いきなり最終回 機動仏闘伝マッハラカーン『そして世界に生命が満ちる』
八重垣ケイシ
最終話 そして世界に生命が満ちる
それは世界を揺るがし、未来を不明にするための最終決戦。
「やめろ、お前達は何をしているのか――解っているのか?」
「ハ! 解っているし悟ってる! いつまでもてめぇの掌の上にいるとカン違いしてんじゃねぇ!」
創造顕在神ミロクを睨むシャッカンの念圧が高まり、無毛の頭が赤く耀く。巨大念動仏像『
「やるぜ! お前ら声を上げろ!!」
「「南無! 神も仏もクソ喰らえ!!」」
巨大念動仏像、
「ガッデム真言パァァァンチ!!」
本来ならば触れ得ぬ領域、六道の外から叩き込まれた
「おおお? 有り得ぬ、有り得ぬぅ!」
「人間ナメんな! 神様よ!」
殴られた顔を押さえてよろめくミロク。人の念相攻撃が史上初めて創造顕在神に届いた。
「何故、何故このようなことを?」
悲しげな声でミロクが問う。
「何故、お前たちは暴虐を止めぬ?」
「ミロク! お前が俺達人間を作ったんだろうが! 今更何を言ってやがる!」
「違う! 確かに私が生命を創った。だが生命とは、ただ殺し食らうものでは無いのだ! 殺すため死なせる為の生命では無い!」
「熱あるものはやがて冷め、形有るものはいつか壊れる! 熱力学法則ってんだ、覚えとけ!」
「違う! 違う! 愛は不変、想いは永遠、生命はそれを称えるもの、そのために人に知恵を授けたのだ!」
「だったらただの設計ミスだ! 際限無く暴走する煩悩を満たすために知恵を使うのが人なんだよ! 食欲と性欲を満たすために頭を使って工夫するのが人ってもんだ!」
「違う! 違う! 違う! 生命とはそれだけのものでは無い! 友情、愛情、より良き未来のための努力、その為の知恵を!」
「いいや違わない! 生命なんてものはただの性感染する性病と同じだ! 人はち〇ことま〇こと胃袋を満足させるために肥大した脳ミソ吊るした奇形児だ! それを創ったのがお前だから文句言いに来たんだよ! この下手くそが!」
「ファッキン仏罰キイイイック!!」
「オオオオオオ!」
たまらずのけ反って仏っ飛ぶミロク。
「何をする? 何を思い上がる? 人よ」
「ハ! 思い上がらなきゃなんにもできないように人を創ったのはてめぇだろうがよ。ならどこまでも思い上がるだけだ。ひたすら思い込むだけだ! 我こそ王だと、我こそ帝だとな! 決めるぞお前ら! 斉唱!!」
シャッカンの強礼に
シャッカンへの熱い信念を乗せ全員が声を揃えて読経開始。
「「
高まる念圧に
「なにを、何をするつもりだ?」
「ミロク! てめぇにあーだこーだと指図されんのはもうウンザリだ。六道を崩壊させてお前が人界に干渉できなくしてやる!」
「なんだと? 止めよ!」
「創造顕在神のてめぇを仏っ殺してやりたいが、不滅不死身なら遠くに追っ払うしかできねぇからな」
「シャッカンよ、我の導き無くして人は何をするつもりか?」
「決まってんだろ、旨いもの食ってイイ女を抱くんだ。お前が創った生物の営みって奴だ」
「人はそれだけの生物では無い」
「うるせぇよ。だったら次はもっとマシに創りやがれ!!」
「念圧最大限界値まで上昇! 念力充填200%、異相干渉、仏質変換開始します!」
「やめよ! 神を失ってどうするのだ! 人よ!!」
「ハ! これがてめぇの創った人の力と信念だ! 仏っ飛べクソ野郎!!」
黄金に耀く
「食らえ! 六道崩壊! 禁言アトミック羅真言!!」
「やめろぉぉぉぉぉぉ!!」
嘆きを唱えるミロクも
六道世界は崩壊した。
◇◇◇◇
無限に広がる大宇宙、そこに両手を失った巨大な人型兵器、
真空の宇宙の中、
指令室の中央、だらしなく身を投げ出し横たわるシャッカンがやれやれと呟く。
「あー、やっと終わったか?」
「終わったけどこれからどーすんのさ?」
舎弟のひとり、シャッカンの片腕サリプーが訪ねる。
「
「帰れないなら別の方法考えるしか無いだろ。近くに人が住めそうな星は無いか?」
「こんなとこで見つかるかな?」
「見つけられなきゃここで宇宙の塵になるだけだ。我ら命汚ない生命としちゃ、なんとかしぶとく生き伸びてやろーぜ」
シャッカンの呟きに舎弟達が明るく笑う。これまでシャッカンと共に戦い何度も危機を乗り越えてきた舎弟達には、この程度のことは慣れたもの、いつものこと。
「未だ無き記録、
「待ち望んだ無法の末法世界の夜明けだね」
「おうよ。これからはやりたいようにやってやろうぜ。旨いもの食って、旨い酒を飲んで、イイ女を抱いてよ。おもしろ楽しく暮らしてやろうぜ」
「それからは?」
「ハ! 俺達は人で、生命と言う名前の性感染する病原体だ。だったらウイルスの如く全宇宙に拡がってあっちこっちに感染しまくってやろーぜ」
シャッカンは笑い、両手を大きく開く。広がる宇宙を抱きしめるかのように。
「世界は俺達に犯されるのを待っている」
シャッカンの言葉に舎弟達が笑う。制限無き自由と暴力が侵食する世界の未来に、悦び笑う。
「喰らって犯して、産めよ増やせよ地に満ちよ、だ。世界は俺達、人のもんだ!」
――そして世界に生命が満ちる。
いきなり最終回 機動仏闘伝マッハラカーン『そして世界に生命が満ちる』 八重垣ケイシ @NOMAR
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