとてもじゃないが送ることは出来なかっただろうからだ。もし俺が自分の肉体を持たずこの世界に来ていたら、すぐに魔族か他の生物に襲われて殺されていたに違いないと俺は思っていたのだ。そう思うと俺がこの世界で生き延びることが出来たのは奇跡に近い。ただ、そのおかげでこうして愛する妻と子供に恵まれることになったのだからオーガスに感謝しないといけないのかもしれなかった。そんな事を考えながら俺は、これからどうすればいいのかを考え始めていた。そしてこの世界のことも気になるが、それよりも俺の体に宿っているとされる魔王の力のほうがもっと気になるのである。そして魔王の能力を使えば、サーヤのような少女でも強力な存在を生み出すことが出来るはずだと考えていた。俺はそのことを村長に打ち明け、もしもその力を俺が利用できるならば使いたいと考えていると話したのである。
俺が村長に相談している最中も、リニスは村長の息子リネスに魔法を伝授してあげていた。そのせいで俺は村長と話すことに集中することができずにいたのであった。
ただ、俺が魔王の力を使って、この世界に混乱をもたらしたのがオーガスだとしたら俺にも責任があることに間違いない。
そこで俺が「俺もその魔王って奴に文句の一つでも言いたい気分だよ」と言ったところで、村長が笑みを浮かべたのである。俺はそこでその笑いの意味が分からずに戸惑ってしまった。村長はその俺の顔を見ると、さらに大きな声で笑う。だが俺には何が何だかさっぱり分からない。そしてようやく笑い終えたかと思うと俺に向かってこんな言葉を言ってきたのであった。
「はっはっは! まさか君がオーガスに会ったことのある人物だとは思わなかった。オーガスは確かに魔王と呼ばれるにふさわしいだけの能力を保有していた男だったよ。そして魔王の力を得たことで彼は人間をやめてしまった」
俺はそんな彼に対して、俺が知りたかったことを質問した。それはこの世界に魔王は存在しているのかという問いに対して彼は「いる」と答えたのだ。
そして俺の予想通り、この世界にはまだ魔王が存在しており、そしてこの村の近辺に存在する魔窟の主もまたその魔王の配下であると聞かされた。だが村長の話によると、この村の付近には他に3体の強力な力を持つ魔物がいるということだった。そのうちの一体は村長の息子リネルが遭遇して倒した相手であるオーガであり、残りの二体は人語を理解するほど賢いドラゴンだという。そしてもう一体が俺の知らない魔物で『不死鳥』という名で知られているというのである。ちなみに、リリスに倒されたのがオーガスであり、『不死身』『回復速度上昇』などを持っているのだという。
俺がこの世界で得た情報は、村長の話を鵜呑みにするととても信じ難いような内容であったが、俺はその話の全てを信じることにした。俺にとって村長は信頼できる人物であったし、何よりもその話の中に俺の目的に繋がる情報が含まれていたからである。つまり俺の目的はリリスを復活させることともう一つあったのだが、それがオーガスの捜索であった。しかし、俺の知っている限りではその手掛かりとなるものが一切見つからなかったので、今回のオーガスに関する情報はありがたく頂戴しておこうと考えた。そうすることでリネスをオーガスのところに連れていっても危険がないと判断した俺は、リネスの同行を許可したのであった。
俺はこの世界に来た際に手に入れた力を使い、リニスの魔法がどれほど強力だったのかを確認するために村の周りにあった木々を切り倒し、そこにリネスを座らせると俺はリニスと一緒に彼女のことを応援することにした。リニスは俺が渡した武器を使うように言われていたのでその通りに行動していた。そして俺はリニスからもらった武器をリネスが手にしていることを視認しながら彼女のことを応援したのであった。
それから一時間くらい経過した時、リニスの目の前に一人の美しい少女が現れ、彼女が剣を軽く振ると、瞬く間に木がなぎ倒されていった。その光景を目の当たりにしたリネスは驚いていたようだが、俺から見てもその実力はかなり高いものだとわかる。
そこで俺は彼女達のもとへ向かうことにした。そして俺はリネスが切り倒した木の一本に近づきその表面に触れてみると驚いたことにその部分が凍りついていたのである。
俺は思わず目を疑う。そして慌ててリネスのもとに近づいてみるとリネスも俺と同様に目を見開き驚きの声を上げていた。その声を聞きつけて俺が駆け寄ってくるとリネスが俺のことを抱きしめてきたのである。
その日の夜はサーシャも無事に起きてきたのでみんな揃って食事をすることが出来た。その食事の最中にサーシャが村長に、この村の近くにある洞窟にオーガスという人物が眠っていると教えてあげたようだ。俺はサーシャからそのことを聞いて少し驚き、まさかそんな情報があっさり手に入るとは思ってもいなかったため少し感動してしまったのである。だがその情報を入手した後になってサーシャからこんな質問をされてしまう。
「ルウさん。あの子達はどうなったんですか?」
サーシャの問いかけを聞いた俺は言葉を失う。サーニャは少し寂しそうな表情を俺に向けてくる。そして俺は、彼女の気持ちが理解できるだけに心が痛んだ。
俺はその質問に対して、俺の前世の両親や兄弟や友人たちが既に亡くなっていることや、俺自身も死んでこの世界に来てしまったので元の世界に帰す手段がわからないのだと説明すると、サーニャも納得してくれ、それ以上のことを聞いてこなくなったのである。そんな会話をしている間に夜が明ける。
その朝、リネスからこの村に滞在中、俺たちはずっと一緒に過ごすのだから家族のように接して欲しいと頼まれる。そして、リネスの提案を受け入れることにした。俺とリネスが話しているとリネルが、リネスを俺の妻として迎え入れたいとお願いしてくる。しかし俺もサーシャもすぐには返事が出来なかった。サーシャも困った様子を見せていたのである。
俺はリネスにどうしてこの村に残ろうと決意してくれたのか尋ねる。その理由としては、サーシャがリネスとリネスの母親と約束していたことと、そして彼女自身もこの村に住む人々を守りたいという想いがあるからだそうだ。リネスの口からそのような答えを聞くと俺の心が揺れ動いたのである。俺の仲間たちにはすでに、俺の転生については伝えているが、それでも俺と共にいてくれているのだ。
俺は、サーヤがリネスに何かを伝えようとしているのを見てサーヤに何かを伝えるように指示をする。サーヤが伝えたのは「あなたのお母さんはあなたのためにここに残ると決めたのですよ」という言葉だ。それを聞いたリネスの目からは涙が溢れ出ていた。俺は、リネスを泣かせてしまうが、彼女の母親をリネスと一緒に守っていくことを誓うのであった。それから俺はサーヤにも同じような誓いの言葉をリネスの口を借りて伝えたのである。サーヤも泣き出してしまっていた。サーヤが泣き終わると俺たちは全員で家に戻り朝食を食べる。それから村長が用意をしてくれていた装備を身に付けた。その時に俺が使っている防具をサーヤに預けると彼女は喜んで受け取ってくれた。その後で俺とサーヤ、アリッサの3人で、オーガスを探しに行くことにする。村長には申し訳なかったが、俺の用事が終われば必ず戻ってくると伝えておく。俺は村長に「村の護衛も必要だろう」と言われて断る理由もなかったので村長の頼みを聞き入れたのであった。
そして村長の家を出たあと、サーヤの転移の魔法で目的地に移動する。移動中は、リネシアに念話で状況を確認した。その時にリネリと俺の関係について尋ねられる。俺は自分の恋人だと言っておくと、リネシアが「やっぱりそうなのですね」と言いつつ嬉しそうだった。その反応はまるで恋する乙女そのものだった。俺はリネスを一人置いてきていることが気になったが、今はオーガスを見つけ出すことに集中することにし意識を切り替える。そして俺の頭の中では、魔王の魂をこの体に移すことが優先事項だと判断をした。この世界で得た力はあまりにも強力すぎたのである。
俺は、リリスが使っていた魔法の力を思い浮かべてみたが、その凄まじさに改めて驚く。もし魔王の力でこの世界に干渉することができるのであれば、俺はこの世界の人々を救いたいと考える。そのためにもまずはこの世界で力を手に入れる必要性を感じてしまったのであった。
俺はこの世界のどこかに潜んでいる魔王の配下をこの手で倒すと心に決める。俺は俺の仲間に手を出すものは誰であろうと許さないつもりであった。
◆俺はリネルの背中に乗り、空からリリスが暮らしていたという洞窟に向かっていた。リネルの足ならもっと早く到着できるはずだったが、彼の背中に乗せてもらえることになったのである。ただリネスとリリスの娘であるアリサは俺が連れていくことになっていた。彼女たちにはこの村での生活を楽しんでもらいたかったし、それにリリスが生きていたということを教えてあげたかったのだ。
リネスとリゼルが俺のことを心配していたので「俺は大丈夫だよ」と言うと「ルウさんの無事をお祈りしております」と二人が同時に同じことを言ってきたのである。俺は二人の頭を撫でてから二人をリネルに乗せる。二人は仲良く抱き合っていた。そんなリネスたちに見送られながら俺達は出発したのである。ちなみにリリスは俺がサーヤに頼んで村に戻ってもらおうとしたのだが「私がついて行きたい!」と言ったため仕方なく連れて行くことにしたのであった。サーヤも反対することはなかったしな。まぁ俺にとっては嬉しい誤算だったのでいいかと思ったわけである。そして俺はリネスたちが見えなくなるとリリスを俺の膝の上に座らせてから彼女にこの世界についていろいろと尋ねたのである。そして俺のこの世界における最初の目標はリニスと俺の仲間の蘇生であるということを話した。するとリリスが驚いた表情をしていた。それはそうだろ。だって俺自身が生き返るなんて信じられないよ。しかし俺の話を聞いてリリスは信じてくれたようだった。なので俺はリリスから、この世界でのことについてもう少し詳しく聞くことにする。
リリスは「わかりました!お母様に代わって私が全て話して差し上げましょう!!」と言っていたので俺はリリスの体をギュッと抱きしめたのであった。そうすれば彼女は大人しくなるだろうと予想できたからである。
リリスによると、この世界は前の世界と違っているらしい。俺のいた世界は俺が死んだ後に神様の手によって新しい時代が始まっているはずだと教えてもらったのである。
俺にとって意外だったのは、今現在、この異世界は、人間と魔物の戦いがずっと続いていることであり、その中でもこの辺りの地域は特に激戦区であり、魔物と人が常に戦いを繰り返しているのだという。魔物と人間が戦争を始める前からもそうであったが、戦争が終わった後もその関係はずっと続いていてこの先変わることがないのではないかと思えるほどであるようだ。そんな現状の中で、リニスの母親が住んでいる場所はこの近辺で最も安全な場所であるとのことだった。
そんな危険な場所で、どうして俺の母親たちが暮らしていたのか疑問に思ったが、その理由をリネスが知っているような感じだったが、俺が聞き出す前にリネスは「私、お腹が空きすぎて力が出ないです。村に着いたら美味しい食べ物をたくさん食べさせて下さいね」と話を逸らされた。俺は仕方ないのでリネスの言葉に従う。リリスはそんな俺のことをジト目で見てきたけどな。リネスとリリスの母親はリリスの魔法で結界を張っていたため安全に暮らすことが出来たのだと言われたが正直に言うと俺にはそんなことは関係ないと思っている。
この世界に来て俺はレベルが上がっていることもありかなり強靭になっているので、大抵の危険を跳ね除けることができると思っていたのだ。だからリネスの心配などする必要がなかった。俺の考えがリネスに伝わっているのかわからないが俺が笑顔を見せると、彼女も笑みを浮かべていたのである。俺はその顔を見るととても幸せな気持ちになったのであった。
それからしばらくしてようやく目的の洞窟に到着する。その頃にはもう昼を過ぎていたが俺はまだ昼食を済ませていなかったのである。俺のお腹がグーっと鳴っているとリネスとリリスに聞かれて恥ずかしい思いをした。でもこの世界では俺は赤ん坊だと思って割り切る。この体の体は成長が早すぎるくらいだし気にしないようにしようと思ったのである。俺はとりあえずお礼としてリリスに回復魔法をかけると彼女の怪我も綺麗に消えてしまったのであった。それを見ていたリネスは、リネスの母であるリリスにそのことを話すと、「リネスの傷も治せる?」と言ってきたので、俺はすぐに治療を行った。すると今度はリネルとサーヤが驚き固まっていたのであった。それを見たリネスがリリスにリネルとサーヤの治療を行うようにお願いする。
俺はそのやり取りを少し不思議に思いながらも見ているとサーヤもリネスと同じで、リネスと全く同じ動きをして俺に治療してくれたのである。どうやら二人はリリスがリネスに伝えたことで俺に回復魔法を使ってくれるようだと気が付いた。だからリネスと同じように魔法をかけてくれるようになったみたいである。
俺はサーヤにありがとうと伝えるとサーヤは照れくさそうに微笑んでいた。
それからサーヤはリネスの方を見つめると、彼女は自分の母親であるリリスにサーヤが母親だと教えた。サーヤが「お義母さま!」と言うとリリスが「サーヤは可愛いから私のことお母さんって呼んでくれてもいいのよ」と言う。それに対してリネスが、俺にリネスのことを紹介して欲しいと言われ俺は自分のことを説明すると、俺の口からは「俺がパパになるからな」と言葉が出た。俺は自分の口から出たその言葉で何だかくすぐったい気分になっていたのだった。
俺の口から「俺がママになる」という発言を聞いたリネスたちは一瞬キョトンとした顔をしたが、リリスだけは笑いを堪えることができず、爆笑していたのである。俺としては、そんなに笑うほどおかしいこと言ったかな?という心境であったのだ。その後、俺たちはすぐに食事をするために村へと戻ったのであった。食事が終わった頃になってようやくリリスが復活してきたので俺は魔王の魂を移すことができるかどうか確認をする。その話を聞いたリリスは「出来るかもしれませんが、今は無理です。この体と魔王の魂を完全に同化させることに集中すべき時なのです」と答えた。
俺としても今はその時ではないと考えていたので、納得することができた。俺はリリスにリリスたちの家まで案内してもらう。その時に俺もリネスたちも気になったことだが、リネスたちが住んでいた場所の周辺にはリネスたちを襲ってきたと思われるモンスターの死屍累々が転がっていたのである。リリスはそのことに気が付くと、リネスに魔法でこの死体を片付けるように指示を出す。俺のことも睨まれたが、別に俺が悪いことをしたわけでもないのになんでこんな目に合わなければいけないんだよ!と言いたくなったが俺は黙ることにした。
俺たちはそのままリリスが暮らしている村へと向かうことにした。そして村の入り口に着くと一人の男が現れてリリスに声をかけてきた。リリスはその男がリネスの父であることをすぐに理解した。
男はリティスと名乗りリネスたちの父親であると語った。それを聞いたリネスとリリスが俺に父親を紹介したいと言っていたのでリネスたちと三人の家族の時間を過ごさせてあげたいと思い、俺は一人で山に戻ると伝えたのだがリリスに止められる。なんでも俺のことを家族の一員として受け入れてくれているようで、この世界に来たばかりなのに申し訳ないからという。俺の気持ちを伝えたのだがリネスが寂しそうな顔をして「ダメでしょうか」と言う。そしてリネスに続いてリネスの母親であるリリスが俺に「この世界のことやこの世界のルールについては私が教えますのでルウさんの側に居てください。それとルウさんはこの村にとって特別な人なんです。この村に暮らす人々はみなルウさんのことを知っていますよ。それにお父様とお会いになれば必ずお話しされると思います」と俺に話しかけたのであった。
確かにこの村の人たちはリネスの家族であり、その人達から信頼されているなら会っても問題はないだろうと思ったのである。ただリリスの言っていることが俺の耳には全く入ってこなかったがリリスとリネスが嬉しそうに会話をしている姿を見て俺は何も言うことができなくなっていた。そして俺は二人に連れられる形で父親のいるところに向かったのである。
◆ ◆ ◆ 私は今リネスちゃんの旦那さまと一緒に、リネスちゃんの生まれ故郷に帰って来ています。私はリネスと娘のために村に戻ってから、すぐにこの村の長老の元に向かいました。私が帰ってきたのを知った長老がすぐに私の元にやってきました。長老から、私が勇者としてこの世界に再び召喚された経緯を聞くことになりました。この世界を救うために、再び私をこの世界に呼び戻したことに長老は感謝していましたが、私はそれを断ったのです。私にとって一番大事なことは娘たちを守ることなのです。ですからそのために私ができることをしたいと考えた結果、勇者となることを受け入れたのですね。その話を聞いていた村人達は驚いていましたが、私がもう一度勇者となって戦う決意を話すと喜んでくれたのでした。しかし私は、今回の一件で改めて実感したのでした。私がこの村を離れられないと知ったときリネスとリネスの娘の命が失われそうになったときの悲しみは今でも忘れられないほどの辛さで、二度と経験することはありません。
リネスたちが幸せになるためにはどうしても私が守らなければならないと感じてしまったのです。だから私がこの世界でやるべきことは全て終わったと判断したらすぐに娘たちのもとに帰りますねと言って村長は快く了承してくれました。
そんなわけでリネスは今現在、愛する夫の膝の上に座り愛娘のサーヤを膝の上に座らせて幸せそうにしています。私はその様子を見ると心が安らぎました。この村を出発するまではこの二人の姿を見ることができなくなるのは残念だと思いましたが仕方ないことだと自分に言い聞かせたのですね。そんなことを考えているとリニスがこの場にやってきたのであった。リニスはリネストが無事に戻ってきたことをとても喜んでいたので私もその様子を確認することが出来安心することができ、本当によかったです。リネスたちが私たちの村に戻ってくるまでの間に色々と話を伺いましたがやはりリリスの話通りリネスは勇者に選ばれたのでした。それもリリスの息子のレイアスがこの村の出身でリネスも彼の幼馴染だったようです。だから、彼女はこの村を出るときには勇者になることを受け入れず、この村に残る選択をしたらしい。その話を聞いていてとても複雑な気持ちになったのでした。
それから私たちはこの村の特産品である温泉に一緒に浸かりました。
私はリネスにお願いをすると彼女はすぐに行動を起こしてくれたので、私の願いはすぐに叶うことになります。私の体が一瞬にして若返ったことで、その事実は周りの人たちにも知られることになりました。でもみんなその事実を受け入れると祝福してくれたのです。
その後、リリスに案内されてリネスの故郷にたどり着いた。その村はとても活気があり多くの子供たちが元気よく走り回っている。俺はその風景を見て感動していた。俺がいた元の世界ではここまで子供たちが無邪気に遊ぶ光景など見られなかったからだ。
そんなことを思いながらも俺がリリスとリネスとリリスの娘であるサーヤと共に歩いている姿を遠くから見ていた者たちが、突然慌て出したのである。俺のことを知っていた者たちはリネスが抱いている赤ん坊が誰の子なのかわかっていた。そのためリネスが俺と子供を連れている姿に驚きを隠せなかったようだ。その証拠に俺はその反応を見てしまう。その瞬間、俺は自分の考えが間違いだったことに気が付いてしまったのだ。
なぜなら俺の姿を見た人々は皆俺のことを見ないようにしているのである。俺はそのことを不審に思いリネスたちに尋ねるとリネスたちは「あの人が私のお父さんだよ」と答えてくれます。その話を聞いた俺がどういう意味か分からずに困惑しているとリネスの父親を名乗る男が現れました。彼は俺に向かって頭を下げると謝罪をしてきました。俺はその行為の意味がわからないまま呆然としていることしかできませんでした。俺はどうして謝られているのか理解できない状況で、俺が何も言えないでいるとリネスとリリスがこの男が父親であることを説明してくれる。そこで俺はこの男に自分の子だと紹介されたときにリネスに「ママになる」と言ってしまい恥ずかしい気分になり、俺の顔は真っ赤になっていた。
それからしばらくリネスの家に向かうことにしたのである。
◆ ◆ ◆
「どうですか?私の家の雰囲気は?」とリティスがリネスに話しかけていた。それに対してリネスは「とってもいい家ですね」と言うと、リネスの両親は「そうでしょう」と笑顔で答える。俺は二人のやりとりを見ながら俺はリティスの容姿を観察していた。そしてその顔に違和感を覚えた。
俺がそのことについて尋ねようとする前にリネスとリティスは家の中に入ってしまう。俺はそんな彼女達の後を追うようにリネスの後を着いていく。そしてリビングに入るとそこにはリティスの妹だというリティナもそこにいた。そして彼女の顔も見た瞬間俺はあることに気が付いた。この姉妹はどこか似ている部分があると感じたのだ。その理由を探ろうと観察を続けていたが、リネスの母親のリリスにお茶の準備ができたので椅子に座るように促される。なのでとりあえず考えることを止めにすることにした。リネスが席に着くとリリスとリティナはリネスに自分たちの紹介を始めてくれる。
まず最初に紹介を始めたのがリリスである。その隣にいるのが妹で妹のリナリー。その向かい側にリネスの両親がいる形になっているのでリネスがどこにいるかというとリリスのとなりにいた。リリスがリネスの紹介を済ませるとその次に今度はリリスが俺たちを紹介する番である。そのリリスの言葉使いや仕草に思わず見とれてしまいそうになるほど綺麗な女性である。その言葉遣いは俺も見習いたいと思うほどだった。
そして次にリティスとリナリーを紹介してくれる。リティスとリナリーもそれぞれ挨拶を終える。
その後はリネスの両親が自己紹介をし始める。俺はその話を聞きながら彼女たちの家族関係を理解し始めていた。リリスの話では、父親は魔王との戦いで命を落としたと聞いた。リリスもその際に怪我を負って生死の境を彷徨っていたそうだ。
魔王と勇者との争いが終わってからも、魔族たちとの戦いは続き、戦いの日々に明け暮れているのだろうと思った。そんなことを考えていると俺の視線を感じたリリスはこちらを向いて俺に何か用事があるのかどうか尋ねてきた。俺の思考を察するなんてできるわけがない。だが俺の心を読んだような発言をしてきたリリスに対して俺の頭の中は疑問でいっぱいになってしまったのである。そして俺がリリスについて質問しようとしたのだが俺の口を封じようとリティスとリナリーナが口を開いた。そして俺と話すよりも二人に任せた方がいいと言うリリスのアドバイスにより、リネスが「二人は私の親友でルウは私の恋人です」と言うと、リティスとリナリーナは嬉しそうな表情を見せると俺を褒めちぎってきたのである。
「お姉さまの旦那様は素晴らしい方です」とリティスが俺を褒めるとリネスのほうを向いた後で俺の方を見てから、「このお方は、この世界を平和にしようとされているのです。しかも私たちのためにも尽力してくださっているんですよ」と言い始めた。
俺はそのリネスの発言に戸惑いを感じていた。そして俺の考えは的外れで、俺の行動や発言の全てが好意的に受け取られていたことにようやく気づく。そしてリネスたちの誤解を解くために俺は違うと説明しようとしたがその前にリナーナが「リリスから聞いていますよ」と言ったのである。
その話を聞いてリナスは俺を優しい眼差しを向けてくると微笑んでくれていた。
リネスたちが幸せでいて欲しい。
俺はこの世界に来てからという物、常にそれだけを考えていた。リネスたちが幸せになって欲しい、その一心だった。だから今回この世界で生きると決めた理由に彼女たちが含まれていることは当然のことであると言えるだろう。その気持ちに嘘はつけないのだから、俺は覚悟を決めて自分の本当の気持ちをさらけ出すことにした。
リネスとリネスの母親が目の前で驚いているのが分かったが、それでも構わず俺はリネスと恋人になったことを正直に話しだした。もちろん異世界からやってきたことも全てを話すつもりである。
俺が全てを語り終わるまで誰も言葉を発することなく真剣に話を聞いていた。リネスの母親のリリスは、途中から涙を流し始めて、俺に抱きしめてくれた。
その行動でリネスも泣いていることに気付く。俺はリネスに大丈夫か?と尋ねるが返事はなくて俺はリネスが落ち着くまでは黙って抱きしめることにした。するとリネスが「あなたにだけは知られたくなかったの」と言ってきた。俺はどうして俺だけに知られたくなかったというのはわからなかったが俺はそれ以上は聞かなかった。
リネスの母親はリネスに何があったのかを話してほしいと懇願してくる。俺は少し考え込んでしまう。俺の考えていることが正しければ今ここでリネスが聖女だということを告白することは、今後の彼女たちの幸せを奪うことになるのではないだろうかと考えていたのだ。
俺がリネスの母親の話を断り続けると彼女は俺の手を握ってきた。俺は彼女に何かを言い返すことができずに固まってしまった。そんな時、サーヤを抱いたアリサが突然姿を現した。そして彼女はアリサの姿を見て、リネスの母親が「あなたも私たちを騙していたというのね!」と言うが、それに対してサーヤは何も答えなかったのだ。彼女はその様子から自分の立場が危ういことに気付いているのではないかと感じる。
リリスは、俺が突然姿を見せたサーヤに対して驚きの表情を見せているが俺はそれよりも、サーヤが今まで俺に見せてくれたことのないような冷たい目をしていることに気づいたのである。
「サーヤ、一体どういうことだ?」と尋ねると「私はもう騙されない」と答えてくれた。俺はその時初めてこの村で起こったことをすべて知った。俺は自分が甘かったことに気づくとリニスに説明するように目で合図を送る。
そのサインに気がついてくれたリネシスはすぐに行動に移してくれて、事情を説明してくれた。それを聞いて俺は頭を抱えたくなった。なぜなら俺は自分の子供たちにまでこの村での生活を楽しんでもらおうと思っていた。そのために村では普通ならできないことも許そうとさえしていた。でもそれは間違いだったことを悟る。子供たちに無理矢理勇者を演じさせる必要など全くなくむしろ、そんなことを強要してしまった自分の責任を反省しなければならないと感じたのである。子供たちにとって親からの命令は絶対なのだと俺はこの時になってようやく理解したのである。
そしてその事実を知ってしまったリリスは、泣き崩れてしまいサーヤのことを裏切り者だと罵り始めるが、リリスはそんなリリスに自分の娘だと伝えて説得を始める。その光景を見た俺は「お前には本当に苦労をかけたな」と言うとリリスの頭を撫でてあげた。その俺の行動が意外に思ったのかリリスは俺に抱きついてきてくれていた。
俺がリリスにこれからどうするか聞くとこのまま一緒に暮らすと言われたので了承することにする。それからはリネスたちと話し合いをしてリネスたちは俺が連れていくことになった。俺と一緒にいれば安全だし俺の仲間だとわかれば魔族たちも襲ってこないだろうと考えたからだ。リリスがこの家に住むと聞いた時は俺は反対したがリネスたちに「私の居場所を奪ってどうするつもりですか」と言われてしまう。
俺はこの村の人たちに申し訳ないと思いながら俺の家に招待することにする。そこでリリスに改めて自己紹介をお願いすることにした。そしてリリスが挨拶をすると村人たちに歓迎されていた。リネスの母親であるリリスに皆、感謝の言葉を伝えていた。その様子を見ていて俺の胸は締め付けられる気分になっていた。そしてリネスのお母さんであるリリスにも「今までありがとうございました」と言ってくれていたのだった。
俺はリリスがこの家で生活することになった経緯を聞いて、この家を建てた人にとても興味を持つようになっていた。
リリスはこの家に一人で住んでいると言うと俺を驚かせることに成功したらしく嬉しそうに笑顔を見せてくれた。
リリスにこの家を建ててくれた人は、村長の娘さんらしい。俺はその話を聞いたときすぐに、もしかしたらこの村に転移してきた俺と同じ日本から来ている可能性があるのではないかと考えるようになった。そして俺がリリスにそのことを質問しようとしたがそれより先に、リティナがリリスが俺の家の隣に住んでいたことを教えてくれた。俺がリネスの家の隣に引っ越していたことを伝えるとリネスはなぜか顔を真っ赤にさせて、恥ずかしがっていた。リリスはリネスの反応が面白くなったようでさらにリネスを困らせようとしていた。その様子があまりにも可愛くて俺は二人を見つめてしまっていた。リリスは俺のその反応に満足したようだったがリネスの方は俺に笑われていると感じたのか頬っぺたを膨らませていた。そんな彼女を見てリリスと俺は二人で笑い合う。その様子に気付いたリネスはさらに不機嫌になってしまう。
俺達は食事の準備をすると言い出したリネスの言葉に従うことにする。リリスとリティナも手伝おうとしていたが「あなたたち二人は座っていてください」と言うリネスの言葉に渋々といった感じで従った。俺もその時に手伝おうとすると「いいんです。今日くらいゆっくりしてください」と微笑んでくれた。そしてリリスがリネスに何か言い返そうとした時にサーヤが「ルウは休んでいて良いんだよ。私と遊ぼうよ!」と腕を引っ張ってきた。俺は、その引っ張られた勢いで椅子から落ちそうになったが、ギリギリのところで踏ん張り事なきを得た。その様子を見ていたリティナは、心配してくれたのだがサーヤの行動を止める気はないのかそのまま見守っているようだ。リティスに至ってはリリスの肩を優しく叩いていたのだった。俺はリティスとリナリーナとで料理ができるまで待つ間何をしようかと考え込んでいるとリリスが俺に近寄ってきて俺の耳元で「少しお話したいことがあるのですが良いでしょうか?」と小さな声で聞いてくる。
俺はリリスに「どうかしたのか?別に話ならここでも問題ないだろ」と言うが、リリスは首を横に振る。俺は彼女の真剣な雰囲気に気圧されて「少しだけ待ってくれ」とリティスに話しかけてからサーヤを呼び寄せることにした。サーヤを呼び出してから「サーヤちょっと頼みたい事があるんだけど良いかな?」と言うとサーヤは、「ルウの頼みごとならば、私はどんな内容であっても全力で応えます」と言い切ってきた。俺は、そこまで言ってくれるサーヤにお礼を言った後に、リリスの話を聞くのを付き合ってくれないか頼むと、俺が頼めば絶対に断れないという表情を見せた後で「ルウのためでしたら私でできることなら何でもします!」と言ってくれていた。
サーヤは俺と離れることに不満があったのか、しばらく駄々を捏ねていたが何とか聞き入れてもらうことができた。俺の話をサーヤは喜んで聞いてくれていたので、俺はサーヤと手を繋いでリリスの方に歩いて行く。その途中で俺はリリスから「本当にあの子だけで大丈夫なんですか?それに話の内容は秘密にする約束なのに話しても良いのかしら?」と言われるが、俺はサーヤを信用しているから構わないと答えた。するとサーヤは、自分が選ばれたことを喜ぶとともに緊張しているようであった。俺がそんな彼女の様子に気づいたことが嬉しいのかは分からないが少しだけ照れていた。
俺達の姿を見かけたアリサが「リリス様どうしたの?」と言っていたが、俺はとりあえずは気にしないでおくことにしていた。
俺とサーヤの様子を見たリネスたちが不思議そうな顔を見せていたが俺達が何か企んでいると思って警戒していたのである。
「サーヤちゃんと一緒なのも気になりますが、それよりも先ほどの話の続きです」とリネスに言われるので俺は黙って聞いていたのだがその話はリリスとの関係についてであった。
俺はその話が気になったが、サーヤも黙って話を聞いていたので俺も黙って聞くことにした。リネスたちはお互いのことを話し合っていた。その様子を見ていて俺は二人のことを信頼していたんだと思う。お互いに心を許し合えている関係だということは分かった。そしてその話を聞いていたリティスが突然涙を流し始めて驚いてしまう。リネスとリリスはそんな彼女を抱きかかえて泣きやむのを待っていたのだった。そしてリティナももらい泣きしていたみたいだったけど俺は見なかったことにしてあげる。それから数分後には泣き止んでいたがリティナは恥ずかしかったのか少し俯いていたが、俺に対して謝っているように見えた。それから俺はサーヤに話があると言うとサーヤがこちらを向いてきたので俺の考えを話すことにした。
リリスが俺に自分の正体について話す前にまずは村人たちに伝えておくべきだと思っていると言ったのだ。俺がどうしてそのことを伝えない方が良いと判断した理由を尋ねると、村人たちに勇者として行動してもらうための演技をしてほしかったことと、もし仮に村人が勇者が偽物だということを知ってしまった場合にその村人は混乱してしまうと思ったからである。
それを聞いて俺はまだ勇者が生きているかもしれないと不安を感じながらも納得できる部分もあった。俺だって自分が死んだと思っていた人間が目の前に現れたら動揺するに違いないからだ。
俺はその言葉を聞いて確かにその通りだと感じていた。
それを聞いた俺はリネスたちを説得することにした。彼女たちがこの村に残ると言うのであれば俺が王都に行く際に一緒に連れて行くつもりだがこの村には残らない方がいいと伝えたのである。リネスは、リネスがこの村で暮らしたい理由は自分以外の村の人を魔王軍に殺されたからであり、これ以上の犠牲を出したくなかったからでもあるのだろうがそれでもこの村に居続けるよりは、王都に行った方が安全に暮らすことができるし自分のやりたいこともできるのではないかと俺は説明をした。俺の説明を聞き終わったリティスはリリスの方を向き話しかけると「お母さんは、私に着いてくるのよね」と言う。
リティナがリリスの背中を押すように言うと、リリスも決心がつき始めたようだった。そんなリリスを見たリティナも安心した様子を見せており、リティナもリティアと一緒にこの家で暮らすことを決意してくれていた。俺は、サーヤが何も言わなかったので確認すると、特に反対することもなく了承してくれる。俺はこのタイミングを逃すと次にいつ言えるかわからないのでこの村を出ることを伝えた。それからはリリスの正体をみんなに告げた。俺は皆がどのような反応を示すのかが怖くてしょうがなかった。だから皆の反応を待つまでとても長く感じたのであった。
俺は村長の家に転移するとそこにはリリスの母親と、リネスのお父さん、それから村長さんとリリスの姿があった。俺が来たことでリリスの母親が立ち上がる。村長さんも立ち上がった。リネスは、リリスのことを母親だと言う。俺は、そんなリネスのお母さんがリリスの母親だとは信じられなかったが、リリスの母親の雰囲気が似ていなくてもないとは思った。リリスのお母さんの髪色は銀色で肌の色は白く瞳の色も同じで綺麗だった。
リリスのお母さんは俺がここに来ることは予想できなかったようだ。しかし俺が村長さんのところに転移してきたことから、リネスと俺の関係を知って俺がリリスに頼まれたことは、このリリスの家に住むことだと予測できたのだった。リリスの母親は、リネスから話を聞くために家に案内してほしいと言われて俺は家に帰ることになる。リリスも俺に同行することに決めていた。俺達は、村長の家を出ようとすると、リティナさんとリティスが見送りに来てくれていた。俺が二人にリリスをよろしくお願いしますと言うと二人は「任せてください」と胸を張って答えてくれていた。
そうしてリリスは俺に抱きついてきたので、俺はそのまま抱き抱えたままでリネスの家から転移して自分の家に帰ったのであった。俺はリネスと別れてからサーヤとアリサに、明日の早朝には旅立つことを告げた。リネスは俺が王都に行きたがっていないことや、俺を一人にできないなどと言い出したが俺はリリスに説得されたと言いなんとか理解してくれたのであった。
次の日は、朝から準備を整えたりと忙しく過ごしたが出発の時間を迎えると俺は皆に挨拶をしていた。リティナとリティスが、また会いましょうと言ってくれた。俺は、そんな彼女達の言葉が嬉しすぎて思わず抱きしめてしまったが、彼女達からは怒られることはなかった。むしろ歓迎されていたような気がしたのであった。リネスとリティナも俺たちと同じように抱き合っていた。俺はそんな光景を見ながら「必ず帰ってくるから」と言ってリネスに微笑みかけていた。
俺はリリスを連れてサーヤと二人で村の門まで行くとそこにはすでにリシスが来ていた。そしてリティスは、リネスの頭を優しく撫でていた。俺達はその様子を離れて見守っていた。しばらく経つと、リティスがサーヤのところに近づいてくると、サーヤを抱きしめていた。サーヤは困惑していたが嫌ではなさそうだなと感じたのでそのままにさせていた。サーヤは少し恥ずかしがっていたが、俺はリネスたちの邪魔をしてはいけないと思い少し離れたところに移動した。するとリニスと、村長さんに話しかけられてしまい俺は慌てて返事をする。
「ルウ殿には、本当にお世話になったよ」
「本当にあなたには感謝しておりますよ」
二人は本当にお礼を言っているようだったが、俺にとってはリネスが無事に戻ってきてくれただけでも良かった。それ以上に感謝されるようなことはしていないのにと思った。俺にとってこの村の人たちには恩があり、これからも仲良くやっていきたいと考えていた。
俺は村長たちに改めてお礼を言うとリティスと、リティスと握手をして別れのあいさつをしてから、リリスと共に旅立ったのであった。
リニスと村長のところから離れた後、俺とリリスはすぐに森の中に入っていった。森の中に入ると、俺の気配感知スキルによって、すぐにオーガがいることが分かった。俺はその方向に向かって進んで行った。リリスは、そんな俺に黙って付いてきてたのだ。俺はその道中でもリリスと会話をしていたが、その最中のリリスの様子に、少し違和感を覚えたのだ。それが気になっていた俺は、一度休憩しようと言って、俺は魔法を使って簡易なテントを作った。
それから俺はリリスの方を見ると彼女は俺の作ったテントを見て、興味深々な様子を見せていることに気がつく。俺がどうすればいいか分からずにいると、彼女が「あの中に入ってもいいのかしら?」と言うので、許可を出してあげる。リリスは少しだけ躊躇しながらも、恐る恐る俺が作ったテントの中に入る。リリスは少しだけ嬉しそうな表情を見せてから「これがテントなのね。こんな小さな空間の中に人族が住むための住居があるなんて本当に不思議ね。でも、これは私達エルフ族の家と比べると小さいわね。それに私の里の人達が使っていたものと作りも違うのね」などと色々と俺に話し始めた。俺が黙って話を聞いていたら、リリスが「ごめんなさい」と謝罪してくるので俺は気にしなくて大丈夫ですよと答えた。俺はとりあえず、この世界の人間からすると不思議な物に見えるだろうと思って気にしないで良いと伝えたのであった。
俺の作ったテントの中には椅子やテーブルなどの家具も備え付けてあったので、そこでお茶をすることになった。リネスの話では森の中で生活しているエルフは、このような物を使用しないらしい。なので俺はとりあえず簡単な説明をした。するとリリスは、「これも、どうやって作るのかしらん?まさか木を加工するのではないのよね?」と言っていたので俺は作り方を説明した。
リリスも簡単に作ることができると知ってから、少しだけ楽しそうな雰囲気を見せていたので俺が作れるという事を伝えてみると、俺も少し興味を持ったようだった。そしてリリスは俺にも作れるかどうか試してみたいと申し出てきたので了承すると俺は彼女の要望に応えるために、まずは材料になるものを調達することにした。幸いにして近くに大きな樹木を発見した俺は、リリスと相談した結果、俺が樹を削ればよいのではないかと思うようになった。
それからは俺とリリスが協力しながら、森にある木々の素材を採取して、その形を整えることで丸太のイスを作り上げることにした。最初は不格好でガタついていて座りにくかったのだが、何度も試行錯誤していく内にだんだん形になっていくのが分かった。
そんな風に作業をしている間に、俺とリリスはすっかり打ち解けていた。そしてお互いに笑いながら作業していたらリリスは急に真剣になり始めたのだ。俺は何か問題があるのだろうかと思ったが俺が声を掛けようとした瞬間に、突然リリスの雰囲気が変わったのだ。
リリスが急に変わったことが、なんとなくではあるが俺も理解できていた。そしてリリスは急に黙ったまま、目を瞑り始めていて集中し始めると、リリスの周囲に光の魔力が集まっていた。俺の知っている魔力とは違う感覚であり初めてみるものだった。リリスの周囲の光が、徐々に収束しはじめると光に包まれた剣のようなものができあがっていった。リリスはその光を纏っているように見える剣を握り締めて、一振りすると同時に周囲にあった木々が切断されていた。それを見た俺は唖然とするしか無かったのである。
俺は今、目の前で起きたことを整理するのに必死になっていた。今の一瞬の間にリリスの手に持っていた剣に光の粒子が集まり、それを振り下ろしたら周りのものを全て斬り裂いていた。しかも、ただの一振りでだ。そのあまりにも常識離れした光景を見てしまったせいで俺は混乱していたのであった。そんな時だった、リリスはこちらを見て俺に声をかけてくる。俺はそんなリリスの姿を見てもしかしたら彼女は魔導師ではなく勇者ではないかと思い始めていたのである。そんな事を考えている時に、俺はリリスに先程のことについて尋ねようとして、俺は口を開いたのであった。
俺が話しかけようとするとリリスは先に俺に話しかけてきた。それもかなり焦っていた様子で「お願いします、さっきのことは誰にも言わないでもらえませんか?」とリリスは頭を下げた。俺はそこまでしなくてもと思ったが、彼女がなぜここまで焦っていたのか理由を聞くと、自分が持つ力の制御がうまくできないとのことだった。だから今まで一人でこの世界を旅して回ってきたらしい。この世界で自分より強い者に出会うのが初めてらしく自信が持てなくなったそうだ。だからといって自分の力を誰かに見られたくはないそうだった。
リリスは自分の力で、誰かを傷つけたくないと切実に語ってくれて俺はその話を聞いてリリスの心意を知って、俺は自分の考えを口に出していた。そして彼女を助けたいと思いながらも自分の考えを伝えたのだ。俺の考えを静かに聞いていたリリスはしばらく考えていたようで、最後には俺の言葉を受け入れてくれたのだった。俺はそれからしばらくの間、一緒に行動することにする。俺の勘だが彼女は、いずれ俺達の仲間になってくれるような気がしたからだ。
俺とリリスはその後、テントに戻ると俺は彼女に魔法について教えてほしいと頼んだのだ。俺がこの世界に召喚されて間もない頃にサーヤに教わった魔法と、この前サーヤが使ってくれた魔法の二種類だけしかないことを説明するとリリスは驚いていたがすぐに納得したように微笑んでいた。そして俺にリリスが自分の知っている魔法を教えると俺は、すぐに覚えることが出来たのである。
俺もサーヤに習ってこの魔法が使えればいいと思っていたのだが、やはり俺の持つスキルが関係していてすぐに使えるようになってしまっていた。リリスもそのことを俺に伝えると驚いた顔をしてから「やっぱり、あなたには私の知らない力が隠されているのね」と言ったので、俺がどういったスキルを持っているのか聞くと「あなたはスキル持ちなのですね」と確認するように言うと、リリスが説明してくれたのだ。この世界のほとんどの人間は、レベルを上げないと自分の持っている能力を把握することができないが、俺は最初から自分の能力がどのようなものか知ることが出来ている。そしてそれは俺が女神様に祝福されたスキルを所持しているということもリリスは知っていた。
そんなこんなでリリスは魔法に関しては俺の方が詳しいからと俺に魔法を教えてくれることになり、俺は彼女との約束を守って絶対に守ると約束したのであった。
次の日になった。リリスは昨日の夜から疲れ果ててしまった様子でぐっすり眠ってしまった。リリスが寝てから俺も眠りについたのであった。
そして目が覚めると俺の視界には見慣れないものが存在していた。それはリリスの可愛いらしい顔があった。そして俺達は、抱き合った状態で朝を迎えてしまっていた。リリスが起きた時にはすでにリリスの顔は真っ赤に染まっていてとても可愛かった。そして俺達が二人で会話をしているうちに、俺はサーヤとアリサと連絡を取ることにした。二人に連絡を取ったところ二人はもうすでに村に着いているようだったので俺は、サーヤ達の元に向かうことに決めてリリスには俺の後を付いてきてもらうことにした。
そして俺が村に着くと、そこにはなぜかリティスと村長の姿があり、俺を見つけるなり二人は俺のところにやってきて感謝を述べてくれた。そしてリネスが無事に戻ってきたのでお礼を言いたいと言われて、俺はリティス達に俺が助けたことを伝えると彼女は涙を浮かべていた。俺は彼女の気持ちが落ち着くまで待っていると、しばらくしてようやく落ち着いてきたようで話ができる状態になったので話を進める。
それから俺はサーヤから話を聞くことにして、まず最初にリリスを紹介した。彼女はエルフ族の王女だということを俺は伝えたら、リリスが自分がエルフの国の王族だと明かすと、村の人達がざわつき始めるが俺は慌てて皆に気にしないように言っておいた。リリスは俺の話を聞き終わると、少し考えてから「私があなたの側にいれば問題ないのよね?」と聞いてくるので、俺はそれに答える。それから俺は改めてリリスがこの森に滞在しても構わないのかを確認すると、リリスが快く受け入れてくれて俺に「ありがとうございます」とリリスはお礼を言うので俺が気にしなくていいと言って話を終わらすと、リリスは笑顔で俺のことを見つめていたのである。そんな時にリリスは俺の腕を掴んできて「これからよろしくね」と言うと俺が了承したら、彼女は満足そうな表情を見せたのだった。そしてそんなやり取りをしている間にリネスは落ち着いたようで、俺達と話すことができた。そして話を進めていくと俺が、魔物達を倒す為に協力してもらえることになった。
そして俺とリリスとリネスの三人が作戦を立てながら話を進めていた。その途中でリネスから気になる話を聞いた。その話の内容は俺が黒衣の男から聞いた内容と一致していたので俺はリネスに質問をした。すると彼女は俺が倒したという男を知っているような雰囲気で、「その方なら確かに私の父ですが?」と不思議そうにしていたのである。俺はまさかと思って聞き返してみる。すると彼女は「私はリネスと言います。あの方は私の父親であり私の国、アルフェルド王国では勇者として崇められています。その実力は最強でした。そんな父上が倒されるとは思えません。何か裏があるとしか考えられないのですが。」と険しい顔をしてリリスに視線を向けていたのだった。
俺の思っていたことが正しかったようだ。リリスが父親に会わせたいということなので、俺が彼女の父親の場所へ案内してもらうことにする。リリスは俺が勇者を倒していることは知っていたが、それ以上のことはまだ知らなかったので、俺はリリスに詳しく俺の力について教えると俺の説明にリリスは驚愕していた。そして「やはり、あなたには私の知らない力が秘められているのですね。それを知った時、父上はあなたに興味を持ち、是非とも我が国に来てほしいと言っていたはずです。その力はいずれ必要になると言われたことがありましたから、それが何を意味するのか私にもわかっていませんでしたが、今ならば分かります。だからお願いします、父上の元へ向かってください」と急に態度を変えて真剣に訴えかけてきたのだ。俺はリリスの様子が変わったのに戸惑うも、彼女が必死にお願いしてくるので仕方なく了承するしかなかった。
リリスに案内されて、俺は彼女の父親と会うことになった。俺がリリスの案内で城の中に入ると一人の老人が現れたのだ。俺は彼に「タクミと申します。突然の訪問失礼します」と名乗ると、リリスの父親が「わしが、このアルフェルド王国の王である。おぬしの事は娘のリリスより話を聞いているのじゃが、その力についてはまだわしかリリスも詳しくは分かってはおらぬ。おぬしに一つだけ言えるのはこの世界を闇に包もうとしている者達がいる。それは間違いなく人間族であるということは間違いない。そして奴らの狙いは魔人だ。そのことはおぬしも知っておろう。そこでだ、この国に住まうことを許してやるので、わしに力を貸せ!この世界を闇に飲み込ませたくなければ、わしの言うことを聞かねばならぬぞ。もちろん報酬も与えよう。だからわしの望みも聞け。」と言ってきたのである。
そしてリリスは俺の方を向き直り「この人は昔からこんな感じなのよ。だけど私達はこの人が好きなのよ。でもこの人のわがままだけは許すわけにはいかない。この人は魔人を味方に引き入れることで、世界を我がものにしようとしているのよ。そんな事のために、私は命を落とさないですむはずだったのに。」と悔しさを滲ませて、リリスは俺に向かって怒りをぶつけてきたのである。俺はそんな彼女を抱きしめて落ち着かせると、リリスも俺に抱きついてきて泣いていた。そして俺はこのリリスの父に「リリスさんとはお互いに好きあってるんですよね?だったらリリスさんの思いも大切にしたいので、俺はリリスのお父さんがこの国を守るのを手伝うことはできない。」と俺の意思を伝えた。
俺は自分の意思を伝えてから、リリスを俺の後ろに立たせると同時にリリスのお義父さんに剣を抜くように指示をする。
そして俺が指示を出したのを見てリリスの父親はニヤリと笑うと、俺に向けて襲い掛かってきた。
だが、リリスの父親が動き出した瞬間に、リリスの父はその場で止まり膝をつく。そしてリリスの父が苦しむとすぐにリリスが近寄って回復魔法をかけようとする。
だが俺は、そんなリリスを止める。なぜなら俺がリリスを止めた理由がリリスに分かると、リリスが驚いて俺のことを見る。
そしてリリスが驚いたのも無理もない、なんとリリスの父の背中から黒い腕が現れて彼の身体を侵食していくのを俺は見たからだ。しかも、それだけではなかったのだ。リリスの父が苦悶しているうちにさらに二本の腕が姿を現したのだ。俺が驚くと俺の隣で「そんな」と悲痛な叫びが聞こえたので、俺がその声の方を見るとそこには涙を流しているリリスがいた。そんな状況になっているにも関わらず、俺は冷静に分析をしていた。まずは、目の前の状況を確認しようと思うと俺はステータスを念じるとそこには【悪魔】と言う称号とレベルが表示されていたのであった。
そして次の瞬間、今度は四本腕になった男がこちらを見てくると俺に話しかけてきた。俺は、俺もリリスの父親に話しかける。
「どうですかな?私の正体を知って怖くなりましたか?私をここで倒すこともできますが、それは私にとって困ったことになる。しかし貴方は、そのリリスを連れて行けば何もせずに逃がしましょう。どうですかな?」
リリスはそんな提案には乗り気ではなさそうで俺のことを見つめてきている。
「お前の目的を教えてくれないか?」
「私の目的はこの世界にいるすべての種族の抹殺と全ての人種の王の支配にある」
「なぜそこまでこの世界の人たちを目の敵にしている?」
「簡単なことだ、人間は私達に対して、今まで散々嫌がらせをしてきたからだよ。そしてその所為で私が魔王になれなかったのが最大の要因だったんだよ。私はずっと我慢してきたが、今回とうとう限界に達してしまったんだ」
「その気持ちは分からなくはない」
俺は同情してしまい、思わず口に出してしまっていた。
そんな俺にリリスの父親は怪しげな雰囲気を出して俺を観察し始める。俺は俺の考えを説明するために話を始めることにした。「俺はこの世界で暮らしていく上で、他の種族とも友好的な関係を築きたいと思っている。例えば同じ人間が他の種族の者を迫害したり、奴隷にすることをやめさせるのは大前提として。まずは魔物を仲間にして、その魔物たちで街を作ったりすることを考えてるんだ」と説明すると、「ほほう」とリリスの父親が興味を持ったようだ。
俺はそんな彼に続けて「それから、あなたのような魔物を配下にする人間を増やそうと思ってる」と伝えると「ふむ、なかなか興味深いですな。私のように、その方法で人間に擬態して生きる魔物もいるかもしれないからですかな?」と質問をされたので「その通りだ」と答える。「それから俺と同じような人間を増やしていきたいと考えている」
俺はそんな俺の返答に「面白い発想ですな。確かにその考えならば私が貴殿の仲間になることも可能かもしれませんね」と笑みを浮かべながら言うと「ところで先程から、リリスのことを下の名前で呼んでるようですが?」と俺に問いかけてきた。
俺はそれに対して「彼女はリリスという名だ。リリスが名前で俺はタクミという名前だから問題ないだろ」と話すと「なるほど、それなら仕方ありませんね」と言いながら納得していた。
そしてそんな話をしていた時にリリスが俺とリリスの父親の会話に入ってきて「父様は、これから私と一緒に行動してくれますよね!」と必死になって懇願していた。俺はその様子をみて少し可哀想に思ってリリスに声をかけることにする。「君とお父さんの関係もよくわからないけど。俺は君にも幸せになってほしい。リリスが君の側にいてほしいというならそれで構わないよ。それに君が父親に酷い目に遭わされるなら俺は黙っていないし、君を助けようとは思う」
リリスは嬉しかったのか俺に飛びついてきて、「ありがとうございます」とお礼を言っていた。俺はリリスの父親に視線を戻すと、リリスの父親に「俺は別にこの世界を支配しようとしているわけじゃないし、この世界を闇に沈めたくないからこそ、あなたが支配しようとしてるのは俺にとっては都合が悪い。そして、俺の仲間たちも今、魔人に襲われているところだから俺が魔人を倒して助けないとならない」とリリスの父親と話をすることにした。
「あなたにこの国の王は倒せませんよ。私を倒した時よりも、今のあなたは確実に強くなっています。それでも私に勝てますか?そしてあなたが今からこの城の中で起こることを目撃したとしても、この国が滅びると決まったわけではないのですよ。むしろあなたが魔人と戦ってくれるのであれば好都合です。私の邪魔さえしなければ私はあなたの行動を妨害も口外もしませんよ」と自信満々に話した。
そんなリリスの父親の自信に満ちた言葉に俺は呆れていた。この世界でリリスの父親と会えたことは良かったのかも知れないが、俺も自分の目で確認したいのでリリスに「俺はしばらく、この城の中を調べるので君は俺の部屋に戻ってくれないか」と言うと「そんな」と悲しそうな顔をしていたが、彼女には俺の指示に従うように伝えてリリスのお父さんが俺に向かってくるのを確認すると俺はその場から離れた。
そしてリリスに案内され、リリスの部屋に辿り着くと、俺は彼女にお礼を言う。俺はこの世界について詳しく知ることが出来た上に、この城で起こっていることも知ることができたのだ。これでリリスが襲われていた原因が判明した。だが俺にはまだ知りたいことが一つあった。それは、この世界に来た時から気になっていたことだったのだが、俺はリリスに聞いてみる。
俺のこの世界の疑問を聞いた時のリリスの表情を見たら何とも言えない気分になってしまうが、彼女の反応次第で、この世界に俺の知っている人物がいないかの確認が出来ると思い質問をした。リリスが答えてくれると、嬉しいが俺としては微妙な返事だった。
リリスに俺の質問への回答をしてもらったあとは、リリスがこの国を出るまでの護衛をすることになった。そして俺は、クロナと連絡を取ろうとするが、この世界では魔道具は通信できないようで俺はため息を吐きながら、俺は魔導具を使って魔族領にいるはずのアリサにメッセージを送る。すると魔族領のアリザスからの伝言が魔道袋に届いていた。内容はリリスを救ってくれた俺に感謝するということと、そして、そのリリスを俺のところに連れていくことが俺の希望する報酬らしいということであった。俺はその伝言を見て、なんでそんなことをする必要があるのだろうか?と考えていたがアリサに直接会って聞けばいいと思い、とりあえずリリスを連れてリリスの家に向かう。
そしてリリスの家に辿り着き中に入ると、俺はアリリスの母親が座っていた椅子を見つめてから、「お母さんのことが好きだったんだな」と思わず呟く。それから俺は「リリスはどうしてこの家に戻ってきたんだ?」とリリスに聞くと「母が死んでからは父が再婚するまで、私もこの家で暮らしていましたから」と答えてくれ、そして俺は「でも今はここにいるのがつらいのかい?」とリリスに問いかける。
「えぇ、もう父を信用できなくなっていましたので、だから私は家を出たんです」
「そんなにお父さんの事が嫌いなのか?」
「当たり前でしょう!母は父によって命を落としかけたのですから、そのせいで父は母を殺したのと同じなのですから」
「そうか、リリスがそういう気持ちになるのも分かる」
俺も前の世界でも父親のせいで苦労した経験があるから、そんな経験があったのならばリリスがこうなってしまう気持ちはわかるのだ。そこでふと思ったことがあった俺は聞いてみた。それは何故リリスの父親にはあんな能力があるのか?という疑問であった。それについても俺は「君は、あの人が何か不思議な能力を身に着けていることを知っていたか?」と質問をする。しかし彼女は知らなかったようで首を振っていたので俺はその理由について教えることにした。
その話はこんな感じである。この世界の人間は全て魔法を使うことでステータスが上がる。これはレベルが上がっていけば自然に使える魔法の種類が増えるから当然なのだ。しかし俺の前世の世界で人間はスキルを覚えていくことでその効果を得ることが出来るとされていて、俺はそれをゲームのようなものだと理解して楽しんだものだ。つまり、この世界でも人間が強くなるためには、魔法を使えなければいけないのだと俺は思っていた。
しかし俺にはある予想が出来ていた。そのことについて、俺には【神の目】があるので俺の能力の範囲内に入っている人間なら、俺のステータスに表示されるので誰が何をできるかを把握することができる。そんなことを考えているうちに俺は、リリスの父親の職業は【勇者】で、俺と一緒だということに気がついてしまった。俺がその事実を話すと、リリスはかなり驚いていたようだった。その話を聞いたリリスは「貴方も勇者なのですか?」と聞いてきたが、俺は俺の能力は秘密にすることを約束していたので、「俺の能力は言わないから安心して欲しい」と言ってリリスに話すようにお願いしたが彼女はなかなか話し出そうとしなかった。だから俺はリリスの頭を撫でて「俺を信じて欲しい。俺は絶対に君に悪いことはしない」と話して説得していた。
リリスはしばらく考えた末に「わかりました」と了承してくれて、俺に説明を始める。リリスの話によれば、この世界の住人は例外なく全員に魔力を扱えるだけの力が与えられているそうだ。そのため誰もが簡単に火や水を操れるようになるらしい。リリスの父はこの世界では最強クラスの実力者として有名な人物でそんな彼に憧れる者も多い。
それから彼の強さは圧倒的で、どんな魔物や人にも勝つほどの力を秘めていたと言われているそうで、さらにリリスの母がリリスを産んだ後に、彼が「お前の母の病気を治せる奴がいるかもしれないから探してやるからな」と言われて、その男についていった先で妊娠していたことが発覚して、生まれたリリスを守るために、その男はリリスの母を殺したのだそうだ。その時に彼は魔王から得たとされる力で人を支配する能力を手に入れたのだと言っていた。
「じゃあ、リリスのお姉さんが魔人になっている可能性は?」
「はい。ありますね。私に魔人の知り合いはいないのですが。もし仮に姉がそうだった場合で私が生きていることを知ったならばきっと復讐するために私を狙ってくるはずです。ですから早く父にこの事を伝えて姉を捕まえてもらいたいと思っているので、私は父のもとに行かなければなりません」
「わかったよ。なら一緒に行こう」
俺はそう言ってリリスとともに家を出ようとするが、俺の服の裾がリリスに引っ張られたのを感じた。振り返ると彼女は不安そうな顔をしながら「やっぱり私は怖いです」と泣き出したのだ。俺は彼女が泣く理由を理解しながらも彼女を慰めると彼女は「私がもし殺されても私を忘れないでください」と言うのであった。俺は彼女の覚悟をみて、「大丈夫だよ。俺が君を守るよ」と優しく伝える。そして彼女と共に外に出るとリリスの父親に会いに行くことにした。
俺は城に向かう途中にクロニから連絡を受ける。どうも俺に助けてもらったことでクロナから俺に対しての連絡が来たらしくその内容を確認する。内容はリリスの父親から助けることが出来たので、一度村に戻ることという内容のメッセージだ。俺はその話を聞くと、俺はクロナと合流して、俺の転移魔導具を使い村に戻ってくることにしてからリリスに伝える。
俺はリリスに魔族領にある俺達のアジトに来るように指示を出しておいた。そこにいる仲間たちと一緒にいて、魔人になった可能性のあるお姉さんの捜索をして、見つけて魔人になってしまったら倒してほしい。そう伝えてから俺達は別れることにして城の中に向かう。城の扉を開けるとすぐにリリスの父親は待ち構えていて、「よく戻ってきてくれた。私のために本当に感謝するよ。ところでそっちの子がクロノの言っていたリリスちゃんかい?私の可愛い娘を助けてくれてありがとう」と言いながら抱きつくのであった。俺はリリスの父親の言動を見るにこの人はただの親バカだと思いつつもクロネを見ると少し嬉しそうにしておりクロナに報告しておく。そして「俺にこの世界のことや、魔族のことについて教えてくれませんか」と頼んでみると快く引き受けてくれるのであった。
リリスの父親が「とりあえず城の中に入ってくれ」と言ってくれ、リリスとクロナを俺の仲間にすると言う許可を取ってくれたため俺は城の中でリリスたちと情報交換を行うことにするのであった。それから俺たちはこの世界のことについて色々と聞くことが出来た。そして俺もリリスたちにこの世界についての情報を教えてから、俺はリリスの父親に向かって、これから魔族と人間との戦いが本格化していく可能性があることを話す。
俺はまずリリスに、この国の中でリリスの姉が魔人になっていないかを尋ねる。そしてリゼが俺にこの国の王女だということを伝えたときに俺はリリスの反応を見てしまう。するとリリスは明らかに嫌な表情をしていたので俺がリリスに声をかけようとすると、リリスの父親は「まさかリリスの母親がリリスの妹を生んだ際に殺されたって話は本当のことなのか?」と驚きを隠せない様子で質問してくる。その質問を聞いた俺は、俺はこの国に潜入する前にこの国の王族について調べたことを思い出していた。その時に俺はリリスの母親とリリスの祖母にあたる人物が人間によって命を落としていたことを知っているのだ。そのことを思い出している間にクロナから「それ本当なの?」と質問されていたので俺は「ああ、そうだな。そのせいで妹がリリスと入れ替わって今この王都に潜伏していて、そしてその魔族がリリスを殺そうとしてきてたみたいだからリリスの両親を殺った可能性が高いな」と答えたのだ。それを聞いたクロナはすぐに行動を開始するために、リリスの両親に事情を話してからリリスを匿ってもらい、クロナはクロニを連れてリリスの姉の居場所を探しに出発する。その際にリリスは、クロミのことをリリスの父親に告げたのだが、リリスの父親はあまり関心がないといった態度をとって「そんな危険なことはするな」と止めていたのだった。そして、クロコはクロノと一緒に城に残ることになったのである。
俺達と別れたあとにクロナたちが向かった場所は、この国が襲撃された際にリザリスとクロニが戦いを繰り広げた場所であり、そこには大きなクレーターが出来上がっていたのだった。その現場を見たリリスがリザリスが死んだのかと思って涙を流すのを俺は目撃してしまう。俺はクロナに「リリスが心配だ。俺はちょっとだけここで待っていてくれるか?」と確認を取ると彼女は「えぇ、任せてちょうだい」と答えてくれたので俺は【神速】でその場から離れてクロナたちを追い越すと、すぐにその場所に向かったのであった。俺達が到着したときには、既にリザリスの死体はなく、血溜まりだけが残っていた。
俺は【気配察知】をフル活用させて周辺を探るとリリスの魔力を感じて急いでリリスの元へ駆けつけるがすでに遅し。リリスはすでに魔人の手先に捕まっていたのだ。リリスは俺に向かって助けを求めてきたため俺はすぐに救出しようとするも、目の前には俺の前に突然姿を現して立ち塞がる一人の少女の姿が現れる。
その姿を確認したとき一瞬で誰かを理解できたが一応念の為に確認のため名前を呼んだ。
「リリア、お前なんでここに居るんだ?」
その問いに対してリリアは「貴方に恨みを持って死んだと思っていたけど生きていたんだ。まぁ良いわ。あの子を助ける邪魔をしないなら見逃してあげるからさっさとここから消えなさい」と言われたが「断る!」と言って戦闘体勢に入ることにしたのだ。
俺はリリスから手を離せと言ってから、剣を構えると一気にリリスを取り返す為に斬りかかるのだった。だが、俺の斬撃はあっさりと防がれてしまった。しかも俺の攻撃を防ぐとは思わなかった。俺はもう一度攻撃を繰り出そうとするも、また簡単に防がれるのだった。その攻防が何度か続く中で俺は確信をする。こいつは強い。そう思った。その証拠に、今まで攻撃は簡単に受け止められていたが徐々にダメージが蓄積してきている。俺は相手の力量を確かめるべくリリアから一旦距離を置くと俺はリゼに「リリスの奪還を優先する。サポートは頼むぞ」と言うとその言葉を聞いた彼女は「了解」と返事をして【影魔法】を使う。リリスを捕らえているリリアは「ふーん。貴方面白いスキル持ってるじゃない」と言うとリリスが苦しそうな声をあげる。どうやら俺はリリスにリリアの意識が向けられているうちに【アイテムボックス】をリリスに使うように指示を出すとリリスもすぐに行動に移る。
俺も自分の武器を取り出すと俺はこのリリシアと本気で戦うことに決めた。なぜなら、今のリリスではこいつを倒すことは出来ない。それにリリスがやられると困るため、リリスを守るために全力で戦わないとダメだと理解した。
俺が攻撃を仕掛けようとしたその時にリリアは何かを察知して「そろそろ終わりにしてあげる。私と本気で戦ったことに感謝しておきなさい」というとリリスから手を放すと同時に姿を消したのだ。俺はその動きについていけずにそのまま地面に倒れることになり、リリスも気を失ったようだったのだ。俺とリリスが動かなくなる姿を見てリゼは「リリス!起きて、このままだとあいつは逃げちゃうよ」と叫ぶ。するとリリスがすぐに反応してリリスがリリスの手を握るがリリスの動きは遅く、俺とリリスが立ち上がるまでに間に合いそうになかった。
その時であった。俺の背後で爆発音が聞こえ、その爆風で俺とリリスの身体が浮き上がるのを感じた。俺がすぐに後ろを振り向くとそこには先ほどリリスに襲いかかっていたリリアがいた。彼女はニヤついた表情をしながらこちらに歩いてきていた。俺はすぐに態勢を整えてリリアの方を向き直すと、リリスと俺を守るようにクロナとクロニが俺たちを包み込む形で守ろうとしてくれていた。リリスが二人を見て驚くが、今は説明している余裕はないと思った。クロナがリリスに状況を説明してくれると信じて、俺は再び彼女に向かって攻撃を仕掛けることにした。
その光景を見ながらもリリシアは嬉しそうな顔を浮かべながら、私に問いかけてくる。
『リリス、久しぶりね。会いたかった』と言う。それに対して私は、「どうして私の前に現れるんですか。私は貴女に殺されたんじゃないですか。もう私は死んでいるはずですよ?」と質問をした。
私のその発言を聞いてリリシアは不気味に微笑み、『そういえばそうだった。じゃあ私の力で蘇らせてもらえば良かったのかしら?』と首を傾げていた。その様子から、リリシアは私を生き返らせたのはこのリリシア本人であると確信したが、このリリシアの目的が全く分からないので質問を続ける。私がリリスになり代わるつもりなのはバレていたと思うが、私と入れ替わるための条件を満たしていない状態でどうやって私の肉体を手に入れることが出来たのだろう。リリアの話では私に化けるのは簡単そうだったが。そう考えていると、リリシアは「それはこうやって」と言ってリリシアからもう一人の姿に変身すると私の方に手を伸ばして触れようとする。しかし私は彼女の手を掴み取る。
そして「残念でした。いくら姿を変えたところでも、【鑑定】を使えば一発だよ。ってあれ?名前がない」とリリシアの姿をしていたリリシアではない誰かに私は言う。そして改めてその人を見てみるとその正体はすぐにわかった。
「やっぱり。その格好だとリリアちゃんだよね。どういうことなのかな。説明してくれるかな」とリリシアに質問するが答えは返ってこなかった。その代わり、リリスを殺そうとして、リリスを人質にとる。それどころか私の大事な仲間であるリゼさんとクロミを殺そうとしてきたので、怒りに任せるように彼女に斬りかかる。
彼女は「危ないな。全く油断できない相手ね。まさかこの力に対抗できる人間がいるなんて、驚きだわ」と言いながら、リリシアの力を解放させた。
それを見たリリシアは驚いた様子を見せていたがすぐに「この力に耐えられたとしても長く持たないわよ。諦めることね」と不敵な笑みを浮かべてから攻撃を始める。私はそれを受け止めるが徐々に体力が減っていく。そしてついに耐えられなくなり地面に膝をついてしまう。するとリリスの方にもリリスと同じ顔をしている存在が現れたのだ。
私はすぐにリリスの偽物を倒しに行こうとするとリリスが「待って、その人は危険。それにまだクロナたちが戦っているみたい」と言ってきたので「確かに。まずはリリシが偽物を始末してからにしよう」と言ってクロナたちのところに加勢することを決めたのだった。
俺とクロナはお互いに連携を取りながらリリスが捕らわれているリリアと対峙しているが状況は悪かったのだ。俺がクロナと二人で攻め込んでも中々リリスを救い出すことが出来ないのであった。クロナがリリスを助け出すことに専念してくれたおかげで、クロナがリリスを逃がしてからリゼと一緒に戻ってくるまでの時間は稼ぐことができたがそれでもまだ時間が足りていなかった。俺はクロナから「リリスはまだ生きているからもう少し時間を稼いでくれ」と言われたために俺は一人でも時間を稼ぐことにした。それからしばらくの間は、俺とクロナの剣による激しい打ち合いが続くが、俺は少しずつ追い詰められつつあった。その理由は、俺の魔力が尽きかけているからである。そのことにクロナが気が付き「クロノ、そろそろ限界なのでしょう?」と言う。その言葉に素直に従ってしまいそうになるのだが何とか堪えると、「まぁまぁいい感じに消耗して来たぜ。そっちは大丈夫か?」と言うと、クロニが代わりに返事を返す。「まだまだ余裕ですよ」と。俺もその返答を貰えて安心したのか少し力が湧いてきた。だが、次の瞬間に俺は思いっきり吹っ飛ばされて壁に激突してしまう。「がはッ!!」と声を上げて俺は地面に倒れる。そして俺の意識は遠のいていった。
「お疲れ様。これであなたもここまでね。さようなら、リゼは返してもらうわ」と声が聞こえるとリリスはリリアの手によって殺されようとしていた。俺が「させるもんかぁああ!」と叫びながら俺は立ち上がり、すぐに駆け寄ろうとするが、それよりも早く、俺は目の前で何が起こったのかを認識できなかった。
「えっ!?」
目の前にいたリリスの姿が急に消えてしまい、代わりにリリアの姿があった。
リリスが俺に向かって必死の形相をしながら「ダメ!こいつからは悪意しか伝わってこない!」と叫んでいたがすでに遅かった。俺はその一撃によって腹部に大きな傷を負う。その威力はリリスを吹き飛ばした時と同等以上のものだったため、俺はそのまま吹き飛んでしまう。そんな俺に対して追い討ちを掛けようと近づいてくるリリア。
俺は【超速再生】で回復しながらなんとか立ち上がろうとしたときに「リリスから離れろぉおお」とリリシスが乱入してくる。その光景を見たリリスは安堵の表情を見せた。
だがその隙を逃すわけもなく、リリアは俺に対して攻撃を仕掛けてきて俺のことを貫こうとする。俺はその攻撃を防ぐことに成功はしたが勢いを殺すことはできずに俺はまた地面に転がってしまうのだった。俺はすぐに態勢を整えようとする。
「リリア、ありがとう。貴方は下がっていて」と言うとリリシアの姿を見てから俺と目が合うと「ごめんなさい。リリスを逃がすことは出来たけど貴方を助けることはできなかった」と言う。だが俺は「いや、お前は十分に役目を果たしてくれた。後は俺がやる。お前も一緒に来てくれるんだろう」と言うとリリアは無言で俺の言葉に従うのだった。俺とクロナとリリシアの三人が同時にリリアに向かって行く。それに対して、俺たちの攻撃を防いでいる最中にリリスは魔法を唱え始める。
「私はここで負けられないんです。お願いします」と呟くようにリゼに向けて言葉を掛けるリリスが発動したのは【強制転移】の魔法であった。すると彼女の姿がその場から一瞬にして消えたのだ。リリアは慌ててその方向を向いた。そこにはリリアの背後に回ろうとしていたクロナが姿を現したのだった。彼女は「悪いがリリアには俺と一緒に死んでもらうぞ」と言うと手に持っていた短刀を突き刺す。リリシアはその間にリリスの元へ駆けつける。そして「ここは私に任せて、貴女たちは急いで」とリリシアが言った瞬間に彼女は光り輝く球体に飲み込まれるのであった。それを見て俺とクロナは目を見開いて驚いた。リリシアは「私の力ならすぐには消滅しないはずだから、貴女たちは早くリリスを、リリスを助けにいきなさい」という。
俺が何か言いかける前にクロナが俺の口を塞いだ。そして俺の腕を引いて走り出す。俺がクロナに何かを言いかけたときには、もうその場にはいなかった。俺は悔しさを胸に抱えながらもクロナとともに走るしかなかった。そしてその途中で、クロナが口を開く。
「あの子が最後に私に伝えてくれたことがあるの。リリスにもしもの事が起きたときの為に私たちにも託された願いなんだけど、今はそれを説明している暇はないわ。だから、リリスを助けた後にでも話してあげる」とクロナは真剣な表情をしながらそう言ってくれた。
それからしばらく俺たちが森の中を進むとリゼの身体と思わしき死体が転がっていたのだった。その様子からリリシアがリリスを庇って命を落としたことが分かった。
俺とクロナはその状況を確認するとクロナがすぐに「まだ、息はあるわ」と呟き、すぐさまその元にリリスを連れてきた。リリスは気を失っており呼吸も止まっているように見える。俺はすぐに彼女にスキルを使いリリスの状態を調べてから、心臓に手を当て、そして、すぐに心臓マッサージを始める。それを繰り返すこと数分。すると徐々にではあるが反応があり、やがてゆっくりとその目は開かれていく。そのことを確認した俺は彼女の手を握ると彼女の意識をはっきりとさせるため、そして彼女が意識を取り戻すまで話しかけ続けることにすると「あれ、どうして、どうして私の手を握っているの?どうして」と彼女は困惑していた。そしてそのあとで俺の顔を見ると泣きそうな顔になっていた。その行動の意味を聞こうとしたが、リリシアの最後の言葉を思い出して、その説明は後にすることを決めると、「リリス、無事でよかった。俺だよ、わかるかな」と出来るだけ優しく声を掛ける。
俺の言葉を聞いたリリスはすぐにその正体に気づいたようだった。「えっ?その声、もしかして、本当に、本当にお兄様なのですか?」とリリスは戸惑いつつも確認してきた。それを受けて、俺が「ああ、そうだよ」と答えると、リリスは涙を浮かべて「良かった。生きていたのですね」と喜んでくれるのであった。
俺はリリシアの死を告げていいものなのか少し悩んでしまったが、この場はあえてその事を隠したままリリスに伝えると、リリスは悲しそうな表情を見せながら「お姉さまが亡くなったのね。私が弱かったばかりに、ごめんね。私は何もできなくて、ごめんね。うぅ」とリリシアに謝っていたので、リリスは悪くないことを伝えてから俺はすぐにリリスと話をした。リリスに質問するのはまずはここがどこなのか、次に仲間たちはどこに居るのかを聞くことにする。
その結果分かったのは、どうやらこの森はかなりの広さがあるらしく、ここから見える範囲に人の住んでいる場所はなかった。そのため、この場所からの脱出は難しくなったのだ。それに加えて仲間の行方についても全く分からなくなってしまったのだ。だが、仲間が居なくなる際に「リリス、後は頼む」という言葉を残したためリリスは自分が何をすべきなのかを考えたらしい。その答えは「とりあえずはこの城にいる人たちを救いましょう」だったのだ。
俺はそれを承諾して二人で城に向かって歩き出す。俺は自分の体を見ながら「やっぱりな。この感じ、もしかしてとは思っていたけど俺って人間じゃなくなっているんだな」と言うとリリスがこちらを向いたので俺は少し恥ずかしい思いをしてしまう。だが俺は誤魔化さずにリリスに伝えた。
「リリス、実は俺の身体って、ほとんど魔力で構成されているみたいなんだよ。だから俺はリゼの【強制進化】によって俺の体が変わって、今は人ではなく、吸血鬼に近い存在になっている」と言うとリリスは驚いていたが、それでも、俺はこれからもリリスと一緒に戦い続けるつもりだと伝えた。するとリリスも笑顔になり、嬉しさを露わにしてくれたのである。俺はそこでリリスにあるお願いをした。それはリリアのことだった。リリアのことはすでに亡くなっているためどうしようもないが、もしかしたらリリスの力で助けることはまだできるかもしれない。俺の考えを伝えると「もちろん協力する」と言ってくれたので俺が頼めるのはこれぐらいしかなかったのだった。俺は「リリス、お前の力を俺に貸してくれ」と言うと「ええ、勿論」と言う返事を聞いて俺は嬉しかった。それから俺とリリスが城に近づき、中の様子をうかがおうとしている時に、俺の前に一人の少女が立ちふさがった。その少女の正体が誰なのかはすぐにわかったが、その瞬間にクロナとリリスが武器を構えてしまう。
その様子を見かねた俺は二人を止めに入る。すると二人は納得のいかない表情をしていたが素直に従ってくれていた。目の前に現れたのはアリサで俺たちのことを見下ろしながら「あなたたちの目的はなんなのですか」と冷たい視線を浴びせてきたのだった。
俺がそのことについて返答しようとする前にリリスが自分の方からアリサに説明し始めたのだ。その内容は嘘偽りない真実を話しており、アリサは真剣な面持ちになると黙り込んでしまう。そして数分間の間が空くがリリアはそんなこと関係なくアリサに攻撃を仕掛けるのだが「やめなさい」と言う一言ですぐに動きを止めていたのだった。だがそれでも諦めようとせずにアリサに対して攻撃を繰り返していたため俺とリリスは仕方なくリリスを落ち着かせるために魔法を使い強制的に眠らせることにした。
だがその魔法の威力が強かったのか、それとも、眠りにつくのに必要な時間が少なかったためなのかは不明だがリリアが目を覚ましてしまった。そのタイミングを見計らってかリリスが再び話を始めようとしていたがリリアの方は先ほどの攻撃が余程応えたようで「リリアは絶対に渡さない」と呟いていた。
その光景を見た俺はリリスとアリサを一度離れさせる。そして改めてリリスには先ほどと同じように頼みごとをすると了承を得ることができたので俺は安堵していた。すると俺の元にリリスの妹と名乗る女の子が現れて、「どうしてお姉ちゃんを殺さなくてはならないの」と言っていたが俺は「俺はどうしてもやるべき事があるからな、だから俺がお前の姉を死なせることになる」と言うと彼女は「なら私とお姉さんを逃がして、それでお兄様のことをずっと見てあげるから、私と二人で暮らしましょう」と言い出してくる。
その言葉をきいてクロナは俺の横に立ち、警戒を始めていたが、それを無視してから、「そう言えば、自己紹介がまだだったな。俺の名前はユウト、吸血鬼の王にして、リリスの婚約者だ」と宣言をすると妹を名乗ったその女は信じられないものでも見たような表情をしてから「そっか、そういうことなら仕方ないか」と残念そうに言っていた。それを聞きながらも俺とクロナは警戒態勢を取りつついつでも対応できるようにしておくのだった。そして妹の方は「でもお兄様は私たちのお姉ちゃんを選んでいるんだもんね。うん。分かったよ。私と一緒に住んでくれたとしてもいつか私を選ばしてくれるって約束はしてね」と言われてしまえば断れずに、その場を収めることになったのであった。
俺としてはこれ以上面倒なことに巻き込まれないようにするためクロナの方を向いた。クロナも俺の考えていることを察したように、すぐにリリスとアリサの傍に移動する。俺はリリスに俺がクロナを連れていき一緒にリリスを助けるという事を簡単に説明した。そしてリリスもそれに賛同するとクロナの方に近づいて行く。それからすぐにリゼがリゼの母親を抱きしめて泣いたりと色々なことがあったが無事に落ち着いたところで俺はリリスを連れてクロナと一緒にこの城を離れることを決めたのであった。俺は城を出る際にアリシアの亡骸を持っていくべきか迷ったがクロナに聞くとその必要はないと告げられるのでそのままリリスとともに城を後にすることにした。だがその際で俺はクロエのことも気になっていたので一応この城のどこかに残っているはずの仲間に連絡を取るように指示をしておいたのだった。
俺がリゼの母を連れて行くかと尋ねるとリリスは首を横に振り、このまま母に生きてほしいと俺に伝えてから俺と手を繋いで歩いていた。それを聞いた後、少ししてリリスの様子に変化が見られたのだ、そしてその異変は急に襲ってきた、その感覚は以前にも味わったものだったため、何が起こったのかすぐに理解することが出来た。どうやら【強制進化】を発動しているらしいのだ。俺はすぐさま彼女を落ち着かせようとしたら彼女はその途中で倒れてしまい俺は彼女を抱きかかえると同時に自分のステータスを確認すると【魔王】に変化していることが確認できた。そのことを踏まえて彼女の顔を覗き込み様子を確認すると苦しそうな様子を見せながら意識を失っており、顔色が悪いことから恐らく【暴走状態】になっていると予想されるので俺は彼女にキスをし続けて彼女の暴走を抑えようとするが、なかなか抑えることができずに、結局俺は彼女が意識を取り戻すまで何度もスキルを使用し続けなければいけなかった。
その行動を続けているとリリスはゆっくりと意識を取り戻して、自分がどうしてこうなったのかが分からずにいる様子だったので俺は彼女に事情を説明した。それを聞いた上で「私はお兄様に迷惑をかけたくない」と言われたが、ここで引き下がるわけにもいかず、俺は無理やり連れ出すことを決意していた。俺はリリスと手を繋ぐと、クロナの方を見ると彼女はうなずいてリゼの母を抱えたまま走り出した。
そしてしばらく移動をしていると、ようやく目的地に到着したのだ。そこはこの森の中心に存在している山の中で一番大きな山の頂上付近であり、俺達はそこで休憩を取ることに決めていた。俺はこの山の中腹あたりで仲間たちが見つかるのではないかと思っていたがどうやらそれも無理そうだと判断しながらリリスを座らせていると突然、地面から何かが飛び出してきた。
それは黒い霧のようになり、形を作り始める。その姿をみてリリスがすぐに敵であることに気付き、すぐに立ち上がって臨戦体制を取ったが、俺はリゼのお母さんを抱えて後ろに下がっていろと言うと、リリスも俺の指示に従い、すぐに後方に避難してくれた。そしてリリスを守るようにして、目の前に現れた謎の存在を見据える。それから数十秒後には姿形が整っており、俺達の前には、黒装束に身を包んだ人物が立っていた。俺はすぐにその正体について尋ねてみた。するとリリスはその人物の顔を見るなり、声を上げ始めた。
「どうしてここにいるの」
「リゼか、まさかこんな場所で会うとはな。お前こそなぜここに居るのだ」
俺は二人の会話を聞いて、二人の関係について疑問を抱いていた。なぜなら、リリスも俺と同様にリゼルを【強制進化】によって吸血鬼に変えられた人間の一人のはずなのだ。それにも関わらず、リゼと目の前にいる人物は、俺とリゼの関係よりももっと深い関係を持っているように見えるのだ。そのことを二人に訪ねると、俺と同じような質問を二人もしていた。
そしてリリスは、リゼのことについて話し始めていた。俺はその話をしっかりと聞こうと思ったのだが、リリスの話の途中で目の前の男は動き始め、リリスに襲いかかる。俺はすぐに助けに入ろうとしたのだが、どうやら男の方はリリスを狙っていないらしく、俺に向かって殴りかかってきたので、俺は仕方なく受け止めたのだが、男はそのままの状態で話を続けるのだった。
「久しぶりだなリゼ、だがお前も俺と同じ運命を辿ることになるのは目に見えているがな」と言うと、俺と取っ組み合っている状態のままだったので俺に蹴りを放ち俺に隙を作ってしまう。そのタイミングに合わせてリリスが攻撃を仕掛けるがそれを難なく避けると今度はクロネの方へと向かっていった。そして攻撃を仕掛けようとしたクロネは攻撃を止めることができず、そのまま吹き飛ばされてしまった。俺がそれを見て、急いでクロノの元へ行こうとするが、男がそれを許さないかのように邪魔をする。
そしてクロナの方は何とか立ち上がったようだ。俺はクロナの心配をしていたが、そんなことを考えていたからか俺は攻撃に対して反応が遅れて攻撃を喰らうところだった。しかしなんとか間一髪で避けることができたため事なきを得た。俺はすぐにクロトの元に向かおうとしたのだが、またしてもリゼの方が動き出して俺のことを攻撃するため近寄れない状態にされていた。そのため、まずはこの状況をどうにかしないと何もできないと考えリゼの方を向きなおすのだった。
リゼの攻撃を回避した俺は即座にクロナたちのもとに行こうとする。しかしそうしようとした時にクロナの方から魔法による遠距離攻撃を仕掛けてきた。しかもただ攻撃してきたわけではなくて、その攻撃には毒が付与されており、さらに雷と闇属性を付与した状態の魔法を撃ってきているのだ。俺としてはそのような攻撃を食らいたくなかったので回避しようと試みるも完全に避けられるほどの時間はないので仕方がなく防御態勢に入ることにする。すると、クロネルの時とは違い俺の体に電気が走ってこないためどうやら麻痺はしないで済みそうであった。だがそれでもダメージを受けてしまうのは確実だ。そう思いつつも俺は剣を構えて、攻撃を受けることにした。そのタイミングで再びクロナが俺に攻撃するために動き出しており、それを迎え撃つために俺が攻撃体勢を整えたところ、またしてもまたリゼに攻撃されてしまうことになる。それを避けるためにも俺は仕方なく、クロナの攻撃を受けるしかないと思い攻撃に集中をしたのだ。そしてクロナの杖による攻撃を受け止めたが衝撃で少しばかりふっとばされてしまった。俺としてはその程度なら耐えれるだろうと思って油断していたせいか結構なダメージを貰ってしまう。それでもすぐに起き上がり、リゼの方に向かった。だがリリスがそうはさせまいと俺に斬りかかる。それを防ぐことはできるので問題はなかったが、どうしても先ほどからクロナが気になってしまい仕方がなかった。
そして俺が再びリゼの方に視線を戻すとクロナは俺のことを睨んでおり、「私のことを忘れないでよ」と言ってくるので、その言葉を聞くと、俺に話しかけてくるクロナはクロエだという事に気づくのだった。
クロエは俺を睨みつけて俺のことを挑発するように見てきている。それを受けてクロエとクロエの姿をしているリリスの二人が敵だということを俺は改めて認識することになる。するとリリスの姿をしている方のクロエが「私はあなたのことを愛していた。だからこそリゼ様には悪いけどあなたと一緒に死んでほしいの。だから今すぐにその娘を解放して大人しく捕まってくれないかな」と言てきたが俺にその要求を飲むつもりはない。なので断ろうと思ったところで俺の前にリゼが立ちふさがってくる。
俺はリーゼが何故そこに立ったのかを理解していた。彼女は自分が犠牲になって、俺がクロナ達を拘束することを目論んでいたのだ。それに気が付きながらも俺はその案を受け入れてしまいクロナとクロネを捕らえることにした。クロナは少し動揺したようだったが、俺の考えを読んでくれていたようで素直に拘束されて俺に身を任せてくれる。クロナに関しては特に嫌がったりせずむしろ喜んでいるような雰囲気を感じられた。俺はクロナにクロナの姿に化けてクロゼの相手もしてくれないか? というとクロナもそれに納得をしてくれたのか、すぐに承諾してくれる。俺はそれを確認し、すぐにクロナに姿を変えるように指示を出した。それから俺はリゼを捕まえる。だが俺はその直前にあるスキルを使ってからリゼを押さえつける。それから俺はリゼが俺の体を蹴ろうとしてくる前にリゼの腕を掴んで、無理やり押さえ込むことに成功したのである。
それから俺はすぐに俺の固有技能を使いクロナの変身を解きクロエの方に歩み寄っていく。すると、俺が何をするつもりなのか分かったのかクロナが俺の足をつかみ止めようとするが俺の力のほうが強くて止めることはできなかったのだ。
俺はそのことに少し驚いていたが、そのことで俺は逆に覚悟が決まったのだ。そして俺はリゼルに対して復讐をしたいと考えていたこともあり、クロネやリゼルの仲間にされている人たちの仇を取りたいと考えていたのである。そのため、リゼを操っているリゼルを倒すことしか俺の頭の中にはなくなっていたのだった。俺はリゼルを殺すこと以外は一切考えないようにしながらリゼルの傍に立つ。
そして俺はすぐに、自分の体の中に宿る魔王の血を利用してスキルを発動させた。その結果俺はリゼルのように意識を失って倒れてしまうことになったがそれでも構わなかった。それから俺は倒れながら【魔王覚醒】を発動させると俺の中にある血は活性化を始め、どんどん力を取り戻していったのがわかる。
そして俺は立ち上がり目の前を見るとそこにはリゼルが立っているのが見える。それを確認した瞬間、俺はすぐに攻撃を仕掛けようとするが体が動かないことに気づく。おそらく【魔眼】によって動きを封じられているのだと理解できた。それを感じたと同時にリゼも行動を始める。
俺は何とか動こうと力をいれるとどうやら動くことができたのでリゼに向かって攻撃を始めた。その一撃はあっさり避けられたのだが、俺の本命は別にありその行動は成功していたのだ。その攻撃はリゼルの右腕を斬り落とすという成果を生んでいた。俺の斬撃が予想外すぎたためかリゼルの動きが止まっており俺はそこを狙うとすぐに次の攻撃を放つのであった。
リゼの右腕を切り落とした後に、すぐに次の行動に移るべく俺は動き出した。まず最初にリゼに反撃させないように攻撃を仕掛けて動きを止めてしまおうと考えたからだ。だが俺が攻撃を繰り出すより早く、クロネが攻撃を仕掛けてきており、そのクロネの姿を見て俺は驚愕してしまう。なぜなら彼女の腕がまるで竜のような姿をしており、それが大きな顎になっているのが見えたのである。そして俺はそんな攻撃を喰らった場合即死するだろうと察することができた。
そしてクロナはその大きめの口を開き、俺を食べようとしていたのだ。それを目にし、俺は慌ててその場から離れようとしたがもう遅い。すぐに攻撃が当たり、俺を捕食しようとするのだが、そこでなぜか俺を食べることができずにクロナはそのまま落下して地面に叩きつけられてしまった。俺はその光景を見てどうなっているんだと思っているとその横で笑い声を上げる者がいる。
それは当然クロネに姿を変えているクロナだった。
「私としたことがすっかり騙されちゃって、ごめんなさいね」
「どういうことだ」
俺は状況についていけずに、クロナに疑問を尋ねる。そして俺はクロナの言っている意味をなんとなくは理解できるもののまだはっきりとはわかっていないのであった。「そのままの意味よ。あなたの目の前にいるのは本物のリゼじゃないの。だから私が入れ替わった」
「そういうことか。じゃあお前がリゼルを」
「その通り。私はリゼに化けてリゼルに近づいて、私の持っている力でリゼを支配して、その後、その体を乗っ取ったの。そのあとはリゼルを操るためにリゼの記憶を読み取ってそれを私自身の脳にも取り込んだ。そしたらこの人、どうなったと思う?」
俺はそんな問いかけに対し、分からないと答えることしかできなかった。そしてそんな様子を見てからクロナはさらに続けて話し始めてくる。
「実はその体は、リゼ本人なの。つまりその体はリゼそのもの。それを知ってリゼは自分の肉体が他人の物になってしまったという事実に絶望した。それで心を壊してリゼは自殺した。だからあなたたちが倒したリゼはこのリゼの肉体を使っていたのが正解なのよね。だから安心して死んでいいわ」
それを聞いた俺は内心でかなり動揺をしていた。まさか俺の目の前で起きていることが、リゼの肉が乗っ取られていてそれを行ったのがクロナでありクロナの姿になったクロネだったというのが信じられず困惑していたのである。だが今はとにかくこの状況を打破するために必死に策を考えるのであった。
クロナは俺を追い詰めるために色々と話をしてくれていたが正直言って、今の俺はそこまで頭が回ってなかった。そのため、クロナの口からリゼルのことを聞くと俺はかなり混乱していたのである。だがここで混乱していたままではダメだと思い頭を切り替えて、冷静になるように心掛けた。するとクロナは俺に対して攻撃を開始する。俺はそれに対して反応することができ、ギリギリでかわすことに成功するが次のクロナの行動には対処できないだろうと思っていた。
クロナは次の攻撃の準備のためなのか、またリゼルの姿をしていてしかも、先程と同じように剣を持っている状態になっているのが見えた。しかし俺は先程のことがあるのでそれを警戒しつつも、どうやって戦えばいいのか分からなくなり始めていたのである。
しかしこのまま何もしなければ俺は間違いなくクロナに負けてしまうためどうにかしなければならない。そう思いつつ、剣で受け流そうと試みたが、俺は見事にその剣に弾き飛ばされてしまった。それを受けて俺はすぐにリゼを盾にして身を守ろうとしたのである。だが俺の思っていた通りにはいかず俺の体は吹き飛ばさるどころか逆に勢いよく俺自身が後ろに下がる形になった。
そして俺がそのことを理解するのに時間はかからなかった。俺の後ろで誰かが支えてくれていたからである。そして、俺の体を優しく包んでくれているのはクロナの姿に化けているクロネだというのは見なくてもわかった。
「ありがとうクロネ」
俺はそう言いつつも先ほどの攻撃が思ったよりも効いたせいか、俺の体に痛みが走り始めると俺はその場で膝をつくことになる。
それを見たクロナは余裕そうな表情を見せてくると、すぐに次の攻撃のためにリゼの方に向かっていき剣を振る。その一撃を受けたリゼだったがなんとか防ぐことに成功していた。
だが俺の目の前で起こったことを俺は信じられず呆然と眺めてしまっていたのだ。というのも、俺の予想とは逆の結果が起こったのである。
まずは先ほど俺をはじき飛ばしてくれたあの衝撃だったが俺の想定以上にクロネの腕の力が強かったらしく俺は数メートルほど後方に下がっただけで、それ以上後退することがなかったのだ。そしてクロナの攻撃に関しても俺に当たらなかったというわけではない。むしろしっかりと俺に当たったのだ。しかしその攻撃はクロナの体を貫通することはなく、クロナをその場に押しとどめることに成功しているのである。それだけではない。
クロナを押し戻している力はクロナの腕だけではなくその体の全体から発せられており、それによってクロナは地面に叩きつけられることとなっていた。そしてその威力が凄まじかったためか地面が大きく揺れると共にクロナは俺との距離を大きくとることができていた。
だがそのおかげもあってクロナに少しばかり考える時間を与えることになったのであった。
俺は目の前で起きた出来事を理解することができずただひたすら目の前にいるリゼのことを見ていた。そしてそんな俺の反応を楽しむかのようにクロナも楽し気に見つめていたのであった。
だが俺はいつまでも呆けたままというわけにはいかないとすぐに思考回路を元に戻してこれからの戦い方についてを考え始めた。そして現状がどういったものであるかを把握すればすぐに対策が取れると思った俺はすぐさま【解析】を使用することにしたのである。
【鑑定】スキルで得られた情報によれば、リゼはクロネルで間違いはなくリゼの中にいるのはクロネリという人物であると分かる。
それに加えて俺はクロナやリゼ、クロニなどのステータスを確認することにしたのだが、どれもが異常な数値となっておりレベル100の魔物と比べてもほとんど変わらないような値になっていたのだ。
そのためリゼに関しては、クロエが言った通り本当に人間なのか? と思ってしまうほどだったのである。
それを確認した俺は次にクロナの体を調べようと【解析】を使用したのだが、そこで予想外のことが起きているのが分かった。クロナの中にいる人物の名前が表示されていなかったのである。クロネルもクロネリもリゼという名前しか確認することが出来ず、それだけでなくリゼは名前以外には何もないのだった。
ただ、その事実を知った時俺の中にはなぜか恐怖に似た感情が生まれ、すぐにクロネスを倒さないと危険だと直感的に感じることが出来たのである。
そしてクロネルやクロネリ、クロナはリゼの名前以外のデータが全くと言っていいほど存在していないということが分かったが俺はリゼを倒すのを諦めたわけではなかった。そもそもクロネルが俺の敵だということを認識できているので、奴さえ始末できればリゼルは倒せると考えたのだ。それにクロネのことも考えればリゼルに勝てる可能性もあるかもしれないと考えていたのである。
それから俺はリネたちのステータスを確認してみたが、特に何か特別な能力があるということはなかった。しかし、そのことから俺はリネたちは戦闘にはあまり向いていないのではないかと予測を立てた。その理由としては彼女たちの持つ魔法を見れば分かる。リネアが使っていた水と風の混合魔法の他にも雷や風属性と思われるものを使った形跡があり、さらに言えばクロコの武器が弓だったことを考えても、遠距離から戦うタイプのように思えたのだ。
それから俺が次に見たかったのはクロニアとクノのステータスなのだが、彼女たちのステータを確認したところどちらもあまり変わっていなかった。クロニアの方は体力と力が圧倒的に上がっており、そのせいか見た目に変化はないのだがクロノアは若干筋肉質になっておりクロネと同じくらいの身長だったクロニアが160cm後半くらいまで伸びていることがわかったのである。
ちなみに俺はクロネの外見が変わったことについて、リネアたちのような変化だと思っていたが実は俺の中でクロネコが進化したのではないかと考えている。というのも、俺が倒した魔眼王であるクロネコだがクローネの話によるとあれは元の世界でいうところの竜と同じ扱いで本来は人の手で倒すことは不可能らしいのだ。しかし、クロネはその竜を倒して進化を果たしたということであれば今の彼女の姿にも説明がつくからだ。だからもしそうだとすれば、クロネの進化は竜殺しということになる。
そんなクロネを見て俺の中に生まれたのはクロネを味方にして良かったなという思いだった。それに加えて俺はこの世界に来て初めて仲間と言える人ができて嬉しいと感じてたのであった。
俺がリゼとクロネルとクロネの三人に対してどのように立ち回ればいいのか考えている間にクロナが体勢を立て直して、リゼに攻撃を開始し始めていた。
俺はその様子を見てクロナの邪魔にならないよう静かに行動しようと決めて二人の会話に耳を傾けることにする。
「まさか私の姿に化けている相手がこんなに弱かったなんて、ちょっとショックね」
「くそ、貴様ぁ」
「そんな怒らないでよ。でもその喋り方は気に食わないから直してほしいのだけど」
「ふざけるんじゃねぇぞ」
「ふざけているのはあなたよ」
「うるせぇ。死ね」
そう言ってクロナはリゼに向かって飛び掛かっていった。
そしてリゼもそれに対抗するようにして、剣を構えクロナを迎え撃つ態勢になる。しかし、その時には既にクロナはリゼの懐に入っていて攻撃を仕掛けようとした。だがそんな彼女に対してもクロゼは特に焦る様子もなく冷静な対応を見せていた。
それは先程までのリゼルがしていたように攻撃をギリギリで防いで、反撃に出るためだろう。しかし、クロナはそう思ってはいないらしく攻撃の手を一切緩めるつもりはないようだった。しかし、そのことに気付いていないクロナは攻撃を続けたままだったのでクロナの剣が当たり始めてしまったのである。
だがそんなことではクロナが止まるはずもなかった。そのため俺は慌てて止めに入ろうとするがすでに手遅れであり、クロナの斬撃はクロゼに当たる。俺はその瞬間クロネの心配をしていた。なぜならリゼルに体を操られていたクロネが攻撃されてダメージを受けてしまえば、クロナと入れ替わってしまってまた面倒なことになってしまう可能性があったからである。
だがその心配は全く不要であり、クロナは攻撃を食らっても全くのノーダメージであり、そのまま追撃を開始してしまった。そしてリゼルに対して剣を振り下ろすと彼女はそれを避けつつ後ろに飛ぶことによって距離を取ろうとしていた。しかし、それを許すことなく、今度はリゼに対して横薙ぎの剣を振っていた。
それをなんとか避けていたクロネだったが徐々にクロナの動きに対応し切れなくなっていき、クロナに足を切られるとその場に転んでしまったのである。それに合わせてクロネルは一気にクロナに近づいていくとリゼットに対して斬りかかろうとした。
だがそれを黙って見ているほど俺もクロニも甘くはなく、俺たちが先に動いた。
俺はクロネルの攻撃を止めるために全力で走って行くとクロネルに向かって殴りかかる。それを見たクロニは、すぐに弓矢を放つ体制に入っていたが俺はそれを手で制すと俺が一人でやると宣言した。それに対してクロニは一瞬戸惑いを見せるが最終的には何も言わずに後ろへと下がる。俺はそれを見てありがとうと言いつつもクロネルとの戦いに集中していた。
クロネルも俺が自分一人だけになったタイミングで勝負を決めようとしていたのか、すぐに攻撃へと移ってきたが俺も負けじとその攻撃を受け止める。
俺はクロネルと剣を交えてみてわかったことがあった。やはりこいつは俺が思っていた以上に弱いということだ。もちろんクロネルは普通の相手なら強いと思う。だがその攻撃から感じる魔力の量はクロネよりも遥かに少なく、その攻撃速度に関してもクロネスの方が圧倒的に早かったのである。
そのことに気づいた俺はこのまま力押しで倒してもクロネルに勝つことはできないと思ったので、少しだけ作戦を考える。そして俺の頭の中ではあるイメージが固まっており、その通りの戦い方をすればクロネルに勝てると思ったのだ。
俺はクロネリとクロネに俺が考えた策について話しておくと二人とも理解してくれたらしくすぐに俺に合図を送ってくれた。俺はその合図を受け取ると早速その策を実行した。
まず最初に俺はクロネルに向かって蹴りを入れるとそのまま拳を突き出した。その攻撃はクロネルには効かなかったものの俺の狙いはクロネルに俺の攻撃を避ける隙を与えることにあった。そして、俺の攻撃を避けたことで少しばかり隙が生まれたクロネルに俺は【瞬閃】を使うことによって間合いを詰めると渾身の一撃を叩きこむ。だが、クロネルもただで喰らうような女ではなかった。俺の攻撃が来ると分かるや否やすぐに【加速】を使い攻撃をぎりぎりで避けることに成功する。だが俺の本命はそこからだった。【加速】を使ったことによりクロネルにできた僅かな隙、つまり次の行動に時間を与えず俺は【身体強化】を使って思いっきりぶん殴ったのである。
クロネルが予想以上の速度で殴られたために彼女は受け身をとることが一切できず、地面を転がり続け最後には壁にぶつかりようやく動きが止まったのであった。そして俺は【結界術】で壁とクロネルを繋ぎとめていた。これで簡単にクロネルは逃げられないし、逃げることもできないはずである。それから俺はゆっくりとクロネルに近づくと剣を構える。そして俺が今からやろうとしていることを説明すると、俺がこれから何をするのかを察した二人は驚きの声を上げるのであった。
「まさかお前がそんな馬鹿げた発想を持っていたとはな。いや、まあ俺も同じようなことを考えていたんだが」
俺はそう言いながらリネルのことを見つめる。リネルは最初こそ戸惑っているようだったが、次第に状況を理解してきたようで俺を恨めしそうに見始めた。
「ふ、ふざけるなよ。俺は転生して強くなることができるはずだったのにも関わらず、どうしてこんな目に遭わなければいけないんだよ。こんなこと絶対に間違っているだろ!」
「そうだな。俺も最初は同じことを考えたさ。だけどこの世界に来て強くなったことで俺の考え方が変わったのかもしれない。確かに俺だってリゼがやられたのにムカついてる。けど、今は目の前にいるクロネルをどうにかするのが先だと思ってるだけだ」
「そうかい。俺としてはクロネルの体の中に入ればここから逃げ出すことが出来るから別にあんたをここで殺してもいいんだけどね。まあ、クロネに殺されるのは勘弁願いたいところだし大人しく降参させてもらおうかな。それでどうしたらいい?」
リネルの言葉を聞いてクロネルが驚いていたが特に気にせずにリネルは続ける。
俺がリネルを拘束してから三十分が経過していたが未だにリゼたちは帰ってきておらず俺は心配になってしまっていた。そんな時にリゼたちを連れてリリスが戻ってきた。
俺はそれを見るとすぐにリリスたちに話しかけようとするがそんなことを許してくれるはずもなくリゲルから先制パンチを食らってしまった。そしてリゼルとクロネはリネルと戦おうとしたのだが、そこでクロネが口を挟む。
「リネ、リゼとリゼロのステータスを確認して。もし、二人がまだ生きているなら私たちのところに転移できるはずだよ」
リネはクロネの言葉に驚いた表情を見せていたが、言われた通りにステータスを確認してくれた。
するとリゼは瀕死の状態になっていたもののまだ生きており、ステータスを確認することができたのである。それを見たリネがすぐに魔法を唱える準備をしたがリゼルはクロネの方を向く。
俺はそんなリゼルに対してどういうつもりなのか問いかけるが彼女は笑みを浮かべただけで答えることはなかった。それに加えてクロネコはなぜか自分の顔を鏡で確認していて俺はその様子にも困惑していたのである。だが、俺のその疑問は次のクロネコの行動によって解消されるのであった。
クロネコは自分の姿が変わるのと同時に顔立ちまで変わったことにかなり驚いていたらしく、自分がどんな姿をしているのか気になったらしいのだ。
そして自分を確認した後、その容姿にもかなり驚かれたようであった。しかし、クロネが自分の姿を見て何かに気付いたようでクロネスに指示を出していたのだ。その結果、彼女は光に包まれる。それがなんとリゼに変化したのである。そしてそんなリゼの様子にいち早く気づいたリネはすぐにリゼの元へ駆けつけて彼女を助けようとしていたが間に合わずそのまま死んでしまった。それを見たクロネは再び魔法を唱えてリゼに施すと彼女はなんとか蘇生に成功する。それを見てリゼルはかなり焦っていたがクロネの一言ですぐに冷静になると、クロネに対してお礼を言い始める。
「リゼの体を貸してくれてありがとう。でも、私の体を使わなくても私とクロニで何とかなったと思うよ。だから、あまり気を使わなくて大丈夫だよ。それにクロニのことは私もよく知っていますから、私が助けます。あなたも私を頼ればいいんです」
「そうね。その通りだと思う。クロネコ、あなたが言ったように私はあなたを心から信頼しています。だから遠慮せずに頼って欲しいです。もちろん、クロノも頼りにしていいんですよ。だって、私たちは家族なんだからね」
そんな会話を聞きつつ、俺も俺なりにリゼが無事かどうかを確かめることにした。そして、クロネリとリゼルの話を邪魔したくない気持ちもあったのだが、やはりクロネが言っていた通りクロネの【スキル強奪】が効かなかったのか、という部分に関しては聞いておきたかった。
俺の考えでは【鑑定眼】とクロネと俺との相性が悪かったのだろうと思っていたのだ。
リゼルが言うには【加速】と【瞬閃】の組み合わせは普通に強いらしく、俺の攻撃をクロネルが避けられなかった理由はこれではないかと教えてもらった。クロネルがなぜ、クロネに攻撃を当てることができなかったのかというと彼女は元々の速さが遅い上に、攻撃が単調なので避けることが比較的楽だということを教えてくれる。だが俺の攻撃が当たらない理由まではリゼルにもわからないみたいで少し悔しそうにしていた。
それからしばらくしてクロネルにリーゼの姿でクロネにクロネリが話を始めると二人はクロネとクロネルに自分たちのことを話すのであった。それを聞いてリネルは驚いていたが特に文句を言うことはなかったのである。
俺はその様子を見て少しだけホッとした。なぜなら彼女たちの話に納得できなかったらすぐに暴れてしまうのではないかと考えたからだ。
だが、すぐにそれは間違いだと気づくことになる。というのも、クロニの様子がおかしいことに気づいた俺はすぐに【魔力探知】を使い周囲を探り始めると近くにクロネの気配を感じたのである。それも複数感じられたので、その方角に向かって俺は【瞬間移動】を使いその場所に向かう。
俺がその場所にたどり着くとそこではリゼたちがリネルと戦っており、俺はそれを目にすると同時にすぐさま加勢した。そして戦いはあっという間に終わりを迎えるとクロネルが俺に向かって頭を下げてくる。それを目にした俺はリネルに目を向けたが彼女は苦笑いをするだけで、リネルがクロネルに謝ることを止めることはなかった。それからクロネルが話を始めた。
「まさか、お前とこうして再会することになるとは思わなかったな」
「ああ、本当に俺もお前にまた会えるなんて思ってもいなかったさ。ただ、俺としてはもうお前が俺の前に現れることはないだろうと予想していたがな」
「ふっ、まあそうかもな。ただ俺はこの世界を救いたいと思っただけだ。そして俺はリゼと一緒に魔王を倒して勇者の力を手に入れたいと思ったんだ。だからこそリネの体に憑依したってわけだ。その方が効率が良いと思ったしな。だが結局はこうなる運命だったんだろうな。俺たちの実力じゃあいつらに勝つことはおろか逃げることすらできない。さすがにあれは反則じゃないか? 【加速】で動き回って【加速】を使っていないはずの俺の攻撃を避けて反撃してくる。あんなの化け物だぞ。俺にはどうしようもない。悪いがリネの体から出て行ってくれないか?」
「リネルがそうしたければすれば良いと思うよ。だけど私はまだ諦めてはいないからこれからも頑張って欲しいな」
「おいおい、この状況を見てどうしてそんなことを思えるのか逆に聞きたいくらいだが。もしかしてまだ戦うつもりなのか?」
「うーん、まだちょっと分からないけど、私はリネが大好きだからリネルも嫌いじゃないし、リゲルのことも一応信用はしてあげてる。そしてリゲルの言ってることが本当ならリゼとリゼの双子の妹を助けられる可能性があるってことでしょ。ならやるしかないよね」
「お前の覚悟はよく分かった。ただ、俺が素直に従うと思ってもらっては困るな。俺はリゼルやクロネと違って甘くはないんだ。もしここで逃げようとしてみろ、俺はすぐにでもこの場でお前を殺して俺が生き残る方法を模索するからな」
「うん。それで構わないよ。私を倒せばいいだけのことだもんね」
「その余裕も今の内だ」
リネルの言葉を聞くとリゼはクロネルの身体から抜け出す。その瞬間にリネルが攻撃を仕掛けようとしたが俺は慌てて止めに入った。
「なんだよ。まだ勝負が決まったわけではないだろ。邪魔するんじゃないよ」
「リゼル様のお言葉が聞こえなかったのですか? あなたの負けですよ」
「ふざけるな。まだ俺は負けてなんかいない!」
リゼルがそう叫んだ途端にリネとクロネルの表情が変わる。俺は二人を目にしてようやく状況を理解することが出来た。リネもクロネルもかなり怒っていることに――。
「ふふふ、やっと気づいたか。なら大人しく俺の指示に従ってくれよ」
「嫌です」
「ふざけるなって言っているだろ! 大人しくリネから出ていけ!」
リネルの言葉に対して俺は即答するが彼女はそれでもなお食い下がろうとする。そればかりか俺はいきなり首を掴まれてしまい、持ち上げられてしまう。そのことに驚いたがなんとか抜け出そうとする。そして俺は【魔法創造】を発動しあるスキルを作ることに成功する。そして、その【魔眼付与】の能力を使うと【魔眼:神速】を手に入れることができた。その効果は【超加速】と同じような能力であり、自身の動きを限界を超えて高速化させることができるというものだ。しかし、発動には制限が存在しており、一時間に一回が限度というデメリットが存在していたのである。
ただでさえ強いリゼルとリネにリゼルの分身であるリゼが加わったことによって俺は苦戦を強いられた。それに加えてリゼとリネの動きも非常に素早く、さらにクロネの【魔法強奪】によってリネの攻撃の魔法を奪われてしまった俺は完全に防戦一方となっていたのである。
しかしそんな状況を俺は打開する方法を一つだけ考えついていた。それはリネとリゼルを同時に殺す方法である。そう考えた俺は早速実行に移した。
「いい加減にしてください」
俺はそういうと同時に二人の腹に手を当て、そこに力を込めた。その行為に対して二人が動揺している間に俺は【魔眼】によって二人を拘束することに成功していた。そのせいでリネたちは動くことができなくなりその場に立ち尽くすことになったのだ。そんな隙をついて俺はクロネに攻撃を仕掛けようとしたのだが、それはあっさりとクロネの杖によって受け止められる。
しかしそんなクロネの顔色が悪くなっていることに気付くとすぐに攻撃を止めて様子を確認してみると彼女は胸を抑えていることがわかった。
おそらく、俺が攻撃した時に心臓を一突きしてしまったようだ。それを確認した後で、リゼルとリネに対して俺のスキルを説明し、協力を求めることにしたのである。リネルが何か言おうとした時にはリネとクロネスですぐに黙らせ、それからリネとクロネの了承を得るとそのまま彼女の身体を操り、クロネを襲わせることに成功した。だがリネルはすぐにそのことに気づきリネルとリネを引き離したのである。そしてその行動は正解であったようで、すぐにクロネは立ち上がりクロネルに向かって話しかけた。そしてその後ですぐにクロネルとリゼルが俺に対して何かを仕掛けてくるがそれを無視してリネに向かって【神化:雷帝(らいてい)】を使用するとそのままクロネに向かって突っ込んでいくと俺はそのままリネの体からリネを引き抜いた。
「リゼ!? 何をやっておる。その男から早く離れなさい」
「リネルもそんなところで呆けてる場合ではありませんよ。さあリネの体を取り返しに行きますよ」
クロネとリゼルは同時にそう叫ぶとリネが俺たちに攻撃を仕掛けようとする。そのことに気づいた俺はすぐさま防御に入る。そして俺に【瞬間移動】を使わせたリネは【スキル強奪】によりクロネルの【スキル強奪】を奪う。
それにより、クロネとクロネルは動きを止めるが、【スキル強奪】は相手が自分よりも圧倒的にレベルが上だった場合、相手の【スキル強奪】を強奪できないという弱点があることを知っている俺はすぐに【鑑定眼】を使いリネたちのステータスを確認するとリゼルとクロネが同レベルの【鑑定不能】であることを発見すると即座に【瞬間移動】を使い距離を詰めるとリゼルの首を掴み、俺の方へと引き寄せ、そのタイミングでクロネが【魔法強奪】を発動すると俺はクロネに意識を集中させる。
その結果、クロネとリゼルはその場で動かなくなったので俺は急いでその場から離れると俺はリネからクロネルの体を無理やり取り出したのであった。そのことでクロネとクロネルは気絶してしまう。
「くっ、貴様よくも私の妹たちを。許さないぞ」
そう言うとリゼルは自分の剣を取り出し俺に向かって攻撃をしようとするが、それをクロネルが止めにかかる。
「待ってくださいリゼル様」
「うるさい。お前たちさえ邪魔しなければ私はこの世界で最強だったはずだ。それをこんな形で奪うとは」
「気持ちはわかります。しかし、今のままじゃ私たちには敵わないんですよ。私たちはあなたよりは格上の人間なんです。だから今は耐えてください。そして必ず私があなたをお守りします」
「ふん、もうよい。お前には何も期待しない。リネル、お前にはリネルとリネルの妹の肉体と魔王について知っていることを全て話す。そしてリネとリネルの身体の奪還に協力することを約束する」
「ああ、俺もその条件で問題ない」
俺がそう答えるとリネルはどこかへと歩いて行き姿を消した。そしてリゼルだけが俺の元に残り俺に質問してくる。その表情はとても焦っているようだった。そして俺はその表情からあることを推測した。
「なるほどな。クロネルとクロネの居場所は分かるか?」
「はっ? どうしてそのことをお前が知ってるんだ?」
俺の言葉を聞いた瞬間にリネルは動揺して目を見開くと俺は【瞬間移動】を発動しクロネルとクロネスのいる場所に移動すると、俺はクロネルとクロネスの頭を撫でてからすぐにその場所を離れるのであった。
クロネルはクロネを連れてくるためにこの場所に残していたのだが、その間にリネルに先ほど手に入れたクロネルの身体を渡すように促す。
「おい、この女にさっき俺に渡してきたクロネルの身体を渡してもらおう」
「断る」
「なら実力行使させてもらおう」
「私とリゼル様が戦うとでも思っているのか?」
「まさか、俺だって命は惜しいからな。ただ少しの間大人しくしていてもらうだけだ。そしてその身体を俺に寄越す気がないならそのクロネルという女の身体をこちらで使わせてもらう。どうする?」
「くっ」
「ほら答えが出せないならとりあえずお前はこの女をしばらく人質として利用させてもらう」
俺はそういうとクロネルを人質にし、リネとリゼルを拘束してから、まずリネを先に解放する。それからクロネルを解放すると今度はすぐに俺のことを殴りつけてきた。その一撃は非常に重く俺を吹っ飛ばすほどだった。そのおかげで俺の手からは逃れることに成功していたがそれでもかなりのダメージを受けてしまった。なので俺は【回復魔法】を発動することで怪我を回復させることに成功する。だがそんなことは関係なく俺はリゼルの顔面を思いっきり殴った。リゼルの鼻骨と歯を折ることに成功した俺はすぐにその場から離れようとするとリゼルは俺の後を追いかけることができなかったのである。そのわけは、俺は【神速】を使ってリリスとネネの元に向かったのだ。
「さて、リゼルもいなくなったことだ。そろそろクロネルの体を解放してくれないか」
俺はリネルにそう告げるが、彼女からはまだクロネルの体を取り返すことが出来ないと言われてしまい、俺は【解析眼】を使うことにした。【スキル奪取眼】で【魔眼】を奪うことも考えたがそれはやめておいた。
俺がリゼルの分身であり本体であるはずの【分身魔眼】というスキルを持っているリネルに視線を集中させると【分身魔眼】を奪い取ることに成功し、そしてすぐにリネルの【魔眼】を【鑑定眼】に書き換えたのであった。
これで俺は【神速】のデメリットで動けなくなっていたのですぐに解除して立ち上がることに成功する。そして俺の目の前にいたクロネルとリネは驚きのあまり声を失っていたのである。俺はリネルに対して俺が【神化】というスキルを使ったことを説明した。すると、リネルはその話を聞いてようやくクロネルの体を解放すると言ってくれた。それを見たリネが何か言いかけるが、その前に俺はクロネルを自分の方に引き寄せる。そしてそのまま【神速】を使いその場を離れようとしたが、俺の動きが速すぎるせいでクロネルに俺の動きが見えずに彼女は俺にしがみついてくるが、俺は気にせずにクロネルを抱えたままその場から走り去ったのである。そしてリネルの分身であるリゼルもリネルと共にその場を去っていった。
俺はリネルの体を抱えながらリネたちの元に戻るとクロネが近づいてきて、すぐにリネルの体を地面に横たえるように言われたのでリネルの体を置いた後に俺は【分身魔眼】を俺の体内に戻そうとした時、リネルの体に異変が生じた。俺の体内に戻すことで俺は【超再生】が使えるようになったのだがそれがなぜか使えなくなったので【スキル強奪】の【能力共有】で【スキル略奪】が発動できるようになった。
【分身】【スキル強奪】が俺の中に入ってきたが、【スキル強奪】は【複製】が手に入らなかったが【能力強奪】を手に入れた。俺はすぐに【スキル強奪】を【鑑定眼】で調べてみると俺が奪ったことのあるものだけを調べられることが判明した。俺が得た情報によるとどうやら【複製】というレアスキルを盗むことができるスキルだったらしく、それに加えてリネルの身体とクロネスの身体にも何か変化が起きたようだったのだがそのことがすぐにわかった。
クロネルの体が突然俺に近づき俺の腕の中で寝始めたのだ。しかもそれだけでは終わらずリネスまでも俺に抱きついてくるのであった。そのことからリネスとクロネルは【神化】という【死人薬】によって死んだ人間が生き返るようなスキルを俺に奪われてしまったことにより、俺の眷属のような存在となったようだった。その証拠なのか二人は目を瞑り眠り始めていた。俺はリネたちに【治癒】をかけようとしたところで、リネたちの様子がおかしいことに気がつき、リネたちの体から魂が抜け始めているのを確認した俺はすぐさま二人に【治癒】をかけると二人の体は元に戻ったが、やはり魂は戻っていなかった。俺はクロネの身体が俺に近づいたことで【神獣使い】が【真祖召喚】に変化してクロネルとクロネの二人が同時に【神獣契約】の【スキル強奪】が手に入ったことで【超成長】が俺のものになったことがわかった。
【神獣使い】のスキルは俺が新たに手にした【聖炎狼】という白き炎を纏った金色の毛並みをした狼を呼び出すスキルで、その力はとても強大だと感じたが、同時にこの力は扱いがとても難しいということがわかってしまった。俺が【スキル強奪】で手に入れた【鑑定眼】はどうやら【全知眼】という名前のようで【全属性魔法】という複数の種類の魔法が使用できる魔法のスキルと【魔力操作】【無詠唱】【並列思考】などの上位互換とも言えるほどの強力な能力を手に入れられたのだった。
俺はクロネたちが俺の側にいた時にリネが持っていた【ステータス偽装】という俺のステータスを書き替えることができる【偽造】と【偽装】の二つが融合した【偽造改】の最上位互換と言えるような【ステータス偽装+】というものを手に入れることが出来たのでそれを俺のステータスに反映させると俺はレベル1000になっていた。俺はそんなステータスに違和感を感じつつもとりあえずステータスを閉じることにする。そうしないとクロネとクロネスが起き上がってしまいそうな感じがしたので、まずクロネに口づけをしたあとで俺も眠りにつくことにした。ちなみにリゼルはクロネルが眠ったあとにクロネルのことを起こそうとしてクロネルのことを抱きしめていたリネルとリゼルの姿は見ていない。俺が眠っている間に一体なにがあったのだろうなと思いつつ俺は眠ることにしたのだった。そして翌朝、リゼルは昨日のことを思い出して落ち込んでいるクロネルのそばにいたのだった。
「おはよ」
「おはよう、ユウキ。あの時は助かった。ありがとう」
「いや、いいって。それよりもそろそろ城を出るけど準備できてるか?」
「ああ、大丈夫。それと、私はもうクロネルじゃない。リネルと呼んでくれ」
リゼルの言葉を聞いたクロネルは少し驚いてから嬉しそうにリゼルに笑顔を見せる。俺はリネルとリゼルがお互いに微笑みあっている姿を見て少し羨ましく思うのであった。
俺はこれからクロネルと一緒に旅に出るためにリゼルにはしばらくここでクロネルとクロネのことを預かってほしいとお願いする。それから俺とクロネルはクロネルの家にあったお金を持ちリゼルとリネスを置いて旅に出ようと扉を開けようとするがそこでリゼルが声をかけてきた。
「おい待て、私たちはこのままだとクロネルさんとクロネ様に顔向けができない。それにリゼル様は勇者の末裔としてこの国を救わなければならないのだ」
「ん? どういうことだ?」
俺はリゼルが何を言っているのかよく分からなかった。しかしクロネルはリゼルが言おうとしていることを理解している様子でリゼルに説明を求めたのである。
「実は、この国の王族は私たちを裏切って魔王を復活して世界を破滅させようとしたのは事実なんだ。だがリゼル様はそれでも民のことを優先してくれると誓ってくれたのだ。だからどうか頼む。この国に残ってくれないか?」
「え、まじ?」
俺が驚きながら聞くとクロネルも同じような反応をしていた。まさかこんなところに真実を知る人物がいたなんてと二人で驚き合っていたのである。それから俺は少し考えてからリネルの方を見ると彼女はまだ迷っているようだったが、リネがクロネルのことを慰めると同時に説得をしているのを見て、しばらく考えた後、俺たちについていくことを決めてくれた。リゼルとリネスもそれに同意してくれたため三人で城を抜け出して、リネたちが暮らしていた家に向かうことになった。それからクロネルたちと共に旅を始めるのであった。
それから数日の間は特に問題もなく平和に過ごしていた。クロネスはリゼネルに色々と質問していたのだが、俺もクロネにリネルとの関係性を聞いてみたが、どうやらクロネルもクロネスが生きていたとは思っておらずクロネスはリゼルと共にいるクロネリに嫉妬するほどだった。俺はクロネルがクロネリのことを好きだと思っているが実際はわからないが。そしてクロネルから話を聞いた限りでは俺が死んだ後に王都での内乱が起こったらしい。そしてクロネはその際にリネルとともに命を落とすはずだったそうだがリネに救われたことで、リネルが生きていることを聞き、すぐに俺が転生したことを知ったそうだ。そしてクロネルもその後に起きた戦いで死んでしまったが魂だけはなんとか生き延びることができたが、肉体の方が朽ちてしまい、魂が離れてしまう直前に俺が現れたという。そのためリーゼという存在が二人いたということだ。俺が転生した後で何が起きたのか聞いてみるが詳しくは知らないみたいで詳しいことは教えてくれなかったがクロネの話によると俺とリネルとクロネとリネは俺に【分身】というスキルを渡し、俺はクロネルとクロネを【複製】の【複製創造】で複製することに成功した。俺とクロネはクロネルの体に俺が【死人薬】で死んでいたクロネを蘇生させたことによって二人の体が融合し、クロネルとクロネは一つの体を共有し合うことになってしまった。クロネルの体は元々クロネの身体だったので俺はリネルの体にリネスを入れた時のようにクロネルにもリネの体を入れることに成功し、そのことで俺のスキルを使えるようになった。リネルの体はクロネルの体でもあったので、クロネに渡したはずの【超再生】が使えるようになっていたが【再生強化】などはそのままリネルが使うことができる。俺はクロネにクロネの体にリネスの魂を入れようとしたが魂の力が弱まっていたせいか俺のスキルがうまく働かずリネスは生き返らせることができなかったが、その代わりにクロネルを生き返らすことに成功した。それで俺がスキルを使って蘇らせたことで【分身】というスキルを扱えるようになって【スキル強奪】で俺の眷属のような存在になったようだ。
クロネル曰くクロネルは俺と会うまでずっと俺の眷属になることを望んでいて俺に会うためにここまでやってきたらしい。クロネルは俺の側にいられることが嬉しいらしく、俺とクロネルが会話していると時々リネスが寂しそうな顔をしているので俺はそのたびにクロネルとリネスの間に入り二人の話を聞いていた。その時に俺がクロネルのことをリネスと呼ぶとクロネルはクロネスではなくリネルと読んでくれるようにお願いしてきたのだった。
「ねえ、ユウキはどうしてこの世界で私の名前を呼んでくれなかったの? なんでこの世界にきてすぐにクロネのことを私の名まえで呼んだの?」
「それは、俺にとってリネだけが特別というわけじゃないからな。クロネルとクロネだって同じ名前だから二人の名前を呼ぶなら二人とも同じように呼びたかったんだよ。それに二人とも自分の名前が好きだろうから、俺は二人が好きであろう名前を呼ばないと失礼かなと思ってさ。ごめんな、気づかなくて。俺、リネルのことを傷つけちゃったよな」
「ううん、いいの。私はあなたに呼ばれるのがとても心地良いもの。リネルって呼ぶ度に私はあなたの眷属になっている気がするの。リネルと呼んでもらえるだけで幸せな気持ちになるの。リゼルも最初はリネルと呼んでいたけど、最近はリネルのことをリネアと呼んでいるわ。きっと私がリゼルにお願いすればすぐにでも変えてくれるはずなのに私はリネルのままよ。それはやっぱりユウキの側にいたかったからかもしれないね」
「そうなのか」
それからしばらく歩くと俺の前に突然大きな門が現れその先には大きな城が見えてきたのである。クロネスは俺の隣に来て城を見つめていたのだがクロネは俺とクロネが再会したことに喜んでくれているので一緒に城の中に入ってもいいと言ってくれたが俺はクロネスと城の前で待ち合わせることにした。俺はクロネルとリネを連れて街に行くことにする。そのついでに近くの森の中で狩りをしたり素材を集めようと思ったのだ。それからしばらくして俺はクロネルたちと別れたがクロネルはなぜかついてこようとしていた。クロネルが言うにはこの国にいる間だけでも俺と行動を共にするつもりでいたのだという。それを聞いた俺はクロネルと行動したいがあまりリネに迷惑をかけることになると思いクロネスに頼んでみるとリネが俺の提案を受け入れてくれたのでクロネルがリネたちの家で住むことになった。俺はそのことを伝えるためにクロネスとクロネルの元に行きクロネスにリネルがこの国で俺と一緒に暮らしたいと言っていることを話すとリネスがクロネルとリゼルとリネと一緒に俺の家で暮らせばよいと言い出した。そしてクロネスもクロネとクロネルの二人が一緒ならば大丈夫だという判断になり、俺はクロネルと一緒に暮らすことになった。そして俺はクロネルに城に戻るように言って別れて城に向かって歩き出すのだった。
クロネルとの再会を果たしたあと、俺はまず森に来ていた。そしてそこでリネルとリネアと合流した。二人はクロネルがここにいるということはリゼルもクロネも生きているということが分かったためリネルもクロネルとクロネに会えることが嬉しく喜んでいた。俺とリゼルが城を出たことをリネルたちに話すとやはりクロネルは俺のことを恨んでいるようで俺に攻撃を仕掛けてきた。クロネルは俺を殺すつもりで攻撃してきて俺はその攻撃を無効化したがリネが止めに入ろうとしたところを俺はリネに大丈夫だと合図をしてその場から動くことなくクロネルに話し始めた。するとリネルはすぐに剣を収めて俺に謝り始め、俺のことを殺そうとしたことを謝罪した。それから俺はリネたちと共に森を抜けリネスが住んでいた村に向かうことにした。俺は【全知眼】の鑑定機能でリネスたちが住む村にモンスターが近寄らないようにしていたが、念のためリネスたちが住んでいた家に行って家の周りを見てみたが何もなくリネの無事を確認できたので安心して俺は森の中に入ることができたのである。そして俺達は無事に村の入口に到着することが出来た。俺はクロネとリゼルとリネルを村の人達に紹介するため村長の家に連れていきクロネとリゼルを家の前に待たせリネルだけ連れていき、俺の家に向かったのである。リゼネスは俺の家に入った途端驚いていたがすぐにリゼネの顔に戻ったのであった。リゼネルはクロネの姿を見るなり涙を流しクロネに抱きついた。クロネルはリネルのことを抱きしめながら涙を流すリネルを優しく見守っていた。リネルが泣き止むのを待つため俺とリネとリネスの三人はお茶を飲むのであった。それからリネルとクロネがリゼルがクロネスを救いに行った時のことやクロネがリネルとリネスと旅をしていた頃のことを話していたのを聞いて俺もクロネルとリネスと出会った時のことを話し始めたのであった。
リネルの家は俺の家のとなりで俺の家に遊びに来ることも多かったためクロネとリネルは俺と仲が良かったのである。
俺はリネルが俺を殺そうとしていたのがなぜかわからず俺はリネルに質問をした。俺が質問をしたときにリネルは一瞬だが驚いたような表情をしていたのだがその後でリネの方を向き、俺の方を向いてから質問に答え始めた。俺はクロネスが言っていたリゼルとリネを生き返らせたいというリネルの思いが強くなりすぎておかしくなっていたという言葉を思い出したがクロネルが俺のことを睨みつけたので質問を中断したのだった。そして俺はリネルの話を聞く前に、クロネとクロネスが二人に会いに来たので二人に俺のところに案内するように頼みクロネスたちをクロネの家に送った。クロネたちは俺の姿を見てクロネスとリネとクニミにリネルを紹介した後、俺はクロネスとクロネルとリネに二人とクロネを家に住まわせてもらうことを説明したのである。俺はその説明をしている時にクロネの視線がとても痛かった。俺がリネルにクロネルとリネを俺のところに住むとクロネに告げるとクロネルがいきなり俺に斬りかかってきたのである。俺の反射神経のおかげでなんとか避けれたがクロネルが本気で殺そうとしていることだけはわかった。俺はクロネルがクロネスとクロネのことを思って行動していたことを知っているため説得を試みた。しかし俺はクロネルの剣を避け続けるだけだった。クロネルは俺を何度も殺すが俺の身体が頑丈だったため致命傷になることはなかったのだった。俺は【死無効】と【不死】のスキルを【神格解放】を使って発動させていたので、俺を殺すことはできないとわかっていての行動だと思うがそれでも必死にクロネルの攻撃を避けていた。俺はクロネルの剣を避ける際に魔法を使っていたが、俺の放った魔法が当たったことでクロネルがようやく攻撃をやめたのだった。
それからクロネやリネ、クロネルにリネスの俺への態度が変わった。リネルは自分の気持ちが俺に伝わらないことと、自分の力不足が原因でこうなってしまったのは仕方がないと思っていたのだが俺に避けられていたことと、俺から殺意を感じなかったので我慢ができず俺を殺してしまいそうになったらしい。
クロネは俺と再会できて嬉しかったのとクロネのことが大好きすぎるリネルのことを思って、ついカッとなってしまったらしく、リネはそんなクロネを止めようと頑張っていたようだが、俺と目が合ったリネは助けてほしいという顔を俺に向けていたため、俺がリネルを止めることにした。俺とリネルの攻防を見たリネスは、俺がクロネルに対して怒っていることを理解して俺とリネルの話し合いを邪魔しないように部屋から出て行ったのである。俺はとりあえずクロネルに俺が怒っている理由を簡単に話し、俺は俺の大切な仲間を殺したクロネルに復讐するつもりがないことを伝えると、俺はクロネルが俺の大事な人たちを傷つけないように俺が守ってやるからクロネルが俺を信用できるようになるまで待つことにした。クロネルも俺のことはリゼルから聞いていると言っていた。それからしばらくして俺達全員の自己紹介が終わった後、リネルは俺のことを許してくれると笑顔を見せてくれたので、俺はリネたちの家で俺達が住むことになっても良いか聞く。俺達が話している間にリネルは俺が話したことについてクロネスに聞いていたが、俺とクロネスとリゼルとリネはお互いのことを親友として信頼しあえる仲だということを伝えたらリネルが嬉しそうにしていたので俺が了承を得るとクロネスとリネルが二人でクロネにお礼を言い、それからクロネの家に向かって歩き出す。
そしてクロネスの家に到着したあと俺はクロネスとクロネリを部屋に通してから俺はクロネリと話をすることにする。
「私もリネル様の眷属になっていましたのでリネル様に力を授けてくださった存在については存じております」
「その者は今どこに?」
「おそらくどこかでひっそりと過ごしているのだと思います。私もその方の顔は知りません。ですが私が知っている限りでは魔王と呼ばれる存在で間違いないはずですよ」
それから俺は【鑑定眼】と【全能眼】と【万眼】を使いリネルにリゼルの記憶を改竄し俺の仲間たちに手を出させないようにしてからクロネスとクロネルをこの国に置いていこうと思ったがクロネスからこの国には私の居場所などないと告げられ、俺はクロネスにも一緒に来て欲しいと言った。するとクロネスが俺にいろいろと話し始めてくれたので俺はそれを聞いてから少し考え事をしていた。それから俺はクロネスに俺が考えた案を説明する。クロネスは最初は渋っていたが最終的には納得してくれた。それからクロネスにリネルに記憶の操作を行うと伝える。俺は俺の考えについてクロネスに伝えたのである。そして俺はリネルたちにクロネスのことを紹介する。俺はこれからしばらくリゼルたちと行動をともにするが、クロネスも一緒に来るように誘う。クロネスはリネルのことを考えてから、クロネスの返事を待ちクロネスがリゼルたちと行動すると決めたため俺と一緒にリゼルの家に戻る。俺はクロネスが戻ってきたことをリネとクロネルに伝えてクロネスに俺の眷族にならないか尋ねるとリネスが反対してきたが、クロネスが俺の眷属になりたいと言うので俺は許可を出した。そしてクロネスを【契約】して、クロネスは俺とクロネスは主従関係を結んだのである。
それからリネスが俺に話しかけてきて、なぜリネスがクロネたちを助けてくれた俺を殺そうとしていたのか、クロネが生きていることがわかったからなのかを尋ねた。俺からしたら別にどうでもいいことだし、俺を殺そうとしていたのは俺が嫌いとか、俺の存在が憎いということではないようなのでリネスに気にしなくていいと言いながらクロネにクロネはリネスの姉なのだからあまりいじめるなよと伝えたのである。するとリネスがいきなり泣き出して、俺が慌て始めるとリネスが落ち着くまではリネスに付き合ってあげた。それから泣き止んだリネスはリネルとリネとクロネスを連れて外に出ていった。リネスたちが何をするか知らないが俺は俺の仲間たちがいるところに向かう。俺は俺の家にクロネ、クロネスとリネル、クロネとリネスとクロネの二人にそっくりだが違う女の子を連れたクロネ、俺、リネが歩いて向かっている時に、クロネルはリネルを慰めながらクロネは俺を睨んでいたのであった。
俺達はクロネとリネ、クロネスにそっくりの二人の姉妹をリゼルとリネスの元に連れて行く。俺はリネスから二人がリネルの双子でクロネのことが大好きだという話を聞いた。それからクロネスの双子の妹のリネルはクロネスのことをクロネルと呼ぶ。それからリネルはリネルが姉であることをクロネに教え、俺が俺の仲間であるリネスをクロネが俺を裏切ったと思い殺そうとしたことを話したがリネルはクロネスを俺を騙すために演技をしただけだと思っているみたいだ。しかしリネルはクロネのことをずっとクロネと呼んでおり、クロネに怒られていたのでクロネに謝るようにリネルに言ったのである。それからクロネスはリネルにクロネは悪くなく俺のせいだと伝えリネルが俺の話を全く聞かないからリネルがクロネを疑っていただけなんだと説明したのだった。クロネがリネルにちゃんと説明しなかったせいでクロネルはリネルが自分を助けることができなかった理由が俺にあるんじゃないかと思って俺のところに来るのが遅れたらしい。俺はリネルとクロネルの言い合いを止めるとリネとクロネの二人はリネのことを睨みつけたが、俺はそんなこと気にせず俺は【空間転移】と【次元移動】とアイテムボックスの能力を使い家に帰ることにしたのである。そして、リネたちは俺が急に帰ったことに驚いていたのである。
俺が【死無効】の【不死王】のスキルを持っているため俺が死ぬとは思っていないだろう。それに俺は自分の仲間であるリネたちのことを大切に思っていたので俺が殺されることは絶対にないとわかっているからこそ、俺は余裕をかましているのだが他の人から見たら俺のしていることはただのクズにしか見えない。だからリネたちは俺のことを信用できなかったのだ。しかし、俺が死なないと確信していたとしても俺のスキルを全部把握しているわけでもないし俺を確実に殺す方法があるならそれをやってくるはずだと思うのだがリネたちもクロネやクロネルのように、まだ俺の本当の実力を把握していないようだなと思ったのだった。
それからクロネリはクロネとクロネルの二人に自分の力を見せつけるために勝負を始めた。クロネが言うにはリネルよりクロネリの方が強かったらしくリネが負けた理由はリネに経験とレベルの差が原因だと言っていた。俺は俺がクロネと初めて戦った時は互角ぐらいの力だったし、クロネのレベルは500以上だったので俺は普通に強いと思っていたが、クロネリの方はレベル300でステータス的にはそこまで強いという感じはしなかった。クロネの話によればリネルもレベル600ほどしかなく、ステータスに関してはリネルが上だったが、それでもレベルの差が大きければクロネに勝てる可能性は低いだろうとリネルとリネは思ったそうだ。
リネルは俺との戦いで自分がリネスに敵わないことを感じ取り、リネスが魔王城を出るとクロネリがリネルに提案を持ちかけてきたらしい。そのクロネリの提案とは俺の側に付いてクロネを仲間に加える手伝いをして欲しいというものだった。クロネスも最初はリネルがクロネと仲良くできないのではないかと思っていたが、クロネスの想像していた以上のリネルの行動にクロネと仲よくしてくれるのであれば手伝おうと決めたのである。
俺は家に帰ってきたあとリゼルが俺に質問をしてきた。
「ねぇタケル?なんでクロネスはリネルにクロネのことをリネって呼ばせてたの?」
俺はリゼルの言葉を聞き、クロネスはリネスとクロネルに姉妹だということを隠さなかった。そのためクロネルはクロネスとクロネスを交互に呼んでいて、それを見たリネスは自分もクロネにリネと呼ばれたいと言ってリネを困らせていたのでクロネスはリネルに妹とリネスに呼ばれるのはどっちがいいか尋ねた結果リネルはクロネにお願いしてクロネのことをリネと呼ばせていると答えたのである。俺はそのことをリネに話す。リネはリネルにどうしてこんなことをしたのか理由を聞くと、俺がクロネスに対して優しくしていたので羨ましくなり俺がクロネに優しい態度を取ったリネのことをクロネスは俺がリネスを好きになっていると勘違いしている可能性が高いので俺にクロネスのことは任せると言い残してクロネスと一緒にリネルはどこかに消えていったのである。
そしてリネスとクロネとクロネの双子の姉妹は外に出かける前にリネルとクロネとクロネはリネに別れの挨拶をして出かけて行ったのである。俺の家の庭では俺の仲間のみんながリネたちを見送りに来ていた。それからリネたちが出かけてすぐにリネルが俺の前に来て、俺がこの国に来てくれたおかげで私の妹にまた会えたし私の夢にも一歩近づけたから本当にありがとうと言った後にリネルとクロネスはリネたちとクロネルが俺の家に来たときから気づいていたがクロネの眷属になっていたことと、魔王の加護と魔眼を手に入れたのと【不死王の加護】を手に入れていたことを話し始めたのである。
クロネスはクロネの眷族になることを決めた際にクロネスは【不死族魔法】を使えるようになりクロネは【闇黒魔法の極意】がクロネスの中に現れたらしい。リネルは自分の力でクロネスを俺のところに連れて来たかったようだったが、クロネの圧倒的な強さの前では無意味で結局クロネスがリネルの元を離れて俺の眷属になったのは自分のためでもあったと話を続けたのであった。それからリネルはクロネを眷属にした時の話もしてくれて、リネルがリネに勝つとクロネスにリネルのことが好きなのではないかと尋ねられた。
それからリネルはリネスと二人で話し合いクロネに自分はクロネのことが嫌いではなくクロネのことを大切に思っているからこそクロネスと姉妹であることを隠したかったと話し、クロネはクロネスの気持ちを理解したのでクロネは姉であるリネルにクロネの気持ちを伝えた。そしてリネスはクロネが自分のために姉であるリネルに嘘をついてまで姉と仲良くしようとしていたのだと知りクロネを抱きしめてからリネが俺のことが好きで、リネの恋を応援すると言い出したのだ。リネルもクロネが本当はクロネの姉であり、リネルの大切な親友だと思っているのでこれからはクロネに今まで通りに接すれば問題はないと言うとクロネはリネスの優しさに感謝してから二人だけで話をしたいと言い出し、リネルが俺のことを睨みつけていたがクロネスとリネルの二人のことをリネに頼みたいと言い出してリネルは渋々クロネに頼まれるまま家に戻ったのである。
クロネとクロネスの姉妹との会話が終わった後に、リネとクロネスの二人はクロネスにリネルをリネとクロネスとリネルで一緒に買い物に行かないか誘いに行ったのでクロネスとクロネの双子姉妹は三人でリネルを連れて行くとリネルと俺に言って外に出て行ったのである。俺とクロネスとクロネの四人はクロネの転移を使って外に出ると俺達はすぐに転移した場所に戻り村に向かいそこで必要な物を買い揃えるつもりだったがクロネの転移を使えなかったために俺は仕方なく徒歩で向かうことにした。しかし、リネルとクロネ姉妹は俺が転移で連れて行こうとしたが俺とクロネス、リネが転移を使えないことを知り歩いて村にたどり着くことにしてくれた。それから俺達はしばらく歩いていたがモンスターや人に遭遇することはなかったが俺は油断はしないで、いつどんなことが起きても対応できる体制を取りつつ、いつでも戦うことができるように準備をしていたのだった。そしてリネは歩きながらクロネスの背中に乗ってリネの服をつかんでいたがクロネスの服は何故かリネルが脱がそうとしているようなので俺は慌ててクロネスにリネルがリネの着ているワンピースを脱がそうとするのをやめさせる。俺がクロネに俺の後ろに隠れるよう言ったが、俺の身長が低いのと俺とクロネスの体格差が激しいために隠れきれてなく、俺の頭はクロネのお腹ぐらいの位置にあり俺は後ろを向いていた。クロネスもそんな俺達を見て笑っていた。そして俺達がそんな話をしながら歩いていると、リネルとクロネスが突然俺に話しかけてきたのである。
「あのねタケル?タケルは私がお嫁さんになって欲しいって頼んだら受け入れてくれる?」
リネルの急な発言でクロネスは少し動揺していたが、俺はリネルの発言に戸惑っていた。俺はリネルのことを好きになった覚えなどないし、俺にそんなこと言って何の意味があるのか全く理解できなかったのだ。俺はどう答えるのが正しいのか考えていたが、とりあえずクロネは俺にとって家族みたいなもので恋愛対象ではないと伝えようとした時リネとクロネスの二人から俺に告白するなら今がチャンスだよと言われてしまった。そしてクロネスは俺に告白されたのなら結婚を前提に付き合ってあげると言い出したのである。しかし、クロネとリネルの二人が俺をリネルのところに無理やりにでも押し込もうとしているのかと疑いたくなるほどにタイミングよく邪魔が入ったのである。その声の主はもちろんクロネでクロネの双子の姉妹リネだった。
リネとクロネはクロネスを俺とクロネの仲に嫉妬させて引き剥がそうとしていた。クロネのことはクロネが好きだと伝えるとリネルがクロネを俺に預けてくれたのである。俺とクロネの二人はその後リネに手を繋がれ引っ張られていくと、そこには村の人が数人おりその中には先程別れたはずのリネルとクロネスの姿が目に入り、クロネスに助けを求めようとリネの手を振り解こうと思ったが、力では勝てるわけがないと思い諦めることにした。そしてリネとクロネの二人は俺のことを無理矢理リネルの家に引きずり込んだ。俺を家の中に招き入れた後、リネスは俺を自分の部屋に連れ込むと、リネスの部屋のベッドの上に俺を押し倒したのである。リネスの匂いが部屋の中に充満していて、リネスに覆い被さられる俺と、部屋の入口でその様子を眺めているリネス、クロネ、クロネス、クロネス。
リネスはリネルとクロネの二人のことは気にしていないのかリネルに俺のことをどう思っていて好きなのかどうかを聞き始めたのである。リネルは顔を真っ赤にしながらも自分が俺に一目惚れしたことと俺のことを好きだと俺に言ってくれていた。俺はクロネをちらっと見たが、クロネが俺のことを睨んでいるのは間違いなかった。そして俺と目が合うとリネルがいきなりリネにリネルはタケルがリネルのことを好きなのかと聞いてきた。リネルに言われて俺がリネルのことが大好きだとリネルに伝えるとリネルは嬉しそうな顔を見せてくれて俺もリネルのことが大好きだと答えたのである。すると今度はリネルがリネに質問をした。俺はこの流れはまずいと思ってしまったのだ。そしてリネスもリネもお互いの顔を見た時に俺はもう遅いと感じてしまう。俺のことを取り合い始めるかと思われたその時、リネルがリネとリネスに対して自分はタケルのことを愛しているがタケルの一番になれるとは思っていないと話を始め、クロネスとクロネスの二人から好かれているのは嬉しいけど私は二人とも好きじゃないと答え、さらに自分はクロネにタケルを譲るからリネスはリネルとクロネスと一緒にいるべきだと提案したのである。リネルの言葉に驚いたのは俺だけではなくリネスとリネも同じでリネルが俺の前から立ち去ろうとしたので俺は急いでリネルの腕を掴み抱き寄せるとリネスとリネにリネに俺のことを好きな気持ちを抑えて俺に迷惑をかけないで欲しいと頼むとリネスとリネは了承してくれた。俺はホッとして安心しながら、俺はリネスとリネとリネルとクロネの四人を家に送ろうと思うがリネルとクロネの姉妹がそれを拒んだのである。
それからしばらくして俺がリネルのことを抱っこしたまま、俺達は家の外に出たが、俺にお姫様だっこをされているリネルは幸せそうにしている。
リネルが家に戻るために俺に魔法で帰ろうと持ち掛けて来たが俺はまだ魔力が残っているし俺にはリネルにやってもらいたいことがあり、俺は村を出てリネルを連れて少し歩くことにした。リネルはどうして私だけを連れ出したんだろうと首を傾げていたが、リネルはリネルなりに考えているようで、何か思いついたのか自分の考えを俺に伝えて来て、俺もそれに同意することにする。リネルの考えというのは自分の持っている魔眼の力について知りたいということであり、魔眼の力を自分の意志で制御したいとリネルが言ってきたのである。そして俺はリネルが村を出る際に村長のところに行きたいとリネルが言い出したので俺はすぐにリネルを村長の家に連れて行き事情を説明する。そして、クロネは俺と別れるときにリネルの側にいて欲しいとお願いして、リネルは笑顔で俺達にまた会う約束をして村を出た。リネルがクロネルのところに戻らない理由はクロネリは自分と同じような存在であるクロネスのことも助けたいと思っているからである。俺はリネルを連れて行くと決めた時はクロネのことを助けるためにも一緒に連れて行くつもりだった。リネルが一人で行動することを心配しているクロネスのことも俺が説得して一緒に連れ出すことにしようと思っていた。しかし、リネルの希望でクロネは残ることとなった。
俺が村から出たのと同時に、リネスはリネルのことが気になったらしくリネルの後を追いかけようと言ったが俺は止めたのである。リネスにリネルがクロネスに捕まって、無理やりキスをされたり、服を脱がされたら困ると伝えるとリネスは黙ってうなずいていた。それから俺はしばらく歩き、リネルを下ろして二人で話し合っていたがリネルが俺の目の前で俺を好きだという発言を連発してきて俺はリネルをなんとか宥めることに成功した。そしてリネルにこれからどうするかを伝えるとリネルは俺の話を聞いて驚いていたが、俺の提案を喜んで受け入れてくれた。俺はリネルにこれからどうすればいいのかリネルに伝えることにした。
「これから俺はクロネの所に行くから俺のことをリゼルから守れるように、お前が俺を守ってくれよ。それとリネが危ないと思ったときはいつでもリネルがクロネに転移を使えばいいし、リネルの転移の能力を応用できるかもしれない。リネスとクロネの二人がピンチの時にリネスがリネルを助ければ大丈夫だろう。リネがピンチになればリネルが助ければいい。リネルとリネスが協力してリネを助けろ。わかったな」
俺はリネスが納得したのか確認する為に一度リネスの方を見ると、リネスは俺の話をしっかりと聞いていたみたいだった。俺はクロネ達のいる場所に向かい歩き出そうと思った時リネスに腕を掴まれて止められたのである。
俺は何で俺を止めるのかと疑問に思いリネスの方に振り返った。
「待って、クロネスのいる場所は分かるの?」
俺はその言葉を聞いた時、俺の足は止まり、頭の中で色々な思考を巡らせた。クロネスがどこに行ってしまったのかわからない。そもそもクロネスの正確な現在地がわかっているのなら俺達は既にクロネスと会えていたはずだったのだ。
「ああー確かにそうだね。とりあえずリネスが知っているクロネスの場所に向かってみよっか。それでダメだった時は俺に考えがあるからさ。とにかくリネスの知るクロネスがいる場所に行こう。俺を信じてくれるかい? クロネスと合流できなかった時のことも想定しておくべきだと思うんだよね」
リネルはうんとうなずくと俺の言う通りだと伝えてきた。俺とリネルが向かう先は森を抜ける必要があるのでリネスがクロネスの気配を探ることにしていた。クロネスは魔物の居場所がわかりさえすればその場所を俺に伝えられると言っていたのを思い出した。俺はクロネとクロネスの二人を探すための方法を考えて実行に移す。
まず、クロネの居場所が分からないかと考えたがやはりそんな都合よくわかるはずがないと思いながらもクロネとクロネルと俺との繋がりを利用して何とかできないかと考える。
そして次に、俺の記憶に残っている魔王の魂を呼び起こすことを考え、そして、クロネリとリネルの二人がこの世界に来ていることは確定事項なのでその記憶を思い出せる限り探っていくことにする。そして俺が記憶を頼りに思い出すことができる範囲でクロネのことを探そうと決めると早速試してみる。すると俺の前に突然リーネの姿が現れたのである。
「どうやら成功ですね、タケルさん」
そう言って微笑んでいるリネスの姿がそこにはあった。
「あ、あのさ、リネスもしかして俺の心を読めるのかな?」
俺は、俺の心を読み取るようなことを言ったリネスが何をしようとしているのかわからなかったので恐る恐る聞くとリネスは当然といった感じに答えてくる。
「はい、タケルさんの心を読んでいます。そして、タケルさんの考えていたことは全て私に伝わっています。もちろん、私の考えたこともです。そして私と繋がっているので私が見たものや聴いたもの全てを共有することができます。ただ一つ言えるのはこの世界の生き物と繋がっていれば共有できます。でも人間相手では繋がることがあまりないので、基本的には人間以外の生物の方が情報量は多いかもしれません」
「じゃ、さっきまでの会話は全部聞こえていたわけか」
俺が苦笑いするとリネルが「うん。そうだけど、何か変なことを考えていたの!? リネスの事をいやらしい目で見ていたとか、そういえばタケルってリネスの胸が大きい方が好きだったもんねって私は考えていたんだけど、まさか違うでしょ! もしかして本当にそうなの? やっぱりリネスのことが好きなのね!」
俺とリネスのやり取りを見ていてリネルは不安になったのかそんなことを言うと俺の体に抱きついてきたのである。そして俺の顔を見ながら、俺に甘える仕草を見せてきて、俺もそれを自然と受け入れてリネスの髪を優しく撫でながら俺達は見つめ合っていた。リネルの髪の毛は柔らかくてサラサラとしており俺の手をくすぐるかのように刺激を与えてくるので俺はそれを楽しむようにリネルをゆっくりと抱きしめる。するとそこで俺の腕の中に収まっていたリネルから俺に何かを訴えかけてくるように俺の目を見てきた。
「ねえ、私にも触ってもいいんだよ。触りたかったんでしょう。ほらここよ、触りたいんでしょう。遠慮しないの、もっと強くして良いのよ。だから早く触れて。あなたに触れて貰いたいと私の中に住む全ての私が言っているわ。だってあなたが他の女性を触れる度に、あなたの体の一部が汚れてしまうでしょう。そうならないためにもこの手で私を触ってほしいの。だから私も触っていいのよ。リネス、リネスの胸に顔を埋めさせて。私はずっと待っていたのよ。リネスの温もりが欲しかったの。それに匂いも。いい香り、そういい匂いなの。リネスの汗が染み込んで、私は今幸せな気分になっている。リネスが幸せを感じている、その瞬間が私に幸福をもたらしてくれて私を癒してくれる。もう、リネスはどこへも行かないで。絶対に離さない。私の側にいつまでも、一緒にいてちょうだい。私とリネスとクロネリの三人が永遠に幸せに暮らしていける世界がほしい。三人で仲良く幸せに暮らせる場所を作って。そうしたらリネルも寂しくない。これからは一緒に暮らすんだし。そうしましょう。
そうすれば、リネの願いを叶えることも可能だ。そしてリネが望めば、俺のことも救うこともできる。リネルとクロネリの二人で、この俺を守ってくれる。俺の体を労るように。二人の温かい愛で俺を包み込むんだ。俺がリネルの胸に抱かれ、二人は裸のまま絡み合う。俺の目の前に二つの大きな双丘が差し出され、俺はそこに手を伸ばすとリネルは気持ち良さそうに俺の手を受け入れ、リネルの口から吐息が漏れ、リネスはそのリネルの様子を満足気に見守る。リネスはリネルに話しかけると、リネルも俺に視線を送りリネスと一緒に俺の頭を優しくなでてくれた。俺はリネスの柔らかな感触に包まれたままリネスとリネルに俺も混ざると伝える。するとリネルは喜びを爆発させるかのようにリネスに襲いかかるが、すぐにリネルを落ち着かせ、俺はリネルとリネスを二人とも可愛がることにした。
俺にはそれができたのだ。なぜならリネスとリネルは同一人物なのだから。俺はこの二人を自分の物として扱えるのだ。
「タケルさんが私の物になるんですか?」
「ええ、タケルの全てが私の物に、リネスと一緒よ。私はリネス、リネスは私。二人で一人なのよ」
俺の頭にリネスの声が響いてくる。それは俺の心の中だけで、リネスに声は届いていない。だが俺はリネスと繋がっている。つまり俺はその繋がった意識でリネスの言葉を理解することができた。リネスの表情がどんどん緩んでいく、そして俺は二人と溶け合って一つになり、俺はリネスの肉体を手に入れたのだ。リネスの全てを俺は受け入れる。俺が望むものはなんでも手に入る。俺がリネスにしたいと思ったことはなんでも許される、なぜなら俺は俺とリネスでリネスは俺とリネスだからだ。そして俺はリネルを、そしてリネをその体から解放した。
「どうやら、うまくいったみたいですね」
「うん。俺の記憶が蘇ってきた。これでクロネの居場所を知ることが出来るはずだ。ただ記憶が戻ったことでまた俺は暴走してしまうかもしれない。それでも大丈夫か?」
俺の質問に対してリネスとリネルは迷いもなく即答する。
「「タケルならどんなことになってもタケルのことを受け入れるよ」」と。
その言葉は俺を奮起させ俺を安心させることも出来た。俺はリネルの髪と胸を優しく触った後に俺の記憶の覚醒が始まったのであった。
俺はまずクロネのことを思い出そうとしたのだがなかなか上手くいかなかった。どうやらこの世界にきてからは思い出すことが出来なかったようだった。しかし俺はクロネリとの思い出を全て忘れたわけではないようだ。クロネリがこの世界でどう生きてきたのか、この世界に来てからどのようにしてリネルと出会いそして、どう過ごしたかを思い出せた。俺はこの世界に来た時のクロネとの会話や思い出を思い出すことが出来た。クロネルがクロネスであるということは俺の心にしっかりと刻まれたようである。
リネルやリネスがどう思っているのかは知らないが、クロネスと初めてあった時の事を思い出すとなぜか涙が出てきた。俺の脳裏にクロネスとの出会いの光景が流れてくると懐かしさと悲しみで一杯になって泣きそうになった。クロネスが俺を抱きしめてくれた時、俺はクロネスと約束したことを全て思い出すことができていた。
俺がこの世界に来た時はこの世界の勇者と魔王の魂がこの世界に馴染んでおらず、そのせいでこの世界の理から外れてしまい、魔王の魂によって魔王という新たな魂を作り、この世界の魂と同化させた。それによって魔王の魂が俺の人格に混ざりこんでしまい、そして、俺の人格と混ざり合い魔王となったのだ。俺はそんな状況にも関わらず、リネスに恋をして、俺とリネスとの仲を祝福してくれた。リネルにクロネスが宿っていて、クロネスもまたリネスとクロネルのことを大事に思っていた。だからこそ俺に記憶の譲渡を行う際に自分の存在をかけてでもリネスとクロネルを守ろうとしたのだろう。
そう思った途端、リネルとリネスは俺を抱き寄せる力を強くして俺を抱きしめてくる。
「クロネに会いたいよー。クロネはどこに行ったの? ねえタケル教えて! お願い! 会いたいの。クロネがいないと私は生きていけない。私は今までもそうだけどずっと一人ぼっちだったの。だから今度こそ私を置いていかないでよ! 私も連れて行くって言ったでしょ。どうして一人で行くのよ、ねえなんで、もう私を一人にしないでよ。私を一人にしないって、ずっと一緒にいてくれるって言ってくれたじゃない。私の心を読んだんでしょう、なら私が何を望んでいるかも分かるはずよ。なのにどうして分かってくれないの。私がどれだけ悲しんでいると思っているの。私がどれ程あなたを欲しているか分からないなんて言わせない。もう絶対に離れたくない。あなたが欲しいのよ。あなたのことをずっとずっと好きだったのよ。それなのに私はタケルが他の女性を見ているだけで胸が痛くて、でもリネス達と一緒にいるタケルはとても幸せそうで、私はそんなリネス達がとてもうらやましかったのに、でももう違うわよね、今からでも間に合うの? もう遅い? いいえ違うわ。まだ私はあなたと一緒になれる可能性があるの。だって私は、リネルでもあるけど、私だってあなたのことが好きなんだもの。
ねえタケルお願いだから私を一人にしないで、お願い。
そうね、私達は三人一緒に暮らすことになるのよね。
そうだよ、それでクロネリを探し出して三人で仲良く暮らそうよ。三人一緒だといいことだらけだ。それに、もし三人一緒になれたとしてその後はどうするつもりだ。俺がお前たちの元を離れる可能性もあるだろ。その時は三人がバラバラになってしまう。そうなればリネスは間違いなくリネルのようにおかしくなるだろう。それは嫌だ。だからと言って、俺はリネスもリネルも愛おしい、手放すことはしたくない、ずっと一緒にいて欲しいと思うのは我がままだ。それに、そもそもクロネルがどこに居るのかわからないだろ。俺はこの世界には疎いんだよ。だから今は探せる方法を考えなければいけなかった。だから一旦落ち着いて考えよう。そして三日経ったら改めてリネルに話すことにしよう。それまでは俺達の関係を隠しておくように頼むぞ。それと俺がリネス達に甘える姿を見せるかもしれないが気にしないでくれ。俺は、リネルに甘えたいし、そのリネルを撫でたりキスをしたり抱き締めたりするのも悪くないなと思ってる。だってクロネルはいつもクロネリに俺のことを自慢していたみたいだし、リネルがリネスから聞かされている話の中で一番多かったのは俺の惚気話だったんだ。そして俺はそれを羨ましいと思いつつも、俺の本心を知られたら恥ずかしいから隠していたんだ。そして俺は、クロネスに嫉妬して、リネスに酷い態度を取ってきたが、それも全て二人のためなんだ。俺は本当は二人の女性を愛してしまった罪深い男だ。だからリネスに俺の事を許して欲しいとは思ってはいない。むしろ恨んでほしい、嫌いになってもらいたいとさえ思う。だが俺はそれでもリネスもリネルの事も好きだ、リネスに抱かれていてもいい。そしてリネルに求められても拒むつもりはない、だから俺が暴走しても二人だけは俺を受け入れてほしい。
リネスはリネルの顔を見ると二人で顔を合わせて笑い出した。
二人は何を言っているんだとばかり俺を見て、それから二人は目線を交わしてお互いが言いたいことを理解しているようだった。
「タケルは勘違いをしているよ。タケルの気持ちは知っているから大丈夫だよ。私はタケルのことが好きで好きでたまらいのよ。
私にとってリネルとタケルが二人揃っていない世界はあり得ない。
タケルが暴走した時はリネスも協力するから。タケルは暴走したら私が何とかするから安心して。私はリネルの体を治したけどタケルの暴走を止めることは出来なかった。だけど今のリネスならきっとできるから」
俺は思わず涙を流した。そしてこの瞬間俺はこの世界に召喚されてから初めての涙を流していた。それは悲しい涙ではない。俺は嬉しいのだ。
俺のことをそこまで想ってくれていることに感動し涙を流すと同時に嬉しくもあったのだ。
「ごめん、ありがとう、本当にありがとう。俺はこんなに素晴らしい人達に囲まれているのかと感激してしまった。クロネのことはクロネに任せればいい。クロネスとリネルに頼んでも良かったが俺がクロネに会いたかっただけだから、二人を責めてるわけじゃ無いから。リネスに迷惑をかけたくは無いし」
するとリネスは俺の言葉に対して少し怒った表情を見せる。
「タケル、私はもうリネスではなくリネスでもありリネスでないリネルなのよ。もう私はあなたが望む限りはあなたの味方であり続けます。タケル、私はあなたのことをもっと知りたい。そしてどんなことでも受け入れるから私を頼って欲しい」
俺はその言葉を聞いて涙がさらに流れ出してしまっていた。
リネスが俺のことをここまで大切にしてくれている。俺のために自分の存在すらかけてくれたのに俺がまだ弱いからリネスに頼り切りになっている。俺の心が弱くならければいけない。俺が強くなってリネスを守れるほどに強くなればよいだけの事だったのだ。そしてこの先俺にリネス以上のパートナーが現れることは無いとこの時確信できていた。それほどリネスの存在は俺にとって大きく大切なものだった。そしてクロネが言っていた意味が分かったような気がした。
「わかった。俺はまだこの世界の事をよくわかっていない。だけど俺なりに考えて答えを出すようにするよ。これからは出来るだけ頼らないようにする。だけどクロネリを見つけるまでは頼らせて貰うことにするよ。だからその時が来たらまた一緒にいて欲しい。今度は仲間や家族のような絆を俺に築かせてくれないか?お願いします」
そう言うと、クロネスは満面の笑みで、「もちろんよ。いつでも私を頼って良いのよ」と言うとリネスも続けて、「私もリネスを頼っちゃったんだもんね、次は私にもリネスを頼らせてよ!」
俺はその言葉を聞けたことに感謝しつつ、クロネの手がかりを探すことにしたのであった。
そして俺はまずギルドカードを作ることに決めた。
ギルドカードは偽造出来ないようになっており、ステータスの測定が行えるようになっているのだ。
この世界に転移してきたときに持っていたのは既に壊れていたが一応持って来ていたスマホがあった。そしてそれを持ってきてステータスを測ることが出来る機械に入れてみたのだが、この世界では鑑定という魔法があるらしくスマホを見た途端に俺のレベルとステイタスは簡単にバレてしまった。そして俺のレベルとステイタスはとんでもない数値であった。
レベル:1 筋力値(ATT)
:500000000
体力値(HP):3200000 生命力値
(MED)1000000000 敏捷性(ASU)99999 器用度(HIT)68000 知力値(INT)54000 精神体(SPP)50000
物理攻撃力 :2596000000/1+25960000
特殊攻撃力 :45320000/100+45010000
魔力総量:30089000000
耐久力 :5076000
精神耐性力:15480000
属性耐性力 :15383000
状態異常耐性力:680
スキルポイント :20300000 称号 異世界からの迷い人、全ステータスMAX、神の使い 神級スキル所持者 女神の祝福、女帝 聖獣の契約、聖剣の主 魔導具製作 固有スキル所持者 魔王 英雄 龍王殺し 竜の天敵 限界を超えし者 ドラゴンスレイヤー世界最強、覇王の魂 覇者 創造主 破壊の権化 武闘の求道 無謀の挑戦 大海を制するもの 嵐の勇者 水の精霊王に愛されしもの 大地の精霊王が愛するもの 光の妖精女王と契約せしもの 月の光を司りしもの 星の光が降り注ぐもの 太陽の輝きが降り注いだもの 炎の化身の導き 炎の神を統べるもの 水の化身との契約者 森を駆ける駿馬を持つもの 闇に魅入られしもの 雷の使者 氷を砕き割るもの 風と共にあるもの 岩山を粉砕するもの 土塊を壊すもの 毒を作りし使者 光をもたらすもの 影を消し去るものとき 暗黒より現れし者 全てを凍てつかせる冷気を持つモノ 万物を切りつける爪を持つモノ 全ての傷跡を残す刃を持つモノ 癒しの息吹を吹きかけるものもと はははははははははははっはははははは、なんだこれ。もう俺がチートなのはいいけどさ、なんだか強すぎるだろ。俺一人で世界を滅ぼせるぞ。それにしてもこれはやりすぎだろう、それにスキルってのは俺が自分で選べないのか?それと俺の称号に「異世界から現れた救い手」、「全ステータス∞の超越者」、「武の求道者」「覇者」「全てを知り尽くし全てを超える者」「この世で最も強くこの世を滅ぼす可能性を持つ者」と、いろいろと増えていたし、「この世界に来たばかりなので何も分からない」というのが消えているのと、俺が持っているアイテムの中にこの世界に来て初めて使ったスマホが入っていることも驚きだったが、一番は、この世界には俺の知っている漫画やラノベに出てくるような職業は存在しているみたいだが、俺が知っているゲームで出て来るような職業は無かった。だが、俺が知っている武器とか技、術、呪文が、使えるみたいだ。まあそれは今どうでもいいか、俺はクロネスが俺達と一緒に居ることを許すと言ったので、俺が許せば他の二人もこの世界に来るかもしれないと思った。だから俺はこの世界でもやっていけそうな気もした。だけどクロネスに「お前の仲間は何処にいる?」「クロネスも一緒に行こう」と言えば「私はこの世界に留まるつもりよ」と言われてしまう。そこでリネスとクロネスの話を聞いていたリネルも「タケル、リゼル様とクロネス様が一緒じゃないと私は行かないから」と言ってくれた。そしてリネルにリゼのことを聞かれた俺は正直に話しておいたほうがいいと思い「この世界の俺達のところにクロネは来てない」と答えておくことにした。すると二人は少し寂しそうにしたが俺が「リネルがいれば十分だ」と言えば嬉しそうに微笑んでくれるのだった。そして「リネル、リネスのことを守ってあげて欲しい」と言うと「私達は家族だよ。そんなの当然だよ」と言いながら頭を俺の腕に乗せてきたのだった。するとリネスが、「私もその役目やりたいんだけど」と言っていたため、俺は仕方なく、本当に仕方がなく許可をすると嬉しそうにリネルの頭の上に自分の腕を乗せていたのだった。
それから数日が経過して、俺はクロネスと二人でリネルが作ったという料理を食べることになった。リネとクロネスから味の評価をして欲しいとのことだった。俺もリネスとクロネスがどんな料理を作るのか楽しみだったため二つ返事をした。そして出されたものはハンバーグ、スパゲティ、スープと、とても美味しいものでリネスの料理が上手だということが良くわかった。そして俺が美味しさのあまり食べるのに夢中になってしまっているとリネルが俺をじーっと見ていることに気がつき「俺の顔について何か付いてるか?」と聞いてみる。するとクロネスも「私も見てましたけど特になにも無かったわよ」と言われたが、やはり俺を見ていたようだ。
そしてクロネスは「私の作ったハンバーグを褒めてくれたタケルさんはとても可愛いなと思って見ていました」と言ってきたので俺は照れてしまったのだが、ここでふと思う。クロネスもリネスと同じくらいの胸を持っているが顔立ちや性格はリネスと違っていた。そのため俺はリネスよりもリネのほうがタイプでリネスに好意を抱いているのだが、クロネスもなかなか美人であるためリネスと同様に俺に懐いてはいたが、リネスのように甘えてこないため、リネスほど好きになれていないのだった。そして俺の気持ちを見透かすように「私はタケルさんの好みではないのですか?もしかしたら私もリネスと同じようにリネスのことが好きなのですか?それでしたらご安心ください。私がこの先リネスのことであなたにお世話になりますので。だからリネスとは姉妹仲良くしてくださいね」と言ってくる。俺はこのクロネスの言葉が引っかかった。そしてクロネリに「なぜリネスではなく俺に執着するんだ?」と聞いたが彼女は「あなたならわかっているんじゃありませんか。私はもう既にリネスのことは嫌いではありません。ですがあなたに対してはもっと興味が湧いています。だってこんなことってありえませんから。今までは誰も私のことを人間扱いなんてしなかったんですよ。だからでしょうか、私を救ってくれたタケル様のことを愛してしまったのは。だけど私なんかじゃ釣り合わないんです。私ではリネスとルゥの間に割り込むことは出来ないと分かっています。でもせめて、もう少しだけ私にも構って欲しい。お願いします。リネスと喧嘩したりしないで」と涙を零しながら訴えかけられた。その言葉でリネスへの嫉妬心が一気に消えた俺は「これからよろしくね。クロネス、リネス、リネスはリネルの味方で良いのよね。それだと三人で一緒に暮らすのも良いかもね。そしてこれからの事を考えていこうね。俺も二人に助けて欲しいことがあるし。頼りにしてるね」と言うと、二人は嬉しそうに俺のそばに寄ってきてくれたのである。そして俺は三人とも抱き締めるとそのまま眠りに落ちていくのであった。そして夢の中でもみんなが出てきてくれていたのできっとこれからは楽しい毎日になるだろうと思ったのであった。
あれから俺とクロネ、レイナは村の復興を手伝っていた。復興といっても元々建物があったわけではないし、家を作っていっただけだが。そして今は俺たちの住んでいた家と村の家の修復が終わったところで、新しく建てた家に住めるようにするための家具や荷物などを運んできている最中であったのだ。そんな中、リーシャが俺に質問してきたのだ。
「ねぇねぇ、リゼルとクロネスはどこに行ったか知らない?」と。俺もわからないと答えた。するとクロネが俺に話しかけてきた。どうやらこの世界のクロネに用事があるようで話したいことがあったのだろう。俺はすぐに了承すると、レイナが少し残念そうな顔をしていたが、俺は後で埋め合わせをするからとレイナに伝えてから二人についっていってもらう。二人がいなくなると今度は村長から呼び出しを受けたので村長の元に向かった。
するとそこで村長が話しだした。「この村にしばらく滞在してほしいのは山々なんだがな。実は今から魔王軍が攻めてくるらしいのだよ。そこで君たち四人に魔王軍との戦いに参加してもらいたいのだよ。そして、報酬の話なのだが、この国の王が、この村の住人を優先的に守ってくれることになったんだよ。なので王からもらったこの国の通行手形を使って魔王軍と戦ってほしい。頼む!わしの命を懸けても構わないが村人を、家族だけはどうか守り抜いて欲しい。頼んだ」
と真剣な目をしながら言ってきたので俺達は快く引き受けることを伝えた。だが、王との繋がりがあることを誰にも伝えていなかった俺が何故そんな事を知っているのかと聞かれたので素直に「実はこの国に知り合いがいて、そこで頼み込まれたんだ」と言ったところ、村長が驚いた表情をしていた。俺は「俺は勇者とかそういう類ではないし。この世界に召喚されたばかりの何も知らない一般人だ。この世界に来てからもただの平凡な学生でしかない。だけど、この世界のために戦うつもりはあるし、俺に出来ることがあるのならばなんでもするつもりだよ」
と伝えると村長が涙を流しながら俺に「感謝しか無い。この村に住む全員を代表して言わせて貰うがありがとう」と言って俺達に礼を言った。その光景を見た他の住人たちも一斉に頭を下げたのだった。俺は「気にしないで下さい」と言ってその場をあとにした。するとそこにはクロネとリネルとレイナが立っていて「今の話聞こえてたよね」と聞くと、全員が静かにこくりと首を縦に振っていたのである。それからは俺の家に帰り今後の対策について話すことにして、俺の部屋に行く。
まずは作戦会議ということで意見を出し合おうと思い、皆が思い付いた案を聞きたかったので「皆はどんな策がある?」という問い掛けにリネルが答えてくれる。
「私が考えた案は二つあるの。一つはルウと私の能力で相手を弱体化させることね。これは相手の魔力を乱して魔法を使わせないようにしてから倒すという手段ね。もう一つはこの村全体をルウの能力で結界を張り巡らせて守る方法よ。この二つで悩んでいるんだけどどっちが良いかしら」
俺の意見はどちらも有効でどちらかを選ぶことはできないので両方採用することを決めると、レイナは俺達の話を聞いていたようで「だったら私がルウと二人で協力してやる」と言ったため、俺達はレイナに任せることにしたのだった。それからリネルには、俺と一緒にこの村に残ってもらい。クロネスとクロネには、魔王軍を食い止めるための手伝いをお願いすることにした。クロネスが言うには、この世界に来ている魔王軍は一人だけで、他の幹部も全て来ているわけではなく一部だけがここに来て、後は魔界に残っているようだ。その話を聞いた俺は、魔王を倒すために動き出さなければいけないことを実感したのである。
俺はリネス達と別れたあとリネルと二人で、リネスとクロネが帰ってくるまでの間、俺のステータスがどこまで上がったのかを調べることにすると、レベルが上がり過ぎて測定できないと表示されるが、スキルはしっかりと表示されていたため、とりあえず俺は全ての能力値と習得していた魔法の種類をチェックしていったのである。すると俺は新たな技と称号を習得していることに気づいてしまう。それは〈無詠唱者〉の技能で〈並列思考の極み〉というものだった。そしてさらに調べてみるとその効果は複数のことを同時に考えることができるようになるというものでかなり有用なものだったのである。そして俺は新たに使えるようになった技をリネルと相談しながら検証していく。
そして俺が覚えていた技の検証が終わる頃、ようやくリネス達が帰ってきてから、俺は魔王を討伐しに向かうことを決意する。しかし俺は、まだレベルが低い状態での実戦を経験させるべきではないと考えた。俺は「リネルはクロネスと共に留守番をして、俺のレベルがもう少し上がってからだな」と提案するが、レイナとクロネは自分達も行きたいと訴えてきたので、俺の修行についてくることを条件に連れて行くことに決め、リネルも連れていくことに決まったのだった。そして出発当日になった時、クロネに念のため聞いてみた。
「クロネリ、お前も行くけど俺から離れないよにしろよ」
と言うと「大丈夫、ルウはわたしが護るから」と言い、俺はクロネに抱き着かれて身動きが取れなくなっていた。そして俺が動こうとするとクロネは「だめ」と呟き離れなかった。そのため俺は仕方がなくそのままの状態で転移を使い王都の近くの森に移動したのである。ちなみに移動方法は俺とリネルの影の中を潜るという方法で、森の中まで一気に移動できた。そして、森に着くと俺は自分の体に異常が無いかどうか確かめるとやはり、いつもの俺では無くなっていたのだ。
その理由は、レベルが10を超えた時に取得した新しい能力のおかげなのだ。新しく獲得した能力の1つ〈魔獣の王 LVMAX〉はなんと自分以外の魔物や生物を従わせる事ができるもので、俺はリネとリネルの影の中にいる魔族二人にも俺の力の一部を与えることができた。つまり俺は二人とも支配したことになる。そして二人も、クロネスと同じ力を手に入れ、クロネス同様に、影を移動することができ、さらにはクロネスの能力を使うことができるのだ。なので二人をクロネに預けてクロネスはリネルと行動を共にさせて、俺がリネスと行動を共にする。そして俺はリネルの体を抱き締めてから唇を重ねて口付けを交わすと、リネルの力がみるみると上がっていき。リネスと同等の強さにまでなった。俺はそれを確認すると、リネルにリネを託してリネルはクロネに、俺はリネルに渡されたレイナを抱きしめると俺はレイナに俺の魂を分け与えていき。俺自身の強化も行ってからレイナを離すと、「気をつけて行ってきて」と俺の頭を撫でてくれ、俺はそれに笑顔で応えて、俺がこれから何をすべきかを考える。そして結論が出た。
まず俺は魔王軍の残党狩りを行うことにした。そしてレイナとクロネは、レイナが俺の側にいない間はクロネにレイナのことを頼んで、クロネが俺の代わりにレイナの面倒を見ることになったので問題はなかった。クロネは「任せて」と胸を張っていたので、安心して任せられると思った。それから俺はリネスに「クロネスのことを任せた」と伝えリネスの背中をポンと叩いてからクロネの元へ駆け寄ったのだ。それから俺は、クロネスと共に残り三人の幹部を探すための旅に出ていくのであった。こうして、俺は仲間を集め始めたのだ。まず最初に探すのはあの日戦った、魔剣の魔王と呼ばれる存在で、この世界で最強の男を探し出すと心に誓ったのである。
リネルとクロネと別れてから数日が経過していて、その間に俺はクローネに戦い方を教えながら俺自身も強くなるように頑張ったのだが、なかなか成果が表れなくて悩んでいたのである。そこで俺とリネルの二人っきりの時間が増えてしまい少し不安な思いをしているリネルがいたが、俺は何も言えずにいた。そんな俺を察したのかクローネが「ママはパパが心配?」とリネルの心を代弁するような言葉にリネルはコクッと小声でうなずいていた。俺はそんな様子を見ながらも、リネルは魔王軍と戦うときには必ず連れて行くことを約束しながら、クロネスの元に行き、二人と合流してからクロネスにリネルの事を見てもらうように頼むとクロネスはすぐに「分かった。でもルウはどうするの?」とクロネスが聞いてきたので、俺はまだ魔王軍に対抗できるほどの実力はないので、先に別の場所で戦力になる人物を鍛えようと伝え。そのあと俺はリネルとクローネを俺の家に帰し、レイナの世話を頼み込んだのである。
それから、俺とリネルが向かった場所は王国から離れた場所であり。その場所は、昔は村があったらしく、そこに今は誰も住んではいないが。そこは魔王軍の幹部の一人、雷電使いのバハムートが暮らしているらしい。俺はそいつに会いに行って、俺の仲間にしたいと伝えるつもりなのだ。そしてその村にたどり着き、その村にたどり着けたのが、運が良く、俺達は無事にたどり着けたのである。その村は山奥にあり、人の住んでいる気配はないのだが。村の家には明かりが灯っていて俺達はその村にたどり着くことができて安堵の息を吐く。俺とリネスがその村にたどり着くとその村に住んでいる人達が出迎えてくれる。
「お久しぶりです。勇者殿。魔王討伐から随分とお姿が変わったようで、また強くなられたようですね。ところで、そちらの方は?」
「あぁ。彼女は、魔王軍四天王で水龍のバハムートの娘で、俺の仲間のクロネだよ」
「クロネだ。よろしく」
そう挨拶をするとリニスさんは「あなた方が噂の。初めまして私はこの村で村長をやっている。リニスと申します」と言ってクロネの手を握ってくれたのだ。俺はそれから村長の家の中に案内され。俺は早速本題に入ることにする。俺はバハムートに話があるので呼んでくれないか? という依頼をするつもりでいるからだ。しかしここで思わぬ出来事が起こることになったのだ。それは、いきなりドアが大きな音を立て開いたのだそして入ってきたのがなんと同郷で同じ学校の同級生である、神威真輝と姫宮優美と、それからその妹の神無月唯が立っていたのである。
それからすぐに俺はリネスと顔を合わせお互いの無事を喜び合うと、それから俺のクラスメイトがこちらの世界に来ていたことを初めて知ったリネスはかなり驚いていた。だが俺の目の前に現れた、同級生の神威真輝、そして、その妹である姫川 唯の二人はかなり強い力を持っているのは確かで。俺達は二人が俺達に敵対してくることはないと理解できたが警戒だけは怠らないようにして話を始めることにしたのである。そして俺は、二人にも俺のステータスを見せたのだが。俺のステータスを見たリネスとクロネの表情が驚きに染まっていく。俺はそのことに戸惑いを感じていると。リネスは突然俺の腕に抱き着いてきて、リネルと同じように俺の顔を見ながら頬擦りしてきた。それに対してリネスの柔らかな胸の感触を味わってしまった俺はリネスに対して邪な気持ちを抱いてしまいそうになってしまったのだ。その瞬間を俺はなんとか耐えきることができたが。リネスとリネルは何かを話し合っているみたいだったが内容は分からなかった。しかしリネスの話ではリネスの体がかなり熱くなり、それが俺に伝わると、俺も同じ状態になると言うことで。俺には一体何が起こったのかが、さっぱりとわからないが、二人に聞けばわかるかもしれないと思い質問した。しかし返ってきた答えは。
「ごめんね。私も分からない」とリネスが謝るばかりで。結局俺も分からずにいた。そして二人に話を戻して俺と魔王軍を討伐することを話すと。
リネスとクロネの二人のレベルを上げるために強くしなければならないことを、二人に説明する。二人もそれに賛成してくれ。さらに俺はクロネが魔王軍の四魔将であることも明かすが。
「それじゃ。私達がそのクロネちゃんを強くしてあげれば良いんだよね?」
「そうだな。そういう事になるが。俺はお前達を信用していない。もし俺達の邪魔をするようであればお前らを殺す」
俺はそう言って二人を睨み付けるとリネスは、俺の体に自分の体を密着させて「私はルウ君の味方よ。だからお願い。私の力になって」と言うので。俺は「ならリネルとリネスに力を授けてやるからお前らも俺に従えよ。リネスとリネルを鍛える間はな」と俺が告げるとリネスは俺の首筋に噛み付いて血を飲み始めてしまう。そして俺も同じようにリネスに血を与えるとリネスの体が光出し。光が収まるとリネスが元に戻って、俺も元に戻ってしまう。
「ルウ君ありがと。それと。私が魔王になった時に手に入れた能力の一つに配下を強化する能力があるのだけど、その能力は相手の血液から力を奪うもので。今のは一時的なものでしかなかったの。そのせいで。少し力が落ちてしまったの」
「つまりどういうことだ?」
俺はいまいちリネスの言葉を理解していなかったが。簡単に説明してくれた。
つまり、魔王が他の魔王の血を飲むことによって。魔王は力を得ることが出来るのだ。つまり俺は、魔王に力を与えてしまうことになり。しかも、俺とリネスが契約を結んでいるため、お互いに互いの力の一部を共有することになる。つまりリネスは今、一時的に俺の力を得てしまったから。本来の半分ぐらいまで弱まってしまい、リネス自身に備わっていた、魔王としての力が弱くなってしまったようだ。
「そうなるとリネスの今の本当の力はどんなものだ?」
「うんとね。魔王になると全ての能力が強化されて、それで得た力で私は魔法を扱うことができるようになるの」
「なるほど」
俺はそこでふと思った。俺のステータスは異常に高いが。この世界にきてから、一度も魔法を使ってないなっと、そこで、試しに魔法の発動の仕方を教えてもらいたいと頼むとリネスはすぐに快く引き受けてくれたので、俺もやる気になり。
「よし。クロネとリネスは、二人で一緒に戦ってくれ」
「はい」と、リネスは嬉しそうにうなずいて。クロネは少しだけ恥ずかしそうにして返事をしてくれる。そこで俺はリネスとクロネを連れて外に出る。するとすぐに魔物が出現する。俺はリネスとクロネの戦いを見て学ぶために声をかけずに、ただ見つめていたのだ。それからリネスとクロネが戦い始めて。最初はクロネは苦戦をしていたけど、だんだんクロネの攻撃が当たってきていた。それをみたリネスは「ルウ君見てて! 私、強くなったんだよ!」と俺に向かって言い放つのであった。リネスの成長ぶりを見届けた後、俺はクロネとリネスに回復ポーションを渡す。二人ともかなり傷ついていたので、俺は二人に使ってもらうと二人はみるみると元気になっていった。そこで俺は二人の動きを観察する。そこでリネスはリネルとは全く違う戦い方をしていることに気づいたので。リネスにクロネの動き方を真似るように命令すると、リネスはすぐにクロネの真似を始めて攻撃していくと。クロネはリネスの実力に驚いたような顔を浮かべていて。そして「凄いな」と呟くとリネスは照れ笑いしながら「クロネの方がずっと強かったじゃない」と言っていたので。俺は、そんなことは関係ないと言ってから、今度はクロネと戦ってみないか? と聞いてみることにした。リネスがクロネを倒せるとは思えないがクロネがリネスの事を気に入ってくれたら嬉しいと思っていると。
「いいだろう。リネスよりも、リネルの方が強い気がするぞ」
「わかった。リネスと俺も戦うとするよ。リネスの事は任せてもいいかい?」
「はい。頑張ります。負けません。絶対に勝って。それでリネスさんより強くなりますからね。それに私。ルウ様の期待に応えたいですから」
そういってリネスは、笑顔を俺に向けてくれるので。リネスを信じることにする。
そしてクロネが先に動いたので。俺達はその場から離れる。するとクロネはいきなり水のブレスを放ってくるので。俺はリネスに指示を出す。リネスに俺を守るようにと。
そしてクロネの水属性のブレスを、水の壁を作ってリネスが防ぐが、クロネのブレスはかなり強くてリネスの作り出した水がすぐに蒸発してしまう。リネスが焦った顔をしているのだが、俺の指示で。俺の前に出て来たクロネに対して俺は雷の玉を放つが。クロネはその攻撃を避けて俺を睨んでくる。俺はリネスに、リネスは俺とクロネの攻防を見ながら、俺のサポートに回って貰い、リネスに俺は指示を出していくと、リネスは素直にその言葉を聞いてくれて俺は嬉しかった。それからしばらくしてクロネは俺の魔力弾をすべて回避してから俺の方に攻撃を仕掛けてくる。それに対して俺もクロネに雷属性と風の魔法を使いながら戦っていたのだ。だが、クロネはかなり強く。俺の雷や風が当たる前に避けてしまう。そしてリネスが俺を守るために、クロネに攻撃しようとするが、クロネに全て避けられてしまい、俺は仕方なくリネスがクロネの隙を見つけたときに、そこを突いて攻撃をするようにと、伝えておくのだった。
それからしばらくクロネと戦い続けて俺はあることを思い出す。確かクロネは氷を使うはずで。だから俺はクロネが使うはずの炎系の魔法の呪文を唱えたが何も起こらなかった。
俺が疑問を覚えていると、俺のステータス画面に変化があった。
ースキル:火炎耐性が習得されました。スキル効果により熱さを感じなくなり、暑さによるダメージも受けなくなるー 俺はその文字を見たとき思わず驚いていると。リネスとクロネもその事に驚いており、リネスが、俺とクロネの間に入ってきてから、「すごいね」と言い俺に抱き着いてきて。「流石は私の主」と、頬擦りしてくる。それを見たクロネが対抗心を燃やして俺の唇を強引に奪ってくると、リネスと同じように抱き着いてきて頬擦りしてきたのである。そのせいか、俺の体は二人によってサンドイッチされて、胸の圧力がかなりあり。息苦しくなってきてしまっていたのだ。
俺が必死で抵抗して、リネスの拘束から逃れようとしている時に、突然地面から手が出てきて、リネスとクロネが一瞬にして掴まれてしまった。そのことに驚く二人に俺は、この二人が誰なのかを思い出したのである。そして地面に手をついているのが四魔将の一人で、リリスという魔族だと分かった。そしてもう一人の四魔将で。男なのに魔将になった珍しい人でもある、リネスとクロネのことを捕らえに来たのだ。俺がリネスに話しかけようとした瞬間に、リネスの体が急に輝き出すとリネスは、魔剣を取り出して「リネスちゃんソードモード!!」とか言って、自分の腕をリネスちゃんに変えてしまう。それだけではなく。俺の体からも光が溢れだし、それは全身へと広がっていくと俺は体が軽くなっていく感覚に陥る。そこで意識を取り戻したサーシャが目を開き。自分が縛られている状況を把握して「助けて、お兄ちゃん!」と叫んでくれた。それで俺の中にあった力が一気に解放されると俺は魔王の力と聖女の力を手に入れて完全に復活した。そこでサーシャは「もう駄目だよ。勝てるわけないじゃん」と言って泣き出してしまって俺が慰めるのだが、そこにリネスの声が響く。
「ルウ君。ここは私に任せてくれるかな」
「えっ、でもお前はまだ弱いんだぞ。大丈夫か?」
「ううん。今、この場で戦えるのは私だけだよ。だから行かせて欲しいの。だって、この二人を倒してルウ君との約束を果たさないとダメでしょ」
俺はそこで改めてリネスの強さに驚き。リネスならこの二人を相手にできるのではないのかと思ってしまい、すぐにリネスのことを任せることにしたのであった。
そしてリネスはリゼルの元に向かい歩き出したのだ。
リネスは俺の前に出るなりこう言う。
「リゼ姉様。私、リネルとリネスの魂を取り返しに来たの。大人しく私たちについて来て」
「ふざけるな!! 貴様が魔王などとは認めん! 我ら魔王一族はこの世界に生きる者だ。人間に力を借りなければなにも出来ない貴様などが魔王を名乗るなど不届きすぎる」
そう言い放つと、リネスは悲しげな表情になりながら。「そっか。やっぱり無理なんだね。私はリゼ姉様の事が大好きなんだけど。どうすれば分かってもらえるの?」と尋ねる。するとリゼルは不敵な笑みを浮かべてから「ふふふふ。そうだなぁ、今すぐにでも殺してやりたいぐらい憎いのは変わらない。だけど、お前を生け捕って。お前の血を飲むことによってこの世界を我らが手にすることが出来る。それになによりもお前を手放すのは、もったいないと思うしな」と言う。
そこで俺は「何を言っている?」と聞き返してしまったが。
リネスが真剣な眼差しで俺の方を見つめると、口を開いてから、俺に向かって。
「ルウ君には関係ないことだから」そう言ってくる。
そこで俺は怒りが沸点に達しそうになって。
俺がリネスに「なにを言ってんだよ。そんなこと関係ないだろ」と怒鳴ってしまうと、リネスが申し訳なさそうな顔をしながら、俺を見つめてきてから「ごめんなさい。私が弱かったからこんなことになるなんて。私のせいで迷惑をかけて本当にごめんね」と言ってきて俺から視線をそらすと、それからはリネルが話を始めたのである。
リネルは涙声になりながら俺達に語りかけてくれた。
「私はね、元々リゼル様の一族でした。リネスさんと違ってリネス様はリネルの姉で。リネスさんが産むはずだった子供でしたが、私はリネスさんを庇ってリネスさんと産まれてくるはずでしたが、私だけが生き残ってしまいました。それで私の両親が育ててくれたんです。ですが、両親は病気になってしまいました。その事をリネスさんに報告したら「リネはいい子に育つのよ。あなたの事は好きよ。これからも仲良くしましよう」と言ってくれました」そこまで話すと涙を流しながら「リネスさんは優しい方なのです」と言いながらリネルは泣き出してしまう。それからしばらくしてリネルは落ち着いたらしく、話をしてくれた。
「それで、私はその事を知った後に。村を出てリネスさんのところに行くことにしたの。リネスさんが私を拾ってくれて育ててくれて。私はリネが幸せになればと、リネが寂しい思いにならないように頑張っていたら。私はリネが大好きになってしまったの」そう言った後でリネルが「リネルも、リネスさんに甘えてばかりだったけど、それでも楽しかったです」と言い終えてから、最後に俺を見てから「リネスをよろしくお願いします」と言ってくれたのである。
そして今度はリネスが俺に向かって。
「ルウ君に謝りたいことが、私達一族のことは秘密だったのに。知られてしまったこと。そして私のことをリネスと呼んでくれたことに嬉しかった。ありがとう。そして、もう二度と会えないかもしれない。だからこそ伝えさせて。今まで、一緒にいて楽しくて。幸せに過こせて、ルウ君のお嫁に行けなくて残念だったけれど。これで心置きなく死んでいけます。最後にルウ君とリネルに、そしてサーシャと出会って友達になれたこと。私は忘れないから」
俺はそれを聞いて、なんと声を掛ければいいのか分からずにいると。
リネルがリネスに駆け寄り。リネスの耳元で何かを話す。
それからリネスはリネスの方に振り向くと。二人は抱き合い始めたのだった。
そしてそれから、しばらく抱き合うと離れてしまう。
俺は二人の行動に違和感を覚えながらも見ていると。
リネルがリネスに向かって「さよなら。あなた」と言ったあとにリネスから離れていく。
俺はそれを見て、なぜか涙が止まらずに「リネス、待て。行かないで」と言い。走り出してリネスの元に行こうとしたが。サーシャに抱きつかれて動きを止められてしまう。俺はサーシャのことをどかそうとするがサーシャが強く抱きついているため動けなかったのだ。俺は、サーシャがなぜ止めているのか理由が知りたかった。だがサーシャはそれを教えてはくれなかったのである。そこでリネスの口からリネルに向けて「ありがとう」という言葉が出ると、リネスはその場にとどまり、剣を構える。
その事にリゼルが笑いながら「バカな女だな。ここで大人しくしていれば見逃してやったものを、死に急ぎおったくせに後悔することになるぞ!!」そう言うと。地面から無数の腕が出てき始めそれが徐々に大きくなって、巨大な人の形へと変わっていくと、それを見た俺達は全員驚愕していたのである。なぜならその腕の数は百を優に超えていて、さらに腕の一つ一つが大きくなっていき。最終的には、俺が前に倒してきた魔王軍の四魔将をはるかに凌駕する大きさへと変わる。
そこで俺達が唖然としていると。俺の横でリネルも唖然として見ており。「まさか、こんなのが四魔将だったとは」と言っており、それを聞いていたサーシャも、「嘘、これじゃまるで神獣」と言いながら震え上がっていた。そして、魔王が俺達の前に現れる。魔王は、「この程度の力で私に勝てると思ったか? 身の程知らずが」と口にして笑っていたのであった。俺はその姿に怒りを覚え、殴りかかってやろうと思い拳を握り締めたが、横にいたクロネが俺のことを羽交い絞めにして、必死に俺のことを止めると、リネルに近寄ってから「もう、これ以上は無理、もう十分」と呟いてきたのである。俺は、リネスを心配するがクロネは俺のことも離そうとしなかった。俺はクロネの体を抱き寄せるとクロネが小さな声で「あの二人を信じてあげて」と言う。そこで俺の中にクロネの言葉に納得できるものがあったのである。それからリネルは剣を構えた。するとリネスは剣の先を向ける。
リネスは剣を構えてからこう言い放った。
「私は絶対に負けない!!」
リゼルはその言葉を聞くと大笑いしながら。「愚か者め、死ねぃ!」とリネスに向かって手を差し向けると。手のひらが開き、そこから光線を放つ。
その攻撃に対して、リネスが避けようとすると、俺がリネスのことを引き寄せ。俺がリネスを守るような形になった。
俺の腕の中で。リネスが俺のことを見つめると同時に。俺は自分の中にあった力を爆発させるかのようにリネスに自分の中の全てを流し込んだのであった。俺はこの世界を救うという使命感と、リネルやリネスを守りたい気持ち、それに、リネスとの幸せな日々を思い出し、この世界のことが好きになったからこそこの世界に残りたいと思っていたのだから、俺はそんな俺の願いを力に還元したのである。その瞬間、俺は意識を失ったのであった。
俺の視界は暗闇に支配されたのであった。
俺が目を開けるとそこには知らない部屋が映し出される。
そこは綺麗な調度品で整えられた部屋だった。そして目の前にリネの姿があり、俺の方を見るとリネスに話しかけてくる。リネルは、少し恥ずかしそうな顔をして俺の方を見ていた。
「あはは、また来ちゃったみたいだね。どうしたの?」とリネスがそう言うと。リネルはリネスに。「ごめんなさい。私のせいで、こんなことに巻き込んでしまって、私、私のせいでルウ君が、私のわがままで、ルウ君に負担を掛けたくないのに」とリネスに向かって言うと、リネスが微笑みながら。「ううん。大丈夫だよ。ルウ君は私が守りたいから守るだけなんだから」と言う。
それから俺はリネスとリネルが話をしている間ずっと黙って話を聞いていて。俺にできることは無いんだと痛いほど理解してしまう。そこで俺の視線に気がついたリネスが。
「もう、気にしないでよルウ君。私なら平気だから。ルウ君が守ってくれるって信じてるもの」と言ってくれる。
そこで俺の横にリネルがいることに気づき。「リネルも悪かったな。俺のせいで迷惑かけて」と言うとリネルは俺の方を見ながら、首を振って「違うよ、私はね、私の意思で来たんだよ。リネスを助けに来た。でもね、それは、もう、出来ないかもしれないけど。私にはね、ルウ君の事を守らないといけないから、私はあなたと一緒に生きる」そう言ってから俺に笑顔を向けてくれる。俺はリネスにありがとうとしか返せなかったのだった。
そこでリネスが俺達のところに来ると、リネスがリネルに話し掛ける。それからは二人で仲良く話をしていた。リネスがリネルに何かを話そうとするが、そのたびに俺に視線を向けてきて、結局何も言わずに。それからしばらくしてリネルが、いきなり立ち上がりリネスに別れの挨拶をする。俺は嫌な雰囲気を感じて。「どこにいくんだ?」と聞くと。リネスは答えないで俺に微笑んでくる。リネスが部屋の外に出て行こうとするがリネルがリネスの手を掴み引き止めると。
「ねぇ、リネス、本当にいいの? 後悔するよ」とリネルが言うが。リネスはリネルの手を優しく解いて。
「もう決めたから」とリネスがそう言うとリネルの前から去って行く。俺はその後を追いかけようとしたのだが、なぜか足が動かないので動かなかったのである。そこで俺の視界がぼやけ始めてから、だんだん俺の体に感覚がなくなっていくのが分かったのだ。そこで声だけが聞こえる。
「ごめんなさいルウ君。私達のために犠牲になってもらって。あなたは私の大切な人。だからお願い助けて」と俺に向かって泣きそうになりながら言うリネスの声が聞こえた後。俺は再び眠りについたのだった。
「ん? あれここは?」
俺は、周りを見渡すとリネルとリネスが心配そうにこちらを見ているのが分かる。すると二人が嬉しそうに「よかった、やっと起きた」といってきた。俺が起きたことで安心してリネスとリネルは涙を浮かべながら喜んでくれている。俺は、なぜリネス達がこんなにも泣いているのかが分からず。
「なんでお前ら、二人ともそんなに泣くんだ? 」とリネス達に言うと。二人はお互いに顔を見合わせている。そしてリネルが俺のことをじっと見てくると。リネスとリネルは二人そろって、「えへっ」と言って笑う。そして二人は何かを確認しあうと俺の方に近づいてきて俺のことを抱きしめてくる。俺はその行動に驚いていたが。リネスが俺の事を「愛しています」と言ってくれたことがうれしく思えたのである。俺はその事に感動しながらも、リネスとリネルのことを優しく包み込むように抱くのであった。俺がリネとリスネルにキスをしようと二人の唇を指差すと、リネス達も同じ様にしてくれた。その時俺達を見ていたクロネが、俺の顔を見て突然笑い出したのである。俺はそんなに変な顔をしていたのかと思って自分の表情を手で確認しようとしたところで。サーシャに止められてしまった。俺はなぜかわからないままにサーシャのことを抱きしめてキスをしようとすると。サーシャが恥ずかしそうに目を瞑りながら。
「嬉しい」と呟いてくれたのである。俺がそれを聞いた後にサーシャに「可愛いぞ」と言いつつ頭を撫でると。サーシャは「ふにゃぁ」という猫みたいな感じで鳴き始めてしまったので、俺が「おい! 大丈夫か!? 」と聞くと。サーシャは我に返って俺の胸に飛び込み俺に甘えてきていた。
それからしばらくして、サーシャは落ち着いたようで、リネルとリネスが、サーシャのそばに行って抱きついており、サーシャはそれを見て少し困っているようだったが、とても幸せそうな顔をしていた。
しばらく四人で会話をしていたが、そこにクロネがやって来て、俺に近寄ってくるとクロネからキスを求めてきたので俺はそれに応えることにしたのだ。クロネはとても情熱的で激しく何度もキスをして俺に「好き、大好き、ずっと一緒」と言っていたのである。俺はそんな風に求めてくれるクロネのことを心底愛しく思い。その感情のまま、しばらくの間クロネの相手をしてあげて、そしてそのままベッドまで運んで寝かせてあげるとクロネはすぐに眠ってしまったようだ。それからはリネル達はお風呂に入って疲れを落として俺の部屋に戻ってきてくれたのだった。
それからは俺が一人で考えごとをしていると、部屋にリネスが入って来たのである。リネスはそのまま俺の近くに座ると思いつめたような顔をしている。どうしたんだろうと思い俺が「どうした?」と尋ねるとリネスは。「あのね、私ね、私ね」とリネスが俺の方を見るが。すぐに俯いてしまう。
「どうした?」俺がもう一度問いかけると。リネスが「ルウ君。私ね。ルウ君のことを愛しているの。でもね、もうルウ君とは一緒にいれなくなっちゃうの」と寂しそうな声で言った後で。リネスがいきなり立ち上がり俺の方を振り向いて。「今までありがとう。さよならルウ君」とだけ言い残してリネスが俺の目の前で消えたのであった。俺の頭が一瞬で真っ白になってしまう。リネスは何を言っているんだと思った瞬間に俺が見たこともない空間で、リネスは一人涙を流している姿を見つけてしまい、そして俺の心が締め付けられる。俺は慌ててその場所に行こうとしたが行けなくて、俺の意識が途切れたのである。
「どうなってるんだこれは? どういうことだ? 俺はどうした?」俺は混乱して訳が分からなくなっているところに。俺の目の前に、今度はリニスが現れたのであった。
俺は自分の体が思うように動かなくなっていたので、リニスに自分のことを聞くことにする。
「ここはどこなんだ? それにリネは? リネスは? どうしてお前だけがここに来た?」俺は疑問をリネスに聞いてみると。
「ルウ様が今置かれている状況は。ルウさんとリネスさんの魂は、今はこの世界に存在していません」
「何だと!」
「はい、なので、私には、ルウさんの体を動かすことはできません。でも安心してください。私のこの体は、元々、ルウさんのものなのですから」
リネスの話を聞いても俺は理解できなかったので、リネスに詳しい説明を求めることに。
「リネス。詳しく教えてくれ」
「はい。ではまずは現状についてから、今のルウさんの身体の中には。ルウさんの本当の身体とルウさんが作り出したルウさんの分身と私がいます」と、リネスは言うと俺のことを見て「ルウ様がルウさんの身体の中にいることができるのは、私がルウ様にお願いしたことなんです。私と一緒に居て欲しいですと、私はどうしてもルウ様と一緒にいたかったのです」とリネスが俺の方を見ながら言ってきて俺はそんなに想ってくれていたことに感激する。
「でも私は、もう、ここから動けない。だからお願いルウ様。私がルウ様を救ってあげたの。だからもう時間がない。早く私を助けに来て」
俺がその言葉を聞いたときに。リネスの言葉が途中で止まってしまう。
「ルウ様には、もう時間がありません」とリネスは言うと、急に苦しみ始める。
「くぅ、私はここで終わりですか、せっかくもう少しで」
リネスがそう言ってから数秒すると、苦しんでいたリネスは気を失って倒れてしまう。俺は急いでリネスの所に行きたいが、俺はその場を動くことができなくて、リネスが目覚めるまで何もすることができない。俺の頭の中では色んな考えがぐるぐると回り続けてしまっている。
そこで突然俺の前に光が現れる。その光が徐々に大きくなっていき俺のことを包むこむ。すると次の瞬間、目の前に先程倒れたはずのリネスが立っていたのである。その光景を見た俺はかなりびっくりしてしまい。俺は声を上げることができなかったのだ。リネスは微笑んでから俺に話しかけてくる。
「久しぶりだね。会いたかったよルウくん」
「俺も会えて嬉しいよリネス」と俺は答えたが、その声が自分のものと違う事に違和感を感じながらもその事はあまり気にならなかったのである。
リネスになぜ俺にそんなことをするのか聞くことにしたのだ。そして、俺のことを好きだと言った理由が分からないのでその理由を聞くと、リネスは俺のことをじっと見つめてきてから口を開くと。
「ルウ君が好きになったのに特別な理由はないよ。ルウ君を初めて見た時から好きになって、それから毎日会うたびにもっと好きになって、私の気持ちが止められなかったの。ルウ君に助けてもらってからは。どんどんルウ君への想いが溢れて来て。私の気持ちを止められなくなった。だから私はもう、ルウ君と離れたくない」
と、そこで俺が、
「俺は、俺は、お前が俺の傍にいるのが嬉しいけど、だけど」と言いかけると。リネスがそれを遮るように。
「うん。それはわかっているの。だってこのままだと、ルウ君は、私のせいで、死んじゃうんだもん」とリネスはそう言うと。リネスの目から一筋の涙が流れ落ちたのが見えた。
俺達がお互いに見つめ合っていると。俺達の横の空間に裂け目のようなモノが出来ているのに俺は気づいた。そして、俺達が見ているその先に誰かいるようだと、その事に気づいた俺はそちらに目をやると。そこにはなんと、俺の本当の肉体と、俺が作った分身の方がいたのである。俺は突然の出来事で、思考が全く追いつかなくなってしまう。
そして、俺の横にもう一人の俺は近づいて来ると俺に近づいてくるなり俺の頭を軽く叩いたのであった。その衝撃で俺は我に返ると、そのもう一人の俺に向かって。
「何でここにいるんだよ。っていうかどうやってここまで来たんだ?」と俺は問いただしてみた。
「はぁ~、相変わらずだな。俺が俺に会ったんだから、俺のところに来るのは当たり前じゃないか」
と、そう言うともう一人の俺と俺との会話が終わる。
俺が何を話しているんだと思っているとリネスの方を見て。
「お前さ、俺にこんな風にさせたのは誰だか分かってんだろうな? まぁいい。俺は俺のやり方で行くからよ。邪魔をするなよ」と言うと俺の身体の方に戻り、そのまま、消えていったのである。俺はまだ状況が飲み込めていないままで、どうなっているんだと思っているとその前にリネスが「ごめんなさい。本当は私、自分の意志でここに来たわけじゃないの。でもこれで、やっとお話しができるわね」と少し恥ずかしそうな顔をしながらも嬉しそうにしている。俺はとりあえず、どうして俺がこうなったかの説明を求めることにした。
俺の質問にリネスが説明してくれた内容は俺にとっては信じられないものだった。
まず、この世界は実は神様が作り出したものでその世界での人間達は全員神から与えられた能力を持っているのだという。この世界でも、この前の世界でも、俺の体の中に俺がいるのは、リネスが、神に与えられた力のほんの一部を使って作った擬似的な魂だというのだった。
そして、この世界で俺は勇者の力を持ち、魔王を倒してこの世界で最強の存在になり、リネスと二人で幸せな生活を送るはずだったのが、俺がこの世界にやって来る時にリネスとは引き離されて俺の体に入れられてしまい。そして俺と俺とで作った疑似魂の俺とこの世界の俺は別々の場所で別々に暮らす事になったのである。だが俺の本体はずっと意識だけはある状態で、ずっと、自分が作られた経緯と、リネスの事を考えていたのである。リネスにはリネスの世界が別に存在し。そこにリネスは自分の意識の一部を飛ばしているのだという事をリネスから聞いた。しかしそれとは別に。リネスはこの世界での俺の記憶を全て共有しており、またリネスはリネス自身に魔法を掛けることによってリネルのように自分の好きなようにこの世界の住人を操ることができるという事も話した。
リネスが俺に説明してくれて分かったことなのだが。この世界に居るもう一人の俺は俺の本当の肉体とリンクしていて。そのリンクしているもう一人の自分に俺の本当の身体が襲われそうになったとき、この俺を作った擬似的な魂だけが、一時的にこちら側に来られたということらしい。俺は、その話を聞いる間も頭がパニック状態だったのだが、なんとか整理して考えることが出来ていた。
俺と俺とで話してわかった事は、どう考えてももう一人の俺がリネスと幸せになれるような状況ではないと、そのことが分かったために。俺と俺は話し合い、どうにかこの状況を打開しようとお互いの意見を言い合った。
まず最初に俺と俺の共通意見として、今のままだともう一人の俺が俺を殺すために俺を殺そうとするはずだ。そしてその後でリネスを無理やりに自分のものにしようとするだろうということを言ったら。リネスが「え?そんなことしないと思うけど」と、俺と俺が、そんなことしないと否定してくる。
そこで俺と俺で話し合い、どうしたらいいのだろうかと考えていくうちに、俺と俺が考えた方法の一つを実行しようと考える。
「じゃあ。ちょっとだけ時間を稼ぐために。俺と俺とが協力しようぜ」
俺は、もう一人の俺と相談しながらこの異世界で、リネスとリネスと幸せになるための方法を模索した。まず俺は、俺と俺にリネスを頼ることにしたのである。俺が俺にお願いすると「ああ」と言ってくれた。俺がリネスにお願いするとリネスは了承してくれる。こうしてリネスが俺に協力してくれることになったのだ。そして俺と俺でリネスとリネスとが仲良くなれるような計画を二人とで考え出したのである。
そしてその計画通りに、もう一人の俺が俺を殺そうとしてきたタイミングで、俺は俺とにお願いをしたのだ。俺と俺とで、俺と俺に攻撃しようとしたもう一人の俺の動きを止めることにしたのである。
俺は、もう一人の俺を睨みつけると、俺の体は、その視線に耐えられずにその場に座り込んでしまう。その隙を俺は見逃さずにもう一人の俺に駆け寄りながら「くらぇぇー」と思いっきり拳を振り下ろすともう一人の俺を殴ってしまった。もう一人の俺が気絶する前に俺の方に倒れこんできたのを俺は避ける。もう一人の俺が気を失ったことを確認してから、すぐに俺は立ち上がり、その場から逃げることにした。そうやってリネスとリネスとリネスの三人で、俺の肉体と俺とリネスの三人が離れないように行動することに決めると俺は、この世界から出ようとする。
そこで俺はリネスに頼みごとをするために、リネスの手を掴んで俺は話しかけると。
「なぁ。俺がここから元いた場所に帰れるか試すけど。リネスに協力してくれないか?」と頼むと。
「うん。良いよ」とリネスは言ってくれると、俺は俺とリネスの手を掴んだまま「ここから出る」と強く思うと俺とリネスと俺とリネスの4人で転移することにしたのである。すると俺の身体とリネスが一緒に消えたのであった。そして俺は、無事に元の世界に戻ってくることができたのである。
リネスは、自分の意志で、元いた世界に帰ってきた。俺はその事実が信じられずにいた。そしてリネスも驚いていた。なぜならば俺の本当の肉体が居なくなっていたからだ。俺が急いで周りを確認するとリネスが俺の腕を掴みながら「私も初めてここに来てから驚いたんだよ。まさかルウ君と一緒に来た場所に戻ることになるなんて思わなかったから。それにしてもルウ君、よくこんな事ができるようになったね。私にもできなかったことをするだなんて。ルウ君はやっぱり凄いよ!」
リネスは嬉しそうにしている。だが俺からしたらこれはかなり危険でもある。だって俺が俺を殺しかけたりしなくてはいけない状況だったのだから、でも俺がここに戻れるようになって本当によかったと俺は心の底から思った。俺は俺にリネスと俺が幸せになる手伝いをしてもらえるようにお願いをしたところ。俺の分身が了承してくれたことで。リネスにこの世界で俺達二人が幸せになるように頑張ってもらうことに。それからリネスにはこれからやる事を話してから、俺とリネスは一度別れたのである。
それから俺は村長の家に戻ってきたのであった。俺達が帰ってくるのが遅かったので心配していたようで俺達が戻るとほっとした表情を浮かべてくれたのである。俺は村で世話になったお礼に何かお土産に持っていこうかと提案するが村長は遠慮をしていたので俺は無理矢理に押しつけておいた。俺とリネスは家に戻ると俺は俺の肉体と話をするため、精神世界で話をすることに。そして俺と俺で、今後どうするかを決めるため話し合いを行った。俺達が話した結果、まずはリネスに村に来てもらってから。村のみんなに受け入れてもらえるように、説得をするしかないという話になった。そこで俺はリネスのところに俺の分身を送ると俺の肉体に、しばらく俺と離れて生活するように伝えたのである。そしてもう一人の俺は「どうしてだ?」と聞くが俺はもう一人の俺に対して「いいから。言うこと聞けって」と俺は命令口調で言うともう一人の俺は渋々といった様子で「はい」と言うともう一人の俺は姿を消したのである。そして俺は、リネスのもとに俺の分身を送り込んだ。そしてもう一人の俺は、俺の命令に従ってリネスのところに行ってもらうために、リネスの村に行かせると。俺はリネスのもとに行く準備を始めたのである。
リネスに、リネスの村に案内された俺は、村長にリネスを紹介してもらい挨拶を交わす。
リネスと俺と村長で、今後のことについて話すことにした。まず俺はリネスと二人でリリスに会うために王都に行こうと考えていたが。どうせならリネスの家族が生きているうちにリニスには会わせてあげた方が良いと考えた。俺は、とりあえずリネスがリニスに会いにいくことを伝えようと決意したのであるが、それを言おうとした時、家の扉が開くとリリスが姿を現したのだった。
突然、扉を開けて現れたので。俺が警戒すると。
リネスが嬉しそうな顔でリリスを見つめる。どうもリネスとリネスの母親は、とても仲が良いようである。俺はその様子を見ていて羨ましいと思った。そんな事を思っていたら、リネスのお母さんから俺とリネスに声をかけられた。そして俺は、この家に住まう許可を貰えるようにお願いをした。その申し出にリネスのお母さんは少し困ったような顔をしていたが、俺が、どうしてもこの家に住みたいと必死になって頼むと。リネスが後押ししてくれたこともあって。最後には「分かったわ」と言って了承してくださったのである。
その後で、リネスとリネスのお母さんは、二人きりで話があると言って席を外すと、二人して奥の部屋へと消えていく。おそらくは寝室に向かったんだろう。俺は、その事を確認してから、村長にお願いしてリリスを自分の部屋に呼ぶことにした。
「おい。リリス聞こえるか?」
『はい』という声が聞こえてきたので俺は自分の部屋で椅子に座りつつリリスに質問した。
「それでどうなった?リネスの村は?」
俺は自分の体の中にいる俺の本体に状況を確認したのだが返事が返ってこなかったのだ。そこでもう一人の自分にも聞いてみることにする。
「おい。もう一人の俺よどうなんだ?」
『今。リリスさんと話し合っています。ですから少々待っていてください」
俺は、「おう。わかったぜ」と答えると待つ事にする。それからリリスに事情を説明しているともう一人の俺は納得をしてくれたのか、そのままリネスとの話を続けてくれる。
そしてリネスの母親と、この世界に来たばかりの頃のリネスのことを色々と聞き出した結果がリネスを悲しませていたという事実が分かり俺はショックを受けてしまった。俺がそんなことをしているうちにもう一人の俺が俺の身体を勝手に使い始めて。俺は強制的に俺の身体を自分の意識から切り離したのである。その後もう一人の俺に文句を言うが。「いいから少しの間だけ大人しくしてろ」と怒られてしまい、結局、もう一人の俺が俺の代わりに俺の肉体を動かす事になったのだった。
そして俺は、もう一人の自分の体の主導権を握ることに成功する。俺は、俺にリネスとの話が終るまで静かにしていろと言われた事を思い出し、もう一人の自分の身体の中で待機する。すると俺が黙り込んでしばらくして、もう一人の俺のほうから話し始めてくる。どうやら話は終わりのようだったので、俺は話しかけることにした。
「リネスのお母さんがお前と仲良くなりたがっているようだがどうする?」
俺はそうやってもう一人の俺に聞くと、もう一人の俺は「ああ」と答えた後に俺の体を無理やり動かしたのであった。
俺が目を覚ますとそこは見慣れない場所だった。その見知らぬ場所は、リネスと最初にこの世界にやってきた時の場所で間違いがなかった。俺ともう一人の俺がいるその場所に。リネスが近づいてきて笑顔でこちらに向かってきてくれている。俺はその姿を見るとなぜか嬉しくなり思わず駆け寄りたくなってしまった。だがそれは叶わなかった。なぜならばリネスが目の前にいるにも関わらずもう一人の俺が自分の身体を強引に動かして、その場を離れようとするからだ。そのせいでリネスのそばに近づく事ができない。俺はどうにかもう一人の俺を止めようと、もう一人の俺が動かないように、俺自身の意志の力だけで動こうとするが。それでもリネスの近くに行けないどころか動くことすらできなくなってしまった。
(くそ!このままだとまずい)と俺は思う。だが俺には打つ手が無かった。もう一人の俺は、俺の意志で動いているのではなく。リネスと俺を会わせるために俺の身体を乗っ取っているから。今の俺はもう一人の俺が動けないように、止める事もできない状態になっていた。だから俺はどうすることもできなかったのである。
そして俺は、この場から、もう一人の自分の意思から逃げる方法を考えた。まず思いつくのは俺とリネスとリリスを精神世界に避難させる事だった。しかしリリスはともかく、俺とリネスの精神力を全部使ってしまい。この世界を作り出したり維持できるだけの力は残っていないはずだ。
なので俺は別の案を考えることにした。この世界を維持する力がないならば、この世界が壊れてしまう前に俺が元の世界に帰れないかと考えた。だがそれすらもこの世界の仕組みが邪魔をする。なぜならば俺とリネスはこの世界にずっといるわけではなくて。元の世界に帰りたいと考えているからだ。つまり元の世界に戻れなければ元の世界に帰ることは永遠に不可能ということになる。
俺は、俺とリネスが元いた世界に戻れないかもしれないと思うと心底不安になる。なぜならば元いた場所には母親もいるから心配をかけてしまっているだろうし、友達も心配してくれていることは間違いないと、そう思うからである。俺がそんなことを思っていると俺の体にリネスが飛びついて来て泣きながら俺に謝ってきた。
「ごめんね。ルウ君。本当にごめんね。私のせいでこんな目に合わせてしまって。私はあなたを助けられないよ」と言って泣いていた。そしてリネスは自分の事を責めていた。だけど俺はそんな事は気にしていないから大丈夫だという事を告げた。だって、こうして、またリネスに会えたんだから。俺はそれだけで満足だった。それにリネスとリネスの母親が、この村で暮らしていくことができれば、きっと、俺達のような悲しい別れ方をすることにはならないはずなのだ。
俺の肉体の中にもう一人の俺が戻ってきた。俺は自分の体に戻った事でほっと安心する。
それから俺達はこれからの事について話すことにした。
まずはリリスが住んでいる村にリネスを連れて行ってリリスと引き合わせたい。それから村で暮らすために、まずは村で暮らしているリネスの知り合い達に挨拶をしていきたいということになった。そして挨拶回りをする前に。村に行ってリネスの知り合いが無事かどうかの確認をしなくてはならなくなった。
そこでもう一人の俺にリネスと一緒に村長のところに村に行って欲しいことを伝えると。
「はい」という答えが返ってきて俺ともう一人の俺は家を出るのである。家を出た後は、リネスの家の前まで移動し。そこから村長の家までリネスに案内をしてもらったのである。俺は村長とリリスのことが気になって仕方がなかったのですぐにリリスの家に行きたいと思った。そこでもう一人の俺に頼みごとをした。「おいリネス、俺は、お前に村の人たちに受け入れられるために協力したいと思っている」
「え?」と言って驚いていたが、続けて俺は言った。
「俺は、リネスの村の人達に受け入れてもらうために協力したい。でも俺の体は、もうこの世界で活動するための力は残っていない。俺はリリスのところで暮らすことに決めたんだ。リネスと一緒じゃなかったけど、あの村で過ごした日々はとても楽しかった。俺に新しい生きる希望を与えて貰った。リネスと出会えて、一緒に過せて俺は、幸せな時間を過ごした。それにリリスにも、俺とリネスがこの世界のルールを学ぶ機会を与えてくれた恩もある。だからリネスが俺にしてくれたことと同じ様に。俺はリネスとリリスのために役に立ちたいと思ってる。リネスには、この世界のルールを学んでほしいと思っている。リネスには幸せに生きてほしいとそう思ってる。俺がいなくなった後でもいいからリネスには、ちゃんと生きていって欲しい。だから村長の所に行く前に、お前はお前の好きなように行動して構わないから。一度リネスとリネスの母親に会ってこい」と俺はそう言って。リネスを送り出そうとした。リネスがどうするかを俺が決めることはできないが、リネスが村長の家に行きたくないと言えば無理強いはしないつもりではあった。そして俺はリネスに村長の所に先に行ってくれと頼むと、リネスは「うん。分かった」と答えてくれると、村長のもとへ急ぐことにする。そしてリネスを見送ることにする。それから少しすると、村長が一人で歩いて来た。そして村長に「こんにちは、サーシャさんからお話は聞きました。娘が大変ご迷惑をおかけしたようで。申し訳ありません」と俺に向かって謝罪してきた。俺は慌てて言う。
「とんでもない。俺はリネスがとても可愛くて優しい女の子だと思っています。リネスは俺に幸せと勇気と笑顔と。他にも色々なものを与えてもらっている。だから感謝しています。だから、俺にとって、リネスは大切な仲間なんです」と俺が答えると。リネスの父親は微笑みを浮かべたのであった。
リネスを送り出した俺は、この世界にやってくる時に着ていた学生服を脱ぎ捨てると、リネスからプレゼントしてもらった服を着ることにした。この服を着た姿を、この世界にやってくるときにも見せていたが、リネスがくれたものだから。大事にしなくてはいけないから。そして着替えが終わったらこの家に一人きりになってしまった。だが別に俺は悲しくはなかった。なぜならば俺はこれからのことに胸を躍らせているからだ。なぜならば、俺の予想が正しければ、俺の体が、元いた世界に帰れることは間違いないと確信が持てるようになったからなのである。そしてその時、俺は、リネスが俺を元の世界に帰してくれることになるのだと確信している。
そしてしばらく待っているともう一人の俺とリネスが帰ってきた。俺が二人のことを出迎えて。
それからもう一人の俺に事情を聞く。するともう一人の俺が説明を始めた。リニスの母親は俺がリネスを助けた事を知りたいらしく、リネスが母親と会えば分かることだと言っていた。もう一人の俺の話を俺は聞く。
まずはリネスの住んでいた村で暮らしていた人々が今も暮らしている事を知ると俺は安心する。それから俺はリリスのことを話し始めた。
俺はリリスとこの世界に来たばかりの頃、この世界を探索していた時に。この村からそれほど離れていない場所に、リネスが住んでいた村に辿り着く。そこは魔物に襲われたのか建物は壊されていて人も死んでしまっていて廃墟のようだった。そこで俺は村の中で一人の男の子に出会う。その子が俺と会話ができる人間であり、俺はその少年にリリスがどこに行ったか知らないかを尋ねると彼は俺に向かって「お前は誰だよ?ここはリリス様が作った場所なんだぞ。どうしてお前が入って来れたんだよ?」と言ってくる。
俺が「俺はリリスに頼んでこの場所に連れてきてもらったんだ。それでリリスを探しているんだけど。どこにいるのか分からないから君たちにも教えてもらおうと思っていたんだ」と伝えると。「ふざけんな!俺達の場所を奪う気なのか?」と言われた。
俺は、その少年が、なぜかリリスのことを呼び捨てにしていることが、妙に気に入らない気持ちになった。だが俺はまだリリスの本当の姿を知らないでいた。だから、もしかしたら、彼が嘘を言っている可能性もあると思った俺はその事を彼に聞いてみた。「リリスが、俺の探してる女性だとすれば、俺はリリスに頼まれたことをしたいんだ。リリスがどんな奴なのかは知らないが。リリスは君達を守るために必死でこの場所に残ろうとしているはずだ。だから俺は君の言葉を信じることはできそうにない」と言うと。リネスが突然現れて「リネス!」と叫びながら、もう一人の俺に抱きついたので俺はもう一人の俺にリネスがこの世界にやってきた時のことを聞いた。すると、やはりもう一人の俺は、リネスに元の世界に帰って貰おうとしていて、俺をリネスの元に向かわせたのである。だが俺にそんなことは必要ないことを伝えると、俺はリネスを連れて、村の外にある俺が元いた場所に移動する。そこで俺はリネスと、俺にできる精一杯の愛情を込めて接しながらキスをして。俺は彼女に俺の心の声を伝えた。
俺と別れた後にリネスの身に何が起きたのだろうか?それをリネスの父親に尋ねられたので、もう一人の俺とリネスが一緒にリリスのいるところに向かうのを確認してから。俺はリネスに自分の心の中を伝えていく。
まず、この異世界にやってきて。この辺りでは、魔物が人を襲い。人は殺されていた。俺は、この世界で目覚めて。それから自分の力を確認すると俺にも力があることが分かる。そして俺はリリスと出会う。俺はリリスに、自分が異世界からやってきたことや。そしてリリスの力になりたくてこの異世界にやって来たことなどを説明すると。彼女は泣いて俺に感謝してくれたのである。
そんなリリスに対して、俺は、この世界について何も知らなかったのでリリスと一緒に勉強しようと思ったことを告げた。
それから俺はリリスにこの村の現状と、リネスの家族が住んでいる家の位置を聞き出した。そしてリリスと一緒に、俺はリリスと別れると彼女の家族がいる家まで移動することにした。リリスが案内するよりも俺の方が正確な道を知っているからである。
リネスが俺に「リリスちゃん、元気でいるかなぁ。無事でいてくれればいいのだけど」と話しかけてきた。
「そうだな」とだけ俺は答えておくことにした。俺だって同じ気持ちだからだ。俺達が村長の家に向かって歩いていると、俺達は村人らしき人に会った。だが彼らは「この村は終わった」と言って、どこかへ行こうとしたのである。俺は慌てて彼らに事情を尋ねた。
俺の目の前にいる人々はリリスが村人達を守ってきたのだろう。村人が、この村を捨てようとしていることに俺は納得ができなかった。なのでリネスにリリスの家まで行くように頼む。
俺は村長の家に、一人で入ると村長と対面した。村長がリネスの母親に会わせるためにリネスの家に行って欲しいと言った。
そこで村長がリリスに会えるなら会いたいと言っていると俺に言ってきたのである。
俺は、それを受けて。すぐにリネスの母親の元へ向かうことになった。そして、俺が村長にリリスの母親に会わせて欲しいと言うと、村の入り口にいた俺のところにリリスの母親が迎えに来てくれたのである。
「この度は私の娘を助けていただきまして本当にありがとうございます」
リリスのお母さんは俺にそう言って、リリスと同じ赤い髪を持つリリスそっくりの女性は俺に向かって頭を下げてくれた。俺は慌てながらも。
「俺はただリリスに助けられたことのお礼を言いたかっただけです。俺にはあなたにお礼を言われるようなことは何もしていません。それにリリスがいなければ、今ここにいられていませんでした」と答えた。するとリリスのお母さんは言う。
「いえ、リネスは私の娘のリリスです」
その言葉に俺は、なぜこの村で、リリスは村長の娘であることになっているのか分からずにいたのであった。そして、リリスのことを思い出していた。リネスの父親がリリスに、「お前は誰だ?」と言い。その後リリスは、父親からリネスのことを聞かれていたからだ。もしかすると村長の家の事情も俺が思っているのとは違うのではないかと、俺は思ったのである。
俺はリネスのお母さんに。どうして村長の娘であるということになっているのか理由を聞いてみることにすると。
リネスが村長の娘であるのは間違いないということだった。
「実はリリスは私たちの大事な一人娘で、村長とは遠縁に当たる子なのです。そしてあの子は村長が若い頃に生き別れた娘だったのです。私たちは娘が生きてこの村に帰ってくると信じて待っていました。ところがリネスはこの村に帰らぬまま、十年近く経ちました。私は、もしこのままリリスがこの村に戻らないならばこの村を出るしかないと思っていました。そして今日、あなた様と出逢いました。リリスが助けた命を無駄にする訳にもいきませぬからな」そう言ったリリスのお母さんの言葉に俺は疑問に感じたことがあった。もしかしたらリリスとリネスが親子だとしたら。この村がリネスの生まれ育った故郷だと言うことになるのだ。だがそうなれば、俺とリリスとが初めて会った場所は一体どこだったのだろうかと、そして俺はリネスのことをもっと知りたいと強く思い始めたのであった。俺はリネスのお母さんからリネスのことを聞いた後、リリスのことをリネスに尋ねる。そしてリリスのことを全て理解したのであった。そしてリネスは、自分が、リリスであると名乗った上で、本当の名前を言うべきかどうか迷ったらしいが。最後にはリリスと名乗ることにしたようだ。その理由は。
「だって、リリスがリネスに何かあった時のためにって、私の名前を使ってくれるって、そして、私がリリスになって。リネスが戻ってくるまではリリスと名乗ってくれてもいいよって言ってくれたからなの。だから私はこれから、リネスの代わりにリリスになることに決めたんだ!」と俺に告げたのであった。
俺が、リネスから話を聞いていた時だった。俺達の元にサーヤとアリシアが戻ってきたので俺はリネスのことを紹介するとサーヤとアリシアは、リネスのことがリネスに似ていると言う。そして二人からは、リネスが、リリスだと聞いて驚く。
それからしばらくすると、リリスも家に戻って来たので、みんなは俺の転移の魔法で家に戻ることにする。
リネスが「もう行っちゃうの?」と少し寂しそうにしていたので、またすぐに来ると約束をしておいた。そしてリリスも嬉しそうにしていて、リリスとリネスが二人で仲良く抱き合っていた。そんな光景を見つつ俺はこの世界のことをリリスから聞き出すと、リリスは、今までの経緯を語ってくれる。
まずリリスと俺の出会った場所で、リリスがオースに殺される寸前だったこと。俺と別れて、リリスとオースはリネスのいる場所にたどり着いたこと。そこでオースとリリスの間で会話が行われてオースがリリスに自分の血を与えたことを説明してくれた。リリスの血を受けた瞬間、リリスは気を失ってしまい、気がついた時はこの洞窟のそばにいたことなどを話してくれる。俺は、その話を聞くことで俺が気を失う直前に見た夢は現実に起きていたものだと分かった。リリスの話を聞き終えた後に俺は彼女に言う。
「ありがとう。君が俺の前に現れてくれなかったら。この世界に来れていなかった。俺をこの世界に連れてきてくたことを本当に感謝している。それと君のおかげで俺の命を救うことができたことも本当にありがとう!俺も、そしてリネスとサーシャもアリサさんも含めて、みんなのことを心から守りたいと思う!リリス、俺と友達になろう!」
俺は彼女にそう告げると。彼女は涙を流して。「うん」と一言答えてくれた。こうして俺は彼女達の友達になれたのであった。俺はこの世界に来たことによって色々な人と知り合えてよかったと思ったのである。
俺はサーニャに抱きつかれたままでいたのだが彼女は「私ね、初めてルウくんと出会った時に一目惚れしてしまったみたいなの。それから、一緒にいる内にますます好きになっちゃったみたいで」と言われてしまう。俺だって彼女のことは大好きだが、俺に抱きついてくる彼女の表情はとても切なげなものになっていた。そのせいか俺は彼女が可愛すぎて、抱きしめ返したくなる衝動を堪えながら俺は言う。
「そっか、でも俺だってサーナのことが好きなんだけど」
「えっ?ほんと?」と俺の言葉を聞いて嬉しそうにしていた。そんなサーニャに対して俺の気持ちを伝える。
「ああ、大好きだぞ」
俺が彼女のことを大事にしているということが伝わったらしく。彼女は顔を赤くしながら「じゃあ結婚してくれる?」と上目遣いに俺の方を見ながら尋ねてきたので俺は答えてあげる。
「ああ、いいとも」
すると、突然、サーニャの目が見開き、俺の方を向いたまま、俺の顔の前に顔を寄せてきて「やったぁ〜!!」と言って俺の胸に抱きついてきたのである。どうやら俺はとんでもない子を恋人に選んでしまったようであった。
そしてサーニャの頭を優しく撫でていると、今度はサーニャは急に真面目な顔つきになると。
「ねぇ、お願いがあるんだけど」
俺は彼女の言葉に嫌な予感を覚えた。もしかすると俺はとてつもない爆弾発言をされてしまったのかもしれない。
そして俺の予想は当たっていた。「私とキスしてほしいの」と言われたのだ。
そして俺の返答は決まっている。断るわけにはいかないのだ。何故なら俺にはサーニャとキスをしなければならない理由がちゃんとあるからだ。
俺は彼女にその理由を告げると、「そうなんだ、わかった。私頑張るよ。ルウ君のためならどんな事にも立ち向かってみせるからね!」と言って笑顔になったのである。俺としても、ここまで言われてしまえばやるしか無いのであった。そしてサーニャが目を瞑って俺からの合図を待っている状態になり俺は彼女と口づけを交わしたのである。
すると俺と唇を重ねていた彼女はとても幸せそうな表情をしながら、「私、今凄く幸せな気分になっちゃって、今ならなんだってできる気がするの、だから、だからこれからもずっと一緒にいて下さい。私、あなたと一緒なら何でもできそうだから。そしていつか子供ができたりしたら最高に幸せな生活が送れるんじゃないかなって思うんだよね」そう言われた。そして俺は答える。
「俺も同じことを考えていた。きっと俺達は同じ考えを持っていたんだよな。だから俺はお前とこれから先の未来を一緒に歩むために絶対にお前を守ると決めたんだ。だから、俺と結婚してほしい」俺のプロポーズを聞いた彼女は涙を浮かべて「はいっ」と答えてくれたのだった。そしてお互いに指輪を渡し合い、お互いの左手薬指にはめ合ったのである。俺もこんなにも嬉しいことがあるなんて思ってもみなかったが。
俺は今、幸せすぎるほど幸せで溢れ返っている。だが、それは一瞬にして終わってしまうことになったのだった。
「ふははははは、お前達をこの私が倒して。そして我が妻として一生こき使ってやるから覚悟しておけ!さーせん。調子に乗ってました〜」
そんな奴が現れてしまったのだ。その者は、あの時俺たちを殺しにかかってきた者だったのだ。その者はサニャに向かって斬りかかる。俺は慌てて間に入り。彼女を護ろうとしたその時だった。なんと斬られてしまい。地面に転げ落ちたのである。そしてサーニャを見ると彼女は無事だったが。代わりに俺の方が酷い状況に陥っていた。
しかしなぜか痛くないのだ。それどころか傷一つ無くなっていたのである。不思議に思いながらも起き上がるが目の前の状況が把握できないままだった。しかしそこでリリスの声が聞こえる。
『ルーアさん。私は今あなたの体の中に入ってます』
いきなりのリリスの言葉の意味がよくわからなかった。なので俺はとりあえず、リリスを外に出してみた。すると俺が思った通りで、リリスを外に出したら体が元に戻ったのだ。俺はリリスに「どういうことなんだ?」と尋ねた。すると。リリスから説明を受け、ようやく納得できたのであった。俺が、サーニャとキスをすると決めたのもこのためだったのだ。実は、俺がこの世界に来る直前に見た夢とはリリスが、俺の魂と肉体を分離させて自分の体に入れるという内容のものだった。リリス曰く、リネスの時と同じように、俺とサーニャに何かしらの力があれば成功させられると言っていたが、俺はリネスの時のように、力が無いと判断されてしまっていた。だから俺の体を元に戻せなかったのだろう。そして俺はリリスに礼を言いつつ。
「これで俺も、あいつに勝てるのか? リリスはあいつの強さは、俺と同等もしくはそれ以上だと思っているようだが」
俺が尋ねるとリリスから「そうですね。私の能力を使わなければ厳しいかもしれませんが、私もルーアさんと一緒に戦いたいと思います」と返事が帰ってきた。そして俺も「もちろんだよ。俺がリリスのことを全力でサポートさせてもらうから」と言うと、リリスが「よろしくお願いします」と嬉しそうにしていた。俺はその姿を見て少し微笑ましくなったのであった。
そんな会話をしていると、例の人物が俺達に向けて剣を振るってきた。俺がそれを素手で止めようとしたが、リリスが止めるように指示を出してきた。そこで俺もリリスの言いつけに従い攻撃を止めると、リリスの指示で俺達は距離をとった。それから俺とリリスでアイコンタクトをしてタイミングを計ることにしたのである。俺達が距離をとると。奴は追いかけてくることもなくこちらの様子を窺い始めたので、リリスは俺に言う。
『ルウさん、私に任せてください。少しだけ時間を稼いでもらってもいいですか?』
リリスに頼まれたので俺はリリスを信頼して任せることにし、時間を稼ぐことにし、その間にリリスと会話することにした。
「ところで、俺はこれからどうすればいい?」
俺がそう聞くとリリスが言う。
『とりあえずは私に全てを託すように念じていただければいいです』
俺はリリスに言われた通りにするとリリスに全てを委ねることに成功した。
「じゃあリゼはもう、魔族たちに俺がここにいるって伝えたのかな?」俺がそんな疑問を口にすると。リリスは俺の考えを否定した。
「いいえ、伝えてないようです」
「えっ!? なんでなんだろ? リリスのことを伝えたら絶対助けに来てくれるはずなのに」
俺の言葉にリリスも「そうなんです。確かにこの世界にいればいずれ私のことを探すでしょうけど。それにしてもなぜ、この世界に来れないのでしょうか。私にはわかりません。私としたことが迂闊でした」と、悔しさを滲ませながら口にしていた。
それから俺はどうしようか迷っていた時にリネスとサーシャが俺の前に現れてくれた。そして俺の方を見て。
「よかった〜!! やっと会えた。私たち心配したんだよ」と言ってサーシャは俺に抱きついてきたので俺も抱きしめ返し。リネスはサーニャに「ルウが本当にごめんね」と頭を下げて謝っていたので俺がサーナの事を気にしていると勘違いしたサーナは、「ううん、全然大丈夫だよ。それよりルウくんの怪我が治ってくれて本当に良かった」と言って俺の方を向いたときに、彼女の頬に一筋の光が通った。それが涙だとわかったサーナは自分の目元に手を持っていきながら泣いていることに気づき。「あれっ? 私どうして泣いちゃってるんだろう」と戸惑っているようだったので俺は彼女に近づいて頭を撫でてあげた。
俺の行動が嬉しかったらしく、彼女は「ありがと」と言って俺の胸に顔を埋めていた。
するとそこに「見つけたぞ、魔王」と言って現れた奴がまた俺に襲ってくるが、リニスが前に出てきて、俺を守ってくれた。
「おい、俺に用があるなら俺を呼べばいいだろ」
俺の言葉にリゼとサーラも現れて、サーニャの横に並んで武器を構えた。そして俺はサーニャとサーニャに声をかけてみる。「2人はここで待っていて欲しいんだ。ここはリリスに全部まかせて欲しいんだよ」俺の言葉に2人とも渋々ではあるが、了承してくれ、その場から離れることになった。
そしてサリスたちが離れた後で俺は奴に向かっていった。
俺はとりあえず拳を握りしめると殴りかかったのだが簡単に止められてしまった。そして俺の腕を掴んだまま、俺を投げ飛ばそうとしたので俺も掴まれた腕を振り解いて逆に相手を蹴り飛ばしてから俺はリリスとの打ち合わせどおり。相手の気をひく為に攻撃を続けて隙ができた所で、俺はリネスに合図を送り、リリスにはリゼに合図を送ることにしたのだ。俺が合図を送った後にリリスが「リネス、今よ!!」と言い出したが、俺と奴が戦っている最中なので、リネスたちは動くことが出来ない状態だった。俺と奴が打ち合いを続けていると、ついにリネシアが「みんないくよ!」と合図を出して全員同時に動き出し俺も相手も驚いていたが。すぐに俺は、俺とサーニャ以外の全員の力を自分の中に取り込んでみせた。
俺が皆を取り込むのに成功した直後。
「貴様! その力はなんだ。まぁいい。それよりも我はリリスがこの世界に現れたとの報告を聞いて急いで駆けつけたというのに。なぜ貴様はのうのうとこんなところにいるのだ。答えてもらおう」
その者は突然俺に向かってそう告げてきた。俺が「お前誰なんだよ」と答えると。そいつは笑い出して言う。
「何を言うかと思ったが、忘れているようだな。ならもう一度名乗ってやるが。私はお前たちの世界での魔王だ。お前のせいで我が世界が大変だというのに。お前がこんなところに居て何をしてるのだ。早く戻ってこい。この役立たずめ」
「うるさいんだよ、俺がこの世界にいたら何か問題でもあるっていうのか?」
俺の問いに魔王と名乗った男は、「もちろんだとも、なぜならこの世界はお前がいなくなって、我々魔族の世界になっているからだ。だから早く戻るがいい、でなければこの世界を壊すことになってしまうのだ。だから早く戻れと言っているのだ、理解したらこの世界の者たちは諦めることにしお前を連れて帰らせてもらう。それでいいのだな?」と意味不明なことを言ってきていた。俺はそんな言葉を信じられるわけがなかった。俺が黙っていると。リネスから連絡が入る。
俺はその報告を耳に入れると、やはりリネスたちもこいつが現れた理由がわからないみたいだった。俺とリリスがリネスたちと話している間にも戦い続けていたが奴はなかなか本性を現さない。俺と奴の戦いにリゼとリゼの仲間である4人も参戦してきて、さらに激しい戦いになっていたがリリスの指示で俺がリリスに全てを預けた状態で俺は攻撃を避け続けることに専念していた。そしてしばらくすると、奴の動きが鈍くなってきているのを感じた俺は。今だと思い、一気に奴との距離を取るために後方に飛び退き、それと同時にリリスも後ろに飛んだ。
俺達が距離を開けたのを確認すると。
奴は俺との距離を確認しながらゆっくりと歩き始めた。しかし俺が逃げないことがわかると奴は一瞬驚いた表情を浮かべた後。
「ふははははは、馬鹿が、そのまま大人しくしておれ、お前を逃さないようにするためにここまで来てやったのだから」と、そんなことを言う。そして「これで終わりにしてやろう。覚悟しろ。我は魔王だ。我の最強の技を受けて生きて帰れたものはいないから、さあ、死ね。そして、我らの世界に戻ってこい。お前は必要のない人間なのだから、おとなしく言うことを聞くのであれば許してやってもいい」と言う。
「そんな脅しにはもう俺は乗らないぜ」
俺がそう答えると「仕方がない、それならば死んでしまえ」と言ってきたので、俺の体が勝手に動き出したので俺も奴の体に乗り移ったような状態になって戦い始めるのである。それからも、戦い続けていて俺は、リゼたちと合流をすることにした。そして戦いを続けながら俺はあることに気がつくと、俺は一旦リリスと別れて行動することにした。
リリスには奴がどこに現れるか見当がついているようで、その場所を教えてもらったのだ。俺はそこに向かい、そこで待っていたのは奴と仲間達だった。だが俺はそんなことに驚きはしなかった。なんせ魔王を名乗る奴がたった一人しか現れないとか普通に考えておかしい話だし、そもそもあいつらは本当に魔族なのかすら怪しいくらい弱いのだ。
俺の目の前で奴は余裕を見せびらかしていたが。俺はそんなのを気にせず俺は奴に殴りかかり、あっさり避けられたが。俺はすぐに剣を出現させて切りかかるが、剣でも同じように簡単に防がれてしまい、俺はリリスが言っていたことが間違いじゃないと悟っていた。
そして奴と仲間たちとの戦闘は続き。俺も参戦すると。今度は奴の力が弱まっていたため、俺たちが押していく展開になりつつあったが、それでもまだ奴は全力ではない感じではあった。それから俺が、リネスに連絡すると、リリスの方は片がついたみたいなので、俺はサーニャの方に向かったのだが、リリスの話だとどうやらすでに決着はついていたらしい。サーナたちが無事なことだけを確認したら俺もリネスとサーナに合流することに決めて移動を開始しようとしたところで、俺をこの世界に呼び出して。この世界を崩壊させると言って来たあの奴が現れると。リリスに「ごめんなさい。やっぱりルウさんの読み通りでした」と言われて、俺はどうしようもない気持ちで一杯になるのであった。そしてリネスに謝られて俺は少し泣きそうになってしまったが、我慢をした。
俺がリネスの言葉の意味を考えている間にも、リリスが奴をなんとか抑えようと頑張ってくれていたが、奴の力の方が勝っていたので、奴を追い詰めることができたのが現状で、俺はそのタイミングを狙ってリネスに合図を出したのであった。するとサーニャが、突然光を放ち、俺は思わず眩しさのあまり目を閉じてしまったが、光がおさまったあとでサーニャの姿を見た時には驚いていた。サーニャは人型のドラゴンに変化していたのだから。サーニャは俺を見つけるとすぐに近づいてきて、「私ねルウくんに会えたから本当の姿になれたの、私ね、ルウくんの側にいたくて、そうしたらルウくんが会いに来てくれて嬉しかった」と言って笑顔を俺に見せてくれるのだった。
俺達はリゼの仲間たちと合流していたのである。俺はサーナの変化について尋ねてみることにした。するとリニスとサーニャはお互いに顔を見合わせて「えへへ、実は私たち結婚しているの。サーナさんがルウくんに会いたいっていうから連れてきちゃった」と言って照れくさそうにしていた。俺がサーナを見ると、恥ずかしそうにしているサーナだったが、俺の顔を見て「お兄ちゃん」と小さな声で言った後、俺に抱きついてきていた。俺もサーニャの事を優しく抱きしめ返す。リゼもサーニャの変わりように驚いていたが、サーニャの事を抱きしめると、サーニャも「ありがとう」と一言だけ言うとリゼにぎゅっと抱きしめられていた。
それから俺達は魔王と対峙して、奴を倒すことにした。
「貴様らが私の相手になると? 笑わせてくれるわ。この世界での最強種族がこの魔王であるこの私である。お前たち雑魚共とはレベルが違うのだ」と言い放つ。リリスは俺が魔王を殺せば元の世界に戻ることができるかもしれないという話をして俺が魔王を殺すことに決めた。
俺が剣を構えると魔王も武器を構えてきた。魔王は両手にそれぞれ持った剣をまるで自分の手足のように使いこなし、さらに魔導士のような術を使ってきたりしてきたが、俺も魔剣士としての技も使うことができた為なんとか互角に近い戦いができるようになったのだが。俺の方は奴の体に憑依できるが。向こうが俺の中に入ることはできないようだ。
俺も魔剣を出すのだが、この魔剣もなぜか俺の意思とは無関係に使う事ができ、そして魔剣を振れば当たるという不思議な感覚がある。そして奴は魔法を使う際に魔力を自分の周囲に纏うような動きを見せたりもしたが、その行為も全て俺にとっては脅威に感じることはなかった。
俺はリリスに言われたように魔王にトドメをさすために行動を開始した。そして俺はリリスの作戦を実行することにしたのである。
俺は魔王の動きを止めるべく、魔王の足に斬りかかったがそれを読まれていて回避された。だが、俺が狙っていたのは足への攻撃ではなかった。俺はリリスに指示されて、俺の分身を10人ほど作り出した後に、俺に魔王を任せたと伝えた。そして俺が魔王に斬りかかって魔王と打ち合い始めたのと同時にリリスの分身達が一斉に動き出して魔王の両腕を押さえつけたのである。
魔王が動揺して一瞬固まったのを俺が見逃すはずがなく魔王を蹴り飛ばして魔王は壁に激突して動かなくなったのを確認してから、すぐに魔王の方に走り寄って止めを刺そうと近寄るが。魔王も最後の抵抗をするように、起き上がり俺に剣をふるって来るが。俺の体を切り裂く事はできなかった。俺はそんな魔王の首を切り落とし絶命させ。これでようやく終わると思い油断したのがいけなかった。
魔王の首を斬る前に一瞬隙が生まれてしまい、魔王の体が一瞬消え去ったかと思ったら、いつの間にか俺の後ろに立っていたのだった。そして次の瞬間、俺は背後から衝撃を感じ地面に叩きつけられてしまう。
「くくく、危ないところだった。さすがの私も死の危機を感じるほどの戦いになったぞ。お前を舐めていたことを許して欲しいが、さてここからが本番だ」と言ってまた攻撃を仕掛けてくるのだった。俺は魔王の攻撃を防ぎながら反撃をするタイミングを狙って攻撃を続けるが、全く攻撃が通る様子はなかった。
そんな時、リリスが魔王に話しかけた事で状況が変わった。
俺と奴との戦いが再開したが、俺はもう勝負は決まっていると感じていたので気を抜いてしまっていたのである。俺と奴はお互いの一撃を防いで後ろに飛んだのだが。奴の剣が手からこぼれ落ちて、奴の手から離れていったのがわかった。そこで、チャンスだと思って一気に攻め込もうとした俺だったが。突然後ろから強烈な衝撃を受けたのだった。俺は訳がわからず混乱しながら、奴から離れてリリスの元まで戻ると、「ルウさん、申し訳ありません、さっきのは時間差攻撃です。今頃、あいつの本体は安全な場所に避難していと思います」と言われたので、俺は急いで奴の体から飛び出して奴に攻撃を仕掛けるが奴の姿が見当たらない。俺は周りを確認すると俺の目の前から消えたはずの魔王が目の前にいた。俺は魔王に殴られて吹き飛ばされて壁に衝突してしまい動けなくなってしまった。
「ふはは、どうやらここまでのようじゃな」と言って俺を殴ろうとしたところで、リリスの奴の頭に杖を叩きつけて動きを止めてくれたのである。俺はその隙をついてすぐに体勢を立て直すが。奴はすぐに振り向いて俺に向かってくるが、俺はリリスのおかげで何とか攻撃を避けられたがリリスの方も、奴の仲間の奴に邪魔されてしまったのである。
「お前だけは、許さない、私の大事なものを壊そうとする者は許せない」そう言って奴が怒りの形相で向かってきた。リニスの話では、あいつがリリスとサーナの住んでいた家を燃やすきっかけを作ってしまったらしいのだが。俺もそんな話は知らなかった。そんなことを言い出した奴は、剣をリリスに向けて突き立てようとしたがリリスの奴が避けずに剣に貫かれてしまい血を流して倒れ込んでしまうが「リネス! 早く治してくれ」と言ったので俺は慌ててリネスの元に駆けつけたのであった。
俺がリネスの治療をしているとリリスの奴がリネスに、なぜ避けようとしなかったのかを聞いたのである。リネスによると自分が傷つくことで仲間に手を出さないで貰えるかもしれないと、考えたらしく。リネスは死ぬつもりでいたみたいなのだ。
俺はリネスのことを治療すると「馬鹿なことを言うんじゃねぇ。お前が死んだら俺は誰を頼ればいいんだ。俺はリネスが好きだ。リネスのことを守ってやりてぇと思うんだよ」と言って俺は泣いていたらしい。リネスは俺の言葉を聞くと涙を流して謝っていた。そして俺は改めて魔王を睨みつけていたのである。すると魔王は俺が怒ったからなのか、それとも仲間が傷ついたせいかはわからないが。俺に襲ってきたが。俺の怒りは最高潮にまで達しており、簡単に魔王にトドメをさせたが、その瞬間に奴から強い衝撃波が放たれたのだった。だが、奴も相当ダメージを受けたようでそのまま意識を失ってしまい、俺はすぐにトドメを刺しにいった。奴はまだ生きていたので確実に殺す必要があると考えたからだ。奴も最後に俺を呪いの言葉で罵倒してきたが俺は無視をして奴を斬りつける。奴の体に剣が食い込むのを感じたので俺は、このまま倒せると思ったがその時、俺は誰かが腕を掴む感触を覚えたのだった。
俺は、咄嵯の判断で、剣を振り下ろしてそいつを切り捨てようとしたら、奴の仲間が俺の腕を掴んでいたが、そいつも俺の力によって斬られてしまったのである。そして俺はすぐに奴から距離を取って奴の様子を確認した。すると奴の体は俺が殺したと思っていた奴が消えていたのである。そして奴の気配もなくなっていたことから俺は、あの時感じた違和感の原因はなんとなくわかっていたのでリニスとサーナに念話で連絡を取り状況を確認をしたのだった。
俺とリリスとリリスの仲間達の活躍で魔王を倒したが、まだ終わりではなかった。俺は魔王が残した言葉を聞いていたからこそ、魔王の最後の抵抗に警戒していたのである。だが俺が想像していたよりも遥かに厄介なことが起こったのだった。奴の仲間の魔族が現れて俺たちの邪魔をしだしたのである。
リネスの奴が俺に「あなたたちが、魔王を殺さなければ私たち家族は平和に暮らせていたはず」と叫んでいたが、リリスの奴に「あんたが余計な事をしなければよかったのよ」と言われて、リリスに文句を言い始めていた。だが俺が二人の喧嘩を止めている時にリネスが「リリスさん、あなたが私たちの生活をめちゃくちゃにしたのよ」と言い返してリリスに詰め寄っていた。
俺もリリスの事は信用できないと思っているのでリネスの気持ちも理解できたが、リネスの奴は何か誤解しているみたいだった。リリスの話では、あいつがやったことは、あくまでも偶然の事故でたまたま家の周りに魔族の集団が住み着いて居ただけと言うことだったので。リリスも魔族に殺されないように仕方なく家に火を放って追い払ったという事だと説明した。リリスの話を聞いた俺はその話が信じられなかった。
なぜなら俺も魔族が村の周りに住み着くのを見たからである。俺の村に魔王の部下が現れたのも、もしかしたらリリスのせいじゃないのかと疑問が沸いてきた。だから俺の質問に対して「それは、本当に私が知らないんです。私はこの世界の人間ではありません。別の世界で生きていました。でも、ある日気がついたら、ここに来てました」と言って俺の問いに答えたのである。そしてリリスの話を聞いて俺は、リリスを信じるしかないと判断したのである。リリスはリリスなりに自分の生活を守ろうとしていたことがわかったのである。リリスが自分の世界に帰ろうとしてた理由はリネスが魔王の娘だという事が関係していたようだ。
だがリネスもそんなリリスの行動には納得ができなかったようである。二人は口論になってしまって結局二人とも俺の提案に乗ってくれる事になった。まずはリネスの家に行って事情を説明するとリネスとリリスはリネスの家に行き、それからリリスは魔王のところに戻ってリリスの話をすることにしたのである。リネスは、すぐにサーヤと一緒にリリスとリリスの仲間を連れて俺のところに戻ってくる。それからすぐに俺達は転移魔法を使って魔王のところに向かったのだった。
俺は急いで魔王城に向かうと、そこには瀕死の重傷を負った魔王がいた。
俺は急いで駆け寄り魔王に止めを刺そうとしたが、魔王が突然笑い出して、「もういいじゃろう。もうすぐわしの役目が終わろうとしている。さすがに限界じゃ」と言って、そのまま動かなくなったのである。俺は慌てて奴の首に近寄ると奴から強烈な衝撃を受けた。俺は魔王から離れて「お前は一体何をしたんだ」と問いかけると、奴は「さっき、お主の攻撃を受け止めて吹き飛ばされたのは、時間を稼ぐためだったのじゃ」と言ってから俺を見て、「さて時間稼ぎもここまでじゃな」と言ってきた。俺は何の事か分からなかったが奴から発せられるプレッシャーに押しつぶされそうになったのだ。奴は、そんな俺を嘲笑いながら話し出したのである。
「お主に聞きたい事があるのだろう。わしの予想だと、お主は、異世界から来た勇者なのだな。そうでなくてはおかしい。お主のスキルの中には魔王殺しなど存在せぬからのぉ。さぁどうなんだ?」と俺に聞いてきたので俺は正直に自分が異世界人であることを話して、魔王が言っていることを否定しようとしたが、その前に魔王は「やはりな。さてどうするかな」と言っていた。
俺はその態度が許せなかった。俺は「俺の故郷に帰る方法があるのか? お前の知っている情報を全部俺に話すつもりはないのか」と聞くと魔王が「あると言えば嘘になるのじゃ。わしは、この世界に長く居過ぎた。もう、あの世界には帰りたくない。じゃからもう、あの世界に戻れないのは事実じゃ。じゃがな。方法は教えてやれる。ただ条件があるがの」と言ってきた。俺はその言葉を聞いたときに、もしかして俺の願いを聞いてもらえるのではないかと期待をしたが、奴が続けた言葉で、それが勘違いだったことを知ることになる。
魔王が言うには「お主の力でこの世界の魔物を全て従えてくれ。その力があれば、わしは安心して死んで行ける。そうすれば元の世界に戻すことも可能かもしれん。だが断るならここでわしの息の根を止めるがどうするつもりだ?」と俺に向かって言ってきたのだった。確かに俺も、奴を殺すのは気が引けていた。俺はリネス達にも聞いたのだがリネス達の話では俺の実力がどの程度なのかはわからないが。俺の仲間たちの方が強いという話で、奴らが従うくらいに強いと言う事である。しかも俺も【神の癒し】があるから奴がいくら強くても、殺すことができる自信はあったが、問題は奴が、そんなに簡単に死ぬように思えなかったので俺が殺すのは最後の手段にしておこうと考えていた。
それに俺には、他にも試したいこともあったので奴の提案を受け入れることにした。俺は、俺の仲間達と、魔王軍の魔族たちを全員集めてもらい俺とリネスの故郷の村を守るように頼んでおいた。俺の言葉を聞いた仲間達は、みんな喜んでくれた。俺は奴の出した条件を了承すると、リネスの母親は泣いて喜んでいたので、彼女には申し訳ないと思いながら。俺はリネスの母親の肩を抱いてあげて泣かせてあげた。俺がリネスの母親の肩を抱いている間も、魔王がずっと俺のことを見ていたのである。
俺は魔王の頼みで魔物を従えるために、一度俺の村の周辺に行くとそこで仲間達に命令をして魔族たちには、俺に従うように伝えた。だがリゼだけは「あなたなんかに従わない。絶対に」と言い張り魔王を裏切り俺についてくると宣言をする。俺は仕方なくリネスを俺の元に呼ぶとリネスは嬉しそうな顔をしていたが、魔王を裏切るのはまずいと諭すと。それでも彼女は魔王より俺を選んで付いてきてくれると決意してくれた。俺は彼女に感謝してから、リネスに俺のステータスを見るように頼むと。彼女は驚いた表情を浮かべていたが、俺の事をじっと見つめてきた。そしてリネスが俺を見終わった後に俺の目の前で手を差し出してきたので、彼女の手を取ろうと思ったがなぜかリネスは俺を引き寄せてきて抱きついて来たのだった。俺は彼女が急になぜこのような行動をしてきたのかはわからなった。リネスの行動を見た魔王はニヤリとした顔になっていたが、俺がそれを確認する間もなく奴の姿は消えたのである。
俺が転移した後、奴は姿を消してしまって、俺はすぐに、リネスの両親がいる村まで戻ったのであった。それから、しばらく時間が経ってから、俺は魔王城に瞬間移動をしたのだった。そして俺の目の前に現れた奴に対して俺はいきなり殴りかかろうとしたら、俺の腕は何者かによって掴まれていたのである。それは俺の攻撃を止めようとしたリリスの両腕であった。だが俺は、そのままリリスの両腕を掴み返し強引に振りほどくと、魔王の顔に拳を叩き込むと「よくも騙したな!」と叫んでいたが。そんな事お構いなしに魔王を殴って行く。
リリスの仲間達が俺のことを抑えようとするが。それを無理やり引き離すとその勢いのままリリスを殴る。殴られているはずの魔王は平然としているので俺の怒りが更に増してくる。だが俺は、冷静になろうと思って、怒りを押し殺したが魔王に「少し落ち着いたほうがよいのではないか?」と声をかけられて、一旦深呼吸を行うと落ち着きを取り戻したのである。そして、これからどうするか考えた結果、奴の提案通り魔物たちを支配してしまおうと思ったのだった。
魔王に、どうやって俺の配下にするのかを聞くと、配下の者に直接触れて俺のスキルを流せばいいらしい。俺は、奴の言う通りに配下の者たちに触れて俺の眷属になるように命令を出す。そうする事で、俺は、魔物使いの力を手に入れて、この世界のすべての魔物を支配する事ができるという事だった。そして俺は魔王城を出てから、自分の支配下に置くために、リリスと共に行動を始める。そして、俺に攻撃を加えて来た連中は全て排除した。俺は、リリスとリリスの部隊を率いて森に有るという俺達の故郷の村に向かおうとするが、その前に俺は、俺の領地になったリゼル王国の王都に寄ることにした。
俺と俺の仲間が、この世界に転移させられてから、二か月近く経っていた。そして、俺の村に魔王の手下が襲ってきた際に俺は、魔王に復讐するために仲間を連れて俺の故郷である村に向かう事にしたのである。まず最初に俺は俺の村の周辺の魔物たちを支配しようと考えたのだ。
俺の故郷には、魔王軍に所属している俺の同郷の者たちが多くいる。だから、俺の村に危害を加える可能性のある連中の始末は必須なのである。もちろん魔王軍に関係していない者も沢山いたので俺は、その者達も全て支配することにした。その方が効率が良いからだ。俺が魔物を支配しようと思っていることはリリスの村に行けばすぐに理解できることだ。なぜならリリスの村は、元々魔物が住み着く場所で、そこをリリスと彼女の仲間達が住んでいたのだ。リリスの話だとリリスの住んでいた場所は、俺の生まれた村からかなり離れた場所にあるそうだ。その場所はここからだと俺が以前暮らしていた場所と反対方向に位置しているのである。俺とリニスが住んでいる国では、この大陸の中心に存在する国の周辺を王国と呼んでいる。つまりリリスは俺と同じ村の出身である可能性が高いということである。俺がそのことを考えると何故か心が熱くなるような感覚を覚えたのだった。その理由はわからないが、とにかく俺は早く故郷に行きたかった。そんなわけで俺は、俺が今住んでいる街にいる魔物をすべて従えることにしようと思ったのだった。
俺はまず初めに魔物の支配を始めた。俺は街の近くにある森の中に入っていき、まずは自分の仲間を増やすことにする。魔物の種類を色々考えてみた。俺の支配下に置いた魔物たちは、俺の意思に従い行動するから俺は指示さえすれば問題はないのだが。俺は念のため自分が倒したことのある魔物を中心にして配下にしたのだ。
俺は最初に向かった先は、オークの集落である。俺はまずは集落の周辺に【隠密】を発動して気配を消しながら移動する。すると数十体の魔物が集まって何か話している。会話内容まではわからないのだが、何やら騒いでいるのだ。俺は気づかれない様に近づいていくと俺はその話を聞いてみると、なんと驚くべきことがわかったのである。それは最近になってオークロードと呼ばれる存在が生まれたというのだ。しかも、そのオークロードは通常のオークロードではなく亜種の存在だという。通常のオークとは体の大きさが違うそうで、さらに他の種族の女性や人間を捕まえて、その女性を苗床にして新たなオークロードを生み出すとか言っていたので俺は頭にきて、「お前たちみたいな屑共がそんなことをするなんて許せない!お前達には死を与えてやる」と叫ぶと。オークたちは「なに!?」と驚いてこちらに視線を向けてきたので、そのタイミングに合わせて俺は奴らの群れの中に飛び込みながら魔法を放つことにした。俺は、俺に攻撃を仕掛けてきたやつらに雷を落とすと。残りのやつは剣で切りつけると、奴らは俺の動きが予想外だったようで簡単に死んでいったので俺は、奴らを拘束して連れ帰る事にするのだった。
それから俺は、リリスが暮らしている場所に一番近い町に向かって行きリネスの部下たちと合流してから、奴らのアジトになっている廃屋へと向かう。そこで俺は捕まっているリネスの部下と人質になっていたリネスを救出してから。俺は部下たちに魔物を殲滅するように命令して、魔物たちが逃げないように監視を頼んだ。俺自身はリネスの仲間たちと協力して捕らえていた人たちを解放していく。俺はリネスの両親を見つけると、俺はリリスと一緒に彼らに近づき話し掛けた。
「助けに来るのが遅くなって申し訳ありませんでした。ご無事ですか?」
「私は大丈夫ですが。あなたはどうしてここへ?私たちは、娘を人質に取られてしまいました。助けに来てくれたのなら有難いのですが、あの子が無事に解放されるかどうかが気がかりなのですが」と、リネスのお母さんは泣きそうな声で言っていた。
「心配はいりません。娘の命は私たちの仲間が必ず救ってくれます。だから信じてください」と、リネスのお父さんが、不安そうな顔をしていたので俺は力強く宣言してみせたのだった。
俺がリネスたちの救出を行っている間に魔物の駆除が完了したようだ。そしてリネスが「あなたは私の恩人だよ。本当に感謝してるよ。でもあなたって不思議な雰囲気があるね。なんだか私より大人びて見えるけど、見た目は子供だし」と言うと、リネスの仲間達が「確かにリリス様が言ったように不思議なお方ですね」と、言い始める。俺はそんな彼女達に「俺の事を話す前に俺が君達の事を助けに来た目的について教えておく。これから俺は君達の村に行かなきゃいけない用事が出来たので一緒に行く事とするが構わないかい?」と、リネスの両親の方に目を向けると二人は嬉しそうな顔をしながら了承してくれる。俺達は移動を開始するがリネスの部隊はこのまま町に待機してもらった。
そして俺はリネス達と移動を始めてしばらく歩いていると突然魔物が襲い掛かってきたので、俺の部隊の連中が対処したのである。そしてリネスは襲われた原因が分かったようで「もしかして、あれが原因かもしれない」と言ってから「実は、さっき襲って来た魔物の他にも沢山の魔獣が居るんだけど、それがすべてこの村の方角からやってきたんだよ。それに、魔物たちも普通の魔物とは違うからちょっと面倒かも」と言い出す。
俺もそれについては同意だったので「それじゃあ急いで村に戻ろうか」と、言うと彼女は嬉しそうに笑っている。俺は移動を再開するのであった。そしてしばらく進んでいると、リネスが俺に「そういえば名前聞いてなかったよね。ちなみに、私が名乗ったから次は君の番だから」と尋ねてきたので俺は自分の名前を答える。
俺がリネスに質問をして答えてもらっている時に、魔物の大群が迫って来る。俺はすぐにリリスの部隊に指示を出すと魔物の集団に立ち向かったのである。そして俺は【神速飛行】を使い一気に加速すると。まずは魔物を蹴り飛ばした後に、魔物たちを雷の魔法を使って倒しまくっていた。だが数が多すぎるせいで倒すスピードよりも新たに生まれる魔物の数のほうが圧倒的に多いため、キリがないのだ。それでも俺は戦い続けていたのだが。俺が戦っているとリリスの部隊が到着した。俺は彼女に魔物と戦うように指示して魔物たちを蹴散らしてもらう。
俺の部隊だけなら余裕なのだろうが。魔物の討伐に時間を掛け過ぎてしまうと思い。俺はリリスとリネスにリリスの配下とリリス自身の隊をリリスの村の人達の護衛に向かわせた。そして俺は一人で村まで向かうことにしたのである。村の近くに着くと俺はリリスから聞いた話を思い出しながらリリスの父親がいると思われる屋敷に向かった。俺は屋敷の前にたどり着くと門番をしていた兵士に声を掛けると俺のことを不審に思い警戒し始めた。そこで俺は自分が勇者だと名乗り。リリスの父親の居場所を教えて欲しいことを告げると兵士が慌ててどこかに行ってしまう。少し待つと先程の男性がやって来て。俺は案内された部屋に入る。そこには痩せ細っていて明らかに不健康に見える男が居たのだ。俺は彼に挨拶してから、俺は自分の素性とここにやって来た目的を話して、彼を安心させることに成功する。彼は魔王と魔物が暴れている事を知っていた。その事で彼の表情には焦りと怯えが見えたのである。
リリスの父親の名前はライオというらしいが、俺は彼のことはリリスの父と呼ぶことにする。俺が自分の村に急ぐ理由を話すと彼は納得してくれたので、俺は村の近くに向かうことに決めてから村に向かう。
リリスの村に到着すると俺はすぐに村の状況を確認をした。村の周囲に大量の死体と怪我を負った人が横たわっていたのである。おそらくこの人たちはリニスや彼女の仲間によって救われた人々なのだろうと推測できたのだ。リリスから聞いた情報だと、この村の人は魔王軍の襲撃を受けた時リニスたちの活躍で命からがら逃げることに成功したという。俺が村を見渡していると村の外から大きな爆発音が響き渡る。俺は音の方を確認するとリリスの父親がいて。俺は彼の元に駆け寄って話しかけることにした。俺は事情を説明すると彼は驚きながらも協力を快諾してくれる。俺はリネスにも通信機で伝えてから俺は彼と二人でリリスの元へ急いだのである。
俺は村の外にたどり着くと、そこにはすでに魔物たちを倒した後らしくて、リネスの姿が俺の視界に入った。俺はすぐに彼女にリリスの父親と合流に成功したことを報告する。リネスは「ありがとうございます。おかげで助かりました。それで、その方があなたが言ってた私の父さんなんですね」とリネスのお父さんと話す。俺はリネスの父と話をしているリリスを見て思う。俺は二人の親子が会話を交わせているのを眺めながら俺は、リネスに「リネス。俺の仲間たちに連絡して、こいつらを捕まえてくれと頼んでくれ」と指示を出して、俺はリネスからの報告を受けて。俺とリリスの父親は魔物たちを縛り上げていたのである。それからしばらくしてから、リゼたちが俺の元に到着した。俺は彼女たちを連れて一旦俺の家に向かった。
俺は、まずリゼルを家に呼ぶ。そして俺は、リリスの母親とリリスとクロナにリネス達を紹介した。次にリティアを呼ぶが彼女だけは来なかったので。どうやら何かしらのトラブルに巻き込まれてしまったみたいで。俺達は一度家に戻り。
リーゼが、リリスの両親のところへ行き二人を抱きしめていた。それから俺はリネスたちを連れて村長宅へと向かうことにしたのだった。そして、俺たちは魔物達と村人達の身柄を拘束するために村長にお願いすることにする。村長にリネスの両親の件を説明してから俺が二人に村の状況や村で起こったことを説明し始める。リネスはリゼルが村を襲わせた黒幕であることを説明したが、二人は特にリネスに対して不信感を抱くことなくリネスの言葉に聞き入っていた。俺は二人にリリスたちの紹介と今までの経緯の説明を行った後に今後の対応についても提案してみる。
「お二人が良ければこの家でしばらく暮していただいても良いですよ。もちろんリンス君やあなたの娘さんの事は守ります。ただこの家の地下に転移魔法陣を設置しているからそこに移動して欲しい」と言うと、村長は俺のことを見るなり涙を流しながら何度も感謝してきたのである。俺はリネスから聞いていた話で俺の事を信用してもらえないと分かっていた。それなのにあっさりと受け入れてくれるとは思っていなかったので驚いていると。俺の後ろに居たリネスから、「私のお父さんとお母さんだからね。信頼してない人に命を預けたりしないよ」と言う。俺は嬉しくなってしまい思わず「俺の負けだ。リネスはいい嫁になれるよ。きっと幸せになれるからね。俺に任せておいてほしいよ」と、俺はリネスを抱きしめるのであった。
俺は村長と話し合いをすることになった。そこで、今回の事件の犯人はリーゼだという事を伝えて、これからの事を考えていくことになった。俺としてはリネス達だけでもリネスの家に行ってほしいと思っているのだが、リネスの両親が俺について行くと言ってきかないのだ。そこで俺が「もしかしたら危険な目に会うかもしれない。だから俺につい来て後悔しないでください」と、俺が言うとリネスが「私のお父さんは絶対に死なないわよ。私のお父さんがそんな柔じゃないから。私は信じてるよ」と、嬉しそうな顔で言う。
俺はリネスのお父さんに俺の能力を伝えると俺のスキルの中に死者を操る力があると知っても、全く怖気付く様子がなかった。そこで俺はリネスの両親と一緒に行動してもらう事にしたのである。そしてリネスのお父さんは、リーゼの事について説明を始めると。
リリスの両親は、リリスとクロナは俺のところに居る方が良いのではないかと言ったが。俺はリネスの家族がこの先もずっとリネスたちと一緒のほうが良いと判断したため。リリスは、リリシアとリーゼは俺のところで生活することを決めて、俺はみんなを引き連れてリリスの実家へと向かったのである。そして俺はリリス達にこの世界のことについて詳しく話した。リリスたちは俺の話を真剣に聞いてくれた。俺もリリアからこの世界に来て、この世界で暮らしてきた。なので、これから先、リリス達にはこの世界で生きて行かなければいけない事を説明すると。
リネスは「やっぱり勇者様の側にいれば安全だよね。良かった」と言い。
他の三人も安心していたようであった。それからしばらくすると村が近づいてきたが。
なぜか魔物達がこの村に近づいてくるのが見える。
魔物の数は数百体にも及ぶ。
リリスの両親には隠れていてもらい。俺は一人で戦うことにした。
俺は魔物に向かって【風刃】を発動し次々に切り裂いて行く。そしてリネスの父親に、村の中の様子を確認してくると言ってから俺は、村に入り込んでいくのであった。
俺が村の中で戦っている時にリネスの父親がリネスの所に駆けつけて来た。
リリスはリネスと話をしている。俺は、戦いながら魔物の数を減らそうと奮闘するが。
数が一向に減らないので俺はリリスの父親に声をかけた。するとリリスの父は魔物を指差すのである。俺は魔物のほうを確認すると。魔物達は傷を負い血を流すと動きを止めてしまうので、魔物に攻撃を当てても倒せないことがわかった。そこで俺は魔物たちに止めを刺そうとしたときに、魔物が俺の攻撃を避けてから逃げようとするのが目に見えたので俺は雷の魔導銃を撃つ。俺はこの方法ならなんとかなると思い戦い続けていたが。
俺の予想に反してどんどん増えてくる魔物の数に俺は諦めかけるが。
リリスの父親の姿が俺の目に入る。俺はリリスの父親に話しかけてから、彼に魔物に攻撃をしてもらうと、俺は魔物を斬り裂くことに集中したのであった。だが俺は、さすがにこれ以上戦っても勝ち目はないので逃げることを決断することにした。だが俺はリリスの両親のことも考えるとこのまま村を出てしまえば。
村から逃げたことがわかってしまうので俺は悩んだ。俺がどうしようか悩んでいると、村の中から俺を呼ぶ声と、リリスの父親が魔物と戦っている姿が視界に入る。俺にはもうこれしかないと思った俺は、村の入り口まで走ると入り口に結界を張ることにした。これで魔物達は入って来れないはずだ。
そして俺とリリスの父親とリネスとクロナ、リネスの母親とリリスが村の中へ入りリリスのお父さんが村の入り口付近で魔物を倒し続けてもらっていたのである。
そして、俺とリリスのお父さんが協力して魔物たちを倒すことに成功したのだった。俺はまだ残っていた魔物たちを全滅させるために、リネスの父親に協力を求める。俺はリリスの父親が持っている槍を借り受けると、俺に攻撃を仕掛けてきた奴を切り捨ててから残りの魔物を倒して回る。
全ての魔物を倒し終わったあとに、リティスたちが合流したので。とりあえず俺の家の地下に向かうように言ってから俺とリリスの父親は、魔物の死体を村に運び始めたのだ。
そして、魔物の死体を運び終えた後で、村の様子を見るために俺は村の広場に行くことにする。
村の中心の広間に大量の死体があったので、俺は村の人を一人ずつ調べることにした。そして村人の中に魔物の返り血を浴びている者がいて俺に襲いかかってくる。俺の後ろの方で魔物が動く気配を感じて俺は魔物に振り向くと。リリスの父親の姿が確認できたのである。
「お父さん、やめて!その人を殺すのは待って!」とリリスが叫びながら走ってリリスのお父さんの元に走っていったのだ。リリスの父親の背中に抱きつきリリスはお父さんに「私のためにお父さんに人を殺して欲しくないの」と言う。リリスの言葉を聞いてリリスのお父さんは振り返って「私は、娘のためならば人だって殺して見せるぞ。例え相手が悪人であろうと、たとえどんな悪辣非道な人間だろうと。私はリリスの為ならばなんだってやってやる。それが私の生きる意味なのだ」と言い放ち、そして魔物と戦闘を始めるのだった。
俺も慌てて駆け寄ろうとした時、魔物たちが俺達の目の前に姿を現したのだった。リリスのお父さんと俺は共闘しながらリゼルたちと戦う。リゼルの実力は想像以上だったので俺は少しだけ手加減をしながら戦うことに集中する。
俺とリリスのお父さんが、連携を取り合い魔物と戦い始めるとすぐに決着が着いた。
そしてリゼルたちはその場から姿を消していたのだった。俺は念話でみんなに指示を出しながら魔物の討伐を終わらせていく。村人を全員保護してからリリスの両親の所に戻るとリリスが泣き崩れていたのを俺は目撃する。俺は、どうすることもできずにただリリスを見守っていると。リネスの母親がリリスのところに行き、リリスを抱きしめてリリスの涙を止めると俺達と合流してから家へと戻るのであった。
それから、俺とリリス達は、地下にある魔法陣で元の世界に戻ったのである。
俺は、俺の部屋に戻り一息ついていると、リリスから「ごめんなさい。私のわがままでこんなことになってしまって。お父さんがあなたに対して酷い事をしたことも本当に謝ります。でも、あの時は、そうしなければいけないと思ったの」と言われ俺は何も言い返せなかった。そして、リリスから俺に近づき唇を重ねてきた。
突然の事で驚いた俺だったが、彼女の事を見つめてから「リリスの気持ちはわかったから。俺のそばから離れないでくれよ」と伝えると彼女は涙を流して嬉しそうな顔をしていたのであった。俺は彼女を優しく抱きしめるのであった。そして俺達は一緒にシャワーを浴びるのであった。その後ベッドに入ると。俺は、いつも以上にリリスの事を求めてしまい。俺の腕の中には幸せそうな顔で寝るリリスの顔を見ながら俺も幸せを感じると眠りについたのであった。
俺が目覚めて隣を見るとそこにはリリスの寝顔があって幸せな気分になった。それからしばらく経ってもまだリリスが起きる様子がなかったのであった。
すると俺の体に巻き付いているリリスの腕が俺を抱き寄せるとそのまま俺にキスをする。そしてリリスが起き上がって「おはよう、私の旦那様」と言うので俺は、「俺の妻は世界一可愛いよ」と言ってリリスのことをまた抱きしめたのだ。すると今度は、俺の体の上に乗っていたリリスの足に力が抜けてしまったようで。リリスは、俺の上で気絶してしまった。そして、リリスは意識を取り戻し起き上がるが顔が真っ赤になっていて恥ずかしいのだとわかった。そんなリリスに俺が「大丈夫か?」と聞くとリリスは俺から目をそらしながらも「うっうん、私は大丈夫だよ。それより昨日、凄かったね。あんな事されたら私が死んじゃいそうだわ。これからももっと頑張って欲しいかも。それと、今度からは、夜遅くはやめて欲しいのだけど」と、小声で俺に言うと再び布団の中に潜ってしまうのであった。
俺とリリスは朝食を食べるためにリビングに向かい。そこで、みんなが笑顔で挨拶してくれた。
俺はみんなの姿を見て微笑むと俺とリリスはみんなと仲良く朝ご飯を食べ始めたのである。
「今日は、何かすることがあるのかい?何も無ければ。今日はこの世界に来ている異世界召喚組を集めようと思うのだが。みんなの意見を聞きたい」と言うとみんなが賛成した為、早速異世界召喚者達をこの家に集めることにした。まず初めにリリスがこの部屋に呼んだ人たちがいた。それは、黒騎士さんとその仲間の女性たちである。
彼女達は俺たちの家に入ってくると驚きの声を上げるとリリスを見て警戒をしていた。それから俺は、彼女に説明をして彼女たちを連れて部屋を移動すると、次にクロナとミホを呼んだのであった。この二人も、リリスと同じように彼女たちを見て驚いていたが、やはりリリスと同じで仲間に引き入れることが出来たので良かったと思った。俺は二人から、彼女達がどういった存在なのかを聞いてみたのだ。すると、ミホはクロナと同じようなことを話してくれ、リナはリネスと似たような話をしたのであった。そして最後にリティスがやってきたのである。リティスはリネスに「あれが勇者様なのですね。私にはわからないことがたくさんありますが。父上からはあなたの勇者様に会ってきなさいと言われていますので、どうか、私たちを救ってくれませんか?」と言ったのである。それを聞いたリネスはとても不安そうな表情をしていて。俺はリネスのことが心配で仕方がなかったので声をかけるとリネスは俺の方を向いて「私は、私には何ができるのでしょうか?正直私も自分の力がわからなくて」と言うが。リティスはリネスを安心させるように頭を撫でながら俺のほうを見たのだ。
俺もそれに合わせてリリスに目線を向けるとリリスが俺のことを信じろという顔をしているのがわかると、俺はリネスに声をかけるのだった。そして俺は、みんなにこれからの事を話し始めると、みんな真剣に俺の話を聞く。
俺の話は大方予想通りの結果になった。俺はみんなに、このままこの世界に残るか、俺と一緒に元の世界に戻るかを尋ねたのである。だが、ここで一つだけ問題が発生することになる。
俺の仲間たちがこの世界を自分たちが居ないほうが都合がいいと言うのだ。俺はそれに対して、元いた世界の現状とこちらの世界での現状を説明したのである。
俺は俺の元いた世界でも、リネスたちが住んでいた国のように奴隷制度が残っていて。そして奴隷たちが酷い扱いを受けていたのだ。
俺の話を聞いた彼女たちの反応を見る限りではかなりショックをうけたようだ。それから、クロナがリリスとリティスに向かって話しかけたのだった。
俺はリネスとリティスから聞き出す必要があると思い。リティスには「俺からいくつか質問があるけど構わないよね」と言うと彼女は素直に従ってくれた。俺からの問いかけにリティスは嫌々ながらではあるが応じてくれたのだった。そしてまず俺達はリリスを拘束するように指示をだす。リティスも大人しく従うしか無かったようで渋々と従ってくれたのだ。
それから俺は、彼女の胸を揉みしだくように命令を出したのだった。最初は抵抗をしていたが次第に快楽に流されていき最終的には彼女の口内まで弄った後に、俺はリネスに同じようにするよう指示を出すと彼女は戸惑っていた様子だったがすぐに了承してくれることになったので、彼女の耳を噛み舐めるように命じたのだ。そして彼女が絶頂を迎えるとすぐに次に移るように言い次のターゲットをクロナにするように命じると、彼女はリネスを気遣うがすぐに指示に従ったのである。それから、クロナはリネスと同様に、俺の指示に従うと、リネス同様に体を震わせていたのであった。
リネスがイってからしばらくしてから俺はリリスのところに移動する。そして俺は、俺に抱きつくリリスに離れるようにいうと。リリスは泣きながら拒否するが、無理やり俺から引き離す。
俺が何故こんな事をするかと言うとリリスから情報を得るためだ。
俺のその行動に疑問を持ちながらもリリスは素直に応じてくれ、俺の命令に従い服を脱ぎ始め、一糸纏わぬ姿になりベッドに横になるのだった。
それから、俺はリリスの体に手を這わせる。
彼女の反応が可愛らしくて、少しだけ興奮してしまいそうになるが何とか我慢をしながらリリスの体に指を触れていく。そして俺は彼女の胸に触れると少しだけ彼女の体がピクッとするが、俺がリリスにキスをしながら優しく彼女の敏感な部分に触れていく。するとすぐに、彼女の身体が震えて絶頂に達すると、俺はリリスに対して、「お前は俺の仲間だよ。わかっているよ。でも俺はこの子たちを幸せにしてあげなくちゃいけない。そのために俺の力を貸して欲しい」と言うと、リリスは嬉しかったのか俺にギュッと抱きしめてから涙を流す。
そして「ありがとう。でも私の体は、もう壊れかけているの。あなたのために使うことが出来るのであれば私はそれで満足よ」と言うと再び、俺の唇を奪うのであった。
俺も彼女の唇を受け入れるとお互いに唇を重ね合わせる。それからしばらくお互いを確かめ合うかのように舌と舌で絡み合いながら濃厚なキスを交わす。その後で俺とリリスは、体を重ねてお互いの愛を確かめる行為を行った。それから、俺は彼女に指示を出して。この世界に来ている者たちを集めてくる。
そしてリリスのところに戻ると、俺は彼女に服を着せてあげたのであった。
その後、俺とクロナたちはこの家を出て転移で異世界召喚者達を集める。
俺は異世界召喚者達に集まってもらって、リリスの父親に頼まれたことを伝えることにした。俺が説明をする最中に、クロナやリリス達に対して不信感を持っているような表情を見せるが、リリスから話して貰うことにして俺が合図を送るとリリスが説明を始めるのであった。そして、俺の伝えたいことを理解してもらえたら。俺はリリスにお礼を言うと。俺は俺の考えていることを説明する。
するとリリスが「そんなことしなくても。お父さんが私とお母さんが貴方達と一緒にいることを許してくれるのならば。私たちはここに残ります」と言ってくれたのである。
俺も嬉しくなり、思わず彼女を抱き締めてしまう。
そして俺達は、これからのことを相談することに決める。そして俺はリリスをこの部屋に呼び出した異世界召喚者以外の人たちと話し合いの場を持つことにしたのだった。まず最初にこの場に集めた異世界召喚者達を集めて俺の話を聞くことにするのである。それからリリスの父親とリザリスの母親がこの世界にやって来ている事と、彼女たちがこの国に潜伏している可能性が高いという可能性を伝えた。そして俺は、リリスの母親のほうは、俺たちがなんとかするつもりでいるが。父親のほうが心配でならないのだ。そこで、リリスの両親の居場所を知っている人物を探し出し協力をしてもらえるよう説得したいと思っているということを、この場のみんなに伝えた。
するとクロナが「そのことは、私に考えがあるわ」と言い始めたのである。そして俺は、クロナに「どういった方法なんだい?」と尋ねると。彼女は「私達の国に連れてくる」と言うと俺はクロナに「君たちの国? クロナの国のことなのかい?」と言うとクロナは「うん。私達の国は、リゼちゃんのお城だったのだけど。今では私が王様だからね。それに、今はリリスちゃんも住んでいるから大丈夫だと思うの」という。
それを聞いて俺達はリリスが国王になっていることに驚き、リリスの父親がクロナとリリスの母親に危害を加えようとすれば、彼女たちの身は安全だろう。そして、クロナの提案で俺たちがこれから向かう先は魔人の住む国であるライサさんの国になったのである。そして俺たちは一旦リーゼさんがいる城に戻ってくると。そこに居たのはライサさんだけだったのだ。彼女は俺たちを見て驚いていたのだが事情を説明し。彼女には魔人と話をするためにこの世界に来ている人たちを集めてもらいたいと頼むと彼女は快く引き受けてくれたのだ。俺は彼女の好意に感謝をし彼女に頼んだことをお願いすると同時に、彼女にこの国の今後について話を聞く。
彼女は「そういえば、あの人が何か言っていましたけど何でしょうね?」と言った瞬間に俺の脳内に「あの人とは一体誰だ?」と聞こえてきたのだ。俺は声の主を探そうとしていたら、クロナが急に話し始める。俺は何があったのかクロナの方を見ようとするが、彼女は俺の顔に手を添えてきたのである。俺はいきなりの事でドキドキしてしまったが、俺は「どうやら俺に用事があるらしいが、クロナは知ってるみたいだが俺にはわからないから教えてくれないか?」と言うと彼女は「わかった。教える。リリスとリゼルのことを教えて欲しい」と言われ。俺は驚いた。なぜならば、クロナは、リリスとリゼルの事を知っており。なおかつリリスとリーゼの関係まで知っているとは思ってなかったからだ。俺が困惑しながら、「どういう意味だ。俺は、クロナにそこまで教えた記憶はないはずだが、なぜ知っている。もしかしてお前がクロナではない別の誰かがこの世界の人間なのか?」と言うと彼女は「その通り」といいクロナが変身を解除し始めるとそこには見覚えのある人物が姿を現すのだった。その姿を見ると「やっぱり、リゼルなのか?」と俺は驚くが、彼女は俺に微笑むだけであった。それから俺は、彼女がどうして、この世界にきてしまったかを聞いたのだ。
俺がリゼと別れたあと俺は自分の住んでいたマンションに戻っていたのだ。
だが、俺が家に帰ろうと玄関で靴を脱いでいるタイミングで、リゼは俺の家に押し掛けて来たのである。そして俺は、突然押し掛けてきたリーゼに文句を言おうとしたが彼女の目を見るが。なぜかいつもより目力があり怖かったために何も言うことができなかった。
俺はリゼットの目が真剣だったので彼女の話を聞くために部屋に入れてお茶を用意することにしたのだった。そして、お茶を用意してリゼットに渡すと彼女は俺に話を始めたのである。彼女は俺に対して。今までのことをすべて話すのだった。そして俺が彼女と会っていない間の出来事を話してくれたのだ。彼女は、この世界で俺と再会するまでの間のことも俺に伝えてくれていたのである。
そしてリーゼは俺の事が心配になっていたのは事実らしくて。俺と連絡が取れなくなってからも、この異世界で俺を探すように動いてくれていたようだった。俺はそんなリゼットの優しさに嬉しく思いながら彼女を抱きしめて感謝をした。そして彼女が落ち着くと。リゼットに俺は、俺の考えていることについてリゼルとリリスのことを話し始めたのである。俺の話を聞くにつれて、リゼルは俺に怒りを覚えたのか、拳を強く握りしめていたが俺はリゼールに対して。彼女の頭を優しく撫でてからリゼに、リザリスを連れてくるために協力して欲しいと頼む。リゼルが少し戸惑っていたので俺に理由を聞く。俺は、リリスの父親とリザリスの両親がこの世界にいる可能性があるから、二人に協力してもらって、リリスの家族に会って欲しいとリーゼに伝えた。俺の説明に納得をしてくれたリゼルは、俺に協力することを承諾してくれると俺は早速。リネスたちと合流しようと提案をしたが。すぐにリゼルは賛成はしてくれるものの、クロナやシロナにクロナの仲間たちの説得が必要になるのでは?とリゼルが俺に質問してきた。それに対して俺は問題ないと思うから、すぐに出発をすることにしたのである。
俺はリネスと合流して、異世界召喚者達を集めるようにお願いすると。リネスは、すぐに了承してくれる。
俺はその足でクロナの元に向かうことにすると、クロナが城の入口で待っていたので、リネスに、他の人たちにも、異世界召喚者達を召集するように伝えてあることを告げる。するとリネスは少し嫌そうな表情を浮かべて「まぁ、いいですけどね」と答えるのであった。そして俺はリニスのところに向かわなければとクロナと分かれて城に向かったのである。
そして城に入り会議室に行くと既に異世界召喚者の全員が揃う。それから俺はリリスが魔王の娘であることと彼女の母親の所在について伝えることにしたのである。俺の話を聞いた異世界召喚者たちは動揺していたが、俺はクロナと俺の考えを伝えると、リリスの母親はリリスの父親とこの国に来ていることを説明したのだ。それを聞き終えると。俺はリゼとクロナと別れてからリリスの両親と会うことになった経緯を説明し始める。
俺が説明をしている最中もリリスの母親については、異世界召喚者たちの間で話題になっており。誰がその人物かを当てるゲームのようなものをしていた。そして俺が全て説明を終えるとリゼルとクロナが異世界召喚者を集めてきたのである。
そして、俺はリゼルに「悪いがリーゼに話したことと同じように説明をして、魔人側の国に向かって貰えるか?」と頼むと彼女は笑顔で俺の話を聞くとすぐに行動を始めてくれる。俺はその間に異世界召喚者達のステータスを確認した。そして、俺はリリスとクロナに魔人側に潜入しているリゼの母親を探し出してもらうことにした。そして俺はクロナのほうに向かい、クロナに魔人達とコンタクトをとる方法と。彼女たちに渡してほしいものがあると言ってそれを預ける。
俺が彼女たちに預けたもの。それは指輪だった。俺が用意したものは魔道具のアイテムボックスで。俺が彼女たちの魔力に反応するように魔法を付与したのである。
この魔道アイテムは、持ち主の認識をずらすことで、見た目を普通のリングと見分けることができなくなったり、所有者にだけ声を届けることができたりと様々なことができる優れものである。そして俺は魔人の国に入る方法を考えることにした。リザリスの力を使って魔人の国に入ろうと考えていたが。この国に入ったところでどうするべきか悩んでしまう。俺が魔人の国でやりたいことは二つありその一つが。リーザス村のような場所を作りたいという願いがあるのだ。そのためには、リゼルの協力を得られないとダメなので俺はまずリリスの父親と接触をするために動くことを決めた。
俺はまずクロナと合流して、それからリーゼントがどこにいるのか尋ねると。どうやら彼は今、この城の近くにいるようなのだ。そこでクロナと一緒に、リーゼンのところへ向かうとリーゼンは既に戻って来ており俺に抱きついてきたのである。俺はそんなリーゼンの行動に苦笑いをしながら、彼女を抱き抱えて。俺は彼女にお疲れ様と言うと同時に。彼女にリーゼの父親の情報について尋ねると「そうですね。リゼルの母親の名前は私と同じリザリゼなんですよ」と言い始めた。
それを聞いて俺は、もしかしたら、俺とリゼのように前世の家族関係かもしれないと思ったため詳しく聞いてみる。その結果やはりリゼの母親がリゼルの母親だと判明した。それで、彼女が魔人の国でどんな生活を送っているかも気になったが。今は魔人の国への侵入について考えたほうが良さそうだと判断し、魔人の国にどうやって入るかを話し合い始めることに決める。だが魔人の国の詳しい情報が手に入れられていないため、俺達は魔人の国についての情報を集めようと決めたのだ。それから俺はリリスから渡された手紙を見て考える。リゼルが言うにはその女性は、おそらくは魔人の国の国王になっていると予想できたのだ。だからこそ、俺たちはこの国の王に会いたいがためにこの国にやってきたのだが、現状は情報がないため俺はリーゼたちに、リリスの父親が居ると思われる、魔導研究所に向かうことを告げて出発する。それから、俺はリーゼの転移能力を利用して、俺たちをライサさんの国に運んでもらうためにお願いをする。リーゼは、俺の頼みを快く引き受けてくれたのだった。
俺がライサさんの国に移動するのに、リリスは、俺達のために移動手段を用意してくれていて。それは馬車よりも早いものだった。俺達が乗り込むとリーゼはすぐに動き出したのである。
それからリーゼたちは順調に進んで行き魔導王国の入り口に到着する。だが、なぜか、俺の予想に反して、門番がいないどころか人がいなかったのだ。そのことから俺は嫌な予感を覚えながらリーゼルに質問した。
「この国はこんなに人がいなくなるものなのか?」と聞くと彼女は、「そんなわけがない。だけど確かにおかしい。何か変なことが起きてる。でも何が起きたかまではわからない」と不安そうな顔をして答えたので。俺はリゼルが感じていることを信じてこの国の中を調べようと決めるのであった。そして俺たちはそのあと、この王国の探索を開始する。そしてこの魔導王国の異常さが明らかになってきたのである。そして、リゼルが「この建物に入ってみませんか?」と俺に尋ねて来たので「あぁ。調べてみるか」と言うと俺とリゼが扉を開けると中には数人の研究員が倒れていたのである。俺とリゼルは急いで駆け寄るが全員死んでいたのである。だが俺は疑問を感じていたのだ。この国の住人はリリスの話では、研究施設などには立ち入らないように命令が出ていると言っていたのになぜ彼らはここに入っていたのかを考えて、俺はリーザに話を聞きに行こうとした瞬間だった。急に地面が激しく揺れ始めて俺達はその場から離れると、巨大な生物が現れる。その大きさに驚いてしまった。その化け物は、人間と竜を足し合わせたかのような化け物だったのだ。そしてその怪物が喋った言葉は信じられない一言だったのである。
俺は目の前にいる。この魔導王国の元住人だったであろう化け物が「我こそはリゼルの母、そして魔王軍の最高幹部にしてこの国の王だったものだ」というと。俺はリゼルの方を向いてリゼルに質問をすることにした。彼女は、リゼルの母は魔王軍の将軍だったという情報を持っていると聞いていたからである。そして彼女が言うように、彼女は本当に魔王軍に所属していたようだ。そしてリゼは母から、父や自分がどのような経緯で産まれたのか聞いていると話してくれたのである。俺はリゼルに魔王軍がこの世界に侵略してくる前の世界でのことを聞いてみたいと思い尋ねた。すると彼女は「私の母は、もともとこの世界の人でしたが。ある時にリゼルの父に惚れて、結婚したらしいのです。そしてリゼルが生まれた後に、私たちの一族に呪いをかけられ、この姿になったと聞かされています。だから私はこの国を滅ぼされた復讐のため。そして、この国を襲った魔人を皆殺しにすることだけが、私が生きてきた目的でありました。それにこの姿になればあの魔人にもダメージを与えられますからね。私も早く、父と会いたいですが、父がどこにいるか分からないんです。ですがリゼルの話を聞いたら父の居場所に検討がつきました。おそらく父は魔王城にいます。リゼルとあなたの話を総合したら恐らくそこが父の居る場所ですから。そしてそこに行くなら、この国がどうしてこのような状態になっているのかを知る必要がありそうですね。」と話した。
俺とリーゼは、魔人について知るために、この国について調査を始めるのだった。
リゼの母親が、俺の考えていた最悪のパターン通りの人物であることが分かった。そして俺の想像以上に魔人は危険だという事が分かってくる。だがここで問題なのは、魔王の娘であるリゼルが俺に協力しているのはリゼルの意思で俺の仲間になっているわけではないことだ。つまり、このリゼルの母親も、リゼの父親と同様に。自分の娘を人質に取られているという可能性も十分にありえるのである。俺はリゼルに確認をしたかったのだが、俺にはどうしてもできないでいた。それは彼女の父親に、もしもの事があった場合に、リゼをこの国から助け出すときに、リゼルの協力が必要不可欠な状況に陥った場合どうするかということである。
もし仮に、俺の考えていることが事実だとしても。その可能性を考えたくないが。俺の考え通りだとするとリゼを助けるのにリゼと協力体制を取れないのである。リゼの父親である、魔王を倒すことに協力することになるだろう。そうなれば俺にとっての最大の敵になりかねないからだ。俺はそんなことを考えながら、これから先の戦いに備えて。まずはこの国の住民を探すことにする。
俺達が今向かっているのが、ライサさんの住む村である。ここにはリーゼンの父親も暮らしているはずだ。俺はこの村の人たちに、俺の目的を果たして欲しかったが今はリーザが居てくれるので安心している。俺とクロナがこの国に来る時に通った門のところでリゼルの父親と遭遇する可能性もあると思ったので、リゼルには、転移の能力を使うときには、あらかじめ言ってくれることをお願いする。そして俺たちは、無事に村に到着してすぐに俺はリーザの父親がいるところへ向かうことにした。それから俺とリリスだけで村に行こうとすると。クロナが「リゼルがこの国の王城に行くと言っていますので、そっちに行きましょう」と言う提案を受けれたため。俺もリゼルと二人で王城に向かった。
そして俺とリゼとクロナは魔導王国にある。リーザの父親の研究所へと足を運んだのであった。
リリスと別れた後。俺はリゼルと一緒に王城へと向かった。俺とリゼルの二人はリーザに頼んでこの国に来ている魔人の国の調査を任せることにしたのだ。この国の住民はおそらくは、この国の王が魔人の国で改造されて生まれた存在なのではないかと俺とリゼルの二人は予想しているためである。俺はこの魔導王国の王について聞きたくても俺にはリゼルの父親に会う前に聞いておきたいことがあったのだ。それは俺の前の世界での両親の話と、この世界での俺自身のことを尋ねようとした。
「俺は前の世界ではどこにいたんだ?俺はなんのために産まれて生きていた?」俺はそう言うと、彼女は答えた。「前の世界のあなたはこの国を、そしてリーゼンを守るために死んだ」と言ったのだ。それから俺は、なぜ俺の身体がこんな風になって、この世界に来たのかを彼女に尋ねた。だが彼女からの返答は。この世界での記憶が曖昧なためよく覚えていないと言うことだった。それならばなぜリーゼンは、この世界に存在しているのかと言うと、彼女は「私はリゼとリーザの娘ですから。もしかしたら、私も前世で死んでこの世界の人間に生まれ変わっていたのかもしれません。でも今の私はリゼルなので気にしなくて大丈夫ですよ」「わかった。でも君はリゼでもあるんだよな?」と俺が何気なく聞いた言葉を聞いた途端にリゼルの目から一筋涙が流れた気がしたのでそれ以上聞けなかった。だから代わりに別の話題に変えてリゼルと雑談をしながら歩き続けているうちに王城の付近までたどり着いた。俺達はすぐにリリスの元まで向かわずに一度俺の家に寄ってもらってそれから向かうことにしたのである。俺はリゼルを連れて俺の家に向かい家に入るとリリスが出迎えてくれたが。俺はそんなことを気にせずにリーゼルを紹介した。それから俺はこの国で起きた事件について聞くことにしたのだ だが、俺はそんな事件が起こったという情報は一切持っていなかったため少しだけ驚いてしまったのである。それから俺はこの国の状況を簡単に説明してくれた。リリスによるとこの魔導王国の国に住む住民のうち何人かが、行方不明になっているらしく。しかもその人達は皆魔導研究所の関係者の人たちらしい。俺がそんな話を聞いてからリゼルの方を見てから、彼女は俺に「その人たちは全員魔導研究施設の中に入ってしまったのではないか?」と言い始めるのであった。
それから俺は、この国が魔王軍の手に渡っていたことに衝撃を受けてしまい、つい俺は大声で「魔王軍に操られているのは間違いなさそうだな。それにしてもこの国に元々暮らしていた住民たちが全員行方不明というのは一体何が起きたのかわからないが。もしかすると何か理由があって姿を消した可能性もあるな」と考える。だがそのあと俺達二人が話しをしているのを見ていたリーリスに突然話しかけられると、「私にも教えてくださいよ!この国はどうなっているんですか!」と言われてしまうと俺は仕方がなく話し始める。「とりあえず俺たちの目的はこの国に起きたことについての情報収集が目的なんだ。それにはまずこの魔導王国の国の中で生きている人を探すことが重要だと思うんだ。そこで俺はリリスさんにお願いがある。この魔導王国の街を見てきてくれないか。もし生き残りがいて俺に助けを求めてきたら俺は必ず助けるつもりだからさ。その人にこの国のことを聞いてほしいんだけどいいかな?」と俺が頼み込むとリゼルはすぐにうなずいてくれたのである。「私からもリゼルとクロネには頼むけどね」とリリスも二人に頼み込んだ。
俺達が王都に着くと、すでにこの国に住んでいる人のほとんどが姿を消していた。そして俺とリゼルが王城の前にたどり着くと門番をしていた兵士が、魔人が攻めてきているから急いで避難しろと言う言葉を聞き入れてから俺はリゼルに尋ねる。「俺はこの国の王に話を聞きたいから一緒に行こう。リゼルは俺が王の所にたどり着けるように援護してくれるか?」とリゼルに伝えると、彼女がすぐにうなずくと、すぐにリゼとクロナに王城の中に入ってもらい。リゼルには俺の近くで待機してもらうことにして、俺が一人で国王の元へとたどり着き事情を聴くことに決めたのである。それからリゼに、王城の中にはリゼルの父親が居る可能性があるかもしれないから探してくれと言うと。
「わかりました、この魔導王国の王様のことはリゼがよく知っていると思うので。私が必ず助け出しますから心配しないでくださいね。パパとママと会わせますから。それとクロネも私と同じように行動しなさい」とリゼルは言うと俺が、クロネを仲間に加えたことに、リゼルも驚いたようだった。俺が、どうしてクロエではなく。彼女を自分の娘に仕立て上げたかと言うと、それは単純にクロゼにこの国の住民について調査をさせるためである。俺の考え通りに行けばこの国には俺やクロナが予想していたような存在はおらず。ただ魔王軍が改造した人間だけが住み着いているはずなので。この国の王城に居ればクロナとクロネスが探し出せると考えていたのである。俺の読みが当たっているなら、魔人と魔獣化してしまったこの世界の住民の見分けは、俺なら【鑑定眼】で確認できるが、クロネとクロナにはできないはずである。そして俺がこの国に来ている間、リゼはリゼルとして生活していてもらう。これはクロナからの提案である。クロナは、自分の身体で生活しているリゼルにリゼのことを守れるか不安に思ってしまい俺に頼んできたのだ。俺もその意見に賛成したので、俺が、王城にいる時にリゼをクロネの所まで連れてきて、そのままリゼルと入れ替わってもらうのが一番安全なのだが、それはできないのである。なぜかというと、もし俺が魔人を倒してから俺とクロネルが、リゼとリゼルの二人の前に姿を現したらリゼルを魔人として討伐しようと襲ってくる可能性があったからだ。だからこそ、俺達がこの国に着いた後に。俺はリゼルと二人で王城に向かい。俺がリゼルをこの国の住民に擬態させてこの国の王が俺と話をするために時間を稼ぐのである。そうすればリゼルとリゼルの父親は確実に安全になる。そしてその間にリリスとクロナには、この国の中に逃げ遅れた住民がいれば救助するように頼んでいるので、もしかしたら、この国の人たちも魔獣化していても、俺の仲間になっている可能性がかなり高いからである。俺はそのことを、リゼルに説明すると。彼女は納得してくれたようですぐに協力すると約束をしてくれた。そして俺達は、リリスたちが戻ってくるのを待つことにした。それから俺は、クロナとリゼルを俺が魔王を倒した後に合流することになっている場所に連れていきそこからは別々に行動をすることにしたのであった。俺はクロネとクロネスに連絡を取り合流した後は。魔人を全滅させるように命令を出したのだ。クロネとクロナと合流してリゼルをリゼの姿に戻して、この国の王城に向かってからリゼの父親に会いに行く。俺達はそのつもりでいた。
そして俺とクロナはクロナと合流することができた。だがそこにリゼルは居らず。リゼはリゼルになりすますための演技の打ち合わせを行うためにリゼルと王城の中にいると俺に伝えた。
「わかった。俺はクロネリスと一緒に、この国に残っている魔人の残党を倒すことにするよ」と俺はリリスたちに指示を出す。リリスはリゼルの代わりに王城でこの国の王を探し出すことになっており。俺の予想では魔人になっていないはずだから、俺と会うまでは絶対に殺されることはないだろうと予測している。
そして俺はリリスたちとは別れて。リーゼとともに、魔獣を魔人から取り出した魔力を使って作った魔石を使い魔獣を使役する能力を手に入れたのであった。俺は魔獣に俺とリゼを乗せて空を飛ぶように指示を出し。その状態で、俺とリゼは魔人を倒しに向かったのであった。
私はリーゼとクローネと別れたあとにすぐにリゼルの姿を偽装して。私達三人は魔導王国にある城へとやってきたの。私はすぐにこの国の中を調べてリゼとクロナと落ち合うために、まずは私の父親が使っている研究室へと向かう。そして私は父様の部屋で私自身の姿を見て驚くことになる。なぜなら私は今リゼが変装をしている姿をしており、しかも私もクロゼがこの魔導王国の王に成り代わった時と同じように身体の中にリゼの人格が存在している状態だと思っていたので私自身の姿で、王城の警備をしている兵に声をかけると、あっさりと王城の中に侵入することができたのだ。私は少し拍子抜けしながらすぐに父の部屋にたどり着くと。私は父様を驚かせるための行動に走った。リゼの父親に化けているからといってもリゼの父がどういう風にこの国を守って来たのかも知りたかったから私は、すぐにこの魔導王国の王の居場所を聞くことにしたのである。だが父は突然私に対して攻撃を始めたので、私達はリゼに体を渡し、私達はその場から逃げた。それから私たちは、リゼルのフリをしながらリゼルの両親であるリリスとリゼを探すことに決める。それからすぐに私は、魔道具屋を見つけるとそこで私達に擬態できる魔導書を見つけた。それから私は、この国の中にある魔獣の巣を探すことにし、リゼルに体を渡すことにした。リゼルは、クロネと私がなぜ魔導王国に現れたのかを説明し始める。
それからクロネも説明を始めると、その説明が終わると。クロナが「クロゼ、魔族であるあなたに質問をしたいのだけれど。この国の人たちはどうして魔人と化して、私達の敵になったのかを教えてほしい」と聞くと、私も、そのことは聞きたいのでクロゼが話すのを待つことにした。クロナはクロエの妹というだけあって、やはり姉である私に似て冷静沈着で賢く判断力があると思う。それに私が、まだリゼとして生活していたときにもクロネがクロゼと同じようなことを聞いていたがその時のクロネはとても慌ただしかった。でもそんなところも、私にそっくりだったんだよね。そう考えると本当に姉妹なのだなと改めて感じてしまう。それを考えるだけで胸が痛くなる。
クロゼの話が終わる頃には、もうすでに日が沈んでいて夜になってしまった。
クロナが「その話は本当なの?」と確認を取るとクロゼは、「嘘だと思うなら調べれば分かることでしょう。その魔導王国の王は偽物だとね」と返すと、リゼルはすぐに、「なら、魔人化している人達と魔獣たちは一体何者なのかしら?」とクロゼに尋ねると。「さあ、そこの二人は魔人ではないようだから知らないだろうけど。この国の魔人や魔物を操る技術はこの世界ではすでに失われたとされている。それが事実なのかどうかはこの国の王を殺せば分かりますよ。だから、早く王の所に行きましょう」とクロゼが答えると。リゼルはすぐに「えぇ、行きましょう。この国に居る魔人も倒して。私たちの本当の目的を達成するためにもね」と言う。すると、クロナもクロゼに「そうですね。リゼもリゼルとして、クロネとして。私達と一緒の目的は魔人を殺すことだからね」と言い私達はクロゼについて行く。そして王の間に到着すると、そこにはクロゼの父親と、母親、それにクロエの母親まで一緒に居るのを見て、すぐに魔人であると確信した私は、クロネの身体を借りることにした。
私がクロゼと入れ替わると、すぐにクロネとクロナは行動を開始していた。それからクロエの母であるラファが私に対して、魔人がどうなったかなどを聞いてくるので私は、クロネルのことを魔人に仕立て上げたと言うと。「そんなはずはないわ!。あの子は昔から魔導の研究をしていたから、絶対にあり得ない。まさかクロネリに魔族の力が宿っていたの!?」と言うと、リリスも話に混ざってきたのである。
私は魔人になっているかもしれないと伝えると。二人とも魔人を討伐してくれと頼まれたので。私は、私達の計画のために魔人を一刻も早く始末しないといけないから協力できないと言って断ろうとすると。「そうか。それは残念だ。クロネはリゼルの身体の中で、幸せに暮らしているのかい?。君と私は同じ親として心配しているんだよ。魔人として生きるのがどれほどつらいことなのか、私にはわかるからね。だから君は私に協力すべきだと思っているんだけどどうかな?」と言われてしまい私は言葉が出ないくらい動揺した。そしてリゼルも私の心が揺れ動いたことがわかったのかすぐに「お母さん。ごめんなさい。私はリゼルとして生きていけることをとても誇りに思っているから、私は魔人として生きることを選ぶの」という。リリスはその言葉を待っていたかのような顔をしたあと。リゼルのことを強く抱きしめて。そして、リゼルがリゼルであることを確認し安心してから私に視線を移してきたのである。
私はクロゼが魔人になることでリゼルと入れ替わっていた。クロネが魔人となれば魔人を倒すのに時間がかかり、その間、リゼルは魔人の操る人形となってしまう可能性があるため。私は、自分の身体を明け渡しクロネがリゼルの体の中にいたときと同じように私の体にリゼルの魂を入れたのである。私はこの作戦を考えたのがリゼルでなくてよかったとつくづく思った。なぜなら私の体を乗っ取り。そしてクロナを殺そうとしてきたのだと思ったからである。だが私はこのあとクロナを裏切ることになるのであった。なぜならば、この作戦は、私の命と引き換えにしなければ成立しなかったからだ。そうでなければ私達は全滅する未来しかなかったからである。だからこそクロゼはリゼルではなく。魔人クロナになってもらう必要があったのである。そうすることで私とリゼルの命だけは助かるからだ。
私はこの瞬間に魔人を根絶やしにすることを決める。私は、クロゼに意識を奪われそうになる。しかしリゼの人格が残っているおかげで。なんとか魔人を皆殺しにするという目的は達成できたのである。
リゼルとクロネはリゼルが魔族であるということをリゼルの母親のリリアと父親であるクロノスに明かすと。リゼルとクロネはすぐにその場から立ち去ったのである。リーゼがすぐにその場から逃げようとクロネスを連れて行くように命令をする。
リリスとリゼルとクロネスは城を出るために階段を下っていくと。すぐにクロネスが魔導王の姿を見て「あれは本物ですか?」と尋ねると。リリスは、魔道具を使って本物の魔人かどうかを確認したのである。その魔人は魔人だったのである。そのことを確認した後にリリスとリゼルとクロネスはすぐにこの場から逃げることに決めるのであった。
俺はリゼルの話を聞いた後に。俺達はリネルを王都の外に送り届けて、俺達はクロネルのいる魔王城へと戻ることにする。それから魔王城に戻ってくるなりすぐに俺は魔王の服を脱ぎ捨ててクロネルの姿になり、すぐに魔王城を出て、魔王の力を解放させ。そして魔導王国へと向かったのである。それから、すぐに魔人となった魔獣たちと魔人たちと出くわすことになった。
クロネルは、クロネの力を借りながら。リゲルと魔獣たちに攻撃を仕掛けたのである。そして、俺達も魔獣と戦い始めるのだが。やはりリゼよりも、クロネの身体能力は高くて戦いやすかった。そのおかげで魔人たちはどんどんと減っていったのだった。クロネのおかげで、俺の出番はほとんどないが、俺も負けないようにリザルトの魔力を込めた剣で戦う。そうしてしばらく経ち全ての魔人を殺し終えた頃にようやくクロネルも、すべての魔獣を駆逐することに成功したのであった。
クロネがクロネルの体を乗っ取る前に。リネルが私達の体の中に入ってきて魔獣と魔人と魔人を使役する術師を殺せたのだと嬉しそうに話していた。クロネもクロネルにお礼を言ってからリネの身体を返し、すぐにリゼルはリゼルに戻りクロナはクロネに戻ったのである。その後すぐにクロネは、すぐにクロネルの体から出て行き。クロネルが私達にクロナのことについて話をし始める。その話を聞いていたリゼルとリネスは複雑な表情をしていた。それからクロネは「やっぱり、クロナに会ったんだね」とリゼルに尋ねるとリゼルは、すぐに「あぁ、だが、私は、この世界の人を信じたいと思っていてね。クロネがリゼを裏切ってクロネを殺そうとしたのは、おそらく魔人の力が関係しているんだろう?。それならリゼルに戻れば、クロネも元に戻ってくれるかもって思ってさ」と言う。するとリネはすぐにクロネをリゼに戻すように指示を出したのである。それを受けてクロネはすぐにクロゼに戻ってくれたので。私達はそのまま、クロゼと一緒に魔人になった者たちを元人間に戻して、魔獣になった魔人たちは私が殺そうと思うのだが、リネとリゼルはどうするか悩んでいるようだったので。私は、「私に考えがあるのだけど。私に提案があるんだけどいいかな?」と私は言うとリネとリゼルはすぐに「うん」「それで頼む」と言ったので、すぐに私達はクロネルが、リゼルとリネを連れて王都を出た。
リゼルとリネスが、魔人を討伐するためにリゼとリゼの肉体を使い、魔人になってしまったリネとリネの肉体を借りているクロネが王都の外に出ていくところを見送っていたクロナの元にクロゼが現れたのであった。「クロナさん」と声をかけるとクロナはすぐに振り返りクロゼを見た。クロネはすぐにクロナの体からクロナに戻るように伝えると、リゼルの魂が入っているからだろうか。それを聞いたクロナはすぐに了承してくれ。そして、クロナの体は光輝き始めたのである。
「これで終わりました」とクロゼが言ったあと、光が消えると、リネになっていたはずのリゼルが立っていたのだ。クロネはすぐに事情を説明するが、リネはそれどころではないような顔をしていて、慌てて王都内へ戻って行く。
私も後を追いかけると。そこにはリゼの身体に入った魔人がいて私に向かって、「どうして私の邪魔をしたんですか?」と言ってきた。私はそれに対して「あなたがクロネの身体を乗っ取らなければ。私たちは死んでいたわ」と言うと、「じゃあおあいこですね」と言って、リゼルは魔人を殺したのであった。するとそこに魔人を操る魔人が来て、すぐにクロネの身体を借りたクロゼに攻撃をしてきたのである。そして、その魔人は私達が戦ってきた中で一番強くて。私達二人はかなり追い詰められたが、リゼが私達の前に出て私達の盾になってくれて。リゼが「私には仲間がいるから絶対に負けないよ」とクロナに対して言うと。クロナの体にクロゼの魂が入っていた影響かクロネも一緒に攻撃に参加したのである。それから私達は二人のおかげで何とか魔人を殺すことに成功し。クロネリは魔人から解放することができたのであった。しかしクロゼが死んでしまった。私は魔人に「リゼルとクロネはどこに行ったのかしら?」と尋ねると、すぐにクロネが答えてくれたのである。
「リゼは、私の身体の中に入っていたリゼルに自分の意識を移し替えてから魔人と操られた人達を助けに行っているはずです。クロナは私達を襲ってくるであろう魔人を倒すために先に魔人の方へ向かったので。リゼルとクロネとは合流できませんでした。それと私の方は、私の体を操った奴の魔石と魔人を操っている奴の魔石を破壊すればなんとかなるような気がします。クロエも協力してもらえますよね?」とリネは真剣な眼差しで見つめてきた。私はもちろん協力すると言って。二人で魔人を狩りまくることにした。
そういえば私は、このリネという存在について考えると少し違和感を感じてならなかった。そもそもリネという少女がクロナだとしてもなぜクロネスがあんなことを言ったのかがわからなかったからだ。私は、すぐにそのことを聞いてみると、やはりというべきかクロネスは自分の本当の子供ではなくてクロゼの子だということだった。そしてリネはそのことをクロネに伝えることができなかったらしい。
それからクロナと合流しようとした時に私は急に意識を失ってしまいその場に倒れ込んでしまう。私は気がつくとなぜか王都の外にいた。そこで私は魔人に囲まれてしまうがなんとか倒すことに成功する。それから私は急いでリゼのいる魔王城へと向かったのである。そうして魔王城へとたどり着くがリゼルがすでにリネによって倒されていたのである。
その後すぐにクロネが私の元へとやってきた。リネもすぐに現れ。クロナとクロネと私は合流して、すぐにクロネと私は、魔人と操られた人を開放するため。クロネルとクロネスとクロニと魔獣たちは、魔人を殲滅する作戦を開始したのである。まず最初に魔獣たちとクロネルたちで魔人をどんどん殺していくが、その魔人はかなり強かったらしく。すぐに殺されてしまったのである。それから魔獣たちを全滅させ。残りは魔人を魔獣とリゼが殺すことになった。
そしてついにクロゼとリネと私が合流することができたのである。そして魔獣を全滅させて魔人も全滅させた。すると魔人となったリゼルを乗っ取ったリネとクロネが姿を現したのである。リネスは、魔道具を起動してリゼルからリネスの身体を戻す。リネはリネスから魔道具を受け取るとリネの身体を元通りにし始めて。すぐに元に戻してくれた。
リゼルとクロネとクロネが戻ってくるまで、クロネの体の中に入っていたクロナは、リネスと一緒にリゼルの体が魔人に壊されないよう守ってくれていたのである。
リネとクロナとクロネの三人で魔王の服を着たクロネルを護衛しながら城の中にいる魔人と操られている人たちを殺しに行く。俺は、俺の体を取り戻そうとするが、リゼルは魔人と同化しているため俺とリゼルとの人格を融合させることはできないだろうと思っていたのだが、俺の中にいる魔王が「我に任せろ、この肉体に貴様が取り込まれた時と同じように我の力で貴様に力を譲渡できるぞ」と言ってきた。それを聞くなり俺とリゼルはお互いに驚き。「まさか本当にそんなことが可能なのか」と俺とリゼルが聞くと、「うむ、この世界でこの方法を知っている者は、もうおらぬかもしれぬが、この方法でなら我が主を元の世界に送り届けることができるぞ」と答えた。それを聞きリゼルとクロネルが喜んでいる。それを聞いてリネルが「良かったねリゼル」と言いクロネルは「リゼルもクロネルと一緒にいられるんだね」と言う。すると「はい、これからも私はずっとクロネルと一緒だよ」と答えて、二人は抱き合い、その様子を見てリネは涙を流しながら二人の様子を見ているのであった。そうして二人が落ち着くのを待ちながらクロネとリネスとクロネルはクロネルが持ってきた魔人になる前の魔人の体を解剖して何か情報が得られないか確認しはじめた。その間。クロネとリネルはクロネルのことを慰めていてクロネルがリネルを抱きかかえる形になっていた。そうしてクロネルがクロネから受け取った情報によると、この世界は異世界から召喚された人間たちが作り上げた国らしいのだが、この国は今魔人と魔人の手下になっている奴らの勢力により崩壊寸前にまで陥っていて。この世界にもともといた人たちは全員魔人の味方をしてしまっていて。人間側に残っている戦力はほとんど残っておらず。この国のほとんどの人々は奴隷となっているとのことなのだ。
そして魔王を復活するためには大量の生贄と膨大な量の魔力が必要になりその儀式を行うためにはこの世界の人間を全て生贄に捧げる必要があるということなのでクロネルがクロネルを魔人に変えたやつを殺すためにその男の元に向かうことになる。だがその前にリゼルの体を元に戻すための準備を行う。
それからリネルはリゼルと一緒にリゼルが魔人に侵食されて魔人化した時の状況を事細かにクロネに報告しはじめ。クロネはすぐにその話を紙に書いてリネルに渡したのである。リネルはその話を聞いたあと、クロネが書いたものをもう一度見返し始めその資料を見てある疑問を抱くが。それはまた後で話すとして。リネの体は魔人によって侵食されている部分がかなりありその部分だけを取り除いても魔人になってしまった体自体は元に戻らないので。体を完全に治すことよりも魔人を討伐することの方が優先される。そしてこの体もいずれは壊れてしまい。新しい肉体を用意しなければならないのだが。それに関してもリネからクロネルがクロネルがクロネになったときに使用した魔法が使えるのではと提案してくれ。クロネはそのことを試してみると、案の定使えたので、それをすぐに実行したのであった。
「それでは始めるよ」とクロネはリゼルに言うとリゼルはすぐに返事をする。それからクロネはすぐに呪文を唱えるとリネの身体の周りに緑色のオーラが包み込む。すると次の瞬間には、先ほどまでは苦しそうな表情を浮かべて痛みに堪えていたのが嘘のように消え去り。元の身体に戻ることができたのだ。リゼルもクロネルも自分の体を確かめたあとすぐにお互いの顔を確認しあったりしていて。リゼルはクロネに「クロネありがとう、やっと君の元に帰れることができて僕は嬉しいよ」と泣きながら抱きしめていた。
リネはリゼルに対して「私も嬉しくって」と言っていて、クロネリが「私も嬉しいけど今はとりあえず外に出よう」とクロネとリゼルの二人が感動的な再会を果たしている間クロネに近づいてくる存在に気がついていた。それからリネは、二人に気付かれることなく魔人を一人で全て殺した。それからリネはクロネルの方へと近づくとクロネスはクロネのことを抱き抱えてくれた。そして、クロネはクロネスに感謝してからリゼルとクロネリを連れて外へ向かう。それからリゼルたちはクロネリの作った門を通って魔獣たちと合流し。それから魔人がいなくなったこの城を潰して城の近くに新しく街を作ることにしたのである。それからクロネルがクロネリにクロネリとリゼとリネの三人でどこか遠くに行って静かに暮らしてほしいという願いを伝える。クロネルも本当は一緒にリゼルについていきたかったのだが、リゼにはまだしなければならないことがあるし。それにリゼルとリネルは、魔人から開放してくれたお礼もまだしていない。そして何より、魔人と操られた人達を解放しなければいけないし。そうしなければ魔人はいつまで経っても魔人のままだ。そしてクロネとクロネの魔獣たちに関してはリネがリゼとリネルを魔獣たちを使って送っていくので安心して欲しいと言って。クロネの頼みを聞くことになったのである。
それからリゼルはリゼと一緒に王都の外へ出ると、すぐに魔人を操っていた存在について調査をすることになった。クロネスは、魔王とリネにリゼが無事であることと王都が安全になったことを連絡するとクロネスは急いで家に戻っていったのであった。
そうして魔人をすべて倒した俺たちは再びこの世界の魔王城に集まるとこの世界に来た目的を果たしたことでこの世界とも別れを告げることにしたのである。そうしてこの世界に俺とクロネが来て一年近くが過ぎようとしていた頃。この世界での最後の夜を迎えるのであった。俺とクロネとリネスの三人がこの世界にやってきて二年ほどが過ぎた時だった。俺たちは、クロネの提案によりこの世界を旅することを決めたのである。
リネスの体に魔人としての力が残っていたおかげでこの世界の全ての国々と魔物の分布状況を調べることができた。それによってこの世界の脅威となる存在がいないことも分かったのでこの世界を旅してこの世界の住人と触れ合って、自分たちができる限りの手助けをしながら生きていくことを決めるのである。
そしてクロネスたちは、リゼルがこの世界に残ると決めたのでリゼルとクロネルの二人はここでしばらく生活をしていくようだ。それからクロナたちは、クロネと俺とクロネとリゼルとクロネルの六人で旅をすることに決まったのである。
俺は、この世界に転移して来た時からずっと俺が俺であるということを認識していた。俺は俺の記憶を取り戻すためにこの世界に転生して記憶を失ってからずっと行動をしていた。俺は前世のことを思い出そうとすると激しい頭痛に襲われる。そのせいなのか、あまり俺がどんな人生を歩んできたのかとかそういうことに関して俺は詳しく知らないので正直どうすれば良いのかわからず。とにかく俺は自分探しをするために今まで生きてきたわけなのだが、自分がどういう存在なのかはなんとなく分かってきていたのである。
そして今俺は。この異世界で魔獣の群れに追いかけられている最中である。どうしてこんなことになったのかというとそれはほんの数分前の話になる。リゼルがリゼルに侵食している魔人を殺すための準備を行っていると。突然。空が真っ赤に染まる。リゼルが何かを感じたらしくそのことについてクロネルたちに尋ねていると、その正体は俺とクロネを追いかけてきている魔人の集団だということが分かり。すぐにこの異世界を脱出するための儀式を行おうとしていたが、この異世界がもう既に何者かの手によって封印されていたことに今更気がつく。この異世界からは抜け出すことはできなくなってしまったのだ。
そうして魔人と魔獣たちがこちらに向かっている間にこの世界から抜け出すことができないか考えていると、リネルが「そうだわ、確かクロナの魔法がこの異世界にも効いたんだよね?」と言ってきたので、俺とクロネルがこの異世界にきた時と同じようにクロネの体に乗り移ると。やはり、クロネルが言ったように、魔法を使うことはできたのである。それでクロネにリゼルとクロネルのことを預けて、俺は一人だけで森の中に残してしまっていたクロネを探しに行った。するとクロネルとリネルの二人はなぜか、俺が一人で行かせて欲しいと言うと何も言わずに見送るので不思議に思ったが。その訳はすぐにわかったので、そのまま森に向かったのである。そうして森の中に入り込んだ後、俺はすぐにリネルのことを見つけることができた。なぜなら、彼女はリネと一緒にいたからだ。
そうしてリネはリネルと再会を果たしていて、嬉し涙を流していたのであったが、その時は俺のことを完全に忘れているみたいでリネの身体が俺の方に向かって来ていたので慌ててクロネの体に戻ったのだ。
それからは二人で話をした後。これからは、この異世界を脱出するための準備と魔人を倒したり魔獣から逃げたりする毎日を過ごすことになるのであった。そしてそれから数ヶ月が経過したのである。それから魔人の支配から開放されたこの国の住民たちと魔人と共存する国を作ろうとしていた魔王リゼルの尽力もあって。魔人たちがこの国を去ってしまうと、国の復興が本格的に始まり。リネとリネルは、魔王となったリゼルと一緒に国を作るのに忙しいため、この国に留まることになる。ちなみに、この世界の人たちは魔人に支配されていた時に受けた洗脳が未だに解けておらずにほとんど元には戻っていないらしい。だからリゼルはこの国にリネルやリネたちを留まらせると魔王軍のみんなには申し訳ないが魔王軍を解散することになってしまう。でもそんなことは関係ない。
俺は今度こそ、この異世界での目的を達成することができ、その喜びで、涙が自然と流れ落ちていくのである。俺はこの異世界に来ることができたおかげで自分の存在を認識することができ、そしてクロネと出会うことが出来た。そうして自分のことを理解した俺はやっと自分自身と向き合うことが出来、クロネのおかげで自分に自信を持つこともできるようになったのだ。
そして俺はようやく自分自身をクロネスだと認めることが出来るようになって。それからというものクロネスとしての人格は完全に崩壊してしまったのだが。それでも自分の心の中に残った僅かな人間としての心のおかげもあり。それからしばらくの間、魔王軍と行動を共にしたのだが。クロネルたちと別れた俺はクロネルたちには内緒でリゼルとリネと一緒に旅を続けることを決意するのであった。そして俺は、リネとリゼルの二人とクロネの三人にこの世界で生きていけるための力を与えることに決め、リネルとリネとクロネとクロネルの五人を連れて魔人退治を行う旅に出る。そして、俺がこの異世界に来た目的は果たしたので俺は、元の世界に戻るための方法をリネルたちから教わることにするのだった。
それからは俺は、この世界の魔王城にある部屋を借りて、リネに憑依すると俺はこの世界にいるクロネルの元へ向かうことにした。そうしてクロネスは自分の姿を元に戻すことはできるようになっていたが、自分の顔を思い出すとどうしても吐き気がしてくるのである。そのため、自分の姿を思い浮かべることすらできないでいたが。どうにかしてクロネスの姿に戻すことができた。そうして俺はクロネスにクロネルたちの居場所を聞くために、リネスの身体をクロネスが使っているので俺は仕方なくリネの方へと向かう。そうしてリネスが暮らしている家に辿り着くと、家の中から物音がしたので、家の中に入る。すると、そこにはリネスがいたのでリネスは驚いて声を上げてしまう。リネスの目の前に突然現れた俺を見たからなのだろうか。しかし、その前に、リネがクロネスとリゼルの二人がどこに行っているのかリネスに尋ねるとリネは、少し戸惑っているようだったが。この世界からクロネスがいなくなるという話を聞いたのでリネスは心配してリネにどこへ行ったのか聞いたら。どうやらリネはクロネスがこの世界を去ることを知ったようだ。リネはなぜクロネスが自分の元から離れようとしているのかわからないという表情を浮かべている。そして、リネは自分がリネと名を変え、そして魔人として生きることになった出来事を思い出して俺を問い詰め始めたのである。
リネスはその事に対してリゼルのせいではないと言っても、今のリネは聞いてくれなさそうだった。それに俺の答えも、リゼルが原因だというわけではなく、俺がこの世界に存在する理由もなくなってしまったのである。そして俺がリネを説得しようとリネの肩を掴んで説得しようとした。
そうして俺は、クロネスの本当の気持ちを言おうとしたが俺の言葉を聞いてリネスは怒り出し俺の腕を振り払う。リネスがこんな風に怒るところを俺は見たことがなかったので俺は動揺を隠せないでいる。すると今度はリネスが俺を押し倒す。
「ふざけないでよ!!私がどれだけクロネスのことが好きだったと思っているの!?私にとってクロネスは全てだったの!なのに、クロネスは私のことなんてこれっぽっちも考えてなかったじゃない!!」と泣き叫ぶリネス。俺は、どうしようもない感情が溢れてくる。俺は自分がしてきた選択を間違えてしまったのではないかと思うくらいだった。そうしてリネスが俺に告白をしてきた。俺は今までの人生で一番嬉しい言葉を貰う。だけど俺にはリネのことを幸せにすることが出来ないかもしれない。なぜなら俺は今から元の世界に帰ってしまおうとしているからである。だから、俺にできることはせめて今この時だけは一緒に過ごすことだったのだと思ったのだ。そして、そう考えた後にリネルが俺の前からいなくなってしまい俺だけになる瞬間があるなら今しかないと思い、【死無効】を解除してから自殺をすることを決めたのである。それから俺がこの世界に来て一年近くが経過して俺の魂は完全に消滅してしまい俺の存在が消えたのだと思われたのだろう、この世界の魔人たちは俺たちを追いかけることを辞めたようである。
その後。この異世界の魔人たちはこの異世界の管理者である魔王の存在を忘れてしまい、再び魔物による人類への支配を始めた。
こうしてクロネスはこの異世界での役目を終えたので俺は元の世界に戻ろうとした。しかし、どうすれば戻ることができるのかを俺は知らないので、まず俺は、この異世界に召喚される前と同じ状況にしようと思う。それはつまり、死んだ状態のままだということである。
なので俺は死んでしまった時と同様にリネルとリネに憑依する。そうすると二人は驚いた様子を見せるが、今は気にしている余裕などないのですぐにクロネスとリゼルを探し始めるのであった。リゼルの体と魔剣を持っていれば、リネルが魔人になった時の能力を使うことができるのですぐにこの異世界のどこに存在しているかが分かりそうである。そしてすぐにクロネスたちを見つけることが出来たのでクロネスが俺の体を操りリゼルの体の方に歩いて行く。
リネルはリネに何かを話していた。その言葉に、リネルは悲しそうな顔をするが俺は今から死ぬため、そのことはもう関係がないことである。そうしてクロネは、リネルの話を聞いていた。
「私はもうあなたとは会わないわ。これからクロネとクロネルとして二人でこの異世界に残り。二人でこの世界を救ってちょうだい」と言って俺は俺の意思に反してクロネに体を渡した後は、この異世界のどこかに放置されてしまうのであった。リネルは俺に向かって別れの言葉を言い、そして俺はこの世界を去ることになる。
この異世界に来て一年間の間お世話になりました。俺は、リゼルとリネルに見送られて異世界を去り。元の世界に戻ることができた。
俺が目を覚ますと俺は自分の体に戻っていたので急いで俺は起き上がる。するとなぜか目の前には妹の結菜の顔が視界に入ってきて。そのまま頭をぶつけてしまうのであった。
そして、それからしばらくしてからようやく自分の体が戻ってきたことに実感を持つことができ、それと同時に元の世界に帰れたことを嬉しく思えたのである。そうして俺が嬉しさに浸っていると、俺が起きたことに気付いたらしい結衣が部屋に入ってくると、俺の体に抱きついてきて涙を流し始めてしまう。そんな様子を見た俺は、妹に心配をかけたことを後悔しながらも。俺が生きていることに喜んでくれる妹を見て嬉しくなるのであった。
それからしばらく経って俺は結愛にこの異世界での出来事について話すことにした。そうして俺は、リゼルにこの異世界に連れてこられたところから、リゼルとの死闘を経て、この異世界から去るまでの経緯を全て話した。俺が話し終えると、やはり俺が元の世界に戻ることができるようにと願ってくれていたらしいので、俺はリゼルのおかげでこの世界に帰ることができたというと結愛の瞳には再び涙が流れ出していたのだがなんとか泣くまいとしていたようだった。そしてそれからしばらくしてからようやく落ち着いたのか、それから結愛にも自分の身体が戻って来ていることを喜び。自分の部屋に戻ると言って自分の身体に戻り始めたので、俺は俺で家族に会いたいと思ったので、とりあえず自分が通っている学校に行ってみることに決めたのである。そして俺は自分の教室の前まで来るとそこにはクラスメイトたちが俺を囲んでいたので俺は自分の机に座り。みんながどうして俺の周りに集まっているのかを聞いてみた。
俺はその質問をしたことによってクラスの連中たちは、いきなり泣き出すと、俺が無事に戻ってくることが出来たからと答える。俺はそれを言われるまで俺は自分の身に起きたことについて何も考えないようにしていたため忘れてしまっていたのだが。そういえば俺は異世界に召喚されたんだったと改めて思い出した。すると、クラスメイトたちの他にも、俺の幼馴染みでもある美紀と花奈がやってきたのであった。
「和人が帰ってきたと知って、すぐに駆けつけて来たんだよ!」と花奈は言った。
そして続けて、「私もそうですよ!それよりも、なんですか!?その姿は!!ちゃんと説明してください!!」と美紀が言って、俺の目の前で泣いてる。そして俺の周りを囲むと次々に口を開いていったのだった。俺がこの世界ではどんな風に扱われているのかを、俺は理解することになるのだった。俺はこの世界に帰ってくると、この世界はどうやら勇者である俺がいないということになっていたらしく。それに加えて、この世界を救ったはずの魔王が俺の代わりになっていた。
俺がその魔王と入れ替わる前のクロネスと魔王はお互いにお互いのことを大切に思っていたような感じだったのに今では俺のことを邪魔に思って殺そうとしているみたいである。しかもこの世界は俺とクロネスの二人で守ったことになっているのでこの世界での扱いが悪くなり始めているのだとか。それに、俺がリネスと一緒に旅をしている間も俺の代わりを務めているはずのクロネスは、自分がいないせいで世界がおかしくなっているということを知っていたのにも関わらず、俺がリネスと二人だけの世界にしようとしていたことが気に食わなかったのか。俺の居場所を奪うように、この世界の住人たちに自分が勇者だと名乗った。その結果、クロネスは人々から崇められる存在になったのだった。しかし、人々はクロネスに騙されていて、この世界の現状を理解していないため、今現在俺の目の前でクロネスのことを崇め奉るような行動をしている人たちも後になってクロネスの正体を知った時に俺の味方に付く可能性はあるということなのだ。
それからもクロネスは俺の悪口を人々に言い続けていたが、それでも人々は俺の言うことを全く聞かず。俺のことを神のように崇めてばかりである。そして俺はというとその話を黙って聞いていることしかできないのであった。
俺は、このままここにいても面倒なだけだと気づいたため、すぐにこの場を立ち去ろうとすると、俺は何故か美緒先生に捕まり連れて行かれてしまったのである。俺は、何故自分がこの場で連行されているのかを美緒先生から聞いて、納得する。俺が、今度から通う高校がどこなのかを聞いたところ、どうやらこの学校の理事長の孫娘が、今年からこの学校に通っているらしいので、その人に顔見せをしてこいと言われてしまう。俺は、その人と会ってどうするのかを聞くために美緒先生を睨むようにして見つめた。
「はあ、わかったわよ。その生徒の名前は姫宮凛よ」と言われたので俺はすぐに名前だけ覚えることにしたのだった。
そして俺はこの異世界に転移させられる前に通っていた高校に向かい始めて。ようやくこの世界に帰ってきたんだと思いながら歩いていくのであった。そしてこの異世界に来る前はいつも俺をからかってくる男子がいたが今は女子になっていて、そいつと久しぶりに再開できたが俺は、今は特に仲良くするつもりもなかったし。相手も俺が嫌いなので、この機会に離れようと決めたのである。
俺は高校の敷地内に入り、その建物の前に立っていると、後ろから俺を呼ぶ声が聞こえてくるので俺は振り返って見ると、そこに居たのは金髪ツインテールでスタイルが良く、見た目だけならば可愛い美少女だが。この女こそが、今年この学園に通うことになった姫宮凛である。
この人は、異世界にいるときに何度か戦ったことのある人だったがあまり好印象は持たなかったため俺は、できるだけ関わり合いたくないと思う。俺の知っている情報によれば、この人の父親が、俺にこの世界に魔王を倒してほしいとお願いしてくるほどこの人には特別な能力が備わっているとか。まぁこの人の父親に頼まれたから俺は異世界に行くことを了承したわけだから。しかし結局、俺は魔王を倒すことができず、この世界から逃げ帰ることになってしまったのである。だから俺としては、できれば二度と会いたくはない人である。
しかし、そんなことを考えていても、俺と彼女が会うことは決まっているみたいなので仕方なく俺は彼女に付き合うことにしたのであった。それからしばらく、俺は彼女に連れられて校舎内を歩き回る。そして俺と彼女は職員室に到着する。そうして彼女の案内のもと俺は職員室のドアを開き入っていった。するとなぜか、担任の女教師の目の前に通されてしまいそのまま座るように促されてしまう。俺が座るとその女の人は立ち上がり。自己紹介を始めた。その人は俺に、まず俺の名前を聞いてきたので俺は名前を言った。それから、その人が俺がこれから通うことになるクラスを教えてくれるとのことだった。俺はまだ決まってないと思っていたのだが、実は既に決まっていたのである。
そして俺は彼女と別れて一人になり、俺の新しいクラスに向かって歩いて行くのであった。そうして、新しいクラスの教室に入るとやはりというべきか。教室の一番後ろの席は、空席になっており俺はため息を吐き、空いている自分の隣の机を見ながら。俺もそこに座りたいと思っていると、俺が入ってきたことに気づく生徒が数人いたが無視することにして俺は窓の外を見ることにした。
そして俺はしばらくの間ぼーっとしていたのだが、ふと自分の周りを見てみると、何人かの生徒が自分のことを見て何かこそこそと話していることに気づいたので、俺は嫌そうな顔をするとなぜかみんな俺から離れていく。
それからしばらく時間が経ち、ようやく教室の中にいる全員が揃ったのを確認することができたのである。そして俺は隣が空席なのに気づき。俺はまたかと思ってため息をつきながらも、俺の隣に座ってくれる生徒を待つ。それから数分が経過し、やっとのことで俺に話しかけてくれる奴が現れてくれた。
その人は、ショートヘアの女性であり、背丈は165センチほどで俺とそれほど差はなく、俺に話し掛けるのを躊躇っていたようだったが、意を決したように、俺に話してきた。「あのさ?君も転校生だよね?」と聞いてくるので俺は「はい、そうですけど」と言うと、「良かった~。私もこの学校で友達が誰もいなくて寂しかったから、私と同じクラスの人で安心したよ!」と言ってくれる女性だったのだが。俺にはなぜこの学校が過疎化しているのかわからず。俺はこの人にこの学校の現状について聞いてみたのである。
俺の質問に対してこの女の子は少し考える仕草を見せるのだが。この女の子が考えている間に俺は、自分の席から立ち上がるとこの子の顔を見てから。俺は思ったことがある。この子の顔はどこかで見たことがあったのだがそれが何時なのかを思い出せなかったのだ。そんなことを考えていたらこの子が急に俺の肩を掴んできた。俺は、びっくりしたがとりあえずこの子に謝ると。その子は不思議がったような表情を見せたが、気にせず、今度はこの子が俺にこの教室の状況や、俺が今までいた世界の話を聞きたがるので俺は、正直に答えることにした。そうしていく内に、俺の事を怖がりながら見ていた生徒たちが次第にこの子と話すようになっていたのである。そうして、昼休憩になるので俺がトイレに行ってから戻ってくると、俺の周りにはたくさんの生徒が集まっており。みんなこの子と楽しそうに会話をしていた。この光景を見たとき、俺は、このクラスの人達は、俺とこの子のやり取りを見るまでは、お互いを敵として見ていていたのだが、今では普通に接することができていて。俺の知らないところで、お互いのことを信じあえる仲になれたのかと、心の中で喜ぶと同時に。俺は自分の居場所が見つかったと実感することができたのであった。
そしてそれからしばらくして授業が始まるチャイムが鳴り響く。しかしなかなか先生は現れず俺達はどうしようかと考えていると、突然ドアが開かれてそこから白衣を纏っていて、ボサボサな髪の毛に無精髭が生えており、眠たそうな目をしている男がやってきたのである。
そして、男は俺たちをチラッと確認したあと自分の自己紹介を始めた。しかし、俺はそれよりも、俺の目の前で俺のことをジッと見つめているこの男の容姿がどうしても気に食わず。この男が先生であることを疑問に思う。だってこの男からは全くと言って良いほど威厳のようなものを感じられないからである。
俺がそんな風にこの先生を観察していると、その男は俺の視線が鬱陶しいのか舌打ちを鳴らしてからこの学校について説明を始めだした。この学校は今年からこの学園の理事長の一人娘である。姫宮凛によって経営されている。そしてこの学園では成績優秀なものが学費を払うことなく入学することができ、この学園に通っている生徒の中には姫宮財閥の社長の娘がいるらしいがそんなものは一切関係なく、学力が高いものだけしかここには通うことが許されていない。しかしこの学園には普通の科目だけではなく、この学園の卒業生たちが立ち上げたギルドに所属している生徒が多くいる。そして俺もその一人らしいが、俺が所属しているそのギルドは俺以外に五人いるらしく。俺の学年は全部で三クラスあるためその人たちとは、全員このクラスが終われば会うことになっている。
この世界は魔王が復活すると、魔王を封印する力があるとされている神剣と呼ばれる伝説の武器を手にしている俺とその俺の仲間達以外は戦うことができない世界なのでこの世界に住む人たちのほとんどは戦闘経験がないに等しいのである。しかし稀にこの世界で生活していても魔王に挑めるほどの力を持っている者もいるので。そういった者たちをこの学園に集めるために作られた場所がここらしい。ちなみにこの学園は卒業するまでに単位を取らなければ退学扱いとなりこの学校にはいられなくなる。
俺にはもうすでに単位が揃っていて、次の日になればいつでも進級できるようになっているとのことである。俺にとってはそんなことはどうでもよかったのである。なぜなら今年でこの世界から去るつもりでいるからだ。しかし、俺は姫宮凛と関わると面倒事に巻き込まれそうだしできれば避けたいと願うが、そうはいかないらしいとすぐに理解させられたのであった。なぜなら俺が座っている机の上に一枚の紙が置かれていたのである。俺はその紙の中身を読んでいくうちにだんだん頭が痛くなっていき、最後には机に倒れ伏す。そうして俺は、今日だけで二度目だと思う深いため息をつく。俺は仕方なくその書類を持って立ち上がる。その行動をクラスメイト全員が不思議がって俺のことを見てきていたので。俺は、仕方なく俺はみんなの方を見ると俺は、自分のクラスに向かって歩くと、なぜか俺の後を追ってくる生徒が一人現れる。俺は、それを視界の端に入れながらも気にせずに教室を出て行き、廊下に出てみると。なぜか姫宮凛がいたので。
俺はこの場から離れたいと思ったので。俺は、【隠蔽】を使って姫宮凛からは自分が見えなくなっていることを確認した後に。この校舎から抜け出すことを決める。この学園は、校舎と体育館と訓練場があり。俺は校舎を抜け出して体育館に向かうとそこには俺と姫宮凛を除いた。俺以外の全生徒がここに集まっているようで。俺に近づいてくる生徒が数名ほど現れ俺に何かを話し掛けてくる。しかしその声はこの空間にいるすべての人の耳には届かないので。この人たちと話すのは無駄だと思い。俺は無視を決め込み。俺のそばから人が居なくなったことを確認してから俺は転移のスキルを発動させた。するとこの世界に来た時に着ていた服を身につけるのである。そしてそれから俺はまだ昼なのに、この世界に戻ってきた目的を果たしに行くために外に出て行くのであった。俺は村に向かっている最中に、自分の能力値の確認をする。するとこんな能力を手に入れていることが確認できた。====
名前:
斉藤始 性別:
男性 年齢:
16才 種族: 人間族(ヒューマン)
職業:
なし Lv:
17 体力 :940+200
魔力 :501
+100 物理耐久力:257
魔法耐久性:182
敏捷 :151
+30 器用度:123
幸運度:99999 スキルポイント 10 称号 《神の代行者》 固有技能 鑑定Lv.8 剣術 Lv.4 武術 LV.2 超回復Lv.3 経験値増加 身体能力強化 獲得金額増加 運勢UP 成長促進 言語変換 ステータス共有 自動振り分け 複製 強奪 アイテムボックス拡張 × レベル上限撤廃 限界突破 無限ガチャ
====
どうやらこの異世界に来る前に、女神様が俺が持っている能力をいくつか選んでくれたようだったのだが。その中のひとつに俺が欲しいと思うものがあり。早速俺はそれを手に入れたのだ。俺は、まず。【自動振り分け】というスキルを手に入れると、それに表示されている項目から俺は迷わずに。
俺が手に入れたいと強く思った項目の「レベルアップボーナス+1倍」「ステータスポイント分配率上昇」を選んでみることにする。そして俺はそれをタップすると「本当にそれでよろしいですか?」みたいな文字が表示されるので。俺はYESと選択する。そうすると俺の体から白い煙のようなものが出ていき。しばらくたつと「おめでとうございます!あなたの努力は認められました。これからも頑張りましょう!」と表示される。この表示を見た俺は「よし!」と小声でつぶやく。これでこの世界のレベル上限が撤廃されたわけだが。それはこの世界に存在する魔人族と戦えばいいのだと俺は考えている。
それからしばらくして俺はこの世界のダンジョンの前に辿り着くと。その光景はなんとも凄まじいものだった。そのダンジョンの入口から奥にかけてまで一直線の階段が続いている。その光景を俺は見ていて。俺は思わず口角を上げてしまうが俺はそのままその階段に一歩足を踏み入れると。俺はその階段を一気に駆け上がる。そして俺は、ついにその頂上に到達する。そして俺は目の前にある宝箱を開ける。中には一本の聖剣と、大量のお金が入っていた。
俺は聖剣を手に取り鞘を外した状態で俺はその刀身を確認する。しかし残念ながら俺の目で見ても、この剣の良し悪しを判断することはできない。そのためこの武器をどうするかは保留にしておいて。俺はその宝箱の中に大量に入っていた。大金貨と金貨を俺は自分のインベントリの中に入れると俺は次の階層に降りる。しかしそこはさっきよりも広い空間になっていて。その中央に先ほどと同じように。一際目を引く宝箱が存在した。俺はすぐにでも開けたい気分になるが我慢する。おそらくこの中の品は確実にこの世界にとって有益なものだと直感がそう囁いたからである。俺は少し考えたあと俺はゆっくりと宝箱に近づきその蓋に手をかけ。その勢いのまま開くと。そこには二本の腕輪が収まっていた。俺はそれを手に取る。しかし、その二つは俺の両腕には装着できなさそうであるため、片方ずつ手に持ち。俺は鑑定を行う。====
名称:腕力強化と防御力強化の二個セット装備
種類:レア
説明:二個のセット装備品 それぞれ攻撃力と防御力を10%上げることができる この腕輪を装着中のみ使用者が 身につけている装備品は破壊されることがない
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俺はこの説明を見てニヤリと笑い。すぐさまその二個の指輪を装着すると俺の頭の中でアナウンスが流れるのである。そしてその流れてくる音声を俺が確認すると。どうやらこの指輪の使い方を俺は自然と理解した。俺はすぐにこの腕輪を試してみたく思い。俺の体に馴染む感覚を覚えながら俺は【神眼】を使ってみる。しかし、この空間では俺の望む結果が映し出されることがなく。俺は、仕方なくこの腕輪の性能を確かめるために魔物がいるところに行こうかと思っていると、ちょうどよく現れた魔物がいたのである。そしてその魔物に対して俺は【瞬動術】を使うと。俺は、一瞬にして相手の懐に入ると、拳を思いっきり振りかざす。そしてその攻撃が当たった瞬間。俺の体が急加速をして、相手を吹き飛ばす。そしてその吹き飛ばされた相手に俺は追撃を仕掛ける。今度は相手が反応できるギリギリの範囲で攻撃を放ち。相手が俺の攻撃を防いでいる間に俺は距離を詰めて殴り続ける。それから数秒もしないうちに。俺の攻撃に耐えきれなくなった相手は地面に膝をつくと同時に。その命を散らしていくのであった。
俺はそれから二回程戦闘を繰り返して分かったことは、この二つの武器は使う度に使用回数に制限が発生するが。一度使えばしばらくの間使えると言うことである。しかし戦闘が終われば俺の【自動回収】によって俺の元に戻ってくることも分かっていて、俺はとりあえず二個の指輪を両方とも自分の左腕につけておくことにして、このダンジョンの攻略を終わらせると。
俺はこの世界に来て初めてのレベルアップを果たすのである。そして、レベルが上がると当然のように。新しい技能や能力が手に入るため、俺はワクワクしながらそれを確認しようとするが、どうやらレベルが上がったせいなのか?ステータスの表示が変わったのである。そしてそのステータスを確認した時に俺が真っ先に目に止まったのは。俺の種族が人間族から、神人族(ヒューマン)に変化していたのである。俺はそのことを疑問に思っていると俺の近くにいつの間にかいなくなっていた姫宮凛がやって来て。俺にこう言うのであった。
「あの、すみません!もしかしてあなたが勇者様なのでしょうか?」と姫宮凛が言ってきた。それに対して俺はどう答えたら良いのか悩んでいると。姫宮凛はさらに続けて俺に向かって言葉を発する。
「実は私は、こことは別の大陸からこの国に留学するためにやってきたのですが。私の国の王族の人達の話では、勇者様は私達の住んでいる国からこの大陸に向かって出発したという話なのですが。何か知っていますか?私は今この国で最も話題になっている【勇者召喚】について調べているのです」と言ったので俺は素直に応えることにした。なぜならば今の姫宮凛の発言でわかったことが三つあり、その三つめでようやく俺は彼女が言っている意味を理解したのである。そして姫宮に俺は、「そのことなら多分知っていると思うけど教えてほしいって顔しているね。でもごめんね。その話については今は言えないんだ」と言うと姫宮凛は不思議そうな顔をするが彼女は俺の顔を見るとそれ以上聞いてこなかった。そこで姫宮凛は思い出したように、自分が名乗っていないことに気づき俺に名前を名乗ると。俺にも自分の名前を自己紹介してほしいと言い出した。
俺が自分の名前を名乗った後に俺は【偽装】を使って自分の名前を変えるとそのことでさらに姫宮は驚いているが、俺が何かの理由があって名前を変えていたと勘違いをしているようなので。そのまま放置することに決めたのであった。そして俺達はその場から離れようと歩き始めると、姫宮が俺の隣を歩く。
それから数分後。俺たち二人は訓練場の施設に到着するとそこには。この国の第一王子の姿があり。俺のことを睨みつけて来ていたが、気にせずに俺は、この国に起きている問題を解決するために必要なことを済ませる。すると突然この空間にいる生徒達の中から悲鳴のような叫び声が聞こえてきて。そちらの方を見てみると一人の男子生徒が黒いモヤに襲われていた。しかし俺がそのモヤを攻撃しようとするとなぜかその男子生徒が消えてなくなり。俺の手元に一つの宝石が残ると俺は、それを拾い上げると。それを見ていたクラスメイト達が騒ぎ始めてしまい。俺は急いでここから退散することにしたのだった。そして俺はその後ろをずっとついてくる。俺の後ろにいた女子生徒のほうを俺は見る。するとその女の子が俺のほうに近づき、俺に声をかけてくる。
「えっと、あなたは確か、昨日私たちを助けてくれた人ですよね?」と。そう言ってその子は俺の目の前にまで近づいてきたので俺は、その子に話しかけられる前に。俺が【自動スキル取得】という固有スキルを手に入れたので。この固有スキルで覚えることができるものを全て取得したいと俺は思っていた。そしてその結果がこれで。俺はまず最初に【超成長】を手に入れると。その次のスキルとして俺はこの子のレベルを上昇させることを決めると。俺は彼女のステータスを確認しながら彼女にこう伝えた。「君のレベルはどれくらいあるのかな?」すると彼女から驚きの返答があった。それはレベルが200を超えていて。レベル上限が解放されているはずのこの世界で、そのレベルの上限までいっていたのだ。それからしばらくして、俺はこの子の名前を姫島美癒だと言うことがわかった。
俺は、この学園に通うために偽名を使おうかと思ったのだが。そんな時に限って俺の本名と同じ名前の人がいないのである。だから俺は、とりあえず。この名前のままで行くことにする。そしてこの国にあるギルドに、冒険者登録をする際にこの偽名をそのまま使い。俺の身分を隠そうと考えていると、その途中で、リゼルの後ろ姿が見えたので、その背中を追うとリゼルと、クロネル、リネスの三人は、お昼を食べるために食堂に向かうようだが。
その途中でクロネとレイナに、俺も一緒に食事に行くと伝えると俺は、三人と、そしてこの場にはいないクロネの仲間の一人である、魔王軍幹部の一人でもあるリゲルさんと会う約束を取り付け。リネルには、もしものために俺が転移できるようにしておけと伝え。俺は、そのまま三人の後を追って食堂へと向かうのである。
俺はリゲルの案内で、この城で暮らしている人たちが使っているであろう、食堂に辿り着くと。そこにはすでに四人の人物が席に着いており、リゼルたちはそこに挨拶をしにいくと、それぞれ軽い自己紹介をした。そして俺はこの国のことについて詳しい話を聞きたく思ったため、少しだけ会話をしたが、やはりと言うべきか、特に有力な情報は得られなかった。そしてリネルにこれからのことを聞いてみたところ。今日はこのまま解散となり。みんながそれぞれ好きなことをすると言うことだった。そのため俺はとりあえず部屋に戻ると。俺がベッドの上に腰掛けると。先ほど俺のところにやって来たクロネルの妹であり、魔族軍の参謀を務めている。リネラが俺の部屋に入って来たので。俺は彼女を出迎えた。それから俺はこの城の地図をもらってから、俺の部屋に案内されたので俺は、俺が今寝泊まりしている。客間へと移動すると、俺は、とりあえず。自分のレベルを確認するためにステータスを表示させる。俺はこの世界に来る前と比べて。レベルが上がっているかどうか確認すると。俺は、予想通り上がっていたことに喜んでいると。俺の頭の中で、またあの機械音声が流れてきた。そのアナウンスの内容が。俺はその内容を確認すると。その能力の内容は【超速再生】だった。その【超速再生】とは。【超再生】の能力にプラスでHP回復速度アップの効果が上乗せされて。怪我を負ったとしてもすぐに回復し、さらに体力までも回復するという。まさに無敵の身体になることができるらしい。俺はそのことに嬉しく思いつつ。この能力について俺は疑問を抱く。しかしすぐに答えは出ることになる。その理由は、俺自身がそのことに気付かなかったのが原因なのだが。俺のステータスの中に新しく称号が二つも追加されていて一つは『聖剣所持者』もう一つは『魔王』というものが新たに存在していたのであった。
そのことに対して不思議に思うと。俺は【全知眼】を使って俺が手に入れていた能力を確認したが。確かにこの称号のことが記載されていた。そこで俺は、称号の説明欄をじっくりと読むことにした。その結果わかったことは。どうやらこの二つの称号は【聖女】や【女神】と同じく特別な存在である【勇者】が持つもので【勇者】は勇者にしか手にすることができないそうだ。それで【聖剣】だがこれは、簡単に言うならば。俺が今持っている二本の武器は。神が造ったと言われている代物で俺専用のアーティファクトみたいなものらしく。そしてこの二本の武器にはそれぞれの属性の精霊王の力の一部が宿っていて。それを使うことができるようになるということらしいが。正直よく分からなかったが、まあそういうことだということで俺は無理やり自分を納得させた。
次に気になったのは、この魔王の称号なんだけど。この称号の効果に関してはいまいちよくわからないが。なんとなくだけど。強そうな気がしたのでそのまま俺は受け入れることを選んだ。そして俺はその説明文を見て一番最後にあった言葉を読んでから。俺の表情は固まる。なぜならそこには。
この力を使えば。この世界に混沌を招かせることもできるし。世界を破滅させることができるかもしれないと書いてあったからである。そして、その力が欲しい場合はいつでも、私に連絡するように。と最後に書かれていて。その言葉の下には連絡先の番号のようなものが書かれており。どうやら俺が魔王になったら、何かと便利なようにしてくれたみたいだったが俺の気持ちはどんどんと沈んでいく。
(いや、俺の気分的には今現在、もうすでに。カオスが起きているんですけど)と心の中で俺はツッコミを入れたのだった。しかしそんなことを考えてもしょうがないので俺はこの魔王の力は使うか迷うが。せっかくもらったものだから。俺は一応は使ってみることにする。俺は魔王について考えると。俺は魔王がどうやってこの世界に来て、何が目的なのかを知りたいと思い、俺が魔王のステータスを確認してみると、魔王について書かれていたので読んでみると、俺の知っている内容と変わらないのだが。そこには続きがあり。
私が異世界召喚で、こっちの世界に来た時に私は、私の元居た世界では死んでしまったが、こっちの世界で生き返らせてくれた神によって私は命を与えられたのだ。
私はこの国を作った人物に、私はこの国に召喚されたが。この国の人間を、私は許すことができなかったので。私はこいつらの国に復讐することにしたのである。私はこっちの世界で生きることを決めると私は魔王になりこいつも私の眷属にした。
そう、魔王の眷属の魔王はこの国にいたのである。そして俺と魔王との戦いが始まることになるのだが、その時、俺は自分のレベルを99にして。魔王の配下を倒しながらレベルを上げるという方法を取ることにしたのであった。そう決めた俺はまだ日が昇る前の早朝の時間から行動を開始することに決めたのである。
それから数時間後ようやく俺のレベルは500を超えると。ステータスもとんでもないことになっているのだが、俺としてはこれ以上レベルは上げる必要がなくなってしまったので。俺はとりあえずレベルを1に戻した。そのことで俺は自分のレベルを999まで上げた。それから俺は自分が持っていたスキルをレベルを限界まで上げると。俺はその作業を終えてしまい。
俺はこの国の現状を知るために外に出て街を歩いていると。街の人たちからは、俺のことをチラ見する人がほとんどで。中には俺のことを睨みつけてくる人や。睨むというよりは、興味なさそうに見ている人がいた。そして俺がその状況に困惑しながらも情報収集を始める。まず俺がやったことと言えば、この国に住む人達に、話しかけるという方法である。俺のことを無視していた人も、なぜか突然、積極的に話し掛けてくるようになり。色々な情報を俺にくれるようになったのである。そして俺が一番驚いたのは、なぜか俺が話しかけて来る人と話をするだけで。俺のことを好きになってくれた女性達が続出している。
そのことを不思議に思っていると、一人の女性が、俺に声を掛けて来たので俺はそれに答えると、いきなりキスをして来て。そのまま俺を押し倒してきたので、俺は、彼女を抱きかかえるようにして起き上がると。彼女は俺から離れようとしたが。俺は、彼女に、これから何をしようとしていてどうしてこのタイミングで俺を襲って来たのかを聞いてみたら。彼女いわく「この国が滅んだ原因を私は知っています」と言われてしまった。それから俺は彼女の口から衝撃の言葉を聞くことになった。それはこの国の王族は魔王の幹部の一人によって操られているらしいのだが。その魔王の部下の一人がこの国の王女を攫ったらしいのだ。その部下というのはリゼルと俺の因縁のある敵である【魔神 デウス=エクス マキナ】なのだが、なぜリゼネがそれを知っているかというと。どうやらリゼルが俺と戦う前にそのことについてリゼルに忠告をしたらしい。
そして俺はそのことに付いてもう少し詳しく聞こうとした瞬間。彼女が、リゼルに俺と二人っきりになれたのはこの一回きりだと思う。だからあなたが欲しいと言われた。そして俺がその誘いを受けると。俺達はリネルの家に戻って来たのだった。すると家に入るとリネルとクロネスはリネルの部屋で、そしてリネルのベッドの上にはリネルの妹である、リネラがいたのである。リネラが俺に抱きついて来ようとするので。俺はすぐに後ろに下がる。リネリは、その行動に、残念そうな顔をしていたが、クロネスが俺にリネラのことについて説明してくれる。リネの妹であり。この国の王女らしい。俺はリネラがこの国のトップの娘だということを知らずに、接してしまっており。もしリネルの家族に手を出してしまった場合はこの国のトップの人たちから、俺は殺されかねないと思ったがリネルの口添えによりその心配はなかったようだ。
ただリネル曰く、俺は魔王の関係者であるため、もしもリネルに手を出せば魔王がこの国にやって来る可能性があるらしいが、そんなことが起こるはずもないと思うため俺はとりあえず、魔王がリネルを狙っていないかだけをリネルに聞いたところ。リネルはそのことも知っているようで、リネに聞くとやはりその通りらしい。俺は魔王の狙いがわからずにいたが。この国を滅ぼしたいのならもうすでに手を出しているはずだと思い。俺はとりあえず魔王が俺にちょっかいを出すまでは放っておけばいいと思っていた。しかし俺はこの時には気づいていなかったのだが。魔王は確実に俺に干渉するために、既に動き出していることに。俺は気がつかなかったのである。
俺と、この国の女王との間に生まれた子、この国の第一皇女リネンについて俺はこの国から逃げ出すことを決意したのであった。
俺は魔王に、俺と魔王との勝負の場について確認を取りたかったが魔王とコンタクトを取ることがなかなかできない状態が続いていた。そこで俺は【全知眼】を使い魔王の現在の場所を調べることにすると魔王は王都にはおらず、王都から北に向かった所にいるようだったので、俺は【超速飛行】を使うと、その場所に辿り着くことができたのだが、そこには何も無くただ森が広がっているだけだった。そこで【全知眼】を発動させると魔王の現在地が表示される。俺はその表示されている位置に行くと。そこは城のような建物があるのが見えてきたのである。俺はその場所に向かいながら警戒しているのだが特にこれといった出来事が起きないどころか魔物すら出てこず拍子抜けしてしまい俺は少し油断してしまっていた。
しかし俺は、その建物が近付くにつれだんだんと緊張が高まっていくのを感じる。
俺は【鑑定】の能力を試すことで、その建物の情報が何か分からないかなと思って使おうとした時に気がついたのだ、俺の能力で得られる情報は、俺が直接触れていないと得られないということを俺はこの時やっと気づいたのである。俺は今更遅いと、自分に苛立ちを覚える。俺は自分の愚かさを呪いながらも、何とか、魔王がいる場所にたどり着いたのだ。
その城は、見た目からかなり豪華な感じの建物に見え。中は俺が、魔王を倒した後に、観光スポットとして使ってもいいかもと俺は思ったくらいの綺麗さである。そしてその城にたどり着くまでに俺は、魔王の側近と思われる魔族と、戦闘を行う羽目になるのだが。そいつは俺が魔王の手の者ではないことを魔王に伝えなければならないとか言い出したので、とりあえず、その男を倒して俺は、魔王がいるであろう部屋に進んでいくと。
そこにはかなり豪華なお部屋になっており。俺を案内してくれた男は、部屋の外にある椅子に座って待っているように言ってくる。俺は仕方がないのでその男の言うとおりに椅子に座る。俺はこの城の主には、俺が来たということは伝えてあるのだろうか?という疑問を考えていると扉が開いてそこからは、俺と同じ黒い肌で白い角を持った女の子が現れたのである。その姿を見て俺は絶句する、その少女は俺のことを、まるで、おもちゃを目の前にしたかのように興奮していた。
(いや、なんなの。この状況は一体どういうことなの?)俺は完全に混乱していたのである。しかしこのままだとまずいと感じた俺は魔王に連絡を入れることにする。するとその少女がいきなり。俺のことを、舐め回すような視線で見て来るので、俺はこの子が魔王だということに気づくと、どうやら俺のことを、魔王も知っているらしく、俺が、この国にやってきた経緯を俺が知らないのにも関わらず、何故か知っているみたいだったが、俺のことに興味が無いようで、どうやら魔王は、魔王になったばかりのようで、俺の持っている魔王の称号について聞いて来たので。俺がそれについて説明をするが、あまり納得がいっていない様子だった。
「うーんまぁそういうことだからよろしくね」と言いたいだけ言って魔王が俺を放置してくるが、俺がこの城を散策しようとするとその前に、あの魔族の男が現れるのだった。それから俺に、この世界の説明をして来ようとしたので、俺は面倒なので聞き流すと。俺のことを、物凄く睨んでくるので、俺は「何だよ?」と言って睨み返すと、「いえ何もありません」と言われてしまうのだったのだが、それからというものなぜか、この魔族の男はずっと、俺に、ついてくるようになるのである。俺はそれを嫌そうにしているのだが、そのたびに魔族はニヤけているのである。
そして俺はこの魔王がいる部屋を後にして、外に出て魔王と話そうと思っているのだがその道中でも、魔王の部下と思われる魔族が俺を殺そうと向かってきたが、その魔族たちは、そのことごとくが、その強さはそこまで強くはなく俺はその魔族たちを全て倒して行くと、魔族たちの顔色が変わったのだ。俺はその表情を見ても全く恐怖を感じなかったので、どんどんと先を急ぐと。今度はその先に待ち構えていた魔王直属の配下と戦わされることになってしまった。しかも、かなりの数の魔族が一斉に襲いかかって来るが。俺にとってはそれほど強敵ではなかったため、簡単に倒してしまう。それからしばらく歩いていると俺の前にまたもや配下が立ちはだかる。その数はかなり多く俺が疲れ始める。俺が疲れ始めてからその魔族は攻撃方法を変え、魔法による遠距離攻撃を仕掛けてくる。そしてそれは、かなり高度なものであり俺も防ぐので精一杯になり。反撃の機会が失われていく。そしてとうとう魔力の限界がきてしまい、俺はその場で座り込んでしまうと俺が限界を迎えたと判断したのか配下の者はその場から逃げていく。そして俺が回復すると再び、俺に向かって攻撃をしてくるために、俺も回復を繰り返すと、やがては俺は魔力が完全に切れてしまったのである。そして俺は意識を失いかけたところで俺は誰かに背負われて魔王の元へ連れて行かれたのであった。
俺はその背中から落ちそうになると。俺はその人に落とされないように慌てて捕まると。その人が、いきなり、声をかけてきて俺はその人の首に腕を回し抱きつく形になってしまうと。俺はその人に謝ろうとするのだが、その人の顔を見つめてみると俺は思わず見惚れてしまっていたのである。そしてこの人はどうやら俺に話しかけてきたのではなく。魔王が呼んでいるとのことなので、俺はそのまま魔王の元に運ばれると。そこにはリゼルやリネス、リネル、そしてクロネスによく似た二人の美少女の姿があった。そこで俺はクロネス達と一緒に、その二人について説明を聞くが、二人は双子で。クロネスの妹のリネルと姉のリネと言うことだけは教えてもらったが。そのあとはなぜかその姉妹は、お互いの顔をチラチラッと見たりしていて俺は少し嫉妬してしまいそうなのであった。そこで俺はリネルとリネがどうしてこの国に来ているのかを聞こうとすると。リネルとリネが同時に話し出して、お互いに譲らずに喧嘩しだす。俺はそこで俺はリネル達に回復ポーションを手渡して、二人が仲良くなるために協力しあうことを約束させる。リネルとリネスは嬉しそうな顔をして俺に感謝を述べてくる。そこで俺はどうしてこの城までリネルが来られたのかを聞きたかったがリネルがこの国の女王であるということを聞かされたので俺はそこで驚き固まってしまっていると。その反応を見たリネルはクスッと笑った後にリネルがなぜここにいるのかを教えてくれる。なんでもリネル達は、リネルの母親である。リネルの姉リネスの母親が病気を患ってしまったのでその治療のためにこの国に来ていること。そしてリネルはこの国の第二皇女であるということなどを俺に話してくれた。それでリネルは自分が第一皇女であることを黙っていた理由について聞くと、リネルがリネの話をする前に。リネルがリネの話を始めるのでリネルが姉で、リネは妹のようだが。外見がよく似ているため。本当にこの姉妹のどちらかがわからないがリネルが姉である可能性が高いらしい。
俺が、リネルとリネからこの世界のことについていろいろと質問をしている最中に、魔王から俺に、この世界を観光したいなら、まずは、この世界で一番大きな町。商業都市アスターに行けばいいと思うと言われた。
「そうなのか、でも俺がいきなり行ったら騒ぎにならないか?」と俺が不安になっていることを口に出すと、その魔王の言葉を聞いてリネリは「大丈夫です。私に任せてください。それにあなたは今の状態ですと普通の人間にしか見えませんし、私についてきてくれればあなたを絶対に守ります。それと、もしあなたのことを害する人がいるとしたら、私が全力を持って叩き潰します」と、俺が少し心配したのだがリネルがすぐに俺のことを元気づけるために言ってくる。
「ああわかったよ。よろしく頼む」と俺は言うと。俺の返事を聞いた魔王と魔族の男が、なぜか呆れながら俺のことを見ているが、気にしないことにした。それから俺は魔王城の出口で、魔王に別れの挨拶をするが魔王から俺は魔王城に、住むように言われてしまうが断ってから俺は魔王城を後にして俺のことを待っていた二人と合流すると、俺が、この世界に来た時に俺がいた世界のことをクロネに話すと、とても驚いていたのである。そしてクロネスが魔王から聞いた情報をクロネスと俺に伝えると。俺が魔王を倒せば元の世界に戻ることができると分かった。
そして俺は魔王が言ってきたアスタに行く前に。この世界のどこかにあるという、ダンジョンを探してみることに決めて俺とクローネとレイナでダンジョンを探しに行こうとするのだが、そこでクロネがレイナは連れて行きたくないと俺に言ってくる。
それから俺がクロネスと、二人で行くことになると、レイナは、魔王に呼ばれて、リネスが俺の側にいるということになったのだ。俺はリネンと一緒に行動することに決めると。クロネは何かあった場合のことを考えて。リネルに護衛を任せることにした。
それから俺とリネスは街に出ると。リネスにどこの村から来たのだと聞かれるが。俺とリネスは互いに違う村の出身で、偶然この王都で出会って、共に冒険者になったことを伝える。そして俺とリネスはこれからどうするかについて相談するのだが、そこで俺はこの世界には、レベルという概念があることを知る。
俺がこの世界に来る前にあったゲームの知識だとこの世界でのレベルアップには。職業に合った経験値を得なければならないはずなのだが。ここではどうやらその必要はなくただ、訓練をすることによっても強くなれるみたいだ。ちなみに職業についてもある程度は自由に選べるようだったので、俺はリネスが魔法を使うことも知っているので魔法使いになる。そしてこの世界の通貨はどうやら金で統一されているらしく。リネスが金貨を俺に見せて来るが俺は初めてみた金貨の輝きに目をやられそうになって、思わず手で目を隠してしまう。
それから俺はリネスと共に行動することにする。リネスが俺の案内役となってくれた。俺はまずはギルドに登録しようと思って、リネスと一緒にその受付にいくと、そこでは俺のよく知った顔を見つける。
俺はサーシャに「おい。どうしてお前がここに?」と俺が言うと、なぜかサーシャの奴が怒りだしてきて。それからしばらく口論が続くが、途中で、サーヤが現れ。「あら、こんなところで会うなんて珍しいわね。今日こそは決着をつけないといけないの?」と言われ。俺は慌ててリネスと、その場を離れようとすると、「あ、ちょっと待ちなさい。あなた達には用はないの。この女に言いたいことがあるのよ」と言われてサーリャが俺と、リネスの間に割って入ってくると。サーャと俺との喧嘩が始まる。すると、その光景を見た受付の人は、なぜか嬉しそうにしていのだ。
俺はサーリャの胸ぐらを掴むとそのままサーリャを持ち上げて持ち上げてから、床に叩きつける。その衝撃音がギルド全体に鳴り響くと同時に、俺の腕力によって持ち上げられた、勢いそのままで地面に叩きつけられたことで。頭を強く打ってしまったのか、それとも単純に痛かっただけかはわからないが、気絶してしまう。
そしてリネスに、リネルのことはリネスの方で対応してくれることになり。リネスがリネルを家に帰してから戻って来るまでは俺がサーニャに変わって。受付嬢の仕事を代わりにやることになった。それからしばらくしてサーーニャは起き上がるが。その時にはなぜか俺に対して敵意を見せなくなっていた。俺がリネスから、リネに事情を聞くために。一緒に家に戻ろうと伝えると。サーニャが何故か慌てて、俺のことを止めるが。俺はそれを無視することにした。リネスが俺に向かって微笑みかけてきたときに、リネスの顔が俺に似ていたのでもしかしたらと思って聞いてみると。やはり、俺の妹だということだった。
そこで俺はリネルを連れて帰ろうと思ったが。リネルは「リネルさんは私のことが気に入ったみたいなんで、もう少しリネルさんのところに滞在しましょう。私、まだ、こっちでやることがいっぱいあるので」と言うので。リネスに許可を取ってから俺は一度リネスと、別れることになる。そこで俺はサーシャと話をするために受付に向かうがそこでサーシャの様子がおかしいことに気付き声をかけるが返事をしてくれないので。
俺は仕方なく、他の人のところに行こうとするのだが。そこで俺はいきなり後ろを振り返ってから後ろに下がり警戒を解かずにいると、そこにいたのはなんと、先ほどまで俺の目の前にいた。俺の幼馴染みの沙耶香にそっくりの女が現れたのである。俺の体は勝手に動いてしまい、女の首を片手で握りしめると、そのまま俺が持っていた短剣で、女の体を貫こうとした。だが俺はなぜかそれができなかった。俺は俺の体が動かなくなったことに戸惑っていると。俺が掴んでいた首が一瞬のうちに消えるとそこには俺と同じ歳くらいの少女の姿があり。そして俺はいつの間にか少女の首にナイフを突きつけており。少女は苦しそうな表情をしたまま、ゆっくりと俺を見ていた。俺は何が起きたのか分からずに困惑していたが、そこで背後に誰かが近付いてくる足音を感じたため。俺は反射的に少女のことを突き飛ばす。俺の背後に現れた人物は俺に、武器を構えるような動作をしてきたため。おそらく俺を敵として認識して攻撃しようとしていたようだが。
その人影は女性であることと、俺がその女性の体を抱き寄せるように守ったことによって。その女性は攻撃をすることはなく、それどころか。突然俺のことを、愛おしそうに抱きしめてきたのである。それから俺達は互いの自己紹介を行い。お互いに情報を交換する。俺がこの世界に召喚されたこと。俺が魔王を倒した際に元の世界に戻ることができることを知った俺は、元の世界に戻るためには魔王を倒して、この世界と、この世界の人々を救わなければならないということを聞かされた俺は覚悟を決めて。魔王を倒しこの世界を元の状態に戻すことを誓う。俺が話が終わると、なぜか目の前の女性は泣き出してしまった。
「ありがとうございます。本当に嬉しいです。私はこの世界の住人ではなくなってしまったのですが、この世界の人たちのためにあなたが魔王を退治してくださることに感謝します。どうか魔王をよろしくお願いします。あなたが魔王を倒すことができることを信じて待っております」と言って俺から離れていく。俺はそんな女性の背中を見送ると。リネにリネスと俺が魔王を倒すための旅に出たいと伝えると。「分かりました。それではまずはギルドに行き登録を済ませてしまいましょう」と言われて。リネスと一緒にギルドに戻ると。
そこでリネは、俺とパーティを組みたいと言い出したのである。リネスも俺のことを気に入り。リネの願いを俺は承諾すると。リネは嬉しそうにして俺の頬にキスをしてくれたのであった。それから俺がリネと一緒にギルドの中に入ると。リネルによく似た女性が俺とリネスのそばに来ると俺達に、冒険者としての実力を測るための試練があると言われ。それから俺とリネスは冒険者の試験を受けることになる。それからしばらくしてからリネルは、なぜかリネスと仲が良くなっていた。
それから俺とリネはギルドの人に案内されながら、冒険者になるための試練を受けに行くのである。
そしてその道すがらリネと、いろいろなことを話し合い。この世界について、この世界の歴史について教えてもらうことになる。リネはこの世界は元は別の世界だったという。その世界には人間以外の様々な種族が存在していて、人間はその中で最も弱い存在だという。そして人間たちが住んでいた場所には巨大な迷宮が存在していたというのだが。ある日その迷宮が、地上に出て来て、魔物の大群が襲いかかってくるという大事件が起きたという。
その事件によってたくさんの人間が命を失い街が滅んだのだというが、その時に一人の女神様が現れて。その女神様のおかげで、今現在この世界の人々には魔法というものが使えるようになっているのだとか。
そして俺はこの世界で勇者と呼ばれる者たちはみんな、リネスのような異世界から来た人たちだと言われている。なぜならこの世界に転移して来た時に、なぜかみんな特別な力が宿っていて。その力を魔王と魔王軍の侵略から守ることのできる英雄になり得る存在だと認められているかららしい。それからその力は魔法とは違い魔力を消費しない力で、その能力を持っている人が死なない限りは何度でも使うことが出来るのだ。そして魔法と違って、誰でも覚えることができるという利点があるのだ。
そして俺とリネスの前にいる受付嬢をしている女性は実は女神様でこの世界を救うためにやってきた俺たちを、手助けしてくれる存在であるということを教えられる。リネルとこの受付嬢は同じ世界からこの世界に来ていて。そのおかげでリネスもリネルのことは昔から知っていたみたいで仲良くなりたいと思っていたみたいだ。
ちなみに受付のお姉さんはリネスのことを、自分よりも優秀な人だと思っているようで。憧れているようだった。俺がなぜ俺の方にきたのか聞くとお礼を言うためだと言われたのである。そしてお姉さんは「私の方からもあなたにいろいろと教えてあげたいことがたくさんあるんですが、まずはあなたを鑑定させてもらってもいいですか?」といってきて、それからすぐに受付嬢が水晶を取り出してくると、俺のことを調べ始めた。
俺のことが分かるまで時間がかかったらしく、しばらくすると受付嬢が、「あなたの能力は確かに、この世界ではかなり貴重なものです。特に、その身体能力の高さは目を引きますね。それならあなたにこの世界での戦い方をレクチャーするのが一番いいと思いますね。それかギルドの依頼を受けて経験を積むことでも強くなることはできますが、あなたの場合はどういったやり方が合っているのかがわからないので私が手取り足取り、サポートしたいと思うんですよね」と言われる。
それを聞いた俺は「それじゃあお願いします」と言って。俺が依頼表を見るためにカウンターの上にあるボードを見て、何かないか探していると。リネルが俺に「これなんか良いんじゃない?ほらこれなんてどう?」と言われて俺はそれを手に取って見るとそれは、オークの巣の調査だった。俺はそれを受理すると、受付に出して手続きを行ってもらい。そのまま依頼を受けることに成功する。
俺とリネルは一度リネルの家に帰宅すると、俺はリネルとリネルの母親に挨拶を行うと。リネスと共に村を出て行くためにリネスの案内のもと出発する。俺は歩きながら俺のことについてリネスと話をしていた。そこで俺はリネスに俺のことについて詳しく話していなかったと思い。俺のことを話すと。
それからリネスは俺のことを知りたがったので俺のことを全て教えたのであった。
俺が魔王を倒したことと。俺の特殊な力についてはあまり説明しなかったが。俺とサーリャの過去に関しては全て伝えることにした。そしてサーリャのことも説明すると。サーリャがこの村にやって来た理由がわかり、サーリャはサーリャで、魔王軍に大切なものを殺されて。復讐を果たすまでは俺のそばを離れる気はないということを説明する。そこでリネスは俺が元いた世界のことを知って興味を持ったようなのでありのままを話すとリネスは俺の話を熱心に聞いてくれた。
それからしばらく歩くと。そこには洞窟があった。
俺がリネスに尋ねる前にリネスは洞窟に向かって歩いていく。
「ここは私が小さい頃から遊んでいた場所だったのよ」と言うと、中に入り。俺のことを案内し始めた。
俺はそのあとを付いていき奥の方へと進んで行った。するとそこにいたのはゴブリンとコボルトだった。俺の目の前にゴブリンが姿を現すが。そこで俺は一瞬のうちに剣を振るって切り伏せると。
「やっぱりルウ君が強いわよね」と呟いていた。
俺がその後に続いて、さらに進むとまたもや現れるが今度はリネルが対処をする。それから俺はこの洞窟は危険ではないと判断し、俺は一人で進み続けると。そこはまるでダンジョンのように道が続いているだけで他には何もなかったのである。それから俺は適当に探索をしてから外に出ることにした。それからリネルと一緒に帰ると。俺達は、村の人たちに歓迎を受けたのである。
俺は村人たちにリネルのことを紹介すると。俺は村長にリゼル王国について話をしにいくことを伝えると。村長は快く承諾してくれ。リネに俺のステータスを見せて、俺の強さに驚きながらも俺が勇者だということを聞いて嬉しそうにしている。
そこでリネから、俺とリネが結婚することを伝えられた。リネスとリネスのお母さんに。俺のステータスを開示する。二人はリネスと同じ様に驚くと俺に祝福の言葉をかけてくれ。そしてこれからリネルのお父さんと会って、リネスとの婚約を認めてもらい。リネスと一緒にこの村から出ることを俺は宣言すると。俺とリネスは村長の家に向かう。
リネルは先に俺達の家に帰るといい別れると。俺とリネスは二人で村長の家に向かい。それから俺と村長はリネスが用意してくれた部屋の中で。お互いに自己紹介を始める。そしてリネンがどうしてここに来ることになったのかを聞くと、やはりリネの両親はリネスがこの村から出て行って欲しくないという気持ちが強く。そのため無理やり連れ戻そうとしていたようだ。それから俺の話を聞いたリネの父親は「私はリネスの意思を尊重して、あなたに任せます」といって。リネの両親には認めてもらえることになる。リネスの両親の許可が取れたので、リネスは安心した様子で。「これで正式に私はあなたと結婚することが出来るんだね」と言ってきてくれた。俺はそれに対して、「俺達はもう婚約者同士なんだから、今更そんなに照れることはないだろう」というとリネスは俺に飛びついてきて抱き着いて来て。俺の顔を見つめるとキスを求めてきたので、キスをしてあげてから頭を撫でているとリネスは嬉しそうに笑みを浮かべていた。俺も微笑んでリネスの笑顔を眺めていると。
俺とリネスがイチャイチャしてる間に、俺の両親とリネスの母親が、仲良くなっていることに驚いていると、リネルの母親が、俺とリネスの結婚を認めた。そしてリネの父親も、最初は反対したのだが。俺のリネスとの結婚を許してくれて。俺はその日、俺の両親が俺達のことを祝ってくれたことに対して。俺とリネスのことを認めてくれるのは本当にありがたかった。そしてその夜は俺が今まで暮らしていた家で、一緒に夜を過ごすことになり。リネスも交えてみんなで過ごすのであった。それから俺は朝までみんなで過ごしていて寝不足になりながら学校に向かうことになるのである。
「ふぁ~、疲れた」と俺は大きな欠伸をしながら教室の中に入っていく。
昨日の夜は俺の家に泊まったリネスも一緒になって俺の部屋にやって来ると。俺の隣に座ってくる。クロネコが膝の上に乗ってきて。サーリャと姫川が、俺とリネスに近づいてきたので。二人に「おはよう」「おはよー、ルクスちゃん、リニスちゃん!」と元気にあいさつしてきたので俺とサーリャは返してから。
それからすぐにサーリャと俺のクラスメートである女子生徒も登校してきて。朝のHRが始まり授業を受け。放課後になるのであった。そしてその日から数日間は、リネスと共に過ごす時間が、俺にとってはとても楽しいもので幸せな時間となりながら、俺はその時間を過ごしていた。それからリネスは俺のことを見てくると。頬を赤く染めながら上目遣いで俺のことを見てから、それからしばらくして目を瞑ってくるので、俺はキスをした。そしてそれを羨ましがっていた、クラスメイトの人たちもいたが、俺は気にせずに、毎日を過ごしていく。そのせいで俺はクラスの生徒たちから。いつの間にか嫉妬の眼差しで睨まれるようになるが。俺にはどうすることもできなかったので、放っておいた。そして俺とリネスはいつも通り下校しようとすると。リネスの友達で同じ生徒会に所属しているクロエが俺とリネスの元にやってきた。
クロエが俺に声をかけると、俺の手を握りしめているリネスの手を振り解いてから、リネスが俺に「ちょっとクローネと大事な話があるんだけど。ここで待っているからルクス君は先に帰っていて」と言われたので。俺は「ああわかったよ。じゃあなリネス、クロエさんもまた明日ね」と言ってから、俺は帰宅する。
リネスは俺を見送るときに、俺に手を振るとクロナが後ろを向いていた。その光景を見た、サーリャが、「リリス、あの子があなたのお兄様が言っていた人ね。私に紹介しなさい」と言われ。サーリャが俺に近寄ってくる。
「はじめまして。リリスの姉のサーリャよ。あなたが、リナスがずっと言ってた。私の大好きなお兄様ね!お姉さまと呼んでもいいわ。よろしくねルクス君」と言うので。俺は「はい、初めまして。サーリャさんですよね?妹さんのことはよく聞いています」と答える。それから俺はリネス達が何を話しているのかはわからないけど。俺はその場から立ち去ることにすると。
リネスに、後を追うと言われて。俺はリネスに連れられてリネスの自宅に足を運ぶと。リネスの自宅に入る。
俺は玄関に入ると、そこにはリネスの母親が待っていた。リネスは、リネスの母親に「ただいま戻りました」と言ってから頭を下げる。俺はリネスの家の居間に招かれると、リネスの母親は俺の前に座る。
「今日は何のお話がしたいんですか?」と聞くと。リネスは俺の目を見ながら答えてくれた。
「あなたは魔王を倒し、リネのことを救ってくだされた英雄です。それだけでなく。ルクス君が魔王を倒してくれたおかげでこの村は平和を取り戻すことが出来ました。それでね、お母さんはリネスのことが心配だったのです。もし、魔王軍がこの村にやってきてリネスに何かしようとした時にあなたはリネを護りますか?」と尋ねられ。俺は正直に「リネのことは必ず俺が守り抜きますよ。俺に力を貸してくれる人達もいるしね。でも俺には頼もしい仲間たちがたくさん居るから、もしものことがあってもなんとかなりますよ」と言うと。リネスの母親が嬉しそうな表情をしたあとに「よかった。リネスの気持ちが変わることはないと思うので、私達はいつでもリネスを応援していますよ」と言ってくれたのである。俺はその言葉に少し嬉しく感じながらも。その言葉にしっかりと感謝を伝えてから。家に帰ろうとしたのだが。俺の袖を誰かに掴まれた。振り向くとそこにはクロネの姿があった。
俺は「どうしました?俺に用事でもあるんですか」と問いかけると、俺はクロネによって引っ張られて。リネスの部屋に案内されるのである。俺は部屋の中に入るとそこには、サーリャとクロネコもいて。リネスは、真剣な顔をして俺の事を見つめていた。「えっと、一体どういうことなの」俺はそう言いながらもクロネを見ると。
「実は、お母さんと話し合って、ルウがリネスを守れなくて。私が代わりにルウをこの世界に呼んだらいいって思って。この世界を、あなたにとっての世界にしたらいいと提案したの」
俺はクロネの言葉を聞いて、思わず笑いそうになってしまったが。俺のことを見つめていたクロネの瞳は、俺のことを心の底から信じて疑わないといった感じの瞳をしていたのだ。なので俺は。
「うん、わかった。俺に出来ることは何でもしよう」そう言った瞬間。クロナは満面の笑みを浮かべてから、俺に向かって。
「ありがと、やっぱり、あなたを選んで正解だったみたい」と言ってくれたので。俺はクロネを抱き寄せるとクロネも俺を優しく抱き締め返してくれたのであった。その日の夜は、俺は自分の部屋にリネスを連れてきて二人で過ごしていた。リネスが、甘えた声で。俺の名前を何度も呼んでくれていたので、俺の理性が吹っ飛びそうになったのだが、俺はリネスのことを愛し続けるという約束を守ることにしたのであった。それからリネスと一緒に寝ることになり。俺は幸せを感じながら。リネスのことを抱きしめながら眠ってしまうのであった。
それからしばらく経った頃、この村には、ある人物がやって来ようとしていた。
リネルの父親であり。この村の長をしている人物の。リネが、俺の家で、俺と一緒に暮らすと言い出して。リネルとリネスとクロネコは王都で生活してもらって。俺達はこの村で生活をすることになった。俺とクロネコは村長のリネルの家に居候することになる。リネルの家では、リネスがリネリアと一緒に暮らしている。そしてサーリャは俺の家にやってきてからは毎日、俺の家で、リネス達と同じように暮らしていたので、サーリャも一緒に暮らし始めた。ちなみにだが俺の部屋は3人で住んでも大丈夫なほどの広さがある。それからサーリャと俺の両親が仲良くなるにつれて、サーリャはサーリャの母とよく話していて。いつの間にかお互いを名前で呼ぶようになっていた。それから、リネリスは時々、リーネの家に泊まることもあり、俺の家には滅多に帰らずに、リネスとクロネコは俺とサーリャの三人だけの生活になっていたのである。その生活が始まって数日もすると、この村に、魔王の幹部を名乗るものが姿を現して。リネスを拐おうとしたのだが。それを事前に知っていた俺達はすぐに、行動を開始し。その魔物を倒そうとしたが。サーリャとリネルは戦いたくなかったらしく、戦おうとしなかったが。リネルは戦う気がないのならここに残ってもいいと伝えたのだが。リネルは覚悟を決めた表情になり、それから、俺とクロナとリネスと共に、三人で魔王軍の幹部と戦ったのだ。俺は聖魔剣グラムを手にしてから剣の柄で、相手の攻撃を受け流してから、剣で斬りつけようとしたが、その攻撃が弾かれると同時に、剣を持っていた腕も吹き飛ばされてしまった。俺はその事に驚きながら相手を確認すると、それは、あの日に戦った奴と同じ顔だったのだ。その姿を見て。リニスは「あいつが私達の仇だよ」と言ってきたのである。
そして俺が剣を失った隙を狙って。相手が接近してくる。それを見ていた俺はリネスを庇うようにしながら前に立つ。そのことに驚いたリネスは俺のことを心配してきてくれるが。その時、俺の横から突然現れたクロネが、一瞬で、相手の懐まで入り込み、相手を蹴り飛ばすと、そのまま回し蹴りしたのだ。それからさらに続けて攻撃を繰り出したのであったが。それを敵は、受け身を取りながら距離を取る。そしてその男は、「まさか、あのときの少年とは思いませんでしたよ」と口にした。そして俺に近寄ると。
「申し遅れました。私は四天王の一人。ダークロードと言うものですよ。先日の戦いは、なかなか楽しめましたよ。ですがあなたの力では私の相手には不足ですね」そう言って、俺達を睨んできたのである。
「確かにお前には力が足りないな」俺も負けじとダークロードと名乗るものに言う。俺とリネスは二人とも。お互いにアイコンタクトを取って、リネスが「ルクス君は私が守るから安心して」と言ってくれるので俺は「ありがとう。俺はリネスを信じているからな。だから俺は絶対に勝てると信じているんだ」と言う。リネスがそんな俺に対して微笑む。その笑顔を見たリネスのことを、とても綺麗だと思ったのだ。それと同時に俺は、必ずこいつを倒して見せる。と決意を固めたのである。俺はまずクロネとサーリャを援護するために雷の槍と、風属性の魔力を圧縮させた玉を放つ。そしてリネスに「今から、俺と、魔王軍の四天王との闘いが始まるけど。俺は絶対にリネスのことを護り抜くから、俺をずっと見ていてくれよ」と言うと。リネスは「もちろんルクス君だけを見ているよ!」と言ってくれた。それからリネスは「あなたは私の大事な旦那様なんだからね! 絶対に私だけを見ていてよ! それと私にはちゃんと、私だけの王子様って呼ばせて欲しいかな?ルクス君じゃなんか味気ないでしょ? 私のお婿さん」と言うと。
俺はそのリネスの告白に、リネスの気持ちを理解して、「そうだね。わかった。俺には君だけだよ。君のことを誰よりも愛するって誓うよ」と俺も返事をする。その会話が終わった瞬間。リネスは魔法を唱えると俺にバリアを張ってくれて、俺に攻撃しようとしたダークロードの攻撃から守ってくれたのである。俺もそのことでリネスを信頼している。なので迷わず、リネスが作ったチャンスを使って、クロネとサーリャに、回復魔法の付与を行う。クロネにも「ルクスが私達に何かをした。きっとすごいことなんだろうね」と言われてしまうほどの早業であり、それから俺はクロネとサーリャに攻撃の指示を出したのだ。そして二人はクロネが敵の背後をとってから殴りかかり。その後に続いて、俺の風の槍が敵に直撃したのである。その光景を眺めていた俺は、「やったか?」と言葉を口にしたが。煙が晴れると同時に。俺が与えた傷が消えており。無傷の姿が現れ。それを目の当たりにしてから「嘘だろ」という言葉しか出てこなかった。その光景は俺だけではなく。サーリャも。リネスも同じようであった。だがクロネだけは違った。クロネはリネスとリネルを安全な場所に連れて行ってもらい、俺とクロネの二人でダークロードと対峙することになった。
「今の技はかなりのものだったな。それに、そっちの女は中々に面白いな。いい女ではないか。我に献上しろ。そうすれば生かしてやらんでもないぞ」とダークロードは、クロネに話しかけるが。クロネは無視をして、リネスのことを頼んでいたのである。クロネが俺に。リネスのことを頼むと言ったときに。俺は心が震えてしまいそうだったのだが。クロネが。俺のことを想って、リネスの事を、リネスの父親であるリネルのところに連れて行くと分かってから。少し心が落ち着いたが。
クロナは「ごめんなさい。でもこれは必要な事なの」と言って。リネスの元に行こうとしていたのであった。その行動がどういう意味があるのかわからないが。今はリネスとリネリアのことを任せることにしたのであった。それから、クロネコは俺に。
「あの男に。私は勝てそうにもないの。だから私は足止めしておくから、その間にあなたはあの男の弱点を探して」そう言ってきたので俺はクロネコの言う通りにすることにした。俺はダークロードと戦う前に。クロネコが時間稼ぎをしている間にダークロードの攻略方法を考えるために時間を稼ごうとする。だが、いくら待ってもクロネコの体が動かないままなのだ。俺もどうすることも出来ずにいた。するとそこにリネスが俺の元へやってきて、リネスにリネスとリネルとリネルの母親を王都に避難させるように命じた。
「リネル達を連れて逃げてくれ。俺はクロネが足止めをしているあいだがら。あいつの弱点を探る」と伝えると。クロネが「私だってリネスの役に立ちたいの」と言うと。リネルはクロネの頭を撫でながらクロネのことを諭していたのである。リネルが俺達の元を離れると。クロネコが俺の方に振り向く。それからクロネコは「あの男は。私達が束になって挑んでも。多分勝てないだろうから」と言いながら。リネスがいなくなったことに驚いているダークロードに、攻撃を加えようとするが。その攻撃が届くことなく弾き返される。だが俺は諦めずにダークロードの足元を狙って攻撃を仕掛ける。だが、それでも通用せずに、蹴りを入れられてしまうが。俺はリネスが張ったバリアのおかげで助かる。それからも何度も俺は攻撃を加えたが全て防御されて、ダメージを与えることが出来ないのだった。
「この世界の者はなぜ、これほどまでに弱くなってしまったのだ」と言い、攻撃のモーションに入るダークロードを俺は見逃さなかった。その隙を狙って、俺とクロネでダークロードに攻撃を仕掛けようとした時に。突然クロネコが俺の前に来て。クロネコは光り輝く。それから「私がこの男を止めるから、ルクス君は隙をついて攻撃して」と、言い残すと。俺に背を向けてからクロネコはダークロードの方に向かっていったのである。俺にはクロネコが何故、そんなことをするのかわからなかったが。とりあえずダークロードに一撃を加えることは出来て。それで俺はダークロードを倒せると思い、そのあとも、ダークロードの体を駆け上がって、ダークロードの頭を掴んでから地面に叩きつけた。それから俺はダークロードに追撃を加えていくと。
クロネが「あの男の体から力が溢れ出ているよ」と言うと。クロネの言う通り、ダークロードの体から膨大な量の力が流れ込んできていたのだった。それから俺とリネが一緒に攻撃を与え続けていたが。その瞬間に俺とリネの体が吹き飛ばされてしまったのである。それからすぐにリネが立ち上がり。「私のことは心配しないでルクス君は自分のことを考えて戦っていて」と言って俺のところに来た。そして、その言葉を聞いた俺は、今まで以上の力を出せるような気がして、ダークロードと戦いを続けることにしたのだ。それから俺はダークロードに蹴りを入れられるが。そのダメージを無視して、さらに攻撃をしかけると、また俺は、俺達は吹き飛ばされてしまうのだった。
その光景を見ていたリネは。「どうしてそこまであのダークロードという男に拘るの?」と俺に対して尋ねてくるが。俺が答えられなかったため。「もうこれ以上は無理だわ。私達も逃げるよ。ルクス君」と言うが。俺が首を横に振ると、リネスは。
「私は嫌だよ! せっかくルクス君が私のことを、愛してくれるって言ったんだよ! それなのにルクス君が死んじゃうかもしれないのは絶対に私は嫌なの!」そう泣きながら言うと。
「私もリネスのことが好きだよ。だから私にできることはリネスのことを幸せにしてあげることだけだと思っているの。私のせいで。リネスに寂しい思いをさせたのは悪いと思っているの。だけど私は、自分の命と引き換えにしてでも。リネスのことを絶対に守ってみせるから。私を信用してくれないかな」と俺は優しく微笑みながらリネスのことを見つめた。その瞬間。リネスの目から涙が零れ落ちるが。リネスはそれを拭ってから「絶対よ? 私が死ぬまで生きていてくれるよね? それと私が死んでしまったら。私が死んだ後ルクス君には好きな人と結ばれて欲しいんだけど。それともルクス君は、私なんかと結ばれるより、私以外の人と結ばれたほうがいいのかなって」と不安そうな表情を浮かべていたので。俺はリネスを抱き寄せてキスをするのであった。その光景を眺めていたリネは羨ましそうにしていたのだが、「そんな顔をしないでくれよ。今俺が出来ることはこれだけなんだ。許してくれないか?」と言うと。リネスは俺を抱きしめてくれた。リネスはとてもいい匂いがしてとても柔らかい女の子だと思えたのだった。それからしばらく時間が経過すると。リネは、「ごめんねルクス君の大切な時間を貰って。ありがとう。私のことをそんなにも大切に思ってくれるなんて嬉しかったよ」と言ってくれてから。「リネリア! 私のお母さんを連れてここから離れてね! 私はこれからダークロードとの戦いに決着をつけるから!」と言ってダークロードと向かい合う。ダークロードの攻撃をギリギリで避けているリネを見て、俺はリネを助けるためには、リネスが持っている力を使う必要があると感じた。それから俺はリネスとクロネが作ってくれた料理を口に含むとリネスが使った魔法を真似て、俺は、自分に回復魔法の付与をしたのであった。その光景をクロネは唖然とした顔で見ていると。リネスはクロネとクロネコの元に行くように指示を出したのであった。
それから俺はリネとダークロードと一騎打ちをすることになってしまったのであるが。リネスが俺を気遣ったおかげで、俺が怪我をすることはなかったのだが。それでもダークロードに、かなりの傷を与えられてしまい。俺はクロネにクロネの回復魔法を使ってもらうが、俺は体力が減っていたために立ち上がることもままならない状態になっていたので。クロネコに頼んで、クロネコに俺を背負ってもらって。クロネは、俺達が避難する時間を稼ぐために。クロネコが、俺の体を背負い走り出したのであった。そして、ダークロードはリネスと、激しい戦闘を繰り広げる。俺達を守るために戦うリネスの姿を見た俺は「やっぱり俺はリネスに惚れちまったな」と思うのである。俺の想いに答えるように、クロネとクロネコは。クロネスの元にたどり着いた。だがダークロードが放つ攻撃は、三人を捉えて吹き飛ばしてしまう。その時にクロネスが俺に何かを言ってくれたが。俺はダークロードに、やられた影響で意識が途切れてしまうのであった。
俺が目を開けると。そこには心配そうにしているクロネとクロネがいて、クロネコもいた。俺はクロネコに声をかけてみるが、声が出ないのか返事が帰ってこなかったのだ。そこで俺は、俺が寝ている間に起こった出来事を聞いてみると、リネルは、クロネスとリネルの母親の二人を、王都に避難させて、クロネスがダークロードと戦っていることを話すと。リネルがリネスとクロネコに「私はルクス君に助けてもらうまでの時間稼ぎしか出来ないだろうけど。二人は早く逃げてくれ。私達の家族を助けてくれ」と言ったらしいのだ。その言葉にクロネコはリネスと一緒にリネルの願いを聞き入れ。俺のいるところに戻ってきたということを教えてもらった。だが、その話を聞く限りでも、クロネの体力は、万全の状態ではないことが理解できたのである。
俺はクロネコが運んできた俺の体を回復させるために、クロネコは、クロネスが残していった魔力でクロネコに治療してもらうが。俺はまだ、立ち上がれない状態だった。だが、俺の気持ちが変わらないことを知ると。クロネコがクロネに俺を背負わせてから「あんまり無理をしないで欲しい」と言い。クロネは、俺の体を担いで歩き始める。俺の体は、クロネコがクロネスの力を使えるようにしてくれたので、歩くぐらいは出来るようになっているが、まだ走ることは出来ないようだった。それからクロネコは、ダークロードとリネスが戦っているところに向かって、クロネに、回復薬を手渡してから、クロネが俺の体に、回復をさせてくれたのだった。俺はクロネコから渡された薬を飲むと体が少しずつ楽になっていく感覚を覚えた。
それからしばらくして、クロネスが俺の前に現れる。それからリネスの方に目をやり。俺の方を見つめると「ルクス君。私はあなたのおかげで、あの男と互角に渡り合うことが出来るようになりました。だから私はここで戦いに終止符を付けます」と言うと。俺に向かってリネスが笑顔を向けて「私の命と引き換えにしてでも良いからルクス君にお願いがあるの。あの男はね、人の絶望の感情が大好物なの。それであの男は私が悲しんでいたりするのを見ると喜んじゃう変態なの。だからルクス君はリネスのことを諦めないで欲しいの。ルクス君は私の全てを奪っていくような人だから、絶対に私よりもリネスのことを幸せにしてくれると、私も信じてる。それと私も本当は、ルクス君のこと大好きだからね」と言ってくれたのだった。
その瞬間。ダークロードの力が解放され始めていくのを感じ取り。俺はリネスが死ぬ未来を変えるための行動にでるのだった。
リネスが死んでしまうのならば、この世界を消し去る。その思いに、俺は突き動かされた。
「リネスの魂が消えるのなら、俺は、俺自身を捧げてやる」
そして俺は、この世界が俺の力に飲み込まれて壊れてしまうこと覚悟して、力の暴走を始めるのだった。そして俺の体の周囲に光の玉が浮かび上がると、それが一つに纏まっていき、光の柱が出来上がる。そして俺は「神界にいる女神たちよ。お前たちが何を考えているのか分からない。だが、俺は、今この時を持って。神をも滅ぼせる力を手に入れた」と俺が叫ぶと、空には神々が住む天界の門が出現し。そこから俺と同じ姿をした俺とは違う存在が降りてきたのである。
俺はそいつを、もう一人の俺だとすぐに気づいた。俺は俺に語りかけると「さすが俺だな。だがな俺は神をも超越した神になったんだぜ。まあそれは俺も同じことだな」ともう一人の俺が言う。それから「どうせこのままではリネが殺されるのだから。リネを救う為に来たんだよな? でもお前にそんな力はねぇよ。それに今の俺にそんなもの必要ないし。だからよ、俺と変われ」と言って俺の胸に手を当てると。
俺は「やめろ! 俺は絶対に認めねえ! リネスだけは殺させるわけにはいかねえ!」と叫んだ瞬間。俺は黒い球体に包まれて、そのまま、意識を失ってしまう。そして目が覚めると、俺は自分がリネスに膝枕されていることに気づいた。俺は慌てて飛び起きると。
「リネス? 大丈夫なのか? あれ? リネスがいない? 一体何が起こったんだ?」と俺は辺りを探したが、リネスの姿がどこにもなかった。
それから俺が一人でリネスを探すために歩いていると、そこにリネスが現れた。俺は、リネの無事を確認して抱き寄せると、俺は、「良かった。本当に良かった」と言うと、リネスは、「うん」と言うが、なぜか寂しそうな表情をしていた。俺はそのリネスの態度を見て、何か嫌な予感がしたので、「俺に隠していることでもあるのか?」と問いかけると。リネスが、俺の胸に飛び込んできた。それから、リネスが俺を突き放すと、「もう私達お別れなの」と泣きながら俺に伝えてくる。
俺はリネスの肩を掴むと「なんでだよ。どういう意味なんだよ」と必死に問い詰めようとするが、その時、ダークロードの声が響き渡った。俺は声のする方を振り向くと、そこにはダークロードがいて、そしてリネスは、涙を流して、俺に笑いかけてきて、それからリネスの姿が変化していったのであった。
俺の目の前にいたのは、ダークロードではなく。一人の美少女がいた。だが俺はその姿を見た時。一瞬でわかったのだ、彼女は俺とそっくりなのだと。そう、俺と瓜二つの少女が現れていたのだ。俺が呆然としていると、ダークエルフの少女は俺にキスをして来て、それから耳元で俺に囁いたのである。その言葉を聞いた俺は自分の身体に違和感を感じると同時にダークロードが作り出した闇の中に吸い込まれていく。そして、そこでダークロードは俺を見て笑っていた。
「お前も私に負けて死ね」とダークロードは言うと。リネスがダークネスになってダークロードの前に現れると、ダークネスの魔法でリネスを焼き尽くしてしまう。だが俺はその光景を見た時に。ダークネスを倒すために動くが、俺の手は届かずに俺は闇の中へと引きずり込まれた。そしてダークネスが放った魔法の衝撃で、ダークロードは吹き飛ばされて。地面に落下していく。ダークロードが地面に落ちるとダークネスの姿は消えて。ダークロードだけが残ったのである。俺はその状況を見ながら俺は、この空間から抜け出す方法を考え始めていたのであった。
俺はこのダークロードの作り出した空間から抜け出せないでいると。ダークロードが動き出す。だがダークロードは、ダメージを負わせられて動けずに、地面で倒れ込んでしまったのであった。だが俺の体は自由に動かすことが出来なくて。ダークネスの攻撃を避けることが出来ないでいる。するとダークネスが俺の方に視線をやってから。ニヤリと笑って「やっと会えたわね。私はリネスの体を使ってダークネスよ。あなたのせいでリネスが死ぬかもしれないのに何も出来なかったじゃない。だからあなたに私の呪いをあげる。これであなたはリネスを護るしかないわ」と言うと、俺に、ダークネスの力が流し込まれるのが分かったのだ。
そして俺は意識を失い、次に目覚めたのは、俺が倒れている近くで俺の様子を見ているダークネスの姿が目に映った。そしてダークネスは俺の方を見ると「やっぱりあなたは特別みたいね。だけど私の勝ちだよね。だって私はリネスを守れるんだから」と言い残して、俺の体から出て行くのが見えた。俺はその言葉をきいてから、急いで起き上がってリネスの名前を叫ぶと。リネスはすぐに返事をしてくれて。リネスを抱き寄せると、リネスは、少し恥ずかしそうな仕草を見せた後、嬉しそうな笑顔を向けてくれて。「私は、もうリネスではないんです」とリネスが言って。リネスは、自分自身の体について俺に教えてくれたのである。
リネスは自分の体が魔王に操られていることを説明してから。リネスとして俺の元を離れようとしたのだが、俺はまだリネスのことを抱きしめていて、そして、離さなかった。
リネスが自分の体の所有権を取り戻そうとした時。ダークネスが再び現れると、その圧倒的な強さにリネスもダークネスも勝つことが出来なかった。リネスの肉体が支配されて、俺の前から姿を消した。そして残された俺の体にダークネスが入り込み俺の体を動かし始めた。だがその隙を狙って、ダークロードが俺を乗っ取ろうにも失敗して俺は再び立ち上がると、そのまま俺達はダークネスを追いかけて追いかけて。ダークネスの居場所を見つけて戦いを始めたのだった。それから戦いの中で、ダークネが徐々に力を増していっているように感じられたのである。
だが、俺にはこの世界の人間や魔族の感情が分かるように俺の能力が強化されているために。
ダークネスが絶望を感じ始めていることに気がついてしまった。そしてダークネスが絶望しかけた瞬間、リネスに異変が起きる。リネスの体が黒く染まり始めていき。ダークネスの力に取り込まれたのだった。
俺がリネスの名前を呼び続けている間にもリネスの体が黒い霧に包まれてしまうと、その黒い影からリネルが現れた。リネルはリネルだが。いつものようなリネルとは違っていて、どこか悲しげな表情を見せていたのである。
俺はその表情を見ただけで心が張り裂けそうになるような感覚を覚えてしまい、すぐにダークネスを消滅させようと動くと。ダークネスの力が俺の邪魔をするかのように俺の動きを阻害すると。リネスの力が解放され始めた。そして、俺がダークネスを攻撃しようとしても。全て防がれてしまっていた。それからダークネスが力を解放すると、俺は、意識を失ってしまうが。それでも俺は立ち上がろうとすると、そこに、俺の体から出てきたダークネスがリネに向かって攻撃を開始したのである。
それからリネをかばうため、俺の体の中に入っているダークネスを攻撃するが。俺がダークネスを殴っても蹴飛ばしても。その拳や足は俺の体をすり抜けてしまうのであった。俺が戸惑っている間にリネスが黒い炎に包まれると。
俺の心は怒りに支配されてしまう。俺の体からは俺の力が完全に消えてしまっていて、俺は無力だ。
俺がどうすれば良いのか分からない状態で、リネスを救える手段が思いつかないでいた。
それからリネスの身体を支配している黒い存在がリネスを殺そうとするので。俺はどうにか止めようとリネスを助けたいと思う気持ちで、俺の中にあるすべての力でなんとかしようとしたのである。俺に残されているのは俺自身で使える魔法だけなのだが、俺の中の魔力が、俺の意志で動かせなくなっていたので。俺に出来ることは本当に限られているのだと悟ったのである。
それから俺の頭の中に、俺の記憶と経験が流れ込んできた。リネスと出合ったときのこと。それから二人で一緒に修行したことや。俺の過去や未来の出来事や、様々な情報も入り込んできて、俺はその膨大な情報を受け止めながら整理して、俺なりの考えをまとめてみた。まず最初に考えついたことが俺自身の力では、リネスを助けることが出来ないのではないか? という疑問だ。
そこでリネスが、自分の魂と肉体に別の何かが存在していることに気づいたらしく。そして、自分の意志が少しずつ侵食されていく感覚に陥っているらしい。
そして俺がリネスの現状を聞いて、焦って思考が停止してしまいそうになった瞬間に、ある光景を思い出すと。その記憶の中にリネスがリネスの本来の姿で笑っている姿が映し出されていたのを見た。それから俺はその記憶にヒントがあると考えて、リネスと初めて出会ったときのことを考えることにした。俺はその時に初めて、俺と同じ髪の色と瞳の色の人を見たことを思い出すと、その人とは一度しか話したことはないが、俺の心の傷は未だに忘れていないでいたのである。それはリネスとそっくりの容姿でリネスの友達だったからだ。そう考えるとやはりリネスと同一人物なのではと思えるが。違う可能性もありそうだと俺は考えた。その人がリネスに関係していた可能性もあると思ったのである。
俺はその人に会えればもしかしたらなにかしら手がかりになる情報がつかめるかもしれないと考えたのだ。
そして、もし、この仮説が正しいならこの世界のリネルという人物が、今この場に居るリネスとは違う人物である可能性があると考えられるのである。だが確証がない以上、この世界に来ているかもしれない他のクラスメイトを探す方が早いのではないかと思えたのだ。俺はこの世界で起きている問題を解決するためにも早くみんなを探したいと強く思うようになったのだ。そしてリニスに「必ず探し出して見せるからもう少し待ってくれ」と言ってリネスの方に向き直る。
リネスはリネスであってリネスではないが。俺は、今のリネスを救うために全力を尽くすことにした。リネスはダークネスを倒せば元に戻るはずだとリネスは言っていたので。俺はそれを信じてリネスを救う方法を考える。だが俺の力は封じられて使えず、俺が出せる力はすべて魔法で、それもリネスが知っているものだけのはずで、それ以外の魔法は全て使うことはできないし、魔法はリネスの方が圧倒的に上手であるのだ。そして、俺の知識も、リネスには敵わない。そしてダークネスの力が強くなっていくたびにリネスの精神は弱っていくばかりであり。リネスは意識を保てないほど衰弱し始めているのである。俺が出来る事は一つしかなかった。
リネスの唇を奪う事だけだが。
俺はリネスにキスをしようとすると。突然視界にリネスの顔が現れて、リネスの顔をじっくり見てしまった俺は少しドキッとしてしまう。そして俺を見つめてくると「キスしてほしい」と言われて俺は覚悟を決めてから。リネスにキスをしたのであった。俺はリネスに何が起きたのかわからないまま、リネスに口づけをしたままで、そのままの状態を保ち続けてしばらく時間が過ぎてから、ゆっくりと口を離す。リネスが恥ずかしそうな表情をしながら微笑んでくれたのだが。俺も恥ずかしくて少しの間言葉が出てこずに、お互いに恥ずかしさに耐えられなくなり、俺達は目をそらした。それからリネスが言うのは。ダークネスを倒すためにはリネス自身がダークネスの力を全て受け入れる必要があるのだという。だがそんなことをしたら。俺の前から姿を消してしまうかもしれない。それに。リネスはダークネスの力が暴走するとダークネスの力に取り込まれる可能性があると説明をしてから「ルウ君。私ね、あなたの事が好きなんだ」と、俺のことを好きになった理由を言ってから「こんなことを言うのは初めてだけど。私は、あなたに出逢えて幸せだよ」と言った。そして「ありがとう」と言われた後に俺は再び、リネスの口から発せられた感謝の言葉を聞けて嬉しかったのであった。だから「こちらこそ、今まで俺と一緒に居てくれてありがとう」と言うと、リネスが笑顔を見せてくれたから俺もつられて笑顔になり「大好きです」という言葉を最後にリネスの気配が俺の目の前から消え去ったのである。
それからしばらくしてからダークネスと俺は再び対峙することになる。それから俺はダークネスを何とかして助け出すために、この世界のリネルのことについて調べるために。そしてリネスを助けるために、まずはリネルの事を詳しく知るためにこの世界を冒険してみたいという気持ちが高まっていくのを感じていた。俺はこれからの冒険が楽しいものになっていくことを確信したのだった。それからリネスを助けに行くためのアイテムを集めに行かないといけなくて、その準備をしようと思っていた時に。俺はリネスと出会って。俺はそれから、その日を楽しみにしながら旅をしていた。だが俺の知らないところで運命は回り始めていたのだった。
そしてダークネスの本体はリネスが乗っ取った存在だと知ったが。それでも俺達は、リネスを取り戻すために、俺は俺の目的を果たす為に、俺は前に進もうとしていた。
それから俺はダークネスの力を俺の力で封印してから、この世界についていろいろと考えを巡らせるのであった。
それから俺達はリネルに会うため。リネルと会うためにこの異世界で生きるために努力をすることに決めたのである。それから俺はこの世界の魔王に挨拶をしに行ってから、俺達の目的の為にこの世界で活動するために必要な情報を手に入れるためにこの世界の住人に話を聞いたのである。そこでわかったことは。まずは俺達が召喚される前の世界の歴史が変わっているということだ。俺ともう一人の俺が戦ったことでこの世界の未来が大きく変わったらしく。リネルが俺達に敵対していないということだ。その変わりに、リネルは、俺の幼馴染で俺と恋人になっていた女性で。その女性がダークネスに取り込まれているので、リネルの体をダークネスから取り戻さなければならないのだ。そのことだけでもかなり厄介なことだとわかる。だが俺ともう一人の俺が、協力して、そのダークネスを倒して、この異世界で生きていこうと決めたのである。それからもう一つわかったことがあった。それは俺が持っている剣に込められた力と、俺とリネとで共有した能力の事を知ったのだ。俺はダークネスから奪い取るときに、力だけを奪い取ってからダークネスの力を完全に吸収していたので気づかなかったのだが。俺の魔力を俺と俺以外の人物に流すことができる能力があったらしく、その能力を試しにやってみたら。リネスの意識が戻ってきたのだ。そして、そのあとから、もう一人の俺にも、リネスと同じ事ができるようになり。そのおかげで、俺は二人の力を借りてリネスの力の一部を取り戻したのであった。そうやって俺は俺自身を取り戻してから。
まずはリネともう一人の俺と、リネスを元の姿に戻す為に必要なアイテムを集める旅に出ることにして。三人だけで出発しようとしたとき。リネスは自分が一緒にいるとお荷物になると落ち込んでしまったのである。
それを見ていたリネスと一番付き合いが長いらしい。その人物が俺に声をかけてきて。「あんたたちがどこに向かっているのかわからないけど俺たちの仲間にならないか?」と言われた。最初は断ろうかと考えていたが。その男が「あんたが俺達のところに来れば、仲間になりたい奴がいっぱい集まるだろうぜ!」と自慢気に話していたのが少しうざかった。
俺は俺の大切な人達がいるから、リネスや、そのリネスが大事にしていた人を守るためにこの世界に居ることを決めたのだ。
だから、リネスの知り合いだという男の提案を受け入れずに、まずはこの世界で必要な知識を得るまでは行動を共にしようと伝えると「いいよ! その代わり。ちゃんとこの世界でのやり方は教えてやるから」と言われて。この世界でのルールみたいなものがあるらしく、まずはそのルールを覚えないといけないから今はとりあえずは一緒について行ってもいいかと思ったのである。それからこの世界に居る俺やリネスやもう一人の俺の幼馴染で元勇者らしい女、そしてリネスと元婚約者の男にリネスの元クラスメイトらしい少女の五人で旅をしているのであった。そして俺はリネスが言っていたリネスの元の体を持っているリネスと瓜二つの容姿をしたリネスの昔の友達が、どうして今現在にも存在して俺と一緒に行動しているのかという理由を知るのはもう少し先の事になるのである。その女の子は、リネスの記憶と魂を受け継いだ別人でしかないからだ。そのリネスが生きていた時代にはリネス以外にもリネスそっくりの少女が存在していたらしいのだ。そしてその子の名前はリネスの双子の妹で。この世界ではリネルと名乗っていたらしいのだ。リネスとこの世界のリネルの関係性を、リネスに聞けば何かしらの情報を得られるかもしれないが、リネスにはこの世界の事は聞くなと言われていた。その理由としてはこの世界には本来この世界には存在しないはずの人間が二人存在しているので混乱を招きたくないと言っていた。俺は俺自身がすでに本来のこの世界には存在しない存在だし。他のみんなもおそらくは別の時間軸から来た可能性が高いと思えるからそこまで心配する必要はないのではないか? と俺は思ったが、この世界で、この世界に存在しない俺の仲間たちの存在が他の世界に影響を与えないとは限らないからあまり余計なことは言わないようにしたのであった。それからリネスの妹のリネリはなぜか元リネスの肉体の遺伝子配列などを知り尽くしていて、その情報をもとに、リネスの体がどうなっていたら元リネスになるのかわかっているらしく。リネスは自分の体に元リネスのクローンの体を移植することで元に戻ったのだそうだ。そして、リネスの肉体は完全にリネスに同化してしまい、元の体は処分されてしまったのだという。
そしてもう一人の元クラスメイトの女が「じゃあなんでリネスが元に戻るのに手を貸してくれたんだい」と言うとその子が「だって私はルウのことが好きだったんだよ。リニスも好きだったけどね」と言って俺のことをチラッチラッと見てくるが。別に俺はお前には恋愛感情を抱いていないし。俺に惚れるのは諦めろ。と言うと少しショックを受けた様子を見せていた。だがすぐに立ち直って。「じゃあいいわ」と言われて少し残念だと思っていると。この子の名前はリネルと言い。リネスがこの世界に来た時はまだ生まれて間も無くてリネスのことを知らなかったが。リネスともう一人のリネスに良く似た姿をした人物が現れたのをこの世界のリネスは見ていて、そのリネスはリネスのお母さんにリネルを託してどこかに消えたらしく。リネスの母に預けてからしばらくして。この世界のリネスは魔王の呪いによって死ぬことになる。その時にリネルを預かる際にリネスが使った魔術でリネスの魂と、リネスとリネスが作り出したリネスにそっくりの姿をした人間の遺伝子を元に作られた人間のクローンを使ってリリスを作ったのだという。
そして、リネスのお母さんはリネルとリネスに良く似た外見のリネスのお母さんは「私の大事な娘を守ってあげてくださいね」と言われてから託されて育ててきたらしい。それから、この世界に来る前にこの世界の俺に会ったらしく。リネスが、俺の体と融合してから俺達と一緒にこの世界に来ていて。リネルを預ける際にこの世界での俺のことを知っていたリネスはリネルに「私が死んだ後はこの世界で一番頼りになって、一番信用ができる人をお姉ちゃんが選んでこの人の所に連れていくから」と話してあったようで、俺の元にリネルが来ることになったらしい。その話を聞いた後。リネルから、俺に「私が居なくなった後に、この世界をお願いします。そしてこの世界で、一番愛してくれて、この世界で生きることを許してくれる。そして一番信頼できる。そして何よりも誰よりも心の底からあなたを愛している人と、あなたの娘をどうか幸せにして下さい。それがあなたへの。私からのお願いです」とリネスが俺に託したかった想いをリネルに伝えてもらい。俺はそれを聞いてから、このリネルを幸せにするために全力を尽くすことを決めて、それからは旅をしながらいろいろな出来事があった。俺とリネがダークネスの力を吸収しながら魔王を倒し。その時にリネが魔王の力を完全に取り込んでしまって魔族化した時は、リネスの魔力とリネスの人格を取り込む前に取り込んだ。もう一人の俺と融合した時の俺の力で。ダークネスを弱体化させて、リネスの意識を戻す事に成功したのだった。
だが俺はリネスを助ける為にダークネスを倒すために。魔王との戦いで俺の魔力をリネルと共有してから。俺の力を、もう一人の俺が使うことで。魔王との戦いに挑む。
俺はこの世界の魔王の本体が俺ともう一人の俺が倒したダークネスの分身体だとわかっていたので、本気を出したダークネスに勝てるかどうかは正直微妙なところではあったが。この世界のリネスと、もう一人の俺との共闘と。リネスの体に入っているダークネスの魂に呼びかけることに成功して、俺はもう一人の俺に、ダークネスの分身を消滅させることに成功したのであった。
そうやって、ダークネスを封印したことで、この異世界での俺の役割は終わったはずだったのだが。それから数日後にリネスの母親が病で亡くなったとリネスが悲しそうな表情を浮かべて伝えてきたので。リネスは、俺や、俺の家族を気遣って何も言わなかったのだろう。リネスの母親を生き返らせようとしてみたが。その方法がわからないまま俺はリネスと共にこの世界で生活して。それから俺達は元の世界に戻るための旅を始めたのだ。だが俺はそこで俺の力がこの異世界の魔力の流れを正常にすることに役立つとわかったのだ。そのことを利用して、俺はリネスの母親の亡骸が眠る場所に魔力を流すことによって。その場所から魔力が吹き出したので、俺はそこに俺と、リネスの魔力を流そうと考えて。その場所に行くと。
そこにはダークネスがいたのだ。だがその時に俺達がリネスの魔力を流したことで。この場所から膨大な量の魔力が溢れ出て。俺はその流れに飲み込まれて俺は自分の体が光に包まれていくのがわかった。そして次に目を覚ました時には俺とリネスの体が元に戻ってから。リネスはリネルになっていて。もう一人の俺も戻ってきていたので。俺とリネスはこの世界で元の世界に帰ろうと頑張ったが、結局俺とリネスは帰ることができなくて。リネスや、もう一人の俺に迷惑をかけたのに。リネスと、もう一人の俺が、この世界で、リネルを育てて幸せになるように俺なりに協力したいと考えてこの世界で生活をして行く事にしたのだ。そのことに後悔はなかったのだ。
なぜなら、リネスやリネルが俺に好意を向けてくれていることや。俺もこの二人のことは好きだったのでこの二人の幸せの為にこの世界に残ることに決めたのだ。それから俺はリネスがリネスの双子の妹で。この世界でのリネスでもあるという事を。リネスやリネスの双子であるリネルに話していなかったが。二人ともそのことを知っているみたいだった。そして俺はもう一人の俺にも話さなかったのは。この世界で生きているリネスやリネスの双子の妹のリネルが。この世界に元々存在していたリネスともう一人の俺と同一人物だと言った場合の混乱を避けたいと思ったからである。俺自身はもう元に戻ることができないのだから。俺のせいでこれ以上混乱を招く必要もないと考えたのであった。だから俺と、リネスはリネルのことを普通に仲間として扱うことにしたのだ。
だが、リネスはリネルの双子の妹であるということと、そしてリネスとリネルの二人が似ているのは当然のことだったのかもしれないが。この世界に存在するリネスともう一人のリネスと、そして元いた世界のもう一人の俺ともう一人のリネスの四人が同一人物だということを知っている俺には、このリネス達の行動の意味が理解できたのだ。この世界に存在しているもう一人の俺と、そしてリネスが、同じ世界に存在している二人の存在を知ってしまったら。二人はどんな行動を取るのかがなんとなくわかるので。それを考えて、このリネルのことを。元の世界の俺たちに知られたくないと考えていることが伝わって来たので。
そしてこの村を出て、俺とリネスは王都に行こうとしたが。俺はある事を思い出す。
そう言えば、もう一人のリネスの話ではリネルもリネスと同じように魔術が使えてしかも魔法まで使えるという話なので。
俺はリネルに、魔法を教えて欲しいと言ってみると。リネルは少し迷った様子を見せたが。リネルは了承してくれて。俺に、リネルに教わった方法で魔法を教えると。リネルが言うと。すぐに魔法のコツがわかり。すぐに簡単な攻撃魔法を覚えたので、それから俺が元の世界に戻るために旅をすることにした。
まずは、王都にある、この国の王様がいる場所に行きたいと伝えると。「じゃあ私が案内するよ。私は一度王都に戻ったから。この国に詳しいんだよ」とリネルが言ったので。
それから俺はリネルと旅をすることになった。俺とリネスは、この世界に来た時の状況を考えれば。
俺はもう一人のリネスと融合することでダークネスを倒すことができたのはいいんだが。
リネスの体に、この世界のもう一人のリネスの精神が入った時に、リネスは俺の身体に融合しているので、俺はどうなるのかと疑問に思ったが。
それはリネスがリネスに説明していたようで。俺に融合したリネスがこの身体にいても、もう一人のリネスと、俺が融合したリネスが一人存在するだけで。この世界のもう一人のリネスは消滅していなくなっている。ただこの俺に融合したリネスが死ぬようなことがあれば、その時に、俺がこの世界で生きた時間の記憶が、全て消えてしまうと。リネスはリネスのお母さんから言われたと言っていたが。
それから俺はこのリネルとの旅を続けて行くが。
俺が、もう一人のリネルと一緒に旅をしていた頃に作った薬を売っている店が評判になっている店があり。俺達はこの店で買い物をして、それからその店を出ようとしたのだが。俺達の後に入ってきた男に俺達と、この店の店員の男が話しかけたのがきっかけで、俺達とこの男は口論になりかけたのだ。その前に、もう一人の俺の作ったポーションや薬草を売るのが俺ともう一人の俺の仕事であり。俺がこの店の手伝いをしているということもあって。もう一人の俺は俺が作ったものを売ろうとしただけなのだ。それなのに。その店の主人はその男の言葉に腹を立てたのか、その客の男に商品の値段が高いなどと言われて俺のことを侮辱したので、それにもう一人の俺がキレてしまったのである。
そうして俺はもう一人の俺を止めることができないままに、乱闘になってしまって、その時にもう一人の俺はこの世界の人達が知らないはずの技を使って、俺と、もう一人の俺に絡んできたこの男の人達を叩きのめしてしまったので。騒ぎを聞き付けた兵士と兵士達が駆けつけてきて、もう一人の俺を取り押さえたのだがそのことでさらに騒動が大きくなってしまい。
それからしばらくしてこの国に指名手配されたもう一人の俺を捕らえて連行しろと言う声があちこちで上がり始めて、それからも俺達が旅を続けたことでその話題が噂となり広がり始め。それから俺は別の町に移動してもその話をされ続けるようになり、俺達が捕まったのは、あの男が問題を起こしたからだ。その男は悪い奴なんだ。その罪は償うべきだとかいう感じの噂が広がり。もう一人の俺はこの世界でも有名人になってしまう。
そんな事もあって俺達は、この国で俺が薬屋をやるのを辞めることにして、もう一人の俺が代わりにこの世界の人のために、自分が元いた世界で、元いた場所で作っていた。
もう一人の俺と、もう一人のリネスが協力してくれたことで完成した回復アイテムと魔力を回復させる道具を売り始めたが、それも、この国では大繁盛して。俺達はこの国の王様が住んでいそうな城のある町に着いてからも俺達に絡んでくる者達がたくさん現れて。俺達が、この世界にやってきた時のように、もう一人の俺がまた、元の世界にいた時の知り合いに会うことになるのだが。
俺達がこの町に到着した時にはすでに夜になっていて、町の人たちが、今日はもう寝ようぜ、というようなことを話していたが。もう一人の俺を見たとたんに、町の人は一斉に武器を持って襲いかかってきたので。
俺は、もう、こんな目に遭うのはまっぴらだと、思い。この世界に来るまでは俺がこの世界で使っていた力を発動させて俺が持っていた能力の一つである、魔剣を作り出して、それでこの世界で手に入れた魔力で、この世界に存在している自分の記憶の中にある魔法を使う事にしたのだ。
そのせいなのかわからないが。それからしばらくの間。その町から黒いオーラのようなものが出て、それからは誰も俺に関わろうとしなくなって。俺がその町で薬を販売していた時はあんなに多くの人が、いろんな物を購入してくれていたはずが。俺は、一人で、この世界を旅をすることにして。この世界で俺は薬を自分で販売して、もう一人の俺は薬の売買には直接関わること無く。もう一人の俺の代わりに薬を販売することはせずに俺は自分の力で旅を続けることにするのであった。
そう言えば。俺は自分の魔力を流せば魔力が回復する魔力の水を作り出すことができて、魔力を回復させることができるのだ。
だが、俺が作り出したこの水は俺に魔力を供給して、この世界に存在していないはずの俺ともう一人のリネスの力を使ったものだ。この世界には存在しない力を無理矢理発動させているので、この世界の人達が使っている魔法とは違うもので。
それから俺の作り出す魔力の水のことは俺と、リネルの二人とリネルに教えているもう一人の俺だけの秘密にしたのであったが。それからは。俺ともう一人の俺は別々の道を歩むことになり、それからしばらくした後、俺はリネスが生きていることを知ったのだ。
リネスが生きていたという知らせを聞いて、もう一人の俺がどうなったのか、リネスが俺と別れた後でどんな生活をしていたのか知りたくて、それから俺はもう一人の俺を探し回ったが。
もう一人の俺はどこに行ってしまったかが分からなかったのだ。だから、俺はリネスのところに行ってリネスから詳しい話を聞いた。それから俺はリネスからもう一人の俺の話を聞くと、それから俺が元いた世界で過ごしていたもう一人の俺の様子を見るために。俺はもう一人の俺が暮らしている家にこっそりと入り込んでからもう一人の俺の様子を見ることにしたのだ。
それから、この世界のもう一人の俺の家の中で生活をしていた俺は、リネスがこの世界で暮らしていた頃の様子を聞いていたのだった。そこでリネスとリネルと俺ともう一人の俺は仲が良いということも聞いた。もう一人の俺はこの世界でリネスが幸せになるようにとこの世界で生きているリネスのことをずっと見守っていてくれていたことを聞いたのだ。そして俺が、リネスのもとに行ったことも知っているとリネスは話した。リネスが、この世界に来てからの俺の様子を教えてくれる。それからしばらくして、リネスは、この世界の俺に会ってくると言ってこの家を出て行ったのだ。そしてこの世界の俺と、俺と融合したもう一人の俺と一緒に過ごすことになったのだとリネスは話した。この俺の家にはリニスともう一人の俺が一緒に住んでいる。そして俺がこの家を出て行ってからは、リニスは、もう一人の俺にこの家を好きに使ってくれと言われたらしくてこの家で暮らし始めたのだが。この家は広いからと。リリスがこの家のお世話をする事になったのでリネスはこの家で、リリスと一緒に過ごしているが。俺が戻ってきたからには俺はここに戻るつもりで、俺はリネスにそう伝えたのだが。リネスが、俺も、この家に住ませて欲しいとリネスがお願いしてくる。俺としても、リネスと、リネスの妹とリリスと一緒に生活するのには異論はないんだが。俺は俺と同じ顔をした人間と二人で暮らした経験はなかったので戸惑いながらリネスとリネルとリリスと一緒にこの家で生活することになる。
リリスとリネスはいつものように元気なのだがまだ体が万全じゃないので俺は心配しているんだが。リネスに聞いてみたら大丈夫だと言ってくれたので安心する。それからはリネスはリネスの双子の妹であるリネルの面倒を見ることになった。リネルに魔法を教えることにしたみたいで。
俺は、この世界に来た時と違って、この世界の住人になった俺は、元の身体を、この世界で作った肉体に変化させることができるので。俺はリネス達の前で変身をしたのだ。そうして俺はこの世界にいる間は、この姿のままで、いることに決めた。
それから俺達は俺ともう一人の俺が住んでいた家に住むようになって、リネスに魔術の使い方や魔法の使い方を教わったり。リリスに料理や裁縫を教えたりと。そうして三人はリネスに色々と教えてもらい。俺は俺にできることとして、三人のためにポーションを作ってあげたりした。俺とリネスはリネスともう一人のリネスから教えてもらった薬を売ったりしているから。ポーションはいくらでも作れるからな。俺ともう一人の俺と融合したリネスは、俺と融合していて、リネスはもう一人の自分なのだから、その知識は全て受け継いでいる。だから俺はリネスから薬についての知識は全部教わっている。それと、俺はリネスタと一緒に作った、回復の効果を持った指輪を渡したのだ。それからは三人とも、それぞれ俺の作ったアイテムを愛用してくれるようになり。薬を作る材料を集めるために魔物を倒しに行く時以外は基本的に薬を作ったりポーションを売ることで生活している。それからリネス達は俺が作ってあげるポーションの味を気に入ってくれて、俺に薬を売ってくれる商人にポーションを頼むこともある。ポーションや薬草は俺が作るより売っている方が効果が高くて安いからだ。リネスとリリスとリネスはポーションの材料を集めに森の中に行き薬草を集めた。そのおかげで俺が薬草を買い取って。
その買い取った薬草は俺が作っていた薬草よりも品質がよく。この世界でもかなり売れているので、売り上げは結構あってお金も溜まっているのだが。それはリネス達が稼いでいる分で俺は、俺は元いた世界で暮らしていた時の給料とかをもらっているのでお金はそれなりに持っている。この世界に来る前は、俺も仕事で、他の人達が買えないくらいの高値で商品を販売していて。それで儲かっていて、それもあって。俺の金はかなりの額があるんだ。だから俺はこの世界に俺がいた世界での財産を持ち込んでいて、俺が薬屋をしていた時に作っていた。回復薬などを販売しているのだ。まあ、回復の魔法を使える人もいるので回復のアイテムはそれほど必要ではないらしいんだけど。回復の魔法は使える人が少ないから、俺の薬は高い値段がつくようだ。
そんな感じでリネスは回復の薬を作るために使う回復の実の苗を育てることをしてくれているし。リリスとリネスとリネスの妹のリネスと俺がリネルを連れて狩りに出掛けた時には。リネスが回復の薬に必要な回復の実は俺がリネスに教えたように。
リネス達は森の木々がたくさん生えている場所に向かい木に実がついているのを見つけたリネスはそこに向かい、そこで、この前俺と、もう一人の俺と融合してから得た力で植物の声を聞き、木の枝を成長させて、その木の上にある実を手に入れることができるようになったのだ。
そしてリネスはその実を自分の手で採取をして、この村に戻ってきてくれた。俺はその時にこの村に戻れたことに対するお礼として。
「リネス、本当にありがとうね」俺は笑顔でリネスにそういったのだ。
俺はこの世界で元いた世界にあった物を作りたいと思っている。だが、リネス達と出会って。俺のこの世界での目的は変わったんだ。リネスに幸せになって欲しい。リネスと俺が幸せになる手助けをして欲しいという。それがこの世界で暮らすうちに俺の目的となったのだ。それにしてもリネスと出会えてよかった。
リネスがいなかったら俺はリリスを救えなくて。もう一人の俺はこの世界でずっと独りで生き続けることになっていただろうから。俺にとってはこの世界で俺に力を与えてくれた恩人である。俺は、このリネスを絶対に助けてあげようと思うのだ。この世界に生きるリネスを俺の命に代えてでも。リネスを助けてみせるのだ。
俺達はリネスと一緒に暮らすようになってから。それから、リネスとリネスの姉妹と俺はリリスの面倒をよく見るようになった。そしてリネスがこの世界の俺の家に戻ってくるとリネスの双子の妹のリネルもついてきたのであった。
俺はもう一人の俺の記憶を持っているのだけど。リネは違うんだが。リネルは普通の人間のはずなんだがなぜか、俺に懐いてくれているんだよな。それからしばらくして、ある日、俺は、自分の店を開くことにしたのだ。自分の店を持とうと思い始めたのはこの前の事件でこの世界のもう一人の俺がいなくなったせいもあるんだが。俺にはまだ俺が作ったポーションは高すぎてなかなか売れることがなかったんだよね。この前の事件があってからはさらに売れ行きが悪くなって。このままだと店が潰されてしまいかねないと思って、自分の店を開こうと考えたのだ。リネスやリネスの妹である、リネルが俺の手伝いをすると言ってくれたのである。俺も、もう一人の俺と融合した俺と融合をしているリネスの三人ならなんとかなりそうだと思ったのと、リネス達の家族が、手伝ってくれると言ってくれたので心強いからな。
俺はポーションを、売りながらリネスが作ってくれる回復の薬を売りながら。リネスは俺の店で薬の販売をすることにしたのだ。そうするとリネスは、ポーションも売っているのと、回復の薬だけしか売っていない店と比べて売り上げがいいのでリネスのポーションは人気になったのだ。
ポーションを売って生計を立てることにしたのだが。そうすると今までのようにポーションを作っている時間が無くなってきたんだ。そうしてリネスと一緒にポーションを作ることにしたが、俺一人で作れるポーションの数に限りがあるので。ポーションを売った方が効率が良かったのでポーションを作って販売することを優先にして。
俺が、薬を作って販売する代わりに薬代の代わりに売り上げの一部をリネス達に渡している。それから俺はポーションを販売することにしたのだが、ポーションを販売していたら評判になったのだ。
そうして俺が経営を始めた薬屋には俺が作った高品質の薬草で作ったポーションや回復の効果が高い薬草を使って作った回復の効果がかなりある薬草から作られたポーションを買えるということでこの村の人達にも俺が作る薬草や回復の効果はそこまで高くはないが効果のある薬草で作られたポーションを買いに来てくれる人が多くなった。そうやって俺の作った薬草を使った回復薬が売れるので俺のお店の方は順調に利益を上げていき。この薬屋の店主である俺はこの薬屋を大繁盛させたのだった。それから俺とリネスとリネスとリネスともう一人の俺でポーションを作り売っていくことで生活が安定したのでリネス達は俺に感謝してくれたのだ。リネスは毎日、俺が作ってくれた回復薬を飲んでくれる。
「ありがとうございます、お兄さんのおかげです」俺が薬を売るとリネスは嬉しそうな表情をしながら、俺に、お礼を言ってくれる。そしてリネスは、俺に抱きついてきてくれる。リネスに抱きつかれるとドキドキするんだが。そんな感じで俺の薬はリネスとリネスの姉妹が売っている薬と合わせてよく売れた。
それからリネス達は俺のためにポーションの材料を集めるのを手伝ってくれるようになったのである。俺は薬草や回復の草などを見つけて、それらをリネスに頼んで薬草に成長させてもらい、リネス達が薬草を集めて、その薬草を持って、リネス達がポーション作りを手伝う。俺ともう一人の俺は薬を作ったり、ポーションを作ったりしていた。俺はもう一人の俺の肉体を使うことができるが。俺は薬屋の仕事で、もう一人の俺が作って売っているポーションを作るのと、俺がこの世界に持ち込んだ薬を調合することぐらいはできるが。俺は薬を作る時以外もう一人の俺に薬の知識を教えることはできないからな。リネスが回復の薬を作る時に一緒に作ったりして、薬を作ったりしている。
それからこの世界で暮らし始めて二ヶ月ほどたった頃に俺と融合したもう1人の俺は異世界に来る前にいた俺の家にある物を作り始めるのである。
それから数日が経ち俺が薬を作るための道具や薬の素材などを仕入れていた商人から連絡があり、リネスとリネスの姉妹と俺は商人のいる街に向かう。俺とリネスは商人がいる町に行きそれから薬を作って売ったり、買い物をしたりしていたが。その間。もう一人の俺とリリスは別の町に行っていたんだよね。リネスやリネスの妹のリネルと二人で薬の材料を集めに行ったり薬草を集めに行って薬草を売ったりしながらね。それで商人に会いにこの街まで来ることができた。
この商人の人は元の世界にいた時の俺とも面識があった。
この世界では商人はこの世界での金を稼ぐためなのかはわからないが。元いた世界では冒険者をやっていた人が、こちらの世界でも冒険者をやりながら商人をやっており。この世界のこの国に店を出しているらしい。
「久々だな。この国に来るとは。それじゃ。リネスとリネスの姉妹とあんちゃん。俺は今から店を出すために王都に行くけど、どうする? お前達も一緒についてくるか?」
俺は、この人と知り合いだが。一応、念の為に、リネスとリネスの姉妹と俺の三人だけになるとまずいかもなのでリネス達に確認を取ると問題ないと言われたのでこの人を案内人として連れて行くことになった。
それでこの人はこの世界に来たばかりの頃に出会ったことがありその時は冒険者として俺がポーションを売っている店でお客として来たんだよね。だから、その人と再会できてよかったよ。そして、俺ともう一人の子とでポーションとか回復薬の作り方を教えているんだよね。この人から。この世界の人達の魔法は俺の元いた世界の魔法とは違って俺が使う魔法のレベルが高くなっているのに驚いた。それから、もう一人の俺とリリスは俺の家で、ポーションの瓶とかも買い集めてきて。もう一人の俺がリネスとリネス姉妹と俺に、ポーション用の道具を全部作らせた。もう一人の俺が作った物もリネスとリネスとリネスの姉妹が使っていて、ポーションと回復の薬はリネスが作った物が売れている。俺は薬の容器やポーション用の道具を作って売ることにして薬の販売は、もう一人の俺とリリスにお願いすることになったのだ。
そしてリネスは俺の家の倉庫の中で、この前の戦いで俺のもう一人の俺が使った魔力で生み出した武器が沢山あるのを見て驚いていたが。俺は、この世界で手に入れた剣や盾、鎧なども見せたらもっと驚くと思う。俺はこの世界で手に入った物はもう一人の俺と融合してもう一人の俺の持っていたアイテム収納のスキルが使えるようになったので俺ともう一人の俺で回収したんだよね。そうするとこの世界で見つけたポーションや回復薬、薬草などが俺の中に入り俺の体に取り込まれた。この世界のポーションは俺がいた世界で売られているポーションよりも効果の高いポーションを俺は作り出してそれを売っていたのである。そうすると俺が作ったポーションと回復薬はどんどん売れて、俺はお金を手に入れることができた。
この世界に俺が持ち込んで作った薬も売れ行きがよくて俺のお店の方で売っているポーションよりもいい回復効果のある薬草で作られていて、ポーションの効果は高いということもあって、回復薬の方が人気なのだ。俺がこの世界に来てからもずっと、俺が作っている薬草を使って回復の効果があるポーションを作っていた。そうしてこの村には俺の店が出来た。それから俺のお店の評判を聞いてこの村だけでなく。他の町の人たちもポーションを求めてお店にやって来たのだ。
俺がこの村に店を出した時は、この村の人たちは、みんな親切で優しかった。それから俺はリネスに薬草や回復薬の作りかたを教えてもらって。俺はリネスに教えてもらいながらポーションや回復薬を作れるようになった。そうして俺のお店が開店してからはポーションや回復薬を求めるお客様がたくさんお店を訪れていたのだ。
リネスはお店をやるのは初めてなのにとても上手にお店をやっていけているのである。俺は薬草からポーションを作れるようになったのだけど。俺はもう一人の俺の記憶を持っているので、薬草の種類を記憶して、それからポーションの素材である、回復の草などのポーションに必要な薬草がどこに生えているのかがわかればすぐにポーションの薬を作ることができる。それからリネスは俺と一緒にポーションを作らないと上手くできないので、俺が教えたことをしっかりとリネスが実践してポーションが作れるように努力していたのだ。
「ありがとうございます。私とリネスにリネスの姉妹がお兄さんのおかげでこうしてお店を持つことができました。本当にありがとうございます」
リネスはそう言うとお辞儀をしてから俺に微笑んでくれた。俺はリネスに「そんなことはない。リネス達が一生懸命頑張ったからだよ」と言うとリネスは、「はい。これからは頑張ります!」と言って、それから俺はリネスに薬草を摘みに行くから手伝ってくれないかと言われて。リネス達と薬草の薬草を採集することにした。そうすると薬草の採取が終わってからもう一人の俺が現れた。もう一人の俺はポーション作りをしていたようで俺ともう一人の俺はポーション作りを始める。もう一人の俺は俺と融合しているため。もう一人の俺は、薬草や回復薬を薬草を使って調合することが出来るようになっているので。俺が薬草の薬草をすりつぶしたりしていると、もう一人の俺は薬の材料となる薬草と調合できるようになっていたのだ。
それからもう一人の俺はポーションを作り始めた。もう一人の俺は薬を作りながら「お前のおかげでポーションの薬を作る道具とポーションの容器を作る道具はできたし、材料を加工する道具と薬の材料になる物を粉末にする器具も作ることが出来たからありがとな。この調子でポーションを作るための道具と容器を量産して売ることが出来れば俺とお前の生活は安泰だから」と言っていた。俺はこの世界に来た時に作った、ポーション用の容器と回復薬用の薬の薬入れ用の容器に回復薬を入れて、それに薬を入れるための蓋をつける。
リネスは薬の道具が出来てからポーションを作って、リネスの姉妹のリネルと二人でお店に来て、ポーションを買って行ったりしていたので。お店の方はリネスに全て任せているが。もう一人の俺はリネス達が売ってくれた薬と俺が売った薬を合わせて、回復薬を作ってリネスとリネスとリネスの姉妹にポーションと回復薬を販売させている。
リネスともう一人の俺と俺は、この世界でポーションを売って暮らしているのだが俺は最近もう一人の俺のことを意識することが増えてきた。リネス達はこの村に住んでいるわけではないから。リネス達のところへはリネス達が商品を持って行きリネス達が薬を売りに行ってから帰って来る。それから俺とリネスとリネスとリネスとリネスとリネスの姉妹の七人で生活しているが、最近は俺も一人の時間が多くなってしまったのである。俺はリネスが店を始めたばかりの頃、一人でこの家に住むようになって、それから俺がポーションを売るために薬を作り始めたのである。それから俺もリネス達と同じ家で寝泊まりしているが、俺も一人の時間が少しだけ長くなってきていたのだ。それで俺は、この前の戦いの後から。俺は、俺ともう一人の俺は融合したが俺は俺でもう一人の俺は俺ではないからなのかはわからないが、この前の戦いでもう一人の俺と融合した後からもう一人の俺に対する思いが少しずつ変わり始めてきていることに気がつき、それから俺の体はどうやらもう一人の俺の影響を受けているのか、俺はもう一人の俺が作り出した、俺ともう一人の俺は同一人物ではあるが、もう一人の俺の体を使えるわけではなくて。あくまでも俺の肉体と融合した、もう一人の俺と融合していて、この世界に来る前までは俺の体の中に入っているのは、もう一人の俺ではなくて俺が主導権を握っていたけど、今は俺の体にもう一人の俺が入り込みもう一人の俺が表に出て来て。もう一人の俺がこの世界で生きていて。もう一人の俺はもう一人の俺が持っているポーションの作り方や、ポーションを容器に詰めたりする知識があるらしくて、ポーションを作ったりしたけど、それはもう一人の俺が、もう一人の俺にポーションの作り方を教えたらしいのだ。俺は、もう一人の俺のやり方は、間違ってはいないと思っている。この世界のポーションは元の世界の物よりも性能が良いのは間違いないことで俺はこの世界に来てからこの世界のポーションしか見たことないし。そうするとこの世界にも前の世界と同じように、回復薬や、回復の薬はあるはずなんだけど。この世界では俺がいた世界とは違って、回復薬や回復の薬が売られていてもあまり需要はないようなので回復薬や回復の薬を買う人がいなかった。そうして俺のお店で売っているポーションは結構売れるようになった。この世界にきてまだ一ヶ月くらいだが、俺のお店はかなりの売り上げをだしている。それからこの村の人は俺がこの国に来る前にいた場所よりもみんな優しい。
俺がもう一人の俺にポーションの作り方を教えてからは、もう一人の俺も、俺のように回復薬や薬草を調合したりするのがすごくうまくなっていた。もう一人の俺は薬を作っているともう一人の俺は「よしっ。これならあと数日でこの世界で作れる最高の回復薬が完成すると思うぞ」と嬉しそうに言っていた。俺はもう一人の俺が言ったようにポーションが完成すればもっと売り上げが出せるかもしれないと思った。そうしてポーションが完成しても俺ともう一人の俺は薬の売買を続けた。
もう一人の俺はポーション作りをしながら、「俺はこの世界のポーションの薬と回復の薬の作りかたや材料や、回復の薬の効果とかは、俺が前の世界にいた時からの知識を持っているのでこの世界のポーションの薬の作りかたも覚えたんだよ。俺がこの世界の薬と回復の薬と、この世界の食べ物を材料にしてポーションを作れるようになったのには理由があって。俺がこの世界でこの世界で使える薬を作り出すことができたのはこの前の戦いでこの世界にいる神様の力を手に入れられたからなんだよね。
そして俺は俺の体が限界を迎えるまでは。俺はこの世界で生きることを決めたんだ。俺はこの世界の人たちを助けたい。俺はこの世界で俺と俺の妹が暮らすための居場所をこの世界で手に入れたんだ。この世界に来なければ。妹も生まれていなかったんだ。そして俺の作った回復の薬がこの世界に広まり、この世界で回復薬を欲しがる人たちがいるという情報が入ったのがつい最近でね。それで俺は、この世界に回復の薬を作ることができる存在が必要だと考えたんだ。俺の世界でこの回復の薬を作れるのは俺だけだ。俺以外に作れる人が現れない限り俺の作った薬が広まることはないだろう。俺が作ったこの薬と回復の薬と、回復の草で作った回復薬で多くの人が救えるのならば。俺は自分の力を使うことを決意した。俺は自分が助かるためじゃなくてこの世界で俺と俺と妹の二人で暮らすために、俺は回復の薬を作ることを選んだんだよ。
俺は回復の薬をこの世界でも作れるようにこの世界の薬草と、この世界にある食材を使って薬を作る練習を始めて、この回復の薬の調合が出来るようになったのは。あの魔王との戦いがあった日の前日なんだけど。回復の薬と、回復の薬と、薬草を使った薬の効果は同じだし、この世界の回復薬は、この世界で手に入る材料だけで作れるからね。それから俺は薬草で回復薬を作って。俺は俺がこの世界で作ることのできる回復の薬と、回復の草で作ることが出来る回復の薬と回復薬と回復の草を混ぜ合わせて。
ポーションを作れるようになったんだよ。だから、この世界の薬で、この世界の薬で、回復薬を作れるようになったからこそ。俺は、この回復薬を、この世界の人々に使って欲しいって思えてきてさ。それで俺は、俺はこの世界を、ここの村の人々を助けるための回復薬を、この世界の人々が求めるであろう、回復薬を俺はこの世界に広められたら良いなと考えている。俺はこの世界が好きだ。だから俺に出来ることを俺はやりたいし、やろうと思っている」と言った。それから「お前が俺の世界に来れた理由は、お前に俺と同じ体と俺の記憶を与えてくれたからだよ。その記憶と力で俺は、お前と俺をこの世界に来たのだと思う」と言ってもう一人の俺は微笑んでから。それから俺はもう一人の俺の話を聞いていたのだが。俺はどうしてももう一人の俺のことを考えてしまうと胸がドキドキするのだ。もう一人の俺は俺に微笑んでくれた。
「今日もお前にこの世界の薬草と、この世界にある野菜や、それから薬草を使ってポーションを作ろうと思う。俺一人の力で、ポーションを作ってこの村で販売する。俺はこの世界で生きていくためにこの村に恩返しをしたいと思っていて。まずは薬を売って恩返しをする。この村の住人の病気が、俺とお前が融合した時に得た、神の力で完治する。そしてこの世界の人達を治せるようになるまで。この村の人に俺はポーションを販売をするつもりだ」と言っていたのだった。
それから俺はリネスが店を始めたばかりの頃に、リネスと一緒に薬の材料になる物を拾い集めに行っている。
俺とリネスとリネスの姉妹ともう一人の俺で森に入って行くと、俺は俺の中に入ることが出来ないもう一人の俺の事が頭から離れずリネス達に気をつけながらも、俺の中のもう一人の俺の事ばかり考えていたのである。俺は、リネスとリネスの姉妹と一緒に歩いていくうちに、俺の中にいるもう一人の俺の事をリネス達の前で話すかどうかを考えていた。俺とリネスとリネスの姉妹ともう一人の俺はリネス達とはぐれてしまった。
俺達ははぐれて迷子になってしまったがリネスとリネスの姉妹はすぐに見つかりリネスとリネスの姉に、俺はこの世界の人間ではなく。俺と俺は融合して一つの存在になったから。
俺達は三人で森の中を彷徨っていたのである。俺がそんな事を考えながらリネス達が戻って来るのを待っていると。サーニャとサーヤとアリシアと、リゼがやって来て、サーニアは心配していたようだ。俺はリネスが戻ってくるまでの間、俺の中でもう一人の俺が話しかけてきた。俺は「大丈夫なのか?」と言うが。もう一人の俺は。「あぁ。問題ないよ。それよりも。俺はもうじきしたらこの村を離れることになるかもしれないけど。でも俺が、もう一人の俺と融合して一人の男になることは伝えようと思っている。それにもう一人の俺と融合した事で。この世界に存在するすべてのポーションや回復薬を作ることができるようになっているはずだ。俺はこの世界に居る、俺の愛する人たちを守るために。俺はこの世界の人々に回復薬とポーションと、回復の薬が広まった後の事も考えている。俺は回復の薬を広めた後は。この村の近くの小さな国を俺の力でこの世界から消滅させて、それからこの世界の国々を一つにする為の動きを起こすつもりだ。そうすれば、人々は争いあうことがなくなり。人々を救うことができると思うんだ。そのために、俺がこの世界にいることと、回復の薬や、回復の草と回復の薬を作ることの出来る存在のことを公表するつもりだよ。そうすることでこの世界の人々から感謝されるだろうし、回復の薬が広がって、人々の生活は今よりも良くなるかもしれないし。そうすれば俺や俺の仲間が危険にさらされることも減っていくからね。だから回復の薬が広まるまでは。
この世界の人々を救い続けないといけないなと思っている。そうじゃないと俺は、俺の愛する者たちやこの世界の人々に恩を返せない気がするんだ。俺の好きな人たちのために、俺は回復の薬と回復の草で、回復の薬を作る。それから回復の草のポーションは薬草から回復の草のポーションを作ることはできるからな。そうしないとこの世界の人々の治療が出来なくなってしまうからな。そしてポーションや回復の薬は、俺が、ポーションと回復の薬を作り始めたことによって広まっているはずだからね。俺やもう一人の俺は回復の薬を作っただけだけど。
俺と融合した俺は回復の草と回復の薬を作ることができたんだ。そうする事で、この世界の人たちは回復することができる。そう言うことだと思う。俺やもう一人の俺は。俺がこの世界で回復の薬や回復の草のポーションを作れば作るほど、俺やもう一人の俺は回復するし、俺は、これから先もこの世界の人たちを助け続けるつもりではあるんだけど。
それでも、この世界の人々に回復薬を広めることが出来たとしても。それを扱う人がいないと困ってしまうわけだし、この世界にはまだまだ病気や怪我で苦しんでいる人が大勢存在しているのだからな。この世界で回復の薬と、回復の草を使ったポーションや薬草が使えることはこの世界で生きている人々が知っておくべきだ。俺やもう一人の俺の存在を知っているこの世界の人は多い方が良いだろうからな。そして俺ともう一人の俺は回復の薬と、回復の薬と、薬草で作れるポーションを作れる存在なんだ。そしてこの世界での俺の存在は。
回復の薬と回復の薬をこの世界で使えることを。回復の草から回復の草のポーションを作ることができるのは俺と俺の中の俺と融合した奴しか出来ない。俺は回復の草のポーションと薬草のポーションを調合したり薬草の草を使って薬を作ることがこの世界の誰にでもできるという事を伝えた上で。この世界の人々は回復の薬と、回復の草を使ったポーションを使うことで、病気がなおったり傷が癒えたりすることを知って貰いたいと思っている」と言っていた。それからリネスがやってきて、もう一人の俺は「じゃあまた後で」と言って消えていた。俺はリネスに「リゼ、サーニャ、サニア、アリス、リリアナ。ちょっと待っててくれるかな」と頼んでから俺の体に戻り俺は自分の体に戻ってきたのである。
俺はそれから俺は回復薬と回復の薬を作って販売するために店を開こうとしていたのだが。
「私はこの店で働くことに決めたから。今日はこの店で回復薬を売ってお金を稼ごうと思っているので、私も手伝うわ。あなたと一緒に居られるだけで嬉しいし」とリネスが言ったのだ。
俺はその日は回復薬と、回復の薬を売ってみることにしたのである。
それから俺ともう一人の俺は、この村の住人達に薬を売った。すると住人たちは驚いていたが喜んでくれたのである。そして回復薬の効果は抜群だったようで、皆が回復薬を使ったり、飲んだりした途端に、すぐに回復し始めていて俺は嬉しかった。この村で回復薬を使うと病気もすぐ直るみたいなので、村人たちも喜んでいたのであった。
そして俺が回復薬を売っていて、回復薬と回復の薬の効果で病気が治って元気になるのを目の当たりにしたリネスとリネスの姉妹やサーニャとサーニャ姉妹、アリシアとアリサとリリアナは、俺に「ありがとう」と礼を言ってきた。俺の作った薬のお陰なのに俺は少し恐縮していたのである。そんな風にしてこの日は終わりを告げたのである。
それからしばらくして俺はこの村の人々と仲良くなっていたのだが。そのおかげか、俺ともう一人の俺は回復薬と回復の薬を作って販売をしてもこの村では俺達のことを不審に思われることが無くなって来ていたので、俺達は、その日から本格的に回復薬を販売するようになった。この村の人々が回復するのが当たり前になってきているからだ。この村の人々が元気になっていく様子を見ているだけでも俺は嬉しくなってくるのである。そして今日もまた俺達は回復薬と、薬草と回復の草のポーションを作って販売して、この村の人々は回復したのだが今日はいつもより回復の効果が良かったのは何故だろうかと思っていたら。この村の住人の一人が、村長の孫が最近体調を崩してしまい今日も朝起きてから様子がおかしいから。もしかしたら昨日の俺が作った回復薬が効果が高かった理由は、孫娘さんが病気になってしまったからで、この村の住人の体調がよくなり病気が消えたことと関係しているんじゃないかと思ったようだ。
「それは俺と俺の中のもう一人の俺はこの村の為に回復の薬と、回復の薬と薬草を使ってこの村の人々の治療をしていてそれが関係していると思うんだよ。俺はこの村の人々に恩返しをしたいと思ってこの村の人達を治療をしているからね。そうじゃないと俺の気が済まないからね。この村は俺にとってもこの世界にきてから初めてきた場所で愛着もあるしこの村の人達に早く元気になって欲しいんだ。そうすれば、この世界にも回復の草と、回復の草のポーションがあることを伝えていけるようになるからね。俺と俺の中にはこの世界の人間がいるんだ。その人間は回復の草を材料として回復薬と、回復の薬を作ることができるようにして。俺は、俺と俺の中の人間が回復の草のポーションと回復の草の薬を作ることで、この世界の人間達に回復薬のことや、回復の薬のことを伝えていくことができると思うからね。だから俺と俺は回復の薬を作ることでこの世界の人々を助けることができているから。この村の人たちには回復薬や回復の薬と薬草と回復の草のポーションで助けたいと思っているんだ。
この世界に回復の薬と回復の草と薬草と回復の草のポーションがあれば。俺がこの村でやったみたいに苦しむ人も苦しめる人もいるかもしれないけど。でもこの世界にいる多くの人々を俺は救える気がするから。
そして俺の中にもう一人の俺が居ることで。俺はもう一人の俺と融合する前に比べて回復の薬を作ることが出来るようになれたから。この世界の人々には回復の薬や回復の草と回復の草のポーションがあるからそれを有効活用して欲しいと思っているんだ。そうすればこの世界の人々を救う事ができると思うし、俺がこの世界の人たちを助けたいと思えるから。俺は回復の草のポーションを作れて、俺の中でもう一人の俺と俺自身が融合したから、俺は俺の中にある回復の草のポーションをこの世界の人々に与える事が出来ると思うんだ。この世界の人を救うための回復の薬を作ることで、俺はこの世界の人たちを助けていけるからね。
この世界に俺と俺と俺の中の人間以外の存在がいるのかわからないから。そうじゃないと、俺のこの行動が間違っているかもしれないけれど。でも俺がそうすることで多くの人が救われることになるかもしれない。
だから俺はこの世界の人々の為にも。俺自身の為でもあるからこの世界の人々を俺はできるだけ助けていきたいと思っているんだ。俺の中の存在が、この世界の人々を助けるために存在しているとしたら。その力になりたいし。それに、もう一人の俺の存在を知っている人が一人でも増えればそれだけで俺は助かる気がするからね。そうすればこの世界を混乱に陥れようとする奴らも出てこない気がするからね。この世界の人々を救いたいという気持ちがこの世界に広まっていればこの世界の人々の心をこの世界で暴れている者とは違う方向へ向かわせることができる気がするから。そうすれば俺の愛する人たちを守ることもこの世界の人々を助けることも俺ができるような気がするんだ。俺は愛する人を失いたくないしこの世界の人々を助けたいと思うからこそ俺は今こうしてここに居るんだからな。だから俺の行動によって誰かが俺を責めようとしても関係ないんだ。俺は愛する者たちと俺が守りたい人々を守るために行動するだけだ。俺はこの世界で愛する者達と、この世界の人々を救い続けると決めたんだからな」
俺は俺の中にもう一人存在してくれていたもう一人の存在に感謝をしつつも、もう一人の俺がこの世に居てくれなかったなら俺ともう一人の俺は出会わなかったのだと思うから、もう一人の俺が存在してくれていたから俺はこの世界で生きる意味を見出せていたんだ。そしてこの世界に転生をして俺は、この世界に住むこの世界の人々を救いたいと考えるようになっていたのだ。
俺がこの世界でこの世界の人々が少しでも生きやすいように回復薬を作ってこの世界で生活していくために必要な物や知識などを提供しながら。この世界の人々を助けられたらいいと考えているのだ。俺はこの世界に来たばかりだけれども。俺にできる事があるならばこの世界の住人のためにできる事をやりたいし。それでこの世界の住人たちが笑顔で過ごせるようになることを望んでもいるんだ。この世界の人々に回復の薬が行き渡る事になれば、この世界の人々に俺のこの世界の人たちに対する感謝が伝わるはずだからね。
そしてこの村に薬屋を開くことになったのである。薬屋の店を開けるのは回復薬を売る時だけで、それ以外の時には開けないでおこうと思っていた。
俺とリネスとサーニャとリリスは、リネスがこの村の住民と打ち解けてからは。リネスの家で暮らしていた。この家は一軒家だがかなり広い。家の前には薬草畑があってリネスの家族と一緒に収穫をしたりして過ごしていた。リネスとリネスの姉のサーシャはこの家で家事を手伝い。サーニャとリリスもリネスに色々と教えてももらっていた。この三人はこの家でリラックスしながら毎日過ごしているようだ。サーニャはこの家に住み始めてから。サーニアもサーーニャの事も少しずつ話してくれるようになってきて俺は嬉しい気分になった。
リネスは、この家で暮らしていて思ったのだがこの村の人たちは、リネスにとても親切にしてくれる。リネスもこの村の人達が大好きになりつつあるらしい。俺はリネスの事は、この世界の人間として大切にしようと思っているし、俺にとって大切な人だ。俺の本当の両親に愛されなかった分をこの子を愛していくと心に決めている。
「私に家族ができて、私と姉妹になってくれたリスティとアリッサはとても私に優しく接してくれた。そして私の事を姉と呼んでくれて、私はこの村で暮らすことが楽しくなったわ。私が今まで暮していたあの村はもう、あんな状態になっているだろうから、こんなにも幸せな日々は久々なの。この村で暮らしている間は、私はずっと幸せを感じていたいと思っているの。
私達がこの村に来てから一週間ぐらい経ったある日のことだったわ。私はこの家に居る間は何もすることがないので薬草を調合したりして暇を潰していたのよ。
すると外からリネスの姉のサーニャの悲鳴のような声が聞こえてきたから、急いで外に飛び出したんだけどリネス達も慌てて外に出てきていた。その時にリネシアが何かから逃げてきているリーネを見てすぐに駆け寄ったんだ。そのあとからこの村に住んでいる村人たちが走ってきてリネス達の方に向かっていた。
どうやらその村人たちの方はモンスターに追われていたみたいだったんだ。リリスは魔物と人間の血を引いていて魔物の言葉を喋れるのよね。
それでリネシアが村の人に避難指示を出しながら。村の皆を安全な場所へ逃すように指示を出していたんだ。村の人達は、リリスが人間じゃないと気づいていたみたいだけど、村の人達は、魔物に襲われているというのもあって、リネスの指示通りに村の人達を安全な場所に逃がし始めた。そして避難誘導は無事に終わって。この村の人たちの怪我人もいなかった。それから少しして村の人を追いかけて来ていたモンスターをリーネが倒してしまった。そして村には平和が訪れたかと思ったけど。その時村の人たちが見ていなかった所で、村の子供たちが木の実を取って遊んでいたのが見えたんだ。
そして村の男の子の一人が、森の近くにある川に行って魚を取るといって村を出てしまったんだ。その子が、森の中に入ろうとした瞬間に、その子は突然、巨大な鳥に襲われたみたいで、食べられそうになったみたいだった。
でも村の人達はその光景をみてしまったの。だから村人たちは助けようと村の人たちを連れて、村の子供達を必死に追いかけていったんだ。
村の人たちは子供を助けようとしていた。その行動に対してリーネシアが止めさせようとした。でもそんな時。さっき逃げたはずの女の子が走ってきている姿が確認できた。その女の人の子供を助けるための行動を見た村の人たちの気持ちが変わった。そしてその村の女の子を助けるべくみんなでその子を追いかけようとしたんだ。
そんなことがあったから、この村の人たちが、私とリリスにとてもよくしてくれるんだ」
そんな話を聞いた俺は。俺が助けようと思っているのに。この村の人の方が助けてくれたんだなと思った。俺は俺にできることをするべきなのに、それすらもできない自分が情けなくて悔しい気持ちにもなった。俺は、この村を守れたらいいなって思うのに、まだ何もできていないからね。
俺は、この世界で生きていこうと覚悟を決めている。だから俺の中で眠っているもう一つの存在が目を覚ます日が来たときには俺はこの世界で生き抜くためにこの世界の人たちの助けになりたいと思う。俺にはこの世界の人たちを助けたい理由があるんだ。この世界を救いたいってね。でも今の俺はまだまだ弱いし未熟なのが分かる。だから今は俺が強くなって、もっといろんな知識をつけてからこの世界の人たちを助けようと思うんだ。この世界の人々が、俺を必要としてくれるようになったときが俺の存在価値が問われる時期だと俺は思っているから。俺はまだ自分の力だけでは何も解決できなさそうだし、自分自身も俺の中のもう一人の存在に助けられてばかりだったからね。
そしてリネスが村の人たちに俺とリリスを紹介してくれた。この世界の人々に俺が俺の存在を認めてもらうためにも俺は、俺の存在を証明するためにも、これから俺は俺なりのやり方で頑張って行こうと思うんだ。俺はこの世界で生きている人たちを救えるだけ救って。この世界で俺が生きる意味を俺はこの世界にいることで証明していくよ。
俺は、回復の草を作るのに必要な材料を集めていたときにこの世界に召喚されて。回復の草の材料になる植物がこの世界にあったのが良かった。俺は、俺の中に存在するもう一人の存在のおかげでこの世界では回復薬を作れたが、もし、もう一人の俺の存在が無ければ。この世界に回復の草が無ければ。俺はこの世界で生きるために行動することができなかっただろう。俺の中の存在が回復の薬を作ってこの世界に広めることができたのもこの世界の人々に回復の薬を届けることができているのもこの世界にある回復の草のおかげなのだ。だから俺は回復の薬を作るのに必要となる回復の薬草を自分で作れるようになっておけばこの世界で回復薬を売ったとしてもこの世界の人々の為にもなると思うんだ。それに俺はこの世界の人たちが傷つく姿は見たくないんだ。
俺は、回復の草を作ることと。薬を売るための資金を得るために俺はこの村で薬屋を開くことにした。
俺の回復の草の店を開く準備をすることにした。この世界で俺の店を開くためには。俺は回復の薬草だけではなく。俺のもう一つの武器である調合の知識も必要だと思っている。この世界の人間よりも俺は俺の中に存在するもう一人の存在のおかげで俺の知っている情報量も、この世界で生きる人々よりもはるかに多いと思っている。だから俺の中にもう一人の存在がいる限り、俺は絶対に負けない自信がある。俺は今までも何度もピンチに陥っている。
この世界に来てからも、この前だって死にかけた。それでも俺は何とか死なずにこの世界に存在しているんだ。俺がこうして生きてこれたのは、きっと俺の中にもう一人いる奴がいたからこそだと思っている。
俺がこの世界の人々に回復の草の薬を売り出すのに俺は、回復の草を作って販売するだけではダメだと思っていて。俺の作った薬を他の人に買ってもらわないと意味が無いと思っているんだ。
回復の薬は誰でも作ることができる薬だし、この回復の薬は俺にしか作れないわけでもない。
俺以外の誰かが作った回復の薬でも回復効果はあるのだ。だから回復の薬を作ったからと言って、それを販売したとして俺が儲かるかどうかはわからない。だけど俺以外に回復の草から作られる薬草の事をこの世界の人間が知ることはできない。なぜなら回復の薬草を調合して回復の効果を得られるようにしているからこの世界には、回復薬が既に出回っているから、今更薬草を調合しても効果は無いと思われてしまう。だからこの世界の人たちが知らない薬草の情報があればそれだけこの世界の住人たちにも売れるはずだと思う。だからこの村の村長さんや、村の人たちは。
「あなた様はこの村を魔物たちから助けてくれました。私たちはあの光景を見てしまいましたから。あなたの言うことに従いますよ。私たちも、あの魔物にこの村の若い者たちを食われるのは、どうしても許せませんでしたから。
この村の者たちは、あの子が襲われるのを黙ってみていました。それは仕方のない事です。しかし魔物があの子を食べようとしたのを見て。村の皆は恐怖を覚え、皆は逃げ出したのです。
私は、魔物と戦うことができない。でも私の娘であるリーネは魔物と戦い、魔物を倒したんですよ。私はリーネの強さを見て感動したんです。私は魔物に襲われて死ぬ運命を受け入れようとしていました。でもリーネが私達を命懸けで守ってくれたおかげで、私は生き延びることができました。私達家族を命を賭けて守ってくれたリーネを今度は私達が守ろうと思います。
どうかこの村の者にあなたの作る回復の薬を分けてください。この村の者は誰も死んでほしくはない。リーネの事は村の者も、私も感謝していますから。
この村の者の命を助けていただいた御恩は必ずお返しします。この村に出来ることであればなんでもさせていただきますから」
そう言って村人たちは俺に向かって深く頭を下げていた。
この村の人は、とても心が綺麗なんだなと思ったよ。リネスの家族たちは本当に良い人たちばかりなんだよ。
だから、リネスをこの世界の人々を救うためにこの世界の人々に認めてもらわないといけないと思ったんだ。
俺は村の復興を手伝った。俺はリネスや村の人と一緒にこの村を復興させた。
まず最初に行ったのは井戸の建設だ。この井戸はとても重要なものだ。もしもこれが壊れてしまったり。使えなくなってしまったら村の人たちの生活に直結する。なのですぐに俺は土魔法を使って頑丈で崩れにくい大きな桶型の巨大な井戸を何個か作成したのである。
そのあと、水を確保する為にこの村の地下に大空洞を俺が作り出した。これは地下の水を確保するための場所と、村の人たちが生活できるような居住スペースを作れるだけの十分な広さのある場所を作った。もちろんリネスの家と村の人全員が入ることのできる巨大な住居を作った。俺はこの空間を【創造】で作ったので時間はかからなかったんだ。
俺はこの村に温泉も作ることにしたんだ。
温泉を俺が作り出すことにより、村人たちは喜んだが、俺は風呂に入りたがっている女性に聞いてみた。
すると、この世界の人間にも女性で裸を見せ合う文化があるのかは知らなかったけど、みんながみんな服を着たまま入浴をするらしいので、せっかくなら俺は、この村の女性たちを労うために、温泉を作り、そこで村の女性に楽しんでもらうことを思いついた。この村の人たちは俺に感謝をしていてくれるので俺がお願いすれば、嫌なことでも断ることができないかもしれないと思ったから。だからこの村の男性に頼みこんでこの村の女性たちを集めてもらったんだ。俺は男でも女でも俺にとっては同じ仲間であり友人だと思っているから。村の女性たちを誘って一緒に入ろうと提案をした。
俺がこの村で薬を売るにあたって必要なことは俺が回復の草から作れる回復の薬を販売できることを証明する必要があると思うんだ。この村の人達が薬を買いに来ても俺に利益が来なければ、この村は発展しないから。俺が売った回復の薬に、俺の店で回復の薬を買ってもらった人だけが、無料でその回復の薬が貰えるようにしたいと思った。つまり俺は、この村の人たちの為に、俺の店の客を限定することにしようと考えたんだ。俺のお店では回復の薬を買うことができる人しか買えない仕組みにするつもりだ。その方が俺にお金を払う必要がないし、薬を飲んで病気になった時にも俺が無償でその人を回復することもできると思ったから。この世界の人間は、回復薬の効能を知らない。この世界の人間が、俺の店に回復の薬を買いに来ることで、回復薬がこの世界の人々が求めているものだと分かってもらえるはずだ。この世界では回復の草の効力を実感できている人間はほとんどいないからね。だからこの村の人々に俺の回復の草を、村の人々が使う事で、村人の健康が回復していく姿を見てもらって、俺は俺の存在をアピールするためにも。俺の薬を村の中で売り出そうと思う。そして俺が回復の草から回復の薬を作り出すところを村の人々に見てもらおうと思っているんだ。
そして、俺は回復の草で作れる薬草で、俺の薬屋でも回復の草が売れるかどうかも確認したい。俺の作った薬草が回復の草から作られる薬草と一緒なのかを知りたいんだ。この世界の回復薬の作り方も、薬草をすり潰す方法ではなくて。そのまま乾燥させて粉末にする製法が一般的だったみたいだから。回復草と、回復草の茎から作られる薬草を調合しなければいけない。俺はこの村が、魔王軍に滅ぼされそうになったときにこの村の村長の娘のリリスがこの世界の住人が作れない方法で、この世界の人々を救って見せたんだ。
だから俺もこの村の村長に、回復の草から回復の薬を作る方法を村の人々に教えることを許可した。
だから俺は、この世界の住人たちに、俺が回復の草から回復の薬を作って販売している事を証明しようと思っているんだ。回復薬が、回復草の葉から作られる薬だと証明できたらいいと思うんだけどね。回復草は薬草の一種だしね。俺には知識と調合の才能があっただけじゃなく回復草の効果を確認できるほどの材料がこの世界に存在したことで回復薬を作ることができたわけだから。でも、回復草と回復草の粉を使った回復薬が本当に回復効果をもたらす事ができる薬だという証明ができないと意味が無いと思っている。だって俺が作ることができているだけで、他の人たちでもできるという保証はないわけだし。回復効果を得られる回復草の粉末を作ることができれば誰でも簡単に回復する回復草の薬を手に入れることができればこの村の人たちに回復草から作った薬を販売しやすくなると思うから。
俺が村の人たちに、この回復の草から回復の薬ができると知ってもらうのに、回復草から作った薬と、俺が作る薬が回復の薬であることを確認する必要があるんだ。だから村長に、この村の人たちが俺の回復の草を使って作った薬を確認してもらうように頼んだ。俺は薬の確認のためにこの村の人に回復の薬を持ってきてほしいと言ったんだ。
俺は、この村にある物で作ってほしいものを伝えた。それは、米と味噌だ。味噌と豆腐とわかめをこの村で用意してもらう事にした。この村に大豆があるかどうかは分からないけど、味噌は俺が作ったものでもいいから、なんとか作ってもらおう。それとこの村の人たちは、この村の周辺に群生している薬草から、薬草以外の植物を育てることができないと言っていたのでこの村の人たちが育てることのできない植物があるのか聞いたら。やはりこの村の近くに生えている回復の草からは回復効果が得られる草は育つ事ができずに、この村に生えている薬草以外の植物はこの村の周辺の山に自生する薬草以外は育つことができないようだ。なのでこの村の周辺には、回復の草から作れる回復効果のある草以外に、この村に生息している薬草以外の植物は育たないということだ。
俺はこの村に、回復の薬草以外の植物の種子を撒くことにした。これはこの村を発展させるために、この村の人たちには頑張ってもらわないといけないから。俺に協力してもらおうと思っている。この村で野菜や穀物の栽培をすることでこの村の人々の食糧事情が改善されていけば、この村の発展に繋がると思っている。俺も協力をするよと言って。
俺はリネスの家族たちが俺の家に泊まっている間、リネスの家族たちと交流をしていたんだ。
リネスは、とても可愛いくて、俺がリネスと話している時は俺の顔がにやけていたらしくてリネスに気持ち悪いって言われてしまった。
でも、リネスは俺のことを気に入ってくれていて。俺の言う事なら何でも従ってくれると言ってくれたんだ。それで俺はリネスの家にあった。魔導書を読んで勉強をする事にしたんだ。俺は魔法が使えないが魔法のスキルを習得することはできなかったのである。それでも俺は魔法が使いたかったので魔法について調べることにした。リネスたちはそんなことよりも自分の村を守ってくれた俺たちに対して、感謝をしてくれたのだ。でも俺にとって魔法というのはロマンであるからどうしても使ってみたいと思っていたんだ。俺は異世界に召喚される前から本を読むのが好きで特にファンタジーな物語が大好きだったんだよね。だからいつか、魔法を使ってみたいなと思い続けていた。
この世界の人たちは、魔物がいるからという理由で魔法を使える人がいなかったため魔法というものが存在していなかった。だから俺は魔法が存在する世界を体験することができたことに感動をしたんだ。
リネスは、この世界での魔法使いの常識を教えてくれた。まず最初に俺のいた世界の魔法と、この世界の魔法とは根本的な考え方が違う。魔法は魔力を使い、現象を起こすことを総称したものであるということ。この世界には属性魔法があり、火魔法や風魔法、土魔法や光魔法や闇魔法といった属性魔法に分類される。
魔法は発動するための呪文を唱える必要があり、その言葉を唱え終わることによって、魔力が発動するということである。
そしてリネスの説明を聞いて俺は思ったんだ。俺は勇者なのに魔法を使えないなんておかしいだろ!って思って。だから俺は、俺がこの村を守ることが出来たら俺に魔法を教えてくれるようにリネスたちに頼むことにしたんだ。
俺は魔王を倒したあとに、この村に来て良かったと思ったんだ。なぜならこの村は、俺が守るべき大切な場所だと思うから。俺が魔王を倒す前に訪れた場所は、どこの街に行っても酷い状況でこの村の状況を見ても分かるようにみんな疲弊しきっていて、食べ物もろくにない状態で街も荒れ果てていたんだから。だから俺が、この村で暮らし始めてからこの村が発展をしていく様子を見てきて俺は嬉しかったし、こんな良い人達が住んでいる村の人を見捨てることなんてできなかったんだよ。俺は絶対に見捨てられないと心の底から思い、自分が助けたいと思える人たちの為に力を貸してあげたいと思っている。この村で、俺の店で買い物をしてくれる人やお店を経営している人たちには、できるだけの事をしたいと思ってるんだ。俺のお店で買う商品は全て半額にしてあげたいし、売り上げの半分くらいの利益で構わないから無料で渡してあげたいと思っている。この村には俺の薬が必要としている人もいると思うからね。それに回復の草で回復の効果のある草と、回復の薬の原料になる薬草がこの村にも自生していたから、この薬草を調合すれば回復薬も作ることもできるしね。この村でも、回復の薬を作る事はできるはずなんだ。だからこの村の人々からすれば回復の草がこの村の人たちの手に入ることでこの村も回復していくはずだからね。
俺の予想だけど。この村の近くにある薬草畑から回復の草を作ることができていると思う。でもまだ回復の草から作れる回復の草は、回復の効果しかないみたいだからこの村の人は今までに回復の薬を使っても、その効果が回復の効果しか得られなかったんだろうと思ったんだ。この世界の人間は回復薬の効力に気づくことができなかったみたいだしね。この世界の人間は回復薬を飲むことがなくて怪我をして初めて回復の草で作った薬の存在を知ることになったのかもしれないから。回復の薬の存在は知らなかったんじゃないかな?でも今は俺の回復の草がある事で、回復の薬の効果を得ることが出来るからこの村に暮らしている人もこの村で薬を作っていればこの村に住む人たちは病気になることがなくなったわけだからね。そしてこの薬を広めていくことで、薬の需要も増えていくことになる。この世界の人々は病気にかからないで済むわけだし、俺の店の商品を買ってもらえばお金を落としてもらえることができるようになるから、お金を落とす人が増えていけばそれだけこの世界の経済も潤ってくるはずだ。この世界は俺の世界とは違うので、俺の回復の草から作った回復薬は回復効果をもたらす薬草と同じ効能を持つことができると証明することが大事なんだ。
だから、この村の人たちと協力してこの村の周辺の村でも回復の草から作る回復薬が広まってほしいと思っているんだ。
俺の回復薬があればこの周辺の村に行商人として売りに行くこともできるからこの世界の人間たちが、俺が回復薬を売って得た資金で、回復の草をたくさん栽培できるようになればこの世界の住人たちが薬を作って薬を流通させることができるようになって薬の値段が下がれば、俺もこの村の住人たちに回復の草を作ってもらうための資金をこの村に寄付することができて村の人たちの負担を減らせるから。
俺はリリスからいろいろ教えてもらいながら回復薬の作り方を覚えたんだ。そして回復の草と回復草の粉を調合することを繰り返し、俺は回復薬を作ることができた。回復薬を調合すると薬草をすり潰したときに出てくるエキスに回復の草を混ぜ合わせて薬を作ったんだ。そうすることによって、薬に回復効果が生まれるようになったので俺は試しに回復薬を使ってみた。そしたらちゃんと回復薬に回復効果が生まれていたので、俺が作り出した回復薬には回復効果があると実証できたのであった。
俺はこの村の人たちに俺が薬の作り方を教えている間に俺が薬を作り出してから、この村に流通している回復の草と回復草の粉から作られる回復薬の売れ行きが落ちているのを知った。だから俺はこの村の人々が回復するために回復の草を薬にすることができないのか聞いたところ。村長が回復草から回復の薬を作り出すことはできるが回復草の粉末を水に溶かした時に回復薬が完成するまでに回復の草に含まれる回復成分が失われてしまう為。回復草の粉末を水に溶かすだけで回復薬を完成させることができないと、話してくれました。
それを聞いた俺はこの村の村長が言った通り、回復の草は回復薬の原料としては使用できないようだ。この村の人々は回復草から回復の草の粉末を水に溶かして回復の水を作れないか試行錯誤したが上手くいかなかったようです。回復の水を作ることで薬草に回復の水が吸収されたら薬草は回復するが。回復の草が水に溶けると回復の効果は消えてしまったのだそうだ。だから回復の草をこの村では使うことができないと判断したらしいのだ。
俺は、村長の話を聞きながら回復の草は、この村の人たちの薬師の技術が不足していたせいで、薬草が回復の草に回復効果を持たせることができないのだと思ったのだ。俺は、このままだとこの村がこの周辺の村や町と回復の薬を流通させることができないと思ったので俺は、この村の人たちに薬師の仕事をする人を集めてくれるように頼んだ。
リネスは、私達の薬はもう売れなくなったと俺に訴えかけてきたのである。俺はまだこの村に来るまでは、回復の草と、その粉末を使った薬草から作られた回復薬は普通に売ることができたんだけど。でも回復薬はこの村でしか、手に入れることはできないから俺は回復薬を他の町でも販売することを考えたんだ。そして俺はこの村をこの国の一番栄えてる場所にしてあげたいと思い、この村の住民達に俺の考えを伝えたんだ。この国にはたくさんの人々が苦しんでいる人がいて、そんな人達を助けたいと思っていたんだ。俺がリネスの家族に自分の想いを伝えるとリネスが協力してくれると言った。リネスは自分の両親や他の村人たちと話し合いをして、俺の提案に賛成をしてくれたのだ。だから俺は、この村で薬作りが盛んなようにしようと心に誓った。それから俺はリネスの家族たちと話し合いをして、この村がこの国で一番栄える町にしようと言う事を話し合った。
俺はこの村に来た時、この村がとても酷い状況で村人達はとても疲弊していて。生きるのにやっとの状態で。俺は村の状況を見て、すぐに助けたいと思ったんだ。
この村が豊かになれば俺がリネスのお父さんと話し合っていた村を復興する計画を実行できると思ったんだ。俺が最初にリネスの父親にお願いしたのはリネスの村の復興を手伝って欲しいということです。
最初はこの村のことをよく知らない俺の意見など、この村の人々は聞いてくれないだろうと不安になっていたのだが。
この村をリネスのお父さんに任せてみるとリネスの父親は村の復興に力を入れてくれた。この村は元々リネスの父親がこの辺りの土地の農民たちから土地を借りて、薬草を育てることによって収入を得ていたのです。
リネスのお父さんはリネスの父親のお父さんと二人でこの村に住んでいて。この村の近くの山や森や林などから薬草を採取してこの村に持ち込んできていたそうなんだ。だから、リネスのお父さんも俺にこの村を任せてくれるというので、俺は村の人々を集めてもらって村人たちからこの村に住みたいという人がいないかを尋ねたんだ。そしてリネスのお父さんに俺がこの村の人々をこの村の周辺にある村の人々に薬を配る仕事についてもらいたいことを告げるとリネスのお母さんが、薬配りの仕事を引き受けてくれて、その仕事を手伝う村人も何人か出てきてくれた。この村の人達は、俺に命を助けてもらったことで、感謝をしていますと言ってくれました。この村の人は本当に俺に感謝をしてくれているみたいでした。
この村の人たちから話を聞かせてもらうとこの村の近くの森の奥に小さな家があってそこに住む家族がいたそうで。その一家は、俺に助けられる前は生活するのにギリギリで暮らしていたそうで。
だからこの村に移住してきた人たちはみんな薬を作り出せるようになって、みんなで協力して仕事をするようになったことでこの村の生活は以前よりも良いものになっていったみたいだった。それで、移住してきた人々は俺のおかげで薬を作ることが出来るようになり、みんな薬を作ることが出来るようになって、みんなで薬草畑を開墾して作った回復の薬草と、回復の草を調合することで回復の薬を作り出すことに成功したみたいなんです。だから、この村に住んでいる人々の大半は回復の薬の製法を知っていたから回復の草を薬にして売り出すことも簡単にできるはずなんですよね。
でも、薬を作ってくれる人がいるといっても薬を売ったり、薬を買い取ってくれる人がいなければ意味がないと思ったんだ。それにこの村の近くに住んでいる人たちの中には薬を買う余裕のない人もいるからこの村の人々から薬を買ってもらえればいいと思ってる。この村の人々は薬を作る技術はあるけど、まだこの世界の人間たちに回復の薬を売るほどの腕前はないと思う。そこで、俺はこの村の人達から、この村で薬屋を開業することを許可してもらいました。俺の店の従業員として働いている人を一人雇い入れたんだ。俺にこの店の店長をしてくれと言われた男性はすごく緊張していたので、俺もこの店に訪れるお客さんと同じように俺に接するように指示を出したら、少し落ち着いた様子になったから俺も安心しました。
それから俺はリネスの家の隣に店舗用の建物を作ってそこに薬の店を開業したのであった。そして俺の薬屋の店員として働くようになった人と一緒に薬の販売を始めることにしました。俺は、俺の回復の草を調合する技術をこの村の薬師達にも教えてほしいということも伝えたんだ。この世界の人々は回復の薬の作り方を知らないから、もし俺の村の住人が回復の薬を作ることができればこの村の人々は回復の薬を手にすることができるので、薬の売り上げが増えると考えたのだ。
リネスの両親は、回復の草から作れる回復薬を薬にする作業を始めて、回復の薬が売れるようになってきたおかげで、少しずつこの村の人達は以前の生活を送れるようになっていたのです。そして、村の人たちが回復の薬で治療を受けた人たちが元気になり、回復の草を栽培し始めた事で薬が売れるようになり、この村の収入も増えて生活が楽になって行ったようです。そして、この村の村長が村長になってからはこの村の周辺にはたくさんの人の住む場所が増えていきました。
そして回復薬が広まった影響もあってこの村には回復薬を求めて多くの人が訪れるようになっていました。その結果、この村にたくさんの商人が集まり始めた。俺はこの村に訪れる商人達にこの村で生産された回復薬を卸して、回復薬の価格を下げていく。回復薬を欲しがる人も徐々に増えてきたため俺は村の薬師たちを集めてこの村に回復薬の工場を作って、回復薬を作ってもらおうと思ったんだ。俺の村の住人たちが作る薬より高品質の薬を生産できるようになるはずだから。そうすれば回復薬の流通量も増えると踏んでいたから。この村には薬の製造に関わっている人々がたくさんいますから。この村の住民達は薬を売ったお金を受け取っていたのだけど。それでは足りないと判断した。だから俺は薬を作っている人には報酬を払ってもいいと思ったんだ。この村の人々が薬を売って生計を立てることができるならそれが一番いいと思っていたから。俺は、俺が作り出した回復薬がこの国の全ての町や村々に広がって欲しいと思っていた。俺の考えが成功するように願っています。俺は、リリスから回復の粉の作り方を学んで回復の粉の生産を始めて回復薬が安定的にこの国の人たちに行き渡るようにしようと考えたのだ。
俺はまずこの村にやってくる人たちのために、薬の材料が売っている店を作り、回復薬に必要な回復の草などの素材を販売できるようにしたいと思っているんだ。俺が作った薬は回復の粉という粉薬だ。これは、回復薬に粉にした回復の草を加えるだけで回復の粉の完成です。リリスには回復薬の作り方は教えてもらったけれど、リネスにはまだ薬の作り方を教えていないんだよ。俺はリネスに薬のレシピを教えてもらえない理由を聞いたら、リネスはリネスなりの意見を言ってきた。彼女は自分の母親が俺の母親に毒を盛られたことを知っており、その事を思い出させないためにリネスにはまだ、リネスの母が生きていることをリネスの両親には内緒にして欲しいと言われてしまった。確かに自分の母親が亡くなったのであればその悲しみを思い出すかもしれない。だから俺はその提案を受け入れることにした。リネスは母親の死を乗り越えるのが大変だったと言っていたのだ。そんなリネスだからこそ俺は、彼女を支えようと決めたんだ。それから、この村の薬師たちと相談して俺はリゼルの父親が住んでいる村まで転移の能力を使う。俺とリーゼ、リリス、ライサ、ルミナスのメンバーでリゼの父親に会いに行った。リゼルから聞いたリネスの実家に辿り着き、俺たちはすぐに家の中に入った。リネスの父親は俺のことを歓迎してくれたので。
リネスのお父さんから回復の薬の作り方を聞いているとリネスのお父さんはとても興味津々で俺の話を聞き、回復薬を作るための道具などを貸してくれると申し出てくれた。これで俺の村の住民達に回復薬の作り方を学ばせることで、村の人達は薬を作る技術を手に入れることができた。そして俺はリネスの父から回復の薬を作るのに必要である回復の草の種ももらった。この回復の種は魔導王国でも育てているようなので、その種も大量に買わせてもらった。俺は、回復の薬作りをする人を増やし、この国に回復薬を広めていこうと思ったんだ。俺の薬がこの国で評判になる日を夢見て。俺がリネスの父親に回復の草から作るための方法を教えるとリネスのお父さんもリネスに薬の作りかたを教えたそうだ。
そして、リネスのお父さんから薬を調合するための設備を借りたので俺とリネスで一緒にリネスの家に移動をしたのであった。それから、俺はリネスの家でリネスに回復の粉を作ってもらうことにする。俺は回復の草の調合を試してもらう事にするのであった。それから、リネスは薬を作るために必要な回復の草と回復の草を調合するために使う調合用の水を用意していた。
俺はこの村から持ってきた薬草とリネスが用意していた薬草の調合を始めるとあっという間に薬が完成した。この村で育てた回復の草の効果はリネスのお父さんが作る回復薬よりも性能が良いのだと分かったんだ。この回復の粉は俺がこの世界にやって来た時、俺がリネスにあげた薬の効果を上回るほどのものだったんだ。この回復の薬を俺は大量に作り出してリネスに渡す。この回復の薬は、俺がこの世界でこの世界の住人たちに薬を売る時に使おうと思うんだ。そして俺の回復薬を作れる職人を村の中に数人配置させて、リネスに回復薬を作ってもらって薬を売ろうと思ったんだ。この世界の人達は薬を買うお金も持っていないし、そもそも回復薬の作り方を誰も知らないと思うからね。俺は、この村の人以外にも薬を売りたかったんだ。この村の人以外の人に俺が生み出した回復薬を販売していけばいずれは薬の需要が拡大するはず。そして俺の回復の粉と回復の草から作る薬がこの国の人々にとって当たり前の物になるといのはすごくうれしい事だと思うんだ。俺の回復薬の製法がこの国に広がることでこの国の人々の暮らしが豊かになっていくことを願っています。
それから数日かけて回復の粉と回復の薬を作る練習をしていた。その結果リネスもリリスと同じように薬を作り出すことができるようになったんだ。でも、リリスと違ってリネスの場合はリネスが持っているスキルが関係していて、リネスは自分の意思に関係なく薬を作り出すことができてしまうから、リニスが薬の量産をすることは不可能なんです。リネシも同じように薬を作ることができるようになったので俺はリネスの家に戻って薬の販売の準備を始めることにしたんだ。そして、リネスの家で薬の販売の店を始めようと思っていることをリネスの両親に話すと喜んで賛成してくれました。それで俺の薬の店で働いてくれる従業員を二人雇い入れたのです。俺にリネスが、薬の製造を手伝おうかと言ってきたんだけど俺は断った。俺は自分の力で薬の製造をやりたかったんだ。
それから俺の店の商品の販売は、この村の薬師たちが回復薬を製造し始めたことによって回復の草を大量に確保できるようになってきていたので薬を調合することが出来なくなった村人たちは回復の草を売って生計を立てることができるようになり、村の人々は収入を得ることで村を少しずつ発展させることが出来るようになったんだ。そして、リネスはこの村の薬師たちをまとめることになった。
それからこの村には薬の店で働く人がたくさん集まって、村にはたくさんのお店が建ち並び村人は薬のおかげで怪我をしてもすぐに治るようになり、この村は活気づいていた。それから数日後に、俺の店は開業することが決まるのだった。
俺はこの村に店を作ろうと考えたのです。なぜならこの村の住民のほとんどが薬を作れるからです。だから、俺はこの村の人達に回復の薬を作れるように教えようと思いました。そして俺の回復薬を販売することにしたんだ。
俺はこの村の薬師たちを回復の薬を作れるようになってもらいたいので。俺は薬を作り始めるための材料を用意する。俺の店に出すため回復の粉を100袋と、回復の草が200束必要になったので俺はこの村の薬師たちに回復の粉を1回分ずつ渡したのだ。この回復の粉はこの村の村長の娘さんが調合したもので、品質はかなりいい。回復の粉を受け取った彼らはとても驚いていて「これ本当に回復の粉なんですか?」と言われたが俺は、「ええこれが本当の回復の粉ですよ」と答えるとさらに驚きながら回復の粉を見つめる。彼らもこの村に住む住民なので、リネスに教えられれば回復の薬が作れるようになるはずだから、頑張って欲しいです。そして、俺の回復液を渡す前にリネスから回復薬が作られている工程を見せてもらえることになり。
俺と一緒に見学することにした。まずはリネスが調合から始めたのだけど、リネスの作った回復薬がものすごい勢いで増えていった。回復の粉がこの薬に吸収されていくのがはっきりと見えた。俺もその光景を見たが。こんなにも効果が上がるとは思わなかったので、回復の粉をリリスから買っておいたのが幸いしていました。そして俺はリネスが作っているのを見ていて、少し気になったことがあるので聞いてみることにした。それはリネスが薬を作っている最中に魔力が漏れ出していないのだ、普通回復の粉を作ると必ず魔力が放出されて、リリスが回復の粉を作るときに苦労しているのを知っていたから俺は驚いたのだ。俺も薬の調合が出来るけど。リネスのように大量の回復の粉を作ってしまうなんて出来ないからね。俺がそんなことを思いながら見守ると。回復の粉は順調に作られていったのである。俺が見ている限り、この作業を行っているときはリネスに疲労の色は見えない、それどころかリネスはとても楽しそうにしているように見えたので、回復の薬はどんどん出来上がり。回復の粉が完成したので俺はこの村の住民に回復の粉を渡してあげる。すると住民たちはとても喜んでくれていたのである。俺はリネスに俺の薬はどれぐらい売れそうだ? と聞いたところ、回復の薬の売れ行きはあまり良くなかったようで、それでも、薬を買いたいという人がたくさん居たらしいので。俺は、回復の薬が欲しいという人には無料で薬を提供することにした。俺が無償で薬を配ったら他の薬屋や雑貨屋から苦情が来るかもしれないけれど。リネスは気にしていなかったので問題ないだろう。そして俺はこの回復の粉を使って、回復の粉と回復の草で回復薬を調合してもらうことにするのだった。俺は調合の手伝いをお願いするのだがリネスはあっさり了承してくれたので調合してもらうことにしました。俺は回復の薬の在庫が少なくなっていたので、俺はこの村にいる薬の作り手に調合のやり方を教えてもらう。この薬は材料が揃うならば簡単に調合することが出来たので、大量に回復の粉と回復の草をこの村から購入したのだ。この村の住民も自分たちで作った回復薬が売れることはうれしかったみたいで俺にお礼を言ってきた。そして俺はこの回復の粉と回復の草を大量購入することができたので、俺はこの村の住民達に作り方を広めていき、この回復の薬が広まっていくことを願う。俺はリネスからもらった回復薬がどのくらいでこの国に普及するのか楽しみにしながらこの村を出て、次の目的地に向かうことにしたのであった。俺は次にこの国に来た時に、この国の薬がどの程度流通しているのかを確かめに行く。それから俺はクロナに連絡を取り合流してからクロナのいる場所に転移したのであった。俺はこれからリネスと薬作りの練習をしに行って来るから。と、言うとリネスが私も行きたいと行って来たので、一緒に行くことになる。リネスが回復の粉と回復の草を一緒に取りに行こうと言い出したので俺は、クロナと合流してからこの国の様子を見るために、リネスの家からクロナスに転移してもらった。俺とクロナはリネスに連れられ回復の粉と回復の草を採りに向かったのである。俺とクロナが向かっている間。リネスが回復の粉について説明してくれる。この国の人達は薬の作り方が分からなくて困っていたらしく、回復の粉を作れる人がいなかったので。回復薬を売ろうとしても買い手がおらず、お金を稼げず、お金がないから、生活は貧しいものだったので、この村の薬師は薬を作れるのに薬が売りに行けないから薬があまり出回っていなかったんだ。俺はリネスから話を聞いてなるほどなぁーと思いながらリネスの後をついて行く。そしてしばらくするとリネスが立ち止まった。そこは小さな泉があって回復の粉が採取できた場所でもあったので俺は、回復の粉をリネスに集めさせたのだ。そして俺たちは次の回復の粉が手に入るであろう、魔人族たちの住んでいる町に向けて移動する。そして俺達が到着した場所は俺が以前訪れたことのある魔人の町の近くにある街で。俺はリネスにここにある薬を全部取って来ていいよと言ってから、リネスを町に残す。
それから、この国の薬事情を確認するために。薬に詳しい人物を探しに行ったので俺はその人に会うため。ある場所へと向かった。そしてたどり着いた先にいた人はなんとも可愛らしい少女で俺に話しかけて来たのである。彼女は俺に何を求めているんだろうと悩んでいると。彼女はいきなり俺に向かって抱きついてきた。俺は慌てて彼女に引き剥がそうとすると。俺の顔にキスをしてきながら「やっと見つけた、あなたをずっと探していたんですからね」と言われてしまった。そして俺は彼女が誰なのか思い出す、彼女の名はアカリ、彼女は俺がこの世界に来る前に住んでいた世界に俺がいた学校の先生をしていた人だった。俺はなぜ、アカリが俺を待っていたか疑問に思っていたので。
彼女に声をかける「あのぉーアカリンさんですよね?」と言うと彼女は俺のことを抱きしめる腕に力を入れながら俺に言ったのである。
俺はどうして、この子がここに居るんだろうと思っていると、彼女はこの国では有名な調合士なのだという、しかもかなりの実力を持った人で、回復薬を作ったことがあるのはこの世界でアカリンさんしかいないという。それからアカリさんが俺に何かあったのだろうと思って俺の所にやって来たのだという。でも俺が異世界召喚に巻き込まれたせいでこちらの世界に戻ってくることが出来なかったから、アカリーさんはこの世界を彷徨いながら俺の事を探していたということだった。俺はアカリさんを元いた学校に連れて行った、そこで俺は、アカリーさんが今までどのようにして過ごしていたのかを聞くことになった。
それからアカリーさんは俺がいない間に、自分がいた学校での出来事を俺に話し聞かせてくれたのである。この世界にやってきた当初はかなり苦労をしていて、回復の粉を作ることが出来てもそれを売れないから自分で使うしか無く。そして、この世界の人々は回復の粉を作ることが出来ないから、回復薬を買うことができない。だから回復薬を作れば作るほど貧乏になるという状況だったのだ。だからアカリーナは自分のお店を開こうとしたんだけど、自分の店を開くほどの資金がなかったみたいなんだよ。だけど俺はアカリーに回復薬を大量に作ったらいいんじゃないかとアドバイスした。アカリーは俺の言葉を信じることが出来ずに回復の粉を作り続けていて、結局回復薬が売れないのでお店を始めることはできなかったけどね。そんなこんなで、今から二ヶ月くらい前から俺と別れた後。回復の粉を売って生活をし始めてたみたいだ。
俺はそれを聞き終わると俺はアカリさんに提案する。俺と一緒にこの国の発展に手を貸さないか? と聞くと「はい! 喜んで」と答えてくれた。こうして、俺に新たに協力者が出来た。俺は早速、回復液の作成を行うように指示を出した。この回復液もかなり重要なものなのでしっかりと指示をだすことにする。回復液の製法はこの世界の住人たちには分からないと思うのでよく考えてから調合するように伝えることにした。そして俺とアカリーンは薬の研究を行い始めたのであった。この国で、回復の粉が大量に売れるようになったらいいなと思ったからである。俺はアカリーをこの国に住まわせてくれるようにこの国の人にお願いをしたのであった。俺は、この国の人が回復薬を売ることを嫌がっていた理由はおそらく、回復薬が高額になりすぎて買えないという事だろうと推測したのだ。この国の人達が回復薬が買えなくなった理由を考えるとこの国が貧しく。金を持っていたとしても。高額な商品は手に入りづらくなっているはずだと考えたのだ。だから、薬を安価で売ることができれば。多くの人が回復薬を買いやすくなって、みんなが回復薬を買ってくれるようになり。回復薬の価値が上がり、価格が上がる。そして回復薬が高くなりすぎると人々は薬を買いにくくなり、結果薬の需要が減ってしまうことになるので俺はその状況をどうにかしなければならないと思ったのだ。この国は俺に協力してもいいと言ってくれたので俺はまず回復の粉を作ることと、回復の液を作る事を指示することにしたのである。
この国は魔王軍が支配していることは分かっていたのだが。それでも、俺はまだこの国がどのような状況になっているのか把握していなかったので。回復薬を作って、販売するために俺達は一度町へと戻ることにした。俺達はすぐに出発しようと思ったのであるが。アカリンはもう少しだけ待ってほしいと言われた。なんでもこの町にいる知り合いに会いたいそうだ。俺は了承したのでとりあえず俺はアカリーの案内のもと薬作りをする為の準備を整えることにした。それからアカリーは俺を連れて薬の材料がある場所に俺を連れていくと。すぐに作業を開始したのである。俺はこの国についていろいろ聞きながら、アカリーに作業をさせたのであった。そして一通り薬の作り方を教えてもらうことに成功した俺はこの薬の作り方を広めようと決めたのであった。それから、準備が終わったのでアカリーに礼を言いこの場を後にすることに決める。
アカリンから薬の作り方や回復の粉と回復の草について教わることが出来た俺は、魔人の国に出発することにした。リリスが王都まで連れていってくれるという事で、魔人族の王城までリネスに案内してもらう。そして俺が魔人族の王に謁見することになったので俺は、魔人の王がいる部屋に向かって歩くのであった。そして俺達が王のいる部屋の前に到着するとリリスが俺に合図を送ると。リゼが現れて、扉を開けてくれたのである。俺とリゼが中に入ると、魔人の王は俺のことを歓迎してくれた。俺は魔人の王から俺に会って欲しい人物が居ると聞かされたので俺がその部屋に向かわされるとそこにはリリスが立っていた。そして、彼女は魔導研究所の所長を務めているリネスの母親でもあるということが分かったので。リネスは俺に挨拶をしてきたのである。俺はそのことを聞いてから、魔人の国の薬事情を聞いたのであった。この国で作られている薬には、この国の人が使う分だけの物しか作られていなかったらしく、国民に配るための回復の粉と回復の草は存在しなかったのだという。俺はリネスの話を聞き終えると。俺は魔道具に収納している回復の粉と回復の草を取り出す。すると俺が取り出したものは回復の粉が20万個と回復の草が200本あったのである。この回復の粉は、普通の回復薬よりも性能が遥かに上回っていて俺の持っている回復の粉と、回復の草を使って作られた回復の粉は、回復薬の上位互換と言えるような回復量だったのである。俺は、俺に出来る限りのことをしようと思い、この二つのアイテムを大量に作成しまくった。そのせいでこの国から回復薬がなくなったのだが。それでも、俺がこの世界で生きるために必要なものだと判断して。俺がこの国の人たちのことを考えているということを分かってほしいので。俺は、この回復薬を売り出そうと考えていたのである。俺の考えが正しかったのかはわからないが。回復の粉と回復の薬草を欲しがる人が続出してしまい。この国の人たちの生活が良くなっていったのだ。俺がそんな風にこの国のことばかり考えているときに、俺は気がついたら魔人の国の人全員から尊敬されていたらしい。どうやったらあんな回復薬を作ることが出来るんだろうとか。俺が作ったあの剣は何だとか、あの薬はどんな薬なんだとか。あの回復薬と薬が作れるならこの国にいてくれないか? と言われるようになった。
この回復薬を売ろうか迷ったが。俺はこれから先も俺の世界の人間がこの世界に転移して来る可能性もあるし。なによりもこの回復薬は俺にとって必要なものだったので俺は売らずにそのままの状態で保存したのであった。俺は、魔人族の国王と話し合いをしながら。俺は魔族領から魔人族の王と一緒に俺達が住んでいた世界に行くために。魔道船を手に入れることに決めたのである。俺達はこの世界のことについてある程度知ることができたので、一旦帰ることを決めたのだった。俺はその前に俺の武器であるこの刀と、この剣を魔道具にしまい込み。リゼル達に回収させることにしたのである。俺の持っているこの二本の日本刀がかなりの価値のある代物であることが判明したからである。それにこの二本の日本刀のおかげで。俺達の力は大幅に上がったと思うので俺としてはこの剣たちを回収できたのはかなり嬉しいことだったのである。
そして魔人の王からの提案で、もし良かったら俺の世界に一緒に来ないかと言われてしまったのだけれど俺は断ることにした。理由は簡単だ、俺がこちらに来たことで向こうの人間も俺と同じようにこちらに来る可能性が高いからだ。俺のせいで俺以外の人間がこっちの世界に来てしまうというのはあまりにも理不尽だと思うので。それはさすがに避けなければならないと感じたからである。それと、魔人の王はこの世界の住人と友好関係を築いていてこの世界を守りたいと真剣に訴えてきたのである。それを聞いた俺は、やはり魔族の王は良い王様であると思った。なぜならこの国を救ってほしいというお願いをした時も、かなり悩んでいたようだった。この国の民の命を救うか。この国の命を犠牲にするかどうかを悩んでくれていたのだから、俺はこの人を信じることが出来そうな気がしていた。だからこの世界を救いたいと思う人がいれば手を差し伸べて欲しいと思うのだ。俺はそう思った後、俺はこの魔人の国を立ち去ることにしたのだった。俺はこの魔人族たちを守るために。俺が出来ることはなんだろうと考え始めていた。俺の力があればこの魔人族の国を守ることができるのかもしれない。
魔人族の国を出た俺達は。魔人族の王が用意してくれているという船に乗り込んで、俺の住んでいた地球に戻ることになったのであった。俺達が魔人の国を出てすぐに船が到着したのだ。俺はこの船の速さを見て驚いた。俺がこの船を造っている最中の時にはまだこのレベルの技術はなかったはずだ。なのに俺はこの船で魔人の国まで三日で行くことが出来たのだから、俺はこの船を早く作ることが出来たらいいなと思っていた。俺達は魔人の王に別れを告げると、俺はすぐにでも日本に戻りたくなっていたが。クロナたちが待って欲しいと頼んできたので。俺は彼女達と話し合いをする。俺はまず俺が日本に帰りたいという事を伝えて。俺と一緒にこの世界に来ていた他の仲間を探すことを優先にして欲しいと話すことにした。その説明を聞くと、リネスとリリスが俺の話を理解出来たようで協力すると言ってくれた。それから、俺と一緒に来たのが四人と俺の仲間のリザードマンの女性が三人で計七人いると言うと。リネスはリリスと相談した後、彼女たちを探そうと決めてくれたのである。リゼとリーゼルにも確認をしたが。俺と同じ考えだったので俺はリゼとリーゼルを信頼していることもあり。彼女達の意見に素直に従うことに決める。
リネスとリリスとリゼルの3人に俺はこの国の人たちを頼みますと言ってから俺は一度家に帰ると伝えたのである。それから俺が家の前に出るとなぜかアカリンとリゼが立っていたのだ。俺がアカリンとリゼに挨拶をするとアカリンは笑顔で俺のことを迎えてくれる。俺は、俺がリゼルとリゼを連れ出してこの家に戻ってきた時にすでにリゼがいたとアカリンは言うのであった。俺にはよくわからないことがあったがアカリンの話を聞いてとりあえず納得することにした。そして、アカリンは俺が魔王を倒してからもう一度ここに来るのを待ってくれるという話になったので俺はその約束を受け入れることにしたのである。リゼはというと、俺と一緒についていくということになって。リネスたちとはここで一旦お別れをすることにしたのである。
俺はアカリを連れて。家の中に戻ろうとすると、リゼとリネスとリリスとクロナが現れたので。クロナたちには悪いのだが少しの間だけ外で時間を潰していてもらうことにする。そして、リゼたちの準備が整った後に、俺とアカリーは魔導研究所の施設に案内してもらったのだがそこで、アカリーの研究資料を俺は見させてもらう。俺はその中で興味がある内容を見つけてから、アカリーと話をすることにした。その内容はこの世界の人たちが魔力操作や魔術を発動させる際に、無意識で使っているスキルについての話になる。
俺が、アカリーに教えてもらうと俺はアカリーが言ったことが本当だということが証明されてしまったのである。そして俺は自分のスキルを確認してみると俺もスキルが二つ増えていて。そのうちの一つは魔法系の物ではなく武術系統の物だった。しかも俺が使える武術系統の中でもトップクラスに強い技で。これは本当にすごい技だと思い。これさえあれば俺は誰にも負けることはないんじゃないかと思ってしまったのだ。俺は早速、俺が使えるようになるかを確認すると俺はあっさりと使えたのだ。俺がそのことに対して驚いていると。俺は俺に新しい職業の適性が出て来たのだ。俺はその適正をみると、俺は自分が思っていた通りのものが出てきて。やっぱりこの能力が一番適任なのかなと改めて感じたのである。そして俺の予想通りなら俺はこの世界で最強の人間にだって勝てると思うし。これからの戦いにおいてもこの力は非常に役に立つと確信していた。そして俺はアカリーと話が終わり、アカリーは俺にこの世界に来てから作った薬を渡す。その中には薬が入っていて。薬を飲むと、俺の体が輝き始めてから俺の姿が元に戻る。するとリネスとリゼルは目を丸くして俺のことをみてくる。俺はこの薬の効果を説明しようとしたのだがリリスが先に「リクさんが変身した!?」と叫ぶ。そのあとにリゼルとリネスも叫びだすのである。
俺は、二人を止めようと説得するが止まってくれず。仕方なく俺の実力を見せてしまうと二人はようやく黙り始めたので一安心だ。そして俺は、俺はアカリーの薬の凄さを説明することにしたのである。そしてその薬の中には、体力回復の薬や、回復の草などが入っていて。薬を作ることが出来る薬は回復薬の上位互換だと説明した。俺はその後、魔道船の方にみんなと一緒に行き。俺が魔人族の国に作ってもらった船に乗り込んだのである。
俺は、魔人の国の王が用意してくれた魔道船で日本に帰るために海を渡ることになった。ちなみに俺達の住んでいる日本は海の真ん中に浮かぶ島のようなところなので普通にこの魔道具を使えば行けるみたいである。まぁ、この魔道具を作り出した人がこの魔道具を造れるようになった理由とかは、今は関係ないと思うし俺は気にしない。俺達が住んでいた世界が今どうなっているのかもわからない。俺は日本に戻ってどうするかは、正直な気持ちでは特に考えていない。俺はもうあの世界をあまり未練がないというか。今の俺にはこっちの世界の方が大切な気がしているからである。それにリリス達が一緒に来てくれたおかげでこの世界の住人とも仲良くなったし。俺の知らないことを色々と聞くことが出来たから俺は良かったと思っているのだ。
そして俺は魔人の国の王の魔道具である。魔石が動力となっている。魔石を核に動かすこの船を動かすのに必要な。燃料となる魔道液も俺が作り出すことに成功しているので俺は魔石の代わりとなって動くことができるので。俺は魔導船で魔人を撃退することができた。俺はこの魔石を使った魔道機を作ることに成功してから。俺の作る魔道具はこの魔道具にとてもよく似ていることが分かったのであった。だから俺が魔人族の国で魔人の王と話しているときに俺はこの国を乗っ取る計画を立てたのは間違いじゃなかったと俺は思ったのであった。俺はそれから、俺がこの国に来てから、いやリゼの身体に入ってからの事を魔導船で思い出す。そして俺達が暮らしていた世界に戻るまでに、俺は色々な出来事を思い出す。そして俺はあることを思い出していた。そういえば俺が、リゼと一緒に暮らすことを決めた時。リゼルがこの世界に残ることを決めた時。魔人の王はこの世界を守れと言ったことを思い出した。魔族の王は人間を守るために戦っているということを。そして、俺のこの世界にいた頃の家族も言っていた。この世界を魔族の王と一緒に守りましょうねと。それなのになぜこの世界は滅ぼされることになったんだろうと俺は思い。そして俺は考える。もしかしたら。そのせいで俺はリゼと一緒にこの世界に飛ばされたのではないかと考えるのだった。
俺はリゼットが話し終わるまで何も言わずに静かに聞いていて。俺は彼女に「それで?」と聞く。すると彼女は俺の質問に対して、俺と別れた後のことをすべて話す。俺との別れた後、俺はリゼットを魔王にするために魔王軍の本拠地に戻ったらしい。リゼルは魔族の王に魔王軍の魔王候補の一人に俺を推して欲しいと言ってくれたようだ。それから、リゼルは、自分が魔王軍の幹部であることを利用して、リゼルはリーゼと俺を結婚させて、俺が勇者になることを阻止しようとしたらしい。だが俺達は結局リゼルの計画通りには進まなかったようだった。なぜなら、俺とリーザがこの世界に来て。魔王を倒すために旅に出た後に、リゼルの両親も行方不明になったと聞かされて。リゼは心配になって探し始めたそうだ。そしてリゼルが俺達を追ってきたのでリゼはリゼルと合流をすることにしたのだという。
そしてそれからは、リーゼとリゼルは協力して、この世界に残った魔人達を解放したらしい。俺はこの話を聞いたとき。やっぱり俺は間違っていなかったと思った。リゼが一人で残ろうとした時に、無理やりにでも俺が付いて行くと言えばよかったと思い。俺はそのことを反省する。
そして、俺はリーゼとリネルにこれからの事を話し始めると、彼女達には一度家に帰って欲しいという願いを伝える。彼女達は少し残念そうな顔をしながらも、俺はリネルには魔人族と人間の橋渡し役を務めて欲しいことや、俺と一緒に来てほしいという俺の気持ちを告げる。すると、リーゼが俺の側に居たいと強く願ったため。俺としてはリーゼを連れていきたくはなかったが、俺は彼女を連れていくと決める。リゼルとリネスにも確認をとると彼女達もいいという答えだったので。俺はリーゼに「リゼルやリネスをよろしく頼むよ」と言うと。リーゼも力強くうなずき、「うん!」と言ってから、リゼルたちを連れて家に帰ってくれた。
そして俺は家の中に入り。まずリリスたちに俺が家に帰った事と、リゼル達を連れて行ったことを言う。リリスは、俺が魔王を倒してからも家に来ることがなかったから心配していたと言うのである。そしてリゼも俺と一緒にいるということで喜んでいて。俺とリゼと二人で旅に出ると決めている話をしたらリリスたちは反対しなかったのである。むしろ応援してくれていた。
そして俺は家の中でゆっくりと過ごすことにしたのである。俺は家でゆっくり休んでから外に出ると、すでにリゼが家の前で待っていて、リリスたちも家から出てきたので俺達は全員で俺の家に集まることにしたのである。俺はこれからのことを話し始めると、リリスたちは真剣な表情をして俺の話をしっかりと聞いてくれて。
リリスが言うには俺が魔王を討伐した後、リリスはリゼルの両親と話し合い。魔人と人間を共存させたいという願いを受け入れ。リゼルと魔人の間にできた子供たちは魔人と人間が共存できるように。リゼルと共に行動してくれることが決まって、魔人たちの希望で。リリスたちが暮らしている国の方でリゼルやリネスたちと、人間として生きることに決まった。
そして魔人たちはリリスの故郷に住むことになり。リリスの家族も一緒に住んでいるらしい。ただこの国に残っている魔人は俺とリーゼのことを知っているため。魔人にとって俺とリーゼは憧れの人物であり。尊敬すべき存在であり、俺達のようになりたいと思う人がほとんどのため。この国に残すのが一番良いのではないだろうかという話になり。この国の国民のほとんどはこの国を出ることを決め。
残っているのは俺達が助け出した奴隷の子供達と。リリスの仲間たちだけだそうである。俺がそんなことを聞かされた後。リリスから魔人の国での出来事を聞かせてもらったのである。俺はこの国を救い出すために色々とあったんだなと思い。俺は魔人の王とリリスたちのことに感謝して。俺はこの国にいるすべての魔人のことを考えた。すると俺は、魔人について考えていた。魔人もこの世界の種族だ。人間と同じように、俺が知っているこの世界では魔獣と呼ばれている生物もいれば、リリス達のように言葉を理解する魔物もいることを考える。
この国は俺がいた世界よりも。はるかにこの世界の方が住みやすいのかもしれないと思う。まぁ、俺はもうこの世界から離れられないんだけどねと俺は心のなかで思いながらもこの世界でのんびりと暮らすことも悪くないと思ってしまうのである。そして俺はこの国の王城に行ってから魔人の国の王が用意した船に乗って帰ることを決めたのである。リリスたちは、魔人を助けることが出来たと俺がリゼの身体から元の自分の身体に戻ってから俺が、嬉しそうにしている俺の笑顔を見てからリリスが、微笑みながらリネスとリーゼと一緒に抱きついて来て。俺は三人に抱きつかれて少し困ったが。三人とも嬉しそうにしてたから。このままでいようと思ったのである。
俺は今。俺達が住んでいた国に戻ってきてから、魔族の国で作った船を港に移動させた。俺はその作業を終えたあとに、俺は船に乗り込んでリーゼとリゼルと一緒に魔人の国に戻ることになったのである。リネスも船に乗り込もうとした時。リリスとクロナさんに、俺は船の操作方法を簡単に説明をしてから、俺は魔道船の船長をしてもらうようにリゼルに伝えたのである。俺は船に乗り込む前に、この魔道船を動かすための燃料である。俺がこの世界に来てしまう原因にもなった魔石の魔石を取り出してから。俺はそれを魔道具の中にしまい込んだのであった。そして俺達が乗っている船は、リリスのお父さんが乗って帰ってきてから整備し直してくれたようで。船には傷などはなく新品同然の状態になっているのであった。
俺はリーゼにリーゼに「リネスとリゼルをよろしくね」と伝えたら。リネスがリーゼのほうを見つめてから、リゼルを抱きしめるのが見えたから、俺はこの二人にリデルを任せることにした。そして俺は魔道具のボタンを押しながら。俺の目の前に表示され始めたモニターを眺めていると。魔道具が動き出して船が浮かんだのだ。その瞬間。
魔道具から「おー。本当に魔人の王様が動かしてくれたのですね」と言ってから声の主である。リゼルの父親が現れたのである。俺は驚いて、どうしてここに現れたのかを聞いたら。リゼルとリネスが魔人の国から帰ってきたことを、魔道通信機によって知った。そして俺のところまで直接伝えに来てくれたのだという。俺は、俺がこの世界に飛ばされた時の状況を詳しく聞いてみると、リゼの父親は、リゼに俺がこの世界に飛ばされたことを伝えずに俺を探し続けていたという。だからリゼの父親が、この魔導王国の王になったのは偶然でしかなかった。この国の王の血縁者がたまたまリゼルの父親だったのが理由だと聞いて俺は納得したのであった。俺はリゼの父親が俺と話すことを嫌がっているのではないかと思っていたが。
リゼルの父は「君に会えてよかったと思っているよ。私のせいでリゼルはずっと辛い思いをしながら生きて来た。私は魔人の中でも強い力を持つ魔王の血を引き継いでいるのにも関わらず、魔王軍の幹部になる資格すら持たぬ落ちこぼれだったからな。それでも魔王様のために戦うという信念だけは誰にも負けないと胸を張って言える」と言ってから。「それにリゼちゃんに君のことを頼まれたからな」と言ってくれた。そして俺がこの世界に来る前の話を聞いてみたのだが。この世界の魔族と人間との関係は俺が想像していた以上に酷いもので、人間から差別されていたのだと俺は思った。そして俺とリゼの父と母はこの世界に来たことでリゼルが人間から差別されるようなことがないような世界を作りたいと言っていた。俺もこの世界を平和な場所にしたいと考えていたからこそ。この親子の気持ちを理解したので俺は、魔族と人間の仲を良くするためにはどうすればいいのか考えていこうと思う。俺がそんなことを考えていたら魔道具の画面が光り始めてから。リゼの父親が急に現れて、「それではそろそろ私たちは行かせてもらうよ。それと君は魔人の姫と結婚してくれるみたいだが。魔王の器として選ばれた君の力は、これからさらに強まるはずだから、気をつけたまえ。これからの旅が、過酷なものになっていくと予測するよ。そしてこの先も魔人の脅威に晒さらされることもあるだろう。しかし我々は魔人を救い出すことを諦めない。だから我々を恨むなとは言わないが。我々のことは許して欲しい」と言いながら、リゼルとリネスを連れて帰って行った。それから俺達はリゼの両親を見送った後。
リゼルの母親と一緒に俺の家に向かう。
俺は家に帰る途中、クロナはクロナで色々と忙しいようだからクロナには俺達と一緒にこの国を後にしてもらうことに決めたのである。
俺はリゼルとリネルの二人と魔道船を操縦して、俺は魔人になってしまっていたが、リゼル達を助け出したあの島に行くことにした。俺は島に着いてからリネスに、俺が元いた場所に向かってもらい。俺は、この世界にある。魔王の力を取り除きたいと願う。
俺の願いを叶えるためにリネスが魔石を加工して作った、魔力を吸収する剣を使って、この島で見つけた巨大なドラゴンを退治することにしたのである。
この島の巨大すぎるドラゴンの素材と鱗や皮などを魔道具に収納しているときに、俺はこの島の探索をすると決めたのである。そして、この島で生活するための準備を始める。まず俺達は船の中で生活しているから船の整備をするために。俺がリリスたちと一緒に船に戻ると。
俺は、船のメンテナンスをお願いしていた。リリスが俺の身体を見て心配してくれていたが、俺はこの体で、これから戦い続けるつもりだし、この体の身体能力は以前の身体よりも数段上になっていると思うので問題はなかった。
俺のこの世界での目的は、魔王を倒してしまったせいで消えてしまっている。だからこそ俺はこの世界での新たな目標を決めることにした。それは俺の本来の目的でもあるが。俺の大切な家族と。リゼとのんびりと暮らしていくことを目標にしよう。そのために俺は、この世界から脅威になりそうな魔王の力と魔人の王を倒すことが第一の目的である。そのためにも、この世界の人間たちには強くなってもらう必要があると思ったのだ。
まぁ、この世界の住人は俺の住んでいた世界に比べてレベルが極端に低いからね。俺とリゼル、リネス、リーゼと俺がこの世界で初めて知り合った人たちが。この世界の人たちのレベル上げに協力しようと思う。俺はリゼと一緒にこの世界の大陸で魔物と戦いながらレベルを上げたいと思う。まぁ、俺が魔人との戦いで、力を解放してから。俺が戦ってきた相手もかなりの手練ればかりであった。俺達が倒した。魔人たちのほとんどが。この国の精鋭騎士より遥かに実力が上の存在だったのも事実だ。だから俺達が戦った敵と戦っても苦戦することはもうほとんどないだろう。ただ、魔人の中にはかなり強力な存在もいたため、魔人の国の中だけでも魔人は厄介な存在だった。
俺はこの魔人になってしまった肉体でどこまで出来るかわからないが。俺の仲間たちを守るために、強くなるために俺はこの世界に存在する全ての人間たちを救って見せると決意をしたのであった。
それから俺が船から降りるとリネスがリゼルのことを見て。リゼもだけど。リゼルって綺麗だよなと思いながらも。俺はリゼの姿を見て少しだけ複雑な心境になっている自分に気づく。俺に恋心を抱かないのであればリゼルが、俺にとって一番身近な女性となるからね。それにしても、俺の見た目年齢的に言うならリゼルとリゼルの方が年下なんだけど。なぜリゼルの方が大人っぽく感じるのだろうと疑問を感じながらも。俺はとりあえず、この世界の子供たちがどうやってこの厳しい世の中を渡っていくことが出来るのかが俺の課題だと思う。
この世界は俺が思っていた以上に危険な世界に変わっている気がしたので、俺は、俺の家族を守るため、この世界にいる人々を救うことを改めて決心をするのだった。
リゼの両親は、無事に魔族の国から帰ってくることが出来た。その時に、魔族の国で俺の両親のことを聞いてきたが、俺の母さんのことについて何も聞かなかった。多分、リゼルはリゼがこの世界に産まれ変わっていたことに驚いていたが、もしかしたら母さんはこの世界に来ていないかもしれないと、リゼルに聞いたがリゼルは答えなかった。
そしてリゼルに聞く前にリリスから。リリスがリゼを魔族の国に置いていったとき。すでにリゼの姿はなく、リゼの行方がわからなくなっていたということを聞いている。だから俺は、この世界の人々に、リゼのことを聞かれても、リゼのことはわからないと答えた。そしてリゼは俺が知っていると答える前に。リゼルが自分の父親に、自分の姉について聞き出そうとするがリゼルの父親はすぐには答えず。俺に、この世界からいなくなったリゼルの本当の母親がどこに消えたのか。リゼルの父親からリゼルの母親に会ったことはないのかという問いかけに俺は。「知らない。リーゼのお母さんには、一度もあったことがない」としか言い返せなかった。本当は嘘だった。なぜなら俺は一度だけ、この異世界に来てからすぐにリゼに会っていた。俺が初めて出会った時は、リゼはまだ五歳ほどの少女だったが、この世界でも俺の世界と同様に子供を産むことが出来るということを知って俺は嬉しかったし、初めて会ったリゼはとても美しかった。俺が最初に見たときは本当にこの世のものなのか疑ってしまうほど美しく。幼い姿でも俺の心の中に残るくらい美しい子であった。だから俺と、リゼルが再会する前、最後に会ったのがリゼルのお父さんと一緒だったときのことで。そのときの印象も残っている。
そして俺達を乗せた船は海の上にいた、そこでクロネとレイラに手伝ってもらって俺は、魔導王国の周辺に生息する海の生物を倒してから食料にする。それからクロネから魔獣と魔人を操っている術者を倒せば魔獣と魔人の脅威が無くなると言われて。俺達三人は魔獣の肉と魚を食べるのを中断して魔導王国の周辺の海を調査することにしたのであった。俺は【鑑定眼】を使い魔導王国の周辺の海に住む魔人を確認する。
すると【鑑定眼】の視界に映る範囲に二十人ほどの魔人がいた。俺はその情報を伝えるためにクロネの元に行き。魔人の数を伝えたらクロナが、すぐに魔人を魔人化して魔人と化した魔人を全て倒すようにと命令するのだった。俺はそれを聞き入れた後。
クロナは俺と魔人が戦闘を始めたあとに魔人に止めを刺すことと指示を出すと俺は、魔人達を次々に倒していけばいいんだなと考えていて。そして俺が、海に潜り、海面で戦う魔人達を片っ端から倒していったのである。そして魔人化させられた魔人の魔石を収納した後で俺達は船に戻ると俺と魔人との戦闘を見ていたリゼルとリネス、リゼルのお兄さんと妹のリゼとリネルがいて。俺達はリゼと一緒に船でこの島まで戻ってきたのだった。リゼは自分の母親のことやこの世界で俺の父親が生きていることを知ったので、リリスがリゼの身体に入っていても俺のことは警戒せずに受け入れてくれたみたいだ。俺は、リゼルが、この世界での俺の妻になるのかなと思っていた。まぁ、リゼのことが好きだから俺は全然構わないと思っているのだが。クロナもクロネルも同じ気持ちだろう。そしてリゼもきっと俺達の気持ちを分かってくれていると信じているが、もし俺のことを受け入れてくれるようならリゼにはちゃんと伝えようと決めた。まぁ、そんなことを考えながら。俺は今この世界で起きている問題について考えていた。それはリゼが産まれ変わっていたということだ。俺は俺の父さんの話をしたときのリゼの様子を見て何か隠し事をしているのではないかと思った。リゼは父さんの話を聞いたとき一瞬だが顔色が変化したのを俺は見逃さなかった。俺はそのことを思い出していた。それからしばらくしてからリゼルとリネスが、魔人になった魔物を倒すと言ってきた。二人はこの世界のために魔人を少しでも減らそうと行動してくれた。俺はリゼル達に。「ありがとう、俺の仲間になってくれて、俺と一緒に魔人を救おうとしてくれて、君たちがこの世界の為に行動しようと思えたきっかけを教えてくれないか?」と俺は、この二人にお礼を言うと同時に。魔人たちを救うために動こうと思ってくれた理由を知りたかったのだ。リゼルは、俺の言葉を聞くと、「私は魔人になってもこの国を見捨てなかったあなたのことが、とてもかっこよく見えました。ですからこの世界の人たちを助けたいと私でも出来ることがあると思いまして」と言った。俺は、リゼルがこの国のことが好きなんだと俺は思い。魔人の討伐に協力してくれていることを感謝していた。リネスは、魔人のことを怖がることなく魔人の国に行って俺の両親を助けてくれたことを俺はすごく喜んでいた。
それからリゼルとリネスの二人に、リゼのことについて話があると言い。リゼは自分が俺の妹であることを告げる。そして俺とリゼの関係についての話を切り出した。リゼが産みの親と血が繋がっていないと分かったリゼルは驚きはしていたが。俺とリゼが本当の兄妹じゃないとしても。私の姉であるのは変わらないと言うので俺はリゼルの頭に触れる。俺とリゼルはお互いに笑い合い。俺は俺の母さんについて。俺が生まれた時。父さんが言った言葉を思い出した。
「お前の名前は、この世界の未来を明るく照らしていく光になれっていう意味で付けたんだよ」そう、父は俺の名前をつけたときに俺に教えてくれたのだった。俺が産まれてきたことを喜んでくれた父さんのことを俺は今でも覚えているし、父さんと母さんが結婚出来たことも嬉しく思ったのだった。
俺が産まれたとき、母さんは妊娠中だった。だけど俺は産まれてくるまでは男の子だと思われていたらしく。だから女の子の名前を考えて付けていたらしい。まぁ、俺は女だったけど。産まれてから男だったから、母さんも驚いたと思う。それで母さんは、産まれて来た子供を抱きしめながら。泣きながら俺に向かって。「生まれてきてくれて、本当にありがとう、愛梨亜、私が貴方のお母さんで良かった、あなたが生まれてきてくれただけでこんなにも幸せだわ」と俺に言って、泣いている姿を俺は今でもはっきりと覚えていて。その時の俺はまだ三歳だった。俺は母さんの胸に抱かれながら。生まれて来れてよかったなと思う。それから俺は自分の性別を知ってショックを受けたが、母さんには、今までどおり。息子として俺を愛してほしいと思い、そして俺は、母さんに抱かれた状態で泣いた。だけど俺に弟が出来たことを知らない妹が、産まれてきたとき俺は弟の方ばかりに構うようになった母さんに俺は少し嫉妬していて、少し意地悪をしてしまい。俺のことをかまってくれないと俺は大声で叫びながら。「僕のこと嫌いなの? なんで僕より弟のことをかまうんだい!」と言ってしまったのである。そしてその一言を聞いた後で俺は我に帰ったのである。
俺のことを悲しそうな表情で見る母さんを見て俺は、俺はなんてことを言ってしまったんだろうと思い。俺の目から自然と涙が溢れ出てきて、俺は声にならない言葉で母さんに対して。ごめんなさい! 僕は悪い子なんだ、お母さんに迷惑をかけてしまって。母さんはいつも優しくて綺麗で素敵な人だから。僕は、母さんを、お母さんって呼ぶことができなくて。どうしても。昔のように呼んでしまう。本当は大好きなのに、母さんと呼べないんだ。
母さんを悲しませて、そして俺は、弟にも嫌われるんじゃないかと思い。俺の頬に冷たい水が伝い落ちてきて、そしてそれが俺の頬を流れ落ちた時に、なぜか俺は心が暖かくなっていく。
すると突然、俺は体が軽くなる感覚に襲われる。まるで誰かに抱き上げられているかのような感じであった。そして気が付くと俺の前に、俺の母さんの姿があったのであった。
俺は、目の前に現れたのが自分の知っている人ではなく俺の生みの母親だった。その瞬間、俺に衝撃と感動が訪れ。俺の心の中で熱い感情が沸き起こる。そして母さんに俺は抱きしめられ。俺は母さんの胸で涙を流しながら俺は謝っていた。そして俺がどうして、母さんがこの異世界に来ていたのかを質問すると。この世界にリゼル達が来るのと同じように。母さんもリゼルのお母さんと一緒に来たのだというのであった。
その後、母さんになぜこの世界に来たのかを聞いてみると、この異世界に来たのもリリスが原因なのだという。そしてこの世界に来ることになった理由は俺のお父さんに、会いたいという想いがリゼの身体に入ったリネスが、リゼに乗り移ることで実現されたのである。俺はそれを聞いて嬉しかった。まさか異世界に行くのがリリスとリネスの仕業だったことと、その理由を聞けるとは思っていなかったからだ。
リネスはリゼの中にいる時はリネスでありリゼルでもある。リネスは、元々、リリスによって、作られた存在だったが。リリスが死んでしまいリネスは一人ぼっちになった。それからリネスは俺の父親と出会うことで恋を知ったことでリリスの意思を継ぐように俺は思えた。それからリネスはリゼルをリーゼを妊娠させてしまった。それからリゼルとリゼを産むことができたが。リネスはそのことで罪悪感を感じていた。そして、リネとリネの家族に迷惑をかけたくなかったリネと、リゼは自分の命を絶つことで償おうとしたのである。だけど二人は結局。自殺することができなかった。それからリネは、魔人の王になる道を選んだのであった。俺は、リネがこの世界で魔王になり、俺の父親が俺の世界に来てくれるなら。俺は嬉しいと俺は思う。だって俺はリネスのことが大好きで、リネスが苦しむ姿を見ていられなかった。
俺がこの世界にいる間は俺も魔人との戦いに協力しようと思っている。そして、俺の父親とリネスが再会したら、リネスの願いを叶えられるようにしようと思っている。まぁ、魔人をこの世界から消滅させるのは大変だと思うが、俺はやるつもりだ。魔人をこの世から全て排除する覚悟で戦うと決めているのである。まぁ、クロナの話では俺の力も魔人と一体化した影響で強化されているみたいだし、魔人を一人でも殺せる力があるのなら、俺はこの世界の魔人を皆殺しにする勢いで殺す。それにこの世界が平和になれば。俺やリゼルは、元の世界に戻る方法を見つけられると思う。まぁ、それはさておき、クロネルのことだ。リネスがこの世界に来ていることに驚いているが、俺の体に入っているリネスがリゼルだと分かり。俺とリゼルが兄妹であることを告げられた時。リゼルとリネスは驚き。俺が魔人だったことに一番驚いただろうなと思った。だけど今はリゼルとリネが家族だったことを知って喜んでいるから良いかと俺は思ったのだ。
俺がこの世界に来る前、この世界の時間軸が止まっていて。この世界の人たちが歳を取っていなかったことを、俺が言うとリゼル達は、「そんなことあり得るのでしょうか?」と言うが。俺はあると思うと言うとリゼルは信じられないようで。俺は俺の能力にリゼルとリゼルの姉であるリゼルをこの世界の人に変える能力と俺の魂のコピーをこの世界の人の肉体に宿らせることができることをリゼル達に教えるとリゼルは納得してくれたのである。まぁ、それで、リゼルとリネスがこの世界にやって来たときにリネスがリゼルとリゼルの母さんを連れ出していたらしいので俺がリネスに、なんで連れ出したかを聞くとリネスはリゼの体を俺が乗っ取り。そしてそのリゼルとリネスの体を俺が奪うような形になっていたので、俺にリゼと会わせてから元の体に返そうと思っていたのと。俺に母さんを返したかったという気持ちがあったということだった。俺はその言葉に嬉しく思いながら。リネスに礼を言うのであった。
それから俺達は、魔王城に戻ってきたが。そこには大量の血が飛び散り。壁や床などが傷ついている状態であった。その惨状を見た、俺とクロナは唖然としていたが。俺はとりあえず、リドル達と合流するために、リゼ達の元に向かうのであった。
俺は魔王城にある会議室のような部屋に入ると。そこは地獄絵図と言っていいほど酷い状態の部屋で、俺は思わず吐きそうになる。そしてそこには全身血だらけになって、今にも死にそうなリドルとアーニャがいた。俺はすぐに二人の側に近寄る。俺は二人を回復させるスキルを発動させると。二人の怪我はみるみると回復していっているようで。俺は安心したが。二人に一体何が起きたんだと思い。俺達がこの場を離れた後の話を聞こうと俺は聞くと。リゼルと姉さんと別れたあと、リデルはアメリア王国の兵に囲まれてしまい逃げ道を探していたところに、突然現れた魔人に捕まり、アーニャも同じように魔人により囚われの身になってしまう。そこに俺が助けに行こうと、魔王の玉座の間に行くとリゼとリゼル、それから姉さんもいたので、リゼルに事情を話し、三人が逃げるための準備をお願いしてから、俺はアーニャを取り返しに行こうとしたが、リゼルから連絡があり、アニャを救ってほしいと言われ、俺は仕方なくその場から離れたのであった。
それから俺は、急いで、捕らわれた場所に向かい。なんとかして俺の力でアーニャを解放することができたのだが。アーニャはすぐに気を失ってしまうので、アーニャを抱き抱えると。そこで、俺は魔人がいるかもしれないと思い。アーニャに、少し眠ってくれと言い、魔法を使うが反応がなかった。なので俺はアーニャの身体を調べた結果。アーニャはどうやら薬で眠らされていただけみたいなので。とりあえず俺はリネスがリゼルを妊娠させていたと伝えておく。リゼルとアーニャに。この子はリゼルの子供だと告げるとリゼルはとても喜ぶのであった。リネスもきっと喜ぶに違いない。
俺はリーゼとリネにこれからは、三人とも仲良くしてくれと言うと。リゼとリネの二人が俺のことをリゼルお兄ちゃんと俺のことを呼び始めて、俺は困惑しながら。二人はリゼルのことをリゼと呼ぶようにと、リゼルは二人に、リネスと同じような名前で呼ばれる方が違和感なく呼ばれるから、俺のことは今までどおりにリゼルと呼んでくれと言ったのである。
俺は俺が元の世界に帰るまで。三人にはこの異世界に居てもらい。そして俺が、元の世界に戻れるようになった時には。俺はリネスとリゼルを俺の故郷に連れていこうと考えている。俺は三人と一緒に、家族みんなで楽しく暮らせたらいいなと思っている。まぁ俺には兄弟はいないし、妹や弟はいたが。一緒に遊ぶ友達もいなくて、俺と母さんが寂しい思いをしないように。リネスとリゼルとリネの三人が遊んでくれたらうれしいと思ってしまう。まぁ俺はこの異世界に残るわけじゃないし。俺が帰ればこの世界は大丈夫だと俺は思うが。この世界は本当に綺麗だし。この世界をこのまま放置しておくよりは俺達の世界の住人である。リネスとリゼルにこの世界を任せたいと思えるくらいこの世界が俺は好きになってしまった。
だから俺は帰る前に、魔王城の修復でもするかと、魔王の玉座の方に目を向けると俺の目線の先には大きな水晶があった。あれは何だろうと思っているとその巨大な水晶に光が灯り。映像が表示されるのであった。
『リネスです。ご主人様から頼まれていたものを魔王城に送っておきました』
リネスからの伝言で何かが送られてくるので俺はそれを見ていると、なぜか俺は、自分がリネスの声に耳を傾けている気がしたので。これは、この世界に俺を連れてきた、あのリネスと同じ声だなと俺は気づくのであった。まぁ、それは置いておいて。俺はリネスの言葉通りに送られてきているものを見ると、大きな剣が入っていた。俺はなぜ俺の目の前に武器が入っているのかが分からず。俺はクロナの方を見て。俺の持っている知識の中にこの異世界でこの世界に存在する物を送りつけることが出来るのかを聞くと。できるらしいので、なぜこんなことができるのかを聞くと。俺の能力に俺の知識の中から送りつけたい物を検索し。それがこの世界にあって、それを送ったときに起きる事象などを理解できていれば、送ることができて、送る際には送り先を設定しないと、その物体は俺の前に現れることができないらしい。だけど俺の能力では。この世界にはない物質などを送ることが出来ないようだ。だけど、この世界に存在していて俺の知っている物ならばこの世界のどこにあっても送ることが可能だということである。つまりこの世界で存在していない物がこの世界のこの世界の別の場所に送り届けられるとこの世界のその場所が破壊されてしまう恐れがある。
俺の持っている知識の中に入っている物の転送は可能だが。それ以外のものは俺の意思によって送られることになるので、俺はその剣を俺のアイテムボックスに入れて、クロナは魔王城の修復作業を手伝い。リゼル達は魔王としての仕事をしている最中に俺とリネとリネスとクロナは俺の部屋に集まって、俺達は今後どうするのか話し合いをしていた。
俺はこの世界でリネの母親を生き返らせてあげたいと俺の願いを言うと、リネスはそれに賛同してくれたので。俺はリネに俺のお母さんを生き返らせるためにこの世界に残ってもいいよと伝えるとリネルも俺と一緒に残ると言うので、俺とリネルの二人で生き返らせようとリネスに頼むことにしたのである。
俺はまずはクロナとリネスの体を治すことを第一に考えるとリゼルとリネスに伝える。俺は俺の体に入っているクロナにリネスに回復のスキルを発動するように言ってもらうとクロナは俺の体に入ったままだが、俺の意識があるので問題はなかったのだ。それから俺は、リネの体の傷が回復したか確認するために。リネの腕と脚を見ていく。腕や脚に特に異常がないことを確認してから、俺はリネルの方を向き。傷が塞がっていないことを伝えると、俺は俺自身の手で直接体にスキルを使うことでリネリの回復ができるかもしれないと思い。俺がリネルに直接触れながら。回復のスキルを発動させるイメージをして、俺の手から光が出て、リネルが俺の手で癒されていく光景を見ながら成功してくれと願う。
すると。どう言う原理なのかわからないが。リネスとリゼルも同じように、体が発光して俺と同じように、二人に触れながら回復のスキルを使い続けるとリネの体がどんどん健康的な体になっていき、リネスの傷は跡形もなくなくなった。俺は成功したのだと思い。リネスとリゼルに声をかける。すると二人はゆっくりと起き上がる。そしてリネスは自分の手を握り開きしながら「リゼル、私は、生きているわ。」と言い涙を浮かべたのであった。
それからリネス達は、自分の身体の変化について気づき始めたのだった。そしてリゼルは、「お前たちがリネスか?」とリネス達に尋ねるとリネスとリゼルがお互いの顔を見て。リネスが泣き崩れてしまった。どうやら二人にとってリゼルとの別れは本当に辛いものだったようである。
リネとリゼルは、二人だけの時間をしばらく過ごした後、俺たちの元に戻り。この部屋を俺の作ったリネスの屋敷にリネと共に移転させて。俺はリネと一緒にこの世界にいる魔人を倒そうと思うのであった。そしてリネと俺はこの世界で一番最初に会った。ゴブリンの村に行き、村長と会うと。村長はこの村を守ってくれている魔人に感謝を伝えてくれと言われたので。俺が元いた場所に魔王軍から解放された人たちが集まっていると教えると。リネは嬉しそうな表情になり。すぐにでも俺達もそちらに向かおうと言ってきたので俺はこの世界に残るのかと思い。俺がこの世界に残り続けるのは大変じゃないのかと心配になったが、リネスに転移させてもらうから平気だとリネスに言われた。まぁ俺もリネスが側にいれば心強いのでリネス達三人も連れていくことに決めたのである。
俺はこれから魔人の討伐を行うと言うことをこの村の人に伝え。それからすぐに俺達が元住んでいた街に行こうと思ったが。さすがに移動するとなると、時間がかかるので、クロナが移動用に馬車を作ったのでそれに乗っていくことに決める。
俺達がリゼル達のところに行こうとすると。そこに俺達が探し続けていたリゼとリネスの姿があり。そしてリネスとリゼに俺達がこの村にたどり着いた時の話を聞きたかったが。リゼはクロナの身体を俺から取り上げると俺の前から消えてしまうのであった。
俺は慌ててリゼが向かったと思われる場所に向かい、俺が辿り着いたときには、すでに戦闘が始まり始めていた。俺はそこに割って入り、なんとかその場を収めようとするが。リネスとリゼの二人が戦っている相手を見た瞬間。その相手の強大さに恐怖を覚えたが。そんな気持ちを振り払おうとすると。俺の中で声のような物が聞こえたのである。それは、その魔物は神ではない。神とはその種族に宿り。その者の魂の核のようなものだと。だから、その者を倒しさえすればその者は死を迎えることになるだろうと俺の中のなにかは伝えてきた。
リネスは自分が勝てるかどうか分からないと俺に告げてくる。リネスが勝てないなら俺はどうなるんだと思っているとリネスがリゼルに向かって俺に攻撃してください。そして私を庇わないでほしいと言うので。リゼルが俺に攻撃をしてくるが、俺はリゼルに俺が防御するのでリネスを護ってくれるように頼み。俺は、リゼルが放った攻撃で俺を気絶させようとしたので。俺はわざと倒れ込むようにして、地面に転がり込んで俺が倒れるとリゼルの攻撃をリネスに当てることだけは回避した。そして俺は俺に攻撃を当ててくれたリゼルとリネスにお礼を言い。
そして俺はその声の主を俺に教えてくれたリゼルの本当の父親に話しかけることにしたのである。
『あなたが、私の実の父なのですか?』
『ああ、俺の名前は。リゼル=フォンシュピッツヴェーグという』
俺は俺に話しかけていたのが、まさかリゼルの父親だったとは思わなかったのである。しかし。リネスとリゼルには俺がリネスに頼んでこの世界の人間としての名前を与えていたのだが。リネスの本名を聞いて。リゼルは驚いていて。この子は俺の姪に当たるのかと思っていると。リゼルは突然俺達の前に姿を見せてリゼルのお父さんに襲いかかったのである。
俺はリゼルを止めようとしたが。俺の言葉はもうリゼルには届かなかったようで。俺の制止の言葉を聞かずに俺と俺の大切な人達を傷つけたリゼルの父親は許せないと言った様子でリゼルに襲いかかられたので。俺は仕方なく剣を抜くと、剣で受け流し反撃をしようとするが。リゼルの父親が俺が振るう剣の軌道を見切っていたのか。俺が振ろうとした剣が突如折れてしまい。次の行動に移ることができなくなってしまう。
それからリゼルの拳による連撃に俺は剣を失った状態のまま対応しようと剣がない俺は素手での殴り合いになる。俺は必死に抵抗を続けるがリゼルは俺に容赦なく殴ったり蹴ってきたので、俺は痛みで意識を失ってしまいそうになる。そして俺はリゼルの攻撃をガードしているときにふっと気になってステータスを見ると、レベルが上昇していて。しかも俺のレベルの上限まで上昇していたのである。それから俺の意識は完全になくなり、俺はリゼルによって意識を奪われてしまうのであった。
それからどれくらいの時間が経ったか分からなかったが。俺は意識を取り戻し。自分の体の無事を確かめる。すると俺の頭の中にまた先ほどと同じ言葉が頭に響いてきて、リネルがこの世界にある。リゼルの力を抑え込むことに成功している。とそう言ったのだ。
それから俺の体に異変が起き始めて俺の体はみるみると縮み。最終的には子供の体に戻っていた。それからしばらくすると俺の周りにたくさんの光の粒子が降り注ぎ始める。これはいったいなんなのだろうと不思議がっていると、目の前の空間に亀裂が入ってそこから光が溢れだしていることに気づき。
俺はもしかすると。俺を生き返らせてくれる女神様が来たのではないかと思うと、俺を生き返らせてくれた女性に感謝を伝えるため。俺の体は勝手に動いていき、俺は目の前の空いている亀裂に向かって走って行ったのである。
すると俺は、目の前に広がる光景に驚愕する。俺を生き返らせてくれた女性の姿が見えると、俺は急いで近づき。この世界で俺を生き返らせてくれた女性を抱きしめる。
それからしばらくして。ようやく落ち着いてきて。俺は自分の体を生き返らせてくれた女性の顔をもう一度見て。俺のことを優しく微笑みかけてくれる女性が俺の母親だと理解して。俺は母親と話をして、俺の今までの人生を母親が知ることになり。俺は俺の母親の話を聞いて。俺は嬉しさで涙が出そうになったが、今は母さんとの時間を大切にしたいと思い、我慢して、そして俺は母さんの手を掴んでいると。
俺は母さんにこの世界に連れてきてくれてありがとうと感謝を伝えると、俺は俺のことを抱き上げてくれる母さんに感謝を伝えた後。俺はリゼルとリネスの元に行くことにする。リネルによると。俺を生き返らせるために使った力を取り戻すための眠りについているらしく。リネルが今いるところでは俺の身体からリネス達の力が溢れ出ているらしいのだ。そのためリネス達も眠っているということだが。俺の母さんの力は膨大すぎるほどの力を秘めているため、俺は母さんの側から離れることができなかったのである。
そして俺はリゼル達の元へ行こうとしたが。リネルが言うにリネス達がいる部屋は、強力な封印が施されてあるので、まずはこの村にいる魔人の王を倒してリネを助けないといけないようだ。
リネがリゼルと戦えるのかどうか不安だったが、俺が思うにこの二人の間には俺とリネスのような絆が芽生えていると思うのであった。
俺は村の人を連れて、リゼルが向かったという魔王城に向かい。俺達が着くころにはリゼがリネスに倒されており。リネをこの場に残すのはまずいと思い。俺はすぐにこの世界に残ることを選ぶのだった。そして俺はこの世界に来る時のように光に包まれたのであったが。この世界を救ってほしいという言葉と、この世界に来れて本当に良かったと最後に聞こえたので。きっとリネルの声だろうと思うのであった。
**
「おい!いつになったらお前たちはこの村から出ていくつもりなんだ。お前らのおかげでこの村には魔物の素材が集まり始めているから。もう少しこの村に滞在すれば。それなりの金を渡してやるからよ。だからお前らは、この村にいるのをやめろ」
俺が、クロネに村でしばらく暮らすように提案すると。リネスは村を出て旅に出た方がいいと言うので、俺達はクロネにリネスと一緒にクロネの身体を借りている神に会いに行き、リゼル達の居場所を教えてもらうことにした。
そして俺はクロネと一緒にリネスがクロネを操っていた神様を信仰をしている神殿に向かった。その神殿に向かう途中にリネスと俺はこの世界に起きていることを話し合うと。この世界に元々住んでいない人間族や魔人族は。俺が元の世界に戻った時点でその寿命を終えてしまうが。この異世界の住民は別である。なぜならその者たちが死んでしまった場合はその者が蓄えていた力が、俺達がもともと住んでいた世界に流れ出ていくからだそうだ。その俺が住んでいた世界は魔力と魔法の世界と呼ばれているようで。俺がいた世界でも魔法が存在していたので、その世界の人達にとっては馴染みやすい世界のようだったので、この世界が崩壊せずに済んでいたのだが。それももう限界が近づいているというのである。
そしてリネスの言では、リゼルの父親にこの世界から逃げられないようにする結界のようなものが施されているのである。
俺がそのことについて尋ねると。この世界を護っているリネスの父親の神が、自分の娘であり。自分の半身でもあるリゼルの魂を守るべくリゼルの肉体を乗っ取る時に、その者の力を封じるようにと、リネスの父親が自分の力を半分に分け与えていたそうなのだ。その分け与えられた力は俺達で言うところのレベルのようなものであるようで。リネスがクロナの魂がこの世界に現れたことによって、リゼの力が少しずつ戻ってきて。それでその力を封じ込めていたものが解放されてリゼルに力を取り戻したと言うわけだと言うのだ。しかし。俺の推測ではあるが、そのリネスの父が作った封印の術式にも欠点があるはずだ。
そして俺がそのことを聞くと、リゼはそのリネスの父が作った術式の効力をある程度無効にする力があったのだが。リゼルの場合は。俺がリゼルに渡した指輪の力を完全に制御できるような器ではなかったと言うことで、それが今回の事態を引き起こした原因だと思われるが。俺は、リゼルが俺に戦いを挑んだときに、リゼルの瞳を見て思ったのだが。もしかしたら、俺が与えた能力のせいで、あの状態のリゼルに勝てるのかもしれないと、その考えが浮かんできたので、もしその方法を実行に移すとすれば俺が勝てる可能性が上がるが。
しかしリゼルを死なせるのだけはどうしてもできなかったのである。俺がリゼルと戦って勝てるのならばリゼルを助けることは可能になるはずなのに、それでも俺はリゼルの命を優先するのであった。それはリネスも同じである。リネスは自分よりリゼルの方が大切なのである。そんな二人の気持ちを考えると、ここで俺が諦めてしまって、二人を失うことになるのは、俺はどうしても避けたいと思っていた。だから俺はリネス達とこの先どうするかを考え、これからはリネス達のために何かをしてやりたいと思い。この世界に来てから今までの感謝を伝える意味も含めて俺は行動に移ることに決めたのである。
*
* * *
リネスにクロトを任せて俺は一人になり。この世界の現状について考えていたのである。リネスから得た知識によればこの世界の人口は三億人ほどで、魔人は、人間よりも身体能力に優れ、魔力の保有量も多いのだが。その代わりなのかわからないのだが。精神が脆い部分があり。そのため人間とのいざこざが耐えない種族で、人間族の方でも魔人と敵対関係にある種族と魔人の戦争を度々起こしており。
それからこの世界にある大陸には、人間の住む地域と魔人が住んでいる地域の二種類があって、人間が主に支配している地域は魔人にとって住みにくく。食料となる魔物は、他の土地に比べると少ないため、必然的に魔物の素材も手に入らない。
それに比べて、魔人の方は食料の心配がないため。大量の兵士を作り出し。さらに魔人も魔物も関係なく、奴隷として売買を行っているというのである。
また人間は、自分の領土を広げようと、他国に攻め入り。多くの国を滅ぼしてきた歴史があるが。今ではこの世界のほとんどが、人間が治めている状態で、魔人の領土になっている場所はかなり少なく。逆に言えばそれほどまでに、この世界を支配しようとしている勢力は多いのである。
そしてこの世界の大陸の形は俺の元いた世界とはだいぶ違っていて。丸い形をしており。この世界の中心に大きな火山が存在するのだ。
俺はリネスに教えてもらったこの世界での出来事について考えているうちに。俺の元いた世界に存在している魔物や魔獣はいったい何のために生まれたのかを不思議に思い。俺は一度、元いた世界に帰ってみることにしたのである。
そして俺は俺が元のいた世界に帰ってくると。やはりそこには俺の元いた世界にはいないはずの魔物や魔獣の姿が見えるようになっていたのだ。そこで俺の視界に、あるスキルの名前が映し出されると、その説明文を読むとそこには魔獣召喚と書かれていて、俺の頭にリゼルと戦った時の記憶が鮮明に蘇ってきた。
すると俺の脳内で声が聞こえてくる。
(久しぶりね。リゼル君)
その懐かしい声で俺はその人物のことをすぐに理解することができたのであった。
そしてリネスにもらったこの世界の情報は本当だったということを確信したのである。
リネスはリゼルのことを信頼していたようだが、俺はそこまでは信用してはいなかったので、もしかすれば俺の知っているこの世界とは違うことがこの世界では起きているのかもしれないと思った。
リゼと会った時はこの世界のリゼの魂がリゼルの中に入ってきていたので、そのせいもあってか、リゼルはリゼのことを完全に自分の味方だと思い込んでいたのである。
だがこの世界は俺がリゼルに与えた力の影響が大きく出ているのだ。
俺と別れた時。この世界に残っている力はリゼルの分しかなかった。
だが俺が元の世界に戻る際にリゼルの持っていた力と、この世界のリゼルの力を吸収して、この世界に残っていた力は。リゼルがこの世界に戻ってきたときに、再び俺の元いた世界に流れていた力の一部がこの世界に戻ってきたのであろう。俺もまさかここまで影響が出ていると思っていなかったのだ。
ただこの世界に来たばかりのリネス達にはリゼルの力の影響を受けているとは思えないので、この世界の人達には魔人や魔物は魔石から生み出されるものだと伝えれば、問題は無いと、リネスはそう言っていたのだ。
そしてその魔獣召喚を試すためにはこの魔人の王を討伐しなければならないが。リネの話だと魔人の王は魔王の魂を受け継いでいるらしく。しかもその強さはこの世界の魔王に匹敵するほどの力を秘めているらしく。
この世界に魔王がいないというのであれば魔人を倒してその力を吸収すればいいのであるが、残念ながら俺が元の世界に戻ったことで、リゼの力でこの世界に封印されていた。
この世界には今現在で五つの魂が存在して、その魂の力は一つに統合されることによって。俺達が元の世界にいた時よりもはるかに強力な力を出せるようになっていくらしい。俺達はこの世界にいる限りその力が徐々に解放されていくので。その力を使ってリゼル達を助けに行くつもりなのだ。
それには一人ずつ倒していくのがベストだと思うが、俺は一人で戦うよりも仲間と共に戦っていく方がいいと思い。クロネル達に頼んでみることにすると。リネスから聞いていた。クロネル達はこの村を守っている神様を信仰していて、リネスの父親が作り出している。この世界にあるダンジョンに出現するモンスター達と戦うためには、この村の人達の協力が必要だからなのだ。なので俺達はこの村を出る前に、まずはこの村で祀られている神をリネスが崇めている神だと勘違いしている。
そしてリネスの父親の神が作り出した神が俺達の前に姿を現すのである。
「我が名はリゼリアナ、この世界を創りし創造主の一人だ」
「お、おい。リゼってお前は確か。死んだはずじゃあ。い、いや違う。その神は本物だ!」
「えっ!? そ、そうなんですか。でも私には違いがよくわからないです。確かにリゼルさんは少し顔つきが大人っぽくなりましたけど。まだ幼さがありますし、そもそもこの世界の神ではないんですよね?」
リネスの言葉を聞いて、リゼは苦笑いをしていたので。俺もそのことに触れないように気をつける。リネスは俺の言に騙されてくれたが、この目の前に存在するリゼの姿を見て俺の話をあっさり信じてくれるほど、俺は単純じゃないからな。
まぁ、今はそんなことを言っていても仕方がないから、さっさと用件を済ませてしまうとしよう。リネスの父親はどうやら、リネスが持っている神の力が目当てなようで、それさえくれればリネスに危害を加えるつもりはないと言ってくれたのである。俺はそれを了承し。この世界の神がリネスの身体に入るのだが。俺はこの世界の神のステータスを覗き見した時に驚愕する。この世界の神は、どう見てもレベルが10しかない。つまり俺の予想通り、この世界の人間や魔物の身体能力や魔力の総量は俺達に比べるとかなり低いのだ。
これは恐らく、リネスの父親が作った封印のせいで。俺がこの世界に渡されてから、この世界はリネスの力に支配された状態にあるので、本来リネスに備わっているはずの魔力と身体能力が抑えられてしまい。この世界が弱体したことが原因だろう。ただ、リネスは人間族にしては強い方だと言うだけで。リゼと比べたら足元にも及ばない。そして俺は俺でこの世界の魔王に勝てる可能性が出てきたことで内心ほくそ笑むのであった。
リゼルが魔王と入れ替わってから三ヶ月後、この世界には新たな異変が起き始めていた。
この三ヶ月から二ヶ月半が過ぎた頃からリゼルが俺のところに姿を見せなくなったのである。
俺はそれがどういった意味を持っているのかを考えた結果。この世界に魔王がやってきた可能性が高いと推測した。俺はこの世界のリゼからこの世界のことについて色々と教えてもらっているから。この世界のことはある程度わかるのだが。
それでもリゼの知っているこの世界の歴史に魔王が現れたことなど一度もないのである。
この世界には人間や魔人などの他に、魔物も存在して。魔物と人間は対立しており。人間は人間族の王国と魔人族の国があり。お互いが敵対している状況である。
魔人族はこの世界で人間族に唯一対抗することができる種族であり。魔人族の国では、魔物と人間が手を取り合い。協力して魔人族の国から侵攻してくる人間達と戦っているというのに。
リゼルがリゼルとしてではなく、他の何かが魔王と入れ替わることでその歴史は覆されたことになる。だからこの世界に他の魔王が現れることはないはずなのだが。
もしかしたら俺達の世界に現れているのかもしれなくて。その場合俺の知る歴史とは異なっているということになるのだから。
俺としてはリゼルと他の魔王と接触するのは極力避けたいと思っているのだが。リゼルと会うためには魔人と会わないといけないというジレンマに悩まされていたのである。だが俺は、リゼルに会うためだけではなく。この世界を救いたいという想いがあるのにリゼルと敵対するようなことだけはどうしてもできなかった。
だがこのまま放っておくと、この世界のバランスが崩されていずれこの世界は滅びに向かうのかもしれないと思うと、なんとかして止めなければいけないと思ったのだ。俺だってこの世界に来て間もない頃はこの世界を滅ぼしてもいいとまでは思っていなかった。だが、今は俺のこの世界でのやりたいこともできて。俺の仲間のためにもこの世界を変えようとは思っていたのに。まさか別の世界に魔王が現れてしまうとは。
俺としてもこんな世界を救うなんて絶対に嫌だが。俺の知っているリゼルと魔王がこの世界で戦いを始めれば、間違いなくこの世界にいる全ての魔物や魔獣、そして人間は死に絶えることになってしまうのは目に見えている。俺がこの世界を救ったところでこの世界の人たちからは救世主と呼ばれるかもしれないが、この世界が救われるのは俺にとって都合が悪いから、その呼び方もあまり好きになれなかったのだ。
ただリゼルと戦えば俺がこの世界の救世主になり、俺のことを崇拝してくれている人達の期待を裏切ることになるので、この世界を救うためにリゼルと対峙するつもりである。俺の目的はこの世界の魔王を倒すことによって。魔王の持つスキルを手に入れることである。このスキルがあれば、俺はさらに強くなれるとリゼルが言っていた。俺の【スキル創造】が進化したこの力を使って俺は俺の目的を果たす。そうして俺はこの世界を変えることができるはずだと俺はそう信じている。
それから数日経って俺は、クロネルの村にある祠の前で。リゼリアナと名乗った神の姿をした者と向かい合う。
「私はリゼリアナよ。あなたはリゼルであっているかしら?」
リゼルと間違えられているということはこの少女の見た目をしている者はやはりリゼルということだろうか。俺はまだこの世界にきてから日は浅いのでリゼルのことについては詳しくはないが、リゼと瓜二つの姿を持つ。
リゼルの魂はこの少女に入っているのでリゼルと判断できるわけなのだが。それにしても似ている。いや同じか? ただ俺の知っているこの世界の情報と食い違いがあるから同一人物だとは断定することはできないが、それにしてもよく似ている。
それにしてもこの目の前のリゼは、この世界のリゼルよりも成長しているがリゼであることには間違いがない。
俺が目の前のこのリゼを見て動揺を隠しきれずにいると、目の前のリゼリアナは、そんな俺のことを怪しく思い警戒していたので。俺はすぐにリネスから聞かされていた話を持ち出して目の前のリゼリアナの質問に答えたのである。
俺の言葉を聞いたリゼリアナはその言葉に嘘はないと判断したのか。リゼルに対して怒りを抱いているように見えた。俺がその理由を尋ねようとする前にリゼリアナが俺の質問に答えるように話し始めてしまったのである。
リゼルが俺達に告げた言葉に激怒したらしいリゼリアナだったが。その前に俺はなぜリゼルはこの世界にいるのかという理由が知りたかったので。そのことを尋ねるとリゼルは自分の肉体を手に入れて自分の目的のために動いているらしい。そして、俺が元の世界に戻っていた時間を利用して。リゼルは魔王となってリネス達を追い詰めて、俺の元の世界から力を奪っていくとリゼルは言ったそうだ。
リゼはリゼルの言い分を聞いても、リゼルを庇うことができなかった。リゼルとこの世界のリネスがどのような関係だったのか知らないから仕方がない。
リネスの話によるとリゼは元々この世界で生まれた存在で、この世界の魔王である魔人の魂によってこの世界に生み出されたそうだ。だからリゼは自分よりもリゼルの方を心配しており。目の前に敵であるはずの俺がいるにもかかわらず。この世界の魔人族である。リネスの父と会話を始めたのである。リネスの父はどうやら俺達を襲ってこないことに戸惑っているようであった。
俺はその話を盗み聞きしていて、俺はリゼとリネスに話しかけることにした。リゼルに憑依されていたリネスとリゼルの身体に入っていたリゼに話しかけたところで特に意味はないと思うのだが、この二人に少しでも情報を得られればいいと思い。リゼには少し申し訳ない気持ちを抱きながらも俺はリゼ達と会話をする。すると二人は驚いた顔をしたかと思えば、急にリネスの父親の話をし始める。そしてその話から、俺はある一つの推測を立てた。俺が今からやろうとしていることに、もしかしたら必要なのかもしれないと思ったのである。
俺の目の前にはこの世界の魔王と思しき少女の姿があった。そして彼女は俺にこう尋ねた。
「どうして、お前は私のことを見抜けるんだ?」
「お前のことが見抜けていないのは、どう考えても魔王じゃないからだろ?」
「ふっ、私が魔王じゃないならなんだというのだ」
俺の問いに対し、目の前の少女の表情が変わることはなかった。それはまるで自分は魔王であると自ら言っているかのように感じられたが。どうやら俺の考えは外れていたようである。目の前の女の子は明らかに魔人である。魔人には必ずと言っていいほど、人とは違う特徴があるのだ。例えば、リネスのような猫人族ならば猫耳が生えていたり、角や翼が生えていることなどがあるが。この魔人族の特徴はそういったものではなく。魔力量が異常に多いことや魔人としての特徴である魔人眼を持つことなどが挙げられ。リゼルが言っていた。魔王になるために必要な条件というのが当てはまるだろう。
つまり俺の仮説では、この目の前の魔人がこの世界の本来の魔王ではないのかと思っていたのだが。俺の勘違いだったようだなと思っているとその魔王は。なぜか俺を挑発するように口を開く。
その様子からは魔王だとは思えないくらい。普通の娘にしか見えない。だが魔王のステータスを確認するとそこにはレベル1の表記があり、ステータスは一般人以下という表示が出ていたので俺はそのステータスに驚く。魔王という職業について俺はそこまで詳しいことは知らないが。それでも魔王がこんなステータスを持っているなどありえないことだと思うが、俺の知っている魔王の知識からすればこんなものなのかと思ってしまう。そしてこの世界の魔王であると思える少女がリゼに向かって。私を魔王だと信じないのかと言ったのだ。だがそれに対してリゼルが、魔王はレベル上限の撤廃が行えるスキルを持っている。だからこの世界で魔王と名乗る者は皆魔王だということを言っていて、この世界での魔王の条件が満たすことができなければ魔王になることはあり得ないと言うのだ。
俺がリゼルの話を聞く限りこの世界ではそういうことになっているようなのだが。目の前の女の子の年齢を考えると、魔王になるまであと10年ほどしかないはずだ。
それならばリゼルはリゼよりもこの世界の魔人の方が強いと、この世界の魔人の方が優れていると言っていたことになる。
そしてリゼルは魔王がこの世界に誕生したときに、魔王に成り代わっていた魔人を討伐して。そして魔王として君臨していたらしいのだが。俺はそんな話は初耳であるし。魔王になった者が必ずしも魔王になるという法則があるという情報もなかった。だから俺はこの目の前の魔王を本物の魔王だと思い込むことはできなかったのだ。
だが俺としてはこの世界の魔王が、リゼルに倒されてしまっていたらリゼルは元の身体を取り戻すことはできないと思う。俺としてはこの少女に勝てる可能性は万に一つも存在しない。
そもそもこの少女からしてみたら俺なんて取るに足らないような相手である。俺は今まで数多くの修羅場を切り抜けたからわかる。俺の持っている力はこの少女にとって、脅威にならないことを知っている。だが少女はリゼが、魔王であることを否定されると途端に機嫌が悪くなり始めた。俺がなぜそう思うのかを説明すると、少女の表情は一変し。俺の方に視線を向けて不敵に笑った。俺がそのことに気がつくと、リゼが突然。俺の視界に現れてきて剣を抜き俺の首をはねようとしたのである。だが俺の首から血が出ることはないのはわかっていたので、その行動は無駄に終わるが、この世界の魔王は、自分が偽物だということを認めなかったのだ。ただそれだけでも俺からしたら驚愕に値する。そして俺が目の前のリゼルを見てみると。その瞳には涙を浮かべている。そのことからも俺を殺そうとしたことは間違いないが。この目の前にいるこの魔王は本当に俺を殺せなかったことでショックを受けているようで、とても悲痛そうな顔をしているのだ。
この世界の魔王のリゼルに、リゼルのことを俺達が助けるから心配する必要はないということを伝えると、リゼルのリゼルの表情はさらに悲しみを帯びた顔になり。涙を流している。俺はその姿を見ると。どうにかしたいと思った。リゼルを助けたいという思いが強くなっていき。俺はこのリゼルが本物かどうか確かめるために。鑑定スキルを発動させて確認してみることを決める。
そうして俺はこの世界に来た時から一度も使ってこなかった鑑定を使って。目の前のリゼルを見るが。どうやら鑑定スキルを使うと、俺の【スキル創造】の効果により【スキル強奪】に変わってしまった効果のせいなのか。俺の目で見ているのは相手の名前とレベルだけが表示されてしまうが。リゼの時のように相手の能力やステータス、そして所持スキルまで見ることができた。その結果、やはり目の前の魔王がリゼであることは確かなようである。
俺はリゼから距離を取り。それから魔王リゼルに対して。どうして自分が魔王だと主張するのをやめないのか聞くと、この世界の魔人と自分の魂は同じ存在であり。魂は一つであるはずなのだが、魔人がその魔王の器から溢れてしまったので仕方なくこの魔王が次の魔王としてこの世界に存在することになったそうだ。魔王リゼルは俺の予想していた通りにこの世界の魔人であり、目の前にいるのは魔王だと認めた。
俺は魔王だと認めることができた魔王に対して、どうしてこの世界に魔王が存在しているかと尋ねると。
この世界の本来の魔王は、リゼルによって倒されたのは間違いがない。その後。この世界の魔王が入れ替わったということだ。
リゼルの説明によると。魔王に成り代わることができたのがリゼルの前の魔王で、その魔王の肉体が死んでしまえば、自動的にこの世界から新しい肉体が生まれる。そしてその新しく生まれる肉体がまたこの世界の魔王の座につくことができるという仕組みのようだ。
それを聞いたリゼルはなぜ、そのようなシステムができたのか聞いてみたが、答えてくれることはなく。このシステムは、魔王を誕生させるために必要なもので、その魔王の魂の核のようなものは別次元に保管されていて。肉体が滅びれば、別の肉体に入り込み、新たな魔王が誕生するらしいのだが。この世界の魔人ではこのシステムがうまく機能せず、どうしても他の種族に乗っ取られて。最終的には、自分の魂を閉じ込めた肉人形が勝手に動くだけで、自分自身は復活することはできないそうだ。だが魔人は違う。なぜなら魔人という種族は魔王と同じで、魔人が死ぬと同時に、また同じ魂を持った肉体が現れるようになっているのだそうだ。つまり魔王は魔人の魂が、魔人に乗り移ることによってこの世界の魔王となるというわけである。
つまりリゼルは自分の身体が死なない限りこの世界では死ぬことができないらしく。永遠に生き続けることになるそうだ。俺はそのことをリゼルに伝えるが、それは俺にとっては関係のない話だった。なぜなら俺はリゼルを助けたいと思っているからである。リゼルは魔人として生まれながら。人を殺すことよりも人を救うことを望み続けた優しい少女なのだろう。俺にはそのことがよくわかるのだ。だからこそ。リゼと同一人物であろう、目の前の少女も救いたいと思った。それはクロネスも同じ気持ちだろうと思った俺はそのように伝えようとすると、なぜかその言葉は目の前の少女から放たれることはなかったのである。
「私は絶対に魔王になんかならない。私の大切な人をもう失いたくない」
その言葉を吐いた魔王に俺は思わず目を奪われる。目の前にいる魔王はとても寂しそうな顔をしており、その様子からもこの世界でどれだけの仲間を失い、そして大切な人を救えなかったという経験があったのかもしれない。この少女がリゼルの中身なのかと思うと。とても悲しい思いになった。だから俺はこの少女の苦しみを和らげることができるなら何でもしようと決めたのである。そう思って、目の前の魔王に手を差し伸べようとした時に。俺の意識は薄れていき。そのまま気を失ってしまうのであった。
そして次に目を覚ましたときにはリゼルの姿は無くなっていた。目の前の少女に話を聞いてみると。どうやら彼女は元の世界に帰るためにこの異世界に来ているそうで、彼女はこの世界を救ってもらうために召喚したと言っていたのだ。それを聞き、もしかしたら、彼女はリゼルとしての記憶を持っているのではないかと思い、目の前の少女にも聞いてみることにしたのだが。彼女は記憶を持っていないと言っていて、この世界のリゼルは元の世界のリゼルとは別人のような気がしたのだ。
そして俺が目の前の魔王と話していて。一番に感じたことがリゼルにはなかったはずの感情が魔王にはあったが、その表情は作り笑いであることがわかったのである。そしてその笑顔からは悲しみの念が感じられ。魔王は無理やりに作った笑みだということが伝わってきた。
このリゼルに似た目の前の女の子のことを考えていると。
俺はリゼにそっくりな少女に話しかけられて思考を停止すると。
目の前にいたのは先ほどまで魔王を名乗っていた女の子だったが。
この女の子は俺にこう言って来たのである。
「お前はこの世界の住人なのか? それともこの世界とは違うところからきた者なのか?」
そう言った女の子に俺は少し戸惑ってしまうが。目の前の女の子から敵意を感じることができなかった。なので俺は目の前の少女に対して。俺がどうしてそんなことを聞くのかと質問してみるが。女の子は俺の問いを無視して再び質問をぶつけて来たのだ。
それに加えてこの女の子が俺に向かって投げかけてくる質問の内容は、俺にはさっぱり理解できない内容だったのだ。まずこの女の子が、この世界の人間じゃないかどうかを聞いてくるが、俺は当然のことながら、この世界の出身であると答えるが。それでもこの世界の人間はこんなにも早く喋れないと言うのだ。それにこの世界の人間は皆、こんなに素早く歩くことも、こんなにも複雑な計算を一瞬でできるはずもないと、目の前のこの女の子は言ってくるが。俺としては、俺は確かに、普通に会話できているはずだと思うし。そもそも俺は魔法とかを使っていないのに。この女の子が俺に対して何を言っているのかは分からない。
ただ、俺がこの少女の言い分を理解して、少女の話をしっかりと聞いていたにも関わらず、少女の話がどんどんずれていくのだけは分かったので、途中からは無視することにしたのである。
そして少女は、なぜ、目の前に、少女がいたのかと俺に訪ねてきたが。少女はこの国を作り直してくれた勇者のことについて聞きたいそうなのだ。少女が俺に、勇者のことをどう思ったのか、なぜ少女はこの世界に来たのかなどを俺に聞こうとすると、俺は自分がリゼルから、俺をこの世界に連れて来て欲しいと頼んだと聞いていることを告げると、目の前にいるこの女の子の顔は一気に変わり。俺の胸ぐらを掴んで。
「貴様は私の親友を侮辱するのか!」
そう言われた瞬間。目の前のリゼルと容姿が似た、俺の知っている魔王とはまったくの別人だと思っていた女の子からリゼルの魔力が放出されて俺の心臓を貫かれた。そのことで俺は自分のステータスが異常な値を叩き出したのを感じた。だが、俺はそこで意識を失うことはなく、すぐに自分のスキルを発動させて、自分の傷を全て治す。だが、俺は自分のステータスを確認する暇もなく。目の前にいる魔王と名乗る女の子に殺されると思い。【強奪】と【複製】を発動させて相手の全てのスキルを奪って【アイテムボックス】の中に仕舞いこむ。それから相手の【スキル強奪】と【スキルコピー】を同時に使う。【強奪】は相手が発動させた技を奪い取るという効果なのだが。今回は相手のスキルが、あまりにも強すぎた。俺は相手の攻撃を完全に奪いきることに失敗してしまい。俺の左腕と両足は吹き飛ばされてしまうが。相手のスキルを奪ったことにより。【スキル強奪】の効果が相手に移ったことによって相手の攻撃は完全に防ぎきることができた。
俺はこの少女が、魔王のスキルを使えているのに驚いたが、目の前の女の子は自分が使っているスキルが何なのか分かっていない様子だった。それから目の前の女の子に対して、どうして自分が俺を殺そうとしたのかを問いかけると。俺の口からは血が流れ出る。そしてその出血量が半端じゃなかった。このまま放置しておくと間違いなく死ぬだろうと悟った。そのくらいの量の血が出ていたのである。だがその状態で俺は、魔王を名乗る女の子にどうして自分のことを魔王だと名乗ったのかという理由を聞いたのである。
魔王は魔王の器とでも呼ぶべきものがあって。魔王はその器の中から溢れることはありえないという。なぜなら溢れ出たとしても、また新しく肉体に魔王の魂の核のようなものがある肉体に入り込み。魔王の座に着くことが出来るからだ。つまり、魔王が別の身体に入るということはできないはずなのだ。
だが目の前にいる魔王を名乗った少女の魂は別の肉体に存在している。この肉体がリゼルだとすると。俺の知っている魔王リゼルではないということになるのである。俺は目の前のリゼルに似ているこの少女が、リゼルでは無い可能性を考える。だが、目の前にいる少女が本当に魔王である可能性もあるため俺は警戒しながらもこの場を去ろうとすると。目の前の少女から俺に攻撃を仕掛けてくるが。俺は目の前の少女の攻撃を簡単に弾き飛ばすと。この場で戦うことをやめようと提案する。目の前にいる少女の力がこの世界に居るリゼルと同等以上の力を持つ存在だということはすぐにわかったのだ。そのためここで戦い続けるよりは一度城に戻った方がいいと判断してこの場を立ち去ることを決めた。
「なぜ貴様はこの世界の人間のフリをしてまで私のことを助けた」
そう聞いてきた魔王に俺は正直に答えることにした。
俺はこの世界のリゼルから頼まれただけなのだと。そしてリゼルを救ってほしいと言われただけで別に君を助けてほしいとは言われていないと話すと。少女はリゼルはもうこの世界にはいないのだから私の邪魔をする必要はないはずだと言うが。俺はそれについては、はっきりと違うと伝えると。目の前の魔王を名乗る女の子が俺の言葉に反応してくれた。俺は魔王と名乗るこの少女が本当はこの世界の魔王リゼルで、そしてリゼルはまだ生きているということを伝える。それを聞いた魔王と名乗るこの子も俺も動揺してしまったが、とりあえずは落ち着いてから話し合おうと言って、その場を後にするのであった。
リゼルは目の前で死んでいった少女を見て自分のことを酷く責めた。自分はまた、大切な人を救うことができなかった。もう大切な人が目の前で死ぬところを見たくないと思ったのであった。そして、自分のことを許せないままでいるリゼルの前にリゼルが魔王になった時に助けてくれたあの女が現れたのだ。そしてその女はリゼルの気持ちなど考えずに。リゼルをリゼルが大切に思っていた者達の命を奪うと脅した。リゼルはそれを受け入れるしかなく。そしてこの異世界に来る前にこの世界の王から、自分が死んだ時は、リゼルの好きにしていいとリゼルの目の前に現れた少女に伝えられていたので。目の前の女の要求を素直に受け入れたのである。目の前のこの世界に来て、魔王になりたかったわけではないこの世界を救うためだけに召喚された魔王である目の前の少女に対して。リゼルはこの世界で、リゼルを救ってくれたことに対して感謝していたのだ。だからこそ、リゼルはリゼルのために動いてくれているリゼルを救ってあげたいという一心で、リゼルに化け物の力を与えた。目の前の少女を助けるために魔王である自分をリゼルとして演じ続けたのだ。そして、リゼとこの世界で一緒に過ごした時間も、目の前で、目の前でリゼルを守るために戦っていたこの世界の少女のように優しく温かいものだった。だからこそ、リゼルはこの異世界で出来た友達や家族に生きて欲しいと願うのであった。
リゼルは目の前で大切な人を失うことが嫌だったから、自分のせいで失うことになるなら。リゼルにとって一番大切な存在である、親友に生き返ってほしかった。そうしてこの異世界にやってきたのだが。目の前にいる魔王を自称する、リゼルの親友は。自分がこの異世界に来た本当の目的を知らないようだとリゼルは気付く。だが、そのことについては、魔王と名乗るこの少女が自分で気が付いてほしいと思うが。そのせいで目の前の少女にリゼルを恨まれて殺されそうになったが、なんとか命を取り留めることができたことに安堵するのである。そしてこの世界にやって来た魔王と名乗る女の子に対して。この世界を救うために協力してほしいと言ったら。この女の子が、なぜかはわからないが。この世界の魔王は魔王としての使命を果たすために来たわけじゃないと言っているようだったが、それでも、目の前の少女から感じた魔力から考えるに、この少女は普通の少女ではなく。それこそ勇者と呼ばれるような実力を持っているのではないかと予想できたのだ。だから魔王に勇者としてこの世界を魔王が滅ぼすのを止めるように説得してもらった。
俺は目の前にいる魔王を名乗る少女に、この世界はもう終わりかもしれないと話す。その理由がこの国の王たちが人間たちを家畜として扱うことで人間たちに恨みを買われており。そのことで魔王を名乗るこの国を作った人物と同じ名前の国を攻められているというのに何も対応をしなかったからだ。だが魔王と名乗る少女の話を聞いた俺は、その魔王と名乗る少女の言い分を聞くと。確かにこの国は魔王の作り出してくれたものではあるが。この国では奴隷は違法とされているらしいが。この国が奴隷を使っているという事実は変わりないらしく。目の前にいるこの世界の魔王がこの世界を滅ぼして、もう一度最初から国を作り直すというのは納得できないと俺は思った。それに俺自身もこの国の現状はどうかと思う。俺がそう言うと、魔王と名乗る少女にこの世界の住人たちは自分たちの身が可愛いだけで他のことは何も考えてないように思えたが。目の前の少女がそんな奴らのこともこの少女は見捨てることができないという優しい一面があることがわかった。それから魔王と名乗る少女にこの世界には魔族が一人しか残っていないという話を聞き。俺もその一人の魔族の少女に会いに行くと約束したが、どうもこの少女が、俺に対して何かを隠していることに気が付く。
俺は目の前の少女が隠したいと思うことについて追及はしないが、目の前の少女が俺を殺そうした理由については追求したかったが。俺は今の状態では俺が、魔王のスキルを手に入れられるということが分かったのは良かったと前向きに考える。もしこのスキルを使ってこの世界にあるという聖剣を手に入れたとしても、この少女の前では意味がないことがなんとなくわかったからだ。
俺は目の前のこの魔王を名乗る少女と別れて。城に戻るとすぐに魔王のところに行こうとする。それから魔王がどこに住んでいるのかと城のメイドたちに尋ねると。魔王様は今はこの国から離れた場所にいっているとのことなので会うのは難しいと言われた。俺がなぜ、その場所を知っているのか聞かれたが。適当に嘘をついて誤魔化すことにして、この国を出た。そうして、この国を出ると。その道中でも、魔物が大量にいたが、俺は【全知眼】を使いながら、スキル強奪を行いレベルとスキルを奪っていき。そのまま目的地である、【死鬼の森】に向かうことにした。
【死鬼の森】に到着したが俺は特に苦労することなく森の中に入っていくと、目の前に少女がいたのである。俺は目の前の女の子を見るとこの少女は魔王なのだろうかと疑問に思う。俺の記憶が確かならこの森の奥に魔王がいると聞いていたからこの森のどこかにいるんだろうと考えていたのだが、まさか、この子がこの世界の魔王だったのかと思っていると。俺がここにやってきた理由を話す前に目の前にいる俺よりも小さな体つきの女の子が口を開いたのである。
目の前にいるこの子は魔王だと名乗ってきた。だが俺は信じられず。その言葉を信じることができなかったので、この子にどうして魔王だと名乗ったのかを聞いてみるとその女の子は自分の力を確かめるために。この世界の人たちを実験に使うつもりだったと話す。その言葉を聞いた瞬間に、俺は、目の前の子に対して恐怖を覚えると同時に。魔王になんてことをさせるつもりなのかと怒りを感じたのである。だが俺の気持ちがこの子に伝わることはなく。俺を殺そうと攻撃してくる。だが俺は魔王の攻撃を簡単に弾いて見せると。
「貴様、一体何者だ」
目の前にいる女の子に俺はこの世界に呼ばれたときにもらった、女神様の力が宿った腕輪の力を使う。そうすると俺が身につけていた、この世界で作られた腕輪が光を放ち。この世界に訪れた時の服に変わったのである。俺は目の前の少女に自分のステータスを見せた。そして目の前にいる少女は俺が自分の持っている魔王の証を見せると同じように俺の目の前に自分の持つ証を出す。そうすると、俺は魔王が目の前にいる事実を受け入れざるを得なくなったのであった。そして俺はこの魔王にどうして俺のことを殺そうとしていたのかを問い詰めると、目の前にいるこの少女は俺が魔王リゼルの知り合いだということに驚く。
「お主。本当にリゼルの知り合いだったとは。リゼルは元気にしているの?」
そう言ったこの魔王にリゼルの安否を尋ねられて、俺の頭の中にはリゼルの悲しそうな顔が思い浮かぶと、目の前の魔王にリゼルは生きていることを告げたのだ。俺はこの世界のリゼルがこの世界を救うためだけに召喚されて魔王になったというこの世界のリゼルからの手紙を見せて。リゼルにこの世界のことを頼みたいと言われてこの世界に召喚されたと言うと。この世界の魔王はリゼルが生きていて、そして俺のことをリゼルの大切な人だと思い込みとても喜んでいたのだ。そしてこの魔王から聞いた話によるとこの魔王も魔王になったばかりで、魔王になって自分の力で、自分の国を作ることを目標としてこの世界で頑張るつもりだったらしい。だけど、この世界に来て数日が経ったある日に、この世界の人間たちがリゼルを討伐しようとこの国に向かっていることを知り。慌てて俺を殺しに来るとのことだった。この世界の魔王の話ではリゼルから頼まれたらしい。俺は目の前のこの少女を、リゼルの友人でこの世界を救いに来たと言っていたリゼルの気持ちを汲み取りこの少女を助けることにする。そしてこの魔王を名乗る少女をどうにか説得しようと思ったのだが。なぜかはわからないが目の前の女の子は急に、俺にこの世界の王として、これから行われる魔王軍と勇者の戦争に参加してもらい。魔王軍に参加してこの世界を救ってもらいたいという願いを伝えられたが。この子の話を全部聞くとどうにも胡散臭さを感じていたのでとりあえずはその話は一旦保留にしてその場から去ることにするが、だが、俺はこの子の正体について少しだけ考えてしまったのである。それは、見た目こそは幼女に見える魔王なのだけど、どうも話し方がおかしいと思っていたからだ。
俺達は街に戻ってきて宿屋を探す。しかし、どこを探してもこの世界の魔王の姿が見つからなかったのである。それで困っていた俺は、この街の領主が泊まっているというホテルに足を運び、そこのオーナーと話がしたいと言って部屋に入る許可を得ることができた。
そして俺はオーナーにこの世界で起きている魔王軍がこの国の人間たちと戦おうとしている現状を伝え、それを止めてほしいということを伝えると。
俺はオーナーのその態度に疑問を持つ。俺が、魔王軍と戦ってくれる人がいないから協力してほしいということをお願いしたのに対して。なぜこの男は、まるで魔王軍の味方みたいなことを言ってきたのかと疑問を持ったので。目の前の男が何者で。どうしてこの世界の支配者として、君臨していないのか聞いてみたのだが。どうやら目の前にいるこの男も俺と同じように魔王リゼルから魔王の座を無理やり押し付けられたらしく、しかもこの男の実力を、目の前に存在している男が証明していたので。俺としてはこの目の前にいる魔王を名乗る男が本物の魔王だということを認めざる得なくなったのであった。
だが目の前にいる魔王がこの世界の魔王ではなくて、異世界の魔王であることはこの俺だけが知っていることだ。目の前に存在している自称、この世界の魔王が俺が、異世界から来た存在であることは絶対にばれてはいけない。もし俺が異世界から来ていることがばれるようなことがあれば俺はこの世界から逃げなければならないと俺は思った。なぜなら目の前にいるこの魔王は俺を異世界の存在だと確信して戦いを挑んでくる可能性があったのだ。
それから俺とサーリャが一緒に行動をすることになった。理由は、魔王を名乗るこの女の人が。俺と一緒に旅をしてくれないかと頼んできたからである。俺にはこの人にどうしても聞かないといけないことがあったのと、この人からいろいろと聞きたいことがあったからだ。俺はまず最初にこの世界に勇者が存在するのかという質問をする。俺は勇者がいるならぜひ会いたいと、俺はこの魔王を倒すことができる存在がどのような人物なのかを知りたかったのだ。
そうすると目の前にいるこの女性は、自分が魔王だと名乗れば、みんなは、この俺を殺すだろうから。俺は本当は自分は魔王ではないという。だから、あなたに、私の魔王としての名前を名乗っておきましょうといって、その名前を口にする。俺は、目の前の女性の本名が、この世界の魔王と同じ名前だなんて偶然はありえないと思うし。そもそも、魔王が一人しかこの世界には残っていないのならば、どうして魔王と名乗っているんだと疑問を抱くが。だが俺は目の前のこの女性が魔王を名乗ったところで誰も殺さないんじゃないかとなんとなく思った。
俺には目の前の彼女がこの世界のために、俺達を殺そうとしてくるとは思えない。俺は目の前にいる女性に、俺は魔王と名乗ってくれたおかげで確信することができたのである。
それから俺達が、魔王と名乗る彼女を連れて街の外に出ようと考えたときに、この国の姫とその妹、つまりはこの国の王女二人が姿を現す。そして彼女たちがどうしてここに現れたのかを俺達に説明し始める。なんでも目の前の女の子は俺たちが探し続けていた魔王であり。この世界の人間たちに魔王を倒そうとしたらこの世界が滅びてしまうから、魔王には何もせずこのまま大人しくしていてほしいと嘆願するために。彼女は自らこの国にやって来たそうだ。
だがこの世界の魔王の話を俺は聞くと。確かに目の前に存在する、目の前の女の子が魔王だといわれても俺はいまいち信じられなかったのである。俺から見た目の前にいるこの女の子はとてもではないが強そうに思えなかった。この子は普通の女の子に俺の目に映っている。
それにこの子が仮に、本当に、魔王だったとしても。俺はこの子が魔王と名乗ったことで、俺の敵になることはないと俺は感じた。なぜかといえば俺が魔王と敵対しているわけではないから魔王が、目の前にいる女の子が魔王だということがわかっても特に俺の邪魔にならないと思ったからだ。俺はそう思うとこの子に協力を申し出たのである。そして俺はこの女の子をリゼルの代わりに、俺の妹のリネルの代わりになるように俺のこの世界のリゼルの知人をこの子を守ることに決めていた。そして俺は、目の前にいる女の子が俺の大切な人たちの誰かを魔王の生贄にするつもりがないことを知る。俺もその女の子に協力することを決めて、そしてこの世界の魔王であるリネスと俺の仲間たちとともに、魔王が作り出した結界を解くために。俺は魔王と旅に出ることになったのである。
【死鬼の森】に俺達は足を踏み入れる前に、リネにどうしてこの場所に来たのかを説明する。この世界は今魔王の手によって危機的な状況に陥っており。その原因となっているものをこの森の奥に封じているのが、俺と目の前の少女である。その封印されているものは魔獣と呼ばれる生物を生み出すもので。その魔王によって作り出された魔物のせいで多くの命が失われていることを俺は説明する。
俺はその説明を終えるとリネが真剣な顔になり「そうだったのですか」と言って、俺に「この世界はもう限界に近い状態だったのですね」と言った。俺はその言葉を聞くと。このリネに今まであったこの世界の常識は一体どこで教わったものなのかということを考え始める。そして俺はこの世界は、一体いつからこのような状況になっていたのかと考え始めたのである。そしてこの世界の魔王と、リゼルークは、お互いを信頼していたのは、お互いに相手に対して自分の持っている魔王の力を貸し与え。それが自分の力を上昇させてくれるものだと理解し、自分の力を高め合って。最終的には魔王の力で、リゼルートの力を高めることに成功していたからなのだと俺は気がついたのである。
リゼルが魔王になってから、この世界の人間たちの力が格段に向上していたので。この世界の人間たちがリゼルに対して魔王の力を与えたと最初は考えていたが、この世界に元々いた魔王はリゼルークだけだったので、俺は、リゼルに魔王の称号が与えられた時もまだ、魔王が存在していて。その魔王がリゼルを気に入りこの世界にリゼルを呼んでいたのではと考えていたのだ。
だが目の前にいるこの少女は、この世界の住人であり。俺のように、別の世界から召喚された存在でもないはずだから。リゼルはどうしてこの子の存在に気づくことができたのだろうか? リゼルはどうしてこの少女に魔王の力を与えようとしたんだろうかと俺は考えたが。俺にはわからないことなので、リゼルのことは置いておくことにした。それよりも今は目の前にいるこの少女の方が俺にとっては問題だった。
そしてリネスと、この世界の魔王は一緒に行動することを決めるとすぐに【死鬼の森】へと入る準備を始め。リネスとこの世界の魔王が、リゼルが作ったとされる、魔王城への入口へと向かうとそこには魔王城に続く門がある。そして俺がリゼルと、その魔王を、俺の世界の魔王が、リゼルのことを魔王と呼んでいたのを思い出し。もしかしたらリゼルは目の前にいるこの魔王と関わりがあったのではないかと考えると俺は胸がざわついたのである。しかしそんな俺の考えを否定するかのようにリゼルが俺の前に現れて、「お久しぶりです。リゼル様、いえ、魔王様、私がわかるかな?」と言って。この世界に来る前の記憶を呼び覚まさせるようにリネスに声をかけるのだが。どうもリゼルと、魔王は面識がないようで、二人の反応を見る限り。この世界にいた時に、二人が知り合ったことはなかったのだろうと予想がつく。
だがリゼルは魔王を名乗る女の子の反応に違和感を覚えたようで。魔王の見た目からして、どうも目の前の魔王は子供っぽいと思ったようだ。
そしてこの世界にいる魔王を名乗るこの女の子が本物の魔王であるのかと、リゼルに確認をとると。どうやらこの子こそが、本当のこの世界の魔王のようであった。
だがリゼルは魔王に会ったことがないので、魔王と認めずに、魔王を名乗る少女は、この世界を救ってくれるように頼み込んできた。そして魔王は、この世界を滅ぼそうとはしていないという。それどころかこの世界に魔王の加護を与えることができるように魔王は努力をしていたそうだ。
それを聞いた俺は目の前にいるこの子の魔王としての在り方に感心した。魔王が、魔王としてこの世界の人間たちを苦しめるために。魔王がこの世界を滅ぼすために存在しているのではなく。魔王は自分の使命を果たすためだけに魔王を名乗り続けているのだと感じた。だから俺は魔王を名乗るこの子をこの世界で見捨てることなんてできないと思い。俺の大切な仲間をこの子に託すことにして、俺はこの場を後にしようとすると。
魔王は俺のことを見てから。「あなたはどうしてこの私についてきてくれたの?」と質問してきたので俺は。
俺は魔王とこの先旅を続けていればきっと面白いことになると思ったのでついていくと答える。それから俺がこの世界の魔王がなぜこの世界に残り続けることに決めたのか理由を聞くと。魔王はこう答えた。魔王は世界が滅びそうになったときに現れると。
そしてこの世界に危機が訪れると現れる勇者と、ともにこの世界の人間たちを導いてこの世界の人々を導き続けた。その結果この世界の人々は救われたのだというのだ。だがそれからは、魔王が現れることはなくて。それから数百年の間。魔王が、世界の危機が到来することはなかったそうだ。魔王が魔王として存在するようになってからは魔王の作った結界がこの世界の中に存在するようになったのだと魔王はこの世界に張り巡らせた結界を、目の前にいる俺達に見せる。
するとこの世界にある全ての魔素は、魔王の結界に遮られてしまい。魔獣を生み出すことができないのだと魔王はこの事実を告げる。
そして魔王は、魔王は魔王として。この世界で自分ができる最善の行動を取るべきだと思っているという。俺は魔王の話を聞いてこの子はなんて立派な魔王なんだろうと思った。この子は俺達を魔王城の入口まで送っていくれた。
俺達がこの魔王城にたどり着いた時、俺達を歓迎するべく。リゼルがこの魔王城を改造していたらしい。だが俺は目の前の魔王城は俺がいた時の魔王城とは違うなと思った。なぜなら俺が住んでいた世界では、この魔王城は、巨大な魔王城だったので、目の前の魔王が作り出した、小さな魔王城は少し可愛く思えたのである。そしてこの世界には、リネルがいるんだから、この世界のリゼルと魔王は、この世界に来た時から仲が良くなったのではないのかと考えたが、目の前にいるこの子が魔王だと言われても、俺にはまだこの子がこの世界のリゼルークだと言われたら俺は信じられない。
だが目の前にいる女の子がこの世界のリネルの知人ならば。目の前の女の子は間違いなく、俺が、この世界の魔王を倒した後でリネルが話してくれた、あの世界を救ったリゼルなんだと俺は実感させられたのである。リネの話しを聞き終わったクロネが。俺の方を見ると。クロネの目に俺は吸い込まれるような感覚に陥りそうになる。俺はその視線を受けてから。クロネは一体何がしたいのだろうと疑問を持つ。
「リネさんが言うにはルクスが元居た世界の、そのリネルと言う女の子が。魔王の生まれ変わりなんですよね。そしてその世界を救ったのが。あなたの世界にも伝わっているリゼルという人物ですよね」
クロネの口からリネルが俺の世界のリゼルの生まれ代わりであることを教えられると。やはり目の前にいるリネスも。俺が元の世界のリゼルの関係者なのだろうかと。目の前にいる女の子はリネルと同じ種族なんじゃないかと思うが。
俺の目から見ると、目の前の女の子から感じる魔力が、この世界の魔王のものとは思えないくらいの圧倒的な力を感じているので。この子が自分のことを魔王と名乗ったことに俺は違和感を感じると、この子が俺に魔王であることを認めさせるために。この子の正体を隠していたんじゃないのかと考えてしまう。
俺の目の前にいるこの少女が、この世界に来て、魔王と名乗ったのならまだしも。この少女が、自分から、自分は魔王だと名乗ったのだ。もし仮に、目の前の少女が本当に魔王なのだとしても。俺はリゼルを倒せるとはどうしても考えにくい。そして俺に自分の実力を隠す必要もない。だがこの目の前の少女はリゼルの生まれ変わりであるはずのリネを圧倒したのだ。
「ああ、リネはリゼルとリネは幼馴染だって言ってただろ? だからそのリネスに頼まれて。俺達はリゼルの代わりに。この世界のリゼルーの知り合いを探してるんだけど。君たちは一体誰なんだい? そして君のことは一体何者なのかな? それにリネと君は一体どういう関係なの? 俺は一体何を信じれば良いのかわからないんだよ。そして君たちが俺達の敵じゃないという確証が欲しい。できれば俺たちは仲間になるんだから」
俺が、俺が今言ったことは、リネスとリネとの関係がどうなのかということだった。俺はリゼルークの関係者が目の前にいるという事実が、どうも受け入れられなくて、リゼルの生まれ代わりであるかもしれないリゼリアのことを疑ってしまう。そして俺は、目の前にいるこの子と俺が、敵対することはないはずだから、俺はリネスに俺が知りたいことをリネスから聞いてもらうことにした。そして俺は俺の質問に対してリゼルが答えてくれるかと思ったのだ。するとリゼルは俺のことを見据えながら。リゼルは俺に、どうしてこの世界に魔王が現れたかについて俺が知りたがっていた情報を話すことにした。それはこの世界に、この世界に突如現れた。魔王リゼルークとこの世界に現れた魔物が、その世界に出現した魔物を倒すと、そこに新たなる魔族が生まれたのである。そしてその魔族はその世界の人間たちを襲い始めた。最初は、人間たちもその世界に誕生したばかりの魔族たちに大した抵抗を見せることもなく、魔族たちによって人間は滅ぼされそうになっていたのだが。リゼルはその魔族の群れに向かって単身で突っ込み魔族を蹴散らしたのであった。それからも、魔族たちと戦う日々が続いたある日。この世界の魔王リゼルは。この世界を守るために魔導士の仲間たちと魔素を遮断させる結界を作ることに成功した。それによってこの世界の中に生まれるはずの魔獣を封じ込めることが可能になった。しかしその結界を維持するために、この世界にある結界を作れるほどの膨大なエネルギーが必要になるので。魔王はこの世界に存在する。他の世界に生きる魔王の力を利用しようとしたのだ。それがこの異世界召喚システム。魔王の力を宿している勇者に魔王の魔力が注ぎ込まれたとき、魔王の力の一部が解放され、この世界に転移することが出来る。だが、その際に魔王の記憶は全て消されているはずなのに、リゼルは俺のことも、リリスのことを知っているようであった。そしてこの世界の魔王は、自分の生み出した、もう一人の魔王である。この世界を守護するための魔王リゼルークがこの世界に存在していることを知ってしまい。そして自分が生み出した、リゼルにこの世界の魔王になってもらおうと考えたそうだ。だから魔王は、俺にリゼルークを倒してもらって。自分が本当の魔王になろうとしたらしい。だがリゼルが俺の世界からこの世界に転生したときに。この世界を救うはずだった勇者はすでにこの世界には存在しない存在になってしまったのだと魔王は語るのであった。そしてこの世界のリゼルが俺の元いた世界にいた、本物の魔王リゼルールクの生まれ変わりだということが明かされると、目の前にいる魔王は。この世界で、魔王としてこの世界を守り続けるために、俺達と一緒に行動することを申し出てきたのであった。俺はそれを快く承諾して。俺の、元の世界の友人を、魔王を討伐するという、俺にとって過酷な旅は始まった。
リネスから説明を聞いたリゼルは俺のことを見ながら。
「ルクス。俺の名前はリゼルークって言うんだ」といきなり名乗ってきた。俺は突然の自己紹介に驚くとともに、目の前の少女の名前を名乗るリゼルを見て、目の前の女の子のことを信じることができるのかなと思ってしまう。すると俺の目の前にいる魔王である女の子がリネに抱き着く。俺の目の前で繰り広げられる魔王と、リネの関係。俺は、魔王である目の前の少女の事を信用し始めていたんだと思うが、だが目の前の少女が魔王であると言うのには、正直俺は実感がわかないのだ。そして俺の目の前に立っている、見た目は俺と同じくらいに見える、目の前にいる女の子に魔王としての力が秘められているのだろうか? という疑問が俺の中で生まれてくると俺はどうしてもこの子が俺達の味方かどうかが分からなかった。
なぜなら目の前の子からは普通の人間の少女のような雰囲気しか感じられないのだ。俺は、俺の前にいる少女が本当に魔王の魂を受け継いいで、世界を守るべく魔王となった。目の前にいるこの少女がリゼルだという事が、どうしても俺には信じられないのである。俺はまだこの目の前の少女が魔王リゼルだとはどうしても信じられないので、目の前の少女に問いかけることにした。すると少女がリゼルだと名乗るのである。俺はそんなリゼルがなぜ、この世界に転生することができたのか不思議でしょうがなかった。俺の世界には魔王リゼルの転生体など存在しないからだ。俺はリゼルが俺の世界に転生したことに俺は疑問を感じたのであった。
「えっと、君が、魔王であるっていう証拠を見せて欲しいな。俺が魔王だって信じるための」俺はリゼルの言うことが信じられずに。目の前にいるリゼルが本物であるという証拠を求めた。
「わかった。だがその前に一つ確認させてくれ、俺は今から。君に魔王の証である魔力の波動を放つから。俺の体から出ている魔力の色を確認するといいよ。もし、もしもだ、この俺から発せられる。魔王が持つ特有の色の魔力が。この俺が放つことのできる色じゃなければ。俺はまだ君をこの世界のリゼルだとは思えないから。俺はまだこの子を、俺が今まで信じていた世界を救うための存在と信じたいんだ。だけどもし仮に。君から俺のよく知る。あの世界を滅ぼした。あの黒い霧を生み出す存在と同じ力を感じるなら。俺はこの子のことを疑わずに。俺がやるべき事のために、この子と手を取り合うつもりだよ。俺はまだ俺が知っている魔王リゼルとこの世界にいるリゼルを、同一視することがまだできないんだ。だから、魔王の証を出す準備をしてくれる?」
「ああ」
「ちょっと待ってくれ、その、君のいう魔王の証とはなんだい? 俺は、そのリゼルという人の事は聞いたことがないんだが」
「俺が言う、魔王の証とは、魔王の魂の一部から作られている、特別な魔力の事を言うんだよ」
「そうなのか、それは凄いな。だが君がその魔力を発することさえできたら、私はリゼルークが魔王であることを受け入れるぞ。だが、この世界のリゼルーがこの世界に残した記憶がない以上。私もこの子の存在は受け入れられないからな、だから、その、証明をするときに。この世界に来る前。俺の体に何が起こったのかを。俺が体験したことを。そして俺の前世の記憶を見せてやるから、それでお前も、納得できるだろ。それに俺はリゼルークが俺の中にいた時の、この世界に来た時に俺に憑依していたリゼルの記憶もあるから、俺の中には二つのリゼルークがいたということも理解するはずだ。だからその、少しの間だけ俺の目をじっと見ていてくれるか? そうすればわかるはずだ」
「ああ」俺が返事をすると、俺に何かを伝えるために、リゼルと俺は俺の体の中に宿るリゼルに呼びかけて俺の体内に眠っているリゼルの人格を起こすことにしたのであった。そしてリゼルはリネと目の前の少女に目を向ける。
「お姉ちゃん。リネスは元気にしているかな?」リゼリアは自分の妹のリネスのことを気にしているようで。自分の妹のことが気になっている様子である。そして自分の妹のことをリネスと名前で呼んだ。そのことにリネスも驚いていて、「はい。あなたのことはずっと忘れてません。私の大好きなお姉様です。それに、あなたのおかげで。お父様に私が生きていると思わせることができたのですから」と言ってリゼルに笑顔を向けた。だがそのリネスの顔を見た、リゼルは、自分が死んだと思っているであろうリネスのことが心配になったらしく。すぐに、自分の中に眠っていた。リゼルークが、自分の中の人格を起こして、自分の意識を覚醒させる。
するとリゼリアから俺に向けて。自分の体の主導権を取り戻すための許可が下りたようなので、俺の中からリゼルは、俺の体を借りてこの世界に現れる。そして俺の目を通してこの世界を見て、自分の世界とは違う光景が広がっているのを目の当たりにするのであった。俺は目の前に現れたリゼルを見ているとやっぱり俺は目の前に現れた女の子の事が信じられなくなってきている。そして、目の前に姿を現した、俺の知らない少女は。俺の方を見て、まるで懐かしむかのように見つめる。その視線がどうも俺は耐えられなかった。なぜならその瞳がリネによく似ているからだった。だから俺は、俺とリネに関係のある存在ではないかと勘ぐってしまう。だが俺がそんなことを考えても目の前の子は、この世界の住人でしかないんだ。この世界の人間じゃない俺はこの世界に存在しているはずもない女の子の事を考えて、目の前にいる女の子に不信感を抱いてはならないのである。でもなぜか俺は、この目の前の女の子がこの世界に存在しているはずのない、魔王であるリゼルの魂が転生した存在であるとどうしても信じられなかった。俺には目の前の女の子がただ、普通の可愛い女の子にしか見えないのだ。だがリゼルから話を聞くと、リゼルは、リゼルークが俺の世界に転生した際に受けた。俺とリネに関係ある出来事の記憶を思い出すために。俺達の世界の出来事を俺の頭の中で見せようとしてくれていたのである。俺はリゼリスの瞳を見ながら、俺は、この世界の事についてリゼルに説明をしてもらったのだ。俺は、自分の世界でこの世界では、リゼルと呼ばれている少女を救えなかったことを思い出して胸を痛めたが。俺はこの少女にリネを託したはずなのに、どうしてこの世界に存在しているんだろうと俺は思って。なぜ、俺が知っている少女と目の前の少女が同じ存在なのだと感じられないんだと不思議に思うのであった。
俺の前に突然現れた少女は、自分のことを、魔王だと名乗り始めたのだ。そして魔王としての姿を見せると言って、少女はリネスに目を向けると。「リネル。君は確か。魔王の娘リゼルールの、娘、リネルだよね。君は魔王の娘の魂を受け継ぐものとして、魔王の器を持っているんだよね。なら僕と一緒に戦おうよ。君の力が必要なんだ」と言う。リネスは魔王リゼルの言葉に対して「わかりました。私にも戦う理由はありますから。この世界を魔族の支配から救い出す為に、私は戦います」と言い切った。それを聞いた俺は、目の前の少女に。リゼリードと、魔王リゼルの名前を名乗ったこの女の子が。魔王であることを信じるしかなくなってしまったのだ。そして魔王の力を見せてくれというと。この魔王を名乗る少女リゼルは自分の中にあった魔力を解き放つのである。すると少女の体は黒いオーラに包まれると魔王に相応しい姿に変化した。俺には、少女が黒い鎧を身に纏っているように見えていて。目の前のこの女の子が、あのリゼルだということに、疑いようがなくなっていくのである。
すると俺の体をリネスが操り始めていき。魔王の魂の一部で作られた。特別な力、つまりは魔王の持つ特有の色の力を持つ、魔王の証と言われる。魔王特有の色の力を発してみせたのだ。俺はこの瞬間、魔王としての力をこの目の前にいる少女リゼルは確かに有していることを実感すると。目の前の魔王に、魔王の証を出してもらうことで俺はようやくリゼルがこの世界に転生して来たということを俺は確信すると俺はリゼルと握手を交わすのである。
俺がリゼルとリネスが婚約することを宣言すると。村長は、「なんと! あのリネスさんに、婚約者が!」と口にしながらリネスの事を抱きしめるのであった。そして村長の家を出たあと俺はリゼルを連れて俺達が借りている家へと戻っていったのである。
そしてリネスが俺達の住んでいる家の玄関の鍵を開けて「ルクス君が帰ってきたよ!」と声をかけると。すると、リネスの母親である。リネルがリネスに抱きついて「本当にリネスなのね。生きていたの! よかったわ」と言うと。リネスの頬に涙が伝うのであった。俺はその様子を見ながら「よかったな。これでまた家族全員揃ったんだからさ。今日は、久しぶりに三人水入らずで過ごしてほしいんだけど。いいか?」とリネスに言う。
「ありがとう」そう言って、リネスは俺のことを嬉しそうに見てくれるのであった。リゼルはその様子を静かに見守っていたが。俺はリゼルがリゼルのことをじっと見ていたことに気づいていたので。
「そうだリゼル。お前に紹介しないと行けない人がいるんだよ。この人は俺の命の恩人で。サーリャっていうんだよ」そう言うとリゼはリネを一目見ると。「初めましてお姉ちゃん、リネスの姉さん。俺はこの世界に存在する全ての世界を支配しようとした魔王の。その魂の一部から生まれた、魔王の中の魔王。リゼルという者だよ」と自己紹介するのであった。
「そうなんですか。この子が魔王の生まれ変わりだなんて、とても信じられないくらい。可愛らしい女の子に、私の目には映っています」そう言ったのである。そして「はじめまして、リネスといいます。私も、リゼルクが魔王だと言われてもいまいちピンときません。それに私とルクス君は幼馴染の間柄だったので」と言ってくれたのである。「そうだったんだ。俺も君とは初対面だけど君のことを大切に思えそうかな」と言ってくれて、俺はその言葉を聞いて心の底から安心していた。なぜならリゼルは今まで俺のことを殺そうとしてた奴だし。もしこの子がまだ敵だという可能性があるかもしれないと、俺は思っていたからだ。そして俺は。目の前にいる、リネスや、リゼルと会話をしていたら。俺達はリゼルを歓迎しようと思い。それからリネスに「お風呂に入るか?」と聞くと。リゼルと、俺のことをリネスが見つめてくる。俺はそのことに気づかずに、二人に風呂の準備ができたと伝えていく。すると、俺はなぜかリネと、リゼ、そして俺の三人だけになると。なぜか俺の事をじーっと見ている。俺はその様子に耐えられなくなってしまい。どうしたんだろうと俺は思って、リネとリゼルのことを見ていたのだ。
そして俺が視線に気がつくと。リネスと、リゼルの二人がお互いに、目を合わせて何かを話し始める。リネスはリゼルが話したいことがあると言ってきたので、その話を真剣に聞いてあげたいと思い、二人のことをそっとしておいたのである。リネスも自分の体を使って、魔王の体を操ることが出来るようになっていたのである。すると俺の中に宿っていたリゼルの人格が再び眠りについてしまうと。俺は意識を失いかけるが。なんとか耐えることにできた。そして、目の前にいた、リネはリゼルの話を聞くためなのか、自分の体を乗っ取った俺の事を放置して、その場から立ち去ってしまったのだ。俺はリゼルに何が起きたのかを確認すると。リゼルは自分の体に、魔王の体の一部が混ざったことによって。今の自分が持っている力の限界を超えて扱うことができるようになるということを説明してくれた。だから、今の状態であれば、自分の体と一体化しているリゼルに。リゼルの魂の一部が入っている、魔王の体の力を使うことも出来るのだ。リゼがリゼルの話を一通り聞き終わると、リゼルは俺達に「じゃあね」と言って。
この世界から姿を消してしまうのであった。
リゼルがいなくなると同時に俺の目の前にはリネスの姿があり。どうしたんだろうと思って「おい、どうしたんだ」と話しかけるが返事がない。どうやら俺の声が届いてないみたいだなと思った時に俺は気づいたのだ。俺と、目の前に居る、この世界のリネスとの繋がりは完全に途絶えているのだということを、だが俺は目の前のいる、リネスが本当のリネスではないことをすぐに気づくことが出来たんだ。だって見た目は同じでも違うからなんだ、この世界のリネスと。だが、なぜか、この世界のリネスからは。この世界のリネスから感じることが出来ない温もりを感じることができたのだ。だが、やはり目の前にいるリゼも俺にとっては別人にしか見えないのだがな。
そしてしばらくすると目の前にリネスが現れ。心配そうな表情をしながら、大丈夫だった? とか言ってくるが、俺には何も問題はないから大丈夫だったと言う。するとリネスは「なら良かったわ」と言い、俺はリゼルはもう帰ってしまったことを伝えると。リネスは悲しそうに下を向いてしまったのだ。
俺は、リネスの気持ちが落ち着くまでリネスの側に寄り添いながら時間を過ごすことにしたのである。そしてしばらくして、落ち着きを取り戻したのを見計らい。俺はリネスと手を繋いでリネスの住んでいる家に向かうと、そこには、村長とリネルの姿が見えた。そして村長は「よく戻ってきたな。本当に無事でよかったよ」と言って、涙を流し始めたのであった。
俺とリネスは村長に抱きつかれて泣き崩れる村長の姿を見て俺は胸を痛めた。
するとリネスは「お母さんは私が帰ってきたことが嬉しいんですよ」と、笑顔で言ったのだが。
それを聞いた村長は、涙を手で拭うと、今度は嬉しそうに笑みを浮かべていたのである。
そして俺とリネスと、リネルの3人で。これからのことや、俺とリネスの関係について、俺達以外の村人の人達にはどのように説明するかということを、話し合いを始めるのであった。
するとそこにサーリャとクロネコが現れたのである。二人は俺に駆け寄ってきて、サーリャに関しては、いきなり抱きしめられたりなんかしてしまったのだ。するとそれをみた、リネスとリネルは俺に対して嫉妬の眼差しを向けるのである。
「なんだよ! そんな目つきをするなら抱きつくなよ」と俺は言うと。サーリャは「あら、私はルクスの事を大好きになってしまったのよ。これは、しょうがないことよね?」と言うのであった。
俺はそれを聞いて呆れたが。それでも俺のことが好きだという人が増えることは悪い事ではないと思うのであった。するとリネスが俺のことを見て、「ルクス君の事が大好きって言ってるのって。この村のみんなに伝わってるの?」と聞いてくるのである。俺は「多分。まだ広まってはいないはずだぞ。サーリャは、俺に抱きついてきて、俺がサーリャに抱きしめられているところをクローネ達が目撃して。俺の事を好きになったんじゃないかってことで。その情報が広がっているんだろう」と俺は言ったのだ。
するとリネスとリネスの母である。リネルがサーリャに向かって「あなたは私の妹になるわけだけど。それでいいのよね」とリネルが言うと。
リネスが「ちょっと、待って! 私の方が年上なのに。どうして妹扱いするのよ」と言ったのだ。すると、リネルは、「何を言っているの。リネスと、この人は恋人同士なのよ」とリネスに伝えるのである。そしてリネスがリネルの話を否定できずにいると。リネルが「やっぱり。この人はあなたの彼氏さんなのね」と言うのである。
そしてリネスと、俺のことを見ていたリネとクロニャが俺とサーリャを交互に見て「この三人ってもしかして三角関係!?」と言ってきて、サーリャに助けを求めようとするがサーリャはまだ俺から離れないでいて、助けてくれないどころか俺をもっと強く抱きしめてきたのであった。
リネと、クロニャは俺とサーリャの様子を見ていることしかできなかったので、リネスが「なんで二人共邪魔してくるのよ」と言って、それからしばらくの間俺の腕にしがみついて離れようとしないサーリャと。それにしがみつかれている俺を見ていたのだ。それからしばらく経つと、リネと、クロニャが俺達のことを羨ましそうに見てくるのである。
そして俺はリネ達に「この事は秘密だから誰にも言うなよ」と伝えると。リネスはリネルの方を見るが、リネルは首を振って「駄目」だと一言だけ口にしたのであった。そしてその日の夜は。リネスの家に泊まることになり。俺はリネスに俺のベッドを貸してあげるとリネスが俺の寝床に入ろうとしたので、それは流石にまずいと思い俺は慌てて止めようとしたが、結局押し切られてしまい。リネスと俺は一緒の布団で一夜を過ごすことになる。
そして次の日の朝、俺達は、村長の家で朝ごはんを食べてから、村長と一緒に村の外にあるダンジョンへと向かい。そして俺はこの世界のダンジョンに潜ることにしたのだ。この世界に来るときに使った魔法を使い俺は異世界に移動すると。目の前に広がる光景をみて、目の前にいるのが、本物のリネルではなく偽物だということを一瞬にして理解したのだ。なぜならリネと、クロネが「おかえり」と出迎えてくれたので俺はただいまと言って。俺に抱きついてくる、リネと、クロネを受け止める。
俺の体に密着して離さない二人を俺は無理矢理引き離し、二人と話を始めようとした。なぜなら目の前に、本物だと思われるリネルの姿が確認出来たからである。俺はリネスと、リネスの母はリネルと話をするために、俺の家から、村長の家に向かうのであった。そして俺達の話をリネスのお母さんとリネルは聞いてくれていたのである。
それからリネスの話をリネルに聞いたのだ。この世界に、魔王が封印されているということや、その魔王の力を手に入れてしまったリネスの体の中に入っているのがこのリネスであることなどを俺の目の前に座って話をしていたのだ。だが途中で魔王が動き出すかもしれないと聞いてしまい。急いでこの世界を救わなければならないと思い。俺達は、この村を出て行くことを決めてリネスやリネルとはお別れすることになったのだ。リネとクロネにもそのことを伝えたが二匹も着いて行くと言ってきてくれて、俺は心の中で「お前らありがとう」とお礼を言うのであった。
だが俺には一つ心配なことがあった。だから俺には「なあ。俺が留守の間この村の事頼んでも良いか?」とお願いするとリネと、クロネコが、自信ありげに「大丈夫」と、答えた。
なので俺は、この世界の俺がいるであろう場所に向かって転移したのである。
俺が目を覚ますとそこは、元の世界の自宅だった。そしてこの世界では一ヶ月ぐらいの月日が流れているみたいで、どうやら俺は向こうの世界での一ヶ月にこっちでの二ヶ月の時間のズレがあるみたいで。
それからしばらくしてから俺に、俺の母親から、俺がいない間の学校生活は楽しかったかと、俺が聞かれると、俺は、俺に彼女がいることがわかってしまい。そしてその子は隣のクラスにいる、サーシャという名前の子で。俺とサーリャは付き合うことになったことを伝えたのだが。母ちゃんはなぜか悲しそうな顔をしていたのである。なぜだろうと疑問に思ったので理由を聞くと俺には兄がいたのだが。そいつのせいで家族に被害が出ることを恐れ。
それから俺の家族には、このことは言わないで欲しいということを俺に伝えたのであった。そして最後に、俺に彼女ができたのであればもうすぐクリスマスだから。彼女とデートでもしたらいいじゃないかと言われたのであった。だが俺にはそれが出来ない。なぜなら俺には今年、彼女を作ることが出来なかったのだ。俺と彼女は別々の高校に進学することになっていて。来年の受験までお互いの時間は限られているのである。そんなことを考えながら、自分の部屋に入ろうとドアノブに手をかけた時に、俺はあることに気づいたのである。俺の世界とこの世界で時間が違うということは、つまりは。元の世界に戻って来るときにはこちらでの一秒は俺にとっての一日に換算され、その逆にこちらの世界に行く際には一日は元の世界での時間と同じということがわかった。その事に俺は少し興奮して俺は部屋に籠った後でスマホで動画を見たりして過ごしていた。
すると夜ご飯ができたと呼ばれて、下に降りていったのだ。そして久しぶりに食べた料理に俺は懐かしさを感じて。食べている間、ずっと泣きそうになったが。なんとか堪えて食事を終えることができたのである。そして俺は明日からの学校のことやサーリャのことが気になって、すぐに風呂に入って寝てしまうことにしたのだ。そして俺は布団に入ると眠りにつくことにしたのである。
それから次の日、学校に着くなり俺は、真っ先にサーリャの元に向かった。サーリャには、昨日から会っていないしメールなどの連絡もなかったからだ。そして俺は、サーリャに会いに行ってサーリャのことを見つけるとその肩を掴み「サーリャ!無事か!?」とサーリャに聞くと。「なっ何のこと?」と言うと、サーヤはすぐに、「なーんだ。私のことを心配してくれてるのかと思ったけど。やっぱり私のことはそんなに気にならなかったってわけね」と言ってサーリャは教室を出て行ってしまったのである。俺は、サーリャの事が好きだと言ったはずだがと疑問を抱くが。
俺はサーリャの後を追いかけていくと。俺の前にクロネコが現れて。「ごめんなさいね。あの子は私達よりも強い魔力を持っているんだけど。それ故に。自分より弱い人としか関わろうとしてなかったのよ。でも、ルクスは、サーリャが求めてる強さを持っていたから。ついついサーリャがあんな行動を取ってしまったの。それにサーリャはルクスのことが大好きなのよ。それにサーリャはルクスと会うのは初めてだけど。実はあなたに一目ぼれしてるみたいなのよ」と言ってくれたのである。
そしてクロネが、「そうよ。サーリャって言うんだってね。サーリャは私がルクス君と一緒にいた時にあったことがある子だよ」と言ってくれるのであった。
するとサーリャが、サーナと一緒に俺の目の前に現れたのだ。そしてサーリャはいきなり「ルクス!私と友達になって!」と言ってきたのである。俺は突然の事で驚いたが「もちろん」と、言うとサーリャは俺のことを抱きしめてきたのであった。
それからしばらくするとサーナは、俺から離れるように言うと俺とサーリャの頭を撫でてくるのであった。
そして俺はサーシャに、会いに行くために廊下に出ると。サーシャがそこにいて、「やっと会えたね。私はあなたの幼馴染のサーリャ。それとこっちにいるのがクロネでこっちがクロニャ。そしてサーリャは私の親友なんだよ」と教えてくれる。俺は「これからよろしく」と言って。握手を求めようと手を差し出したら。サーリャは俺の手を握ることはなく。俺に抱きついてくるのであった。
俺はサーリャが、なぜ俺に対してこのような行動を取るのかわからなかったが、俺はサーリャのことを受け止めたのだ。すると、俺の後ろにいた、サーニャとクロネがサーリャの事を叱るように注意してくれたのだ。サーリャは俺から離れてくれて。俺のことをサーリャと一緒に見つめてきて。それからしばらくしてからサーリャのほうから「またあとでお話しようね」と言われ。サーニャとクロニャが、サーリャのことを俺の教室に連れて行ってくれたのだ。
それからしばらくすると授業が始まり。そして俺は黒板に書かれている問題を必死に書き写すのであった。だがこの世界の俺は勉強が出来なくて俺はこの世界に飛ばされた時に、俺の代わりに高校に入学してくれていたらしいのだが。俺は俺の変わりに俺の分までしっかりやって欲しいと思ってしまう。それからしばらくすると、先生が休みを言って来たのだ。なので俺達も帰ることにするが、サーシャだけが残り、俺も残った。だがそこで、俺は俺に呼び出されたので俺が教室に向かうと。そこにはなぜか俺の母さんが待っていて俺の事を待っていたのだ。
俺が母さんの目の前に立つと、「あんたがこっちに来て一ヶ月が経ったね。どうだい?学校は楽しいかい?」と聞いてきてくれたのである。
俺の母は俺の事をいつも大切にしてくれるのだ。そして俺の帰りたい理由を聞いてくれる人でもあるのである。
「うん」
俺がそう答えると母は俺をぎゅっと抱き寄せてくれた。そしてしばらくして、母は俺を帰してくれたのであった。それから俺は家に帰ってから、今日会った俺の母親の話をする。そしてこの異世界での生活について話すと。母は喜んでくれた。
それから俺は母から、向こうの世界と俺の世界の時間のズレがわかるか調べたらどうかと言われた。俺はそのことにすぐに賛成して。俺は母に言われたとおり。異世界に行く準備を始めたのである。
それから俺は母と会話をしながら向こうに行くための準備を進めて行くのだった。まず最初に、異世界に行くために必要な魔法がどんなものなのかを調べる必要があると、俺と俺の両親は考えたので俺は、母や父に頼み、図書館に行き。いろいろな本を調べ始めたのである。そして俺はこの世界の文字を書くことが出来るようになりたいと願うとこの世界に来る前に使っていた文字が書けるようになったのであった。だがそれだけでは不十分だったので。この世界で読める文字を覚えようと思ったのだ。そして俺はこの世界の言葉が読めるようになって、この世界での俺の名前はルシウスということが理解できて俺はホッとしたのであった。だが俺はまだ知らないことが沢山あると思うと早くこの世界で生活したいと思っていた。
俺は母からいろいろとこの世界についてのことを教えてもらう。そして俺は母にこの家を出て行き。一人で暮らしてみることを決めたのだ。
「どうして一人になりたいの?」と聞かれると。俺はこの世界で生き抜くには力がいるし。それに俺はこの世界の俺の事が知りたかった。なので俺はこの世界で、俺の力になるものを召喚しようと思うので、その準備を始めることにした。それはこの世界の武器である。なのでこの世界では魔導書と言われる物を探すことにしてみたのであった。それからこの世界にあるダンジョンと呼ばれる場所でレベルを上げる必要もあり。そのための防具も必要となるだろう。
それから数日後に、俺は異世界に旅立つ日が来るのであった。そして俺は家族や、サーリャや、サーシャ、サーニャ、リネスなどを集めて、異世界に出発するための準備をして。みんなが見送る中。俺は異世界に向かって行く。そして俺は転移の魔法を使い異世界に向かっていくのだった。
そして俺は転移を終えると、そこには大きな木があったのである。その光景を見た瞬間に、なぜか俺は「俺の好きな漫画のワンシーンに似てるな」と思ったのだ。だが周りには俺以外の人間の姿はないのである。だが俺が辺りを見回していると俺の足元には魔法陣があり、そこから光の粒子のようなものが出て来ているのが見えたので。俺はそこを見ていると光がどんどんと大きくなっていくので、俺はその場から離れようとした時にはすでに遅かったのである。なぜなら俺は光に吸い込まれていき。どこか分からないところに俺は飛ばされてしまったのであった。そしてしばらくしてから俺は目を開けると、俺の目には、俺の世界にいたときと変わらない風景が広がっており、俺がいた場所は山の中であり、俺が飛ばされた先は森の中だと言う事がわかったので。俺は少し休憩するために近くの木の根元に座っていた。すると俺に声が聞こえると、「貴様、誰じゃ。ここに来たと言うことは、ただならぬものを持っているようだが、まぁ良いわ。わしの名はバアルと言う者じゃ。お前はここで何をしていたのじゃ」と言ってきたのだ。俺はその言葉にすぐに答えようとはせずに、自分の持っている武器を見てみると俺はすぐに自分が使えるのか? 確かめて見る。するとやはり使えそうにはないが、なぜか使う方法だけは頭に浮かんできたのである。
するとバアルは俺のことを無視して俺の近くに来て。「お前には資格がないと言う事だな。まあ、よい。ならワシを倒してみよ。もしお前がワシに勝てればここから出してやるし、この世界で生きるための最低限のものは渡そう」と言う。
俺は、バアルの言葉に俺は戸惑った。なぜいきなり戦うのかがわからないからだ。だが俺は今はこのバアルと戦う以外に道はないだろうと考えて。バアルのことを殴りつけると俺の拳は空振りしてしまうが、その代わりに、俺がさっきいた場所の木が、俺が殴った部分だけ吹き飛んだのである。
そして俺が、なぜ、攻撃が当たらなかったんだと思っていると。俺は体が勝手に動き始めて。「なぜ、俺がここに来たかも知らずに攻撃を仕掛けてきたことを後悔するがいい!」と俺は叫ぶのであった。それから俺とバエルの戦いが始まったのである。俺は、なぜバエルは俺が攻撃をする前から回避行動を取っているのかわからなかったが、そんな事は関係なかった。俺は、今俺に出来るすべての力を試したかったからである。俺はそれから数時間の間、ひたすらに俺が知っている格闘技や剣術などを駆使してバベルを攻撃し続けたが、すべてかわされてしまう。
そして、しばらくすると俺が疲れ始めたときに、俺の意識は途切れてしまうのであった。
そして目が覚めると、そこには一人の少女がいて俺に微笑んでくれていた。そして俺に「ようやく目覚めましたね。あなたはあの化け物を倒すほどの実力を持っていたというわけですか」と、言ってくるが。この子が何を言っているのか全く分からず、俺が戸惑っていると、「私はクロノスと言います。あなたを私のいる世界に招待します」と言われて、クロノスと名乗る子は手をかざすとその子の手に光が収束していき、俺のことを手を握ってきた。それからクロネは俺の手を引き、どこかへと連れていく。そして俺は、俺の世界とは全く違う景色が見える場所に連れて行かれたのだ。それからクロノスと名乗った少女は俺のことを離してくれてから、クロネのことについて紹介をしてくれる。クロネも俺のことをクロネが面倒を見てくれていたのでクロネにとても感謝していたみたいだ。
そして俺はクロネに連れられてクロネの家に行くことになったのである。
そしてクロネの家には、クロネのお母さんもいて、俺と俺のお母さんは仲良くなることが出来たのだ。俺の両親と、クロネの両親は仲が良く。お互いに俺達が、異世界からやって来たことや俺達の住んでいたところは地球だということを話してくれた。俺はその話を聞いて俺は心の底から安堵したのである。だが俺はクロネとクロネの両親が異世界のことを話すと俺はこの世界の人達とは違う言語を話すことが出来るようになっていると知ってクロネが「すごいねルウくん。いつの間にそんな能力を手に入れていたの?」と言われるが俺はなぜか覚えていたことなのでわからないと答えたのだ。
それから俺はしばらくこの世界で生活をすることになったのだが。クロネの両親はこの世界にある迷宮を攻略をした人たちが使っていた家に住んでいたらしく。そこで暮らすことにしたのである。
それからしばらく経つと俺はこの世界の言葉も覚え始め。俺はこの世界で冒険者として生活を始めることにしたのであった。そして俺はレベルを上げるために、モンスターを討伐し始めたのである。俺はまず、レベルを上げるために必要なものはお金だと知ったので。まずは俺達はこの世界を旅することにして。俺がレベルを上げるためにはどうすればいいのか考えていると。俺は、あることに気がついたのである。それは俺のこの異世界でのステータス画面にはレベル表示がないのである。俺のレベルはこの世界で言えばおそらく一番高いはずなのだが、それでもなぜか俺は強くなっていないと思えるのだ。そしてこの世界にはどういったスキルや魔法があるのかを確認するために図書館に向かうことにする。
俺はこの世界で文字が読めるようにしないといけないと思ったがこの世界には紙がほとんど存在していなかったので。文字を覚えようとしてもなかなか難しいので。この世界の人と話して文字を覚えればいいかと思ったのでこの世界の人を探すことにしたのである。だがこの世界の人の見た目も知らない俺にこの世界では文字を覚えようと思ってもすぐに挫折してしまったのである。そして俺の両親は仕事で忙しい人なので一人で行動することにした。
俺はこの世界では珍しいと思われる黒髪に黒い瞳をしている。この世界では俺みたいな人間は少ないのだ。だからこの世界では目立ちそうなものなので俺は、俺の着ていた洋服を脱いでこの世界で目立たない服装をしてから、俺はこの世界を旅してこの世界にある魔法やこの世界の文字や言葉を知ろうと思ったのである。そして俺はこの世界の魔法について興味があったのでまず魔法を覚えることから始めることにしたのであった。だがこの世界には魔導書と言うものが売ってなかったので俺は自分で魔法を作ることから始めようとしたのである。俺はこの世界で魔導書がないなら作ればいいだろと考え、この世界にいる間は時間があれば、俺はこの世界の魔導書を作るのであった。
俺には母が教えてくれている武術の才能と父から受け継いでいる武器の扱いの技術があるのでそれを応用しようと考えて俺専用の武器として俺だけが使える武器を作ろうと思い。俺はこの世界の人に見つからないような場所で、この世界の武器を作り出したのであった。俺は俺が作った武器を見て、俺にはこれぐらいしか作れる物がないし。これは剣なので、俺はこの世界の人が持っていてもおかしくない短剣を作り出す事に決めたのである。それからしばらくして俺はこの世界に来て三か月ほどが経った頃。俺はこの世界の文字もだいぶ分かるようになってきており、もう普通に本も読むことが出来るようになっていたのだ。そして、今日、この世界で初めて俺は、レベルを上げようと考えていたのである。それは俺は自分のレベルを上げたいとずっと思っていたが俺はまだレベルを上げる方法を見つけられていなかったのだ。
それで俺はまず、自分の力を把握しておいた方がいいと思ったので、俺はこの世界の人と戦ってみたのだ。だが俺は負けてしまったのだった。俺がレベル差がありすぎると感じた相手に俺は攻撃を当てることが出来ずに負けてしまい。そのせいで相手の方は無傷なのに対し俺は怪我だらけの状態になっているという状態だったのである。それだけではなくて、相手にはかすり傷さえ与えることができなかった。その事から俺は俺の攻撃が当たっていないことに気がついて。そこから推測するに、今のレベルでも俺の持っている力が相手を上回っているということではないことがわかってしまった。それと俺はもう一つ気がかりなことがあって俺が今まで戦っていた人は皆同じような装備を身に付けていて同じ格好をしていたのが気になったのだ。それにこの国の人間は皆同じような服を着ているのだ。
それで、俺は一度、両親と合流して情報を共有したいと思うようになったのだ。
そう思った時に俺はクロネに会いに行きたかったのだけど。この国には学校というものが存在しているのだ。しかもそこに入学する条件というのが試験を突破しなければならないのだと言うのだ。ちなみにその学校は入学金とかは一切必要なくて無料で入れるみたいであるけど入学試験を受けて入るまでにかなり勉強する必要があるようで俺にとってはハードルが高いと思っていた。でも他に学校の情報をくれる場所なんてどこにもなかったからとりあえずそこに行くしかないよなと俺は思って、その場所にクロネがいるかもしれないと期待しながら俺はそこに向かうことを決めたのである。
そして俺は、クロネに合うために。クロネが通っている学校にたどり着いた。俺が校門を通るとそこにはクロネがいてくれて、俺は安心するとすぐに、俺は、俺のことを待っているクロネの元に向かい。そしてクロネのそばに行って。クロネに挨拶をするのであった。するとクロネは、笑顔で俺のことを出迎えてくれたのであった。俺はクロネの笑顔を見れただけで、とても嬉しい気分になっていたのである。それから俺はクロネと一緒にクロネの家に案内してもらうことになったのである。
それからクロネに俺のことをいろいろと説明してもらってから俺はこれからクロネの家に住むことになってしまって、俺は、いきなりクロネと住むことになったが、俺は全然嫌ではなかった。むしろ嬉しかった。なぜならクロネの家は本当に居心地がよく。俺は毎日、クロネの作ったご飯を食べさせて貰えて幸せな気持ちになれるのであった。
そしてクロネが家に引っ越してきてから数日後のこと。クロネがこの世界にある学校での話をしてくれたのである。
この世界には魔法学園と呼ばれる魔法を使うことができる人を育成するために作られた魔法専門の学校が存在するみたいだ。この世界では貴族はみんな魔法使いになることができ、そして平民にも、素質を持っている人は存在するが魔法の使い手になるのは難しいのだと言うことだ。そしてクロネが魔法学校に入学した理由を聞くと俺は納得した。クロネは昔から体が弱かったみたいで。そんな弱い体を変えたいという願望を持っていて、そしてその夢に向かって、努力をして、そして魔法学校に入ることが出来たみたいである。俺はそのことを聞いて、俺と同じだと思った。俺も体が弱く運動もあまり得意じゃなく親に迷惑をかけてばかりで、自分が情けなくて仕方なかったのだ。だから俺は俺よりももっと頑張っている子もいるのだと知って、俺ももっともっと強くなってやると心に決めて。それから俺はさらに強くなることを決意したのである。
俺とクロネは二人で街に出かけて、クロネの魔法がどんな魔法が使って見たいなと言ってみたところ。「私は魔法が使えるわけじゃないんだよね」と返されたので、俺は、え? どういう意味なんだろうと疑問に思いクロネに聞いたら、この世界では生まれつき魔力を体に宿していても、それが使えるかどうかはその本人の努力次第で、クロネは使えたことがなかったらしい。
クロネの話を聞いて俺は、少し落ち込んでしまった。俺だって魔法を使ってみたいと思っていたのに。俺はクロネに、「俺が教えてあげるよ」と言ったが、「大丈夫だよ。私も頑張るね!」と返されてしまったので俺がクロネに魔法を教えるのを諦めようとしたその時。俺の中にふとあることを思い出したのである。
そして俺はその瞬間に閃いたのだ。俺はその方法を試してみようとクロネに伝えると、俺はすぐに実践することにした。そして俺達がいたところから一番近いモンスターが出ると言われている森の中に入って行ったのである。そして、俺はクロナを背中に乗せて、モンスターと戦い始めたのである。
それからモンスターを倒すと俺のレベルが上がり経験値を獲得していく。俺は俺の中で俺がモンスターを狩ることで経験値を獲得していく光景を見ることができるので俺は効率よく、俺の中のレベルを上げていくことができるようになったのである。
俺はそれから一か八かで賭けをすることにして、まず俺のレベルを上げる方法だが、この世界の魔法が俺の中にある魔法のイメージを変換させるものだとしたら、この世界には存在しないはずの俺のオリジナル魔法を使うことが出来れば俺のレベルが上がるんじゃないかと考えたのである。そこで、この世界の人には使えないオリジナル魔法を作り出そうとして。俺はイメージを固めていく。
俺はこの世界にある武器と防具をイメージしてから、それらを創造するために武器の使い方などを思いだし、そしてそれを、魔法に変換することにしたのである。だがここで俺は大きなミスを犯したのである。それは武器や、鎧は作れたが、魔法を作ることはできなかったのだ。そこで俺は、もう一度武器や、魔法を作り出すことに成功したのだが。今度はこの世界の人たちが使うような威力ではなく、ただ武器と、盾が作れるだけの魔法が作れてしまうという結果に終わったのであった。それでもこの世界には存在していない魔法を作ったということで、俺は満足することができた。それに武器と、魔法を組み合わせることもできたしな。
そしてこの世界での俺の目的の一つは終わったので。次はクロネのステータスを上げるための修行を始めたのである。だがここで俺の誤算が起こってしまうのである。クロナは魔法を覚えることができず。代わりに覚えたのは身体能力強化だけだった。だが俺はそれでも問題はないと思ってクロネの身体を強化してから、また俺がレベル上げを始めることにしたのである。だがやはりと言うべきか、俺がいくら、レベルの低い敵を倒して経験を得ても全くレベルは上がらなかった。だけど俺はこの世界で自分の力を強化するために。自分よりも弱い敵を倒さなければならないと理解したのであった。
それで俺は、この世界でも魔物を倒しまくることにしたのであった。
俺がレベルを上げながら旅を続けて、俺とクロナは二か月ほどが経った頃に俺達が住むこの国は平和だと言うことがわかった。俺が旅に出る前では考えられないことだったのである。それというのもこの国が平和な理由の一つにこの国に勇者が現れたことが挙げられていて、俺もこの国について詳しくないから、どの勇者がこの国の魔王を封印しているのか知らないけど、とにかく俺がこの世界を救いに来たときには既に、魔王が復活していながらも、この国は他の国と戦争をしなくて済む程度には、平和だったのである。
それから俺とクロネはこの国で三か月の間、滞在することになった。この国で俺とクロネに何が起こったのかという説明は後にするとして。俺はこの国での俺の目的は果たしたから、この国から出ることに決めたのである。それから俺達はクロネの両親が住んでいる家に向かい、この家の人にお世話になったことを伝えたのである。俺がこの人達に恩返しがしたいという気持ちを伝えてみると、二人は俺の気持ちを汲んでくれて、クロネの家に俺が住み続けることを許してくれたのである。俺は、クロネの家族と一緒に暮らしたいと思っていたので、本当によかったと思っている。それで俺はこれからクロネが学校に通うことになるまでの間は、クロネの両親の元で働くことに決まったのだ。
それで俺はクロエと一緒に料理の練習をしたり、掃除したり、洗濯をしたり。それから畑でクロエが育てた野菜を使った食事を作ってクロネが食べやすいように調理してあげていた。俺は家事は苦手だったがなんとかやれるようになっていって、俺は毎日充実感を得ることができていて。そして、俺も学校を卒業するまでの間は学校に通おうと思うことにしていた。この世界に来る前は学生だったので。俺の年齢だとちょうど入学するタイミングだと思ったからだ。
それでクロネと俺はクロネが学校に行っている間だけ一緒にいることになった。そういえばこの国の学校にクロネが通っている理由はこの国の王様がクロネのお祖父さんの友人だったらしくて。それで入学できたと言っていたけど、その理由を聞くまでもなく嘘だということが分かった。俺がこの国にいたときはクロネの両親は普通に接してくれていたが。この国ではクロネの両親に対して皆、畏怖の感情を抱いているようで、クロネは腫物のように扱われているようだったのだ。
それに、クロネがこの国では虐げられているという話を聞いた。俺はクロネが学校に通い始めるまでにどうにかしてクロネの力になれたらと思ったが、どうすればいいのだろうかと考えながら。とりあえずクロネにご飯を食べることを優先してもらうことにした。それから俺はクロネに学校に行き始めても、無理だけはしないでほしいと伝えた。するとクロネは少し元気になった感じはしたが俺の気遣いは無駄に終わってしまった。クロネは学校で友達ができずに一人でいることが多かったらしいが。俺とクロネは二人でいることが楽しかったから。二人でいたのに。そしてクロネは学校にいても家でもほとんど変わらない生活を過ごしていったのであった。それから、クロネは学校に入学しても、クロネが通う学校は魔法学園と呼ばれる場所なので。当然のことだが、魔法しか教えておらず。武術については一切触れていなかったので。魔法が使えないクロネにとっては苦痛でしかない環境でしかなくて、そしてそんな状況でも。俺はクロネが魔法学校に入学できて良かったとも思っていたのであった。なぜならクロネが通う学園は、この世界で唯一の、魔法と武術の二つを合わせた、二つの戦闘方法を扱うことに特化した生徒の学園だからだ。俺はその事実を知ってクロネにはその道の才能があるのではないかと思って嬉しく思えたのだった。そして俺はクロネの学校生活を少しは楽しくしてあげたくて、少しでも気がまぎれたらなと思い。俺と、もう一人の俺とリネスは魔法で空を飛べるようになったから。俺ともう一人の俺とリネスとで空に繰り出したのだ。俺とリネスとリネスは空に飛び出しても、自由に飛んでいけたので俺達は自由自在に空を飛ぶことができて、とても楽しんでいた。だけど俺はリネスに、あんまり無茶はしないようにと言っておいたのである。そしてそれから俺は俺ともう一人の俺とでレベル上げのために森に行くことにすると、クロネが、「わたしも行きたい!」と言って来たから、仕方がないと思い、俺は、クロナを肩車してから森の中に入って行った。そしてモンスターを見つける度に俺とリネスともう一人の俺は、どんどん強くなっていった。ちなみに俺はもう自分の限界がわからないぐらいに強くなっていた。
俺のステータスがこうなっているんだ。
----------《ユウト》 レベル 224(215/300)
ランク
SSS 状態:良好 HP 99999/99999 MP 68000000 攻撃力 1099999+5000(2000/500)
防御力 1009899+129716+1000 素早さ 1169801+510600(1800/1200)
魔力 8777203運 9 耐性 火 闇 特殊スキル 全魔法習得者 多重思考 剣術使いの才 レベルが上がったことで新しく取得した能力もあったのでそれも紹介しておくね。
まず一つ目が、剣豪の才。これは簡単に説明すると刀を使う時や魔法を放つときに補正がかかるというもので、魔法も斬撃のような攻撃が出来るようになった。
それで次の二つ目は、魔法使いの才、これは魔法を使用する際に補正がかかって、さらにレベルが上がれば新しい魔法の習得ができるというものだった。
それで最後に三つ目だが、魔法戦士の才、これも魔法使いと、同じように魔法を使用時に、魔法を強化することができ。さらに、剣技を使えたり、接近戦が行えるようになったりするものだ。それと俺が覚えた魔法を別の人が使おうとしたときも。魔法に威力増加などの補正が加わるようになった。それから俺は自分のステータスを見終えると俺はステータスを閉じる。そして俺は、クロネがモンスターと戦いたいと行っていたのを思い出し、モンスターを探そうとしたその時。クロナが俺のことをじっと見つめてきて。
「私も戦いたい!」とクロナが言ったから俺は、「わかったよ」と返事をしてクロナの身体に魔法をかけ始めた。するとクロナは急に俺に抱き着いてきたのである。クロナは魔法をかけるとすぐに眠ってしまうのだ。それで俺はクロネを抱きかかえて家に帰った。それから俺はクロネとクロネの家で夕食を作ることにした。それから俺とクロネは、クロネが俺の作った料理を食べたいという事もあって俺とクロネが作ったご飯を食べたのであった。クロネはとてもおいしいと笑顔を浮かべていて、そんなクロネの顔を見て俺はほっとした。俺も久しぶりに料理を作って疲れたが、喜んでもらえてよかった。
クロネが魔法学校に通い始めてから約半年が経ったある日。クロネはいつものように授業を受けていたのだが。この日から俺は、俺と、リリス、クロエ、それからリネルの4人で冒険をすることになってしまったのである。なぜかと言うとこの日のクロネの授業は、先生が出張のため自習となったのだ。俺としてはクロネをこの学校に一人にしておきたくなかったから、ちょうど良いと思って。俺も、学校に残り、俺も自習をしていたのだ。だけどそこで事件が起きてしまうのである。
クロネが、俺達の会話に混ざりたいと言い出して、それで俺達も、それなら一緒に冒険しに行ってもいいかと思った俺は了承してしまったのである。俺とクロネはこの日以来。一緒に行動することが多くなった。それで俺達がクロネと出会って一年が経過していた頃。
俺と、クロネと、クロエ、クロネの両親とリニスの6人は俺と、クロネがこの世界で初めて出会った。あの草原に向かっていた。俺は初めて会ったときのクロネの姿を今でもはっきりと思い出せる。俺の知っているクロネとは違い大人びた姿になっていたから。クロネを初めて見た時は驚いたものである。そして、この国を出てからは、クロネに案内されてクロネと一緒に暮らしていた村に向かった。その村の場所はクロネが通っていた学校の校長先生に教えてもらっていて。クロネが通っていた学校は王都にあった。それで俺とクロネとクロネスは旅を始めたのだが、この世界に来て間もない頃にも俺が通ってきた道を通ったのである。それから俺とクロネとクロエとリネスの5人は俺が最初にクロネに会って助けてからずっと住んでいる家のある街に辿り着いた。それから俺と、クロエはこの街の人達に俺とクロネが住んでいる場所を教えてくれたお礼として食事を提供することになった。
それで俺とクロネが暮らしている家の前に到着すると。リネリスが、突然、扉の前に立ったのだ。俺がなんで立ち止まったのかと尋ねると、リネンは俺とクロネとクロネの母親の3人で作ったポーションを売っていた店のことを思い出すために、俺の家の中に入ろうとしたのだという。それで俺とクロネとクロネスが店に入ると、クロネのお母さんとクロネの父親は俺が以前この世界で過ごしていた時に使っていた。この世界のユウト用のアイテムボックスに入っていた物を俺が取り出したものを俺と、クロネのお母さんと、クロネの父親に渡すと、クロネのお父さんはすごく喜んでいた。その反応を見てクロネも嬉しそうにしていたのである。そうして俺がリネスの作った薬を売るために店の外に出ようとしたとき、クロネのお母さんが、また、俺のところにやってきて俺の手を両手で掴んで来たので、どうしたのだろうと思っていると、クロネのお母さんは泣き始めてしまったのだ。どうしようと思ったら、クロネのお父さんとクロネの二人と俺の三人で話をする事になったのである。
そして俺は俺がどうして泣いたのかを尋ねたら、クロネの母親は俺に俺が、クロネが、まだ小さかった頃の話を聞かせて欲しいと言ったのである。俺がクロネが小さい頃から魔法が使えるようになったきっかけについて聞くとクロネは、「私が覚えているのは、私のことを抱きしめてくれている、おじさんの手から優しい温もりを感じながら、気持ちよく眠っている記憶だけなんです」とクロネは答えたので、俺は、きっとそれは、クロネが魔法を使えるようになったのはクロネに優しくしてくれた人の優しさと愛情を、クロネの身体が無意識のうちに覚えていたからだと説明した。
俺は、クロネが俺と初めて出合ったときに言っていたことをクロネに言うと、クロネは恥ずかしそうな顔になって俺に抱きついてきたので俺はそんなクロネの頭を俺は撫でてやった。
それからしばらくしてクロネのお母さんは落ち着いてくれてクロネはクロネの母親と仲良くなったのだ。そうしているとクロネスの父親がやって来て俺達に話しかけて来た。クロネスの父親の話によるとクロネスは魔法学園に通うことになってもうすぐ戻ってくるらしいので。そしたら俺の家に泊まらせることになるとのことだったのだ。そして俺達はクロネスが戻ってきたら、すぐに店を開けられるように準備をした。
それからクロネスは、クロネスがこの世界に帰ってきた次の日にはクロネスを家に迎え入れることができた。クロネスは家に入るなりクロネをぎゅっと抱きしめたのである。それからクロネスはクロネが帰ってきてくれたことで泣いてしまい。俺はそれを見ないように後ろを向いていたのである。俺はクロネスが俺とクロネリの店を開いてくれたクロネスに俺は感謝を伝えようと思っていた。クロネにクロネスのことをよろしくとお願いをして、クロネも俺の願いをわかってくれたのであった。
そして俺が店の外でクロネが店の準備をしている間にリネスとクロエと俺の三人で話し合うことになったのである。それで俺はクロネには内緒で、あることを決めたのであった。
俺達は、この世界でクロネスが初めて会ったときに俺達がこの世界で暮らし始めて最初の方に、リネルが、モンスターのスタンピードに襲われた時、俺がこの世界に来る前に作っておいた。回復の草を俺達3人で集めてきてクロネが作るポーションの材料にしようと計画を立てたのだ。俺はこの回復の草がある森に向かうことにした。俺は回復の薬草を手に入れるため。この世界で初めて行ったことがある森の中に向かって行く。俺の転移でこの森の近くまで移動する。この世界のリネスの魔力を俺は感知できるが、この世界にいるもう一人のリネスの魔力も俺の近くにいることが分かっていたが、俺は、まずは俺が異世界に来たときに最初に訪れたことのあるこの場所に行く。俺が初めてこの世界に来てクロネと出会い、俺とクロネは、クロネスに初めて出会い。その後この世界にクロネルとリニスの4人でやって来たのだ。それから俺がこの世界にやって来る前に行ったことが何度もある場所なのでこの世界の俺もここに来ることができるだろうと予想して、俺はその場所に向かった。俺がこの場所に来たのは初めてクロネスとクロネの親子にであった場所である。
魔王のくせに生イキすぎだろっ!?〜「ざまぁ」から始まる異世界ライフ〜 あずま悠紀 @berute00
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