ジュラルホース(食用)

「ただいまー」


ホームに帰ってきた僕はセフィに挨拶する。


「ただいまー♪」


ハクもそれにならう。


「お帰り♪結構順調ね。森を3分の1くらいは進んだんじゃ無いかしら。

 高レベル魔物の素材も手に入ったし資金面もとりあえず安心ね」


 なるほど、その辺も気にしての戦闘だったのか。


「そう言えば今は森の中だから仕方ないけど、町に着いたらマナの回復は

 出来るだけ町でしましょう。素材庫のマナは貯めておきたいし。

 それに、ホームや庭のマナを吸収しまくると不具合が出るかもだから。

 今のところ問題は無さそうだけどね」


 全く考えてなかった。いつも助けられているなぁ。


「そっか。マナも無限じゃないよね。地上のマナは足りなくなったりしないの?」


 僕のマナはどうやら普通では無さそうなので、あまり迷惑をかけない様にしたい。


「むしろどんどん増え続けていると言われてるわ。マナが過多になると強い魔物が生まれやすくなったり、異常発生したりするから出来るだけ吸収したほうがいいのよ」


 セフィ姉さんは本当に物知りだ。


「なるほど。じゃあHPが減ってる時は出来るだけ町で休む様にするね」


・・・


「それにしても二人とも戦闘はバッチリだったわね♪

 ハクちゃんのlvは241まで上がってるし」


 セフィ姉さんに言われて初めて気づく。確かにハクのlvは順調に上がっていた。


「楽しかった♪」


 ハクは本当に戦闘が好きだなぁ・・・。


「またハクが強くなってしまったね・・・」


 僕は模擬戦の事を考えると素直に喜べなかった。


「エルくんも凄かったけどね。まさかマナ供給で直接筋力強化出来るなんて・・・」


 どうやらセフィ姉さんの反応からすると、マナを送る筋力強化は随分と特殊な様だ。


「大分慣れてきたけどもっと出力上げれそうなんだよね。

 動きももっとスムーズにしたいなぁ」


 出来る事は多いに越した事はない。


「まだ強化するつもりなんだ・・・。まぁ無理しない様にね」


 セフィ姉さんは少し心配そうに言った。

 僕はそれが少し気になったがあえて気にしない事にした。


「今日の晩御飯はどうしよう?ジュラルホースの肉とか美味しそうよね♪」


 セフィ姉さんは、切り替える様に言った。


「馬肉かぁ。美味しそうだね♪今日はステーキにしよう!」


 僕も気を取り直して言う。


 ジュラルホースの肉はいい感じに脂が乗っていてかなり美味しそうだった。


「やったー♪」


 ハクは可愛く返事してはしゃいでいた。

 肉が好きなのかな。


・・・・


 何だかんだで料理は主に僕がやっている。

 セフィ姉さんは料理はやったことが無さそうだ。卵も割れなかった。

 素材分解のおかげで簡単に魔物を肉に出来る。

 本当は熟成したいところだけどとりあえず今日は食べる分だけを切ってシンプルに焼く。

 ホームはキッチン完備で調理器具も一通り揃えた。

 塩胡椒で下味をつけてソースは炒めた玉ねぎに醤油とレモン。

 付き合わせにじゃがいもとニンジンと森で偶然見つけたキノコを炒めた。

 キノコは結構希少らしくセフィ姉さんがはしゃいでいた。

 後はトマトとキャベツで簡単なサラダ。ドレッシングはお酢と油と醤油。

 卵とお酢でマヨネーズも作ってあるのでお好みで選ぶ。

 ハクはマヨネーズがお気に入り。

 あとは白米だな。ステーキに白米。無敵だ。


「めちゃくちゃ美味しそうね!」


 セフィ姉さんは食卓に並ぶ料理を見て感動していた。

 ここまで喜んでくれると作った甲斐がある。


「温かいうちに食べようか♪いただきます!」


 僕はいつもの様に手を合わせていただきますをする。


「いただいきます」

「いただいきます♪」


 二人も同じ様にして食べ始めた。


 ジュラルホースの肉はびっくりするほど美味しかった。

 高級和牛を食べた事は無いけど、それより美味しいんじゃ無いかと思うくらいだ。

 さらにびっくりしたのがキノコだった。

 見た目は大き目の椎茸だけど味はしめじと松茸の中間の様な味にまるで

 高級だしで味付けした様な最高の味だった。


「美味しい!エルくん天才!」


「エル兄天才♪」


 二人は僕の料理を絶賛してくれた。


「素材が良いからだよ」


 僕は照れながら言った。


「でもこれだけ美味しいと明日は全力で探してしまいそうだね」

 

 高レベルの肉は複製の時のHP消費が結構多かった。

 さらにキノコのHP消費は1個で10万を超えていた。


「ジュラルホースとキノコは是非とも狩りたいわね♪

 でも、明日はペースアップして一気に森を抜けてしまいたいわ。

 エルくんが筋力強化もどきを使えるなら十分走り抜けれそうだし」


 明日は一気に森を抜ける事になりそうだ。


「じゃあ、無理に探さず見つけたら狩るくらいにしとこう。

 ゲートは今まで通り作っていくからいつでも来れるから」


 あの味は惜しいけど今は前に進みたい。僕も同意して森を抜ける事にした。


「じゃあ今日は早めに寝て明日は早朝から出発ね♪」


 セフィ姉さんの提案通り、僕達は少し早めの就寝とした。

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