第二話 シングルマザー
僕にはお父さんがいません。僕が赤ちゃんだった頃に離婚してしまったそうです。お母さんはいつもひとりで僕のことを育て続けてくれています。今では僕も小学6年生。周りと家族構成が違うことで、苦しい思いもしてきましたが、お母さんの頑張りを知っているからこそ、ここまで耐えることができました。
今日は母の日です。僕は、そんなお母さんに感謝を伝えるために包丁を買ってあげました。
「これ、お母さんにあげる! これからも僕のために美味しい料理作ってね!」
「ありがとう。この包丁、拓哉のために大切に使わせてもらうわ」
お母さんは嬉しそうに笑います。
それから長い月日が経って、俺は高校生になりました。今ではすっかりと声変わりもして、反抗期真っ定中。お母さんに感謝はしつつも、つい、キツい態度をとってしまいます。
「ねえ、俺のパンツ知らない?」
「えー、どっかに脱いで置いてるんじゃないの? ……あ、ごめん、間違って履いちゃってたみたいっ! タンスの中に入ってるわ」
「はぁ? ふざけんなよ! 最悪、もう履けないじゃん」
俺はそう言いつつもパンツを取り返すためにお母さんの部屋に入り、タンスを漁ります。ですが見つけることはできず、ついでに押し入れの取手に手をかけました。
「あ、拓哉ッ!! やめろッ!!」
俺が押し入れを開くと、女性の死体が転がってきました。
「う、うわぁぁぁッ!!」
俺は急いで後ずさると、顔面蒼白でお母さんに訊きました。
「これなに!?」
「……それはね、お母さんだよ」
「何言ってるのさ! お母さんはそこにいるだろ!?」
「お前はお母さんに虐待されて頭を打ったんだ。それでお母さんがお父さんに、お父さんがお母さんに見えるようになってしまった。だからお父さんは
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