vsジュラルホース
ついにマナの神殿を出た僕達は真っ直ぐ東に向かって進み始めた。
光竜の間は森の中にあったらしく道中は大半が森の中になる様だ。
ちなみに意気込んでた割にセフィ姉さんは留守番だった。
「戦力外の私がついて行っても足手まといなだけでしょ。
モニターとリンクした視界でホームからサポートするわよ」
セフィ姉さんは最もらしい事を言っていた。
まぁ、確かにその方が良さそうだ。
「索敵はハクに任せるね。ゲートは適当に間隔空けて作っていくから」
「任せて、早速一匹いる。馬みたいな奴、こっちにはまだ気づいてなさそう」
ハクから早速、敵の接近を知らされる。
ちなみにハクは戦闘になると性格が変わる。
早くも戦闘モードに入った様だ。
『ジュラルホースね。lv250前後のはず。ここらでは弱い方の魔物だし群れも作らないから手頃よ』
セフィ姉さんからすかさず、敵の情報が入る。
いい感じの連携だな。
「よし!狩ろう」
僕は目標を決め作戦考える。
ちなみに僕達二人は光竜装備を装備し光竜剣(振動機能付き)をつけている。
あとハクは指輪(力)を三個付けている。
光竜装備は伝説の装備だけあって結構なHPを消費した。
セフィ姉さんは『唯一無二の伝説装備を何増やしてんのよ』と呆れていた。
光竜の衣と靴は装備する人に合わせてサイズが変わるらしくハクが竜化しても大丈夫だった。全く同じデザインでペアルックはちょっと恥ずかしかったからデザインは少しアレンジしておいた。
これに着いても複製スキルで出来る事じゃ無いとセフィ姉さんは呆れていた。
「僕が回り込むから、ハクが正面から宜しく」
ハクは頷いて待機する。僕はゲートを複数作りながら回り込む。
回り込む途中で僕が敵に気付かれてしまった。
それを察したハクは正面から切り込んだ。
ジュラルホースは僕達から離れる方向へ距離を取ろうとするがハクの方が速い。
逃げられないと悟った敵は振り返りハクに向かって魔法を放った。
しかし、ハクはそれを難なくかわす。
僕は両足にマナを送り強化しハク以上のスピードで回り込む。
ようやく敵を挟み込む形を取れた、と思ったら・・・
一気に距離を詰めたハクがジュラルホースを滅多撃ちにしていた。
ジュラルホースも抵抗はしているし反撃もしているがハクが圧倒的だ。
瞬く間に僕の出番は無くジュラルホースは仕留められた。
「初戦闘勝利だね。僕の出番は無かったけど」
実際、僕は何もする事無く終わってしまった。少し情けない。
『おめでとう♪ところでさっきエルくん変な事してなかった?
異常なスピードで動いてた気がするんだけど・・・』
セフィ姉さんから初勝利の祝いの言葉が届き、
そして、よく分からないものを見て不思議がる様に質問が来た。
「あぁ。あれはマナを足に送り込んで強化しただけだよ。
ハクとの訓練中に思いついたんだけど、前に筋力強化スキルを使ってた時の感覚を思い出して自己流でアレンジしてみたんだ」
僕は端的に説明する。
『スキルがやってる処理を自前でやっちゃってるんだ。
普通はそんな事できる訳無いんだけどなぁ・・・』
セフィ姉さんが呆れきっていた。
「ハク。少しだけどHP減ってるから回復しとくね」
僕はハクにマナを送りHPを回復した。
『ん?なんでエルくんがヒール使えてるの!?』
「これはヒールじゃ無くて素材庫のマナをハクに送ってるだけだよ」
『何を当たり前の様に訳の分からない事をしてるのよ』
セフィ姉さんは、もう細かい事はどうでもいいや、と諦めた様だ。
「ハクと素材庫で訓練した時に受けたダメージが素材庫に蓄積してたんだ。
多分ダメージを受けると内包していたマナが放出されるんだと思う。
それを使えば回復出来るみたい」
僕は色々試してそれを使用する方法を編み出していた。
『ちなみに今素材庫にどのぐらいマナ貯まってるの?』
セフィ姉さんは恐る恐る聞く。
「100万くらいかな」
『12日間で6回死ねるくらいのダメージ受けてたのね・・・』
セフィ姉さんの声は少し同情混じりに聞こえた。
「いやほんとハク容赦無いから・・・」
ハクの方を見るとハクは首を傾げている。よく分かってなさそうだ。
『エルくんがどんどん人間離れしていってる気がするけど・・・
まぁ、でもこの様子なら楽勝そうね!進みましょう♪』
セフィ姉さんは諦めたのか、開き直ったかの様に明るく言った。
その後も僕達は東に進み続け、途中二度ほど戦闘になったが
危なげなく倒して日が落ちてきた頃にホームに戻った。
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