クッキージャンキーの爆弾魔
次の日の朝、寝不足な俺はギルドで朝食を食べていた。
『朝食も美味しそうですね♪私の分取っといてくださいよ』
食い意地のはった妖精だ・・・。
朝食を食べているとガラハが降りて来た。
簡単な挨拶を済まし話しを始める。
「昨晩の食事が楽しかった。今晩も一緒に食えそうか?」
今晩は色々と話を進めようと考えている。
『私は今日も晩ご飯お預けですか?』
サポちゃんは不満そうだ。
『今日は一緒に飯が食える事になると思うぞ』
まぁ状況次第だがな。
『私の正体バラすのです!?』
サポちゃんは少し不安そうに言う。
まぁ、悪い様にはしないつもりだ。
「嬉しいかぎりだ。是非、今日もそうしよう。
ルークは今日1日どうするつもりなんだ?」
ガラハは了承してくれた後、心配そうに俺の予定を聞いてきた。
意外と面倒見のいい奴なのかもしれないな。
「ゆっくりした後は兎でも狩りに行くかな」
昨晩のあれは本当に美味かった。
「ブラッディベアを倒したのに慎重だな」
何を期待しているのやら。俺は非戦闘員だ。
何が楽しくて熊と戦わんといかんのだ?
「昨晩の兎は美味かったからな。補充をしておかないと」
俺は冗談っぽく言う。本音だけどな。
「意外と食い意地がはっているんだな」
ガラハに笑いながら言われた。サポちゃんの事を笑えないな・・・。
その後たわいない話をしながら朝食を終えた俺は、
ミャレにお金を払い昼飯の弁当と朝食の残りを包んで貰い草原へ向かった。
・・・
「Lv16だと兎ではLv上げになりませんよ?もぐもぐ。」
サポちゃんは包んで貰った朝食を食べながら言う。
Lvを上げても、さほど俺が戦える様になるわけではないしなぁ。
そもそも戦いたくない。肉が食いたいだけだ。
ついでに何が出来るか把握しよう。
俺はクッキーの袋をアイテムボックスから取り出し唱える。
「複製!」
HPを800消費しクッキー袋が二つに増えた。
俺のHPは今2250だから2袋が限界か。
「熊の時の報酬だ。遅くなって悪かったな」
俺は作ったクッキーをサポちゃんに渡す。
「約束覚えてくれてたんです!?マスターは変な所で律儀です♪」
なんだ、忘れてると思われてたのか?心外だな。
「俺は割と約束は守る方だぞ」
そう。約束は大事だ。絶対ではないが守る事に意味はある。
「確かにそうですね♪」
・・・
袋を開けるのに苦労していたが、ようやく取り出せたクッキーを口に入れた。
「なんですかこれは!?甘くて香ばしくてしっとり!
美味いです!美味すぎです!?最高です!!」
妹の影響で甘いものを持ち歩く癖が役に立ったな。
しかしマナの高い俺でもこれでは複製スキルはあまり役に立たないかもしれない。
サポちゃんの方を見るとあまりの美味しさからか、
目を見開き一心不乱にクッキーを食べている。
目の焦点あっていない・・・大丈夫か?
その後も暫く、サポちゃんは狂った様にクッキーを
別におかしな成分は入ってないぞ?お菓子だけど。
・・・
「無駄に高い知力を生かしたいが何かないか?」
折角、加護も貰ったのにこれでは宝の持ち腐れだ。
「リンク使ってマスター経由で魔法が使えば便利ですよぉ。
と言うか既に使ってるんですけどね。ポリポリ」
詳しく聞くと、昨日のレビテーションはそうだったらしい。
あれを無詠唱で30秒も可能にしたのはこのお陰だとか。
と言うかまだクッキーを食べている。正気には戻った様だが。
「lvを上げる意味が少し見えて来たな」
「まぁ私が居てこそですけどね!報酬はクッキーがいいですね♪」
随分とクッキーが気に入った様だ。害がないなら別にいいけど。
・・・
「サポちゃんよりnew伝!兎発見です♪」
何だそれ気に入ったのか?
どうやら近くに兎が居るらしい。俺には分からんが。
俺にサーチスキルがないからだと思ったら、サポちゃんのサーチが特別らしい。
精霊のネットワークを使っていて、遠くの鑑定が出来るのもこのお陰とか。
サポちゃんの案内で近くまで行くと相変わらず突っ込んできたので、
避けながら剣で薙ぎ払い倒した。
「Lv16になっても相変わらず舐められてますねぇ。
しかし、えらく簡単に対処しましたね。昨日とは大違いです♪」
サポちゃんは馬鹿にした様に言う。
「思考加速を使ってみた。これは便利だ。
まぁ、どこぞのポンコツ妖精が余計な事を言わなかったのが一番の理由だがな」
俺は皮肉たっぷりに言う。
「誰がポンコツですか!?」
まぁ、実際は超有能なんだけどなぁ。
他のスキルも色々試してみた。
加工スキルはウサギを素材に分解出来た。
創造スキルも使ってみたがこれは駄目だな。
クッキー1枚でHPを400も消費した。
ちなみにそのクッキーは食いしん坊妖精に奪われた。
「スキルlvはどうやって上がるんだ?」
「使用回数によって熟練度が上がる様ですね。ポリポリ
後は色々とLvupに条件設定されているのもあるらしいです。もぐもぐ」
生産系は地道に上げて行っても良さそうだな。
「ちなみにヘルプサポートはLvup条件がほぼ解明されていません。
過去の情報開示をみてもLv10を超える人は居ませんので、
サポちゃんは間違いなくぶっちぎり最強サポートキャラです!崇めろです♪」
実際、チートなんだよなぁ。
「俺に関してはこんなもんだろう。次は魔道具の作成だな。
鑑定阻害のやつ。あれって作るの難しいか?」
かなり目立つステータスだからなぁ。あれはぜひ欲しい。
「普通は高位の魔石に複雑な術式と生産系複合アーツを駆使しますが、
サポちゃんに掛かれば秘術レベルの技術でチョチョイのポンですね♪」
「この兎の魔石でも作れるのか?」
「普通は無理ですけどサポちゃんに掛かれば余裕です♪」
サポちゃんマジチート。
「盗聴機能も付けれるか?出来ればバレない奴」
「余裕ですねー♪ついでに自爆機能もつけときますねー♪」
おい。何物騒な事を言っている。
ん?いやあったほうがいいな。
「つけといてくれ。死なない程度のやつな。あとは通信機能が欲しいな」
今後の為に携帯電話の様なものを持っておきたい。
「通信機能はステータスウィンドウに標準搭載されてますよ?」
そんな話は聞いてないぞ。マジかよ・・・。
どうやら村人Aでも知ってるレベルらしい。
「チュートリアルが仕事放棄してる気がするんだが・・・」
「チュートリアルはギルドに到着した時点でもう完了してますよ?」
「強力な仲間はどこに行ったんだよ!」
スキル説明にあったはずなのだが・・・。
「サポちゃんのことじゃないですか?
熊を自力で倒しちゃったからイベントスルーしたのかも?」
いつもの軽いノリで
理不尽だが気にしてもしかたない。
他に知らないステータスウィンドウの機能がないか確認すると、
メールとフレンドリスト、鑑定履歴、移動履歴があった。
遠距離鑑定で見てたのはどうやらそれのようだ。
「魔道具に通信内容を盗聴する機能もつけられるか?」
「余裕です♪」
マジでサポちゃん万能だなぁ。これなら王国に罠をはれそうだ。
盗聴付きの便利な魔道具を作って王国に流す。情報は時に伝説の武器より強い。
あまり強力すぎるのも困るので筋力強化を1.1倍にエンチャントするものにした。
・・・
「後、試しておきたいのはあの攻撃魔法だな」
威力は把握しておきたいな。うちの最大火力だろうし。
「マスターが熊の時に華麗にスルーしやがった奴ですね♪」
意外と根に持ってそうだな。撃ちたかったのか?
「すぐそこにlv5のポイズンラットがいますね!
いきましょう♪ぶっ放しましょう♪」
ん?なんでこいつはこんなに乗り気なんだ?
「ちょっとま・・・」
嫌な予感がした俺は制止しようとするが、暇も無くサポちゃんが唱える。
『アルテマ!』
サポちゃんが唱えた途端、15mほど先の草むらにに光の柱が突き刺さった。
光の柱が細くなり上から収束して行く。そして光を放ったかと思うと・・・
爆散した。
俺は強烈な爆風で2mは吹っ飛ばされた。
ふらふらになりながら立ち上がると、楽しそうに高笑いをするサポちゃんがいる。
「おい!今のはなんだ?」
「究極魔法!全属性複合アーツ『アルテマ』です♪
マスターブーストバージョン凄まじいですね!」
サポちゃんはあまりの威力に興奮し大はしゃぎだ。
「熊どころか象も消し飛ばせそうな威力だったぞ!?」
魔法が放たれた場所は焼け焦げている。
ポイズンラットは跡形も無かった。
「マスターブーストに加えてMPを1000も突っ込んだ最大出力です♪」
「もっと遠くに落とせよ!」
「私も予想以上の威力でした♪最高でした」
聞いてないな、こいつ。
光悦した表情を浮かべてやがる。
この倦怠感はMP消費のせいか?
ステータスを確認する。
*****
HP350/2250 MP350/1400
*****
クッキー作るのにHP1200消費したから・・・
「HP700も食らってるじゃないか!」
ろくに戦ってないのに満身創痍なんだが・・・。
俺はこの後、兎を5匹狩りさっきの魔道具をさらに五個作り
ギルドへ足取り重く帰還した。
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