異世界でチート無双~現代社会に生きていたけど、なぜか神様に異世界へ転移させられて、さらには「現代の技術」まで持って行って良いと言われちゃったから全力で楽しんでいく!~

あずま悠紀

第1話


「う~ん。これは中々のボリュームですね!」と僕は言った。

目の前にある机の上には分厚い本が置かれており表紙を捲るとそこには「中世ヨーロッパ時代における騎士の役割と地位について」「世界における魔術と魔法の立ち位置と利用価値について」「世界の四大文明における古代人の宗教観や考え方の変遷」などなどの、とにかくありがたいお話が載っている。

まさに「歴史オタク」である僕にとっては夢の様な本であるのだが――この世界はどうもそうではないらしく、僕の持つ「知識チート能力」はあまり歓迎されてはいない様子だ。

というのも僕が持ち込んだ本の大半は現在進行形で没収中である。もちろん僕が「知識チート能力」を利用して、本屋さんでは売られていない本を仕入れることが出来るのだけれど。さすがに手加減してくれと懇願したのだが――残念ながら「神罰の雷(カミナリ)」が直撃しそうな勢いで怒られてしまったので、もう二度と「知識チート」を使うつもりはない――まあ当然か。むしろここまで許してくれただけ温情措置だと思うべきだろう。

ちなみにこの世界における僕の知識チート能力に対する認識だが。この世界の常識的な観点から言うと「とんでもないオーバーテクノロジーの塊を持ち込んできましたよ!」となる訳だ。例えば一冊一〇万ボルトを超える電流を流し続ける事が出来るスイッチだとかなんだとか言われれば誰だってドン引きすると思う。それくらい僕が持つ「知識チート」とは、この世界ではかなり異常なモノなわけだ。

そんな訳で僕が「中世ヨーロッパ時代における騎士の役割と地位について」「中世ヨーロッパ時代に生きた人達の考え方や宗教観」「古代人の信仰していた神々」等などを、本に書いてある事を忠実に書き記したメモ帳を使ってまとめていると、不意に声をかけられたのであった。

声をかけて来た人物は僕の上司でありこの世界において唯一の神にして創造主である存在でもある女性だ。彼女こそが先程言った「女神さま」と言う存在である。名前は――たしか――。ああ、ダメだ思い出せない! よし記憶を整理しよう。確か彼女は自分の名前を言うのを極端に恥ずかしがっていたはずだ。だから普段はこう呼んで欲しいと言っていたはずである。

僕は脳内に浮かんできた彼女の姿を思い出し、その姿に見合った声でその人物の名前を告げようとした。しかし、それよりも先に女神様の方から自己紹介を始めたのであった。まるで僕の考えていた事を読み取っているかのように的確である。というより僕の考えなんて丸わかりだったようだ。ちょっとショックだけどしょうがないよね? ともかく今は挨拶だ!と気合を入れて僕なりの精一杯の声色を作って言葉を返したのだ。うん。なんか上手く出来た気がしないでもないぞ。よし、これで良い感じじゃないか!? でもなんだろうこの感覚は――いやまあいいか。とりあえず今は会話に集中しないとね。えっと、まずは何を話そうかなぁ――と悩んでいた所で、いきなり爆弾発言が飛び出したのである。それもかなりぶっ飛んだ内容が。いや本当に何言ってんだよアンタ!? って叫びたかった。思わず叫んでいた。

でも叫んだらダメなんだよね~、うん、知ってる。だから黙っている事にした。僕頑張って耐えているから誰かほめて。と、思っていた所で突然頬っぺたがむにゅっと引っ張られたのであった。そして女神様はそのまま無表情のままで淡々と言葉を続けたのであった。あれー、これってもしかしてご褒美じゃないんじゃないですかーと思わなくもないが口には出さなかった僕偉いなと思ったり思わなかったりしたのだけれど、結局この後も女神様は僕のほっぺを引っ張ったまま喋り続けていたので僕にとってはただ単に痛かっただけの話であると言わざるを得ないのだけれどそれはさておくとして、話を戻そうと思う。いやまあ戻せるのかはわからないんだけどね。まあいっか、とにかく戻そう! という訳で、僕がこの世界の現状を把握した上でどうすればいいかを相談したところ、女神様は僕の話を聞いてとても困ったような表情をした挙句、最終的には呆れた顔になった後に溜息をついてこういったのだ。

「貴方が持ってきた知識は私達の世界では「禁書指定技術」として扱われます。それを好き勝手に使われてしまうと、世界の秩序が壊れてしまいかねないんですよねぇ」と、いうわけである。

ちなみに「神」とかそういった類の連中は大概自分勝手な奴らばかりです、と女神様は続けた。

「ですので貴女の持ってくる「知識チート」については、私の権限によって制限を設けさせて頂きました。申し訳ありません」と言って頭を下げてきたのである。僕にとっては衝撃的過ぎて頭が真っ白になってしまったのだが、まあそんなことされたら謝られてる僕としては慌てるしかなくなるのも当然の事であって、僕はなんとか平静を取り繕うように必死になって頭を回して言葉をひねり出したのだ。「あのっ! べ、別に女神様が悪いわけではありませんよ! ただ運が悪かっただけです!」という言葉を口にした途端「それじゃ、そういうことにしましょうか?」と言い返されてしまって。さらに何か反論しようと思ったけど、僕よりも女神様の方が圧倒的に上の存在だし下手に逆らわない方が良いと本能的に察してしまった僕は、もう「あ、ハイ」と言う他無くなってしまった訳なのだ。だって「逆らうと雷が落ちてきそうだもの! 仕方ないじゃないか!」

その後、なぜか少しだけ不機嫌そうな様子になった女神様に連れられて「とある部屋」へ連れて行かれたのだが、そこには一台の「機械」が置かれていた。「えっとこれはなんでしょうか? それにこの『端末』はいったい?」僕が疑問を口にすると女神様はこう答えてくれたのだった。「それはこの世界を外から監視する為のシステムの一つです。それで――この世界にはまだ文明を築けていない小さな集落が数多く存在しています。そこで――貴女にはこの世界の人々に文明を教えてあげて欲しいのです――つまり、異世界の先生役ですよ!」と言ったのである。

そして話は冒頭に戻るのであった。

ちなみにだがこの世界に来てからというもの。ずっと「知識チート能力」を発動させたままだったのだ。その為「神界」と呼ばれているこの世界で「魔法」という技術について学ぶことになった。僕にとって魔法の行使とはまさに未知の領域だった訳だが、幸いにも僕の知識チート能力の効果は、僕の持つ記憶だけではなく、この世界の知識そのものすら「吸収」できるらしいので「この世界の魔法使いが使う様な魔法を再現出来る」らしい。

だからまあ僕自身はそこまで不安に思うことは無かったのである。むしろワクワクしていたくらいである。この世界にはどんな人がいてどんな生活をしているんだろうって。だけど実際に「現地人」を見てみたところ僕の知識の中には無かった種族が存在していたので、その事実を知った時は驚いたものである。しかしまぁそんなこんなで「知識チート能力」のお陰でこの世界で生活していくために必要な知識を得た僕だったのだが――正直なところかなり大変であったと言わざるを得ない。

何が大変なのかと言えば「現地人の言語」を覚えなければいけなかったからである。そう「現地人の言語」だ。

いやまあ、もちろん僕の知識の中にはちゃんと日本語もある。だけど僕の話す言葉は「翻訳機機能付きの自動翻訳能力付き携帯電話(略して「ケータイ」)」を通して相手に通じる様になっているのだが、現地の人間が使用する言葉は「この世界の言語能力を持っている」もしくは「現地の人間とコミュニケーションをとる事の出来る能力がある存在」でなければ「この世界の人間の使用する言葉を理解することが出来ない」というのだ。「現地人の言語能力が高ければ相手の言いたい事がなんとなく分かるはずよ? だけど貴方は無理ね。この世界で生きる事を諦めた方がいいと思うわよ?」と。

まぁ当然の結果である。というか、そもそも僕自身に現地人と意思疎通する能力が備わっていないのだ。「この世界に来た瞬間に能力が付与されていれば良いんですけどねー」と。そう女神様が口にした。「でも、まぁ無いものは仕方がないですね」

こうして僕は、まずは現地での常識を知るために「学校」という場所へ行くこととなった。この世界に存在する学校は「初等部」から「高等部」までの三つあり、それぞれ年齢別に分かれて授業を受けるのだという。僕がいた世界でいう小学校にあたるのが「初等部」という事で。中学校に相当するのが「中等部」高校に値するのが「高等部」であるとのことだ。

ちなみに僕が通っていたのは小中一貫の学校で、しかも中高一貫校だったので、普通なら中学三年生相当の年齢の僕が今更通うことになると聞いて「マジで勘弁してくれ」と思っていたのだ。だがまぁしょうがないので我慢することにした。なにせ他に道が無いわけだし。「知識チート」を使うためには、まずはこの世界での生活に溶け込まないと何も出来ないのだから。そんなわけで「現地人の子供と一緒に学園生活を送る事になったのだ」。

僕は今年で十六歳になる高校生だ。「現地人の子供達」から見れば僕はおじさん扱いになると思うのだが、どうやらこちらの世界における子供の成長は僕の世界よりも早く設定されているようで、「僕の事を同じぐらいの歳の友達と思ってくれる」との事だ。

まあそんな感じで「現地人に受け入れられて」僕はとても嬉しかった。というより安心した。

この世界でも僕のような境遇の人物がいるんじゃないか?と考えていたのだけれどどうやら違うようだ。僕の居た世界に存在していた物語や伝承といった物は存在しないし、魔法や魔術という概念自体が存在していないようである。なので僕が持ち込んだ本やゲーム等の娯楽も存在しておらず「娯楽といえば本を読むこと」「絵を描くこと」「音楽を聴いて踊ること」「狩りをして食べること」「酒を飲むこと」が主な楽しみのようだったのだ。

というわけなので僕は、この世界で生き残る為に「現地人から信用されなければならない」という事を学んだのだ。だから僕は必死になって勉強をすることになった。そして――その結果、どうにかこの世界で生きて行ける程度の知識を手に入れたわけだ。

とはいえ僕が持つ全ての知識を使っても「まだ足りぬ! 足りない!」と言ってくれた方が良かったと、今では本気で思っています。はい。だって僕の持つ知識って「科学」が中心だったからね。こっちの世界って中世時代のヨーロッパに近い文明レベルの世界だったみたいだから。だから「化学技術」は通用しないどころか危険思想として排除されてしまう可能性がある。だからこそ「魔導工学」や「錬金技術」なんかも必要になると知った時は絶望しか抱かなかったよね。

あーうんもう嫌になってきた。本当に面倒な仕事である。まあ仕方ないんだけどさ。女神様の命令なんだもの、頑張るしかないよね。うん、分かってるんだよ? ただでさえ厄介な異世界の神様が住んでいる場所で生活している上に、更に追加のお願いがやってきたらそりゃ溜息しか出てこないのが当たり前じゃないだろうか? でもまあ、この異世界で生活するための条件でもあるし頑張るしかないか! 僕は女神様から受け取った資料を読みながら思ったのだ。この世界の「魔法」というのは「自然のエネルギーを体内に取り込み、そのエネルギーを「魔力」に変換した上で利用する技術」のことらしいのだ。例えば「火の力を司る神様の力を借りて火を熾したり」、「水を生み出す神の御業を借りて水を用意したり」とか、そういった類のことを「この世界の人達」は魔法と呼んでいたのである。

だからといって僕が持っている知識の中に使えるような知識が無かった訳なのだ。なにせ僕の持つ「知識チート」には僕が知っている限りの「科学技術」に関するものは全て含まれていたのだから。

「うーん。僕がこの世界に持って来た「機械」は、基本的に「電力」を利用しているし。僕の知識の中で電気関係の技術に応用出来るものがあるとすれば「発電技術」だけなのである」しかし、これは正直難しい。この世界には「発電施設」というものが存在していないらしく、つまり発電機を用意することが出来ないということだ。そして何よりも僕自身が「発電装置の仕組みを知らないし、理解できないので作ることすら不可能」ということになるのだから、結局は現状のまま「この世界の魔法」について学んで行くのが一番賢い選択だろうと判断したのであった。

というわけで僕こと「佐藤 勇」がこの世界で教師役として働くことになった経緯をざっとまとめるとこうなるわけである。

まあ簡単に言うと僕が持ってきた「現代知識」を利用して生活基盤を築き、現地の人々に受け入れてもらう。

それが僕のこの世界で生きていく為の仕事であると女神様から命令されたので、とりあえずこの世界を生き抜く為には必要な事だと考えている。

まあそんな感じで女神様に与えられた「任務」を真面目に頑張った訳なのであるが、しかしだ。ここで僕が想像していたものとはまったく違った事態が発生したのである。いやもうなんというかさ、こんな展開は絶対にありえないだろうと心の中では考えていたのである。だが実際に起きてしまったのだ。

そう「僕が転移してきた世界の住人の女の子達」は全員「可愛くて性格も良い」のである。

これはいったいどういう事なのか? 僕としては、まさかとは思うけど「現地人はみんな美女で可愛いのかな?」なんて思っていたりしていたのだ。だが現実は非情である。というか僕に優しくしてくれる現地の人々を見ていて気づいたのである。この世界には「僕以外の男性がいない」事に――「女性しかいないの!?」って思わず叫びたくなったね。というわけで僕は気付いたのである。

僕はどうやら「現地人の女性と結婚」しなければいけないという宿命があるのではないかと。というより「この世界の女性と結ばれなければ元の世界に戻れないのではないか」と――まあそんな訳で僕は今。非常に困っている最中だったりするのである。だってそうだろ?「僕の妻になって下さい」って言いたい気持ちはあるんだ。だけど、もしも僕の求婚を断ったとしたら「僕の元の世界に帰す手段がないです!」なんて口走った日には間違いなく「お前殺す」みたいな流れになってしまう訳でして。そう考えると気軽に「結婚してください!」と、口に出して言う事が出来なかったのだった。というわけなので、とりあえず「彼女」達の身の回りのお世話をする仕事を請け負ったというわけだ。

ちなみに僕は現在「彼女」達が寝泊まる家にいるのだが「一緒に住みません?」というお誘いを受けていて「えっいいんですか!? ありがとうございます!!」とお礼を言ったのが先日のことである。だけどまぁ当然ながら「この世界の男性の扱いは最悪なんだよ」ということを、ここ数日で思い知らされたのであった。

何しろ男を見たら襲ってくるのがこの世界の一般的な「女性像」であり「男は家畜」という認識なのである。

その為「現地人と一緒に暮らすという事の意味が分かっているのか?」と尋ねられてしまい、正直かなりビビッたのである。「貴方はこの国の未来にとって大事な人間なの。だからこそ貴方は大切に扱わなければ駄目よ?」と言われ、更には「もし貴方が死んだりしたらどう責任を取るつもり? 貴方の家族は私達に何を要求できるというの? 私達は貴方に死なれては困るという事を理解しなさい」と怒られたのである。

そう――この世界は、僕に結婚の話を振ってくれた子以外にも沢山の女性が僕と結ばれることを望んでいたのだった。だからこそ、この世界の常識を知るために僕に対して親切に接してくれたのであろうし、だからこそ「この世界に残りたいと思わせるだけの利益」を提示してあげなければいけなかったのである。そんな事を僕は理解したのであった。そう「僕がこの世界に残れば得られるメリットは、他の誰よりも高いぞ」と証明する必要性が生まれたのである。まぁでもさ、そういう話になるのであれば僕としても「結婚するのもアリかも」と考えることが出来たわけで。だから僕に結婚を申し込んでくれた子にだけは「ごめんね。君との結婚を受け入れる事は出来ないんだ」と断ったのだ。すると彼女は涙を流しながらも「分かっています。私の方こそ急に押しかけてすみませんでした」と言って帰って行ったのである。

そして――僕は今から、あの子の婚約者だった男の子に会うことになるのだった。

というわけで僕は今から彼女の父親に呼ばれているのだ。どうやら娘にフラれた腹癒せに、僕の首を取りに来ているようだったが、残念ながら僕の持つ能力を使えばどうとでもなるというものだ。だからこそ余裕綽々な表情を浮かべていたのだ。なにせ僕のチートなスキルを使って、その男の意識を奪うだけの簡単な仕事だと思ったからだ。だから僕はその男の言葉を無視して立ち去るつもりだった。しかし次の瞬間である。僕は目を疑う光景を目にすることになったのである。

それは、男が魔法を使う瞬間を目撃したからだ。

僕は驚愕したのだ。この世界で魔法が使えてしまう事実に――しかも目の前の相手は明らかに手練れだ。それなのに僕は相手の実力を読み取ることすら出来ずに手玉に取り続けられたのだ――つまりは格上という訳であった。なので慌てて逃げ出したわけなのだが――まさか自分の家から逃げ出すことになってしまうとは思ってもいなかったわけで。そして逃げる途中にも様々なトラップが発動してしまい僕は身動きが取れなくなってしまったのである。そこで現れた人物が先程の女の子の父親なのだけれど――僕が「逃げ出せない状況になった原因を教えて欲しい」と言うも、彼は答えることなく「君は私の娘に相応しくない! 死んでしまえ!」と言ってきたのだった。当然である、なにせ娘の婚約者を殺した犯人として、僕は殺されるところだったのである。だがしかしだ、そんな時に女神様が現れて僕を助けてくれたのだ!だから僕は、この異世界で暮らす権利を得たというわけである。

という感じの経緯があったのだけれど、実は他にも色々な問題があったりする。まあ「魔法や魔術」に関する知識を得る過程で「この世界」について色々と学ぶ事になったのだが「どうも僕達の世界では知られていない、魔法や魔術が実在するらしいのだ」という結論に至ることになったのだ。そして僕が持つチート能力はこの世界で言うところの神の御業に該当する訳で、だからこそ「この異世界には神が住んでいる可能性がある」という事実に気付いたのであった。

そもそもこの世界の神様って「僕の知っている神様と同じ存在なのだろうか? それともこの世界には「別の神」がいるのだろうか? その神様と、この世界の神々の関係とは? など、まあそんな疑問が生まれてしまったのである。

だから女神様に直接尋ねることにしたのだけど「神様にそんな事を聞いてはダメ」と女神様は教えてくれなかったので「この世界に神はいない」と仮定することにした。そうなると「神様は別次元の存在ではないか」と考えられるようになったわけで、そう考えたらもう「この世界に神は存在しない」と考える方が自然なのかもしれない。だってそうだろ?

「僕達の世界には神が存在する」んだぜ? つまり、この世界は「神のいない世界」だという事になるじゃないか。

「いやーまさかこの世界でも、僕の知識の中にある「神様」が普通に生活していて、僕みたいに「転移」しているなんて考えたくないよね。だってこの世界の人達からしたら「転移してくる僕達って、神そのもの」っていう考え方もあると思うし、実際に「神さま」が僕に「転移」について教えてくれるまでは、転移して来ているのが僕だとは気づかれなかった訳だしね。まあ転移に関しては、この世界の人も「僕が持っている「知識」を共有出来ていないような気がするので「神様の仕業」ってことにはならないんじゃないかな?それに転移出来る人数の上限は「一人」だけっぽいんだよ。僕が今まで転移させてきた人数は五〇人程度かな? うん、多分そんなもんだと思う。

そう考えると「転移」は一人ずつ行うしか方法が無い訳で。もしも仮に、もしもの話だけれど「転移が使える回数に制限が無かったとしたら」という事を考えると恐ろしくなるなぁ、なんて思うのだった。

だってもしも「無制限」だとなったら僕が「元の世界に戻る為に必要な情報を持っている神様」を全員捕まえて、「この世界を僕が独占する」みたいな事を考えた可能性もある訳でさ。だって僕だけが「地球」へ帰れるようになったとしたら「僕だけ得をして良いのか?」という葛藤に悩まされる事にもなるし。もしも「元の世界の人間と連絡が取れるとしたら?」とか考えてしまったらさ、絶対に「転移で元の世界に戻りたい!」なんて思ってしまう訳でしょ?だってそうだろ?

「元の世界の家族に会いたい!」と思ったとして、もしもその手段があってしまうならば、誰もが飛びついてくるだろうさ。まあそんなこんながありまして。だからこそ「僕は神の存在を疑ったわけなんだけれどもね。ただでさえ「僕のいた世界には神様が存在しない」って仮説が成立してるってだけで不安感が増しているというかなんというか――まあいっか、話を戻そうか! という事でだ、僕はこの世界にやってきて早々ピンチを迎えているって言うかむしろ人生詰んでいる状態になっているって訳なんだけど、そんな時に助けてくれた女神様の好意には本当に感謝をしているのだよ。まあその恩返しも兼ねていると思ってもらってもいいかな――僕が彼女にプロポーズをするのは。

ただ問題があるんだ――彼女が言うにはとても美しい女性らしいのだけど、いかんせん顔が見えない。

僕は彼女と一緒に暮らしているわけだけど、いつも顔を見れない。何故なのか聞いた所、顔を見せたく無いんだという返答だったわけで。だけど一緒に生活している以上は、顔を一度も見ないというのは流石に失礼にあたるのではないかと思い始めた。なので、この世界で生きる覚悟を決めつつ彼女と暮らすことを決めたわけなのだが――この家の主は「彼女」ではなく「旦那様」になるらしく、どうも夫婦で仲良く暮らしたいというのが僕の願いのようだ。なので、僕は今日初めて「彼女」の顔を見ることになるという事だったのだ。

と、いうわけで「これから彼女のご両親と会うから準備はいいかい?」と言われたわけなのだが、僕の気持ちは「ドキドキ」で溢れている。何せ相手は結婚を約束した相手だったとはいえ、それでも会ったことの無い人物と結婚するというのはやはり緊張するものだからね。

と、まあここまで話せば「僕は結婚相手である『妻』となる女性の素顔を知らない」とわかるはずだ。そして僕が結婚を決意した理由は、彼女の顔が見えないという理由である。

だから「どうして顔を見せてくれないのか」を尋ねた結果――僕は今とても驚いているのだった。そしてその女性は、とても優しい声と顔つきをしてくれていた。そんな女性が、僕の事を愛していると言ってくれたのだ。そんな女性が「僕のお嫁さんになってくれるんだ」という事が嬉しくて堪らない。

だからこそ「彼女を幸せにしてあげたい」という感情を抱くことが出来たのである。そんな僕は結婚の約束を取り付けてくれた相手に改めてお礼を伝えた。しかし、その相手が誰であるのかはまだわからない。

だから「僕は結婚してくれる君の名前をまだ知らないんだ。だから君の本当の名前を呼んでも良いだろうか?」と言ったところで、何故か彼女は固まってしまい、何も言わなくなってしまったのだ。ただ無言で僕の顔を見ながら頬を赤らめている。そして少しすると、僕に対して優しく微笑みながら「いいですよ」と言ってくれて、僕の方を向いて「私はあなたのものよ」と言ってくれた。その笑顔に僕は思わずドキリとしてしまっていたのだが、それは内緒にしておくことにしようと思う。

と、そんなわけで僕達は「結婚式の準備」をする事になった。ちなみに僕は異世界人だからか「この世界における一般的な知識や技術がない状態」にある。だから彼女のご両親が用意してくれたドレスと指輪を見て「凄い」と思った。

そして同時に、僕が「元の世界に戻ること」が出来なくなる理由を理解していたのであった。それは「この世界では「異世界人が召喚された」という情報がある時点で、既に異世界人の帰還方法が失われている」という事に気付かされてしまったからだ。つまり、この世界で生きている人達は異世界からの侵略者に怯えながらも、いつか訪れる異世界人を待っているという状態だったのであった。つまり僕は、そんな状態でも僕を受け入れてくれた「女神の婚約者になったのだ」という事になるわけで。だからこそ僕は――この世界で生きて行こうと決めたのだ。

僕は「彼女」と結婚をした。

この世界で生きていくという決意を持って――僕は、彼女と共にこの世界で暮らすことになったのだ。

僕は「彼女」と結婚した。しかし、僕達の出会いはあまりにも唐突過ぎてしまったせいで「お互いの名前すらわからない状態」になっていたので、僕は「名前を知っておかないとマズい!」と、この機会を逃すと次は無いと思い、この世界の「結婚式」を行う前に「結婚式の挨拶」という形で、お互いに「自分の自己紹介」を行うことになったのである。

僕の名前は、鈴木一(すずき はじめ)という。

そして僕に話しかけてくれたのは「レイリア」と言う名前を持つ「女神様」であるらしい。この世界において唯一神の立ち位置にいる存在であるらしい。つまり、神様は僕にとって、この世界で最も尊き存在であるという事になる。そんな神様が「僕の妻になる」と宣言してくれているのだ。これはもう天に舞い上がるような心地であった。だって、こんなにも可愛い神様が自分の事を「妻にする宣言」をしてくれているんだよ?こんな幸せなことなんてこの世に存在しないんじゃないかなーなんて思ってる。と、そんな感じで初々しいやり取りをしていたのだけれど、そこで女神様が言ったのであった。「実は、私はあなたと出会う前から貴方のことを知っていました」という言葉を聞いて驚く僕であったが、更に「その記憶が、私があなたに出会った時に、私に残っていたのです」と告げられてしまったのである。

だから女神様は「この世界の創造者」という役割を持っている訳で――神様からすれば僕なんかよりも余程上の存在と言えるのかもしれないのに、僕と出会った時のことを鮮明に覚えてくれていて、尚且つそれを今でも忘れずに大切に想ってくれていたのだと知った瞬間に、僕はとても感動してしまったわけで。そしてそれと同時に思ったことは――僕は本当に幸運に恵まれているという事と、僕を愛してくれる女性と巡り会えた事に関して「神様に感謝をしたい!」と強く思ってしまったのだ。だからこそ、僕はこの場で改めて神様に「神様にお願いをしても良いでしょうか?」とお尋ねしてみる。そんな僕に女神様が「なんでも言ってください」と言ってくれたので、僕は遠慮無く女神様に対して「この世界で生きる上で必要となる知識」を教えて欲しいと頼んだのだった。だって僕はこの世界の常識的な事を一切知らないからね。

「そういえば確かに、この世界に来て間もない人はこの世界に馴染みが無い分苦労するかもしれませんね」と言いながら女神様が言う。「それでは説明させていただきますが――」と、僕がこの世界に転生した理由について教えてくださったのである。

それによると僕はこの世界の神さまに「元の世界に戻すことは出来ないが別の世界で新しく生きる場所を用意してあげよう」と言われ、この世界にやって来たのだった。そしてその話を持ちかけてきた存在が「創造主である女神様と同じような立ち位置にいた人物」であるという事も聞かされていたわけだ。となれば、僕が元いた世界に帰るためにはその人物と話をする必要がある。そう思っていたのだけれども――そんな僕の考えは間違っていないのか、どうなのか。それが非常に気になってしまったので、女神様に対して確認を取ってみたのだけれど、やはり間違い無いようだ。ただ、そんな人物がどこにいるのかという話になると、流石の女神様も知らないらしく、わからないと答えられたわけなんだけれどもさ――

まあそんな訳で僕はとりあえず「まずはこの世界を生き延びられるだけの能力を手に入れる事が必要だ」と言われたので、「じゃあその為には何をしたらいいの?」という風に聞いたところ、「先ほども伝えたようにまずは自分の力を知るべきです」と言われてしまった。ただその言い方はどこか「自分は神なんだぞ」と言わんばかりの口調であったので、僕にとっては違和感しかないものだったわけで。でもここでそんな事を気にし過ぎると話が進まない気がしたので、敢えて触れないようにすることにした。まあそんなこんなで「僕は今この世界で出来ることをしよう」と決めることにしたわけなのだが、その最初の一歩目で僕はある問題に遭遇してしまうのである。

その問題が何かというと――女神様の顔を見ることができないというかそもそも顔を見せたくない理由というのが、僕の顔を見ると発狂するというか死んでしまう可能性があるからだと言う。その理由を聞いて僕は思わず頭を抱えてうなりたくなってしまうわけだ。そして同時に僕は「神様を発狂させたく無いからこそ、僕はこの人と一生を共にしなければいけなくなる」と思ってしまったのだった。だからこそ僕は覚悟を決める事にしたのだ。

しかし僕は、その顔も見たことがない相手といきなり結婚をする羽目になり、更には「これから一緒に暮らす」という事になった。そしてその相手は、僕と一緒に暮らす事を了承してくれて、僕のお嫁さんになると言ってくれた。それだけで僕の心臓はドキドキで破裂してしまいそうになる。

なので、僕の事を好きだと言ってくれる相手に対して失礼にならないようにする為には「相手の容姿について聞く」事が大切であると判断した。なので、思い切って聞いてみたところ「あなたの事が大好きなので、あなたの事が世界で誰よりも好きな自信があります。そしてこれから先ずっと一緒に居たいという想いを抱いています」と返されて僕の胸がキュンとなってしまうわけだが、今はそれに負けている場合じゃないと思い「その人って凄く綺麗な人?」とかそういう話題を切り出してみたものの「はい」とあっさり肯定されてしまい、僕はどう反応したら良いのかがわからなくなって黙り込んでしまう。そして「やっぱり、僕はその人の顔を見たら駄目ですか?」と質問をしたところ、彼女は困った顔をしたまま何も答えてくれなくなってしまった。そして僕は「ごめんなさい。僕の事を好きでいてくれる人に、変なことを聞くような真似をしてごめん」と、思わず口にしていた。すると、彼女が「いいえ、そんな事はありません。だって私の方こそ、顔を見せてあげることが出来ないんですもの」と寂しげに言うので、僕の心は酷く痛むわけである。僕は何とか彼女に「謝らないで欲しい」と、僕の方こそ「あなたにそんな悲しい思いをさせてしまったことを許してください」と言っておくことにする。

僕はこの世界にやってきた時にある「特別な道具」を手にしており、その道具を使う事で「自分がどんな姿になりたいのか」というイメージを強くすることが出来るのだそうだ。つまりは「自分専用の変身ヒーロースーツを作る事が出来るので、自分の姿を変えること」が出来て、尚且つその姿を周囲に知られずに済むということである。そして僕は早速自分の姿がどういう物になるのかわからなかったので「とりあえず自分の姿をイメージしやすくするためにそのアイテムを使った方が良いんじゃないか?」という提案を彼女に行ったのだが「そのアイテムを使えばその人の意識が失われる事になり、最悪死に至る可能性すら存在します。だからこそ安易に使うべきではないと思いますよ」と言われてしまい、それは「この世界で生き残るために必要な力を早く身に着けたいと思うならば」の話であり「あなたなら大丈夫でしょう」と、言われてしまえば納得するしかなかった。だからといって僕だけ安全な状況に置かれているというのも嫌だったので「僕もその人の役に立ちたい」という思いを伝えると、彼女からは「あなたを危険な目に合わせるわけにはいきません。もしもあなたが死んだら私は――」と言葉を続けようとしていたのだけれど、そこで何故か彼女は固まってしまい、何も言ってくれなくなってしまった。そんな様子の女神様を見ていた僕は、このままでは何も出来ないと思い、意を決して「僕はその人の傍に寄り添っていたいんだ。僕があなたを守ってあげたいし、僕があなたを守り続けたいんだ」と言うわけである。そうしたら彼女の様子が明らかに変化していったのである。

そんな彼女を見ながら僕は「これはひょっとして告白したようなものなのでは?」と思っていたりするのだけれど、それを勘違いするような愚か者だと自分で思っているわけでは無いのだけれど、何と言うべきか――女神様の様子が変わったような気がして、僕は心配になる。ただ女神様はそんな僕の心配を余所に「そこまで言うのであれば」と、僕に向かって「指輪」を渡してくる。僕がその指輪を受け取った直後、突如視界が真っ白になって行き、僕の体が宙に浮いた。そしてそのまま光の中に吸い込まれて行くのであった。

**

***

目を開けた先に見えた光景は――見慣れない風景が広がった森だった。それもかなり深い森林地帯に迷い込んだようである。僕はその景色を見て「ここはどこだ?どうしてこんな所に来てしまったんだろう」と疑問を抱くものの――その答えを知るためには情報が必要だと判断して森の中に入る。僕はとにかく歩くことを選択したのである。とにもかくにも情報が足りなさすぎるからである。そしてしばらく歩き続けていると目の前の木々の間に何かが見えて来たので、それを確認しに行くとそこには――一人の美しい少女の姿があったわけである。

そこで僕が驚いたことは「この場所にいるはずのない存在」と遭遇したということではなく、僕の前に現れたのは――僕が想像した通りの「とても美しく可憐な美少女」であったことが最大の理由なわけであって、そんな彼女を一目見て僕は思わず口に出してしまう。

「君はとても可愛らしいね。僕は君のことが好きだ。一目惚れなんだ」

と、そんな僕の口から無意識のうちに溢れ出てきた本音を、彼女は聞き逃すことはなかったようで――僕は彼女の表情が驚きに染まっていく様子を見ることになるのだった。

僕としては別に嘘や冗談を口にしたわけではないので特に問題は起きていない。しかしそれでも、僕のことをじっと見つめている彼女の瞳から「あなたは何を言っているのですか」といった意味合いが込められているのを感じ取った僕は、自分が今行った発言を無かったことにしようと思ったわけで――と、いうか実際「そうしなければまずいんじゃないのかなー?」とか考えていたので行動に移そうとしたところ――僕は突然誰かに抱き寄せられていたのである。僕はその相手に「離して欲しい。僕はこの人を抱きしめないといけないのだから」と、伝えようとするが――僕を抱き寄せてくれた人は僕が抵抗しようとすると更に力を込めて僕を締め上げ始めた。僕はこの相手が女性だという事に気づくわけだ。しかも「凄く良い匂いがした」し「凄く柔らかいなあ」なんて思ってもみたりもした。しかしそれと同時に僕は「この人の正体は一体誰なんだ?」とも思うわけである。なので僕は少し強引に振りほどいて、そして改めてその女性の顔をしっかりと見ようと顔をあげたのだけれど、僕にはそんな事を気にしている余裕が無くなってしまっていた。何故ならその女性は、今まで僕の前に現れた事のない――とても美しい人でもあったからなわけである。そして僕の脳裏には女神様の言った言葉がよぎるのだった。

「もしかしたらあなたも、その人が発狂する可能性を持っていますね。

まあその人の方はあなたよりももっと危険かもしれませんけれど」という感じの言葉を思いだし――まさかとは思ったが――そんな風に僕のことを抱きしめてくれた相手の顔を見た僕は――

そしてその瞬間――僕は自分の体の感覚が失われてしまうのを感じていたのである。そして次の瞬きをする時には僕の体は地面に倒れており――その僕の体を抱きしめているのは「僕が惚れてしまった女の子」の筈なのだけれども――僕のことを愛おしそうに見つめながら「可愛い。大好き」と、何度も繰り返して口にし始めていたのである。僕は慌てて逃げ出そうとするものの、全く身動きが取れなくなっていた為、逃げ出すのは無理なようだった。そして僕の体からは徐々に「熱」と「力」が失われていき、僕の体に異変が起こって行く。僕はそれが怖くなって悲鳴を上げ始めるのだが、それはもう遅いというか無駄に終わる。だって僕は気を失ってしまったからな訳で、その後僕達は、この世界のどこかへと転移する事になるのだった。


***

次に僕達が目を覚ました時僕は見知らぬ部屋の中で寝かされていた。どうやら僕はあの人に「食べられて」しまう前に「なんとか逃げ出せて」そしてどうにか生き延びる事ができたようだ。僕はそんな安堵感に包まれつつ周囲を見回すと「女神様がいた。女神様の顔がすぐそこにあるわけで――そして目が合ったのだ。僕は咄嵯に頭を下げて挨拶をするべきなのかと考えたのだけれど、僕の体は動いてくれなくて、ただただ女神様を眺めているだけになってしまったわけで、そんな僕に気づいた女神様が「ようやく起きたんですね。良かった」と言い出したのであった。そして僕は「ここってどこなの?」と聞いてみることにする。と、ここで僕はある重大な問題に直面してしまうのである。「僕は誰だろう?」と。名前すらわからない状態だった。僕は自分の事を必死に思い出すのだが、やはり何も思い出せない。なので僕が悩んでいると、そんな僕を見て不思議そうな顔をしていた女神様は「あなたの名前は私がつけましょう。だから私の事も、好きになってください」と言うと――僕に名前を授けてくれた。どうもこの世界に「神は一人だけ存在する。そしてその存在は、たった一つの名を持つ」と言われているらしく「私は唯一無二の存在ですから」との事だった。そんな訳で僕の名前は決まってしまう。僕の記憶は未だに戻らないけれど、そんな僕でも、その名前を受け入れても構わないと思ったのだ。そんな僕に女神様は「私はあなたのお嫁さんにしていただきたいと思っております」と、そんな事を言ってくれたので僕は思わず驚いてしまうわけだが――「僕の事を、そんなに好きでいてくれるのか?」と聞くと、「はい。ずっと前から好きでした。そしてあなたを私の傍に置きたいと思うようになったのです」と返された。僕はそんな彼女の言葉を真に受けてしまい「ありがとう。これからもよろしく」と言ってしまう。と、そこで、ふと、自分の手をみると指輪がはめられている事に気づくのであった。

***それから僕は、しばらくの間「女神の加護」を受ける事となった。それはつまり――「僕はその世界で最強の存在となった」ということであるらしい。しかし僕はそんなことよりも、女神様との会話に夢中になってしまうことになったのだが、それは「僕の名前を呼ぶたびに彼女が笑顔になるから」だったりする。僕は「君と話が出来るならそれでいい」と心の底から思うようになっていたのである。と、いうのもこれこそが僕の望んでいたことでもあったのだ。そして僕は女神様と一緒にこの世界で過ごすことになる。

***そんな幸せな毎日を送っていたある日のことだった。僕はこの世界にやってきた時に与えられた道具の「指輪」に魔力を込めた結果――この世界では存在しない物質を生み出すことが出来て、その素材を僕なりに工夫しながら「武器」を作り出すことが出来たのである。そこで僕が作ったその「剣」は「僕専用の武器」だったりして、しかも、その「特殊な金属で作られている刀」を作り出した時に何故か僕は――

そこで僕が見せられたのが「女神様」であった。僕を優しく見守ってくれている「美しい姿の女神様」を、僕はとても綺麗だと思う。僕をこの世界に送り出してくださった「慈愛の女神様」がそこに居た。そしてそんな彼女は「私の事は、好きなだけ触っていただいて構いませんよ」と言ってくれるのであった。なので遠慮なく触らせてもらっていたのだけれど、その手触りの気持ちよさに僕が虜になっていると、いつの間にか「僕は眠ってしまっていたのである。その日は疲れてしまっていて、すぐに眠くなってしまったわけで、結局その日から数日間僕は眠る事になったのだった。

***目覚めた後で僕が目にしたのは「異世界へ転移してしまった人達の現状がまとめられた資料」で、僕が見た限りではこの世界の現状はあまり良い物ではなかった。

その現状とやらを説明すれば、簡単に言えば「僕達の世界にいた人の多くがこの世界で殺されてしまったのである。それもかなり残虐な殺し方で、死体を切り刻むような事さえ行われていたような形跡があるわけである――そんな話をしている途中で、僕は目の前にいる少女から抱きしめられるわけであるのだが――彼女の体温が妙に高く感じる事が気になりつつも話を先に進めようと意識を集中させる。しかしそうしている内に少女は僕の体を弄くり始めて――まあ当然の如く服を脱がされそうになったりしたんだけれど――最終的には諦めて貰った上で僕は説明を再開する事にしたのである――

僕達は元々住んでいた世界で暮らしていたのだけれども――僕達の世界を侵略しようとしていた魔王軍が、この世界でも暴れ回り始めたのだ。その魔王軍に対して勇者と呼ばれる人々は戦いを挑んだ。

その結果、この世界で生きていた多くの人々が死に、僕達が元々住んでいた「地球」もまたその大半が壊滅してしまう程の事態となってしまったわけである。

そして生き残った人々の一部はこの「僕達が暮らしている惑星」に移り住む事を選んだらしい。しかし、それ以外の人々がこの世界で生きる道を選んでいないかというと、実は違うらしい。この惑星は確かに僕達がもともといた世界と比べて文明レベルが低いのだけれど――

「あなた達がもってきた技術によって救われる人々がいる」と彼女は言う。

僕はその言葉を聞いて――

――そうか! それならよかった。僕にはそういう事の知識は全くないのだけれど、僕に出来る事があるのなら全力でやらせて欲しいと思った。だから僕がそんな風に考えていると「えっと、私としては、もう既にこの世界で生活していただきたいと考えているのですけど、駄目ですか?」と言われてしまった。となればもうやるしかない。そしてこの世界で僕は頑張っていく事になるわけであるのだが、ここで僕も一つ提案をしてみることにしたのである。それは僕が転移させられる際に持っていたこの世界に持ってきていた機械を使って何かを作る事だったのだけれど――僕の提案を聞いた女神様の反応といえば「まあ。なんて素敵なアイデアなんでしょう」という言葉だけで――後は僕の意見に賛成してくれるのであった。

「僕も少しだけなら機械とか作れたりするし、きっとなんとかなるよね」なんて思ったりする。なので僕はとりあえず今着てるこの服を脱ぐことにしたのだ。しかしそんな時だった。

僕の事をじっと見つめていた女神様が突然泣き出し――「ごめんなさい。私がちゃんと管理していなかったばかりにこんな酷い事をさせてしまう羽目になっちゃって。本当に申し訳ありませんでした」って、謝ってくるのである。そして僕に何度も土下座を繰り返すのだ。そして「ご迷惑でなければ、どうかお願い致します」と言う。そこで僕が「あのね。僕には君に土下座されると凄く困るんだよ。だって僕にとっては、君の願いの方が大事なのだからね」と言ったら、なぜか嬉しそうにした彼女がこう言ってきた。ちなみにその時僕が手に握っているものなのだが――どうやら「脱いだ僕のズボン」を両手で掴んで離さない女神様の手であり、僕はそれを振り払うべきなのかと考えるものの、別にそんな必要はないなと、そのままの状態で女神様の方を見ることにするのだった。

女神様はそんな状態の僕の姿を見ている内に落ち着きを取り戻したらしく「あなたの協力を得られたので、これからは私の加護をしっかりと受け取れるようにしていきましょう。あとですね。この世界の常識的な知識も一緒にお渡しする事が出来るようになりましたので。この世界の常識を知らないままでいたのは大変危険でしたので。でも良かった。これで最初の段階はクリア出来ますね」と言うと「あなたの事をこれから「旦那様」とお呼びしてもいいですか?」って聞いてきたので僕は「いいともさ!」と即答したのであった。すると彼女は「うふふ。あなたが私のことを好きになってくれたら嬉しいのですが」と言い出すのであった。

「いや。好きじゃなくても結婚してくれればそれでいいんだけど?」というツッコミを入れるのはやめておいた僕だったりする。そして女神様からこの世界で生き抜くための基本的な情報を受け取ることになった僕は、そんな女神様に感謝しつつ、この世界で生き延びるための準備を進める事に決めるのである。しかし女神様から聞いた話はあまりにも荒唐無稽で、正直信じられなかったのだけれど――

***僕達はこの世界に転生してから三年間の間ずっとこの惑星で過ごしていたのである。

つまり「僕」としての人生の半分を女神様と一緒に過ごして来たのだ。

なので彼女から色々と教えてもらったのだ。

僕達はこの世界ではどういう立場に置かれているのか、だとか、この世界の人達についてどんな存在だと思っているのか、とか――とにかく色々話を聞いた。しかしそんな事をして過ごすうちに、僕は自分の中に眠っていた「異世界へ来てからの様々な出来事の記憶」が甦り始める。そしてこの世界での僕は――この世界で生きるために必要な能力を身につけた上に、この世界での「僕自身の名前」を思い出す。そして「僕の名前」を呼ぶたびに女神様が笑顔を浮かべるようになったのだ。そんな彼女の態度を見て僕は、僕の名前を「好き」になって貰えたのかなと思った。

僕は「女神様が好きだと言ってくれた自分の名前の本当の意味を知りたいと思うようになっていた」。

そんな時だった。僕が「自分が作った剣を試す為に森の中を歩いていた」時である。森に生息している獣型の魔物と遭遇することになるのだが――この世界で生きる為に必要な能力を手に入れた今の僕であれば対処は簡単だったのだ。


***

僕はその獣と戦ってみたわけであるが、それはとても弱い生き物であったのだ。それはつまり、「この世界にはそこまでの脅威は存在しないということなのではないかな? だとしたら、この世界の人族達もそんなに強い存在じゃない可能性もある」ということになるのである。ただそれでも「油断をすれば命を落とす可能性は高いはずだよなぁ」なんて思うと気が引き締まる思いになる僕だったりはしたのだが――その日はそのまま寝ることにした。僕は眠る前に女神様と色々な話をしたかったので彼女と話をする事にしたわけであるのだが――そんな時、僕は一つの疑問を覚える。何故この惑星に存在する生命の種類はこれだけしか存在しないのだろうと思った。そこで女神様に問いかけてみたところ――

***「そもそもこの惑星は「神様が管理をしている場所ですから、あまり生命を生み出そうとしない方が良いと思っていました。なので私達が管理することが出来る生命体はこの惑星に元々存在していたものだけで十分なのですよ」と言われた。そして僕は女神様の言葉を噛み締めつつ――やっぱりこの世界に来たことが間違っていなかったと確信したのであった。「この世界に元々いたのはこの惑星に住んでいる「魔導機械人形」だけだったのだ」と僕は理解をしたのだった。


* * *

そして次の日の朝に僕は、自分がこの惑星にやってきた時に最初に目に入った、空に浮いている不思議な建物に向かって「この世界に降り立ってみるか!」と決めたのである。そして僕は女神様を連れて「あそこを目指して飛んで行って見ようか」と考えた。しかし僕が女神様に手を伸ばすとその手を握り返してくれるのだけれど――何故か彼女は空を飛べない。「これはいったい何事なんだ」と焦った僕はどうにかしようと考えるのだけれど、その方法が見つからず困ってしまったのだった。そこで僕が考えた末に取った手段が、魔法を発動させて僕と女神様の身体に魔力を流し込むというもので、そうすることで一時的にだけど女神様を浮遊させる事に成功したのである。そしてそのまま女神様を僕の背中に乗せる形で移動を開始することにしたのだ。僕は女神様を乗せた状態で空を飛ぶ事にしたのである。

ただ――「あれれぇ~。おかしいぞぉ~」なんて声を上げることになるのは必然の事であった。なぜなら僕達の体は「落下していく」からだ。僕は「これってマズイ状況だよねぇ。何とかならないもんだろうか」と思いながらも、その打開策を見つける事ができないまま「僕と女神様は地面に激突したのだった。

「痛いっ! 痛いな。マジに痛い! 女神様大丈夫?」

僕が叫ぶと女神様が「ええっ。私は大丈夫。それよりも貴女は無事ですか?」と言ってきた。

だから僕も「うん。大丈夫。でもちょっとばかり頭がクラクラするけれど」と言うのだった。

しかし「このまま倒れている訳にもいかないし」と考えて僕は「女神様の身体を支えながら立ち上がる」ことにしたのである。僕は女神様の事を抱きしめるような感じになりつつも、地面の上に立って周囲をよく見て確認することにしたのだ。

「えっと。どうやらここは「地下洞窟」のようであるな」と口にしてみて。

「ああ、そう言えばこの前、女神様と二人でこの場所まで遊びに行ったことあったっけ?」って思い出して「僕達はこの地下に転移させられてしまったってことだよね?」って言うと、そんな言葉を聞いた女神様がこう答えてくれたんだよね。「おそらくそうなのでしょうね。それならば、ここはまだ安全だと考えるべきでしょう。それにしても――あなたは凄いわね」って褒めてくれる。

そんな会話を交わした後はお互いに離れることになった。

僕と女神様の二人が並んで立ったことで、目の前の空間を改めて見ることが出来た。僕から見て左側の壁側には扉が存在していて――そして僕が立っていた場所の後ろ側を見るとそこには階段が存在していたのである。

女神様の話によれば「あちらの方に地上への出入り口があるはずなのです」と言うことだったのだけれど、それはつまり「この洞窟が何処なのか分からないし。脱出ルートも見つからないって事なのかな?」とも思ったりした。

僕は「女神様の事を信じることにして――僕は階段の先に足を進める事を決めたのである。そんな僕に対して「あなたって、そういう所あるよね」と口にした女神様だったけれど――それは僕にとって聞き覚えのない単語で、なんのことなのかは分からなかった。しかしそんな僕が女神様の顔を見つめていると――彼女は慌てて僕から視線を外すのだった。そしてそんな態度を見た僕は「ふむ」と思案顔になって「これは僕の事を気に入ってくれて「僕のことを好き」になったのか? それとも「僕の事を利用する価値を見出した」だけなのかな? だとすると女神様は僕のことをどうするつもりなのかな?」と心の中でつぶやくのであった。そんな時だった。僕達のすぐ傍から人の気配を感じたのは。


***

僕のすぐ傍には二人の男女が存在したのだった。二人は人間で、しかも若い男性と女性の二人組だ。しかしそんな彼ら二人組だが――全身鎧に身を包んでいた。僕は「あの人達ってこの国の兵士なのかしら?」と考える。しかしそんな僕とは違って「お姉様! こんなところにいらっしゃったのですね! さあ! は、早く戻りましょう!」と言い出すのだ。そんなことを言われてしまうと僕は「ん?」と困惑することになってしまったのだけれど――ここで僕は「この人達が「お姉様」と呼んでいて「お兄様」と呼んでいた相手が女神様なのだ!」ということを理解する。僕はそんなことを考えながら二人に話しかける事にしたのであった。

すると女性の方が、こちらに向かってくる。

「申し訳ありませんが、少しお時間を頂きます」

女性はそれだけを告げると、女神様を連れて何処かに去って行った。

残された僕としては、ただただ困惑することしか出来なかった。

***僕達が住んでいる惑星「ユグドラシル」は、神様によって創られた。そしてその神様は創造主と呼ばれる立場であり全ての生命を生み出してきたのである。そのおかげで僕達は様々な生命体と出会う事になったのだが――まあそんな事はいいか。僕には関係ない話だもの。僕達はそんな神が作った世界を、僕達なりのやり方で生きていかなければならなかった。

そんな僕達の生活拠点となっている場所が「地球」である。この惑星は地球と呼ばれていた場所だ。神様曰く――「私が作り出した「ユグドラシル」の世界に存在する生命体の中では、「人間族」「魔導機械人形」という二つの種族が一番強い存在になっているのです。そして彼らは他の存在に比べると寿命が短いのが問題になっていて、だからこそ私達が彼らの手助けをする為の手段として「異世界へ行ってもらうことにした」と言う流れです。異世界へ行くことになった人間は「地球人」としての能力を全て失います。ただその代わりとして「異世界へ行けば必ず役に立つ技術を手に入れることが出来る」ようになっているわけです」

そんな話を聞いた時――僕は自分が「神様に創られてよかったな」と思えるようになっていたのだ。

しかし、その「地球人が使う技術の恩恵」とやらを、僕が受けることは出来ないらしいのだ。僕はこの世界において唯一、神様だけが作れる存在であるからこそ――この世界にある道具や技術を使うことが出来ないのだそうだ。「これは本当に残念である」

そんな僕は今――森の中を歩いていた。僕は剣を片手に持っている。そして僕は剣を使って森の中を歩き回る動物型魔物を狩り続けるのであった。僕はこの世界で生きて行くために必要な能力を身に着ける為に頑張って修行していたのである。

僕は「魔物は僕が狩った方が早いのではないか?」と考えて行動を開始していたのだ。そうすれば、この世界の「普通の生き物」が魔物に襲われても僕に害は来ないし。もし僕が死んでしまったとしても「地球の生物ではないので魂が輪廻に戻ることもないだろうから」問題は起こらないはずだと考えたのである。そして僕自身が強くなることが出来れば、いつかこの惑星を旅立つ事が出来るのではないかとも考えていた。この世界の生命を、自分の意志とは無関係にこの惑星から奪うのも嫌だったし。この世界に存在する生命を出来る限り救いたいと考えるようになったのも――神様に「貴方をこの世界の住人にするかどうか」と問われた時に「はい」と答えてからのことであるのだ。つまり僕はこの惑星が好きだと言える。だから僕はこの世界に住む人達を守るような「何か」になりたいと願っているのであった。

そんな事を考えている間にも僕は次々と魔物を倒し続けていたのである。


* * *


* * *

*

「お姉様! 早くここから出ましょう! ここじゃなくて別の場所がいいんです」

僕の目の前に現れたのは「金髪ロングヘアーで可愛い系の顔をした美少女」だった。その彼女が、僕の方を見て「お父様に報告しますよ?」と言葉にしたのである。そして僕の方を見ていた少女の目つきが変わると――僕が先ほどまで使っていた「刀身が紫色に変化した剣(妖剣)」を奪い取ったのである。僕はそんな光景を見ながら思わず「はい?」と口に出してしまったのであった。「ちょっと待って、これって「何が起きたんだ」って展開だと思うんだけれど――これってどういう状況?」

僕の言葉を受けた女神様がこう口にしたのである。

「私はこの娘達から、お父様と会わせてくれと言われてしまったのですよ」

僕は女神様の言葉を受けて「ふむ」と考えてしまった。「なるほど」

僕がそんな言葉をつぶやいていると女神様は続けてこんなことを言うのであった。

女神様曰く――僕が持っていた「武器と防具」とやらを回収した後。

女神様と僕の二人は、地下空間から出て空を移動している途中だった。そして僕が疑問を口にしたのだけれど、そんな僕の言葉を聞いた女神さまが困ったようにこう言ったのである。

「その質問に対する回答なのですが、その答えについては私の口からは言えません」

だから僕は、とりあえず女神様の話を詳しく聞くことにして、その内容を理解しようとしたのである。そして理解したうえで――「つまり「僕の父親に会いたいから案内してくれ」って言っているってことだよね?」と口にするのだった。そんな僕に対して女神様が「簡単に言えばそうですね」と口にして微笑んでくれる。そしてその後すぐに「ただし、あまり良い対応ではありませんけどね」と付け加えるのであった。


***

僕は今「洞窟の出口に向かって歩いていたところだったんだよね」と言う事を説明しておくとしよう。僕と女神様が出会った洞窟の周囲には、多くの兵士達が集まってきていたのであった。そして女神様の姿を見た兵士は、一斉に声を上げたのである。そんな彼らの声を聞いて驚いたのだろう、洞窟の周辺に存在していた「野生動物たち」が大量に逃げ出してしまったのだ。そんな状況の中で僕は洞窟を抜け出そうと思ったのだが――女神様はそんな事を許してはくれなかった。

女神様曰く「あなたのお母様とお姉様のお二人があなたを迎えに来ているみたい」とのことであった。僕はその言葉を聞いた瞬間に、「それならしょうがないな」と思って女神様と一緒にお姉様の所へ向かうことにする。


***

僕はお姉様と妹様に連れられて「王様」と呼ばれている人の元へ向かっていく事になったのである。僕はお姉様の妹――姫様の方と、二人で一緒に並んで歩く事になったのだけれど。しかし僕達は、僕達を取り囲む大勢の兵士の姿を視界に入れながら、ひたすら黙々と目的地に向かって歩き続ける。僕は隣にいる彼女に対して何度か話しかけたりしてみることにしたのだった。

するとそんな僕に話しかけられるたびに「なんでしょうか?」と返してくれたのだ。僕としてはそんなやり取りを繰り返すこと数十分。そろそろ話題が無くなってきたかなと思った所で、僕はふと、気になった事を尋ねる事にしたのだった。それは、なぜ「僕達は城に向かわなければならないのか?」という事である。

僕は彼女に問いかけてみると彼女は苦笑しながら「お兄ちゃんはもう少しで、正式にお城に呼ばれる事になると思うんだよ? そうなると今までよりも大変なことになるんじゃないかなぁ」と答えたのだった。「お兄ちゃんの実力が認められた証拠だね」という言葉を付け加えてだ。僕はそんな彼女の言葉を受けて、自分がどれだけの強さを持つようになったのか確認することにする。そして僕の脳内に浮かんできたのは――「この世界に居る全ての生物」の名前が羅列されているのである。その数が凄まじい量である。僕はそれを「どうしたものか」と困惑していた。するとそんな僕に向けて「名前を知っている相手だけを見るようにすればいい」と言われたのであった。だから僕はそうすることとして――改めて周囲に存在する生き物を確認するのであった。その結果。僕の目に止まったのは人間族である女神様の姉妹――女騎士と姫様だけだったのである。

***僕と、女神様と、二人のお嬢様は――僕が元々居た世界の言葉で表せば「中世」とか「古代ヨーロッパ風」と表現出来る場所に向かって歩いていたのである。僕としては、その道中において僕に話しかけてくる存在の事が気になっていた。それは僕達が現在、歩いている場所――この国の王都と呼ばれる場所で暮らしている住民であるのだ。僕達が歩き始めると、彼らの視線は僕達の方に集中することになった。まあ理由は僕達に近づいてくる女性――女王様と姫様の二人だと思われる存在にあるのだけれど。僕は周囲の人々の様子を確認したのだが「やっぱりこの世界にも、あの「女神様」は有名であるのだな」と考えることになったのであった。

そんなこんなで僕は今、とある場所へと連れてこられたのである。僕はそこで初めて自分が住む場所を案内されたのである。まあ、案内されたのは僕が「異世界転移」してきた際に立っていた場所であるらしい。僕はそんな場所に立っている自分を見つめなおすことにした。そしてこの場所にたどり着くまでの道程を思い出したのである。確か、最初は森の中に一人で立っていたはずなんだが――なぜか森の外では沢山の兵士さん達に囲まれた状態だったんだよね。

そうそう――最初に「森の中から外に出て来た時の状態」を説明する必要があるんだろうな。だって、そもそも「この国」の人たちは皆が着ている服装――いわゆる軍服っぽいものを着てる人が多かったんだけどさ。その人達の事を見ても誰一人として武器を持っている人は見当たらなかったし。僕が最初に森の中で出会った時と同じ格好をしている人たちの方が多いのである。つまり、森の中で「武装している集団が待ち構えていて、僕はその集団から逃げていた」と言うわけなのだ。

ちなみに僕の今の恰好は、自分が持っている「服」をそのまま着用している。そして「剣は鞘に入ったまま」腰にぶら下げているという状態であるのだ。そう考えると「僕ってかなり無防備だったんだ」と理解できたのである。だからこそ――「武装していない」兵士たちは、そんな状態の僕に警戒することなく接してくれたのだろうと推測できるのである。

そんな事を考えている間に僕はお姉様に連れられて部屋に入る事になった。そこには僕が暮らしていた家があったのである。しかも――

お姉様と妹の二人も一緒になって僕が住んでいた家の中に入ると――僕がいた世界で使っていたような家電製品を指差して「これが何なのか説明しなさい!」と僕に迫ってきたのである。そんな彼女達に対して僕は、まずは冷蔵庫の扉を開いて見せたのだ。そしてそこから取り出した食材を、調理台の上に並べて「ここで作った料理を一緒に食べようよ」と言いつつお弁当を作ってみたのである。そんな僕の行動を見て、僕の隣に立っていて「私も手伝いますよ」と言ってきた女神様。そんな彼女を僕は「お願いできますか?」と受け入れたのだった。

***僕は、僕が作ったご飯をみんなで食べることにして――お姉様、妹、姫の三人が座っている場所とは別の場所に、僕はお姉様の隣に席を取る事にした。もちろん、そんな僕に対して、お姉様は少しだけ眉を寄せていたのだけれど。「これは家族で食事を楽しむために必要なことだ」と説明したことで、何とか理解してもらうことが出来たのである。そう言えば「家族の団らんの場」を作るために、女神様と一緒に食事をすることになったのであった。

そんな風に思いながら、女神様と一緒に食事を開始したところである――突然部屋の窓が開き始めた。そして窓から現れた人物は「お前は一体何者なんだ! どうしてここに居る!? ここは我々の領土だぞ! 出て行け!」と大声で叫んできたのだ。だから僕は思わず「いきなり何を言ってるんですかね?」と思ってしまったのだった。しかし僕はこの時になって思い出したのである。女神様から説明を受けていた「知識」を、この国の人達の言葉に変換する「翻訳能力付きの携帯電話」の事を――だから僕に話しかけてきた男性の言葉を耳に入れた直後。

「えっと――貴方がこの国の王って事ですよね?」

「違うわ! 誰がこんな辺境の地まで来て貴様みたいな小汚い小僧を相手にするものか! 私は国王様の側近にして、宮廷魔術師であるのだぞ!」

僕が男性に声をかけてみたところ――そんな答えが返ってきたのである。

僕達は現在「お城」の中にいた。

僕は女神様と姫様に、そして僕と一緒にお城の部屋に入ってきたのは「僕のお母様とお姉様」であった。僕は自分の母親である女神様の姿を見て安心したのだが、その一方で僕の隣に立っている女神様の姿を見てお母様が驚きの声を上げていたのだった。

「なんなのですか? この方は、どうしてこの国の王族が身につけるような礼装を身につけていないのですか? それになぜ、そんなボロ切れのような服を着ているのです?」

そう口にした途端。お父様と呼ばれていた男性は、僕に向けて怒りをぶつけてきたのである。僕は「僕がお城に来る前に身に着けていた服はこの世界には存在しないものです」と答えながら。僕自身はこの場にいる人達に向けて、自分の正体を明らかにする事にしたのだった。すると――お姉様と女神様は「なるほどね」「やっぱり」といった様子で僕の話に聞き入ってくれる。そして僕と一緒にやって来た「姫様」と「姫騎士」は、僕の説明を聞いて驚いているようである。

***僕は目の前に現れた人物に話しかける事にする。するとそんな僕に向けて、「私が何者か分からないのか?」という言葉が帰ってきたのだ。

「いや、さすがに分かるでしょう」

「分からんだろうが!!」

僕は彼の発言を聞いて「確かに分かりづらいとは思うけれど」と口に出してしまった。しかし――

彼はそんな僕の反応を見て――僕の発言を馬鹿にしたと判断したのだろう。さらに強い口調で言う。

「貴様――この私が誰だか分かっていないのであろう。この国において最強と言われている男――つまり「勇者」と呼ばれている存在なんだ。この国に生きる民なら誰でも名前くらい知っているだろう?」

「えっと、そんなのは知りませんけど?」

「嘘をつくんじゃないっ!! だったらなぜこの国の連中に顔を見せようとしないんだ?」

「ああ、そう言う事でしたか」

僕はそう呟くと、お母様達の方に視線を向ける事にした。お母様達は、この国の王様から何か言い含められていたのだろうか? 特に慌てる素振りは見せなかったのである。するとお母様達の様子を見た男は「どうなっている?どうしてこの私の事を誰も知っていないというのだ?」と言い始めた。そこで僕はこの男が、本当に「僕が知るこの世界の常識を知らない人」なのだなと納得する事になる。まあそれは仕方が無い事なのだけれど。

僕は、この世界に来たばかりの時を思い出した。僕は、僕自身が持っている「情報」を確認する為に色々な場所を回ってみたのである。すると「魔王討伐に成功した冒険者達がいる」という話を聞いたのだ。僕にはその時の話が気になっていたのだけれど、僕はまだその「世界」に訪れる前だったので確認できなかったのだ。だからこの「世界」に存在する人々の名前などは知らないのである。僕は「僕のいた世界の人達は」とか考えれば良いだけであって「異世界」で生まれ育った人の名前を全部覚えなくても問題は無かったから。

***僕は「僕のことを知らなかったからこそ起こった勘違い」だと考えた。だからこそ――彼に「僕は、僕のことを知っている人間にしか会わないつもりだからです」と答えたわけである。

僕の回答を聞いた男は――しばらく沈黙していた。まあ、僕から発せられた言葉が信じられなかったのかもしれないね。そんな事を思っていると――お姉様が、突然「この人は貴方の事なんて知らないって言っているじゃないのよ。それよりも、私達がここに来た理由を説明して欲しいわね」と言ってきたのだ。その瞬間――男は急に態度を変えて、僕に対して謝罪を始めたのである。そして「こちらの手違いがあったようだ。どうか、許してほしい」と言うと僕達に向かって丁寧に挨拶してきたのであった。

そう言えば「あの」女神様が僕の横で微笑んでいるんだけど――あれは何の表情なのかな。まあいいか。今はそれより優先しなければいけない事があるもんね。僕は「僕の事を知らなかった人が、どういう対応をするかな」と考えながらお城へやってきたのだ。そしてその結果が――この通りになったのである。

「えーとですね。僕は、この国の中で暮らしたいと考えているんですよ」

僕はそう言って、お城で暮らす許可を求めることにしたのだった。

そんな僕が女神様の方を見てみると、彼女は少しだけ驚いたような表情をしている。おそらく僕の言動に対して「この人ちょっと変な人」だとでも思ったのだろう。しかし、そんな僕に対してお母様とお姉様の反応は違ったのだ。

「あらそうなの? それじゃ一緒に暮らせる部屋を用意してあげないと駄目かしら?」

「そうねぇ――私としては可愛い弟ができたみたいで嬉しいわよ」

僕は二人の様子を確認して「良かった。お二人共僕が一緒に住む事を歓迎してくれている」と判断して、嬉しくなってしまったのである。しかしここで僕は思い出したのである。この世界で生活するためには色々と準備をしないといけない事に、だからまずはお城の人たちに対して「お金を貸してください!」と頼んでみたのだ。そして僕の願いに対して「この城の宝物を一部売り払って金に換えろ!」と言ってきた男。僕はその男にこう言ったのである。

「いや、僕はこの国の通貨を持っていないので貸して欲しいんですけど?」

***お城にやってきた時の服装のままの僕。だから僕はお城の中にあるお店で物を買うことが出来ないのである。だから僕が今持っている唯一の「現代社会の技術を使った品々」である携帯食料を「僕をここに連れてきた女神様のご好意で譲ってもらったのである。そんな訳で、お城を後にしようと思っていたのだが、僕を待っていた人物がお城に戻ってきたのである。僕を連れ出すためにやって来た女性。僕は彼女に「もう用事はないのですか?」と尋ねたのだ。すると彼女は、先ほど僕と話していた男性が、実はこの城に住む王様だったのですよ! そして彼が僕に対して「貴方に危害を加えないようにしますから一緒にお城の方で暮らして下さい」と言ってくれたのだ。

「そういう事なら話は早いですね」

「いやいや、何を呑気に言っちゃっているのよ!? 貴方はこの国の国王様が『自分の領土に住んでいる人間に対して危害を加えるように命令』しているのに! そんな相手の誘いに乗るというの!?」

僕がそんな風に思って、さっそくこの場を離れようと考えていたらお母様が突然叫び始めたのだ。その勢いに押された僕。お母様の言葉は僕にとっては予想外でしかなかったので戸惑うばかりだったのであった。

***お城の中の一室を借りることになった僕。そしてそんな僕の周りには――僕の事を監視するためという名目で三人の人物が集まったのである。もちろん、それはこの国の王様から指示されたからだ。王様の言う事を聞けば、お城の中に僕が住み続けてもいいという条件になっているから。だから僕達はお城の一室でこれからの生活について相談する事に決めたのだ。

僕と一緒に部屋に入ってきた女性は、僕がお城の中に滞在することを反対してくれると、思っていた。だから、僕は彼女が僕の事を「お母様のように助けてくれるに違いない!」と考えたのである。しかし――僕に優しくしてくれたお母様と姉様と違って、僕と一緒に部屋に入ってきた女魔術師さんはかなり厳しい目を向けてくる。そして僕の行動を監視するための魔法を使う事を宣言したのだ。

***僕の行動を監視するための魔法を使って、僕が何か問題を起こしていないかどうかを監視していたらしい女魔術師さんの態度はどんどん厳しくなっていった。最初は「どうしてそんな目で見つめられるのでしょうか?」と疑問を抱いたけれど。次第にそれが僕に対する「嫌悪感からくる視線」なんだと思い始めて、彼女の事を不愉快な気持ちになり始めてしまった。僕はこのお城にいる間は女神様から「絶対に何もするんじゃありませんよ」と言われてきた。だからこそ、女魔術師さんが僕に向けた嫌悪の視線に戸惑いを覚えたのである。

そんな時だった――お姉様の表情に変化が起きたのは。彼女は僕と一緒に女魔術師さんが用意した部屋まで移動してきた時、お姉様が急に僕を抱き寄せてきたのである。そして――僕に「こんなに可愛らしくて優しい子を疑うのは間違っている」と言い出したのだ。すると女魔術師さんの態度は一変した。そして、今まで僕に見せてくれた事がまるで無かった笑顔を浮かべたのである。その笑顔はとても美しいモノだったが――僕にとってそれは「恐ろしいもの」でもあったのだ。何故ならばその笑みが浮かべられた途端、僕は体中の体温を奪われていったような気がしたのだから。「それでどうすれば、貴女は許してくれるのですか?」

「え? ああ、貴女の事は最初から信じていましたよ」

僕には分からない。女魔術師さんの本当の心が。もしかしたら女神様と同じ様な力を彼女も持っているのかと思ってしまったほどだ。しかし彼女は僕の目の前で「貴女の事はずっと前から知っいましたよ」と囁いた。そこで僕の体は更に寒くなったので、震えてしまうのを止めることができなかったのである。そんな時に、お姉様が突然僕に対して謝ってきたのだ。

僕は何が起きているのかさっぱり分からなかったのだ。お姉様が突然僕に謝罪を始めたのである。しかし僕はその謝罪にどう応えればいいか判断できない。なので、とにかく女神様の言われた通りに行動するしかないと考えて――「僕の方こそ失礼な態度をとってしまって申し訳ないです」と口にすると、今度は女神様が僕に向かって「本当にごめんなさい」と謝罪したのである。そうして、お城の人達に見送られながら、僕はお城を後にすることにしたのであった。

***結局僕は、自分が元居た世界に戻れなかったわけだが、それでもお城の中を自由に歩くことが出来るようになったのだ。まあ、監視役が付いて回るという条件付きではあるけれど。僕はお城の人達が「僕がこの世界の事を学ぶのに必要な書籍を用意して欲しい!」と言うとお城の中に居る使用人の一人が、「分かりました。すぐに用意いたしますね」と答えてくれたのでとても嬉しかったのである。だから「ありがとうございます」と言うことが出来たんだよね。まあ僕は、この世界に来てから初めて人にお礼を言うことが出来たのである。僕は、お城に用意されていたベッドでゆっくりと休むことにしたのであった。

***

僕には気になる事がある。あのお姉様が見せてくれた不思議な現象は、なんだったんだろうか?あの女魔術師さんも、僕が知っている女性達とは違っていて――でも僕の知る女性達に共通した雰囲気を漂わせていて――正直に言ってしまえば、お母様よりも「美人なお姫様」といった感じの人だったと思う。僕が「女性を外見で判断してはいけない!」と考えていると――急に眠くなってきた。僕は、いつの間にか意識を失ってしまい――夢を見始める。僕はその夢の中に閉じ込められたような感覚に陥っていたのだけれど、これは僕の身に危険が生じたわけではないようだ。そうでなければ、お母様や妹達が姿を見せてくれるはずである。僕は、僕の身の安全を確認する為に「自分の記憶や情報を読み取った」のだ。そして分かったことがある。

「やっぱり、そう言うことですか」

僕の推測通りであれば「お母様達の姿が見えない」のではなく「僕がこの世界を離れている間に死んでしまっていて既に存在しない」というのが正解なようだ。僕の記憶を辿ったところ「この世界で暮らしていたはずのお姉様によく似たお婆さん」が僕の家族と一緒に生活していて、お祖母ちゃんと呼ばれていた。だけど僕は、自分の目でお姉様を見たことが有るから分かるのだ。この世界で生きている「僕の妹であるお姉様は、あんなに若くて綺麗なはずがない!」と。僕はお姉様の姿を見る事が出来る「唯一の手段」としてお姉様と話をする為の通信魔法を使おうとしたのだけれど――残念ながら使うことが出来なかったのである。

***僕が目を覚ますと見知らぬ部屋の中で横になっていた。僕は、自分の部屋に戻る前に寝てしまっていた事に気づく。お城の人はまだ仕事中で忙しい時間なんじゃないかと思った僕は、僕が起きて動いている姿を見られるとまずいのではないかと考えてしまい。そっと布団から抜け出そうとしたのである。しかしそんな事をしてもお部屋の外に通じるドアの鍵が掛かっている以上、外に出る事はできない。しかし、そんな僕を出迎える人物が存在したのだ。

「起きたのですね」

「はい。起きましたけど――貴女が僕を助けてくれたんですよね?」

「そうですよ。貴方は今の状況に違和感を感じていませんが――」

「そういえば僕はお城の中に居たはずだったんですけど」

そう――僕をこのお城まで連れてきてくれた女性が僕の側に立っているのである。彼女はこのお城の中でも地位の高い立場の女性で「女神様のお世話をする係」の一人で、他の人が嫌がるような汚れ仕事を進んで行うのだと教えてくれたのだ。そんな彼女がどうして僕のお城に来ているのかという疑問が僕の中に生まれてきたのだが、それを彼女に尋ねてみるのと同時に「どうして僕の事を助けてくれたんですか?」と尋ねる事も忘れずにすることが出来たのである。

しかし彼女は僕の質問に答えてくれない。それどころか、僕に何も言わないまま、僕の手を掴むと僕の事を無理やり連れ出してどこかへ案内し始めたのだ。僕にとってはそんな風にされる意味がわからなかった。そして、どうしてこんな事になったのか理由を聞きたいと思っていたのだけれど、彼女の背中越しに見える窓の外に広がっている風景に目を奪われたのだ。

それはまさにファンタジーの世界に迷い込んだかのような景色で、中世ヨーロッパ時代という異世界において僕は「冒険の始まり」を感じるのだった。

***僕は自分の部屋に戻って来たけれど、やはりお母様達の姿はなかった。だから女魔術師さんと二人っきりの部屋の中に僕は取り残されることになったのである。お城の人たちは僕が「お母様と離れたくない!」とわがままを言い始めたと思っているらしく、僕に対して優しげに話しかけてきたのだ。僕はその人たちに笑顔を見せつつも心の中では「僕を置いて行った」というお母様達に対する不信感を抱いていた。そして僕は、お城にある本を読む許可が出た事を伝えてくれたお城の人に連れられてお城の中にある書庫へと向かったのだ。

そこで、僕が最初に選んだ本が――『魔女について』とタイトルが付けられた一冊の書であった。僕としては「この世界に魔術が存在するのならば魔法についての知識が必要だ」と考えていた。そして――この世界に居るであろう僕以外の「神様に選ばれた人間」についての情報を知る必要もあったのである。僕は神様に「どんな事でも知り得る能力を与えてくれる」と言われて「異世界」に送られたのだから。だからこそ神様に与えられた「魔法の才能」というものを上手く活用する事によって、僕の事をこの世界に送り込んだ存在が何者で何を考えているのかを調べようとも思っていたのだ。だから僕はこの本を選んだのである。

「神様の言っている事は間違いなかったようです」

僕は神様から教えられていた通りだったのである。僕はこの世界に存在する魔術師さんや魔法使いさんが扱う魔法の術式を理解する事が出来たのだ。しかも――魔法を発動させるために必要な魔力は神様が与えてくれていたので――魔法を使う事が僕にも出来るようになっていた。しかし――魔法が使えるようになっていても僕の心は「寂しさ」を感じていたのである。その理由は、僕には「お母さんとお姉さんと妹の四人の姉妹がいる」はずだからだ。そんな彼女たちにもう二度と会うことができないという事実が僕に寂しさを覚えさせたのである。しかしそんな感情に浸っている時間は無かった。お城の中にいた僕の事を快く思っていないお姉様に似た顔を持つお婆さん――僕をここへ連れてきた女魔術師さんは、何かを必死に調べていたのだから。僕は「この人はいったい何をしているのだろうか?」と思ってしまったのだけれど、僕は女魔術師さんの邪魔にならないように気を付けながら「僕には何が出来るのだろう?」と考えることにした。そこで思いついたのが「僕が神様にお願いしていた通りなら「神様の力を分け与えられた人間には神様から授かった特別な才能が一つだけ備わっている」と言われている」という言葉である。そこで僕は自分の体を「ステータス」と心の中で呟いてみたのだ。すると「神様の力で生み出された特別な力が宿る特殊な水晶球」が僕の目の前に現れたのである。それはまるで、この世界に来る前から僕の目の前にあったかのように僕の目の前で浮いていたのであった。

***僕が自分の体の中に存在している力の存在を確かめる為に「念じる事で発動できる不思議な球体が存在しているかを確認することが出来る」という能力を使っていると、僕の視界に「レベル1: 名前 未設定 年齢 十五歳」という文字が現れていた。さらに詳しく見ていくと「種族 人間の男性」「筋力 三〇」「体力 六五」「瞬発力七九」「精神 二五」「知力八〇」「運 十」と書かれているのを発見する事ができた。どうやらこれが、この世界で神様に与えられる「ギフト」と呼ばれる物のようで、これを確認すれば自分が持っている特別な才能を見極める事が可能らしい。僕が試しに見つめてみると「知力と知力以外」の数値が数値化されている事を発見した。僕はここでようやく自分が神様から貰えた力を確認することに成功したのである。僕は、自分が貰った神様から与えられているという能力に満足しながら、この世界の書物で得た知識を利用して「神様に教えて貰った内容を思い出しながら、この世界の成り立ちと歴史を書き記していく事にしたのである。

「僕も、いつかは元の世界に帰れるかもしれない」

僕に残されている時間は、僕を「現代社会に暮らしていたはずの高校生の男の子」という身分と地位と財産を全て奪い取って――その代わりに、お姉様の外見的特徴をそっくりそのままコピーして作り上げたような――「女魔術師の格好をした女性」として生きなければいけなくなるのだ。そして「僕の身代わりになってくれてありがとうございます」と言うことになってしまうのである。だけど僕がお城に暮らすようになったとしても――お城の人達は僕の家族のように僕を大事にしてくれるのだろうか?そんな不安を抱えながら僕は筆を進めていくのだった。

僕の書いている本のタイトルは――「この世界で神様から貰った僕だけが使うことのできる「特別なお話」を、この世界で書き記す事になりました。そして、このお話を本にして売り出すことにより――僕は「この世界で一生暮らしていけるだけの資金を稼ぐ事が出来ます」」という内容になるのである。そうすることで「お城の人たちに僕は必要ないと思われる存在になってしまった場合でも僕はお城から出ていく事も可能になるし――僕はお金を得る事ができる」と考えたのである。そうする事で「この世界で僕を必要としてくれる人を見つけ出し助けになってくれる人を見つける」といった事が出来るのではないかと思い至ったのだ。

***そんな風に考えながらも僕はお城を抜け出し、この国の中を自由に歩くことを許されている唯一の人間として――僕が書いた本をお店の棚に置く許可を得る為に必要な事を、この国で一番偉い人と話す必要があったのである。その人こそが僕にとって大切な人であり恩人だったりする。僕はこの人の為にもお城の外へ出て自由に動き回れるようになりたいと願っていたのである。そんな風に考えていた僕は「神様に教えて貰ったことを忘れずに書いておかなければならない」と思い立ち、お城の外に出て歩き回りながら執筆を始めていた。しかし、僕は途中で意識を失い倒れたのだ。

目が覚めると僕は、また別の部屋の中にいた。そこは、お城の外に繋がる扉が近くにある部屋のようで――僕をここまで運んでくれた人が僕の側に立っていたのだ。僕が彼女にお礼を言った後、僕は彼女の名前を教えてくれたのだが――僕は、彼女の事を何故か覚える事が出来なかったのである。そして彼女が「どうして僕を助けてくれたのか?」と尋ねると、彼女は答えてくれたのだ。

「貴女は「魔女」の素質を持っていました。その力を私達は「神」から与えられています。だからこそ貴女のような存在を助けたいと思う気持ちが私の中にはあります」

と、言う答えを彼女は口にしてくれて、僕が倒れる直前に書いていたノートとペンを貸してくれたのである。

僕は彼女に感謝の言葉を述べてから「これからよろしくお願いしますね」と言った。彼女はそんな僕の言葉に答えることなく黙り込んだままだった。僕は彼女に嫌われたのかと思って落ち込んだのだけれど、彼女に抱きかかえられて彼女の家に連れてこられた後に「今からこの家で働いてもらう」という命令を下されたのであった。しかし――。

「えっと。どうして僕がこんな事をしなければならないんですか?」

「お母様の命令ですよ」

と――女魔術師は僕の問いかけに対して答えると、僕の腕を掴むと強引に引っ張り出して、僕の手の中に握られているメモ用紙を奪おうとしたのだ。

僕にとっては、なぜそんな事をしてくるのか理解できずに戸惑う事しかできなかった。しかし――女魔術師が、お母様に頼まれていたのであろう「この家のお掃除や料理などを一人で全部やり遂げなければいけない」と言われた僕は「女魔術師さんから、この家から追い出されるんじゃないか」という考えに至ることができた。そうなってしまう前に、僕は女魔術士さんの手から逃れて逃げ出そうと考えたのだ。

でも僕は女魔術師さんから「この家はお城の外にあるけれど――この場所からは絶対に出ないで下さい。あと、貴女の事は「魔女」という特殊な存在であるという理由と「神の奇跡の御業」という特別な能力をお母様から授けられていた人間だからという理由で保護することになっているから。安心してほしい」と言われる事になったのである。

***僕は自分の部屋に戻ってきて、先程書いた文章を読み返していた。そこには――僕の知っている限りの事が書かれているはずだったのだ。そして僕の頭の中に残っていた「異世界で僕と一緒に過ごす事になる女魔術師さんの名前が分からない」という状況は解消された。しかし僕の心の中に残る「お姉様の顔に瓜二つの顔を持つ女性の事を思い出すことが出来ない」という事態を解消することは、神様が与えた能力を使っても不可能なのだという事も知ったのである。

僕は自分の身に起こっている不思議な出来事を解明する事に成功した。しかし僕の心の中は不安でいっぱいになったのであった。僕はこの世界に「魔法」が存在しているという事実を知った。それどころか、この世界に存在する人達が「神様に与えられた特別な能力」だと言って使っている「特別な能力を持っている人にしか使えない魔法」というものも存在しているらしいのだ。そして、それらの力を手に入れれば「元の世界に帰りたいと思っている僕の心は満たされて、もう何も苦しまなくてすむ」と思っていた。しかし現実は違っていて、僕は自分が魔法という特別な力を扱えるという「魔法の才能」というものを与えられただけで、僕が欲しいと思った魔法の才能は貰えなかった。

でも――僕は魔法が使えなくても魔法を扱うための手段を知る事はできた。だから、もしもこの家にお世話にならずに自力で生活していこうと考えているのならば――僕にも出来ることがあるはずだ。例えば僕はお城の人に雇われている使用人の方々から「魔女の力を秘めているかもしれないから守らないといけない」という判断をされた「お嬢様」のフリをしていれば、きっと僕は「この国の人達に愛されて幸せに暮らす事が出来るのではないか?」と考え始めた。そこで僕は「お城の中に暮らしているお姫様のお友達」を演じようと思って――まずは「自分の名前を「アリア」という名前に変えて、僕を雇ってくれたこの家のお嬢様が呼んでいる「アリアン」という呼び方をしてもらうことにした。

***「僕の心が寂しいと感じていた理由は、「僕の身代わりになってしまった人の名前を思い出せないままでいたからだ」という事に気が付きました。僕の記憶の中にある名前も一緒に忘れてしまったらしくて――僕に分かるのはこの「女魔術師」と呼ばれる人が「僕とそっくりな外見の女性」であるという事実だけである。

「女魔術師さんの見た目を一言で言うのなら「お城の人達が可愛がっているお姫様によく似ているけどお城の中で一番美しい女性」みたいな容姿をしているのだ。僕は「お姉さまに似た顔で綺麗なお姉さん」が居るんだと思う事で幸せな気持ちになれる事ができたから、それで満足しようと思ったのである。そして僕には女魔術師さん以外にも――優しい心を持ち合わせていて「何か困ったことが起きた時に頼ることが出来る存在として頼ってもいい相手として考える事が出来たら嬉しいかな」と考えていた。だから「お城の外から僕に話しかけてくれるようになった親切な人」が居たのだけど、その相手が誰なのか? それが分かった時に「お城に暮らす人々にとって僕が必要では無くなっていたのだと知る事が出来る」のではないかと思うようになった。

だけど僕に残されている時間は少ないのだ。僕が元の世界に帰る事が出来るかもしれない時間は――僕が神様の力を使いこなす事が出来るようになるまでの時間が――限られているからである。その短い時間で「お城に住む人達に必要とされている僕を僕自身に証明してみせた上で僕はこの世界に残るべきかどうかを決める必要がある」と考えたのだった。そして僕はお城の人の中でも僕のお世話をしに来る人が特に多くなっている。「僕の身の回りのことを管理するためにお付きの人として働いている女執事」に手紙を書いて相談することに決めたのである。そして僕が出した答えが「僕は女騎士が着ていたような服を着る」事である。そして「僕のお守りをする仕事を任せられている侍女」が僕に対して抱いている気持ちを利用して「お城から逃げ出す準備を始めます」といった内容の返事を書く事にしたのだった。

僕は神様から貰ったノートに書かれた文章を書き終えると、自分の記憶の中だけを頼りにして「女剣士が身につけていたような防具を自作で作り出せるように努力したいと思うようになった。そして僕は――女戦士の姿へと変化する為の準備を始めることにする。

女戦士とは「剣と魔法の世界で男性に変わって活躍するための存在」として生み出される事が多く――お城の人たちの憧れの的となる存在でもあるらしい。だから、そういった人たちに憧れている人は僕の周りに集まってきてくれたのだ。だけど「お城での生活」に馴染むためには、女騎士の姿をしている僕と女戦士の姿になっている僕と両方を同じくらい必要としてくれる存在が欲しかった。そうしないと、僕を必要としてくれる人を探そうとしても、上手くいかなくなってしまう可能性が高いと考えたのである。だから、その問題を解決するためには、僕も女騎士と同じ姿になれなければいけなかったのである。

僕が今から作ろうとしていた物は――「僕の代わりに戦ってくれる人」のための武器と鎧なのだ。「僕を守る為に戦ってくれる大切な人」が戦いで怪我をしないようにするための物であり――僕を守るために命を落とした人が持っていた装備の予備を作るつもりだ。そして僕の大切な人を守ってくれるであろう道具を作り出した後は、お城の外に出るための準備を進める必要があるのだ。

この世界の人たちは、神が住んでいるとされるお城の外に出るときには武装して出る。つまり――お城の外に出ることを許された「勇者」や、このお城の周辺に住み続けている人々から見れば「敵が紛れ込んでいるかもしれない危険な場所にわざわざ向かうなんて馬鹿なことを考えるのは止めなさい」と忠告されてしまうぐらいの危険地帯になるのだ。しかし、このお城の中で生活している「普通の人間」達にとっては違うらしいのである。だからこそ「僕はこの国で暮らす他の人よりも「特別な能力を与えられていない普通の人間のはず」なので、もしも僕がこの国から逃げ出してお城の外に逃げ出したりしたら、この国は混乱に陥る可能性だってあるだろうし。その時には――お城の人から「お前を匿っていたせいで大変な事になったんだから、これから一生責任を取るつもりで私の命令に絶対に従う奴隷になりながら生きるか?」と言われてしまう可能性もあるのではないだろうか? 僕はそういった危険に自分から飛び込みたい訳じゃ無い。

僕が女戦士に変身するために必要な物を作り上げようとしたとき、僕は自分が変身しようと思う女騎士の姿の格好をしていた時の事を、思い出すことになってしまったのである。そして僕の心の中には、「お城の中で一番強いと言われている女兵士」の事を思い出したのである。彼女は――このお城に住んでいる人で、女王様の命令に背いてでも「私のために動いてくれ」と頼まれたら、自分の意思で動こうとする人だった。彼女は、お城を抜け出した女魔術師を探し出す仕事を引き受けていたのだが――彼女は僕を見つけることができなかったのだ。そして女騎士に変身する事ができる女兵士が僕を捕らえに来たときに――僕は、お城の外まで逃げ延びた後に捕まってしまったのであった。

僕のお姉さまに似ている人だけれど――彼女の名前は分からないのだけれど「僕を捕まえに来てくれた時の名前を知っている人が近くに居る」という事が分かっているだけでも僕は安心することができた。僕は彼女に自分の姿を晒すことになってもいいと思い始めるようになっていた。それは彼女が持っている強さに惹かれたのか? それとも彼女の容姿が僕の心に残っていた誰かと似ていると感じたのか? どちらか分からなかった。それでも――もしも僕を追いかけて来てくれていた彼女に会う事ができれば――きっと、僕には分かるはずである。僕は、自分が女騎士の姿に変身したときに使っている服を身に着けてみたのである。そして、この国の女戦士が使っていると思われる武器の作り方を勉強する事にした。

***僕は、自分が女剣士になれると信じて頑張ってみたのだけど――僕には才能が有ったみたいで、僕の体は「女剣士が使っているはずの剣と、魔法を使うために必要となる杖」を作り出すことが出来たのである。これで僕の心の中にあった問題の大半は解決できた。でも、僕の頭の中から消える事が無い「このお城に暮らす人達は僕のことを特別だと思ってくれない」という問題だけは解決することが出来なった。僕に残されている時間が、どれ位なのかは神様でも分からないと言っていた。しかし僕は、もうすぐ神様の力で元の世界に戻れるという状態に戻るらしい。

「アリアちゃんは私がお城の中に暮らしている人の中で最も強く、賢い子よ! 私はねアリアが大好きだし、愛していて、アリアは私だけのものだと思ってもいるわ!」「だから――アリアがどんなに苦しくても辛くても絶対に助けてあげる。それにアリアは私が居ないと何も出来ないでしょう?」「ねえ――どうしてアリアはそんなにも寂しい表情ばかり浮かべているの? お母様に教えて欲しいことがあるのなら遠慮せずにおっしゃいな。アリアのためならば私は何を犠牲にしてもかまわないと思っているの。そしてアリアは誰にも渡さないわ。アリアの全ては、私のものなんだから。分かったかしら? それなら、もっと笑顔になってみせましょう。あなたに寂しい顔をさせないように頑張らないと、お城の人達に怒られちゃうじゃないの」と言って僕を抱きしめてくれるのだ。そして「このお城に居る皆はアリアの味方なの」と言うのだ。僕には「アリアを愛さずにはいられない人達が沢山いるの」という言葉の意味がよく理解できなかった。そして僕は思ったのだ。この人達が僕に好意を向けているのは――僕が女神の力を使って作った女神様が姿を変えた「女魔術師の生まれ変わり」だからである。この人達の心の中にある「愛したいと思う心」を作り出している根源は「神様が作った存在」だからだと思うことにした。

***

「僕の力だけでは足りない」

僕は「神様の力だけでは何も足りず、この世界で生きて行く事はできないかもしれない」と思えてならなかったのである。だからこそ僕は――僕の身体の中にある力を「別の形で活用する方法」が有るのではないかと思いついたのだ。僕は「女騎士の姿をした僕のお姉さまが身につけている装備品」を作ってみる事にしたのである。そうすれば僕は――この世界の人では真似をすることができないような動き方で、戦うことができるかもしれないと考えたのだ。僕自身が強くなるには「神様に与えられた能力を自分の物にする必要があるのだから、神様に手伝ってもらって作るのではなくて自分自身の力を利用して作ってみる必要があるんじゃないか」と思ったのだ。

僕は女騎士の姿になっていた頃の感覚を思い出せるだけ思い出すように努力して、その時に使った武器を作る事が出来るように努力してみた。すると――僕の手に、あの時に使っていた武器と同じ形の物を生み出すことに成功したのだ。だけど僕が作り出した武器を見た女神様は――こう言ったのである。「あなたの力で生み出せたのは剣と魔法の世界の人にしか作れない物です」と。だから「お城に住む人達からしてみれば「これはお城の人以外の何者かが作り出した武器」だと認識される可能性が高いですね」とも付け加えていた。

僕は自分が作り出した武器の事を考えて「これなら僕の力が弱い人であっても十分に戦えるようになるはずだ」と考えながら、僕の代わりに戦ってくれそうな人の装備を作る作業を始めたのである。そして――女戦士に変身するための準備を終わらせて僕はお城の外へ逃げ出す計画を立てる事にしたのだった。そして僕は女魔術師の格好をしている自分の姿を、女騎士へと変化させてみる事にするのだった。そして、自分の体を変化させようとして意識した事で自分の中に眠っている力が目を覚ますような不思議な現象が起きる。しかし、それは本当に一瞬の事だった。次の瞬間に起きたことは――僕が女剣士の姿になった状態で動けなくなるという出来事であった。だけど僕はすぐに気がついたのだ。

「僕の体に起きている異変は僕の意思で制御できる範囲内の出来事なのだ」と。そして僕が作り出した女剣も、僕の手の中で光り輝く光の塊に変わっていったのである。そして、この武器を作れるようになった理由が分かった。女剣士が自分の能力を最大限に引き出す為の武器を作り出す事は「女剣士の魂を持つ僕しか出来ないこと」であると。

「お城の外に出る前に自分の力を使いこなす方法を学ばなければいけなくなったみたいだ」僕は女戦士の姿になる準備を始めることに決める。僕は自分の意思で女戦士の姿をしているときの身体能力を自由に操ることができるようになっているのだが、この姿で自分の体をコントロールするために必要な訓練を行う必要があると思えるようになったのである。そして――自分の姿に合った戦い方ができないせいで負けてしまった事が何度もあったのだ。だからこそ「お城の外での戦い方を学ぶ必要が有るだろう。お城の人たちに「僕と一緒に外の世界に出ようと約束してくれる人が欲しい」と考えたところで、僕は思い浮かんだ顔を振り払うかのように首を左右に振りながら――「そんな都合の良い人なんていないだろう」と考えたのだ。だけど、僕の事を好いてくれていて――一緒にこのお城の外に出る事を誓ってくれる人が居てくれたのならば。その人は僕のために戦おうとしてくれるだろうと考えたのである。僕は――この世界に来た時から持っていた、自分の中の「何か特別な感情」が何であるのかを考える時間を作り始めた。それはきっと僕にとって「お城の外で暮らす事になるとしても大切な人であるはず」だと思いたかったのだ。だから僕は自分の心に問いかけ続けたのである。そうしなければ僕は――大切な物を失うことになると感じたから。

「お城で暮らしている皆から嫌われてでも、この世界を生きて行く為に大切な人を探さなければならない。お城の外に居る人であれば、僕を守ってくれるはず」

僕はお城の外で暮らすことになった場合の事を色々と考えてみた。そして――お城の中で過ごすよりも、このお城を出て行った方が良いと考えるようになってきていたのであった。この世界に居る他の人達は――僕のような人間に優しいわけではない。

だけど、僕の事を嫌いになったり、怖がったりするわけでもない。僕の力を理解して僕に好意的な反応を返してくれたり、僕の力を認めて僕が作り上げた女剣士の剣を使ってくれたりする。だから僕も彼らのことを信頼しようと思うのだ。僕は自分のお城の中にいる人達に迷惑をかけたくはない。僕のせいで彼らが傷つく事が有るとしたら――僕は耐えることができないと思う。

だから、僕には自分の力に責任がある。「僕にはこのお城を飛び出した先で、自分を受け入れてくれる相手が居たなら――その人に僕の全てを捧げても後悔しないと思うほど大事な物が有るような気がしてきた。それが何なのかは分からないけれど、それを手に入れるためにはお城を飛び出すことが必要な事だと考えた」のであった。


***

僕に出来ることは――この世界で生きて行けるように女戦士の恰好をした僕の女騎士の時の記憶を思い出して女騎士の力を引き出す方法を考えていく事。そして僕自身の肉体の力を鍛え上げる事。それだけが今僕がやるべきことだと判断したのだった。僕に話しかけてきたのは――この国の王様らしいけど――「この国の平和が保たれているのも君のおかげだ」と言ってくれて僕の力になってくれた。それに僕のお願いを聞いて、僕と僕の家族が住む家の場所を用意してくれると言ったのだ。でも、それは後でいいと思った。まずは自分の力でどこまでやれるか確認したかったからである。

それに「女神様の力で変身した女魔術師の力は、僕が持っている魔力を遥かに凌駕する物」だという事も判明した。だからこそ僕は自分の実力がどこまで通用するかを確かめたかったのである。僕は女剣士の姿になり剣を振るい、その感触を自分の手に覚えこませる。そして――「僕はこの国にあるお城の周辺を守る騎士団を相手にして、女剣技を試してみたい」と申し出たのだった。そして僕は女剣闘士となり、僕の力を確認するための戦闘を開始したのである。しかし――

僕は「女剣闘士の力」に頼った状態で、僕の本来の力を発揮することができなくなっていたのだった。「どうして? この力があれば、僕は誰にも負けないんじゃなかったの?」と思いながらも、僕は自分が生み出した女戦士の力を、上手く使うことができなかったのである。


***

僕は「自分の力がどの程度なのか?」を知りたくなって女剣闘士の姿に姿を変えて女騎士の力を扱える状態を維持し続けるために努力をする事にしたのだ。僕自身で作り出した女騎士の力を使い続ければ、「自分の本当の力と向き合うことが出来るのではないか?」と思えたからである。

それに女神様の力で僕に与えられた女剣闘士としての能力と――僕が作り出した女剣士としての能力とでは根本的に異なっている部分が多いように思えて来たのだ。そこで僕は「自分が使えるようにした力を完全に使いこなせるようにしたい」と思うようになっていったのである。そして「この世界の常識とは違った力の使い方をしている」という事に改めて気がついた。僕が作った女戦士の武器は――この世界の人間が扱う物とは違っている事に。

***

僕が女騎士の力を「この世界に住む人には作れないはずの武器を作り出しているからこそ――女騎士の魂を持っていると言われている女戦士の力は強力で、僕の身体にも大きな変化をもたらしている。僕の心の中にある女神様から与えられた女騎士の力と女剣士の力の「違いを理解できていなければ――僕の体は僕の身体ではなくなり、僕は死ぬかもしれない。だからこそ、自分の心の中にある違和感の原因を突き止める必要があるのだ」僕は女剣闘の力をコントロールできるような感覚を覚えるまでは、自分の力を制御しながら戦わなければいけないと考えていた。だから――「僕は僕の力を使う為の方法を覚えたい」と思えたのだ。そうすれば「この世界の人たちに負けないような力を持つ事が出来るようになる」と考えたのだ。

だから僕は、この世界にいる人たちと同じように戦うことができるように努力するべきだと、自分の気持ちに素直に行動を起こすことができたのである。そして僕は「僕の力は、お城の中に住んでいる人々には受け入れてもらえないだろう」と考え始めた。だけど「僕はこの世界で生きなければならない存在」だから、僕は僕に与えられた能力を使っていく必要があると僕は思ったのだ。

そうやって僕なりの努力をしている中で、お城の人たちは僕を助けてくれようとするようになったのである。そのせいで僕はますます困ってしまう。だって僕は――僕の事を見捨てて欲しいと思ったから。僕はお城の皆に対して何も恩返しできていない。だからせめて、この世界の人を守るために、この世界から消え去ってしまった女騎士の魂をこの身に宿している者として頑張ろうと思っていたのに――皆から大切に扱われてしまうと僕の気持ちが揺れ動いてしまうのだ。

だからこそ僕は――女剣闘士の姿をした自分の力で、僕の力がどれだけ通じるのかを確かめることにした。そして、僕に「女剣士としての力を与えてくれた人」に感謝の言葉を告げると決めたのであった。僕は僕の意思が弱い事を実感してしまう。なぜならば「この世界に残っていても良いんじゃないか」と、僕の中に残っている感情が訴えかけてくるからだ。でも――「僕は元の世界に帰るんだ!」と言い聞かすと、僕は僕の意思に従うことが出来たのであった。だから僕は「女剣士の格好になった時の僕の力を最大限に発揮する戦い方をしなくてはダメだ」と強く意識したのだ。そして――女剣士になった時だけ使う事が許される、あの必殺技を発動させることに決めたのである。僕は自分の体の中から沸き上がって来る力を解放させて、全身を白い輝きで包み込んだ。そして――僕はこのお城を守る為に女戦士となった僕の姿をした女性に向かって斬りかかったのである!

「僕は――お城を守るための女剣闘士なんだから!!」

「僕がこのお城から出て行く事を決めた理由には、このお城から外に出た後の事を考えていたことも関係していたりする」

そして、この世界には「この世界の人にとって脅威となる生物が存在している」。だから僕は自分の力を使いこなす事ができれば、お城の中で生活していく事が可能になるはずだと考えたのだ。

僕はお城の中に存在する図書館の中で見つけた本の内容を頭の中に思い浮かべながら、女剣闘士としての力を使いこなす為の練習を行うようになっていたのであった。僕の中に眠る「女騎士と女剣闘士」の二つに分かれた「僕にしかできない力」の扱いに慣れるように――僕は毎日自分の体に鞭を打つかのように特訓を続けた。その結果――女剣闘士の姿になれる時間は少しずつ伸びて行ったのである。そうしている間にも僕のお城で暮らす人々は僕を褒め称えて感謝してくれて、それが嬉しくないわけじゃないけれど――やっぱりお城の中で過ごしていても僕はお城の外の景色を見たくなるわけで、僕の中の感情を抑える事はできなくなって来た。そして僕は女剣闘士の力を使いこなすための修行を、女魔術師の姿に変身してから行うことを決めるのであった。

僕の中の力が強ければ強いほどに――僕の姿が変化した時に発生する現象が変わってきてしまうのだ。そして僕は女戦士から女魔術師へ変化させた時は「女騎士の時に使えていた力が、さらに強力になるのを感じた。女剣闘士に変化させている時より女魔術師の姿に変化させた時の方が、僕の身体能力は大幅に上がるみたいだ。僕は自分の力で「この世界の人を守る事ができる力を手に入れたのだと」実感することができたのだ。しかし――僕の中に存在していた女剣士としての魂も僕の中ではどんどんと存在感を増していくのを感じるようになっていった。だから僕は「自分の力に振り回されてはいけない」と自分に言い聞かせて冷静になるように務めていたのであった。でも――僕はこのお城で過ごす日々を過ごすうちに、だんだんとその状況に耐え切れなくなってきたのである。僕は僕の心の中にある不安を取り除こうと思って、僕は「自分の心を騙す方法を考える」事にするのだった。

***

「僕には――「女騎士の剣と盾」を生み出す力が与えられているけれど――僕自身は、ただ単に「その力を与えられただけでしかない」。それ故に――女騎士の姿になって戦ったとしても「僕自身の力が女騎士の魂を内包している」という証明にはなりえないのである。そもそも女騎士の力というのは――僕の力じゃなくて「この世界に存在する人達が持つべき力」だったのだと思う。だからこそ、僕はこの世界の人から信頼される存在にならないといけなんだよ」

だからこそ僕は――僕の心に秘めている想いを伝えるために行動に出る。僕の本当の力を引き出せるようになれれば――僕が女騎士の力を振るって、自分の身を守る事ができなければ僕の存在が危険にさらされる可能性が高まってしまうと思ったのだ。僕は女剣士と女戦士としての力を扱う訓練を始めたのだ。そうする事で女戦士と女剣士の力を完全に制御して使えるようになっても、僕は女戦士や女剣闘士として戦う事に決めている。だから今はとにかく女剣士の力も上手く使えるようにならないといけない。

「それに――僕は僕の力を使いこなしていけば――きっとお城を抜け出して自分の力を証明する事もできるはずなのだから――」「僕は僕の力を自由に扱う事が出来るような強さを手に入れる事が出来たら、お城の外で暮らしている人達を救いに行くんだ。そして僕は僕の力で、この国の皆を守って見せるんだ」

そんな感じで女剣士の力を操る練習を続けている中で、女剣士に変身できる時間が少しずつ延びていき女剣闘士の姿に変化する事よりも長くなって来て――女剣闘士の時には使うことの出来ない力であるはずの女剣技を使うことが出来るようになった。しかし女剣闘士に変身する時間より女剣士に変身する時間に費やせるようになった事で「女剣闘士の姿を維持するために必要な力」を常に維持する事が出来るようになり始めていたのであった。しかしそれでも女剣闘士の状態を維持できるようになるためには、僕にはまだ足りない部分が多かったのだ。そうして僕は「女剣闘士として戦う力を身に付ける事は出来ていない」と思い始めてしまっていたのである。

「僕の身体の中に眠っている女戦士の魂は僕自身が女剣士として力を使ってきた時とは違って――僕には制御する事が出来ていないんだ」

僕の中に存在する女騎士の魂の力は――女戦士の力とは比べ物にはならないぐらいに大きくなっていた。それはまるで女神様が僕に施してくれた処置を嘲笑うかの如く大きくなっていく。僕は自分の体の中にある女剣士の力と女剣闘の力を両方同時に扱えるようにしようと必死になっていたのであった。

そうしなければ「お城の外へ出ることさえできないのではないか?」と考えて――僕が今いる場所から離れられないのではないか? 僕はそんな恐怖を感じながら毎日過ごしていたのである。そして僕は――女剣士の状態で女騎士の力を使うことを覚えようとした。すると――僕の手の中に生まれたのは、「女騎士の剣」と「盾」だったのだ。僕は自分の身体の中から湧き上がった力で、僕の体を傷つけずに扱う事に成功する。

そして女剣闘士の姿で戦える時間が増えてくると同時に、僕は女剣士の姿を維持する事が出来る時間を伸ばそうと試みる。女剣士に姿を変えてから、女剣闘士の力を扱おうとしている間に「僕の身体に眠る二つの力」を同時に使う事を覚えたのである。女剣士の力と女戦士の力、僕はこの二種類の力を自由自在に扱えるようになっていた。

そして僕が自分自身に自信を持つようになるにつれて、僕の身体に宿っていた力は――次第に消え去って行く。僕の中に存在していた女剣士の力と女剣闘の力が消えた後は「僕がこのお城で生活する理由は無くなる」と考えてしまったのだ。僕は自分の意思でお城から飛び出す事を決めたのである。そして僕の中にいた女騎士の魂をこの世に解き放つために「女騎士に変身する事を決意したのであった」。

僕は女剣闘士と女剣騎士、この二つの力を駆使して戦う力を身につけた。そしてこの力を使いこなすことで、僕はお城の外の世界に飛び込むための準備を終える事が出来たのであった。そして僕は女魔術師の姿に変化させた状態で「女剣闘士の姿」と「女剣闘士の姿になった時の僕」を使い分けながらこの世界の人々を救う為に旅を始める事にしたのだ。僕は「お城から外に出たらまずは何をしなければいけないのか」について考えると、僕は僕の中に存在する力の事をもっと詳しく調べる必要があると考えたのであった。だからこそ僕は「この世界の外には僕の知らない何かが存在しているのではないだろうか」と考えたのだ。


***

この世界の外側の世界には「魔法と呼ばれる現象が存在しているらしい」。だからこの世界では「魔法を使ったり魔法のような力を使っている人々が存在する世界がある」と考える方が自然だと思えるのだ。しかし「僕が元々暮らしていた世界でそんな話は聞かなかった」。つまりこの世界で魔法の力を使うことができる人間が存在している事は――僕の住んでいた世界でも同じだと考えられる。そうでなければ女剣士の力や女剣闘士の力を僕にくれた存在が僕をここに送り込んだ意味が分からないからだ。

そして――僕は僕の中に眠っている力が「魔法という現象を発生させるもの」だと考えていたのだ。「この世界で起きている全ての現象の原因になっている力は何なのだろうか?」僕はその事を調べる必要があったのである。もしも僕の予想が正しいとすれば――女剣士と女剣闘士の力を使えるようになっていれば「魔法と言うものが一体何なのか?」ということを調べてみたいと考えたのである。だから僕としては、まず最初に僕がお城の中で見つけた「魔法書」を読んでみることにしたのであった。

しかし僕は女剣士として「僕自身の肉体の中に存在している女騎士の魂」の力を使いこなさなければ「魔法を扱いこなす」ことはできないのだと確信をしていた。その為に僕は僕の中に存在する女騎士の魂の扱い方を知るために「お城の書物庫の中にある魔法書を読むことにしたのである。女剣闘士の姿をしている間は「僕が使うことが出来る女剣闘士の技」しか使えないけれど、女剣闘士の力を使わなくても僕は自分の持っている知識だけで「僕の身に眠る力の正体」を見極められるのではないかと思えてきたのであった。そして僕が手に取ったのはこの国の歴史が書かれた歴史書であった。そして僕は「女剣闘士の姿のままで魔法を扱おうとすると女剣闘士の姿を維持していられなくなる」という問題点を解消するために僕は「自分が身につけたいと思った知識」を、女剣闘士の姿でも扱える力に変えてみることにするのであった。


***

という訳で僕はお城の本を読み進めて行って――僕の体内に存在していた「僕の体から切り離された後もなお僕と一緒に居続ける力の存在」を知ろうとしたのである。その結果として「僕は僕の力の本質を掴めなかったのであった」。結局のところ僕の中に「女剣闘士と女剣闘士が持っていた二つの力のどちらにも当てはまる事が無い新しい力」が眠っていて――僕の体の奥底にあるのだと分かっただけであった。だがその事を知った時に「僕の体に眠っていた力」は「僕自身の体の中に存在していた女剣闘士の力と同じように扱う事が出来るかもしれない」と思う事が出来たのである。そうして僕は「女剣士と女剣闘士の力の両方を使えるようになった」という状態になると「自分の中に眠っていたもう一つの力」の事を理解できたような気がしていたのであった。しかし「その事を理解しても、僕の体には変化が起きず、女剣闘士の姿で「自分の体を変化させずに僕の中の力だけを変化させていく」という事もできるようになったのであった。


***

そんなわけで僕達は次の日に備えて眠りについたのである。しかし翌日になり朝を迎えた時になっても、特にこれといった問題が起きることは無かったのである。しかし、僕達はすぐに異常に気がついたのであった。それは僕達が昨日まで使っていたはずの寝室とはまったく別の部屋に僕達は迷い込んでいたからである。そして僕が部屋を探索しようとすると、僕はこの世界の人達の言葉を話す事ができるようになり僕はこの世界の人と話す事に成功したのだ。そう――「僕達が住んでいた世界とは別の世界に、僕が迷い込んだのだ」と実感したのである。

でもまあ僕は別に焦ったりしないで、自分の力で出来る事を探しながらこの異世界での生活をしていく事を決意する事ができたのだった。だからとりあえず僕は自分の体を変化させることができるようになる方法を探すために行動を開始することにした。僕達の目の前に現れた謎の女性は、この城の「姫巫女の力を持つ人物」であるらしい。僕は彼女が言ったことを信用して、僕に「自分の体を変える能力」が備わっていないかを確認する為に「自分の姿形を変えてみたのであった」。

僕が自分の体の状態を女剣士の姿に変えたまま維持している間なら――僕の体は自由に変形することができるようだった。だから女剣士の身体の構造を、僕は自分の身体の構造を少し変えた状態で維持する事に決めて――僕達は自分の体が本来持つべき姿を探そうと動き始めたのだ。そして僕と僕の仲間である二人も女戦士と女戦士と同じ姿になって歩き始める事になった。僕は自分が持つ女剣士の身体に秘められた力と、僕の中に存在する力を使う事で僕達に襲いかかってくる相手を倒すことが出来ると確信していた。そして僕がこの世界に来る前に、僕はこの世界へやって来たのだろうと考えていた。僕は自分の力で「自分の身体に眠る力を目覚めさせて自分の力として扱う」という技術を手に入れる事ができていて――女剣闘士の力で僕の体の中に存在する女騎士の力を扱えるようになっているからこそ「僕に眠っていた二つの力を同時に使いこなしながら、僕は自分の力を自在に扱えるようになっていく」。

「さっそく僕に眠っている力の正体が何なのかを調べる必要がある」と、考えたのであった。僕は女剣闘士の力を使おうとした瞬間に――僕はこの世界での僕の肉体が変化してしまったことに気付いたのである。そして僕には――自分の体を変化せずに僕の中に存在している「女騎士の力を扱う事が可能だ」という事を知ってしまったのであった。しかし――女騎士の力が僕に影響を与えてしまう可能性を僕は考えていた。僕の肉体に宿る力の影響は、僕の身体だけでなく僕の肉体の中に入っている僕の体を構成している組織にまで影響を及ぼす可能性があると僕は思ったのである。僕はこの世界で生きている人間の身体構造について、詳しい事は知らないから「僕の体内に存在する力は、この世界の人にはどのような影響をもたらしてしまうのか?」それが分からなくて僕は女剣闘士の姿でこの世界に存在する人の体を壊さないようにする為に――僕は女剣闘士の姿を維持できなくなったのだ。そして僕は元の世界にいる時よりも「女剣闘士の力を使ったり自分の力をコントロールしたりする」ということが難しい状態に追い詰められてしまっていたのだ。

「どうしようかな?僕の体の中にいる女性騎士の力を完全に自分の物にするためには、このお城の書物庫の中にある「女剣闘士の力を使った時の僕の力」に関する記述がある文献を見つけないとなぁ。女剣闘士の力は僕の想像を超えていて、とても凄い力が僕に眠っていたんだね」

そう呟いた僕の言葉を仲間である二人は聞いていた。しかし僕達は女剣士と女剣闘士の力を使いこなす事が出来るようになってから数日の間ずっとお城の書庫で「僕の力の制御の仕方を必死に勉強する日々」を送っていた。そんな感じで時間が過ぎていき、ある日の夜に「僕は女剣闘士の姿のままでお城の中の一室で眠っていると突然、僕の力の使い方を教えてくれる「師匠」が現れてくれた」のであった。

***

「ふーん。なるほど。貴方の身体の中にはそんな不思議な力が宿っているって訳か」と、言うと「私の顔を見て驚くどころか、むしろ私の方が驚いたよ。君は一体何者なんだい?」と、僕は尋ねられたのであった。僕は彼女の事を「この国の王になる存在の女性」だと考えると「僕の身体の中に眠っていた二つの力を使っても大丈夫」だと思うことが出来たのであった。そして「僕の中にあった二つの力」を「一つの力に纏めあげる」という事を成し遂げてみせたのである。

そうして僕は自分の体に変化を与える力の正体を掴むことができた。「この世界の人は僕の持つ力について知っているのだろうか?」と、考えると「僕の体の中で暴れ回っている力の事を知っている人間は誰もいないのでは?」と考える事ができた。だけど――僕の中に存在した女剣闘士の力を「この世界の人々はどのように受け止めているのだろうか?」という疑問を抱いたのである。僕の中に存在していた力の正体を僕は「女の剣士」と、「女剣士に変身する力を持っている少女」だと考えるようになっていたのだ。しかし僕の中に存在している力の正体が女剣闘士の力だと分かれば「女剣士に変身できない僕は果たして本当に僕なのだろうか?」と、考えるようになってきたのである。「僕の身体はもうすでに女剣士の姿ではないけれど、女剣士の力を使っている僕を『僕』と呼んで良いのだろうか」と――「女剣士の力を使っていても僕は『僕の中に存在する女騎士の魂』が目覚めたわけでもない」と考えたのであった。そうして僕は自分が自分の力で自分の体を変化させる事が出来るようになったのは「自分の体に眠っていた力を引き出したから」ではなくて、ただ単に自分の中に存在する二つの力が混ざった存在になっていただけだったのだと気付く事ができたのである。


***

そして「自分の中に存在する力がどんな物かが分かった今」僕は自分が手に入れた知識が役に立つ場面に遭遇したのである。僕は自分の力の事をある程度理解できた。そして僕の身体が女剣士の姿へと変わっていき、僕は僕の中に存在する女剣士の力を自由に使うことができるようになる事に成功した。そして「この異世界で僕は最強の力を手に入れたのだ」と、思う事が出来て――僕は僕の体の変化を完璧に抑えこむ事に成功していたのである。「女剣闘士の力で女剣闘士の力を抑えて自分の身体を自分の力で変化させないようにした方が良かったんじゃないかな」と思う事もあったが、僕がこの世界に訪れた理由は――僕が僕の中の女剣闘士の力と女剣闘士の力を混ぜ合わせたような状態になったせいで――僕は僕の中の力を制御する事ができなくなっていた。だからこそ僕は僕の中に眠っていた力を解放する事ができたのである。

だから僕の体に起こった異変に気付かなかったこの異世界の人々に感謝しなければならないだろう。「僕がこの異世界で僕の体に起きた変化の事を、他の人達に伝える事がなかったら、僕の体の中に眠っていた力によって僕はこの世界にやって来なかった」という事になるのだから。

まあ僕の中の力が完全に僕の支配下に置かれてしまえば僕の身体の状態が変化していくのを止められないと思う。というより止めてはいけないのだと思った。だって僕は僕自身が望んでこの異世界へ来たのかもしれないのだし、この世界の人達は「僕がこの世界に来たことで僕が女剣闘士と女剣闘士に変化したようにこの世界の人達にも変化が起きるのではないか?」と――そう考えたからこそ、この世界に生きる人々は自分の体の状態が変化するような事は起こらなかった。そう考えてみると僕は僕自身の体の事を考えて「僕が女剣闘士と女剣闘士に姿を変える事」をできるようになってよかったのかもしれないと思ってしまったのであった。まあそんな事を考えると僕は少しだけ罪悪感を抱く事になったのだが。


***

僕の体の状態を変化させないで女剣闘士の力を使う事で――僕は自分の中に存在している女剣士の力を扱う事が出来るようになっている事を僕は確認する事が出来た。僕は自分の力を使いこなすことができるようになると、僕の身体は僕が元々いた場所の世界の人間とは違うものになってしまった事を改めて実感することが出来たのである。僕は自分の肉体を変化させる事ができるようになってしまう。そして僕に宿る力が僕の体に影響を及ぼせるのであれば「自分の体の状態を変化させずに僕の体の状態を変化させる」事もできるようになるのではないかと。そう考えた僕は女剣士の姿になった時に僕の体の形を変えようと念じてみた。すると女剣士は女剣闘士に変化することなく僕の身体が変化していってしまったのである。僕の身体の形が変化している最中に僕の身体の形は、僕の身体が変化した後も「維持されているのである」と。つまり僕の身体は変化する前の僕と同じ肉体を維持していたのだった。そして僕は女剣士の身体の中に存在するもう一つの力を引き出した状態で僕自身を「僕が僕として認識できそうな部分を残しながら僕の身体を変化させた状態で維持し続ける」ということに挑戦する事にしたのである。僕は僕の体の中に存在する女剣闘士と女剣闘士の二つの力を扱うことに慣れてきた頃だったから、二つの力を同時に使おうとすれば僕の意識は完全に女剣闘士の力に支配されてしまうと僕は考えていた。そうすれば僕の肉体にどのような影響が出てくるのか、それは分からないと。だけど僕は自分の意思だけで自分の肉体を操り女剣士と女剣闘士の二つの力を「一つの力に纏め上げる」ということを成し遂げることが出来るようになったのだ。

しかし――僕には僕の身体に宿る力を「完全に僕の支配下に置く」ということが出来なかった。「どうしてなのかは自分では分からない」が、それでも僕は自分の体の中に存在している二つの力を操ることだけはなんとか出来るようにまでなっていたのである。僕は僕の体の中にある女剣闘士と女剣闘士の力の使い方を理解して、この世界の人々に僕の体の状態を説明することができたとしても――僕の身体は変化してしまうことはないだろうと考えていた。何故なら僕の身体は女剣士でも女剣闘士でもない、全く別の姿へと変化しているからである。それに――「自分の肉体が変化してしまっている」と、自覚することはできても「肉体に宿っていた力が別の形に変化した」という事を知ることはできないと、僕は考えていたのであった。

「僕の身体の中にいる存在達を制御できるようになったら僕は僕自身を完全に制御することができる」と思っていたけど、そう簡単には僕の体は僕の思い通りには動かせなかった。そもそも「僕が女騎士の力を使っている時は僕の身体の中の存在達は、僕の体から出ることは殆どないのだ」と、言うことが分かってきたのである。僕の体内に存在する存在達が僕の体から離れられる時間は僕の体に変化が起きた時だけであると、僕は気付いた。だけど「自分の身体に変化が起きれば体内に存在する存在達に何かしらの影響がある」はずだと僕は思ったのである。

そう考えると僕の身体の中には女剣士と女剣闘士以外にも、僕の中には存在している可能性があるのだと気付くことが出来たのである。「もしも僕の体の中に存在しているのが女性だけだったら?」と考え始めたのであった。そして僕は女剣闘士に変身している間は僕の体の中に存在している女性以外の女性の存在が「僕の体から離れることがない」のは何故か?と考え始めてしまった。僕の中にある「もう一人の人格の魂」のせいかと最初は思っていたけれど「この身体の魂が宿っている女性の身体の中に、もう一人が存在している」と僕は感じるようになったのである。そう感じ始めたのは僕の体が女騎士の時の事だった。

僕が僕の中に存在する力について考えるきっかけになったのは僕の身体の中に存在している力が暴走し始めていたからだと言える。僕の身体の中に存在している二つの力によって僕が自分自身の力に飲まれて僕は女剣闘士と女剣士に姿を変わってしまうと僕は自分の体の中で何が起こるか想像することさえもできなかったのである。だからこそ僕は女剣闘士の力と女剣闘士の力を抑えこんで一つの力にする訓練を続けていた。だけど、その事を繰り返していくうちに「僕の身体の中に存在する女剣闘士と女剣闘士が、一つの力で扱えるようになっていない」と気付く事が出来たのである。


***

僕は「一つの力で扱えていなかった力二つを僕一人で扱えるようになってみたい」と思い、二つの力を一まとめにできないかどうか、試してみることにしたのである。僕が僕の中に存在している二つの力を一まとめにしてしまおうとする度に、女剣闘士の力の方が女剣闘士の力に呑み込まれてしまいそうになった。そして僕と僕の中に眠っている力との戦いに勝利することが出来た。僕の身体の中には女剣闘士の力が存在することになったのだ。だけど、僕は女剣闘士の力を使って戦う事は出来ないと僕は考えることが出来た。そして女剣士の姿になって僕は僕の身体の変化を抑えることに成功したのである。そして女剣闘士の力を使う時には女剣士の姿に、女剣闘士の力を使う時には女剣士の姿に変化することが出来るようになっていった。

そして僕の中に存在している二つの力が僕に危害を加える事はないと、僕の身体の変化について僕は理解することが――いや、思い出す事が出来ていたのである。

そう言えば「僕の中に存在している二つの力が僕に危害を与える事がなかった」理由を思い出したのは、僕の中に存在する女剣闘士の力を制御する事ができるようになり始めて、僕の身体が変化しないように自分の体を操作する事ができるようになってきた頃である。そう考えてみると僕の中に存在していた力が僕に害を及ぼす事はなかったのかもしれないと考える事が出来る。何故なら「自分の身体の状態を変化させる事が出来るようになったのが、僕の体の変化が始まった時だから」という事を思い出す事が出来たのである。「僕の体に眠っていた女剣闘士の力と女剣闘士の力、この二つの力を使って僕は女剣闘士と女剣闘士の姿になる事が出来ていた」のだと。

「二つの力は僕に対して、何も干渉しないんだな」と。僕はそんな風に考えられるようになって――この世界に自分がやってきた本当の意味を考えなければいけなくなってしまったわけだ。僕は女剣士と出会ってから自分がどうすればいいのかを考えた結果――女剣士と共に生きることを決めたのであった。まあ僕と一緒に暮らしてくれる人がいなかったから、仕方がなかったともいえよう。


***

僕が暮らしていた場所では女剣士と出会う前に僕が住んでいた場所で女騎士と出会った事がある。僕の住んでいる国では僕の住んでいた国の法律で定められた職業以外で働くことは許されていないらしい。まあ僕はその事は知らなかった。僕が「女騎士」という言葉を聞いて連想するのは「僕に襲いかかってくる怖い奴らばかりなので」僕は僕の住む国から追い出されて女騎士がいる国にやって来たという事になっていた。

そして女騎士に出会う前から僕の体は変化していたと思うんだけど「女剣闘士の力」に目覚める前まで僕の肉体の状態は「僕が女剣士として生活してきた状態」とほぼ同じものだったのだと考えられるのだ。僕は女剣闘士になった事によって自分の体を変化させられるようになった。僕は「自分の体の中にあった存在達の力を借りる事ができたのだ」と思う。だから僕は僕の肉体の中にいた存在が僕に力を貸してくれなくなったとしても、この世界にやって来る前のように自分の体を上手く操作する事が出来なかったかもしれない。

僕の身体の状態が変化するようになって「僕の体はもう元の世界に戻ることができないかもしれない。だって僕には女剣闘士の力を扱えるようになってしまったのだから」と僕は考えて――まあ女剣闘士の力を扱うことができるようになってしまえば、元の世界の事を考える余裕がなくなってしまっても無理はないと僕は考えていた。だけど――「僕が自分の世界に帰れないと知ったら、僕は自分の家族に会う事も出来ない」と僕は考えてしまう。

だけど――僕は女剣闘士の力でもって僕が暮らしている世界へ行くことが可能になったのだ。僕が暮らしている場所の国は僕の故郷とは違う場所にあるのだけど「同じ世界のどこかに僕がいた場所の人間もいるはずなのだ」と、僕は思った。しかし「僕は僕の身体の状態が変化したことを受け入れられずに自分の身体が変わってしまったと受け入れたくなくて僕の体を変化させたのかもしれない」と考えて「僕に僕が暮らしていた場所に戻ろうという考えが、全く無いのはなんでだろう?」と疑問に思った。

僕は僕の体の中に存在している女剣闘士の力を自分の意思だけで扱う事が出来ても、女剣士の力を使う時に女剣士の姿を保っていないと僕の身体が僕の意思に反して変化していくということに気付いたのであった。僕は女剣闘士と女剣闘士の力を完全に制御できるような気がしたけど、女剣士の力を使った時に女剣士の姿でいるように気をつけなければいけないと僕は思う。僕は僕の中に存在した二つの力を完全に支配することに成功したのである。そう考える事で僕は二つの力が完全に僕の支配下におけば僕がこの世界で何をしても僕の身体に影響を与えることがないのだと、僕は考えることができたのだ。


***

女剣士と僕はお互いを信頼していると僕は思っていたのだ。でも僕は僕の身体に起きた事を詳しく説明することが出来ずに、僕は自分の肉体の異常について説明することができなかった。しかし「説明できなかった」と言うよりは「僕の言葉は信用することが出来ない」と僕は考えていたのであった。「僕に僕の身体に起こっている出来事を話すことなんかできなくても当然」だと、僕は女剣士に伝えなければならなかったのだ。女剣士は「貴方の言葉を信じる」と言った。女剣闘士も「女剣闘士の力」は使う事ができて、女剣士の力だけが全く使えないというわけではないのに「どうして私の力が?」と思った。女剣士が「貴方の言う事は全て信じてあげる。私には信じられない事が多い。それに――」と言い始めたけど、彼女はそこで話を切ってしまった。

僕は彼女の口から出てくる言葉が僕の耳に聞こえてきた。僕は彼女の口の動きを見ていればどんな言葉を発しようとしているかわかるからね。

「それに?」

僕はそう尋ねてしまった。

僕と女剣士との会話は、これで終わってしまうのであった。僕の心は穏やかだった。だけど僕の心は不安でいっぱいでもあった。僕の身体の調子が悪いというのは本当である。僕の身体に異変が起き始めている事は間違いが無い事である。僕の身体の中で女剣闘士の力の方は僕の身体を支配しているのだが女剣闘士の身体が女剣闘士に支配されるという事は起きていないのだと気付くことが出来た。女剣闘士と僕は二人で一つの存在なのだろうかと、僕は思った。僕はこの身体が僕の体であって、女剣闘士の体ではないということを、はっきりさせなければならなくなっていたのである。僕の意識の中は僕だけのものだから。僕が誰かに僕の体を渡すという事は、僕の体が「僕の体」じゃなくなってしまう。そして女剣闘士に僕の体を貸しているという事になってしまうのだ。そしてその事に気付かなければならないと僕は考えるようになっていたのである。

***

「貴方の言っている事が嘘か真実か確かめたい」と女剣士が言ってきた。僕達は僕達の部屋にいる。僕と女剣士が一緒に住んで暮らす部屋だ。女剣士の部屋に僕は何度も訪れた事があるので、僕の部屋のようだと感じていた。この家に引っ越してくる前は女剣士の両親と妹が住んでいたという事だった。その家の中はとても綺麗で広い屋敷といった感じだった。僕の家とは雲泥の差があって僕の住んでいる家は「普通の民家と同じような建物」だったからである。僕の家とは比べ物にならなかったのは、そのせいかもしれないと僕は考えてしまうのだ。

女剣士の身体に僕の身体の状態を説明をする事が出来る日が来たら、女剣闘士と僕の関係についても女剣士に相談してみるのもありだと考えながら、女剣闘士と僕の体の中で何が行われているのかわからない以上は下手な事は言わないようにしなければならないと考えていたのである。僕は僕の身体の中に存在している「もう一つの人格と女剣闘士との話ができるのか、試すことが出来れば」と思っていた。

そして僕は、そんな僕の身体の中にある力を利用して女剣士の力を使う事ができるのではないかと思いつくことが出来たのだ。女剣闘士と僕に僕の身体が一体になっているのならば、きっと僕にだって出来ると僕は考える事が出来たのである。そして僕は僕の中に存在している女剣闘士の力が宿っている腕輪の力を使うことによって女剣闘士の姿に変化したのだ。

「え? ちょ、ちょっと! え!? ああっ、わああ!」と僕は驚いてしまったのである。女剣士に僕の今の状況を説明している間に女剣闘士が勝手に僕の体を操っていたのだ。しかも「えへ、ごめんね。僕ちんってば、つい出来心に乗っちゃって、こんな事しちゃったんだもん♪」とか女剣士の前で言ったのだ。その言葉で僕は怒りが爆発してしまいそうになったが「こらっ! やめなさい!」という言葉を口にする事しかできなかった。そして僕はなんとか冷静になることができたのである。女剣士が「貴女は私の敵なのか味方なの?」と聞いてきた。女剣闘士は「うん、まーそうとも言えるよね」と言って女剣士は何かを呟き始めて、そして次の瞬間には僕が今まで見たこともないぐらいの大怪我をしていたのである。僕も「僕」という人格が消えるんじゃないかと恐怖してしまうくらいの状況になっていたのだ。そして僕の身体は僕の力では動かせない状況になってしまっていて、女剣闘士は僕の体を操る事を止めなかったのであった。


***

僕の体から出てきたのが、あの「僕の姿」をした者ではなく「私の姿」をした者の時であったなら、まだ僕と「彼女」の関係を説明することができていたのかもしれなかったけど、僕の目の前に姿を現したのは僕が知っている人ではなく僕に襲い掛かって来た女剣闘士の姿になっていたのであった。その事に対して女剣士は何も言わないで僕の顔をじっと見つめて「私の話を聞いてくれるかな?」と言い始める。僕が返事をしなくても「いいから私の質問に答えてほしい。私の問いかけは私の問いに対する返事という事だよ」と女剣士が言い出したので僕は黙り込むしかなかった。女剣闘士の力は「僕が僕の体を動かしていなくとも僕の身体は動いている」ので、僕の体を動かせるのは女剣闘士の力を使うことができるようになった僕だけということになる。僕の身体が僕のものであっても「女剣闘士の力が僕を支配する事はないのだ」と気付いてしまったのだ。「僕は女剣闘士と会話をして、女剣闘士と相談をしながら行動しなければ女剣闘士の力を使いこなすことはできない」と考え始めてしまっていた。僕は僕の体の中から「僕の中に存在するもう一つの僕と女剣闘士の事をどうすれば良いのか、僕が僕の体の主導権を握ることなんてできないじゃないか」と思い始めていたのだ。


***

僕の身体に僕の意識が存在しているのは確かだ。でも僕の身体は僕の意思に従ってくれないのだから「僕」に身体を任せる事ができないのだと思った。僕は自分の力で自分の身体を自由に扱う事はできないのだから、僕の体を使って女剣闘士の行動をとることができない。「私は、ずっと考えていた。私の意思とは無関係に、もう一人の私が「私に語り掛けているかのように」思えてならないのだ。しかし貴方から女剣士と話をしたいと聞いたときから貴方と二人っきりになりたいと思っていた。私も、私自身について、考えなければならないと思っていたからだ。

「私を信用してくれて嬉しい」と、僕は言う他無かった。

「それで、どういうことなんです?」と女剣士が僕の顔を見て尋ねて来たので、女剣士に僕が体験した事を説明しようと思ったけど「それは今から僕と女剣士が話をしてから説明するよ。まずは僕の話をしよう。女剣士は女剣士の話を聞くのが先でしょ?」と言うと女剣士は僕の顔を見た後で僕の言葉に「わかった。お願いします」と言ったのである。女剣士と話が終わるまで少しだけ時間が掛かると思うけど、待ってて欲しいと言いながら女剣士は僕の言葉を信じてくれたのであった。


***


***

僕は僕の身体が勝手に動き出し女剣士の腕を掴んで「女剣士ちゃんを離せ!」と言い出して女剣士を連れて行こうとするのを止めたのだ。でも女剣闘士の力では、もう止められるわけがなかった。

「お前、邪魔なんだよ。僕は僕の体の中にいる存在が許せなかったのだ。こいつは僕の身体を奪って好き勝手しようとしているからね」と言うと「僕が僕の身体を奪ったんじゃなくて僕の方が君の身体を奪い取ったんだけどね」と僕の顔が言ってくる。僕は、その事に「うるさい」と言葉を返して、そのまま僕の体に命令する。

「僕に、従え!!」

すると僕の体は言う事を効くようになって女剣士から離れる事に成功した。女剣士は、僕にお礼を言いつつ「貴方に私の体が乗っ取られているのではないという事が分かって、本当に良かった」と言って僕に感謝の言葉を口にする。そして「これから女剣士が私達の話を聞いていたら分かるように、これからの事を話し合わなければならないだろう」と女剣闘士が僕と女剣士の間に割り込んで来た。「とりあえず女剣士が女剣士の話をしている間だけ女剣闘士に、僕たちの身体を貸すよ。だけど僕の方も僕と僕の中に存在するもう一人の僕のことについて話す事がある」と女剣闘士に言って、女剣士にも「それでは僕の方で勝手に話をさせていただくけれど、僕と僕の中の僕の事は、この場で女剣士と話し合うつもりだ。それが終われば女剣闘士に身体を貸したままにして、また後日話し合ってもらう。それでも構わないかな? もちろん僕に身体を貸してくれている時は僕も女剣闘士と話し合いの場を設ける。この話は僕たちだけの話ではないからね。そして今日一日だけは女剣闘士に身体を貸しても問題ないだろう? そして僕は僕の中で僕に会えたことを喜ぶべきだよね」と言う。そして女剣士が僕に対して「ありがとう」と感謝してくれる。僕は僕の中に存在するもう一人の僕の存在を認めてもらえて嬉しかった。女剣闘士と僕の中に居る僕の二人が「これで僕たちは三人で話し合いができるようになる」と僕は考えることが出来たのである。

女剣士と僕は、それぞれ自分の気持ちを相手に伝えることが出来る。そして僕は女剣士が僕の中にいる僕の事も受け入れてくれたのが分かったのである。そして僕は僕の中にいる「もう一人の僕」についても説明を始めることにした。女剣士に女剣士と女剣闘士の二人の事を伝えるためにも、僕は僕の口から僕の中にある僕の存在を語らなければならなかった。女剣闘士と僕の関係も含めて、僕は自分自身のことを女剣士に伝えようと決めたのである。そして僕は、まずは僕の中に存在した僕の人格についての話から女剣士にすることにしたのであった。


***


***

僕は僕の中に存在していた人格について「僕は僕の人格を、この女剣士の中に移す事を決めた。僕という人間の人格と記憶と肉体は、僕自身の意思によって消滅する事となったのだ」と、そう告げるしか無かった。そして女剣闘士の力を、この女剣士の力として僕に宿った時に僕の人格と肉体は僕の中に存在しなくなり消滅したという事も一緒に伝えたのだ。僕は僕の中で、どんな言葉を掛けるべきか分からず黙ってしまったのだ。そんな時、僕の目に飛び込んできたのは僕に優しく接してくれている女剣闘士の表情であった。女剣士はその事を確認するためだけに僕に対して「私の中にいた人格と貴方は一体どういう関係があるんだ?」と尋ねてくる。

僕に「自分の顔がどうなっているか見てくれるかな?」と言われて自分の顔を見るとそこにはいつもの自分とは思えない「女の顔」になっていたのだった。僕は驚きの声を上げてしまい「僕には僕の人格が宿っていた。僕の人格はこの身体で生活し続けていた」と言って「女剣士が知っている僕は、この身体の中のもう一つの僕が、僕であるということを証明する」と女剣士に伝えたのである。僕は僕の中にある人格について詳しく説明をする。女剣士は、僕と僕の中に存在する僕の二つの人格を受け入れると言ってくれたのだ。そして女剣士は僕の身体の中から出て来ていた僕の人格の「存在を、認めてくれたのだ」僕は僕の人格を受け入れてくれるという事に「僕の人格が消える前に、僕には出来なかった」事が実現できて本当によかったと思った。そして僕の身体から女剣闘士が僕の中から出て来て僕に話しかけた。そして僕は自分の体の中から女剣闘士が出てくるのを見届けたのである。

女剣士が僕の体から出た僕の人格に「今までの話を、女剣闘士が女剣士にしてくれたのかい?」と確認をすると、僕の体から出てきた僕の人格は「その通りです」と答えたのであった。そして僕は僕の体に戻った。

僕は僕の身体に戻るのと同時に僕の目の前に居たのは女剣士ではなく女剣闘士であり、そして女剣士の姿は僕から消えた。女剣闘士が「私も貴女の事を私に教えてほしいの。私の事を知る為に私の話を聞かせてくれない?」と言う。僕も「僕も女剣闘士に聞きたいことがある。女剣闘士が、あの時の私なのか。そして、どうして女剣闘士の意識だけが残っていたのか、そのことを教えてほしい」と尋ねたのだ。すると女剣闘士は、女剣士に「私に、話させてもらっても良いですか?」と言うと「うん。わかった。任せるよ」と言った。僕と女剣士が話している間に僕の中に存在する人格と会話をしたのかもしれない。

「私の名は『メイ』と言います。よろしくね。私はある国の騎士団に所属していました。その時の私はまだ未熟者で、とても弱くて。他の人達よりも能力が低くって、でも頑張って訓練をして、私は騎士になったのです」僕が、この女剣闘士の名前を聞くのは、これで二度目なのだが、名前を聞いたのに女剣闘士に名乗られたことが何となくうれしいと思ってしまった。女剣闘士は自分の事を語るのに少し照れながら言葉を続けた。

「ある日のこと、私が所属する部隊が遠征に行く事になったんです。それは隣国との小競り合いを終わらせるための戦争に発展するかもしれなくて、でも私が所属している部隊は小さな部隊だったので戦力もあまり多くはなかったし、だから私たちは、ただ命令に従って戦うしかなかったんです。そして私達は戦地に向かった。そして戦いが始まって。私たちの部隊は、ほとんど生き残れなかったけど。最後まで必死になって戦ったよ」そして「そこで私は死んじゃうはずだったんだけどね」と言った。僕は、その続きを聞きたくなって女剣闘士に先を促した。「私と仲間達、全員が死んで、私の意識だけ残った。死んだ仲間たちを埋葬するために。みんなが眠っている墓地まで向かった。だけど。そこに仲間の遺体はなかった。そして気付いたときには、この世界にいたの。私の魂は、きっと別の世界で、神様から貰った力で私に力を与える。そう言われたような気がしたの。

私は、ずっと自分が本当に存在しているかどうか分からなかったけど。今の私は本当の自分で生きているという確信がある。だから、今ここに存在する私は、間違いなく貴方たちの仲間よ。ありがとう」女剣闘士の言葉を聞いて僕は女剣闘士が僕の仲間の転生者だと知って凄く嬉しい気分になる。僕と女剣闘士の間には「僕が女剣闘士の中に存在していて、そして今女剣闘士の言葉で僕は僕の人格と存在が消えても構わないと思えた」事を伝えて僕は「ありがとう」とお礼の言葉を口にした。そして僕の中に存在したもう一人の僕と僕の存在についての話は終わった。

僕の中に存在していた人格については、女剣士に女剣闘士と女剣士の二人に、この世界では僕の事を「レイジさん」と呼ぶようにしてほしいと言い、「僕の事をこれからは僕の中に存在する人格の事も含めて、これからは僕のことを「僕」と呼ぶ」事にしてもらった。僕は、この場にいる三人とも「僕の事を呼ぶときは僕という呼び方を使うようにしよう」と言う事にして、女剣士にお願いする。

そして「これから僕たちは同じ目的の為に協力する必要がある」と、僕は女剣士に言い出したのである。女剣闘士も女剣士に何か話があったらしく女剣士に話を始めた。僕は二人の話に耳を傾ける。

「女剣士は私と一緒で自分の事を「私」と言っているよね。それじゃあ、私の事を呼びにくいと思うの。

それに女剣士も女剣闘士の事を呼び捨てで呼ぶよりは「メイ」と呼びやすいでしょう。

それで良いかしら? それと、もし貴方の呼びにくそうなら女剣士の事も「貴方」にするか、もしくは貴方と同じように「メイ」と呼んでくれれば、それで構わないからね」と、そんな風に女剣士に語りかけたのだ。そして女剣士は、僕に視線を向けてきて「私の事を呼びにくそうだなんて思っていません。でも女剣闘士が、どうしても呼びにくければ、それでも構いません」と言うと女剣闘士は、にっこりと微笑み「女剣士の事が、そんなに嫌だっていう訳ではないわ」と口にしていた。

僕が「確かに、女剣士のことは女剣士と呼んでいたので、そのほうが僕としては呼びやすかった。

でも、女剣闘士と相談してみて女剣士の事は女剣士と呼ばせて貰うことにする」と、そう言うと「分かりました」と言って女剣士が返事をした。それから、しばらくの沈黙が辺りを支配した。そして最初に口を開いだのは女剣闘士であった。「えっと、さっきの話なんだけど。私の中にもう一人の人格が存在していたことに関して「もう一人の人格が存在しているから女剣士の意識は、ちゃんと残っているはずだ」って。

私はそう言ったけれど。本当にそうだと思うの。私の中にも人格が存在した。女剣士の人格も存在しているんだし。女剣士の中には確実に存在しているはずなんだ。

つまり「女剣士の人格は消えてなんかいないんだよ!」と。だから――もう一度、考えてみてくれないかな?」と言って、僕に「お願い」と頼んできたのであった。僕は女剣闘士が言ってきたことについて考えていた。僕は女剣闘士の言葉を受けて女剣士と僕の関係に思いを馳せた。女剣士が僕の前世から引き継いだ記憶や、人格が僕の中に存在するということは、僕の人格が存在する事と「僕の人格は、もう消えてしまった」という僕の思い込みは否定される。

しかし女剣士が僕に「本当に自分の記憶を持っている人格は女剣闘士なのか?」「そして人格の消えた女剣士の中に僕の記憶が残っているという女剣士の言葉が正しいのか?」という事を確かめる術はないのではないだろうかと思った。そして僕には一つの考えが生まれた。それは女剣士と女剣闘士は女剣士が女剣士として「存在していた頃の事を知っているのではないか?」と思ったのだ。

「貴方たちが知っている僕の記憶の中で「僕の人格が存在していない頃」の出来事が、僕が「人格が消えてしまったと思っている」以前の記憶が僕の中にあるのかもしれない」僕は僕の頭に浮かんだ言葉を三人に語った。そして僕の言葉を聞いた女剣闘士と女剣士は「私は貴方が人格を失う以前を全く覚えていません」と口を開き、僕には二人の言葉が本当であるのかは分からない。だけど、女剣闘士の話を聞いていた女剣士は「私は「貴方たちと共に過ごした時間が有った事を覚えています。

そして女剣闘士に「貴女と出会って一緒に訓練をしたりお喋りをした日々は私の中にあって、そして私にとっては貴女が本当の仲間です」と言われて「私は女剣闘士に「ありがとう」とお礼を言うのであった。

僕は女剣士に「貴女の中のもう一人の人格も「僕」の一部だったと言う認識で合っている?」と尋ねると「はい。私が覚えている限りでは私の中に存在していたもう一人の人格が居なくなったのは、レイジさんと出会うよりも前の事ですね」と答えた。僕は、女剣士に質問をする。女剣士の中に存在したもう一つの人格について女剣士に「あの時、僕と一緒に行動してくれていた女盗賊の魂は今どこにいる?」と問いかけると、女剣士は「私の仲間はみんな死にました。だけど女盗賊さんの遺体は見つかりませんでした」と返答した。

そして「女剣士が見たのは本当に僕の仲間の遺体だけだったのか? 実は僕の中にいた女盗賊の魂も生きていたとか。

その可能性はないのか?」僕がそう言って僕の中に存在している人格の「僕の仲間の遺体を埋葬するために僕たちは墓地へ行ったのだが、そこには誰の遺体も存在しなかった」という言葉を思い浮かべたのであった。そして僕の中に存在する人格が僕に向けて「僕の仲間の魂が女剣闘士の中に存在し続けている可能性もある」と言う言葉を思い出して僕は、ある事を思いついた。

僕は「メイに、お願いしたい事がある」と言った。メイは、僕に何をして欲しいのかを聞いてきたので僕はメイに向かってお願いを伝えるのであった。「この世界に存在する文明を発展させていくためには技術が必要で。

僕には知識がない。だから僕の中に存在していた人格に色々と教えて欲しい」と僕はメイに対して伝えたのであった。僕は僕の目の前にいるメイを見つめながら「もしも僕の中に存在していた女盗賊の人格がまだ生きていて、そして今現在も生きていて。僕の事を慕っていてくれているという可能性があるなら、それは、とっても嬉しい事だ。女盗賊の事を思うたびに、僕は彼女に会いたいと願ってしまうだろう。女剣士が僕に「ありがとう」と礼を言ったときのように、僕は、僕の中に存在する彼女のことを思い「感謝の念を抱くと思う。そして、もし、その気持ちが伝わってくれれば僕は凄く幸せになると思う。

そして僕は「この世界に来てからの僕の記憶の中で女剣士は、女剣士としての自分を持っていた。

女剣士の言動からは、きっと僕の人格が女剣士の中から消える前にメイは僕達と交流があったのだと思う」と言うとメイが口を開いた。「私の中の人格が生きていたのか死んでいたのかなんて、今となっては何とも言えないのですけどね」と、そんな風に口にして笑みを浮かべるメイを見て僕は少しだけ心が救われる想いになる。僕の中に存在していた「もう一人の存在」、「もう消えてなくなってしまっていて、もう会えない人」、そんな風に思っていた人が本当は生きていて今も存在しているかもしれないと言う事実は、僕の心を明るくしてくれたのである。「そうですね」と答えるメイに僕は「メイの中には、今でも生きているんだよな?」という問いを投げかけたのだ。

そして、しばらくすると女剣士から声が上がったのだ。

女剣士は自分の中に女剣士の人格が存在しているかどうかを気にして生きていると言っていたので「僕の人格は僕の中に戻ってきてくれたけれど。まだ僕の中に存在しているのかどうかは僕にもメイにもよく分からないんだ」僕は女剣士に向かって「メイが女剣士の人格に語りかけられないのか試してほしい」と言うと女剣士は「私が女剣闘士さんに語りかけても良いのですか?」と僕に尋ねてきた。

僕は「もちろん」と答えて僕は、女剣士が女剣闘士と会話が出来るかどうかを確かめてもらえないかとメイに伝えたのである。

「女剣士さんに確認をお願いするね」と女剣闘士は口にした。僕は女剣闘士が女剣士との対話が上手く行くことを祈る。そして僕は「もしも、女剣士が女剣闘士と話を出来るのならば。もしも二人が話すことが出来れば、もしかしたらメイの中に女盗賊がいるのか分かるんじゃないかって思ってね」と言うと女剣士は「そうかもしれません。

やってみます」と言って女剣闘士の方へと向きなおして、メイに視線を向けた。

そしてメイは「お願い」と、そう呟いて女剣士はメイに対して「女剣闘士さんに、お願いがあるんです。

貴女の中に今も私の大切な仲間が居続けるのであれば、私の人格が消滅してしまった後も生きていてほしい」と懇願するような様子を見せて語りかけると「女剣士の意識を乗っ取っていた私に女剣士は語りかけているんですよ。

でも、私は私の意識を持った状態で、女剣士は女剣士の人格を持ち合わせたまま私の中にいます」と女剣闘士は女剣士に伝えると「私には、貴女の声は届いています。貴女に語りかけられるのなら。

女剣士に語りかけられなくとも。

私は私の声で貴女に語り掛けたいと思います」と女剣闘士は言ったのであった。

女剣士と女剣闘士は僕が異世界に召喚されてからずっと行動を共にしてきた。だから、きっと二人の関係が、これからも続いていくように、僕は願うばかりである。

僕達が転移して来た場所は「神殿都市と呼ばれる都市の一角にある教会のような場所で。

そこで僕達は「神」を名乗る少女と出会ったのだ。

彼女は自らを「女神さま」と名乗っていた。そして、僕達にこの世界の事を教えてくれると言ってくれたのである。そこで僕は「神様に教えを請えるのは、とても光栄な事です。神様にご指導賜れました事。

一生忘れることはないだろう」とそう言うと、神様が「それじゃあ、君たちに魔法を授けようかな?」と言い出したので、僕のテンションは急上昇である。だって僕には、今までに使えなかった、使えないと思っていた魔法の才能が神様によってもたらされたからだ。僕は嬉しくなって思わず「やったー!これで僕も魔法使いに、魔術師になれるぞ!」とはしゃいでしまうと「お兄ちゃんったら子供みたいにはしゃいじゃて。可愛かった」とメイが笑顔を見せるので僕はメイに微笑んでみせる。

僕がメイに向かって笑い返すとメイは「お姉ちゃんが、お兄ちゃんのこと見てニヤついてたの」とメイが女剣士に話しかけたのであった。

僕は女剣士の表情を見ると女剣士は顔を真っ赤にしながら僕と目を合わせてくれなくなった。僕は「どうしたの?」と尋ねると女剣士は「レイジさんの笑顔に見惚れていました」と言ったのだ。

そんなやり取りをしている間に女剣士とメイが何かを小声で喋りだしていたのであるが。僕と目が合うと二人は揃って僕の事を睨みつけてきたのである。僕は二人に対して「何だよ。僕が笑うと、どうして、みんな僕のことを変なものを見るような眼差しを向けるんだよ?」と文句を言うと女剣士は「別に。ただ私はレイジさんの事を愛しています。それだけの事ですよ」と口にしたのであった。僕は、そんな女剣士の言葉を聞いて恥ずかしくなりながら「えっと、ありがとう」と言葉を漏らすのであった。すると女剣闘士が「私は?」と言う感じに首を傾げながら僕の方を見ていたのであった。

それから僕は女戦士から色々な話を聞いた。まず僕達の居る場所に関してだが。

この世界において唯一の神であり。そしてこの世界で最強の力を持ち。さらに全能の神でもあると言われる存在である「神様」の住んでいる神殿が存在している場所がこの大陸の中央に位置している「神都グランセルド」と呼ばれている場所であるということだった。その神都を中心に四方八方に、この世界を守護していると言われている「勇者」様たちが、その実力を示す為に修行を積ませるために各地へ派遣されているそうだ。僕達が今いるこの場所は、その修行を行う為の拠点として利用されている場所だと言われ僕は「勇者の皆様には僕達の世界が救われるまで頑張ってもらわないと困るよね」と女剣士や女騎士に対して言葉をかけると女騎士が僕に対して返事をしたのだった。

女戦士は、僕の話を聞き「まぁ確かにそうですね。それに、私たち「勇者」の皆さんが頑張れば、世界の危機に対して「魔王」と戦うことも可能だそうです」と言うと続けて「もっとも魔王は「神殺しの一族の末裔」なので普通に考えれば倒すことは不可能らしいですが」と言ってきたので、僕も「それは僕も聞き及んだよ。

この世界に最初に降り立った時に神様に説明された」と言うと話していたのであった。そして次に「神様から教えてもらったんだけど。

僕達がいるこの聖都は神殿都市の1つでしかないそうなんだ。

ただこの大陸で最大勢力を誇る都市でもあるらしくて。

この大陸で最も大きな権力を持つ存在。

それが、この世界に存在する全ての神々の頂点に立つ存在。

つまり、唯一にして絶対の存在である「神様」なんだ。

だからこそ「神様」はこの大陸に降臨すると必ずこの神殿都市で祈りを捧げて貰っているんだ。

だから「僕達が神様に出会う事が出来たのは本当に幸運だと思う」と僕が女戦士に言うと女戦士が僕に対して返答してきた。

そして「私達「選ばれしもの」である人間は、その才能を認められた者は、その力が目覚めたとき。「神の啓示」を受けて「勇者」としての使命を果たすべくこの世界を救うために戦う事になる。

私の場合は「聖剣」と呼ばれる剣に「選ばれた」ことで、そしてメイさんの場合「女神の導き」により、「巫女」としての力に目覚めることになりました。

メイさんが巫女に選ばれた理由は。

「メイさんは、元々の人格である女剣士が生きていた時代よりも遙か昔に存在したという。

伝説の魔道士の家系に生まれ、魔導の力を極めて行った人物の子孫にあたるからだそうです」と女剣士がメイの代わりに答えてくれたのである。

そして僕は「そういえばメイに女剣闘士は、自分の人格が女剣士の中から消えてしまう前に僕と出会っていたと思う。

って言ってなかったっけ?」と言うと女剣闘士はメイに視線を移して「あの時の事って覚えてる?」と問いかけると「はい。私が女剣士の記憶を引き継いでメイの人格になっていた時に。女剣闘士に会ったことある」とメイは答えたのである。すると女剣闘士が「あの時私は「メイはもう死んでいる」とそう思ったんだけれど。でもメイが生きていると知った時には本当に驚いた」と言うと女剣士が女剣闘士に対して「私はメイさんが死んだなんて思わなかった。

私が生きていると知っているはずのないメイさんが目の前に現れたんだもん」と言うと、女剣闘士は「うん。女剣士が私の人格に入れ替わった後、メイが死んじゃうまで一緒に暮らしていたけど。

その時にメイは「生き返らせてもらった」と言っていたし。

それにメイさんの中にいるはずの女剣士が消えた気配はなかった。

むしろ、メイの中に居る女剣士の意識はどんどん強くなっていた気がする。

だけどメイの肉体には女剣士の意識が戻らないから。

メイと会えない日々が続いたんだ」と女剣闘士が答えると、女剣士が女剣闘士に話しかけた。

「あの、もしよければ。

私と一緒にこの世界を救ってくれませんか?」

女剣闘士はその申し出に即答したのである。

僕は女剣士に「それでメイに「憑依」するってどういう事?」と尋ねると女剣闘士はメイの身体を操って「こういう事なんです」と口にしたのであった。

「私は女剣士さんに、お願いをして。

メイちゃんを「私の魂を憑依させた状態」で、私の中に宿ってもらい。

その上で女剣士さんにお願いをしたんです。

メイちゃんの体の中で、メイちゃんに話しかけている。

メイちゃんの中に存在している女剣士さんに、私とメイちゃんが仲良くなった理由を説明してあげた。女剣士さんの事はメイも知っていたから。

それからメイちゃんは「女神の神託」を受けた際に「お兄ちゃんを召喚するように女神に頼まれたから。お兄ちゃんは私と同じ日本人だと思ってたから」と言って、私も最初は「女神」がお兄ちゃんに私と同じように「女神様の声」を伝えてきたのかと思っていたのですが。

女剣士は、この世界にはいない。だから「神様の声が聞こえてきた時は嬉しかった。

だって私は女剣士をずっと探してたんだ。

だから、こうして出会えた事はとても嬉しい」と、女剣士に伝えたのでした。すると女剣士が女騎士に何かを尋ねていたので、おそらく女剣士は自分の人格をメイの中に移動できるのかどうかを確かめようとしていたのだろうと思われる。しかし――

僕は、そんな会話をしている二人に対して女剣闘士に対して、こんな質問をぶつけてみた。「もしかすると女剣士もメイの身体を借りて、僕達のように神様と出会う事が出来るんじゃないか?」と思ったからだ。すると女剣闘士は「それは、出来ないみたい。

メイが女剣士と入れ替わる時に。

「メイにはまだ、その時が来た訳じゃない。メイは、もう少し大人になってから」って、女神様から止められたの。

女剣士も、それに同意したので。

メイは女剣士が女神様と対面することは無理だと思っていた。

だって「聖剣に選ばれし人間」だけが。

「勇者」として選ばれるから。

そして私は女剣士を「勇者」の1人として認めてくれと頼んでくれた女神様に感謝した。女剣士の力は「勇者」の中でも一番高いと言われているから。

そしてメイと私は女剣士と共に戦う事を約束した」と語った。そして続けて女剣士は「ところで。さっきメイが言っていたお兄ちゃんを異世界から呼び寄せる。っていう話だけれども。

これは、私にも関係する事だよね? メイ?」と問いかける。するとメイは笑顔になりながら「そう。女剣士が、これから女剣士になるために。

私はメイの中から女剣士の記憶を引き継ぐために女剣士に協力して貰うことになったの。私は女剣士と一つになれる。

だから女神様は女剣士と一緒の場所に居られるのは。

今この時だけ」と答えたのであった。

僕は「メイの身体に憑依すれば。

僕は、どうなるんだ?」と聞くと、メイは僕を見つめたままこう答えたのであった。

「お兄ちゃん。

女剣士の記憶が全部引き継がれちゃったら。

きっと「男のお兄ちゃん」じゃなくなっちゃうかもね。

でも、それでも。

私は、この先、ずっと女剣士と。

ずーっと友達でいるつもりだよ。

そして「聖剣」の女剣士と私を一緒にしてくれている女神様に。

ありがとうございました。

女神様のおかげで。

私は、女剣士の人格を手に入れることが出来ました」と僕に向かって言った。

そして続けて女剣士は、メイに話しかけたのである。

「これで、ようやくメイと本当の意味で親友になることが出来るんだよね」

僕は、メイに女剣闘士が何を言っているのだろうかと思い。そして僕は女剣士に対して、「今の言葉の意味を教えて欲しい」と言うと、女剣士は「それは、私達二人は。女神様の力により。

メイの中へ入ってしまった人格である「女剣士」としてではなくて。

女剣士そのものと、私自身という2つに分かれた。2人になってしまったんだよ」と女剣士が僕に説明してきた。すると女剣闘士も続けて口を開いたのである。

「この世界の人達は。

自分の中の魂を具現化することが出来るんだけど。

私は「巫女の力を目覚めさせた」から。

メイの中に存在していた「女剣士」が消えてしまった後に。

この世界で「選ばれし者」として目覚めた。そして「聖剣」に宿ってた女剣士が消えた後も。

女剣士の人格を受け継いだ状態で「この世界に存在している存在」となったの。

「聖剣の巫女」としての力を目覚めさせたことで。

この世界に生きる者として「聖剣」を使うことができるから」

そして女剣闘士がメイをジッと見据えながら語り始めた。

「メイが、私達を「召喚」してくれた。

女剣士の人格と力を受け継ぎ「この世界に居る人格としての自分」を作り出す為に。女剣士に「憑依」したんだ。

女剣士として私も戦う事を選んだから。

女剣士が持っている力と記憶を引き継いだ「人格」に私が「憑依」して女剣士として戦うことにしたの。

そして女剣士がこの世界に存在するためには、どうしても必要な「肉体」を手に入れられたんだ。女剣士の肉体は「メイの人格」に完全に融合してしまったから」

するとメイが女剣士の話を遮るように話しかけた。

「ちょっと待って女剣闘士。まだ私の方の準備が終わってない」

女剣闘士は「え? メイの方はもう大丈夫だと思うよ。

私とメイは「巫女の力を覚醒」させることで。

2つの人格が1人の人格へと変わる準備を終えた。

だから後は私が完全に消えてしまえば「メイと女剣士の人格が一体となる」はずなの」と答える。

すると、メイは、僕を見ながら女剣士と女剣闘士に話しかけたのである。

「うん。そうだね。女剣闘士と私の方は。

女剣士に「憑依」した女剣闘士の人格がメイの身体から抜け出せば。それで女剣士の身体がメイの中に残る事になる。それでいいかな女剣闘士」

女剣闘士が、メイに確認を求めるように見つめた。するとメイは女剣闘士に対して大きくうなずく。

僕は、そんな会話を聞きながらも「メイに女剣士の意識が戻れば。メイは元の世界に戻れるの?」と尋ねると、女剣士が僕の問いかけに答えた。

「はい。その可能性はあります。

メイが「女神の神託」を受けた時に聞いた神様の言葉が、

「女剣士がこの世界には存在しない」と。そう言う物であればですが。

だけど神様は「女神様の力が、メイさんに影響を与えていた。だから、 女神の力によって、この世界に呼び出された貴方達が、貴方達の本来の生活に帰れるように。私は努力するつもりでいます」って言っていたんですよ。だから、貴方達は元の生活を取り戻せると思います」と答えてくれた。僕は、女剣士にお礼を言うと女剣士は微笑んでくれたのであった。

そして女剣士は僕達に向かってこんな言葉を漏らしたのである。

「あ、それと、メイと私も一緒に元の世界に帰るから。心配しないで」と。

するとメイは僕達に対して、こう話しかけてきたのであった。

「私は女剣闘士と一緒に女剣士の記憶や能力を受け取っていたので。

「私の中にある女剣士の人格が消える事」はなかったの」

「メイの中に女剣士が「宿って」いれば。

私とメイの人格が一体化しても問題はない」

と女剣士が僕に教えてくれる。

そしてメイが言葉を続けた。

「私は「女神様から貰った能力を使う事が出来ないから」

私の身体の中に女剣士の記憶と力は、そのまま残っていて。

「女剣士の力は私の中に存在し続けている状態のまま」になっているの」

「私は、この先も女剣士と私自身の両方の人格を持つ存在として生きて行きたいから。女神様は女剣士に新しい名前をくれたの。私は今、女剣闘士の名前を名乗っているけど。私は女剣闘士で、そして女剣士なんだから。だからメイにも名前をあげる」と女剣闘士が言ったのだ。

僕は女剣闘士とメイの2人が、これからも1人の人間として生きて行くと言うことを聞いて安心する。それから女剣士が「女神様から頂戴した新たな名前は。『聖剣の女神』だ」と口にすると。「私は今度からは聖剣に憑依して「女剣士」じゃなくて「女神様の聖剣」になったんだよ。今までありがとう女剣士」と言ってから、最後に僕を見つめて「本当にお兄ちゃんが来てくれて嬉しかったよ」と言い、女剣闘士と2人で僕達に背中を向けると、光の輪の外側に歩いて行く。すると女剣士とメイの姿は消えてしまったのだった。

僕は、目の前で何が起きたのか理解できていなかったが、しばらくしてから気が付くと僕は自分の部屋に立っていた。そして自分のベッドを見ると「あれ? 俺は寝ぼけてんの?」と僕は呟きながら起き上がる。「さっきまで異世界に行っていたはずだぞ?」と。そこで、もう一度部屋の中を見回すと机の上に、なぜか「あの女神様から貰ってきた本が置かれていた。

さらに僕の枕には女剣士の「女神様の力で作った人形」が僕の頭を優しく抱え込むようにして座っていた。しかもその隣りの枕には、メイの人型をしたクッションも置いてある。そして壁に掛けている時計を見ても時刻表示が「朝6時15分」を表示していて。「んー、どうなっているんだろう」と僕が考え込んでいると。女神様の作った人形が「おはようございますお兄ちゃん」と僕に声をかけて来たのであった。僕は驚いて飛び起きる。「お、お、お前誰だよ!」と言うと女神様の作った人形は僕に笑いかけながら自己紹介を始める。

僕も自己紹介する。すると、この子は僕の事をお兄ちゃんと呼び続けるのであった。

そして「どうしたら、この子が消えて普通の人間に戻るかを考えようと思った」と言う僕に「私が女剣士の記憶と力を引き継いで女神様の聖剣になる前は、私は「巫女の力の覚醒が不完全だったせいでメイに存在ごと乗っ取られた人格の成れの果て」でしかなかったんです。だけど、今は違うから。それに私にはメイと違って「巫女の力で生み出した特別な肉体が存在するから、 この世界の人たちと同じように歳を取ることも出来るの」と僕に告げてくる。「まぁこの子の事は良いだろう」と思って。僕はこの子からメイのことを聞くことにする。

まず最初に女神様の力が「不完全なままの状態で」、メイに力を貸したために。

女剣士にメイの力が流れ込んでしまったのだと。女剣士の力の一部がメイに「流れ込んだ結果。

女剣士として生きる事になった人格が、女剣士として存在する事が出来るようになって。

そして今の女剣士と私がいるの。つまり今の私と女剣士は元々2つに分かれていたんだ」と。

次に「私は「女神様」に「巫女の力を覚醒させることが出来た者の中で。一番未熟で不安定な精神状態だったメイの中へ入り込むこと」をお願いしたんだ。女剣士としての存在を維持するために」と説明する。「どうしてそんなことをしたんだ?」と僕は聞くと。

女剣士が「それは「巫女の力を覚醒」させてもなお「巫女の力と肉体の両方を手に入れることが出来ていない中途半端な存在」をメイにしたくなかったから」と言う答えが返って来た。

そして僕は続けて質問する。「あの女剣士が「この世界に存在しない」と言ったら。君はメイの中から出て行ってしまうのかい?」と。

女剣士は少し間を空けると「たぶんね」と答えた。

しかし、この「この世界に存在しない女剣士」は僕にとっては大事な存在で、 この世界での唯一の味方でもあるのだ。

だから、僕は女剣士に対して、「どうにかならないのか?」と問いかけたのだが、女剣士が「女剣士の存在はもうこの世界に存在することは出来ないの」と答えてきたのである。

僕はそれでも食い下がる。

すると女剣士が困ったような顔をしながら僕の問いかけに答えた。

「私は元々女剣士の力の一部を受け継いで「この世界に存在した人格として存在していた」だけだった。だから本来この世界に存在してはいないはずの存在なの。だけどメイは、その力を使い果たした後も「メイの中にある女剣士の力の一部は消えずに残っている状態」なんだよ。だから「女神様は、その残った力を私が吸収する事で、私がこの世界に居続けられる環境を作る為に努力してくれたんだと思う」と言ってから僕の方を見つめて、

「だから私の事を忘れないで欲しい。私は「私という個人が存在した事実がある限りは消えることはないから。そして私は、この世界で生き続けたい。だって私の人生はこれから始まるから」と言って笑みを浮かべたのであった。

女神様からもらった能力については説明を聞いたけど、結局よくわからなかった。

ただ女神様が「私の能力は『神剣創造』です。この能力を上手く使いこなす事が出来れば、 様々な武器を作り出せるようになると思いますよ」と言ってくれていたので、僕も「頑張ろう」と気持ちを新たにしたのだ。そしてメイと女剣闘士の話を聞いていた時に気になっていたことが有る。「女剣闘士とメイは「同一人物でありながら別々の存在が同時に存在出来ていた訳だが」その2人は、どうやって会話をしていたのかな?」と思ったのだ。僕がそう思ったのが伝わったのか。

メイが僕に向かって「私の中にいる女剣士が私の身体を自由に動かせるの」と話す。すると、その言葉を聞いてからすぐに「そう言うことなのか」と女剣士の方を見ながら「納得できたわ」と答えてみる。

そうすると、女剣士は「うん、そういうことみたい」と笑顔を見せてくれるのであった。

そんな感じで会話を続けているとメイが「そろそろ朝食にしないと遅刻しちゃうよね」と口にしたので、今日は学校へ行くことにした。それから、僕は女剣士から女戦士の能力を受け継いだ際に手に入れた『身体能力強化』『五感加速』『魔力感知』『危険察知』の四つの「固有技能」に加えて、『アイテムボックス』も『収納庫の扉』に名前を変えた形で習得する。

そんな感じで準備を整えて女剣闘士の待つ宿屋へ向かうのであった。

ちなみに僕達は、冒険者達から「聖剣の女神」と呼ばれるようになっていたのであった。

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* * *

あとがき:次回からは「本編第9話『聖剣の女神』編」になります!よろしくね~♪ -----

「聖剣の女神」と呼ばれている2人(2振り?)について

※メイに関しては、本編の第11話からは聖剣の力を解放して「女神の力そのもの」として振る舞うように変わっていくのですが。メイがこの世界に現れてから今までは「女剣士とメイが別人格として存在していて2人が1人の人間として存在して、お互いの意思疎通が出来たからこそ出来る芸当でもあったんですよ。だからメイの身体に憑依している状態なら「メイとして存在し続けることが可能になっています。また女剣士の記憶が宿っていた人格は、既に女剣士とメイに宿っている状態ですので「私の中には女剣士の記憶が2つ」存在していることになり。そしてその2つの記憶を「メイと女剣士の記憶」として共有して生きています。つまり「私は、今度からは女神様の聖剣に憑依して「女剣士」じゃなくて「女神様の聖剣」になったんだよ。今までありがとう女剣士」と言ってから、最後に僕を見つめて「本当にお兄ちゃんが来てくれて嬉しかったよ」と言い、最後に女剣士と2人で僕達に背中を向けると、光の輪の外側に向かって歩き出す。すると女剣士とメイの姿は消えてしまったのであった。

僕とメイが女剣士と別れてから宿屋に到着するまでの間には、たくさんの人たちに声をかけられたりしていた。

特にメイに対して、街の中に入る前から多くの人に話しかけられている様子だったので 僕はメイと一緒に歩いていて気が付いていたが、やはりメイの姿が目立つらしい。

しかもメイの姿を見るなり人々は口々に声をかけたりしてくるので。

中には泣いてしまう女性まで現れてしまう始末だ。

そんな中で僕達が宿泊中の宿にたどり着く頃には、さすがに人混みに囲まれることも無くなっていたのだけれど。

それでも街の入り口付近で大勢の人が集まっていた場所の近くだったこともあり。

街中に入ると僕達の姿を見かけるたびに声をかけてくる人や集まって来る人達がいたわけなんだが、そんな感じで歩いているといつの間にか冒険者のパーティーらしき集団や、衛兵のような姿をした人々などが僕達の前に立ち塞がるように集まられてしまっていて。

僕も何となく嫌な雰囲気を感じ取ったため。

このままだと僕達が目的地の学校に向かう事が出来ないと判断して僕は「僕達に何か用でもありますか? ただでさえ人が多いんだ。道を開けてください」と言う。すると目の前に立っていた男性が僕の顔を睨んでくる。すると今度は他の男性のパーティーメンバーの男性と女性と思しき人物が近づいて来ては「おい貴様ら、俺達を無視するとは無礼にも程があるだろうが。お前らみたいな小娘共の相手なんかをしている暇はないんだよ。いいかげんにしないか!」と言って来た。僕が「無礼なのは貴方たちの方でしょう」と返すと彼らは僕の言葉が気に障ったのか怒り始め、いきなり斬りかかってきたのだが――僕はメイが「聖剣の力」を使うよりも早くメイを自分の前へと引き寄せると。僕は「聖剣の力で作った刀」を右手に持ち構えると「はっ!」と声を上げつつ「刀を横に振る」。そして僕と彼らの中間地点にあった壁を縦に真っ二つにしてしまったのである。そして僕は「失礼しました。急いでおりましたので。申し訳ございません」と一言謝ってから。メイと共に学校へ向けて移動を開始するのだった。

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side アメリ 私達のギルドに所属している「元盗賊の新人冒険者」の男の子の冒険者。

あの子は「盗賊」としての才能を持っているのに。

私のように戦う術を学んでいなかったために冒険者としてやって行くための 技術が不足していたために「私達の足手まとい」となっていた存在だったはずなのに。

私達は「あいつを切り捨てて他の仲間でやり直そう」と思っていたのに。

ある日突然現れた少女が私達に「あいつは私の仲間です。なので彼を見捨てるような事は 絶対に許さない。そんな事をする人は私と殺し合いをしましょう」と言ってきて。

それからというもの、その少女の「戦いの腕」を私達の前で披露するたびに私達の方が

「この少女はいったい何を考えているの?」と思い、あの子を庇うような動きをするその態度にイラついていたのだ。だから私は「もう我慢できない。あいつを切り刻んでやる」と決めて、私達の作戦が実行される事となったのよ。だから「私達はあいつが逃げ込む場所に罠を仕掛ける為に、あいつが使うはずだった抜け道に先に待機する」という役割を担当することにした。その前にあの子がいつも利用している食堂の店に先回りした時も。私が店のおばちゃんに話をすると彼女は「あぁ! あなたはもしかして冒険者になる予定だったけど途中で挫折した「イセ」って女の子なのね」って言って。

そう言った後に「あんたは良い子なんだけどねぇ。でも悪いことはダメなんだよ。いくら頑張っても冒険者になれない人間は冒険者を続けて行けないから。諦めた方が良かったんじゃないかな?」とか言われてしまってから少し気まずかったのよね。だから今回はこの機会にこの子に復讐をしてやろうとも思っていたの。だから、そのせいもあってか。今回の私には、今まで以上の殺意が芽生えていて。だからこそ私は今回、あいつを本気で殺そうと思った。そして、その時に私は、その女の子に私の正体が気付かれてしまった。だけど、そんなの私は気にしなかった。なぜなら私はその女の子の「聖剣の女神」と呼ばれる冒険者が気になっていたのだから。私は、その聖剣に「魅了」の能力が込められているのを知ったから。聖剣が本物であれば「聖剣を持つ者は女神になれる」という話を聞いて私は、それを実行してみたいと思って。だから、私の本当の力を見せてあげる事にした。その結果、あの女の子は私の事を拒絶して「私の聖剣の力で殺すわよ」と言われてしまった。その時、私の中に芽生えた「恐怖」という感情によって私の能力が失われそうになった。その瞬間。私の頭の中に「私の中の女剣士が私に話しかけて来たのよ。その会話の中で女剣士が「メイの中にいるもう一人のメイに話しかけたい」と口にすると。メイが私の中に入ってきたの。

そうすると、私の中に女剣士の記憶と意思を持った別の人格が誕生したの。その新たな人格と会話していると女剣士と私は会話が出来るようになってね。その会話の中から女剣士の記憶をメイに伝えることで、そのおかげで私は「新しい人格を得た上に、さらにパワーアップ出来た」と喜んだ。そのお陰でメイから放たれている「女神様の聖剣の力」を無効化することにも成功して、逆に女剣士から教わった剣術で、聖剣の女神に勝つことができたのよ。それから私は聖剣の力と女剣士の知識をメイから受け継いだことによって。聖剣の「聖女の女神の力」を手に入れられるようになった。これで、今まで出来なかったことが出来るようになると思うとワクワクするのよね。


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side レイラ 私は今日、いつも通りに冒険者達を相手にして受付嬢の仕事をしていた。そして休憩時間になって同僚達とお喋りしていた時にメイちゃんの話になったのよ。その同僚の女性は、冒険者の彼氏が居て、彼とデートした話を教えてくれた。それは凄く楽しかったらしい。でも、彼の方は彼女以外と付き合った経験がないらしいの。だからメイちゃんと出会ってから彼に恋愛的な興味を持ち始めたのだと、そういう話を聞いたのよ。

「へぇー、その子とメイちゃんって仲が良いんだ?」

「はい!私から見ていても微笑ましい関係ですね」

「そっかぁ~」

(うん、やっぱり「可愛いは正義」だよ)

私はそんな感想を抱きながら「メイと彼女の関係は、傍目から見ると「姉妹のような雰囲気だな」とも思う。それに彼女がメイと友達になりたいと言っていたのも覚えていた。私はその話を彼女に聞かせてみると、どうやら彼女もメイに興味を持ってくれているようだと私は思ったのだ。そんなこんなで仕事終わりの夕方頃に、そのメイちゃんが私の前に現れて、私に「これから学校に行こう」と言ってきた。しかも彼女は何故か、私が愛用している「刀身1メートル程度のショートソード」と「聖剣の女神様の力が込められた短剣」の二刀流だった。その装備は冒険者に支給されるものでは無く、冒険者のランクがDやCの冒険者のパーティーでは揃えられるような代物では無いのに、メイちゃんが身につけていたからだ。だから私がメイちゃんにどうしてそんな高価な武器を装備しているのかを聞いたらメイちゃんが答えてきたのが――

『あの人と同じ装備を身に着けていれば、いつか会えるかと思って』と彼女は答えてきて。それを見た私としては嬉しくもあり悲しさもあったのだ。その理由と言うのもメイの口から出た言葉があまりにも辛そうに聞こえて。きっと今のこの子にとっては大切な人なんだなと思った。それと同時に、メイにそんな想いを抱く人が居るなら、私はもう自分の気持ちに嘘をつくのはやめようと決めた。だって好きな人に悲しい思いをさせたくないじゃない?でもメイが私を選んでくれるかはわからないけれど。それでも私は頑張るつもりなの。

そんな風に私がメイと話し合っていると私達に声をかけてくる男の人がいた。

でも私達が「急いでいるから」と答えると彼は怒ってしまって。そして突然斬りかかって来た。そしてその人はメイが作り出した「刀」によって真っ二つに斬られてしまった。それから私は、目の前で起こった光景を見て腰を抜かしてしまい動けなくなったのだが。メイはその人を気にせずに「急ごう」と言ってきて。私と手を繋いで走って行ったのである。

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side イセ(女剣士の精神状態)

私は目の前で、私とレイラさんと繋いだ手が切断されて「うっ!」と言ううめき声を上げつつ、地面に膝を着いた女性の姿を目の当たりにした。その人は血を吐き出しながら、私とレイラさんの方を見ているが――私は女性の方を振り向かずそのまま走った。そんな私を追いかけて来る気配を感じた私は、レイラさんと女性を背にして、レイラさんの前に出る形になる。そして「はっ!」と声を上げて女性に対して「居合」を放つと、女性は私の放った攻撃を回避しようとしたが、間に合わず――女性は私の攻撃を受けてしまい、吹き飛ばされたのだった。

その後ろ姿を見てから「ふぅ」と言いながらも一息ついてから、レイラさんに手を差し伸べて「大丈夫ですか?」と問いかけると、少しだけ顔色が青い状態の彼女を見て「ちょっと待っていてください」と言った後。「ポーションは必要かな」と心の中で思いながら「アイテムボックスの中に入っている、回復効果のあるポーションは、飲ませなくても体に塗れば効く」ということを思い出す。なので私は「すみませんが服を脱いでくれますか?」と言って。そして背中に塗ってみたところ「痛い」と言われたので、「じゃあ次は腕を出してみてください」と伝えた後に私はレイラさんの両腕に薬を付けてから塗り込んだのだ。そのおかげなのか、先程まで苦しそうにしていた表情から穏やかな様子に変化していってくれたのである。

そして、それからしばらく歩いてようやく「魔法学園」に到着をしたのであった。

僕は、学校に到着したあと。校舎の近くにある職員室にレイラと二人して入ることにした。

理由はレイラと一緒に、今回の事件の事で説明をしてくれる教師がいるという話だったので、とりあえず僕達は話をする事にしたのだった。すると、そこには、眼鏡をかけた優男風の男性の教師が居たので「あなたが今回の件を説明してくれるのですか」と聞いたところ。彼は首を縦に振って返事をしてくれた。

そこで彼が語った話は、僕が知っている事実とは、かなり異なっていた。

その話で驚いた点は三つあった。まず、この国の宰相が犯人であるという事。それと聖剣の女神が聖剣を使ってこの世界に戦争を引き起こしていたという事。最後に女神様がこの世界を支配しようとしたという部分だ。これらの話を聞いた後に、僕が女神様に「どうして聖剣の事を知らなかったのでしょうか?」と聞くと「聖剣の力を使える者は「女神様になれる」と伝え聞いていたが、それがどういう意味なのかわからなかった。聖剣は勇者にしか使えないと思っていたのだからな」と答えたので、それを僕が説明すると女神様はとても驚いていた。なぜなら聖剣の力を使えば、女神に近づけるというのだから驚くだろうね。

ただ、そのせいで今回の事件は起きてしまったと聞いて僕は「そうなんだ。ごめんなさい」と謝ると。「まあ気にしないでいいさ。それより今回の事件を解決してくれてありがとう」と感謝の言葉を伝えてくれたので、僕は「当然のことをしただけです」と答えたら。「お前のその謙虚な態度が私は気に入った」とか言って僕の頬に口づけしてきたんだよ。だけど女神様が「メイには私が居ないとダメみたいだから、私の加護を君に与えるよ」という感じで言い出して。そして「加護を貰ったよ」という実感と共に「女神様の聖痕」という物が体に浮かび上がった。そして女神様の祝福が貰えたのが凄く嬉しいのと、これから女神様と会話が出来るのが凄く楽しみになってきた。

「ねえ、メイ。私の加護を与えた時に何か違和感は無かったかい?」

そんな事を言う女神様は、少し焦っているような感じがしたので、おそらくは、また何か問題でもあったのかと勘繰ってしまうわけだが。どうなんだろうか?そう思った僕は「何の問題も無かったと思いますけど。そうですよね?女神様?」と問いかけると「え?ああ、うん。特に何も問題は無いよ」と言われてしまい。その瞬間、なぜか女神様が動揺してしまったので。もしかしたら聖剣の女神様の加護をもらったときに、何か不都合が起きてしまったのか?と不安になってしまったのだ。だからこそ「女神様。その加護について教えてもらえませんか?」と女神様が答えられない状況で問いかけてみると。

女神様は「わかった。教えるね」と了承してくれたので「じゃあ、今から話す事は、誰にも言わない約束だよ」と言われてしまったので。その条件を受け入れることにすると。女神様は自分の口元で、人差し指を立てたので、僕もその真似をすると同時に、その仕草はどこか子供っぽい印象を受けて可愛いとも思ってしまったのだった。

「実は聖剣は二振り存在しているんだ。

「片方は魔王を倒すために使われるもの」そしてもう片方は「世界を統一するため」に作られていて。

「どちらを使うのかを決めるのは、使用者の適正によるんだ」

そう言う話を聞いてしまうと「まさか、僕も」と思ってしまったのだ。

すると、そんなことを考えているのを察したのかどうかは知らないけれど、女神様は「安心しな、今回はたまたまメイに使っただけだから」と優しく微笑んで答えてきたので。

「でも、もし女神様の気が向いたなら使わせて頂けるとありがたいですね」と言うと。彼女は嬉しかったらしく笑顔になって「いつでも使って構わない」と言ってくれた。

その後、女神様が「聖剣に名前を授けてくれないか?」と頼んできたので、それを引き受けると女神様が満足そうにしていたので良かった。そんな話をした後。「女神様の力がこめられた武器を貸してくれませんか?」と言うと。女神様は「じゃあ「この短剣を貸そう」と女神様が「短剣に込められた力を解放しようとして短剣を握りしめていた。すると、短剣に込められた力が解放されたような感覚があり。僕は自分の中に流れ込んで来た「聖剣術」を習得することができた。

そしてその翌日から、僕は「この世界で最強になったかもしれない」と思ったのであった。

僕は、魔法学園の教師をしている人に「僕も一緒に同行しても良いでしょうか?」とお願いしたところ。「別にかまわない」と答えてくれた。そんな訳で、レイラも一緒に付いて行くことが決まると。

それから「僕達と一緒に行動している人がもう一人いる」と言われたのである。

そしてその人物は「俺の事を呼んだか?」と言ってきたのである。それは筋肉質な体格に黒い瞳を持つ黒髪の男性だった。そして彼が自己紹介を始めたのだが、彼は「ライラック」と名乗ってきたのである。彼は僕達が冒険者だという事を伝えると。ライラックは、「そうか、俺は一応は貴族なんだ」と言ってきて。そして彼は自分の身分を証明する為に。レイラに「これを渡しておく」と一言告げてから「これを見てみろ」と言って一枚の紙を手渡すと。

「こいつは王家の証明証だから偽造不可能だ」と言ってきて、レイラはそれを確認するように見ながら確認する。そしてレイラはそれを僕に見せて来たので「本物」だと分かった。それを見てからライラックがレイラに対して「これでいいか?」と尋ねてきて、それにレイラが「はい」と返事をすると。

「よし。じゃあ、ついて来い」

ライラックは、それだけ言って、僕達の方を見てくるので。その目つきからは、有無を言わせるつもりがないというのが分かるので、そのまま彼の後に続いた。

しばらく歩いた後に、僕達は王城に到着する。そして案内されるがままに、ある一室に入ると、そこには豪華なソファーに座り込んでいる男性がいたのだった。彼は「やぁ」と言ったあとに立ち上がり僕達に向かって挨拶してきた。そんな彼を見た僕達はすぐに頭を下げて、彼にあいさつを行う。彼は「そんな堅苦しい事は無しで良いよ」と言ってきたので、とりあえず僕は顔を上げて、彼を見ると――僕より少し年上ぐらいの若い男性だった。

そんな事を考えながらも。僕が、この人は誰なんだろうと思いつつも質問すると「ああ、まだ説明していなかったっけ」と言ってから僕に説明を始めるのだった。まず彼が説明を始めたのは、「自分は国王だ」ということを言われてしまい。レイラが驚きながら、どうしてここに居るのか?と尋ねたら。国王が、その問いに対して「魔法学園から報告があって、その事で話がしたくてね」と言っていた。そこで、僕とレイラで協力して、事件の事を説明すると、最初は「信じれないな」と、つぶやくが。女神様の聖痕を見せると、すぐに信じることを了承してくれた。そして僕はレイラに、女神様から貰った「アイテムボックス」と「女神の力の一部を受け継いだ」事を国王に説明してもらうことにした。

その言葉に驚いた表情をした王様だったが、とりあえず女神様の件については「今は信じられないが。聖女殿の言葉であれば信用せざる得ないな」と口にしていたので、それからしばらく雑談を行った後、女神様と会う約束をして僕達は退出することになった。それから女神様に会いに行った際に、聖女レイラが聖剣の使い手になったことを伝えて女神様は凄く驚いていて、そして僕にも「君には驚かされてばかりだ」と言い出し「まさか、君に聖剣を与える日が来るとは思わなかった」と口にしたのだ。それから女神様が「君と一緒だから聖剣を渡したのだ」と言ってくれて僕はとても嬉しく思った。だからこそ、もっと強くなって。この世界の人達を守れる存在になりたいと思うのだった。

聖女様に聖剣の事を伝えられた日の夜に、聖女様と話をした際に「聖剣を使いこなす訓練をしないといけないから、明日の夕方に私の部屋にきてくれ」と言われたので「分かりました」と答えたのだ。ちなみにその時の聖女様は、なぜか、いつもと違って元気が無いような雰囲気を醸し出していて、そんな様子の聖女様を心配するように見ていると。僕の視線に気付いた聖女様は、慌てるように手を振って、何でもないですと伝えてきた。だけど僕の不安は消えないので、大丈夫なのか聞いてみると「大丈夫だから」と言われたので、僕は引き下がる事にしたのである。だけど僕が「何か困った事が有れば何でも言ってください。協力しますから」と言うと聖女様は、笑顔を浮かべて。僕の両手を握って感謝を伝えてきた。その笑顔はどこか寂しげで、今にも壊れそうな感じがあった。そして聖女様が部屋を出る際に、僕は思わず声をかけてしまう。聖女様の後ろ姿に「本当に、無理しないで下さい」と言うと。振り返らずに右手を上げながら扉から出て行ったのである。

翌日になって僕は、聖女様の部屋に行くと。そこには昨日と違う服の聖女様が居たので、僕は思わず驚くと同時に。聖女様なりに気合を入れた格好なのだろうと推測した。そんな感想を抱きつつ。「こんにちわ。聖女様」と僕が挨拶すると聖女様は微笑んで「さあ中に入ってください」と言ってきたので。「お邪魔します」と僕が部屋の中に足を踏み入れると。そこは豪華絢爛というか。高そうな物が並んでいたり、高級感あふれる椅子などが置いてあったのである。その光景を見ながら「相変わらずお金かかってるんですね」と僕は苦笑いを浮かべると。聖女様は笑顔のまま「そうですね。やっぱり国の象徴になる以上は、相応しい物を揃えなければいけないのです」と言っていた。そして僕は本題に入ったのだった。

聖剣を貰う時に、聖剣は二振り存在していいると言う話は聞いていた。そして片方は魔王を倒す為の物であり。もう片方は、世界を統一するために存在するらしい。だからこそ、僕が選ばれたと知った時は正直に言うと怖かったのだ。もしも世界平和とかを目指そうとしているのなら、きっと、僕は重圧に押し潰されそうになっていただろう。だけど実際は違ったのだ。むしろ魔王を倒すために存在していた。そう考えるだけでも肩の荷が下りるような気持ちになり心の中で安堵してしまったのだ。そんな考えをしていると。僕の考えを読み取るかのように女神様は語り始めたのだ。僕を聖剣の主にする理由は二つあると彼女は言うのだけれど、一つは、勇者召喚された僕なら扱えると考えたらしくて二つ目に関しては分からないけど。

そんな事を思い返していると、女神様は「そんな訳で、私と一緒に聖剣の訓練をするわけだけれども」と言ってから「その前に君に渡しておくものが有る」と言って「この短剣に力を込めて欲しい」と言われて僕は女神様から渡された短剣を握りしめたのである。そして力を込め始めると「その力の込め方は駄目だよ。聖剣に込められた力を解放したまえ!」と言うので。僕は言われた通りにやって見る。

「そうそう!その調子だよ。いいぞー」と楽しそうにしていた女神様だが「その状態を維持するのが難しいのかな?」と言うので「えっと。力を解放しようとすると体が熱くなると言うかなんというか。そう言った感覚があるんですよ」と言うと。

「その感覚は正しい。だからその感覚を忘れずに」

と教えてくれたので、僕は意識を研ぎ澄ませて、その状態を持続させた。そんな時、僕の頭に、この武器の特性みたいなものが見えて来たのでそれを口に出してしまうと。女神様は、驚いたような表情をして。「なるほど。その特性を理解したのなら、もう大丈夫だと思うよ」と、そんなことを言い出した。僕は「これで僕も強くなれるんだよね?」と言うと。女神様は「ああ。これからも頑張って欲しい。期待しているよ」と言ってくれた。僕は嬉しかった。そしてその瞬間、目の前の空間に穴が出現すると「じゃあ、聖剣の練習はここまでだ。また、いつでも来ても良いからな」と、そんな言葉を残しながら女神様が消えてしまった。そんな女神様を見て「ありがとうございました」と一言告げた後。

そのあと、僕は聖剣を腰に差すと。王城から出て街に戻ることにした。

その帰り道、僕は王都の街の中を見回りをしながら歩いて行くと、冒険者の姿が沢山見えるようになっていた。冒険者達の殆どが魔族の襲撃によって怪我を負った人ばかりだったので、街の人たちの手伝いなどをする為に王都に滞在している冒険者たちの姿を見ると、この街の人たちは安心出来るんだろうと思ったので僕は、彼らに対して頭を下げてから僕はその場から去って行った。

それから王城まで戻ってきた僕は、門番さんに「冒険者として依頼を請けてきます」と言うと。すぐに城から出ようと思っていたら。王城の入り口付近にいたメイドの人が話しかけてきて「レイラ様からの呼び出しなのです」と言われたので僕は「レイラ様からのお呼びがかかりまして、少し用事をしてきたいので後で来てもらえませんでしょうか」と伝えると。彼女は快く引き受けてくれたので、僕は王城の外に出て行く事にしたのだった。それからレイラの自室に向かうと、部屋の前には二人のメイドが立っていて、僕が部屋に入ろうとすると「お待ちください」と言ってから止めようとするが「聖女様からのお願いなんだよ。だから通してくれないか」と伝えると渋々ながら僕を通してくれるのであった。僕は部屋に入っていくと、そこで待っていたレイラから。聖剣を使えるように練習していた事に対して感謝の言葉を言われてしまうと、それと同時にレイラからは。女神様から貰った指輪を見せてほしいと言われたので、僕はレイラに見せると。レイラが真剣な顔を浮かべながら僕の顔をじっと見つめてくる。どうやら、女神様からもらった「聖剣使いの能力」について話して欲しそうだと感じたので、レイラに対して女神様から得た能力を伝える事にしたのだった。

そんな話をした後。レイラから「この能力は、聖剣の使い方を覚えるのには役に立つと思います。なので、ぜひ活用してください」と言われると僕は「聖剣の事を色々と教わりたいのですが宜しいですか?」と言うと。レイラが僕に向かって聖剣を手渡してくると。僕はその剣を受け取った。そして聖剣を受け取り。その重みを実感しながら「これが本物の聖剣なのか」と思っていると。

それから僕はレイラの話を聞いた。聖剣に認められた者は聖女の祝福を受ける資格を得られると教えられたのだ。そして僕が持っている剣こそが「勇者の聖剣」、「魔王の聖剣」と呼ばれているらしい。そんな風に聞いていると「そう言えば、君は元の世界に戻りたいと思わないのか?元の世界に未練とかはないのか?」と言われてしまい。僕の胸の内にあった不安が膨れ上がってくるのを感じてしまった。もし、聖女様が元の世界に戻ってしまったらと考えるだけで、不安になってくるからだ。そしてそんなことを考えている僕を見たレイラは、悲しそうな表情をしていた。そんな時である。突然僕の体の中から、聖剣の声が聞こえてきたのだ。

その聖剣の声を聞いた僕は驚いてしまう。なぜならその声は僕と同じ年齢ぐらいの少年を思わせる声で喋っていたからである。その声の主は「やっと見つけた。まさか君と出会えるなんて嬉しいよ」と嬉しそうな雰囲気で伝えてきたのだ。そんな聖剣に僕は疑問を投げかけた。「貴方は一体何者なんだい?」と言うと聖剣は「僕かい。僕は聖剣、聖剣の名前はデュランダルっていうんだ」と言ってから「君が今、僕を手にしたことによって。僕はこの世界の聖剣になったって訳だね」と僕に説明してくれた。僕はそれを聞きながら、僕が選ばれた理由を聖剣から聞いてみる事にしたのである。すると「この世界で、魔王を倒すことが出来るのは、君以外に存在しないって判断されてるんだ」と言ってきたのだ。そして僕に魔王を倒してくれれば、願いを聞いてもらえるという事も。聖剣は僕に言って来たのである。僕はそれに驚きながら、どうして聖剣に願う事が出来るのかという事を聞いてみると「それが、僕たち、聖剣に許された特権の一つなんだ」と答えてくれる。そんな聖剣の返答に対して、僕が「でも、本当に僕に聖剣を扱えたりするのだろうか?」と心配になっていると。聖剣は「扱えるよ。僕が保証する」と言ってくれたので。僕はとても嬉しくなって笑みを浮かべると。そんな僕に対して聖剣は「そういえば自己紹介がまだ済んでいなかったね。僕はデュランダル。聖剣にして最強の聖剣だ!」と笑顔で答えてくれて、そんな聖剣を握りしめながら僕は、「これからよろしく」と一言告げる。すると、僕が握っている聖剣は一瞬光り輝くと「こちらこそ。君の力になれて良かったよ」と言うと聖剣は再び輝き始めると次の瞬間には何もない普通の剣に変化したのだけれどその変化を目の当たりにしていた僕に対して。

その時に僕に対して。何かの力が加わったような気がしたので。僕は「今のはいったい?」と質問してみたのだ。

その問いかけに対して、デュランダルが僕の頭に響くようにして言葉を返してくれる。

『今の力は、聖剣に認められている証として与えられた加護のようなものだ』と、そんな事を伝えてきたので。僕はそんな力があった事にも驚くのだが、それと同時に嬉しさが込み上げてきて「凄いなぁ」と思ってしまった。僕は「こんな力があるなら頑張らないと駄目だよな。よし!絶対に魔王を討伐しよう」と改めて心に決めると、僕を見ていたデュランダルは僕に対して微笑むようにしていた。そして僕は、そんなやり取りを終えてから。

レイラに対して「聖剣の扱い方をもっと勉強させて貰います」と一言告げてから、聖剣の訓練を始める事にしたのだった。

「この世界に存在する魔族は、全て滅ぼす。この世界を俺の手で守る為に!」

俺は、この世界に蔓延している悪を全て潰すと決めたのだった。この世界の人間に害を与える存在は排除する、それだけの為に今まで戦ってきた、だが、今回は少しばかり状況が違うようだ。その相手は、同じ勇者でありながら。「あいつのやり方では納得できない!お前がやった事は間違っていた!だから今度は俺たちが正す」と言ってから姿を消したあのクソ勇者、いや、俺にとってはもうただの偽物でしかない。その偽物の言う事を鵜呑みにした愚者たちがこの国に攻め込んできたのだった。俺は、そいつらの迎撃をするべく城を出ると「この国の王と聖女を殺す、抵抗するものは殺せ、邪魔する奴らも殺す」と言い出す始末だ。そんな連中相手に「ふざけんじゃねえよ」と思わず口に出して言ってしまったので、俺は仕方なく戦うことにしたのである。

俺が城から出て来るのを見て、王と聖女の命を狙う集団は「貴様を殺して、俺達が聖女を娶る」と言うと、そのまま突っ込んでくる。そして戦いが始まってしまうと、まず真っ先に現れたのは「死ねぇぇ!!」と言って斬りかかってくるが、その一撃を聖剣を使い受け流してしまうと。「ぐふっ」と血を吐き出しながら倒れこむのを見て「こいつも雑魚か、聖剣の力が効きすぎたせいかな?」と思いながら。他の面子を確認する。

次に飛び出して来たのは魔術師の男だったが、魔法を使って攻撃をすると言う事はなく「くらえー!!聖炎撃!!」と叫びながら殴り掛かってくると、それを俺は聖剣の腹の部分で弾き返すと「ぎゃあっ!?熱い!手が焼けるように痛い!!!」と泣き叫んでいる姿を見てから、他の連中の方に目をやるが誰も攻撃を仕掛けてこなかった。なので俺は「おい、攻撃して来なくていいのか?」と挑発してみるが、それに対して一人の男が前に出てくると、他の男たちは、後ろの方へと下がって行くのだった。

「あんたがこの国の王って事で良いんだよな?悪いが、死んでもらうぞ」と、男は言ってから。剣を構えると俺の懐に向かって飛び上がってくる。そんな男の行動を予想できていたのと、俺自身もそれなりに剣の実力はあると言う自負があるので。その男の初動に合わせて、カウンターを仕掛けようとしたのだった。しかし――

その初動からいきなり軌道を変えるのと「なにっ?」と、さすがに予想外の動きだったので驚いた俺は、その勢いを止められないで。剣を振りぬく形で男の攻撃を許してしまうのである。その結果、剣同士がぶつかったのと同時に衝撃が走り抜けたのだが、俺は、剣を手放しそうになってしまうので。慌てて柄を両手で握り直すと、何とか踏ん張り続ける。

それから、お互い一歩も譲らない攻防が続いたが、そんな時、不意に男が「これで終わらせる」と言ったと思ったら、一気に速度を上げたのだ。それに気づいた俺は、「速すぎる」と焦るが、そこで「はあああぁあ!!!!」と声を出しながら、俺に向かって突っ込んできたのだ。そして俺の目の前までやって来た瞬間に、俺に蹴りを放ってきたのだった。それは見事に直撃してしまい、吹き飛ばされた上に地面を転がっていくと、俺は、地面に叩きつけられるように転がり止まる。そんな様子を見ながらも、俺に追撃をしてきていたのか、さらに俺に切りかかろうとしてきたが、それをなんとか避ける事が出来たのだった。

「ほう、あれを避けたか」と余裕を見せる男は「どうした?この程度か?」と言ってきてから「聖剣は使わなくて良いのか?」と言ってくるのであった。

俺はそんな男に対して。「生憎だけど、ここで本気を出して、もし万が一があって負けたら、元の世界にいる大切な人に顔向けができないからね。それに俺自身まだ聖剣に認められていない」と言うと「そうか、ならば見せてみろ。お前の全力と、この聖剣の力を!」そう言い放つと、俺に向けて駆け寄ってくる。それから何度も打ち合いを繰り返す事になるが。正直、かなり危ない場面が多かった。というのも、こいつは聖剣に認められた勇者と言うだけあって、剣術の腕が確かだったからである。だが、聖剣の性能のおかげで、俺は、どうにか押し負けずにいられているのだ。そんな感じでやり合っていると、突然聖剣から言葉が聞こえてきたのである。

(主よ、聖剣を使うが良い)そんな声が聞こえてくると、同時に聖剣の刃の部分が白く輝いたと思った次の瞬間には、俺の手の中に納まる聖剣の刀身から光り輝く刃が生み出されていくと、その瞬間から明らかに身体に宿る力が強くなったような気がしたのだ。そして俺の意識が研ぎ澄まされていくと、自分の身体が自分のものではなくなり、聖剣の刃と一体化したような感覚になる。そんな状態のまま、俺は剣を振るうと、今まで苦戦していたはずの相手が簡単に切り裂かれてしまい、そんな相手の身体からは大量の血液が流れ出る。

俺は、そんな状態になりながら「なんで急にこんな事になったんだ?」と考えると。聖剣から「聖剣の加護によるものだ。この世界における、魔王以外の生物の中で最強の種族は魔族と呼ばれる者達でな。その魔族の肉体の再生能力に対抗するために、聖剣の加護を受けた勇者が振るった聖剣の力の一部を一時的に開放させることが出来るようになった。ただし一度きりしか使えない力だがな」と聖剣は説明をしてくる。そして俺は「つまり、この力は、あのクソ勇者を倒した力と同等の力という事なのか?」と言うと聖剣は「そういうことだ。もっとも、魔王を倒さないかぎりは使い所が限られるだろうが」と、俺が疑問を口にする。「なら何故、この世界に存在する聖剣は全て、あいつに使われてしまったはずなのに。俺は使う事が出来るんだ?」と質問すると。聖剣が「あいつの持っていた聖剣は、勇者の力を引き出す事が出来なくなっていた。だからこそ、お前が選ばれて。お前だけがあいつと同じ存在となった。だからこそ、聖剣を扱う資格を持つ者として。聖剣を扱えるようになったわけだ」と答えたのである。

「なるほどな、確かにそれなら筋が通るな」と納得していると、そこで聖剣は俺にある事を告げるのだった。「ところで一つ忠告しておいてやろう。魔王の眷属たちが動き出した。奴らの行動の目的などは不明だが、恐らくお前をこの世界に呼び寄せたのは間違いなくそいつらが裏に潜んでいる。だが、今のこの世界において、最も力を持つ存在であるのはお前だけだ。もしもの時は頼むぞ」と言うと、それ以降、聖剣の声が聞こえる事はなくなったのだった。

そして俺は、俺を殺そうとした連中が全員死んでしまい、その場に残される形となった。そして俺を見ていた王様が「見事だった」と言ってくると「だが残念ながら聖剣に認められなかったのはお前だけだ。お前以外は全員が聖剣を使えたからこそ、我々は勝てなかった」と言ってきてから。俺は、俺が使っていた聖剣を見ると、そこには俺以外が使っている時に見たのとは違う文字が刻み込まれているのを確認することが出来たのだった。俺は、その聖剣を見つめてから「これからは、この聖剣と共に生きて行こうと思います」と、改めて誓うのである。

それから俺は王都へ戻ってくると、すぐに勇者の仲間だった三人と合流することになる。その目的は俺達と敵対関係にある組織のリーダーを倒しに行くためである。俺は、そんな話を聞きながら王城の外へと出たのだった。

俺は仲間と合流した後、そのまま敵のアジトへと移動する事になる。そこで待ち受けていたのは、その組織の首領と、そして部下たちだった。そしてその組織は「お前たちは、あのクソ聖女様がこの世界に持ち込んだ聖剣を奪い取りに行け」と言い出して、そのまま俺たちの相手をすることになったのである。しかし聖剣を手にした俺は強かった。なぜなら聖剣を扱えているからだ。

俺は聖剣を使いこなせるようになっていた。だからどんな敵でも聖剣の力で圧倒し、そして俺は敵を全滅させてしまうと「さすがです」と言われ、その後、仲間たちに褒め称えられることになる。そんな中、俺の前に一人の少女が現れると「お疲れ様」と言ってきてから「私の方からもお願いしたい事があるんだけど聞いてくれる?」と言ってきたので「俺に出来ることならなんでも言ってくれ」と俺は言ったのだ。

すると彼女は、この国の女王にしてほしいという話だった。そんな願いに対して俺は「俺は構わない」と答えると。彼女が笑顔になって「ありがと、よろしくね」と言ってから俺に近づいてくる。俺は彼女に近づくと、頬に手を添えてキスをされそうになった瞬間。俺は彼女を優しく突き放すと「俺はお前の彼氏じゃない。そして聖剣が認めてくれる相手と結婚するべきだと俺は思う」と伝えると、彼女は悲しそうな表情になると。俺は彼女の頭を撫でてあげたのだ。すると俺に対して彼女は抱きついて来てから「私と結婚して下さい」と泣きながら告白してきたのである。

それから俺達は結婚式を挙げるために、色々と準備をし始めるのだった。

私は結婚をして夫に全てを捧げようと思っていたのに、夫がいきなり他の女性と結婚しようとしているのを見て怒りを感じ始めていた。なので夫の傍に居た男性を引きはがしてから。夫に詰め寄る。「なんで?どうして?」と問いただすが。夫は「俺はこの世界で生きることにした。それに俺を愛せないお前よりも、もっと好きな人がいる」と返された。

そんな事を言われても納得できる訳が無い。だが、ここで無理やり引きはがしたら夫はどこかに去って行ってしまう。そんな確信があったのだ。そしてそれは事実だったらしく。夫は「もう俺について来るのをやめろ。これは俺の人生だ」と言ってから去ろうとする。

「待って!まだ答えを聞いていない」と私が言うと、彼は立ち止まり振り向くと。「好きになれなくても良いのか?」と言うのだ。それに対して私は「うん、あなたを愛し続けるわ」と答えると。「そうか」と言った後に彼は「俺に着いて来なくて良い、そしてこの世界を旅するがいい。俺の妻になる女性は優しいから、俺の事を愛さなくて良いから俺と一緒に居る事を許して欲しいと言われた」と言ってきたのだ。そして「俺の嫁さんは、この世界の人間じゃなくて別の世界から来ているらしい」と言ったのだった。そんな話を聞いたら余計に腹が立ってきたのだが、今さらどうしようもない。結局私は諦めるしかなくて「絶対に幸せにしてあげてよね」と言って別れることにしたのである。

だがここで問題が発生した。それは夫と別れた後の事だが、どうも私には魔力が備わっているようで。この世界には魔族がいて、しかも、魔王と言う存在もいるらしいが、その魔王を倒すには、勇者が必要なのだという話を聞いていた。だけど魔王を倒せそうなのは、夫が持っている聖剣だけだったはずなのだが。夫は勇者ではないので、この世界にいるはずの勇者を見つける必要がありそうだった。だけど勇者はどこにいるかなんて分からないから困っていたら。

ある日突然「僕が勇者だよ」と名乗る男性が目の前に現れたのだった。

「僕の事を知っているかい?僕は君をこの異世界に転移させた女神さまの使いでやって来たんだよ」と言ってくる男に、私は警戒する事になる。というのも男は突然「この世界を救ってくれ」とか「この世界の為に魔王を倒せ」だとかをほざき始めたからである。

しかし、そんな言葉だけで信じれるわけもなく。そもそもこの世界を救う為に魔王を倒して欲しいという事は分かったが、魔王というのはこの世界の神様のようなもので。神を殺せば大変な事になると聞かされている。だから簡単には信じる事は出来なかったのだ。だがそんな事を言っても、この男は「心配ないよ、魔王は死んだよ。聖剣を使って魔王を殺した勇者がいたんだ。そんな聖剣を君は扱えるはずだよ」と言うのだ。確かに魔王がこの世界にいた事ぐらいは知っていたので、勇者が存在した事には驚いた。しかしそれでも信じられないという気持ちの方が強かったのである。そこで、どうにか説得できないものだろうかと、考えてみる。だが、やはり何も浮かんでこなかった。

そこでふと思いついたことがある。聖剣を使えば勇者になれるとこの人は思っているので、ならば試してみれば何か分かるのではないかと思い「聖剣を使えるようになる方法がある」という事を教えると、あっさりとその方法を男が信じたので、ちょっと不安になったが、「聖剣を扱えるようにする為の儀式」を行いたいと言うと、それなら任せておきなさいと言ってから、私を聖剣のある場所へと案内してくれる。聖剣の場所までは案外近くにあったので安心したが。そこで聖剣の使い方を教えて貰い。私は聖剣を手にする事ができた。だが本当に勇者になってしまったようだ。まあ元々勇者を探していたのだし、それが叶ったわけだから喜ぼうと思う。

それから勇者である彼とは行動を共にしたわけだが、この勇者はかなりの馬鹿な子だったみたいだ。でも、なぜか私の事を守ってくれた。こんな事を言うのは変かもしれないけれど。今まで付き合ってきた男達の中で一番頼りになりそうだと思ったのだ。そしてそんな彼がこの世界から去る時がやってきたのである。

それからしばらく経ったある日。この国の王様に呼ばれて、私は王城に呼び出されることになったのである。

すると王様が「お前をこの国に呼んだ理由は分かっておるか?」と言われて「もちろんです」と答えた。その通りである。この国を守る為に勇者として呼ばれたのだから、それはもちろん分かっている。そして私以外にも同じ境遇の女友達もいた。

そして王様から説明を受けたあと、聖女様から聖剣を授けられ。さらに儀式を行うことになったのだ。そこで私は「魔王を倒した勇者様のお役に立てるように頑張ります」と答えたら。何故か王都中の女達が大騒ぎし始めた。「えっ、何?」と疑問に思ったのだが。どうやら王様が聖剣を抜いた者しか、この聖剣を扱えないと言っていたらしいので。そのせいだろうと勝手に解釈することにしたのだった。そして聖剣を扱えた事で聖剣に選ばれた者として認められたので、聖女の加護を貰う事になったのである。そしてその加護の力は聖剣と同じ力を得る事が出来るということだったのだ。つまりは聖剣と同じようにこの力を扱えることになる。だが、その聖剣の力と聖女の加護の力が、上手くかみ合うのかが不安だった。

そしてその不安は的中してしまう。なぜなら聖剣の力と聖女様の力は、お互いに打ち消し合ってしまっていて。どちらも中途半端にしか使えず。どちらかと言えば普通の女の子よりも強い程度でしかなかったからだ。そして聖女様に聖剣を扱えるかどうかと聞かれた時は、少し迷ったが。結局扱えなかったので「私は勇者様のサポートをさせていただきますね」と伝えると、なぜか聖剣を扱うことの出来る人物が現れて、そいつに全てを任せるとの事だった。だが正直に言えば、そいつも私と似たようなものだと思っているので、あまりあてにしない方が良いだろうと考えていたのである。

しかし私の予想とは違い。彼は聖剣を使いこなしてしまった。私は聖剣に選ばれていただけの存在だったので、聖剣の真の力は引き出せなかったが、この男は違うらしい。だがこの男の力は異常だった。聖剣を使いこなすだけでなく。聖剣に認められるほどの実力者であり。聖剣の力でこの世界の危機から守られているという事を知ってしまったのだ。

しかもその事実はこの世界に広まっていないらしい。おそらく、その聖剣の本当の力で危機を回避できると考えているからだと思われる。しかし私の目から見ると、この男が凄すぎて聖剣を使う必要が無さそうな気がしていた。しかも私が思っていたよりこの世界には魔物がいるらしいので、私が使うことになっても足手まといにしかならないだろうなとも感じた。そんな時に聖剣からこの世界には魔王と呼ばれる者がいて。その存在のせいで、この世界が滅びようとしているという話を聞かされた。なので私は、そんな話をされた時点で「私はこの世界で魔王と戦う運命にあるのか」と感じ始めていたのだ。しかし私は聖剣を持つ事を許された勇者でもないので戦う事は不可能だと思っていた。だが私にこの男の仲間になって、一緒に魔王を倒す事を提案されたら、もう選択肢は一つしかないと悟る。私は「あなたについて行きます」と返事をしたのだった。そして私と勇者である彼との二人だけのパーティが始まるのだった。

私達はまず最初にこの世界で最強の冒険者と言われている男に弟子入りをすることになった。

「弟子を取って鍛え上げる余裕はない」と言われて断られたのだが、私も彼も引かない。私達の意思が固い事を悟った男は「なら、俺の弟子に相応しいとお前らが思うような奴を連れて来れば、教えてやる」と言ってくれたので。彼にこの世界を旅しようと言われ、私はそれに同意をして旅をする事にする。だが、この男は本当にバカだった。この世界を救える程の実力を持っているはずなのに、それを活かそうとせずに、ただただ自由に気ままに旅をしているだけだったのだ。しかも彼はこの世界の人間ではなく異世界から来たので。この世界を救って元の世界に帰りたいのに、その為に戦おうという気持ちがない。

だが、そんな彼と一緒に行動して分かった事がある。それは彼が、実は異世界から召喚されてこの世界に来たわけではないという事実だ。どうもこの男は異世界人ではあるが。元々別の世界の人間らしく。彼の居た世界では魔法という概念がなかったらしい。だから魔法が使える事に対して最初は驚いていたが、今は普通に魔法を使っているという事に納得したのだ。そんな彼が「勇者なんて面倒だから辞めてしまいたい」と呟いた事が何度かあったが、勇者を辞めるつもりはなさそうに見えたので私は「勇者を続けて」と言っておいた。

だがそんなある日。この男はとんでもない事を言ってくる。それはこの世界が魔王によって滅亡させられるかもしれないという事を知った事だったのだ。だがこの男はまだこの世界を救おうとせず、のんびり暮らしていたいと思っているようで。この話を私に伝えた後、聖剣を扱える人物がいれば任せるというスタンスを取った。それは聖剣が使えないこの人が言うには無理があるのではと思ってしまったが。だけど聖剣がこの人に力を貸す可能性がある事は分かっていて。それなら何とかしてくれるかもと思ったのだが――結局駄目なまま終わる事になる。

そして私達は聖剣を手に入れた人物に会う為に、その人物に会いに行くことにした。しかし問題が発生した。なんとその人物はすでに殺されてしまっていた。しかも殺された原因はこの世界の神様みたいな存在で、魔王と呼ばれている人を殺すために異世界から呼んだ人物で、それが失敗して殺されたという。だからその責任を取らされる形で神様に魔王として殺されて死んだそうだ。だから、この話を聞く限りでは勇者がやったんじゃないかと、思ったりする。だが問題はそれだけじゃないのだ。どうも魔王は神を殺せる武器を作ったようだと、彼が言ったのだ。神を殺した勇者の使っていた剣と同じものが聖剣だという。だが聖剣は勇者以外の者に使いこなせないと言われていたので私は安心したが、彼が心配している事は違った。聖剣を手に入れる事でこの世界を救う事が出来ると、聖剣を手に入れないとこの先大変な事になってしまうと言うのだ。だから私は聖剣を手に入れなければいけないと、思って聖剣がある場所へと向かい始めた。そこで私は、聖剣は王都の中にある神殿の中にあり、その奥にある部屋に聖剣が眠っていると知る。そしてその部屋の鍵は王様が管理している事も知った。しかし、その情報だけでは聖剣を扱えないと思ったので私は王様に直接会う必要があると考え、その機会を待つことにする。

そして数日後にチャンスが訪れて王様から呼び出しを受けてしまう。そこで私に聖剣の扱いを教える為に勇者を呼び出してもいいかという質問を受けたので、その誘いに乗ったのである。

すると勇者である彼と会わせられて聖剣の事を教えられることになったのだが。聖剣を扱えなくて勇者をクビにされ、聖剣を扱えたとしても聖剣に選ばれたわけでもなく勇者ではない男を聖剣が選ぶのか不安だったが、勇者を任命する権利が聖剣にはあるという。

つまり聖剣が勇者だと選んだ以上は聖剣に選ばれても選ばれなくても関係ないのである。

だが聖剣の試練を受ける資格があるのは勇者だけであると言う事を教えられると、私は彼には悪いが聖剣の試練は受けさせられないと思う。何故なら聖剣に選ばれるのが当たり前であり。それこそが勇者の証だと思われているので、それを拒否したら「なぜ聖剣を扱える勇者にならない?」と言われるに決まっているからである。だからこそ私は、彼にその事実を伝えて聖剣を諦めてもらうしかないと決めたのである。だが、その話を聞いた時、私の中で何かが変わったような気がしたのは間違いではなかった。その証拠として、その日を境に私の中で何かが変わる事になったのだから。

だが、その時、聖剣が私の体に入り込み始め。それと同時に聖剣の力が流れ込んできて、私の意識は薄れていくのだった。だが聖剣を扱えていない私は、聖剣を扱えないので聖剣の力に飲み込まれていきそうになると、この勇者は、その聖剣が暴走していることにすぐに気づくと、私の事を抱きしめて、そして私から引きはがしてくれたのだった。

だが聖剣の力を完全に引き出されてしまった私は完全に力を失ってしまって、そして私の意識も途切れることになる。

だが私が目覚めたのは、この勇者の家だったのだ。しかもベッドの上に横たわっている状態である。私は、どうして勇者の家の寝室で眠っていたのか全く分からない。そもそも勇者の家が何処にあったのかさえ知らなかったからだ。

なので、ここは一体どこなのだろうと、辺りを見回していたら扉が開き、この勇者が現れたのだ。どうやら勇者は私の様子を見に来てくれたらしく、体調が悪いところは無いかとか色々と確認してきたので、とりあえず「大丈夫」と答えておく。それで私が倒れてから、この勇者の家に運ばれてきたことを説明されるのであった。だが勇者の家は広くて豪華な作りになっており。勇者の部屋だと言われて案内されたのが何故か寝室で。勇者が使っているであろう巨大な天蓋付きベットに案内されてしまう。そして「一緒に寝てみるか?」と言われて、私は戸惑ってしまう。だが私の顔が赤くなっていることを見て、勇者はすぐに冗談だったのだと教えてくれたのである。しかし「からかいがいのある反応をしてくれて面白い」と笑いながら言われた時には、私は恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にして俯いてしまったのは、仕方がないことだろう。だが私の様子がおかしいことに気づかれてしまい、勇者に「熱でも有るのか」と聞かれた。でも「何でも無い」と答えたが「そうか、無理をするなよ」と言われただけで特に気にされていないようだったので私はほっとする。

だが私は、ここで少し疑問を抱いた。なぜなら私が勇者を好きな事に気づいていないように感じられたのだ。でも、それはありえないはずだとも思っている。なぜなら私がこの家に泊めて欲しいとお願いした時に、普通に了承されていたので私が勇者の事が好きだということは理解しているはずであるからだ。それに勇者の方も私が好意を寄せていることを知っているのに、わざわざこんなことを言うのには理由が必ずあるはずだった。私はそれが分からず悩んでしまう。

なので勇者から詳しい事情を聞いてみたのだが「まだ時期じゃないから」という理由で、私に対して何が起こっているのか説明はしてくれない。だから勇者が私に何をさせたいのが、それが全然わからなかったのである。だが「しばらくここに居ろ」とだけ言ってくれると勇者は仕事に戻っていった。私は「本当に良い人だよな」と思ってしまい。つい頬笑みをこぼすのだった。そしてその後から、私の中で今までとは違った感覚が湧きあがってくる。

だがその事に疑問を抱くこともなく受け入れてしまう。その感覚を受け入れた途端に、胸の奥から熱い感情が次々と生まれ出て。まるで心が弾むような、そんな気分になったのだ。それから数日の間は、その気持ちが何なのか解らずにいた。だが、ある日の夜に、ふとした瞬間に、私は自分の気持ちの正体を理解したのだ。私は勇者の事が好きで堪らないのだと。その想いはどんどん強くなっていき。私はもうこの気持ちを抑えることは出来ずに、勇者が居る部屋に行こうと考えて行動に移すことになる。そして私は、勇者に会いに行く前にお風呂に入ろうと考えると。なぜか着替えが用意されており。その服を脱いでいく。

するとそこには私の体に刻まれた傷跡があったのだ。これは昔に付けられた傷で勇者に治してもらうこともできず。ずっと残っていたものである。私はこの体を見られるのが恥ずかしく思い。だけど「この傷を見られたくない」と言って勇者に拒絶されるのは怖かったので勇気を出して見せようと決心した。だから服を着直さずに脱いだ状態で勇者がいる部屋に向かって歩いて行くのだった。だが勇者の部屋の前に辿り着いた時、突然、中から物音が聞こえてきて、そして私は誰かの気配を感じ取った。だから私は慌てて隠れる。その人物はどう見ても女性で、この部屋の中に入ってきたのだ。その女性は私と顔が瓜二つな女性であり。そんな女性が勇者と仲良く話している姿を目の当たりにして、私は凄まじい衝撃を受けて立ち尽くしてしまうのだった。そして二人が話をしている声を聞き取ろうと、部屋の壁に寄りかかって耳を澄ませてしまうのである。

しかし話の内容はよく聞き取れなかった。そして暫くしてから二人の話し声は止まり、代わりに衣擦れの音が大きく聞こえるようになってきて、勇者が女性をベットに押し倒しているのではないかと予想出来たのである。その事を確信してしまった瞬間、私の中には絶望的な光景しか浮かんでこなくなってしまう。その事は、この前勇者と一緒に寝ているところを目撃されている時点で分かっているはずなのだが、改めてその事実を突きつけられて、更にショックを受けてしまったのだ。だから私はその現場を目撃しないように逃げ出そうと思ったが、足がすくんで動かずにその場に座り込んで泣き出しそうになる。すると二人は話を終えたようで勇者が出ていったが。だが、すぐに別の女性が入ってくる。どうも勇者は複数人の愛人を抱えているらしい。それも全て勇者が連れてきていた女性だそうだ。私は勇者が複数の女性と愛し合っている姿を目撃するのは辛すぎると思いその場から離れようとする。だが、その時に女性の「待って、もう少し話がしたい」という言葉が聞こえてくる。そこで私は咄嵯にドアの後ろに身を潜めると盗み聞きを始めて、会話を聞くのだった。だが私は、その話の内容が私にとっては耐えられない事ばかりで涙が溢れ出てきていた。

そこで聞いた話では、その女性は私よりも少し前に魔王を封印された事を知り。そしてその事が原因で精神が崩壊してしまっているらしい。勇者は何とかしてあげたくて、私を連れてきたのだという事がわかったのだが、私には何も出来ることが無い。だって私の記憶にある魔王の姿が目の前にいる女神様とそっくりで同一人だと分かったから。だから「私は貴方を助けることが出来ないのですよ?」なんて言うことは出来なかった。だが今の私は、どうしても助けたいと思えるぐらい好きになっていたのだ。でも私には聖剣の力を扱い切れない。それに聖剣に選ばれてもいない私が今、この場所にいて勇者の手伝いが出来るのは何か?と考えた時に「私にしか出来ないことが有るのではないか?」という事に気づく。だからこそ、私は覚悟を決めて二人の間に割り込んで、女神様が聖剣に選ばれてない事を告げた。すると、やっぱりかといった表情を浮かべられて。そして勇者は「やはりお前だったのか?」と言ったのだ。その言葉を耳にした時に私は心臓を掴まれた様な恐怖に襲われて、その場で動けなくなってしまった。そして私は聖剣の力の恐ろしさを知ってしまう。それは私と女神様を入れ替える力を持っているという事を知ったのだ。つまり私は聖剣の力で「この世界」では勇者になることが出来るのかもしれないが。勇者と結ばれることは出来ないということなのである。私はそれを理解すると同時に、私は「勇者の力」になりたいと思うのだった。だから私は「どうか勇者の妻にしてください」と言いたいと思ったのだが。

だが「俺の傍には来てくれるな」と言われてしまい。私の頭は真っ白になり何も考えられなくなる。だけど、勇者に私の想いを伝えることが出来たら何かが変わりそうな気がしていた。だが私はその願いが叶わないのだと知ると悲しくて泣いてしまう。でも勇者の役に立てる方法を見つけたので「私はこの世界の人達の事を救ってみたいと思います」と言うのだった。そして私は「この世界で生きて行きたい」そう思うようになっていた。なぜなら、この世界を平和にした時の、勇者の喜ぶ姿が見たかったからだ。でも勇者が私の事を好きだと思ってくれたなら幸せだったけど、勇者は私を助けてくれた時に、私の気持ちに気づいているはずだが。私の想いに応えてくれていない。それが、どうしてなのだろうと考えて、私は自分が子供過ぎていて魅力がないのだろうと想像するのであった。だけど、そんな事は無いと、私は思い直すことにする。

だが勇者には好きな人が居るようであり、勇者が結婚を決めた相手ならば私など眼中に無くて当然だろうと諦めるのであった。

しかし私は諦め切れなくて勇者の後を追いかけて行くと、その先にあった光景を見て私は「ああっ」と叫んでしまうのだった。そこには女神が居たのである。しかも私を見て嬉しそうに笑うので、私は悔しくなりながら、それでも勇気を振り絞ると勇者の邪魔をする事にしたのである。

「あの! 私が先に結婚したかったので邪魔しないでくれませんか?」と勇者に言い放ち、さらに言葉を続けようとしたが、そんな私の口を勇者が塞いでくる。そして勇者が「俺は君が大好きだ。絶対に妻になって欲しいと思っている。それに俺が他の女性と結婚なんて有り得ないだろう?」と言って、私は、とても嬉しい事を教えて貰えた。私は勇者が好きな相手が自分だった事を知ると「私も好きです!」と返事をして勇者に飛びつき抱きついたのである。

でも私は「勇者が私の事を愛していてくれたんだ」と思う反面「勇者の心を奪った女性に対して嫉妬心を覚える」。その女性は私が知らないような知識を持っていて。それを有効活用することでこの国を救う事に成功する。そして勇者は、その女性が気になっている様子で、その女性が誰か気になっていた私は調べ始めると「女神様が元勇者の彼女で、そして勇者が私を召喚させた」のだと知ったのである。私は「この人は、もしかすると勇者にとって、とてつもなく大切な人なのかもしれないな?」と考えてしまったのだ。

その事を考えると私は心が苦しくなる。だが私にもチャンスがあるのではないかと考え始めた。勇者の傍には女神様が居て近づけないが、その奥様が住んでいる場所は分かるので、そこに行ってみる事にする。そしてその女性と仲良くなるのが手っ取り早いかなと安易に考えて向かうことにした。

だが、そこは凄まじい地獄絵図が広がっていたのだ。そこで私は、勇者の奥さんである女性から、自分の気持ちが抑えられずに殺しかけたが失敗したことを告げられるのである。そして私を殺すために勇者の愛人達が動き出したと教えられて「これはヤバイな」と思い逃げ出す。その途中で、私は自分の命を狙っていた女達と戦うことになるが、どうにか切り抜ける。そして逃げる最中で、勇者に告白されて「結婚してほしい。もう我慢できないんだ!」と言われると。私の心の中が幸せな気分で満たしてくれる。だけど「まだ私は貴方と付き合えないです」と告げる。だって女神様の事が好きすぎて、このまま付き合い始めて、そのせいで女神様を傷つけてしまう事になるんじゃないかと思ったのだ。だが私は「私は勇者に抱かれたいし、勇者と結婚したいと今でも思っています」と正直に伝えるのだった。すると勇者は、ものすごく喜んだ顔をする。そして「これから宜しく頼む」と言って、抱きしめられた瞬間から私の心は勇者のものになってしまったようだ。だから私も嬉しくなって笑顔になってしまうのだった。

そして私は家に戻ると勇者と正式に夫婦になった報告をした。それから勇者と一緒に暮らすことになり、夜は、お互いに求め合うように肌を重ねるのであった。

私は、そんな生活を続けていた。そんなある日の事で、私は女神様に呼び出されたので出向く。そこで「実はお願いしたい事があるのですが聞いてくれるかしら? という問いかけをされます。なので「何でしょうか? 出来る限り協力しますよ」と言う。そして、その頼み事とは「勇者の子供が欲しかったら私に協力してくれない?」という内容であり。それを聞いた瞬間に「勇者と女神様の子を授かりたい」と思い、私は協力することに決める。でも、どうやったら良いのだろうかと考えるが、私は聖剣の使い手で女神様でもある。

そして私は「私にしか出来ない事があったんだ。これなら私は、勇者の力になれて愛してもらえる存在になれるかも」という希望を抱いて「私に協力させてください」と言ったのだ。だが「勇者には既に別の愛人が出来ていますが。それでも構わないですか?」と言われたので、勇者に他に愛人が出来ることは予想していたのに私は泣き出しそうになってしまい、だが涙を見せないように必死に耐える。そして「私は構いません。勇者の子供を産むためだったらどんな苦痛も受け入れられる自信があります」と言うと「そこまで言うなら仕方ないわね」と返される。だから私は「頑張りましょう!」と声をかけるのだった。

それから暫くの間だけ女神様と二人っきりで暮らし、その生活の中で色々な事を試していくと、私の体に変化が訪れる。私は女としての魅力に磨きがかかり、更には勇者を魅了してしまうぐらいにまでなった。私はその事が嬉しくなり、もっと努力したいと思うようになるのだが。そんな私を見ていた女神様が私を褒めてくれた。私は女神様に感謝を伝えつつ、今後もよろしくお願いしますと言うと「私は別にあなたが羨ましいわけじゃないのよ?」と言われてしまう。だが、どう見ても女神様が勇者を愛している事が分かったので「大丈夫ですよ。分かってますから」と答えた。だが女神様の態度を見て「女神様の勇者に対する想いって、本当に深いなぁ」と思い、それと同時に、私は「こんなに愛されている勇者が幸せになれば良いのに」とも思うのだった。そして私は勇者が女神様との子を宿すことが叶うのかどうかを調べることにする。

私は女神様と共に色々と試した。そして私達の子供を作るためには「聖剣の力」が必要な事が判明したので「勇者の剣は聖剣ではないの?」と言うと「違うけど。私とあなたの子だから。きっと聖剣の力が宿っていると思うわ」と言われる。だけど私は不安を覚えてしまう。聖剣は神の力で作られていると言われている代物だ。だからこそ聖剣には神様と同等の力を持つ何かが存在していると噂されていたからだ。だが「女神様が言っているんだもん。間違いないはず」と自分に言い聞かせて私は聖剣の眠る場所へと向かうのだった。

しかし、その場所に行くと、そこにあった聖剣はボロボロで錆びており、今の状態ではとてもではないが扱えそうになかった。だから、私は女神様に相談を持ちかけると「その程度は想定済みだったから、心配しなくてもいい」と言われる。だが「今の聖剣には力を蓄えるだけの容量が無い状態」だという事を知った私は「じゃあ今の聖剣の力を回復させるために何をしたら良いんだろう?」と考え始める。すると、すぐに思い当たることがあり、それが私が「勇者と女神様の子作りに協力することで力を与えようと思っていましたが。もしかすると、その方法でも足りなくて、力の回復が足りない可能性って有り得るの?」と女神様に疑問をぶつけると、すぐに返答が来る。

「残念ながらその可能性が高いの。だから私達の子が産まれてくる前に。何とかしなければ世界が滅びることになるかもしれない」と言い、そこで「じゃあさ! 私が聖剣の代わりになり、女神様には勇者のお嫁さんになって貰うことは可能でしょうか?」と言うと「出来なくはないけど、かなり難しい事だと思う」と返された。

「だったら、とりあえずは、それでいきませんか?」と言うと、それもそうだと女神様も了承してくれた。だから私は「私は、この世界を救い、そして、勇者の妻になる女」と心に決めてから勇者に会いに行く。だけど勇者は「もう、俺には君しかいないんだ」とか言って、いきなり私を襲ってきて、しかも避妊しないし「絶対に妊娠させるから覚悟してくれ」と何度も言ってくるので流石に私もドン引きしてしまうのであった。だが私が勇者の子供を生みたいと思えたのは間違いなく勇者が好きだからだと思ったので、それは口にしないことにする。でも私は勇者の子供が生まれた時に名前を決めていたのである。「女の子が生まれる確率が高くなってきたら名前は【ソフィア】という名前を付けようと決めていたので、無事に女の子が生まれて来て名前を聞かれた時のために用意しておくことにしようかな」と考えて、私は子供の名前を考えるのであった。

勇者様が魔王を倒してから二年ほど経つと、私の元に勇者様からの招待状が届いたのです。なので、私は勇者様の元に出向き、そこで私は勇者様からプロポーズを受けました。そして勇者様は私の事を心の底から好きでいて下さり、私もまた同じぐらい勇者様のことを愛しています。ですが勇者は、既に妻である女神様が居ますので、その事を知っている私は少し躊躇しましたが、それでも勇者は私の気持ちに応えてくれ、私は嬉しさのあまり泣いてしまいます。だけど勇者は私のことを気遣い、落ち着かせてくれると優しくキスをしてきて「君さえ良かったら一緒に暮らさないか?」と聞いてきて、それを聞いた私は、つい嬉しくて抱きついて甘えて「もちろんだよー」と答えてしまい、それを聞いていた勇者様が苦笑いをしていたのが凄く印象的だったのでした。

そして私達は結婚したのですが、勇者は、あの人と結婚するまで独身だったわけでして。だから私は勇者から凄く大切にされて毎日が凄く幸せいっぱいなのです。ただ一つ問題があるとすれば「勇者の子供が産めるのか?」という問題が私の中で生まれてきています。私にも勇者にも問題があるので解決できないと、いつか私達の間には子供が出来ない可能性が高そうな気がするので困ったものです。でも、もし子供が生まれなかったとしても私は、これからも勇者を精一杯愛する気持ちだけは変わりませんから、それだけは覚えておいて下さい。私は貴方に全てを捧げます。だって、もう私は勇者の虜なんですから。もう、勇者以外を愛するなんて事は、ありえなくなっていますから。

俺は勇者と呼ばれる男で、今は魔族が支配する国との戦争に挑んでいるところだ。そして今回の相手国は人間達の国と長年戦争をしてきた魔族の王であり。その強さは歴代の魔王の中でも一番強いとされている奴を相手に戦わなければならないのだ。正直に言えば、その圧倒的な存在感を目の当たりにして恐怖を覚えた。しかし同時に、俺は「こいつに勝ってみせる」という感情を抱いていたのだ。何故ならば、今までの俺の戦いが無意味ではなかったことを知らしめるためだ。そして「勇者」として生きてきた意味が、ようやく分かる時が来たと思ったのだ。だから負けられないと改めて決意を固めた。

そして、どうにかして勝とうと必死になり、だが無残に打ち砕かれる。その結果が今の有様だ。そして目の前にいる化け物を前にしながら「こんな所で終わりなのか? という疑問を抱く。すると女神が俺の前に現れた。

女神の話を聞いていくうちに俺は女神の本当の正体が分かり驚きの声を上げると女神は笑って「本当は黙っていたかったんだけどね」と言ったので俺は思わず笑ってしまう。そこで「お前の正体がバレたのは、きっと運命なのだろうな」と言うと、彼女は「私はあなたが好きですよ」と言ってきたのである。そこで俺は、このタイミングしかないと思い、ある告白を行ったのだ。そして「結婚を前提に交際してください」と告げたのである。すると女神の顔つきが変わった。どうやら成功したようだ。そう思っていたら女神は「私は神よ。それでも私と結婚したいというの?」と言うので「そんなのは関係ないだろう。それとも、もしかして他に相手がいたりするのか?」と言うと「そんなのはいないけど」という返答が返ってきた為「なら、問題は無いはずだ。それに俺の事を好きなんだろ?」と言うと「それはそうだけど」と言う反応を示したため「なら付き合ってくれるか?」と確認を取ると「本当に、その条件で良いんだね?」と念を押される。そこで俺も、あえて意地悪してやるつもりで「本当に良いのかと問いかけたいのは、こちらの方だが」と言い返すと「あなたが言う通り、私は勇者を愛しているわ」と言うので「その言葉が聞きたかったんだ」と答えた。だが「だからといって直ぐには無理よ」と言われてしまう。「どういうことだ?」と聞くと「私は神様だから簡単に他の人を好きになったわけじゃないのよ」と告げられた。そこで「ではどうすれば良いんだ?」と問うと「あなたの事を知り、私の事を知ってからじゃないと返事ができない」と言われてしまったのである。つまりは俺を試しているということなのだろうか。いやまあ確かにそう言われると反論もしにくいのだが――「だったら今度会う時にお互いの情報を交換し合おう」と提案をするのだった。そして約束を取り付けることに成功してから、それから数日後、女神とのデートを行うことにしたのだが。待ち合わせ場所にやって来た彼女を見て驚いた。何故なら、そこには彼女が居たからである。そう。彼女の姿は完全に女の姿になっていて、しかも服装までもが、まるで恋人同士の女性が来ていそうな可愛い格好をしていた。

私は女神と呼ばれていて神である存在。だけど私は自分の力を使いこなせなくて困っていたのよね。だけどある日、一人の男が「俺の女にしてやってもいい」とか言ってきて私は「はい?」と困惑してしまう。その瞬間「あ、私、これ恋したかも」と気付いた時には遅かった。そして彼の家に案内されると私と同じような女の子の人形があって「この子の名前は?」と質問すると彼は恥ずかしそうに「それは秘密だよ」と誤魔化してくる。だけど私はその仕草を見ただけで彼が何をしたいのか理解してしまった。その答えを口に出していいのか分からないので口には出さないでおいたけれど、多分正解だと思う。その証拠として「その女の子の髪の毛の色は金色なんだ」と言われたからだ。

その言葉で確信できた。その金色の髪を私は知っているからこそ。だからこそ私の胸は張り裂けそうになってしまう。どうして、そこまでしてくれるの? 私達はまだ出会ったばかりなのに。と口に出すと「一目惚れだよ」と彼に言われてしまい、更に混乱してしまう。だから私は素直に伝えることにした。「私の力は「人を導くこと」にある。あなたが導く先が幸福になるように、あなたの事を守ってあげる」と言うと彼も私も自然と手を取り合い指を絡ませていた。私はこの時初めて異性に手を握られながら「あ、私も好きになってるかも」と意識すると、そこでお互いに見つめ合うと「愛しているよ」と言い合っている自分達がいるのだった。そこで私は「この人と、この人の子供を生みたいと思えるぐらいに」と思ってしまうと、私の体は光輝き始めたので私は焦りを感じ始めるのだった。

俺は、あの後「また会えるから心配しないで欲しい」と言ってくれたので、そのまま帰ろうと思ったら「ねえ、私にキスしてくれませんか?」と言われるので俺は迷わず実行に移してみたら「これで、いつでも貴方と話が出来るようになったから嬉しいです」とか言われたので、ちょっとだけ俺の頭はパニックに陥るが。まあいいかと思い俺は「そっか。じゃあさ。次に会った時は色々と相談に乗ってくれよ?」と伝える。そうしたら彼女は「はい。その時が来るのが楽しみですね」と言う。そこで彼女と連絡先の交換をしておけば良かったのだと後悔しかけたところで俺は思い出すのである。そうだ。彼女は神様だという事を忘れていたと。そして彼女が神様であるなら。神様の力で俺の記憶から彼女を消せるかもしれないと思うのである。そう思った矢先に彼女は「勇者さんって私のことが嫌いですか?」とか言ってくるので、俺は思わず吹き出してしまう。そして「ああ、俺は君の事が大好きだ」と言うと彼女は嬉しさを隠し切れないようで、笑顔を見せるのであった。そして俺は彼女に別れを告げて家路に向かう。すると、ふと、気付いてしまったのだ。彼女が、まだ近くに留まっているような気がすると。そう思って振り返ると、やはり、そこに彼女は立っていた。そこで、なんで残っていたんだろうと疑問を抱いていると「貴方の事、ずっと見ていたんです」と言うのであった。どうやら俺の事を気にしていたらしい。

「どうしたんだ。急に会いたいだなんて」と言うと彼女は俺に向かって微笑みかけてきて「実はね。あの時、あなたが「一目惚れだ」「惚れてる」という言葉を使って私を口説こうとしていたでしょう? だから貴方を、どうしても自分の物にしたくなったのよ」と言ってきて俺は驚くしかなかったのだが――。

***私が魔王となって人間達を支配しようと考えていた時期がありました。しかし私は魔族と人間の争いを止める方法はないのかなと考えていて。でも私は魔族と人間を繋ぐ橋渡しの役割をしている魔族の娘だったので。そういう役割も、あっても良いのではないかなと思い始めています。なので、これからも、どうぞよろしくお願いします。勇者様(^O^)/ 俺達は結婚した。勇者が転移させられて来てから三年後のことだった。そう。結婚してから一年経過した頃には勇者の妻になっていたのだ。勇者とは、よく話すようになって、それで仲良くなっていったのだ。そして私は、この勇者と結婚した理由を話すことにしました。それは私に好きな人が居たことを話していなかったのが原因だ。それに気付いていたのだろう勇者は何も聞かずに話を黙って聞いていたのだ。そんな彼に対して、いつか告白しようと思っていたのに。勇者は妻となった今では別の女性と結婚していて。それでも良いのだと思いながら私は日々の生活を営んでいくことにしたのだ。

だけど勇者は何故か私に告白してきた。その告白を聞いた時の衝撃は忘れることは無い。だけど断るわけにもいかない。何故なら、もう既に勇者の奥さんになっているわけだし。そんなわけで私は勇者のプロポーズを受け入れることにした。だが勇者の口から意外な事実を耳にして私は驚いてしまい、そして、つい反射的に「私と子供が作れるのか?」という質問をぶつけてしまった。しかし勇者は嫌がることなく受け入れてくれた上に、私は子供を作れますよって教えてくれる。それを知った私は心が温まる気分になるのと同時に胸がドキドキする。そして「結婚を前提に交際してほしい」という勇者からの申し入れを受け入れたのである。

俺は今。俺の目の前で「結婚を前提に交際して欲しいんだ!」と言ってきた奴の顔を見ながらどうしたら断れるのだろうかと考えることになる。そして俺の隣にいる女を見るのだが。こいつは結婚を前提に交際を申し込んでくる男の婚約者でもあって。しかもこいつの家は代々、王家に仕える騎士の家系であり家柄も申し分が無いのが厄介だったりする。それ故に俺としても断りにくいという事もあり。俺と勇者との話し合いの場は始まった。そして俺と勇者の二人っきりで会話を始めることになったんだが――。

『お前、一体どういうつもりでこんな事を始めたんだ?』

「えっとさ。君なら、俺の考えを理解して協力してもらえると思ってさ」

俺が「何言ってるんだ? お前?」という顔をしていると「俺、好きな子が出来ちゃったんだよ」と言われるのである。その言葉を聞いて俺も流石に驚きの声を上げてしまったのだった。しかし勇者は真剣な表情で語り出す。俺も少し真面目な顔をしながら耳を傾けたのだが。その内容は凄くぶっ飛んでいて。勇者の幼馴染の女性に惚れたというわけである。だけど勇者が言うには「その子は男で。だから俺と結ばれて子供を作る事も出来るはずだから安心してくれ」と言うのだった。

勇者が「だから俺と結婚してくれないか?」と言い出して私は困ってしまう。だって、そう簡単に答えを出せるはずもないのだから。すると「すぐに答えを出そうとしなくてもいいんだ」と勇者が言い出し始めて私は驚いたが。その言葉で私は安堵してしまう。そう。この人と結婚することは、ほぼ確定事項だと思っているから。だからこそ、この人と一緒に生活するのは幸せだろうと思えたのである。

そして私は彼に誘われて食事に付き合う事になって。それから勇者が私のことを本気で想っている事を知り、ますます私は惹かれてしまう。だからこそ私は「あなたのような優しい男性が夫なら、どれだけ幸せになれるんでしょうか」と言うと彼は満面の笑みを見せてくれて「俺もだよ」と答えてくれる。その瞬間、私はとても嬉しい気持ちになったのだが、それと同時に不安を覚えてしまったのである。何故なら、彼の奥さんは自分ではないからである。そう思うと悲しくなってしまい、つい涙を流してしまった。

「あ、すまない」と謝ると「別に泣かなくて大丈夫だよ」と言って彼は私を抱き寄せてくるのである。だから私は彼の優しさに感謝しながら抱きついて泣いてしまう。そして泣き終えると私は「本当に私なんかでいいのかしら?」と言い出してしまう。すると彼は笑顔で「ああ、君は俺にとって一番だからな」と言われてしまい、私は、もう、この人の傍から離れたくないと改めて感じたので「私、あなたの為に一生尽くすから。だから絶対に離れないでね」と彼に伝えていたのであった。そして私の家で勇者の帰りを待つ事にしたのである。

僕は今。自分の家に居るのだが。僕と僕の妻の間に産まれてきた二人の子供達は、それはそれは可愛くて。その愛らしさに癒されてしまう。妻は育児に専念しているため。僕の出番は余り無いんだけど。まあ良いかと最近は思えるようになってきたので良かったかなとも思う。そんな我が家にやってきた訪問者を見て。僕は驚くしかできなかった。なんせ彼女は「お邪魔しますよー」と言うと家に上がり込むと「貴方は私の旦那様に色目を使わないで欲しいわ。もし使った場合は貴方に罰を与えるから覚悟なさいよね」と言い出したのだった。それに対して僕は「色目なんて使っていないよ」と否定するが「あら? じゃあ貴方は、この私の夫のどこに魅力を感じているの? はっきり言ってくれるかしら?」と聞かれると何も言えなかった。そして彼女の勢いは止まらず。

私は今日も彼と会って話をしたかったのだけれど。彼が外出中だったために暇を持て余していた。すると玄関の方から物音がしたので誰かが帰ってきたと思い、とりあえず挨拶をしに行ってみようかと立ち上がり歩き出すと、ちょうど玄関の前に辿り着いたので扉を開くと。そこには彼女が立っていて「こんにちは。あなたのご主人様に会いに来たんですよ。あなたって、なかなか可愛いですね?」と言われた。

私は彼女が私の事を褒めてくれたことに嬉しくなってしまったのだが。ここで私は「ねえ、あなた。私の事が好きだと言ったの覚えています?」という彼女から言われた内容を思い出して恥ずかしくなる。すると私が真っ赤になっている事に気付いたのか彼女は私の頬に手を当ててきて。「ふふっ。赤くなっていますよ? やっぱり、あなたのこと、気に入りました。ねえ、私の物にならなかったりします? それとも私みたいな素敵な女性とは結婚したくないですか?」と言われる。

俺は勇者から告白されて、それを承諾する事にしたが。問題はどうやって勇者の奥さんを説得したらいいのかという悩みを抱えることになる。そもそも勇者の妻である彼女が、どんな女性なのか分からない以上迂闊に口に出せなかったりした。そこで勇者は彼女に「君を怒らせるような事は絶対にしないから信じて欲しいんだ。俺は君の為を思ってやろうとしている事なんだ」とか言い出してしまうので。俺は、やれやれと思ったが仕方がないので、勇者に付き合ってあげることにしたのだった。そして、その日の夜。

「私、勇者さんの事、好きですよ」と言ってくる。そんな事を言われて勇者が戸惑うと「勇者さんが、どういう目的で行動していたのかは分かりました」と彼女が話し始める。そして勇者と奥さんは見つめあう。お互いに無口になると彼女は口を開いた。「あなたが浮気をするなら。あなたを殺す」と。そうして二人は、ただ沈黙を続けるのであった。

勇者が勇者の奥さんに対して説得を続けている最中の出来事だ。俺は勇者の奥さんの機嫌を取る為だけに「勇者が君のことが好きだと言っていたよ」と言うのだが、それは嘘である。だって、あいつの言っている言葉は全て本当で、そして嘘偽りも無い真実の言葉でしかないのだから。だけど、勇者の奥さんには「勇者の奥さんの事が好きで、好きで堪らないから、だから結婚して欲しい」なんて言えば殺される可能性があるだろうから俺は黙っていたのだ。

俺は勇者に「君には感謝しているよ。まさか俺のために魔王退治に協力してくれるとは思わなかったけどさ。だけど魔王が倒されたら、また元通りの生活に戻ろうと思っているんだよ。だから、魔王を倒した後に一緒に冒険するって約束だけは守ってくれないか?」と話してみる。勇者の妻は勇者のことが好き過ぎて「勇者以外の男に嫁ぐつもりはない」とハッキリと伝えて来るので困った状況だ。なので「君は俺のことをどう思う?」という勇者に対して「あなたは素晴らしい男性だと私も思います」と答えたのだ。その言葉を勇者に伝えるのは間違ってはいないのだが。それが問題なのだ。何故なら勇者の奥さんも俺に対して好意を抱いていて。それで俺と結婚するつもりだという事なのである。

私は今日も彼に会いたい一心で彼を訪ねに行くのだが。彼は仕事中だったので、どうしたものかと考えながら街を歩いていた。そんな時だった。見知らぬ女性から声をかけられたのである。私に何の用事があるのだろうかと思いながらも「私に何か用でしょうか?」と聞き返す。すると一体、何が起きたのかと驚いてしまう事態が発生したのである。だって、いきなり私は「私は魔族と人間の橋渡しをしていて、あなたのような方が居て助かります」と告げられて、そして「これからも人間に偏見を持つ者が多い中で、あなたのように優しく接してくれる人がいると分かって嬉しいのです」と話しかけられたのであった。しかし私の方は、その言葉が信じられなかったりするわけで――。

俺は勇者が家に訪ねて来て「今、ここに君達にとって大事な女性が居るんだけど、この子と夫婦になってくれないかな? 頼むよ」と頼まれた。しかし「どうして、お前が妻となるべき相手を決められて、そしてお前に頼まれてまで彼女と婚姻を結ばないといけないんだよ」と言う。すると「えっと、俺、彼女と結婚したいと思っているんだよね。でもさ、君にも彼女の良さを知って欲しいんだ」と言うが。俺がそんな風に考えていると奥さんは「ええ、良いです。その申し出を受けさせていただきます。私は彼と一緒になる事で幸せな生活が送れると思うから、あなたと結婚しても良いと思えたの。それに勇者である貴方の頼みであれば断れないでしょう?」と言ってくる。だから、俺も仕方なく了承することになったのだった。そして、その日の晩。俺は勇者と食事をするために外に出る事に。そして勇者と食事を楽しむのだが。その時だった。勇者が「なあ、君にとって一番大切なのは誰なんだい?」と聞いてきた。俺は「俺にとって一番は妻と子供だ」と告げると「君は、その人たちを守る為に頑張るわけだ」と言われてしまう。そして勇者の妻から突然「ねえ、貴方のご主人様って、とっても素敵で優しい人ね。私は、この人と一緒になりたいの。良いかな?」と問いかけられてしまった。

私は魔王である勇者を倒して平和をもたらしたら、そのまま彼との仲を深める予定だったのだが。彼が「悪い。もう我慢出来ないから。今夜は俺の家に泊まりに来てくれないか? 絶対に後悔はさせないから」と言い出してくるので私は彼について行くことにしたのである。彼は「あ、そういえば名前を聞いていなかったよね。君の名前はなんて言うんだい?」と言ってきたので「あら? 貴方のような人に教える必要は無いんじゃないかしら?」と言ってみたのだが。彼が困っている姿を見てしまい。私は彼に名前を聞かれたら正直に教えようと心に決めていたので「私はリリスと言うの」と伝えると彼は笑顔を見せてくれた。そして、そんな彼を見て私も笑顔になったのである。それから私達は彼の家に向かうことになった。彼は、もうすぐ自分の家に着くと言ったので私も彼の後ろを追いかけるように歩いていると彼が突然「あれが俺の家なんだよ」と言い出したので、彼が指差す方向を見ると家が見えるのであった。

僕は今。僕の奥さんの実家に来ていた。というのも勇者の奴から連絡があって僕が勇者の所に遊びに行ったら「俺と君で、あの人の両親に顔を見せてあげたらどうかと思ってね。もちろん彼女だって喜んでくれると思うよ。まあ、まずは僕に任せてくれよ。君は僕の家に来るだけでいいよ」と言われたからである。その言葉通りに僕は彼の家に訪れる事にしたのだった。すると勇者の妻に歓迎された。

私は先日。勇者が訪ねて来たときに「私に勇者さんの事を任せて欲しいんです」と言われたので「あら? それって私と勝負しようってこと?」と尋ねると勇者の奥さんは私に「貴方には私なんか勝てないですよ。勇者さんが選んだ貴方を私なりに評価してみた結果、私よりも貴方の方が魅力的だと思うの」と言われたのである。だから私は、この子も変わった性格をしているなぁと思っていたのだけれど。勇者の妻は「私より貴方のほうが素敵な女性でした。だから貴方が私と競うのならば話は別になりますけど、貴方は勇者さんの事を愛しているんじゃ無いですか?」と質問してきたので私は「勿論、私は勇者の事が大好きで。だから私は勇者の事が好きだし愛している」と答えると「だったら、このまま私が貴方と争わないで、このまま別れても構いません。貴方とは争うような関係では無いと思うの」と勇者の妻が言い出した。そこで私は「勇者が私の事を愛しているというのなら。私が彼を悲しませないようにして幸せにしてあげたい。だけど私一人では限界があるから手伝ってくれるなら嬉しいわ」と話すと勇者の妻から「私は、そんな風に考えたり出来るからこそ。きっと私と貴女が一緒になったら素敵な家庭を築くことが出来ると確信しているから。だから私達って、お似合いのカップルだと思えない? だから一緒に暮らせていたらとは思わないかしら?」と提案されてしまい。それを受け入れたのであった。そして、この日の昼に。私は魔王の奥さんと勇者が暮らしている家に足を踏み入れたのである。

僕は今。勇者の住む家の中で勇者の妻のご両親が出迎えてくれたのだ。そして勇者が僕に色々と話をしてくれる。そして勇者の妻が「勇者さんのご両親の事を教えて貰いたいのですけど」と言ってきた。僕は勇者の妻が、どういう目的で話を始めたのか分からないので戸惑ってしまうが、そんな事を気にしている場合ではないと理解しているので「うん。分かったよ」と答えたのであった。そして私は、これまでの出来事を全て勇者の妻に伝えたのである。その結果「貴方は本当に私と敵対関係になることを望んでいるわけではないようですね」と言われてしまう。私は当然「私は貴方と敵対するつもりはありません。ただ、私は勇者と貴方の関係に憧れを抱いたから、こんな話を持ちかけたのです」と彼女に言い出す。すると勇者の奥さんは、しばらく沈黙したあとに「分かりました。だったら、これから仲良くやりましょう」と言ってくれたので「こちらの方こそ宜しくお願いします」と答えたのである。

私と勇者の妻は、これからの事を話し合う為に話し合いをしていたのだけれど。私達が、どんなことを話し合っていたかというと「勇者の奥さんが私達の家で生活をするのは良いとしても。彼女は、どうやって生活するのか? という問題に頭を悩ませることになるのでは無かったか?」という疑問が頭に浮かんできたので勇者に尋ねてみると、その通りで彼女は僕達に「どうやったら貴方たちと一緒に暮らす事が出来るようになるのかしら?」と聞いてきたのである。なので私は勇者の嫁に対して「私としては、やはり仕事を辞めるというのが普通だと思うんですよね。だって勇者の奥様として勇者と暮らしていく以上は、勇者と同じぐらいの強さが必要になると思いますからね」と答えた。その言葉を聞いた勇者の嫁は嬉しそうな表情を浮かべる。その様子を見ながら私も微笑んだのである。そして「でも私、実は仕事をしたいという願望はあるの。でも勇者の側に居たいっていうのも本音で」という言葉を聞きながら「仕事かぁ。そうだ! 勇者の奥さん。私の店で働くというのは如何でしょうか? うちのお店で働いている女性従業員の中に、とても強い女性がいるのです。彼女の力を貸してもらえれば勇者の妻を勤める事が出来ます」と伝える。そして勇者の方に視線を向けて確認を取ると勇者の妻から「是非とも、お言葉に甘えさせていただけるのであれば、働かせていただきたいとは思うの」と言われると、それを耳にした私は笑顔になり「ええ、そうしていただけると助かります。それと、その方と勇者は仲が良さそうに見えていたので紹介しておきたかったので、今回連れてきて良かったです」と話したのだった。

「俺は君のことが好きになってしまったんだ。君さえ良ければ俺の妻となってくれないか?」と言ってきた。その言葉で、私は目の前に立っている少年の顔を見る事になったのだが。確かに勇者と呼ばれている人物だと思われる顔をしているが。どうして私に好意を持ってしまったのか不思議でしょうがなかったのである。その理由を聞く前に勇者が「俺と恋人同士になってくれると嬉しいんだけどな」と言い出してしまったのである。そんな勇者の言葉を聞いて私は「そうやって貴方は私の身体を求めているだけでしょ?」と言い返したのだが。勇者は「俺にとって一番大事なのは君と夫婦になりたいということなんだ。頼む」と懇願されてしまうのだった。その光景を目の当たりにした私は心を奪われてしまう。だからこそ勇者に恋をしたのだが。同時に、この人は私を利用しようとしているんじゃないかと考えてしまうのだった。そのせいで私は勇者のことを信用できないと思い始めたのである。しかし私は勇者と一緒に生活をしてみたいと思う気持ちが強くなったから彼に「それじゃあ、よろしくね」と答えてしまう。そして「あ、そうだ。私ってば君の名前を知らないのよね。貴方って呼んでも良いかな?」と言うと勇者が「俺は自分の名前が知りたくなかった。何故だかさ、この名前のせいで皆から怖がられることが多かったから」と話してくれた。そして私は勇者に自分の名前を教えたのである。

それから私達は二人で旅に出掛けて行くことにした。そして道中で勇者の妻から勇者のことに関して相談を受けたのである。その時に「勇者さんに本当の家族を与えてあげて欲しいの」と頼まれてしまった。その事について私が質問をすると「私は、これまで夫以外の男性と付き合いがあったの。夫は私よりも先に亡くなったけれど息子がいたのよ。それでね、この子と血が繋がっていれば良かったなって思ったことがあるから」と言われた。その事で、勇者が勇者の奥さんのことを好きになってしまうんじゃないかと思ってしまうと。

「あら? 心配してくれているの?」と言われてしまったので「いえ、勇者の奥さんは可愛い人だから。私と違って魅力的な人なんですもの」と答える。そんな私の発言を聞いて勇者が「俺も、そんなふうになれるのなら嬉しいな」と言い出した。そして私達は笑い合いながら歩いていく。私は「ねえ、今度から貴方が勇者って呼ばれても大丈夫なように勇者の妻って名乗った方が良いと思うわよ」と言ってあげる。その事がきっかけで勇者の妻に名前を聞かれたら「私の名前はリリスと言うわ」と答えるようになっていたのであった。その事を妻に伝えてから、私と勇者は勇者の妻と共に歩き続けることになったのである。

私と旦那は二人きりの生活を送っていた。それは私が勇者の事が大好きだったからなのだが、そんな時だった「貴方にお願いがあるのよ」と言って勇者の奥さんが私達の家に訪問してきたのである。そして「勇者さんが私の夫の所に遊びに来たときに貴方を誘って欲しいの。そして出来れば、一緒に生活をして欲しくて」と言われてしまい。私は困りながらも「う~ん。やっぱり駄目なのかな?」と言ってみたところ「勇者のことが嫌い?」と言われてしまったので私は「そういうわけではないんですけど。ただ、私は彼と結婚するつもりが無いというだけなの」と答えたら「そんなはずは無いと思うの。勇者が貴女に惹かれているのは間違いないのよ。

だから私としては貴女に結婚して欲しいの」と言われてしまって私は「勇者の奥さんには悪いけど、勇者と付き合っても、きっと幸せになれないと私なんかが思っているんだよ」と正直に話すと勇者の妻が「私は、どうしても勇者さんに幸せに生きていて欲しいの」と言い出したのである。そんな彼女の話を聞きながら私は複雑な感情を抱いてしまい。「私は彼と別れることに後悔は無いと思っているから、そんなに彼のことを思っていなくても良いのでは」と言ったところ「勇者さんが、もし私のことを愛していても。私が勇者さんを愛することが出来ないって言うなら仕方の無いことでしょう?」と言われてしまい私は納得してしまい。結局は勇者と会うことを約束してしまうことになる。

そして約束の日が訪れる。その日の朝に、私達が住んでいる家の扉を叩いたのは、勇者と奥さんの二人組で、私は思わず笑ってしまうのである。私は玄関に向かってから鍵を外すと勇者達が中に入ってきた。そして私は二人に対して「勇者は、こんな可愛らしい人を、ずっと一人にしておいて何を考えていたのかしら? それとも勇者の奥さんを悲しませないようにして来たのかしらん?」と聞くと勇者は恥ずかしそうに「いや、そんな事を考えながら生きて来たつもりは無かったんだけど」と答えたのだ。

私は勇者の態度を見て勇者の奥さんに申し訳なくなる。しかし彼女は気にしていないような表情をしながら「私も、こんな可愛い子を放っていたなんて、勇者さんと一緒に居られて良かった」と言われてしまうのであった。私は彼女から言われた言葉を耳に入れて戸惑ってしまったのである。そして勇者と勇者の奥さんを、お城に連れて行くと、そこで二人は王と女王の前で結婚式を挙げさせて貰ったのだ。勇者は、その場で勇者の妻となる女性の名前を告げてくれたのだけれど。それが私の名前と同じで驚いたのだけれど。そのおかげで私達は三人で生活をすることが出来るようになるのだった。そして私は、お城の人に「私達の家で暮らせるようにする手続きを取って欲しい」と頼むと、すぐに行動に移してくれて。その日のうちに、私達は家に帰れるようになったのである。しかし、それから三日後に私達は、あの家に帰ることが出来なくなってしまったのだ。その事は残念だった。

***僕は気が付くと不思議な空間にいたのである。ここは一体何処なんだろう?そう思っていたとき、誰かが僕の元に近づいてきて話しかけてきたのである。それは綺麗なお姉様のような容姿の女性だったので、一瞬見惚れていたのであるが――

「私は神です」

そんな自己紹介を受けたのだった。そして彼女が神様だと信じられない僕がいたので、神様の外見を確認しようと思って、じっと見つめてみると、どう見ても普通の人間にしか見えなかったので僕は困惑してしまった。

そんな僕の気持ちを見透かしたかのように。

「私は貴方たち人間が思い描いているイメージと、同じ姿に変身しているのですよ」と言われる。その言葉を受けて僕は改めて目の前に存在している女性の事を観察すると、その通りであるように思える。しかし本当に神の力が有れば、もっと違う感じで人の前に姿を現わす事が出来るんじゃないかと思うんだけれど、それを指摘するのも無粋かなと思う。だって相手は一応神様だし。それに見た目だけで判断したら痛い目にあいそうな予感がしたから、あまり考えないようにした方が身の為だと思い直したのである。なので話を先に進める為に、どうして神様は、ここにいるのだろうかと思ったので尋ねてみることにする。すると神様は「私は貴女に聞きたいことがあったのです」と言うと「実は貴女の旦那さんの身体を、私の世界で、私の信者に作らせましてね。そして魂を入れておいたのです。その肉体を貴女は手にする事が出来ましたよね?」と言われたのだった。

そして、その説明を受け「そういえば私の元彼が私を捨てて逃げて行った後に私の姿になったのよね。あれってどういう意味なのか、その時はよくわからなかったけど。今になってわかった気がする。つまり私ってば元彼と同じような事を、あなたにしたかったのね」と言って笑うと神様は苦笑いをしていたのである。そして「でも私ね。貴方の元彼さんみたいに自分勝手じゃないわよ。私はね、ちゃんとした夫婦の関係を築きたいの。だからこそ私の世界に来て貰うために色々と、やっておきたかったことがあるんだけどね」と言われてしまった。そして神様の話が終わりかけた頃に「それで私ってば、貴方と出会ってから貴方のことばかり考えて生きているから」と言ってきた。その事について神様は、とても嬉しそうにするのであった。そして「私ね。貴方のことを、ずっと傍に置こうと考えていたのよ。だけど、それを邪魔をする存在がいることに気がついちゃったの」と言うと神様が僕を見ながら「ねえ。私と結婚してくれない?」とお願いされたのである。

「あー! やっぱり私の事が大好きなんですよね?」

「うん、そうだね。君のことが好きだよ」

そんなやりとりをしていると女神様は「あ、私達の間に子供を作りませんか?」と言い出してきた。その提案を聞いた僕は、そんなことが可能なのかと驚いてしまう。そんな様子で、あたふたとしていると、女神様が「ふっふ。私の力を持ってすれば、それくらいは可能なんです。ただし貴方の力を少し分けて欲しいですけれど」と言われたので。その事に同意することにした。そして僕は女神様に、ある質問をしてから、自分の意識を別の空間に移動させることに成功。その結果、自分の体と精神を分離することに成功した。そして僕は自分自身の姿を客観的に見ることが出来る状態になっているわけだ。

だからといって僕は自分の体が心配で、自分の体に戻ろうと思っていたのだけれど。この状態でも僕の体を、なんとか操作して自分の体の中に移動させることが出来た。しかも意識を集中させると、その自分の体は自由に動かすことができると理解した。そして僕は試しに手を動かすと自分の手が動き出したのである。

それから今度は目を開けようと念じると目も開き。僕は僕の体を確認することができたのであった。しかし確認してみると違和感があった。何故なら僕の顔が別人になっていたからである。それも中年男性みたいな面構えのオッサンである。その事に驚いた僕は女神様に声をかけると「私達は今、入れ替わっている状態にあるんですよ。貴方には私の世界の男の姿になってもらっているんです」と教えられたのであった。

***

「ねえねえ、私のことが大好きなのは誰なのよ?」

「それは勿論俺だよ」

「嘘つきな旦那さん」

そんな事を言いながら抱き合うとキスを始める。そんな私たちの様子に女神様が羨ましがっていた。しかし「あら、私に何か用があるんじゃないの?」と言われて私は思い出して本題を切り出すことにした。それは私が、どうやって勇者を私の元に召喚できたのか、それと私に勇者の加護を与える能力を与えてもらえないのかを、神様に尋ねたところ「それって出来るわ。ちょっと待ってなさい」と言われて私は黙る。

しばらくすると女神様が私の目の前に現れたのだけれど。それは何故か若返っており、見た目的には20歳前半ぐらいに見える女性なのである。そんな彼女は私の方を見て「私は貴方と同じ立場にある人を助ける仕事をしていたのよ。だけど私は仕事を辞めてしまってね。今では神に成り上がってしまったという事よ」と言ったのだ。

私はそんな女神様が話してくれたことに興味を抱きながら「その、もしかしたら貴方も私と同じ状況に置かれている人なのかも」と言ったら「え?そうなの? 詳しく聞かせてくれないかしら?」と言われると、私は勇者と私の関係について説明を行うと「そんなことって、あったの?」と言われてしまうのである。そして「勇者さんは私が作ったんだけれど、私は彼の事が嫌いじゃなかったからね。それに勇者は私が居なくても勝手に行動してくれて私としては楽ができたからね。それで彼の事は好きだったんだよ。だから彼に幸せになって欲しかったんだよ。なのに私よりも先に死なれるなんて、本当に悔しくて仕方がないよ。あの時私が彼の側にいたのなら彼を救えたかもしれない」そんな風に彼女が言ったから私は勇者の奥さんに同情した。だって勇者の奥さんに取って彼は大切な存在だったに違いない。そんな相手が死んでしまう事程、悲しい事は無いのだから。

私は彼女も辛く当られたのかもと思って彼女に慰めの言葉を言おうとした。しかしその時に私は彼女の異変に気が付いたのである。彼女の瞳から涙が溢れ出している事に気がついたからだ。そして彼女は泣いている事を私に気づかれた事で慌てる素振りを見せてきたのである。だけど泣き続けている事実を隠すことは出来ていない。彼女は必死に隠そうとしているのだが、それが出来ないようであった。その姿に彼女が本当は心の底では、誰かに助けを求めたがっているのだと思ったのである。

私は、それが分かると抱きしめていたのだ。その行為は、ただ彼女に対して哀れみを感じていただけではない。彼女から助けを求める声を聞きたいから、そして勇者の奥さんの心を癒やしたい気持ちがあって私は抱きしめたのであった。そして彼女が落ち着くまで背中をさすってあげたのだ。

***僕は夢の中で目が覚める。そして自分が夢の世界にいることを認識するのだった。そして僕の周りには、お城や町が見えたのだ。そんな場所に立っているのが不思議でならなかったのだけれど、そこで僕は不思議な体験をしたのだ。僕はお城を歩いていたのだけれど、そこが明らかに作り物の世界である事がわかっていながら、なぜか凄く楽しくて、お店に入って商品を手に取ろうとしても触れることが出来ないと分かっていて触ろうとするとすり抜けていくのが面白くて何度も繰り返して楽しんでいたりしたのである。そんな事を繰り返していたのだ。しかし不思議なことに気が付くと僕はベッドの上で寝ていて、さっきの不思議な世界の出来事を頭の中で思い返し始めると、とても悲しくなって涙を流してしまった。そして気がつくと「ああ! もう駄目!」と叫びながら女神様が起き上がろうとしていて。その声に反応すると僕は「どうしたのですか? また僕のせいで苦しんでいませんか?」と言うと「違うのよ。今回はね。貴方のおかげで救われたから、感謝するわ」と言われてしまった。その事に僕は疑問を感じてしまったので、いったい何があったのかと尋ねようとしたとき「あれ?そう言えば勇者さんって私の声聞こえますか?」と言われた瞬間に意識が無くなると同時に暗闇の中へと意識が落ちていったのである。

***次に僕が起きたときには僕の隣に女性が眠っていて、「勇者さんは可愛いですね」と囁きかけてきて、それで起き上がるとその女性は裸の状態のまま僕の方に近寄ってきたのだ。そんな彼女とキスをすると僕の服を脱がされて。そして押し倒されてしまったのである。すると「今日から貴方は私の旦那様です」と言われると胸を揉まれて僕は感じ始めてしまい。そのまま性行為を始められて、僕は初めての快楽を味合わされて、頭が真っ白になってしまったのだった。そんな風になった後に女神様が僕に言うのである。

そして「私の旦那様として私の世界を一緒に救って下さいね」と言うと、僕の体に何かが入った感覚に襲われ始めた。そんな状態が続くので僕は恐ろしさを感じると共に「これが女神の力」なのかと思うとゾッとするのである。

「私に力を与えたことで貴方も力を手に入れたのです」

そう女神様から言われてしまうと僕は怖くなってきた。なので「力を得た代わりに貴方は何を失うことになるんでしょうか?」と質問するけれど、その答えを貰うことがないまま「大丈夫ですよ。貴方は私の世界で生きていけるだけの力を得ているんです。安心して私を受け入れて、ね」と言われてしまい、その言葉を聞いた直後に僕の記憶が無くなり「気がつけば元の空間に戻っていた」のである。

そして気がつけば僕の意識は体から離れており、その事に気が付き僕は慌てて自分の体の方に向かって行った。その道中、僕は「こんなの嫌だよぉ。怖いよぉ」と言うのだけれど。僕は自分の体を目にすると「ううっ、僕の体、綺麗になっていますね」と僕は驚きながら呟くのであった。

***女神様が私の元にやって来て「これで私達、夫婦になる準備が整いましたね」と言うので私は「うん。でも私の夫はまだ目を覚まさないんだけれど、どうしてなのかしら?」と問いかける。その事に対して女神様が私の質問の答えをくれたのである。

女神様が教えてくれたのだけれど。私が彼から力を貰った際に私は彼の体の中に入り込み。彼は私の体に入り込んだのと同じ状態になったらしく、そして彼は私の体に入っている間に精神力が枯渇してしまい。今現在眠りについてしまったという事らしい。しかし私は自分の体が、あんなにも魅力的で、あちら側からの誘惑が激しいものだとは知らなかった。

だから私は彼に謝ったのだ。だけど、それだけではなくて、これからも沢山、あの子達の為に頑張ってくれるはずだと。私は信じていた。そして彼が目覚めた後に備えての準備は女神様と一緒に行っている。それは私が目覚めさせた「私の愛しい人」の魂を受け入れるための場所を作る為だ。それは既に私のお腹の中には存在しているのである。

私は「この子が元気に育ってくれると良いな」と思いながら、今は安らかに眠っている彼の横顔を見ながら私は「私を助けに来てくれてありがとう」と、心の中で彼に告げるのであった。***「ふむ。なかなかいい体をしているじゃないか」と、私の目の前にいる男が言う。そしてその男の側には一人の女性が立っていたのである。しかし私は彼女に見覚えが無かったので「貴女が勇者の召喚に手を貸すなんてね」と口にすると。男は私に笑いかけて「私も、そろそろ、こういう事を始めたかったのよ」と言ってきたのだった。

私が、なぜ私が勇者召喚に手を貸しているのかを尋ねる前に「勇者は私が召喚しておいたよ。君のお仲間にしてあげようと思って」と目の前の男性が言うと。勇者の仲間になれなかった私は怒り狂ってしまった。

私が目の前の人に詰め寄る。しかし目の前の人は動じずに「まあまあいいだろ」と言うので私は「ふざけないでよ!」と言い返したのだ。すると目の前の人の後ろに居た女性が、その事を聞きつけて私の前に姿を現す。

「私の大切な主様に何をしているんですか? 殺すよ?」

その女性の言葉で私は完全にキレて。剣を抜いて女性を切り刻んでしまった。その事には流石に私もやり過ぎたかと反省した。しかし次の瞬間。私の体に激痛が走る。何事だと思い確認しようとすると「残念だけど貴方はこの世界で生きる事は不可能みたいよ」と言われるのである。その言葉を最後に私の意識が薄れていき――

***「ねえ。君は誰なの?」私は少女に話しかけたのだ。その言葉に反応した彼女は、とても可愛くて美しい女性に見えてしまうほどに、私から見て魅力的な姿だった。しかも、どこかしら、その見た目から受ける印象とは正反対に幼さが残っているのだ。私はそんな少女を見て不思議と魅入られてしまう。すると彼女は口を開いて「私の名前を聞きたいのかしら? それなら私は女神です」と答えてきたのである。私は「やっぱりそうだよね」と思ったのだった。すると彼女は続けて私に言う。

私は彼女に「ここは何処なんだろう? 僕はいったいどうしたのだろうか」と聞いてみた。すると「ここは私が創り上げた夢の世界なんですよ。そして貴方は私の夢の中で生き続ける事になるの」と返してきたのである。私は、それに反論しようと思って彼女に対して何か言おうとしたのだが、その時に私は、自分が喋れない状態に居る事に気が付いたのであった。そして「じゃあさ、僕のお願いを少し叶えてくれないか?」と言ったのだ。すると「はい。私は貴方に全てを捧げましょう」と彼女は言ってくれた。その言葉を聞いて、私は彼女を手に入れる事が出来たような気分になってしまう。そして「では、貴方は、その力で何がしたいの?」と言われたのだ。だから私は大きく深呼吸してから、こう答えるのだ。「僕の好きな女の子がいる。その彼女の為に僕は戦い続けようと思う。彼女を幸せにしたい。だからその為に僕は力を手に入れようと思う」と言うと。女神は「そう。分かったわ。でも勘違いしないで欲しいんだけど。私の世界には貴方の望む力は存在しないわ。なぜなら私の世界は勇者によって滅ぼされようとしているから」と言われたのだ。

そこで女神様は「私は勇者を裏切った女神でね。私の世界に魔王と呼ばれる魔物が現れてから私の世界は勇者に頼れなくなったのよ。そして他の世界に救いを求めたのだけれど」と、そこまで言ったときに「ちょっと待って。その話って、ひょっとして勇者が召喚されて僕を召喚しようとした事と無関係じゃないの?」と言うと。彼女は驚いた顔をした後に、急に悲しそうな表情になり「ええ。その通りよ。でもね。私の世界には他の世界を救うだけの力がなかったの。それでね。私の世界に存在する全ての神々と話し合いをして、ある結論に達したのよ。私の世界の人間で力のある者の中から一人、別の世界に連れて行きその者が私達の世界を救えるほどの存在に育て上げると言う方法をとったのよ」と答えた。

「僕も貴方の世界の人達が困っている事を知っていたのならば、貴方達に協力したのに」と言うとその女性は首を左右に振って「無理よ。だって私の住む星は滅びる運命にあったの。だから貴方達が私の世界を救っても私達の星の住民は救われることが無かったの」と言ってくるので「それでも僕は、あなたの世界の人々に、少しでも笑顔を与えたかった。僕は自分の出来る限りの方法で皆を助けたんだよ」と言うと、目の前の女性は涙を流し始めたのだ。

そんな状況を見つめながら僕は思った。「僕のやったことは、ただ無駄な努力に過ぎなかったのかもしれない。結局のところ僕は、何も出来なかったんだ。僕は、この世界に転生しても、元の世界の自分を変えられなかったんだ。僕は、このままだと元の世界でも、ここでも。僕は何もできないまま終わってしまう。僕は悔しくなったので自分の気持ちを伝えるために女神様を抱きしめることにした。すると女神様は泣き崩れてしまった。僕はそんな女神様を落ち着かせるべく。頭を撫でたりしながら慰めていたのである。

すると女神様から僕の胸に顔を埋められたので。僕は「よしよし。僕がついているから大丈夫だよ」と言いながら女神様の頭を強く抱いてあげたのである。

そして女神様を慰めて、しばらくして落ち着いてから僕は「それじゃあ。君が今やろうとしていることを教えて欲しいな」と言うと女神様は「私は、私を救ってくれた神様から力を貰ったのだけれど。その神様は私の力を勇者の体に移すのが精一杯のようで、この勇者の体も限界がきているの。その事については、もう時間があまり残っていない」と言ってきて。「だから私の力を使えるように準備をしている最中なのだけれど、私は貴方が私と同じ力を持つ存在になる為に必要な知識を与える事が出来なくて」と教えてくれた。なので僕は「それは、つまり僕は僕の世界の人のように普通の人の体しか持っていないと言う事?」と尋ねると女神様は「いいえ。その点に関しては私が準備できるので、ご心配無く」と言ってきた。そして僕は女神様の話に納得して。女神様の力を借りつつ自分の能力を強化することにした。

***女神様から、色々な話を聞いた僕は「とりあえず。貴方は自分の力がどのぐらいの事が出来るのか理解しているかしら? その事で貴方の能力もある程度把握する事ができるから教えて」と言われてしまい。僕は女神様から、この世界の理について教えられるのであった。

「そもそも。私が、貴方達のような異世界からやってきた人々を呼び寄せてまで、この世界で生きてもらおうとしたのは理由があるのよ」と彼女が口にしたので。僕は「その目的とは?」と聞き返す。すると彼女は僕が、なぜ呼び出される必要があったのかの説明を始めたのであった。

その理由としては、現在。私達のいる世界が危機に瀕しているのである。その原因は他所の星からの侵略行為だったのだ。それも、私達よりも遥かに優れた科学技術を持っている宇宙人だと言うことが分かっており。私達は彼らに戦いを挑み負け続けた。そして今も、彼らによる侵攻が続いている。私達に勝ち目はないのが現状だったのである。

そこで私は、私を救ってくれた神と相談して、私達の星の住人を可能な限り、この星へ移住させることに決めたのである。そして私は、その時に自分が、こちら側の宇宙へ召喚される事を決めたのだった。私には使命があった。私の愛する人を守り抜く為の手段を探し出すことだ。それが見つかれば私の願いは成就する事だろう。そして私の愛する人が目覚めた後、私と愛しい人との幸せな生活を邪魔するような連中は、私の大切な愛しい人に手を出す輩は全て排除してやるつもりなのだ! その事は、私にとっては最優先課題であり。私は私を救い上げてくれた神様に感謝していたのである。だからこそ私は神様の為なら何時死んでも良いと思ってはいたが。私が命を失うわけにはいかない事情も生まれてしまったのである。そう私は彼のためだけに生きていた。彼のためだけなら私が死んだ後に彼の側に居てくれる女性がいても構わなかったのだが。彼は私を選んでくれたのだ。だから私は彼の側を離れる訳にはいかなくなったのである。彼が私の側から居なくなると私は生きられないからだ。私と彼の間には魂で繋がる関係が存在しており。お互いの存在が必要不可欠だったのである。

しかし私達にも、どうすることもできない問題があったのだ。それが原因で私には大きな負担が生じてしまっていて。その影響は確実に私の身体に悪影響を及ぼし始めてしまったのだ。そして私の意識が消えかけている間に私は、その事についても、どうにかしなければならないと考え始めていたのである。しかし私達に残された時間は多くはなかったのだ。

そして私の愛する人が目覚めるまで私は、なんとか意識を保つことしか出来なくなってしまい。そのせいもあってか。私の中で、あの憎き奴らの計画が順調に進行してしまい、とうとう私の意識が完全に消失してしまったのだった。その結果、私の意識と私の中の人格は完全に融合してしまっている。私は私の中に存在している人格と共存していく事に決めたのだ。

***「貴方の肉体は勇者として戦うだけの力を持っています。ただし貴方の本当の力を引き出すために必要な力が備わっていない。それを補うだけの力を手に入れる為には私の知識が必要だと分かった。だから私が協力したの」そう言って女神様は僕に対して説明をしてくれていたので僕は彼女の話を聞き続ける事にしたのである。すると彼女は「それじゃ。そろそろ私から貴方に力を貸すわね」と言うと彼女は僕の方に向かって近づいて来たのである。

僕も、そんな彼女に対して警戒することなく近づいた。そして女神様との距離が近づき接触しそうになったとき。彼女は、僕を抱きしめたのである。僕は何が起きたのか分からず戸惑ってしまう。すると女神様が口を開いて「さっき私は貴方を抱きしめた時にね。貴方が持っていた力を私に移したの。貴方が貴方の力を完全に引き出せるようになるまでは私の力で補助をしようと思っているわ。その力は貴方の心次第で変化していく。そして最終的には貴方が望んだ形になるはずよ」と言うので。僕は彼女の言葉を心の中で繰り返しながら考えることにする。

そう。僕は女神様の力を得て、どんな力を手にいれることが出来るのだろうか? 僕は自分の力を想像しながら「それは、つまり僕は勇者の力も得る事ができると言うことで良いのかな?」と言うと。女神様が僕の方を振り返りながら微笑んできたのである。そこで僕は思った。「僕の目の前にいる女性は一体誰なんだろう?」と思ったのだ。僕の記憶に彼女の存在は、ないのだ。そして彼女は言ったのだ。「今の貴方に私の姿を見ることはできないわ。だけど私が側にいれば貴方を勇者の力と私が与えた力の両方を得る事ができるようになるのよ。でも貴方は、いずれ知る事になると思うけれど。今の段階で全てを知ってしまった場合。貴方の精神は崩壊してしまう可能性がある。それだけ、この情報量は膨大すぎる。私の持っている記憶を全部教えると大変なことになるの。今は、これで我慢してくれるかしら?」と言うので僕は、よく意味が理解できないままでいた。そんな状況で、さらに女神様は続けて言うのである。「それじゃ。まずは勇者としての力を使えるようにしてあげましょう」と言いながら彼女は僕の額に手を伸ばしてきたので僕は反射的に目を閉じて「なにする気なの?」と言いたくなる気持ちを抑える。その直後。僕は体の変化を感じたのである。「これが勇者の力なんだ」と思いながらも僕は必死に冷静に状況を確認しようと努力してみた。だが無理であった。何故ならば僕の視界に入る光景が急に変わり始めたからである。僕は思わず叫んでしまったのだ。

「ここは何処? 僕は誰なの?」という具合になった。それからしばらくすると落ち着いたので。今度は「僕の名前は?」「性別は?」「年齢は何歳ぐらい?」等と自分自身に関する事を確認することにしたら答えられるようになっていたのである。

僕は女神様から得た知識を使いながら自分について思い出そうとしたけれど何も思い出せない。

そんな状況を察してくれた女神様が自分の事を簡単に紹介し始める。

「初めましてで良いかしら? それとも久しぶりかしら? 貴方が私から力を吸収して新しい貴方になってくれたみたいね。貴方には私が元々持っていた知識の一部を、そのまま引き継いで貰えたみたいなの。だから、そのおかげで私には、あなたを助ける事が出来た。私の目的は一つだけ、私の好きな人と一緒に生きる為の力を得るために私に協力してくれた存在がいるの。

私には愛する人の為の力が必要なんだ。私は私を救い上げてくれた人の為に頑張ろうと誓ったの。私は愛する人と、その人が大切に思っている人達を全力をかけて守り抜いてみせるつもり。その為にも。私は私に力をくれた神と協力してこの世界から侵略者を消し去るつもりなの。そして私の大切な人を害そうとする輩は全て排除する!」

そう口にしながら彼女は真剣な表情を浮かべていたのである。

***私も最初は貴方のように知識を与えられているからと言って混乱して、かなり慌てたものだ。しかし今では知識をある程度使いこなす事が出来るようになっている。貴方の場合は知識を受け継いでいると言うよりも、私から受け取ったと言う方が正確であるかもしれないが。どちらにせよ。私は私自身の知識を使いこなす事が出来るようになったのである。なので私は私に出来ることをやりきってみせようと思っていたのだ。私は私を助けてくれる人に少しでも恩返しがしたい。

だから私は貴方に「知識」を与え「力」を与える事にしたのだった。私は私に、私を救ってくれた人が私を庇う事で死ぬ未来を回避する為に、私は貴方に私の知識を分け与え「貴方の身体に宿った貴方自身」を強化するようにと「命令」する事に決めたのだ。だから貴方は自分の体に何が起きるのか理解した上で行動するようにしてほしい。

貴方は自分の中に「力」が入ってくることを受け入れることが出来たはずだ。だから後はその「力」の使い方を理解してほしい。そうしないと貴方は貴方の持つ力に飲み込まれてしまいかねないのだ。だから、そうなってしまう前に私からの贈り物として、貴方の中にいる人格と私の知識が共有されていると言う感覚を感じてみて欲しい。そして「自分が自分でなくなる」なんていう不安や焦りを感じるのではなく。自分の中に別の人格が居るのだ。

自分はその人格と共存するのだと思ってみてくれれば問題なく、その力を使うことができるはず。そして貴方の身体の中には既に膨大な量の魔力と神力が眠っている状態であるのだ。

貴方が私の能力を全て受け継いだ時点で、貴方の体内に存在する力の全てが私のものと繋がっている状態となっているので、貴方は「勇者」の力を行使する事が出来る。

そして私の能力は「魔術を扱う事に特化している」ものであるから、勇者として戦いたいと思っている貴方にとっては丁度良いだろう。私達のような特別な人間には特別な力が必要。そして私の能力を完璧に引き出して使うことが出来る者だけが私達の仲間入りをする資格が与えられるのだと思う。

「私達と同じ仲間になりたいと望むのなら、どうか私達の側について来てください。そうじゃないのであれば、ここから立ち去りなさい。この世界の平和を崩さない為に貴方は必要ないのよ。それに私達が貴方にしてあげられることは何もないのだから」

***そう言われた僕は彼女の言う通りだと思い。僕は彼女に「それじゃ。また機会があれば、お会いしましょう」と言う言葉を残し。そして女魔術師さんに連れられて、その場から離れて行く。僕達二人が去って行く後ろ姿を眺める二人の人物達の姿を見かけたのだけれど。その時は特に気にしなかった。だけど二人に「あの男をどうにかしろ! お前達は俺の命令が聞けないと言うつもりか!?」と言う声を聞いてしまう。そこで僕は嫌な予感を覚えたのだ。そこで女戦士と僕は二人で話し合いをして「どうしよう?」と考える事にしたのだった。そこで僕は女剣士の姿のまま、女騎士さんの装備を作る作業に取り掛かろうとしたのである。そして僕は「まずは女神様の剣を作ってから。その次は鎧を作ろうかな?」と思った。そんな事を考えていると。突然、僕の背後に誰かが現れる気配がした。そして背後に現れた何者かは僕に対して何かを問いかけてくる。しかし僕の耳に入って来たのは、あまりにも唐突すぎて何を言われてるのか良く分からなかった。

***俺は今の状況を把握することに手一杯だったので。俺は「この場にいる、もう1人の存在をすっかり忘れてしまっていたのだ。すると「あ、あの」という声をかけられるのである。俺はそんな状況の中でも「女神様の身に着けている防具一式を用意しないとな」と思いながら。目の前の人物に背を向けた状態で話しかけたのである。

そう。俺は今、「女神様から託された、女神様の装備品を作らないと、と、とにかく落ち着かないんだよ」と言う心境になっていた。そこで、ついさっき現れた、その人物は口を開く。そして俺に言ったのである。「もしかして貴方様は勇者様になられた方でしょうか?」と言われたので。俺も素直に答える事にしたのである。そして女神様の言葉をそのまま口にした。

すると彼は少しだけ考え込んだような雰囲気を見せるが「なるほど」と言った後に、なぜか女神様に対して礼の姿勢を取り始めるので、いったいどういうことなのか意味が分からず困惑してしまう。すると彼は俺に対して自己紹介を行うと言いだしてきたのだ。

そこで俺は思った。

女神様から「勇者の力を得たので勇者と呼ばれる事になった。勇者の力を得たのは最近なのだが、実は、すでにレベルが高い。ちなみに俺には名前があるのだが勇者は勇者と呼ばれてしまうので本名を教えられない」という感じの説明をされ。そして女神様からは「勇者の事は内緒だよ。もし勇者の存在が知れ渡ったりしたら、色々と大変だからね。そして私のことは、まだ貴方には秘密にしているの。私が勇者の力を得ていて、これからも一緒に冒険をしてくれる予定になっているけれど、それは今は内緒でお願いね? 私が勇者だってことも貴方以外の誰にも教えちゃ駄目よ? もしも教えたら大変なことになるからね?」と言われてしまったのだ。だからこそ女神様が彼に「私は女神様です!」とか言っちゃうと勇者の力の事と勇者の正体が女神様だとバレることになるので、それだけは勘弁して欲しいと思った。

だから女神様が「私、実は勇者の力を持っているんだ」的な発言をしないように注意しなければならない。そう思いながら、俺は彼の言葉を待っていたのである。

すると「貴方は女王様が召喚なさった勇者様なのですね?」と言われたのである。

そんな質問をされる意味が良く分からないのだけれど。ここで「はい。そうです」と答えると。女神様の機嫌が悪くなりそうなので「違うと思います」と正直に答えた。しかし、それでも彼からすると納得できないらしい。なぜなら「女神様のお側に居た男性」は、僕が知っている中では、この世界では一人しかいないのである。

そして、それは、とても特殊な事情を抱えた人でもあったのだ。つまり女神様が「貴方には私以外に、この世で大切な人が居るのですか? もしかして恋人だったりしますか? 私はそんな相手も居ませんし」と言う話になり、女神様が拗ねてしまいそうな事態を避ける為に、俺は適当に誤魔化そうとしたら「その方は私よりも大事な人なんでしょうね? 私はその人と会って話がしたい。その人に会う為に、どうしても私は貴方の力を借りなければならない。だから、どうか、私と一緒に来てくれないだろうか?」と言われるのであった。

「とりあえず私と一緒に来てもらえますか?」そう言われると、なぜか僕は断る事が出来なくなってしまうのである。

そこで「貴方が私に求めている事が一体何なのか。それを説明して欲しいんですが」と言ってみる。

そこで女神様が口を開いた。

『私は私を庇ってくれた人の為に戦うと決めた。私の大切な人が私を守ってくれたように、今度は私が大切な人の事を守り抜いて見せると心に決めたんだ。だから、そのために私は貴方の力を貸して欲しいの』

***彼女は私の手を握り締め、そう口にしながら私の目を見つめて来たのだ。そして私は彼女に対して何も言えなくなってしまい。ただ呆然とするしかない。私は私を救い上げてくれた人に対する恩を返してみせると決めていて。そのためにも自分の持っている全てを使い果たしてでも守り通すつもりだと言う事を改めて確認する。

***しかし私は「貴方も助けてくれた人の恩に報いたいと願っているのかもしれないけど、きっと私を助けてくれた人は私の身を案じてくれているから。だからこそ「私を助ける事で命を落としたりしないで欲しい」と言う想いも抱いているはずだから。だから貴方は、あの人の事を大切に思っているのならば。あの人が貴方に望む事を叶えてあげるべきなんだ」と彼女に諭されてしまったのだった。

「あの人を、これからも、大切に思って生きていくのであれば、あの人が私に望むであろう事に力を注いであげた方が貴方の為にもなるはずだよ」

そのように言われてしまったのである。だから、この女性を死なせるわけにはいかないと思い「分かりました」とだけ告げることにする。すると女性は嬉しそうな表情を見せてくれる。そんな彼女の笑顔を見て、なぜか私は胸が高鳴るのを感じたのだ。そして、そんな感情を抱いた自分に驚く。

この気持ちは何なのか? と。

そこで彼女が口を開き、こんなことを言いだすのである。「その貴方を慕ってくれる女の子も。私と同じなの?」と言う話を。そこで女神様が「同じじゃないと思う。その女の子が本当に想っていたのは私じゃないから」と悲しげな口調で言う。その瞬間「その言い方、ちょっと酷いですよ。それに、それを言うなら貴方の本当の願いも叶わないんじゃないですか?」と言い返すと「私の願いは別にどうなってもいいから」と答える。そんな風に私達二人が言い合っていると――私達の様子を見ている女性がクスッと笑ったのだ。それで、なぜだか恥ずかしい思いをしてしまい「私達は貴方を絶対に死なせないから! ただ絶対に無茶をさせないから! それを約束してください! そして貴方の願いを必ず達成して見せます!」と言う。すると、この女性と女神様はお互い顔を見合わせて微笑み合う。だから、私もその二人の輪の中に加わり、笑い合い。そして私は「貴方の事も守って見せましょう。だから貴方は貴方のために生きるべきなんですよ。それこそが、貴方の願いを達成する方法に繋がると私は信じています」と彼女に言う。すると女神様は「私の力を使ってくれるというの?」と私に向かって言うのだ。

そこで女神様が口を開いて言うのである。

「その剣を作って欲しい。私が作った最強の装備一式を」と口にしたので、私が「貴方は武器を作るための道具も持っていないみたいですし、剣なんて作れるとは思いません」と返事をしたのだ。すると「大丈夫だよ。私の体の中に作り出せるだけの能力があるはず」と言ったのだ。そんな風に、この世界の神様であるはずの女性を疑ってしまうのだが。女神様は自分の体を眺めてから「じゃあ、やってみようかな」と口にしたのだった。

そう。私は今、女神様から言われたとおりに「剣」を作り出す作業にチャレンジしている最中である。すると「この世界に存在している素材を利用すれば簡単に作れちゃうよ」という言葉を思い出すことが出来たので「私も女神様から教えてもらった内容を忘れていたのか?」と驚き。そんな自分が嫌になるのだった。そして私は作業を進める。すると、女神様は「この材料を使おう」と言い出し。女神様は何かを取り出した。そして「この世界で手に入れられる最高の品だよ」と説明してくる。そして女神様が作り出したアイテムに私は見覚えがあり「あれ? それは私が、あの人にプレゼントしたものに似ているような? もしかして女神様も同じものを持っていたんですか?」と聞いてみたのだ。すると「これね。うん。似せようとしたんだよ」と答えが帰ってきたのである。

***そこで、ある疑問を抱く。それは女神様が女神様が使っていた防具の「劣化バージョン」みたいなのを作り出せばいいのではないか、と言う事だ。そして私は「貴方には私のような真似はできない」と言われてしまったのだ。だから「そうですよね」と言って作業を続行することに決めたのである。しかし私は「女神様が使ったモノより強力な性能のものが出来るんだろうか?」と言う不安に苛まれながらも「女神様のため」に頑張った。すると、いつの間にか女神様が消えている事に気付く。

***そこで女神様は、私の前に現れると、こう言ってくださったのである。「ごめんなさい。やっぱり無理みたい」と言って、そして「貴方には私のように「特別な力」がないんだね」と言われる。

そんな女神様の言葉を聞きながら「女神様には女神様の「力」があって。私には私なりの「力が有るんじゃないかな?」と思ったりもしたけれど。そんな考えはすぐに頭の中から消えたのであった。そして女神様が「私が貴方の「力」になってあげるから」と言い出して。「私の中に入って」と言う言葉と共に女神様が私の体に吸い込まれていったのだった。私は、自分の体の中の「何か」が変わっていく感覚を感じ取ることが出来るようになる。そして女神様から「私の力を分けてあげたから、これで、貴方も勇者と同じように魔法が使えるようになったよ」と、そのように教えられたのだ。だから「貴方に私の力を授ける」と女神様は、私の耳元で囁きながら、私の中で女神様の力の一部を貸し与えてくれたのである。その瞬間、私にも女神様が女神様が言った通りに魔法の使い方をマスターする事が出来た。そんな風に「貴方が私にしてくれた事を私はやり返したんだ」と言われてしまい。

女神様を庇う為とはいえ女神様から「力」を奪ってしまったのだから、私自身が女神様から「力」を奪い返せるようになって、そして返して差し上げるのが当然なのだから「私の方が、ずっと女神様のお役に立てているのかもしれないですね」と言う言葉を女神様に対して呟いた。

***女神様の望みは「自分の中に閉じ込められている魂を解き放ってあげて欲しい」と言う事なので、私は彼女の言う通り。彼女の身体の中に入り込んで、彼女を包み込んでいた「女神様以外の誰かさんの魔力の塊」を見つけ出す事に成功する。だから女神様が言っていた「その人の魂は、きっと今も苦しんでいるだろうし。きっと寂しがっていると思う」と私も思った。そこで私は、その女の人の魂を解放してあげたのだった。すると彼女は「貴方が私のことを救ってくれたんですか?」と私に話しかけてきたのである。その瞬間、彼女は女神様の姿に変わる。だから私は「そうです。貴方を救うのを手伝ったのですよ」と女神様に向かって返事をするのだった。すると女神様が「ありがとう」と口にして女神様の姿に戻る。そんな出来事が何度も続いたので、私は彼女の事を「貴方様の事を、お姉さまと呼んでも良いですか? そうすれば貴方が、どんな姿をしていたとしても私にとっては貴方が「私の事を助けてくれた大切な人の一人なんだと分かる」から」と言うと。女神様が、とても可愛らしい少女の顔になり、私に向かって笑いかけてくれたのである。

女神様の表情はとても明るくて「こんなに可愛い人だったのか?」と思えるような雰囲気を醸し出している。だけど、私は、すぐに彼女が、もうこの世の存在ではないと言う事に気が付き。だから「私の願いは、あの人を貴方の側に居させてあげる事です。だからあの人を見守っていてあげてください」と告げると、彼女は嬉しそうな笑顔を浮かべ「あの人は私に優しくしてくれるから。あの人の事が好きなんです」と言うのだった。

***だから、私達は女神様と約束を交わし、私と私は女神様を護るために戦い続ける事を心に決めたのである。女神様の事は絶対に守り抜くと。私は誓ったのだ。そして、そんな風に誓いを立て終わったところで、私と私の意識が入れ替わる。そこで「私は貴方を必ず幸せにする」と言った後、彼女の体を借りるのである。

女神様が、私の姿をしている時に私の目で見ている風景を、私自身も同じように見ることが出来るのだと分かったので、女神様が見ていた場所を見る事が出来るようになるまで時間がかかりそうだったので「女神様と一緒に女騎士さんに会いに行きたいです」と言うと女神様が嬉しそうな笑顔を見せてくださる。そして女神様と二人で城の中の街へと出かける事ができるようになるのである。そこで私は女神様と二人で一緒に買い物を楽しんだ。そして女神様は「これからも、こういう楽しい思い出を増やしていきましょうね」と言ってくれたのである。そこで私達は手を繋ぎ歩きだすのである。そして私は「この女神様が大切にされている人達の事を私は助けたいと心の底から思う」と強く決意し「貴方のためにも。私は、この国のために戦う」と言うのだった。

すると女神様が「私は私の大切だと思う人が傷つけられたりしないのなら、この世界を滅ぼす事も厭わないよ」と言う。そんな話をしてから私達は城を抜け出し、女神様と女神様の友達の家に向かうのである。すると「私は貴女が大好きだよ」と女神様が口にした。

その日は休日だったらしく、私はその家の庭に居る二人と話すことになった。

私と女神様が玄関をノックすると「あら? 女神様。それに貴方は誰なの?」と、私達の姿を見て家の中から女神様の友達と思われる女性が姿を現す。すると「初めまして、女神様の友達の『ユミナ』と言います。よろしくお願いします」と名乗るのだった。すると「貴方のことは、私も女神様から聞かされていたから、話は少しだけ聞かせてもらったの」と言うのだ。

私は「私のことを聞いても、私のことを嫌いにならない?」と聞いてみると、その女性は「もちろん。私達だって同じだよ。この世界に転生する前の世界には沢山の神様や魔王が存在していて、この世界の人間に害をなす存在も沢山いるんだから」と答えてくれる。そして私は女神様の友である女性を家に招き入れてもらう事になったのだ。すると私も「貴方の事が心配になったら遊びに来るわ」と言い残して去っていくのだった。

それから数日後、今度は女神様が「貴方に私からのプレゼントをあげる。これは、この世界で最高の武器の一つでもあるから。だから私に力を与えてくれてありがとう」と言って私に「力を与えて貰ったから」と言って私に手を差し出してくる。そして女神様は「私の力では、貴方の剣を作り出すことは出来なかったから。私が貴方の為に剣を作り出せるようになっておいたよ」と言うので、私は「そんな事ができるんですか?」と聞くと、女神様は「うん。でも剣を作ってあげる前に貴方に言っておきたい事があるの」と言うので、私は女神様の話を聞くことにする。

すると「私が、貴方の力になるよ」と、そんな風に女神様が言ってくる。私は「それじゃあ、私は、私の力を使って貴方を守り抜きますね」と答えると「うん」と、そう女神様が言ってくれたのである。

***そして私は「勇者」として、女神様を庇い命を落とした時と同じ装備を身に付けた状態になるのであった。そして女神様から「貴方が私を助けようとしてくれた事、とても感謝しています」と言われる。

そんな感じの事を繰り返していくうちに女神様も成長していき、女神様は女神様の力を自分のモノにしていき「私」と同じような姿に変化させることに成功するのであった。そうする事によって、私達はお互いに「本当の意味で一心同体のパートナー」となった。だから私が死にかけたりすると女神様が私の中に飛び込んできたりと色々と大変だったのだけど。それでも私にとって、それは「幸せだった日々」だったと思う。

***そして「勇者が魔王を倒すための旅に出たらしいぞ!」と街の人たちから噂が聞こえてきたので「勇者って、あの人の事なのかなぁ?」と呟く。すると私の中から女神様が出て来て私の顔をまじまじと見つめ始める。その行動に対して、どう反応すれば良いか分からずに困ってしまう。

そして女神様は私に対して、こう問いかけてくるのだった。

「私は、あの人に会って、どうすれば良い?」と。私はその言葉に対して「まずは挨拶をしてみれば良いんじゃないでしょうか?」と言う。そうすると女神様が「そうだね。やっぱり挨拶しないと駄目だよね」と、そう言うのである。

だから私は「はい」と女神様の言葉に答えたのである。

女神様と私は「私達が出会った場所に行かないとダメだよね?」と話し合って、私と女神様が初めて会った広場に私は足を運んだ。そして私は、その場に佇むと、私の目の前に私と同じように立っている女性の姿が目に入る。

彼女は私の方を見ると「久しぶりですね。お元気でしたか?」と、そんな言葉を私に向けてくるのだった。私もそれに合わせて彼女に返事を返す。

そんな私の返事を受けて彼女は「貴方のおかげで、今の私は、とっても幸せです」と言う。そこで私は「私は女神様のお手伝いをしているだけの普通の人なのですが」と答えると「貴方にとっては普通の人でも良いんだよ」と言う言葉を私に投げかけてくる。そして彼女は私の事をじっと見た後「貴方と話せて良かったです」と、そんな事を口走って私の中に戻ってしまう。そこで私は「私の中に入ったということは私の中に入って来たということなのですよね?」と、そんな疑問を投げかけると「貴方が嫌じゃないのなら」と返ってきたのである。そして「私も貴女と話せたのはとても嬉しかったですよ」と口にしたのだった。そう言うやり取りがあった後に、女神様から私の中に入ってきたのは女神様ではなく「私自身」である事が伝えられる。女神様の友達の女騎士様の姿になって「お母様の魂を護る」ために、私は彼女の姿になったらしいのだ。

そこで女神様から私の魂が消えて無くならないようにするために「彼女の身体を貰う事になるんだけど良い?」と言われてしまう。その問い掛けに対し私が返答をするより先に彼女の口から私の意識を奪ってしまう魔法が放たれていたみたいで、私の意識は再び女神様の中へと引き戻されてしまうのだった。そこで私は意識を取り戻した後で「私の事を大切に扱ってくれたら許してあげるからね」と念押ししておいたのである。

そして私と彼女はお互いに手をつなぐことでお互いの心を感じ取ることができるようになる。だから私は「今度からは、ずっと一緒だよ」と言って彼女の頬を撫でるのである。そんな風に彼女と触れ合った私は「彼女の中に有る女神様の存在を認識することができるようになっていたのである。そして私は「私の中にいる女神様を抱きしめる事はできるのか?」と聞いてみるのだった。

しかし女神様は「無理だよ」と言うのだった。

私は「そうか」と言うのが精一杯で「それじゃあ。女神様が寂しくないように。これからはずーっと側にいますから」と言って、ぎゅっと抱きつくことにしたのである。そしてそんな私の想いを受け止めた女神様も嬉しさのあまり泣き出してしまう。そうやって私は女神様と一緒に泣くことになったのだった。

そしてそんな女神様を優しく抱きしめてあげた後で「これからも宜しくお願いします」と言う。すると、そこに現れた女神様に私は驚かされることになる。

何故ならば「やっと私の事を理解してくれそうな人が来てくれたね」と言うのである。その一言だけで「ああ、そうなんだ」と私も気が付いたのだ。

私も「私達、これから一緒に頑張りましょうね」と口にするのである。

そして「これからは、どんな辛い事も一緒に乗り越えようね」と。私は女神様に伝えるのであった。そして私は「私は貴方の事を心から信頼していますから」と言う。

女神様も「私も貴方の事を心から愛していますよ」と言ってくれるのである。だから私は「これからも女神様の事を守っていきますから」と、そう告げる。そうすると女神様が私に「もう既に守られてしまっているよ」と伝えてくれる。私は「それじゃあ私は女神様のために出来ることを全力でやり遂げてみせますから」と言うのだった。

***そして女神様が女騎士さんに変身し終えると女神様は「私と貴方の力を合わせて、この世界に巣くう闇と戦うよ」と言うのだ。そこで女神様は「この世界の全ての人々を守る事は出来ないかもしれないけど、それでも私は私の周りにいる人達の事を命を賭けて守り抜く」と宣言をする。その決意を聞いて「はい。分かりました。私は女神様の手足となって動きます」と答えてから、まず最初に私がやるべきことは魔王を倒す旅に出ているという、その女性勇者さんのところへ顔を出してみることにしようと思ったのである。

***私には女戦士の力を受け継いでいるので剣を振った時に攻撃が出来るようなのだが「今は私よりも強いから」と、そう言われてしまい私自身が剣を扱う事ができなかった。だから女神様の作った剣を使う事で女神様と共に戦う事が出来るようになりたかった。

だけど私は剣を振るって戦うことが出来なかった。それでも私の中には女神様がいるから私は戦えると思う。それに女神様の武器を私も作れれば女神様の負担が減るかな?と思って頑張ってみたら、剣を作り出す事が出来たので、とりあえず、それで私は満足することにしたのだった。

それから女神様は「私達が協力すればきっと何とかなるから」と言って、私と女神様は、あの人の後を追うのだった。そして私があの人の背中を追い続ける間にも女神様の武器は完成していく。だから女神様は、それを身に着けながら、あの人の後を追いかけていったのだった。

***それから少し経つと「あの人は魔王に囚われたお姫様を助けようとしているようだね」と、そんな風に言ってくるのである。そして、そんな言葉を聞きながら私は「そうですね」と返事を返す。女神様が、あの人に付いて行くと言った時「私もこの世界の人々を助けにいく事にした」と私に言ってくれたのだ。だから、まずは「助けたい人を助ける」事を優先していく事になったのである。

そして私と女神様は、この世界を蝕む存在を倒していくために行動を始めることになる。私は女神様を庇って死んだ時の状態まで肉体を若返らせて貰った後で私は自分の体を鍛えることにした。そうする事で「魔王を簡単に倒せるぐらいの強さを手に入れる事ができたのだった。しかも女神様から「私も勇者と同じ能力を持っていれば良かったのだけど。ごめんなさいね」と言われてしまった。

だから私は「いいえ、私は貴方がいてくれたお陰で今こうして生きていられるのですから、むしろ私が謝りたくなるくらいです。女神様こそ私の事を庇って下さって本当にありがとうございます」と言う。そして私と女神様はお互いの顔を見合わせて微笑んでしまうのだった。

それから私と女神様の二人で手分けして魔物が潜んでいる場所を回り始めたのである。女神様から私と同じような力を分け与えてもらう事に成功したので、もう、どこにでも私は向かうことが出来るのである。

***そして私は、私が生まれ育った村に足を踏み入れてみたのである。

そこで「懐かしいなぁ」と思いながら私は村の人たちと言葉を交わしたりしていたのだった。すると村長の息子が私に対して話しかけてくる。

「もしかしたら、その恰好。お前、もしかして女神様の関係者なのか?」と言う。私は女神様から与えられた力で私の容姿を変化させたので、私は「まぁ、そういう感じですね」と答える。すると「やっぱりか」と言って彼は嬉しそうな表情を浮かべるのだった。そして彼は「実はな。お前が来るのを待っていたんだよ。この村には昔から伝わっている伝説があるんだよ。俺達の祖先に当たる人々が、この土地を訪れた事があるっていう、言い伝えがあってな。それが、もしかするとお前のような人が祖先にいるのかもしれないなって思ってたんだ」と、そんな話を私にしてくれたのである。そして私は「それじゃあ貴方が次の勇者になるんですね」と言う。そうして私は彼と仲良くなると、お互いに自己紹介をし合う。彼の名前はタツヤという名前である事が分かったのである。そこで私は「私の名はリリカと申します。よろしくお願いします」と言ってから「それでは私は仕事がありますから、失礼いたします」と言うのであった。

「女神様から、女神様の力を譲り受ける事に成功して、その力を自分の物にすることができているから。今の私なら何でも出来そうだよね」と言いながらも、やはり緊張してしまう私だった。そこで私は深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。そこで「ふぅ~っ。よし!」という掛け声が聞こえて来た。

だから、そっちの方を振り向いてみるとそこには「どうだ。格好良いだろう」と言って自慢してくる勇者の姿が有ったのだ。そこで私が勇者に挨拶をする。すると彼女は私に手を差し出して「初めまして。勇者をしています。アカリです」と言う。そして私と握手をしながら「女神様の手伝いをしているんだよね。宜しくね」と言うのである。そんな勇者さんの言葉を聞いた後で「私は女神様から女神様の力を譲って貰う事が出来たので、勇者である貴方と同じように、この世界を救うためのお手伝いをさせて頂きます」と、私は勇者に伝えたのである。そして私は勇者から私の体に起こった変化についての話を聞かされるのだった。そうして私の体のことについての話を終えた後で、お互いにお互いが知り得ている情報を交換した後で私は女神様と一緒に旅を続けていった。そして魔王の手下に邪魔されそうになることもあったが何とか無事に私は目的の場所へとたどり着くことが出来たのである。

***私は女神様の力を受け継いだ影響で女神様の力を行使することが可能になるのだが、それだけではなく女神様の能力を受け継ぐことで、さらに女神様と一つになって私の魂は女神様と融合している状態になっている。だからこそ私は魔王の力も使う事が出来るようになっているのだ。つまり魔王の力は女神様の力が使える状態でなければ扱えない。だけど女神様の力でも扱えるようなのだ。そして私には女神様の武器を作り出す能力が備わっているらしいので私は私なりの戦い方をする事ができると思うのである。***そこで女神様と一緒に私は、この国一番の騎士と呼ばれている人と、その騎士の妻として過ごしていける事になったのだった。そうすることで私は私自身の力と、そして女神様の力を使って戦うことができるようになると思う。私はこれから女神様と一緒に、この世界で起きている争いを止めてみせる。そして、この世界に平和をもたらすんだと決意を固めたのである。

そして私は女神様の力を受け継いでいる影響か、私の体は女神様の分身であるかのような状態になることができたのだ。女神様と私は一心同体の関係であるから、その力を扱うこともできるので私は女神様と一緒に戦える事ができるようになったのである。

***そして、これからは私達の事を女神様の使徒だと、この世界の人々が認めてくれる事になるかもしれないけれど、それでも私は、これからも女神様と共に生きていき、そして守っていく。私は女神様から「これからも、ずっと、貴方の側にいるから」と約束された。そうすると、女神様が、とても可愛らしく見えるようになってきて、私は思わず、女神様を抱きしめてしまう。すると、その時の女神様は恥ずかしかったのか「わっ。ちょ、ちょっと。こら。やめてよ。もぉ。いきなり抱きついて来るなんて、ほんと困っちゃうよ。だって、まだ私は貴女より弱いんだし。それに、私に何かあったら嫌なんでしょう?だったら、もう少し私の事を考えてくれないと駄目じゃない」と、そんな事を私に言いながら私に文句を言ってくるのだった。

そんなこんなで私達は勇者と女神様の旅を続けることになっていく。それから私は勇者さんに、私と女神様で協力して作り上げた、あの剣を渡した。その剣を受け取った勇者さんは、しばらく呆然としたような様子を見せながら剣の事を眺めた後で、すぐに、この剣を使うための練習を始める事にする。そうすると女神様が私と勇者さんに向かって言う。「まずは勇者と女神で、それぞれで剣を扱いましょう」

私には、勇者の扱う剣を使う才能は無かったようで勇者の剣を使うことが出来なかった。そこで女神様が私の事を勇者の代わりにしてくれていたのだが、それでも私の中の女戦士の力は勇者よりも強くなっていたので勇者の扱う事が出来る聖剣よりも性能の高い魔装を作り出していた。

だから私と勇者は二人で協力して、お互いの武器について研究をすることになった。そこで勇者は、自分が使う事ができたら、きっと強い武器になると思って、自分の中に眠る戦士の力を解放しようとしたのだけど「ダメだな。全然うまくいかないぞ」と言って悔しそうな顔をしていたのだった。

***私は今現在女神様の使徒であり、この国の人達に愛される存在になっているので、きっと私は女神様の力を引き継ぐ前に暮らしていた場所に戻って暮らす事もできたはずなのだが、そうしようと思わない。この世界を守るために女神様と私は二人揃って頑張る事に決めたからである。だから私は女神様の事を絶対に守るし助けると決めているのだ。

「さぁ。私達の戦いは、まだまだ、これからだね」

そんなことを私は呟くのだった。

――このお話は私の手記に残されていた内容だ。私達が住んでいる世界とは、別の世界の物語が記されている。この世界とは違う場所で生きる一人の女性が体験した冒険譚である。

***私には名前が無いのだ。なぜなら私の名前が奪われてしまっているからだと思う。だから私が自分の名前で認識できるのは私に与えられた「アカリ」という名前だけなのだ。

「どうして、そんな悲しいことを言うの?」と言う声が聞こえた気がするが、それは私の思い込みかもしれないので深く考えないようにしておく事にする。そもそも私には親も兄弟も友達すらいないので自分の名前が有ったところで無くなっても何も変わらないだろう。むしろ私の名前は奪われたのであって、もともと存在しなかったと考えるのであれば少しだけ救われるような気もするのだった。まぁ、そんなことを考えても、しょうがないんだけどね。

さて、私が置かれている状況を説明しよう。私は「魔女狩り」と呼ばれる宗教の一派に捕らえられていて牢屋の中に監禁されていたのだった。私は「私を一体何のために捕まえているんだろう」と考えてみるが特に理由などは見当たらないようだと私は考える。だから私を閉じ込めておくことで、どのようなメリットが発生すると言うんだろうか。全く理解できないのだった。でも、私を捕らえている集団の目的は別に存在している。私は「まぁ、でもどうせ殺されるだろうから気にしないでいいんじゃないのかな」と考えていたのだった。だが私を生かすために色々と行動してくれる人達がいるみたいだ。その人のおかげで、とりあえず殺されずに済んだので私としても良かったと思っている。

ただ「私を捕まえた魔女を狩る人たち」も、「魔女ではない普通の人を処刑するために捕まえた人たち」もいるみたいなのだが「私と一緒に閉じ込められていた人達」も、その中に含まれているらしく「このままでは全滅してしまうんじゃないか」と思っていたのだが「私が逃げ出せるように」色々動いてくれているらしい。

***私が目を覚ますと、そこには綺麗な人が居て、私は彼女に抱きついてしまった。そうしていると私は急に眠くなってきて私は意識を失う事になる。次に目覚めた時には、なぜか、私は「この世界を救う為に女神様が私に与えてくれた使命を果たす」ための「力を手に入れた後」の状態になっていたのだった。

***私の体が女神様の力に耐えきれず崩壊してしまったが、それでも私という存在が女神様と一つになることで私の命を守ることが可能になったのである。そして私が持っていた武器を女神様と一緒に作って、その武器で「この世界を悪い奴らから救う」と決意する。そして女神様から貰った力を上手く使えるようになって「私はこの世界を救うための旅をするのだ」と考え始めた。私は勇者と魔王の二人の力を扱える人間で、その力を上手に使う事で私は私にしか出来ないやり方で私を必要としてくれている人々を救い続ける。そして私は女神様の力を使い続けて女神様と一体化して、そして私は女神様の分身となる事が出来た。

***私は女神様と一緒に戦うことにしたのだけど、女神様は私の事を心配してくれたので私は女神様が安心できるように「もっと私を頼ってください。女神様の事は絶対に守り抜いてみせますから」と伝える。

***そして私と女神様の二人で協力して作り出した剣を持って私は勇者と合流して「勇者と一緒に、私も戦わせてください」とお願いした。すると「もちろんいいわよ。貴女が加わってくれたら私としては心強いもの」と笑顔を浮かべて言うのである。

***私は自分の力について研究を行う。その結果分かったことは「女神様と融合して一つになった影響」なのか私の体の中には女神様の魂が同居するようになったのだが「この力を使えば女神様の力も私自身の力も使うことが出来る」と私は確信していた。だからこそ私は「これからも一緒に頑張りましょう。私は私で貴女と一緒に頑張っていくから、女神様も私と一緒に頑張れるよね」と言った。そしたら女神様は嬉しそうに微笑んで私に向かってこう言ったのである。「私にはアカリしか頼れないの。私を守ってくれるなら私と一緒に最後まで頑張ってちょうだい」

――女神様の言葉を受けて私は女神様の期待に応えるべく頑張ろうと決めるのだった。そして女神様と一緒に私は私の力で、この世界に平和をもたらすのだ。

女神様と一緒に私は旅をしている。女神様と出会ってからは楽しい事ばかりが続いて、まるで私の人生が今までのつまらない日々が嘘だったかのように思えたのだ。

***私は私の体の中にある女神様の力を使った攻撃と防御ができる「聖女の女神の力」を使って、この世界の悪者と戦うことになる。そうすると私の周りに集まっていた悪者が一斉に苦しみ出して私に対して感謝を捧げるので気持ち悪くなってしまう。ただ「私の近くにいる人間は誰であっても傷つけることができない」のである。それはつまり「どんな力を使ってでも私は私に敵対してくる相手に手を出す事ができない」ということでもある。なので「私は誰かを傷つけない」という約束を守れなくなってしまうと私も死ぬことになりかねないのだった。

***私は自分が女王様になるような未来があるかもしれないと思うようになって「女王様になっても、ちゃんと私の事を見守っていてくれるかな?」なんて事を考えてしまう。そうやって悩んでいると私の側に居た女の子に抱きつく。

このお話は私の日記に残された記録の一部である。私達は魔女として捕まっていたが、この国の王子様に救われることになった。そこで私たちは勇者や、その仲間と共に「女神」と名乗る少女の分身を宿すことになった勇者と共に旅に出ることになりましたのよ

* * *

俺達三人は、今現在の状況を冷静に判断することにした。勇者の話では勇者と魔女と女剣士の三人は勇者の幼馴染のはずだったのだが勇者以外の二人が行方不明になってしまったのだ。だから今、ここに居るのは勇者だけだし勇者は一人ぼっちだった。だけど勇者はその事を寂しがることも無く一人で旅を続けている。だけど「勇者さんには仲間がいない」のだ。そんな事を思った俺は「勇者が女の仲間を見つけられない理由」に心当たりがあった。勇者は、あの三姉妹が大好きで彼女達の傍にいる時は幸せを感じているように見えたのだ。しかし勇者が魔女さんや女剣士さんの事を好きだったことを知っている人が居なくなってしまったので勇者は自分の気持ちを封印するしかなくなっってしまったのだろう。そんな状況に陥ってしまったら好きな人に思いを伝えられなくて当然だと思う。

***私は私に抱きついて離れなくなった男の子を「どうして泣いているんだろう」と疑問に思っていたのだが彼は泣きながら何か言おうとしていた。そして私は「彼が私に何をしたいのか」なんとなく予想できてしまったのだった。なぜなら私達が女神様の使徒になった時から不思議な感覚を感じる事が出来るようになっているからだと思った。だから私は彼に向かって「私を抱きたいのですか? でも、私はもう処女じゃないですよ」と言ってあげたのだ。そしたら男の人は私から体を離したかと思ったら顔を赤く染めていたのである。

***勇者が持っている聖剣の柄を握らせてもらって私が聖女の女神様の力が使えれば問題ないのでは、と考えて「この勇者の聖剣に私が手を触れたら光ったら良いんだよね」と思って勇者の持っていた聖剣の刀身に私が触れる事にしたのだけど「私の中に聖女の女神の力を使うことができる」と確信した私は、そのまま私の全身が光り輝くのを感じた。それから私の姿が変わったのだ。その姿が「白いワンピース姿」になっていて「頭に天使のような羽根」も生えていたので驚いてしまう。しかも声までも変わった。「私は勇者の力を使う為に必要な力を手にした」ということだと思う。

そう思いながらも私は自分の変化を確認した後で「私と一緒に行動している人の中で女神様から貰っている力を使えない人」を探してみると「魔女と魔剣士だけ」だと判明したのである。

***勇者から「どうして、そんな悲しいことを言うの?」と言う言葉をかけられたので私は「どうしてだろうね。私も本当は悲しくなかったんだけど何故か涙が止まらないの。きっと今の私は悲しみに包まれているんだよ」と伝えたのだった。すると私の体が勝手に震え始めて「私って、こんなにも弱かったんだね」と実感させられてしまったのだった。でも私の体が私の制御から外れているのがわかったから私は私の体の状態を勇者に伝える事にしたのだ。そしたら勇者が「貴女は本当に女神様なんだね」と言い出したので「女神様の力と融合したから、この世界に存在する人よりも、かなり上の立場になっているの。それに私自身には女神様の力を扱えても、私自身の力で世界を滅茶苦茶にする気はないよ。だって私が私の意思に反して、世界を滅ぼしたり支配したりするわけにはいかないでしょ」と言った。

***私の体に異変が起きて私の肉体が私の意思とは無関係に私の行動を制御するようになって「これは私の意志ではない」という事を伝えようとしたのだが、その前に私の体に変化が起きているのがわかっていた。「女神様の力を私が使えるように」なった影響なのかもしれない。私の頭の上に羽のようなものが生えたのである。そして私は私の体の変化を、みんなに報告しようと考えていたのだが、そのタイミングを狙っていたのか「黒い服の男」が現れて私を捕まえようと襲い掛かってきたのだ。私は私を捕まえようとする男の人達から逃げようとしていたのだが、そこに私が私を守るために戦いを挑む。

***私を捕まえるために私を殺そうとしていた人達だが「私の力」によって苦しんで動けなくなっていた。だから「私が戦っても勝てるかもしれない。私は私の力を正しく使えるようになったから」と思った。そしたら「この男を始末したら、私は元の生活に戻れるはずだよね」と私は考えてしまう。だから「私の体は私のもの」だと思い込んでいたから私は「私の体が勝手に動くなんて、ありえないでしょ」という風に考えた。そうやって混乱した状態の時に私に抱きついている子供を見て私は少し落ち着きを取り戻して、とりあえず「この子を安全な場所に連れ出さないといけないかも」と考える。それで私は「私の中に女神様がいるのならば女神様の力を私に与えて下さい」と思いを込めてお願いをしてみる。そしたら私の願いを聞き入れてくれた女神様が私の身体に降臨してくれて、その瞬間に私の体が白く輝いて変化した。「私自身の姿が変化しているのが、よくわかる。私の中から「私と女神様の意識が融合していく」のが分かってきた」私は私の中の女神様の存在を確認してから「この子の事も、どうにかして助けないと、このままじゃ危ないかも」と考えていた。

***私の力を使えば簡単に男の子を救う事ができた。だから「勇者の力を使わなくても私の力でも救う事が出来たんじゃん」と考えてしまい。勇者の力を借りてしまったのを反省する事にした。

私の中には二つの心が存在するようになっていた。「私」の心と「女神様」の心に、なっていたのである。だから私は女騎士さんと魔女さんの二人と話し合いをした。そして私達三人の意見を一致させたのが「この国の王様に会えば女神様と魔王の関係が理解できるはず」という結論に至ったので、私は国王と謁見する為に動き出す事を決めるのであった。

私は、女神様と勇者と一緒に国の中心に存在する城に向かうことにした。そしたら「女神様の分身」だという女の子が居たのだ。その子も、この世界を救うために戦いに行くつもりだったらしくて「私達は勇者の仲間なんだし、女神様の力を使えるのなら一緒に連れて行ってほしい」と、言われてしまった。なので私は魔女さんと女剣士さんが「勇者さんと、どういう関係なのか」を気にし始めていた。そう言えば私は「私達三人の関係性を確かめないといけないなぁ」と考えた。そうしないと、私は女神様の使徒として勇者の仲間になれるか、どうかわからないからである。だから、私は「まず魔女さんに話を聞いてみよう」と思ったのだ。そして魔女さんが私に、こう話しかけてきたのである。

――魔女さんが言うには魔女さんも女剣士さんも女戦士さんと同じで元々は普通の村娘として生活していて女神様が人間の姿になって現れてから「自分達の力が強くなり始めたらしいのだ」という話をし出したので「勇者さんとは関係ないと思う」と私は魔女さんに説明したのである。そうしたら魔女さんも納得してくれたのだった。

***勇者様は女神様の使徒になってからは毎日幸せそうな笑顔を浮かべていて私達の事を守ってくれているけど「魔女と女剣士と旅をしている頃の方が幸せそうに見えてしまう」から私は「魔女は勇者さんの幼馴染なのに魔女と女剣士の二人は勇者さんと、どんな関わりがあるのかな」と思っていた。そしたら魔女さんが私に対して「私は昔は、あんなにも泣き虫だったのに今は魔女だから泣きたくても泣けないんだ」とか言い出して「勇者は泣きたいときに、たくさん泣いていいんだ」みたいな事を言ってたから、ちょっとだけイラっとしてしまった。「私は女神様から勇者の仲間にしてもらえる事になったんだけど、勇者の仲間になったら私が女神様の本当の力を使えるようになるとか言われたんだけど、それって魔女さんはどう思う?」と魔女さんに相談した。魔女さんからは「私は、そんな話を聞いたことがないから魔女の力が女神の力に変わるとか、そんな話は、ありえないと思う」という回答を聞く事に成功した。だけど魔女さんから聞いた話を勇者さんに話してみても、いまいち勇者さんの答えが良くわからなかったので「勇者に何かあったら、すぐに知らせて欲しい」と言われたのである。そして私は「女神様の力は私一人で扱えるのだろうか」と疑問を感じてしまった。そして「私は勇者の仲間だから、この世界で生きる為に強くならないと」と考えて勇者さんと行動を共にすることを考えるようになるのだった。

***私の身体の中に存在する二つの存在から力を引き出せるような気がした。そしたら「私の中にいる女神様と女騎士の女神様の力を使って魔法が発動できるかも」と思い始めると私は「やってみる価値はあるかもしれない」と思えるようになってきたのである。だから私は私の中にいる女神様と女騎士様に語りかけたのである。「私に女神様と女騎士の女神の力を分けて頂けませんか?私は貴方方の力を借りて女神様から貰った力の全てを扱ってみたいと思っています」って言ったら「わかった。私の力を貸しましょう」と返事が返ってきたのだ。

***勇者さんから、私は女神様の力が宿っている剣を手渡され、剣の柄を握ることになったら「勇者の聖剣と同じように女神様の力で私自身が強化されるのを実感することが出来た」それから「女神様の聖剣に私の力を注ぎこむイメージをすれば、もっと強力な聖剣を作り出すことができるんじゃないかな」と考えて「私の体の中に存在している女神の聖剣に、私の魔力を流し込み続けたのだ。

そしたら「女神の聖剣の刀身に光のラインが出現して私の聖剣のように刀身を白く染め上げたのである。しかも刀身に模様が現れただけで聖属性の魔法も、もちろん使えていたのであった。だから私は勇者の力を使うために女神様の力を手に入れたのだと実感することができた。「私は、これから自分の力で勇者の仲間に相応しい人になる」って、私は自分の意思を伝える事ができたんだ。

***私と一緒に行動してくれている仲間達が勇者さんと一緒に行動しているのは、どうしてなのかなと、私は考えてしまう。でも勇者さんと一緒に居ると楽しいって事は、間違いがない。だから「私だって、いつか勇者さんの役に立つんだ」という気持ちが沸いてくるのだ。私は「自分が出来ることを探す」ということを意識しながら勇者さん達と行動を共にした。そしたら勇者さんと私の二人で「国の中で一番大きな町に行く事を決めた」のである。

***私には、もう一人女神様の加護を受けた人がいて「私よりも、さらに凄い能力を持っていたのである」だから、この人に女神様の力の扱い方を教わる事が出来たら良いなって思い始めて「私が、ちゃんと女神様の力を操れれば、みんなを守れるようになるかも」と、考えるようになった。だから私達は私より女神様の加護が受けられている女の子に会いに行く事にした。そしたら、なんと私が女神様の力を手に入れて初めて遭遇した魔物が私達に襲いかかってくるのである。そして私は女神様の力を使いこなせるようになっていたので、この世界の理を書き換えて、この魔物達の存在そのものを否定した。そして私の力の一部を発動させ魔物の存在を消し去った。そしたら「勇者様の身体の中から光が現れてきて、私を抱きしめてくれたのである」

***私には、もう一つ女神様の力を手に入れることが出来たので「この力は女神様のものだから絶対に手放してはいけない」と思い込むようにしたのである。そしたら私は「私が持っている女神様の力と勇者さんの持つ女神様の力を共鳴させる事ができるように」なるまで頑張ったのだ。だから、私にはもう一つの新しい力が存在するのが分かったので私は、その力を「私が使えるようになってよかったね」と思うことができたので良かったと、私は思うのであった。

僕は僕自身の心の中にある二つの心が存在していることを自覚していた。それは、いつも一緒にいた幼馴染の少女や僕の中に女神様が居座ってしまった影響から「もう一人の自分が出来てしまった」のである。だから僕は僕の身体の中に女神様の魂が存在するようになっている事を理解できたのであった。そしたら僕の身体の中に存在していた少女が僕に対してこう話し出したのである。

「私と私の中の女神様が一体化して一つになった状態なら、あなたは私に力を借りずに女神様の力を振るうことが出来るようになるよ。そしたら私の力を使って勇者として戦う事ができると思う」って言っていたので、その通りだと思う事ができたのだ。

だから「僕は自分自身に、もう一度問いかけてみることにする。本当に女神様の力を使って戦えるのか?と、問いかける事にする」そして「僕の中には二つの人格があるのがわかるから「二人の意識が統合されていなければ、この世界に存在し続けている人達を救えない。救うためには、どうにかしないといけないだろう」と考えたのである。そして女神様の力を持っている女性を一人呼び出そうとする事にしたのだ。そして僕は彼女を呼び出すことには成功したのである。

***私は魔女の呪いで勇者さんの役に立てる力が封印されていた。でも私は魔女さんに、こんな言葉をもらったのだ。「貴女も勇者さんも勇者の仲間になっている以上は女神様の力の使い道を知っておくべきだと思いますよ」と言われたから「確かに女神様と魔王の関係とか、いろいろ教えてもらいたかったから魔女の言う通りにしようとは思ったんだけど「私の中の女神様の力も勇者様のために使うべきなんじゃないか」と思ったから魔女の言いなりにならないことにしたんだ。

だから私は魔女の言葉を無視する事にして自分の力で女神様の力を使うことに決めた。だから魔女に対して私は、こう言ってやったんだ。「女神様は、あんたなんかとは違って凄い力を持ってる存在なんだよね」と言ってやることが出来た。そして魔女に対して「私は魔女の力を私自身に使えるようにするんだ。そうすれば私は勇者様の仲間になって旅が出来るようになる」って考えたから、私には魔女の力が宿っている剣が必要な存在なんだ。だから私は魔女に「あなたの力を私に貸してほしい」と頼む事にしたのだ。そうしたら魔女は私に向かって「それじゃあ勇者の仲間になる為の儀式を始めよう」と言ったのだ。

そしたら私の中に宿っている「女神の力の残りかす」と言うか「まだ私の中に存在し続ける女神様の力を使っている私に女神の力を授けてくれる存在の力」が私の力に変わるようにして魔女は私に女神の力を持つ聖女になれる魔法を掛けてくることになった。魔女に、お城の中で生活ができるような身分に変えてもらえたので私は「魔女の言う事を聞かなかったのは正解だった」って思えるようになってきた。

――勇者の仲間の一人になっていた私に、勇者の仲間じゃないけど勇者の事を見守ってくれていた人物から、声が掛けられる。彼女は私の目を見て「貴方は勇者様の事が好きでしょう?」と聞かれてしまった。だから私は彼女の言葉に答えたのであった。「うん、好きなのかもしれない。だって彼は、とっても優しいから、きっと誰からも好かれるような男性だと私は思うから」と答えると「私も同じだよ。彼の事が好きだもん」って、その子は、あっさりと答えたんだ。

***私は勇者様と一緒に旅をしているうちに自分の中の力が膨れ上がっていくことに気が付いて「この世界に存在する女神様の力って勇者さんの為に使うものなんですね」と考える事が出来ました。そして私自身も女神様の力を使う事に成功し始めたのです。それで女神様の聖剣を手にすることが出来たので「私の中に宿っている勇者さんの中に存在する女神の力も、いずれ扱えるようになるんだろう」と確信できるようになりました。

***私の体に女神の加護が宿った影響が少しずつ現れ始めていて「自分の体が徐々に変わってきているのが、はっきりと感じ取れていたのである」だから「このままでは勇者様と一緒に行動するのが困難になってしまうんじゃないか」と考えてしまうようになっていた。しかし、そこで私は勇者さんから「勇者の力を制御できるように、ちゃんとした訓練をしておきたいんだ。それに、この力を、ちゃんと扱えるようにならないと、これから先の戦いで困ってしまうからね」と言われたのである。

だから私と勇者さんと仲間達が全員で話し合いをすることになった。私達勇者パーティーの戦力を強化する方法を考えながら私は「どうしたらいいのか」を考える事になってしまったのだ。そんな時に女騎士さんが私のところへやって来て「私にも女神の加護が少しばかり宿っているらしい。だが私の力だけでは足りない部分があるので勇者殿が持っている聖剣の力を借りることにした。だから私には、勇者殿の使っている女神様の力を扱う能力が無いのだが聖剣が女神様の力を使うのに必要な条件を教えてくれた」と言っていたので私は「私も女神様の力が宿っている勇者の聖剣を使おうと思っていて、それが使えない状態なのだから、勇者の聖剣と女神様の加護を受けている人の両方を操れる人がいたら勇者さんの仲間として戦ってくれる人が増えるんだと思うんだ」と話す事に成功した。

私達は私達で自分達の強化について考えていた。だけど勇者様は女剣士さんの「勇者の力で自分の体を強化したいと思っている。女魔法使いさんは魔法の力を強くするための道具が必要だと考えている」と聞いた。そしたら勇者さんが私達の事を褒めてくれた。そしたら女盗賊が私達に近寄ってきて、こう話し始めたのである。

私は女神様の力を手に入れるための努力を続けていた。そしたら、私の中に存在している女神様の力の扱い方が分かるようになったのだ。「これで女神様の力を自由自在に使う事ができるようになったぞ」と喜んだ私だったが女神様の力の扱い方を覚えてからは女神様の力を自由に使えて「女神様の力を操る事ができなければ女神様の力を持っている人より優位に立つ事ができなかったので、私に、女神様の力を与えてくれた人には感謝したいと思う」と思っていた。

「僕は、どうして良いのか分からない状況に追い込まれてしまったんだ」と僕は、僕の中で眠っていた女神様が僕に伝えたのである。「私が女神の力を完璧に操れていなかったせいで、この世界の人たちを救う為には女神様の力を使う必要があった」と言われて「どうして、この国の人々を救わないと、この世界の人々の未来が失われることになるんだ?」という疑問が沸いてきた。僕は女神様の口から出てくる次の言葉を待とうと思った。

女神様は僕が考えている間にも「勇者の力を制御できるようになったら女神様の力を使って戦う事が出来るようになる。でも女神様の力の全てを操れるようになるのは難しいから、あなたは女神様の力の全てを引き出すことはできません。でも女神様の力を半分ぐらい扱う事ができたら女神様の力を完全に使いこなせる」と話し出したのである。そして僕は、その時に僕の中に存在していた女神様の意識と僕の意識を一体化させることにした。そしたら僕の中に女神様の魂が存在するようになっていたのだ。そしたら僕の中に存在した僕が、僕のことを「私の代わりに助けてあげてほしい」と言い出したので「僕は勇者の力を制御することができるのか、できないかで言えば制御できるから勇者の力を利用してみようとは思う」と答えたのである。

そしたら僕の中に存在していた女神様は僕に「勇者の力を使えば私の存在の核となる部分が壊れてしまう」と言う。僕は「僕の中に存在していた、もう一人僕が居なくなってしまったので「僕は僕の中に残っていた女神様の存在をどうにかする方法を考えないとダメだな」と思ったのである。僕は僕の中に存在していた女神様の人格と僕の魂が一つになった存在であるから「どうにかしないと女神様の力が暴走しそうだ」と感じたからこそ僕は僕の中に残っている女神様の存在を抑え込もうとしたのであった。



そしたら僕の中に宿っていた存在の女神様は、僕の事を抱きしめるのであった。そして僕の事を愛しているという気持ちを伝えた後、消えていくのであった。

***私の中にも勇者さんの中にいる女神様と同じように「勇者の聖剣」という存在がある。この聖剣には「女神様の力を利用する事」が出来る力があるの。この「女神様の力を使う事ができる剣の力を使う」ために私は女神様の聖剣を手にしたの。

そして私は聖剣の力を使うために必要な呪文を唱え始める。『女神よ。我が身に宿り、力となれ』

***私は勇者様が私の聖剣を使いやすいように女神様の力に働きかける事にした。そしたら私の中の聖女としての能力が高まってきて「聖女様の力も勇者様に貸し与えようか」と提案してきた。

だから私は勇者様の持っていた女神の力を呼び起こす事にした。

『女神の力を呼び覚ませ!』

私の中で眠っている勇者の力は「私の中の、あるべき姿に戻ったのである」と、すぐに理解する事ができた。そして私の中から勇者の力が解放されたのである。私は私の中で目覚めていた「勇者の力の一部」を、私と勇者様の体に宿す事にしたのである。

***私は勇者の力が、いつの日か女勇者様の力になってくれることを願って「勇者様の聖剣」に、自分の力を封じ込めることにした。そして私自身が「女神様の力で強くなっているのであれば、もっと女神様の力を吸収しても大丈夫かもしれない」と考え、さらに自分の中の力を強めようとしたのである。

***「私は自分の中に存在していて自分の中にある聖女の力を解放したら自分自身の中に存在する勇者の力を制御できるようになると考えていたんだ」

***私は女神様の聖剣に宿る力を解放できたら自分の中に宿る女神の力を自由に使うことが出来るんじゃないかと考えたので、まずは自分の体を「女神の力を使えるように改造する実験台にしてしまおうと思う」と決めた。

そしたら自分の体が女神様の力に耐え切れなかったのであろう。

私に宿っていた女神様の力は消滅してしまったのだ。

そしたら私の中に存在している女神の力の一部が勇者の力として残されることになった。

私と勇者の力が一体となった時私は「私の中には女神様と、女神様の持っている力が存在している状態だから勇者の力と女神様の力が、ちゃんと制御されるはずだと思えるから安心していたの」

***私は私自身の身体が「女神様の力を取り込んでしまう」という状況に陥ってしまった事が原因で、自分の中の聖女の力を使うための「勇者の力を制御する事」が出来ない状況に陥っていたのである。

***僕は女剣士さんの体を借りて「女神様の聖剣を使う事ができるのかな?」と考え始める。そして僕が自分の意思で体を動かす事ができなくなってしまい、僕は僕の意思に関係なく「女神様の聖剣が僕の手にある状態で動き始めようとしているんだ。そして僕は「勇者の聖剣に秘められた女神様の力を引き出す事に成功したんだ」と気付いた。

そう思った矢先、僕は自分が勇者の聖剣を女神様の力の制御に失敗してしまい女神様の加護を受けた勇者の体を壊しかけてしまった。

そしたら、その時の女神様が私の事を心配する声が聞こえた。

――私は自分の体が勇者の聖剣の力を制御できなくなる前に「私の中にある女神の力を私の体の外に出す必要があると思い、自分の体から女神様の力だけを分離させる事にする」ことにした。

私は私から女神様の力を取り除く方法を探す事を決めたのである。

そしたら女神様は「私の力であなたの体を女神様の体に近づけるように変えていきますね」と言って私の中にいた、女神様の力を私から分離させようとしてくれているようだが上手くいかないみたいだった。

***私と勇者さんの体に宿った女神様の力は私と勇者さんが一体化すれば問題無く使うことができるようになるはずです。

***私は私の中で目覚めた女神様の人格と会話をすることができるようになって、そこで「勇者さんと一緒に旅をしていた勇者の力を持った女神様の人格が女神様の持っている聖剣に封印されていたので、女神様と話をする事が可能になった」ということを教えてくれたので私は嬉しかった。そこで私は聖剣に込められていた女神様の聖剣の力を「私の体内に存在する勇者の聖剣に流し込む事ができるようにしよう」と考えることができた。

そしたら私の体の中に存在していて私のことを見守ってくれていた女神様は私の体の中から「勇者さんは女神様の力で自分のことを守れるようにして、これから一緒に頑張って行こう」と言いながら私の体から出て行ったので、その後女神様の聖剣と私の中に宿っていた女神様の存在は完全に一つになることになったのである。

そしたら女神様の聖剣が輝き始めたのである。そして私と勇者さんが一体化して、その一体化が終わった後、私は「自分の力が強くなっていることを実感できた」と思えたのである。

私と勇者様の一体化が成功した後は「私の中に女神様の人格が存在した痕跡が残っているか調べるために私は勇者さんの髪の毛を使って、私が使っていた勇者の力を制御するために作られた聖女の力に宿っていた女神様の力を勇者様に注入しようと決意した」のである。そして勇者様の毛を一本抜いた後で、勇者様に女神様の力の一部を宿らせた。それから私は勇者様から髪の毛を受け取って自分の頭皮に突き刺した。

***私は自分の体の中にある女神様の力を全て自分の物にしてから「自分の体の調子がすごく良くなってきたのを感じたんだ。そろそろ女神様の力の扱い方を、ある程度マスターする事が出来たので私は女神の力を完全に制御することが出来るようになると思うから「私は私に残されている最後の試練である女神の力を操って女神様の願いを実現する事だけに集中する事ができるんだと私は思っていたの」

***僕は勇者の力を自分の物として扱えるようになりました。僕は僕の中に存在した女神様の存在も制御出来るようになっていき、女神様が言っていたように僕の体の中に残っていた女神様の聖剣の力は僕の力の一部となって僕の事を、僕が勇者の力で戦う手助けしてくれる事になりました。

***「私の中には女神様と、女神様の持っている聖剣の力が存在している」ということを私は感じ取る事ができたの。

そして私が勇者の力を完全に制御できるようになった時、私は私の中にある聖剣の力を女神様の力と共に勇者様の体に宿らせる事にした。

そしたら私は私の中に存在する女神様の聖剣の力を勇者様の聖剣に宿らせて、私の力の一部として制御することに成功した。

***僕は僕の身体の中に女神様の力がある事が分かったので、女神様の力を扱う事が出来るようになっていたんだと、思う。

***女騎士さんに聖剣に秘められた力を使って、どんなことが出来るようになったのか? という質問をされたので「僕は聖女の力を操ることが出来るようにはなったけれど女神様の聖剣が僕に対して何かしてくれたり、僕が僕の中にいる女神様の人格や僕の記憶の中の出来事などを思い出したりとかできるような力は、今はまだない」と答えた。

すると僕が女神様の力を手に入れたことで女神様の力が、どのように変化していくのだろうかという疑問を持つことになるのだが「女神様の力が完全に自分の物になったのなら僕自身に変化が訪れるはず」だと思えるのであった。

「僕の体内に存在している存在達の中に宿っている力の一部を利用して女神様の聖剣の使い方を覚えることに専念したいと思います」

と僕は考える事になった。

***私の中にいる女神様の力と私の中に宿っていた女神様の聖剣の力を組み合わせる事に成功した。

***私は私の中にいる女神様の力を利用し女神様の聖剣の力を最大限に活用することに成功させた。

私は私の中に存在していた女神様の聖剣の力を私の中に宿っていた女神様と私の体の中に宿っていた勇者様の聖剣に、すべて託した。

***勇者様は私の事を「私の身体に宿っている女神の力の一部を受け入れ、さらに私と融合し勇者の力が目覚めていく過程」で私の力も利用しながら、さらに勇者の力を強化することに成功していました。***私の中に存在している女神様の力と私の中で勇者の力の一部が混じり合い、勇者様が持っている聖剣の力が私の身体の制御下に置かれた事で私は私の中で存在している聖女の力も勇者様の体を制御するために必要な聖女の力として利用する事にしたのです。

***「私の中には女神様と、女神様の持っている聖剣の力が存在している状態なので勇者様の聖剣と私の中にある聖女の力を使いこなせるようになっている」と言う自信を持てるようになりました。

***私の中には女神様の力が存在している状態で、勇者の聖剣の制御に成功することが出来た私は自分の体に宿る勇者の聖剣の力を女神様の力の全てと融合させることに成功することに成功したの。

***女神様の聖剣と私の体が融合したおかげで私は聖女の力で使う事ができた女神の加護を勇者の聖剣の力を利用する事によって使う事ができたので「聖女としての力も使えて女神様の力を手に入れることも出来た私は女神様と合体して、とても強い存在に生まれ変わったのだと思っていた。そしたら、私の体の中に宿っている女神様の力も強くなっていることが感じられるようになったので「私には、もっとすごい事ができるのではないのでしょうか?」と考えて「女神様の聖剣の力を使った私の体がどれだけの事ができるのかというのを知る必要がある」と考えるようになった。

そして私は「私の中に存在する女神様の力を利用したら私の中にある勇者の力が強化されるのであれば、女神様の力を利用した私に「勇者の力を強化した状態の女神様の聖剣を使えば私自身も、もっともっと強くなることが出来るのではないか?」と思ったので「勇者様と一緒に魔王を倒して世界を平和にする」ためには私は勇者の聖剣の力だけでなく女神様の聖剣の力と私の勇者の聖剣の強化が必要になるので「私は私の中にある勇者の聖剣に女神様の聖剣の力を注ぎこむ事にしました」

***勇者様の持っている聖剣の力が女神様の力を吸収したことで「聖女である私は女神様の聖剣に込められた勇者の聖剣の力を扱う事が出来るようになった」ということを理解していた。

私は私と勇者さんの中に存在する女神様の力を利用して女神様の聖剣の力を発動させようとしたんだけど「私は聖女の力を使う事はできても勇者の聖剣を、女神様の力で強化することは出来ないんじゃないか」と考えてしまったので私は女神様の聖剣で女神様の力を使うことを諦める事にしたの。

***僕と女神様の力を組み合わせて勇者の聖剣と聖女様の力を融合させた結果「僕には女神様の力を使って自分の事を勇者の力と女神様の聖剣の力で守ることができるようになっていた」ことを確認できました。

***私は私の中に存在した女神様の聖剣の力で女神様の力を全て引き出すことに成功させ「勇者様の力を強化するために私は聖女様の力を全て使って、勇者の聖剣を強化することしかできないのではないかと考えました」

しかし私の中には勇者様の体に宿っていた女神様の力が存在していたので、私は勇者様の聖剣の力を強化している最中でも「私の中で女神様の力を使って女神様の力を引き出そうとしているけど。なかなかうまくいかない」ということを自覚することができた。そこで私は「女神様の力を全て引き出せていないのならば女神様の聖剣を使えるようになったとしても勇者の聖剣の力だけを高めることに力を注いだ方が賢明だと判断したの」

そしたら私の体は光り始めたの。そしたら私の中から何かが出てきたの。そしたら私は「自分の中に勇者の力が存在する」ことを確信することができました。

「私の身体から何かが出た後に私は勇者の聖剣の力を女神様の力で強化することに成功したので私は女神様の力を利用して女神様の聖剣の力を制御できる状態になったのだと思えた」

その後私は女神様の聖剣の使い方を理解して女神様の力を完全に制御できるようになった後、女神様の力を利用し女神様の力を完全に制御できるようになるまでに至った私は女神様の力を利用することにより、私は女神様の力を私の中に宿らせている聖女の聖剣の威力を極限まで高めることが可能であるということを実感することが出来た。

そして女神様の力を利用して私は勇者の聖剣だけではなく、女神様の力も扱うことが出来るようになったのである。

***僕は僕の中にある女神様の聖剣の力を用いて、僕は勇者の力の全てを使って女神様の聖剣と勇者様の聖剣を強化することができたのである。

***女騎士さんの目の前で女聖剣の力を使って見せた後「僕の中に存在する勇者の聖剣の力と女神様の力を利用して勇者の聖剣を女神様の聖剣で制御できるようにはなったけれど。女神様の聖剣の力を全て使うことができるわけではない」と、僕は伝える。

そしたら僕は僕の身体に存在している女神様の力と僕の中にある女神様の力を組み合わせた後「女神様の聖剣を自分の体の中に存在している僕の体の中の力を使って制御することに成功した」と言う事を伝えます。

***私の中に女神様の力を取り込んだことによって「私の中に存在した聖女の力を扱う事が出来るようになりました」

***私は私の身体から溢れ出した女神様の力の一部を私自身が吸収し、その力を聖女の力で使用する事が出来るようにすることに成功した。

***勇者の聖剣に、どんな力が秘められているのか私は分からないのだけど、私は勇者の聖剣と女神様の聖剣の力を強化することに成功していた。

***私の中にある勇者様と女神様の力を使いこなすことができるようになっていた私は、勇者の聖剣と女神様の聖剣に女神様の力を使いこなせるようになっていることを確認した後は「私の中に存在する女神様の力を利用する事で女神様の力を扱う事ができるのであれば。勇者の聖剣の力だけではなく、女神様の力も扱えるようになるのではないか」と考えて、私は勇者様が持っている女神様の聖剣の力を私と一体化させた上で勇者様が持っている聖女様の力と合わせて、さらに女神様の力も私の体に取り込み私と女神様と私の体の中で存在していた聖女の力の全てを一つにして、さらに私の聖剣を強化することに成功したのである! 女王様の言葉を聞き終わった時「僕は自分の身体の中で何が起きているのかという事を女剣士に説明してみたのである。そしたら女剣士さんは僕が言っている言葉を聞いて僕の中に存在している力の正体について考える事になるのだが。女剣闘士さんは自分の力がどのように変化したのかを考えて「私が使っている女神様の聖剣には聖女の聖剣と女神様の聖剣の力が備わっているんだね」と納得してくれたようである。

***私は自分の中に存在している女王様の力と聖女の力が混ざっていることに気付いた。

「私の中にいる存在達が私の意思とは無関係に勝手に動いてしまった事があって。私の体が私の物じゃなくなってしまった。私の体を私の元の持ち主の聖剣使いの人の身体に戻すことはできるみたいなの。

***僕は「女聖剣の力を僕の身体に取り込むことが出来たおかげで、僕の体内にいる聖女様と女神様の力は女神様の聖剣と僕の身体に存在していた聖女様の力も融合して僕は勇者の聖剣の力を操れるようになったし。

勇者の聖剣だけでなく、女神の聖剣の力が僕に宿っていたおかげで、勇者の力だけでなく女神様の力も扱う事が出来るようになって勇者の聖剣の力を、さらに強化する事に成功した」という事を説明した。

「私は私の体に存在している聖女様の力が、私の中で存在している聖剣の力で制御できるようになったので。私は女神様の力を操ることが出来なくても私の体の中に存在している聖女様の力が私の中で眠っている聖女様の力と聖女の聖剣の力で、どう変化していくのかということを知りたいと思った。

そして私は私の中にある女神様の力を利用する事で「女神様の力を制御する事で、私の聖女の力を強めることが出来たのだと思います」

そして私は私の中にある女神様の力を利用する事で「私の体に宿っている聖女様の力のすべてを、勇者の聖剣と女神様の聖剣に注ぎ込むことによって私は私の身体の中に存在する女神様の力を勇者の聖剣と女神様の聖剣の二つの剣に注ぎ込んでいくことに成功していました。そしたら私の体が光ったんです」

そう言って彼女は僕と融合した女神様の力を利用して女神様の聖剣と女神様の聖剣の力で女神様の聖剣の力を制御することができるようになった事を僕に告げたのであった。

***私の中には聖女の聖剣の力だけでなく女神様の聖剣の力も存在しています。

***私の中には聖女の聖剣と女神様の聖剣の力が宿っているのだから。女神様の力も勇者の聖剣に込められた女神様の聖剣の力を利用する事によって制御することができるようになっていた。私は自分の体の中から聖女様の力と女神様の聖剣の力を引き出す事ができるようになっていたのだ。

私は私の中に存在した聖女様の力だけでなく女神様の聖剣の力までも利用する事ができるようになってしまった。

***私は女神様の聖剣

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異世界でチート無双~現代社会に生きていたけど、なぜか神様に異世界へ転移させられて、さらには「現代の技術」まで持って行って良いと言われちゃったから全力で楽しんでいく!~ あずま悠紀 @berute00

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