第14話 翡翠のペンダント

■翡翠のペンダント

◉女性、男性

ピンク色の宝石箱が化粧台の上に置かれている。

女性 「これ、本当にどこで手に入れたんだろう」

女性、宝石箱から直径1センチのヒスイのペンダントを取り出し眺める。

女性 「高校生のときに気づいたらこれを持って家の前にたってたんだっけ。あんまり覚えてないんだよね」

ドアをノックする音、

女性 「はーい」

扉を開ける男性、

男性 「姉さん、今日も1日ここにいんの?」

女性 「なんで今更外に出なきゃいけないのよ」

男性 「こんなところで引きこもってたら、そのうちお化けにでもなっちまうぞ」

女性 「それはないわ。どっかの誰かが、このペンダントを私に持たせたせいでもうお化けみたいなものでしょ」

女性、男性から視線を外し、手に持ったままだったペンダントを見る。

男性 「だからって、いつまでも引きこもってないでさ」

女性 「いいのいいの。別に働いてないわけでもないんだし、迷惑かけてないでしょ」

男性 「それはそうだけど」

女性 「なら、いいでしょ」

男性 「わかったよ。それじゃあ、俺行くから、あとよろしくね」

女性 「はいはい」

部屋から出ていく男性。

女性 「なんで私なんかを外に出そうとするのかな」

女性、化粧台の鏡を見ながらペンダントをつける。

女性 「このペンダントのせいで高校生から見た目だけはずっと変わらないけど、怪我も病気もするしね」

女性 「考えても仕方ないか。朝ご飯食べたら、今日も仕事しよう」

女性、軽く伸びをして立ち上がり部屋を出ていく。

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12ヶ月の短編集(戯曲改稿版) 藤森空音 @karaoto

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