許嫁、お借りします～ヤクザな俺の同棲彼女はＳ級美少女――だけど彼女には許嫁がいる～

第27話 なんて残念なお嬢さまなんだ……。

「自慢じゃないけどあまり何も入ってないわよ？　初日は自炊しようと思って食材を買ってみたんだけど、その日の夜には面倒になっちゃったから」

　な、なんて残念なお嬢さまなんだ……。

「ほんと自慢じゃないよな……。だめだ、飲み物とスイーツしか入っていない……。コンビニのデザートコーナーみたいな冷蔵庫だ……」

「ちなみに冷凍庫には、氷とアイスしか入ってないわよ」

「だから自慢するようなことじゃないからな」

「ふふふ……」

　笑って誤魔化す明日香。

　俺は冷蔵庫での食材探しに早々に見切りをつけたのだが――、

「ってなんだよ、ニンジンと玉ねぎとかいろいろあるじゃないか」

　しかしキッチンの片隅に、段ボールに入れられて雑に放置された根菜類を発見した。

　実は玉ねぎは正確には根菜じゃないらしいんだけど、まぁ似たような育ち方と保存の仕方ができるから、今は置いといてだ。

「ああそれね。ニンジンと玉ねぎってほんと使えないわよね。レタスならそのままチギって食べられるのに」

「何にでも使える便利野菜のニンジンと玉ねぎ様に失礼なこと言うんじゃありません。なぁ明日香、米ってあるか？」

「炊いてない生米なら」

「……だろうな」

「お米って洗ってから炊くのがほんと面倒よね、やんなっちゃう。それだったら最初からあったかいご飯を買った方が早いじゃない？」

「お米を研いで水を入れて、後は炊飯器にセットしてスイッチを押すだけだろ？　どこに面倒な要素があるんだよ？」

　煽りとかじゃなくて純粋に疑問なんだけど。

　お米を炊くなんて小学生でもできるぞ？

「全ての行程かな……。なんかもう毎日しないといけないと思うと、モチベーションが限りなく低下するの……」

「ああそう……」

　よくこんなんで一人暮らししようとか思ったな？

　いやまぁ金があるから、こんなんでもやろうと思えばできてしまうんだろうけど。

「それでそれで？　炊いてないお米をどうするわけ？」

「どうするって、とりあえず米と人参と玉ねぎであり合わせチャーハンを作るつもりだけど」

「えっ！？　もしかしてチャーハンを作れるの？　すごいじゃない！　リョータくんって、実は料理が得意なのね！」

「あのな、有り合わせチャーハンなんて料理なんて言わないの。こんなもんを料理なんて呼んだら、毎日バリエーション豊かなご飯を作ってくれる世のお母さま方に、逆に申し訳ないっての」

「またまた謙遜しちゃって～」

「謙遜とかしてないからな。俺はマジで簡単なのしかできないからな」

「そうなんだ？　例えば？」

「チャーハンの他にはカレーとかパスタとかうどんとか。それ以外だと、米だけ自分で用意して、後は冷凍とかすぐできるのとか出来合いのを食べてるし」

　でもま、自分のご飯を作るついでにもう１人分追加で作ったところで、たいした手間ではないだろう。

「なるほどね、その辺りは任せるわ。あ、もちろん食材費は私が出すから。ギブアンドテイクね。私はお金を出す係、リョータくんは料理を作って出す係」

「へいへい。でも慣れてきたら明日香も挑戦するんだぞ。庶民は自分のことは自分でやるのが当たり前なんだから。明日香は一応料理はできる設定なんだよな？」

「設定だなんて酷いわリョータくん……」

「ならカタログスペックって言った方が良かったか？」

「それは、もっと酷くない……？」

「そうか？」

　普段はできないけど、やろうと思えばできるならまさにカタログスペックだと思うけど。

　まぁ今はそれはいいよ。

　その後、興味津々な明日香に脇から観察されながら、あり合わせの食材でチャーハンを作った。

「すごく美味しいわ！　もう、やっぱりリョータくんは料理上手だったんじゃないの！」

　明日香に褒められて若干気分を良くし、明日香が買っていたモロゾフのバームクーヘンを食後のデザートとしていただいてから。

「リョータくんはこの部屋を使って」

　俺は大きな明日香の部屋に隣接する、少し小さな部屋の１つへと案内された。

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ストックがなくなったのでいったんここで終了です。

次回の更新をお楽しみに！