チャチャチャ
青いバック
第1話 チャチャ星人堕ちる。
第五百惑星地球。知的生命体が住んでいるとされている惑星。
私たちの惑星は資材の枯渇が酷く、このままいけば破滅の一途を辿るのは目に見えた結果だ。
その結果を回避すべく、私は次ぎなる母星を探すよう命令をチャチャ王子から仰せつかった。
ワープホールから抜け出すと、第五百惑星地球が顔を覗かせた。
青と白で塗装された第五百惑星地球は、私たちが住んでいるチャチャ星より美しく目を奪われた。
ここに来るまで、何個のも知的生命体が住んでいる惑星を見てきたが、これほどまで美しい惑星はなかった。
宇宙というのは、とても広い。私たちの住んでいた惑星から一歩出れば知らない世界が広がっている。
第五百惑星地球の周り浮かんでいる、この鉄の塊は防衛システムなのだろうか?これも調査の対象としよう。
「ただいまより着地する」
第五百惑星地球を調査すべく、私は離陸体制に入る。
離陸ポイントは日本と書かれた小さな島だ。ここは自然が豊かで船を隠すのに丁度よさそうだ。
「離陸完了。 今から第五百惑星地球の調査を始める」
船に搭載された録音用ボイスレコーダーに離陸したことを記憶する。
録音用ボイスレコーダーに記憶された音声は、チャチャ星にノータイムで送られる。私に万が一があったとしても、次の調査員がすぐに引き継げるようになっている。
船のハッチを開け、調査へと赴く。
「ここが第五百惑星地球……」
自分の背よりも何倍とも高い見たことも無い植物。空を自由に滑空する動物。茶色の地面。
茶色の地面を歩けば、パリッと何かを踏む音がする。この惑星は地面に音が鳴るような仕掛けをしているのだろうか。不思議なことをするな。
「ん〜、ここどこなん? 迷子になったやん」
記憶用デバイスを片手に持ちながら、調査を進めていると意味不明な言語を喋りながら、こちらへ向かってくるものの気配を察知する。
私はすぐにそれを地球の人と断定し、身を隠す。
「おーい、誰かおらん?」
息を殺し、姿勢を低くし見つからないようにする。この茶色の地面は、罠だったのか。他惑星から来た人を捕まえるために、音が鳴るよう仕掛けられていたことに気付く。
「流石におらんか、こんな山奥やしな。 しゃーない、どこかに行こうか」
地球の人が何処かへ行くことを目視する。もう大丈夫だと、気を弛めた瞬間。
「なーんてな! やっぱり誰かおるやろ!」
地球の人は振り向き、私は見つかった。
「って、本当におったー! え、何あれ! 見たことない、長い耳に金髪の髪? え、もしかしてエルフってやつ!?」
見つかってしまった私は死を覚悟する。他惑星へ行き、生き残った者などいなかった。ならば、私もここで死ぬのが当たり前の結末というわけだ。
他惑星言語翻訳機をオンにし、地球の人へ話しかける。これで、地球の人の言葉も分かる。だが、それも無意味だろう。私はどうせ死ぬのだから。
「……私をどうするつもりだ」
「え? どうもせんよ。 野蛮ですなあ」
「何もしないだと……?」
「当たり前やん、こんな耳長いエルフ見つけんやから、友達になるのが当たり前やろ」
地球の人は私と友達になると言い出した。何を言っているのだ、私を殺さず友達になるなど。
チャチャ星の教えと違うでは無いか。他惑星の人物は凶暴で傍若無人だと教えられた。もし見つかったら大人しく死ねと。そう教えられてきたのに。
仲間は皆帰ってこなかった。通信も途絶え、私達はは悲しんだ。
「何故、殺さないのだ?」
「えぇ、だって私捕まるし。 それに、面白そうだから殺さないよ」
「私の仲間はみんな帰って来なかったのだ。 だから、私も死ぬべきなのだ」
「こわ、歪んだ思想こわ。 でも、いいんじゃね? 生きてても」
「生きてて良い?」
「うん。 昔から日本には伝承があって、耳長星人、空から舞い降りる。っていう伝承が」
地球の人は見え透いた嘘をつくものなのだな。そんな巫山戯た伝承など有り得るものか。
でも、何故だろう。少し生きてしまいたいと思っている自分がいる。この地球に着陸して、私はおかしくなってしまったのかもしれない。
これも地球の人の仕業なのか。分からない。
「……分からない。 私がどうしたらいいのか」
「えー困ったやん。 なら、私と探すか」
「探す? 貴方と私が? 何を」
「さぁ? それは知らんけど、後々見つけようや」
「地球の人は適当なものだな」
「適当上等ー!」
なんなんだこの地球の人は。中身の無いことばかり言って私をはぐらかしている。……これは調査が必要だ。
「君のことをこれから調査させてもらう。 調査が終わったら、私はこの星を去る」
「あっ、それ大義名分ってやつでしょ」
こちら第五百惑星地球。私は今から地球の人の調査を開始する。次の通信はいつになるか分からない。またいつか会おう。
チャチャチャ 青いバック @aoibakku
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