逆転生勇者〜やっとの思いで魔王倒したら別世界の一般人に転生したんだが。

五月雨ユーゲツ

第0話 記録

 初めに自己紹介をしよう。俺の名前は二つある、一つは世界を救った勇者「ジーグ」、そしてもう一つは別世界の[地球]と呼ばれる星の日本に住む一般人「遠藤良介」である。これから今に至るまでの事を説明する。


 現在は遠藤良介として生活しているが、前世では自称「超絶美しい」女神からの贈り物とされる伝説の刻印を右腕に生まれ持ってしまったことから俺はいずれくるとされる魔王軍襲来に向けての魔王討伐隊のリーダーとして勇者に選ばれた。


人より何十倍もの魔力を持ち、幼い頃から修行を積んだことで剣技の実力も認められていた。後に「魔王軍討伐隊」通称「勇者パーティ」の戦力増強のために強力な仲間を探しつつ修行も兼ねた旅に出る。その旅は過酷だった。ある大陸ではツルが伸び、虫と魔物で溢れたジャングルをぬけた。大陸をまたぐための船では荒れ狂う波と雷が轟々としている海も超えた。そして俺達は、大陸を渡りながら幾多のダンジョンを攻略していった、後に「ジーグ伝説」とよばれたらしいが、それは別の話。

きっとあの頃の俺はそんな自分に酔っていたのだと思う。


だが、仲間達はそんな波瀾万丈な旅についてくるのには命がいくつあっても足りなかった。あるダンジョンでのボス戦で俺は仲間の半分を失ったのだ。そこで初めて気づいた

「仲間の大切さ」

「自分の愚かさ」を。

生き残った仲間達は

「ジーグ様なら魔王を必ず倒すことができます。なので信じてついて行きます」

という物もいれば一方で


「ふざけるなっ!お前からしたら俺らは駒かもしれない。だがなぁ俺からしたら皆んな大切な仲間なんだよ!もう勘弁してくれよっ!!」


と泣いて叫ばれた。

この人物は半年前に俺が魔王の配下の「邪龍バハムート」から救った街で生まれた剣士だった。

名は「ウルガ•テンヴァルク」

俺の圧倒的の強さに惚れこんで仲間になってくれた。狼族である。ピンとたった耳、キリッとしているが正義感溢れる強い眼差し、その健康的な大きな体と優しく面倒見の良い性格が歳の低い仲間たちからは「兄貴」と慕われていた。そんな彼だからこそ俺に不満をぶつけてきたのだろう。


こんなこと生まれて初めてだった。

俺がやる事は全て勇者だからと許されてきた。

俺もそれに答えるため、勇者としての勤めを全うしているつもりだった。

でも今はそんな俺が悪者扱いをされている。最初は腹を立てた、「ならついてくるな」と、でも記憶を振り返り考え直した。

今まで自分がどれだけ仲間に救われたか。自分の考えの甘さを思い知った。


そして俺は覚醒と呼ばれる進化をとげた。

覚醒は、寿命を著しく減らすとされている。けれども最愛の仲間を復活させたかった。許してくれるかわ分からない、でももう一度皆んなと


「謝りたい」「話したい」「笑いたい」


そういう思いが込み上げてきたからだ。


失った仲間達を生き返すことができた。それを祝うための宴をした。みんな泣いて喜んでくれた。俺もとても喜んだ。

ウルガは俺に泣いて謝ってきた。もちろん俺も謝った。こうして和解することができた。こんな平和で楽しい時間が長く続けばいいと心から願った。だが、現実は甘くなかった。翌日皆んなには隠していたがもう既に左手が動かなくなっていた。それからも俺たちの旅は続き時は流れていった。


そして、


とうとうこの日が来てしまった。魔王ザタン率いる魔王軍と俺率いる勇者パーティーの全面戦争だ。


この頃は知らなかった。お互いがお互いの正義のために戦っていたことを。


「ピューッドカン」「バチバチバチ」


魔法が飛び交う戦場で魔王ザタンが勇者である俺、ジーグに一騎討ちを申し出てきた。その理由は、もうこれ以上の犠牲を出したくないからだと言う。魔王なのにそんな優しく自己犠牲な考え方をするのかという疑問とカ魔王を信用していいのかという不安はあったがそれが叶うならと疑いつつ承諾した。

その瞬間ザタンがスッと目の前に現れた。

初めてみる魔王に不思議と俺は心を奪われた一目惚れだった。

年下なのか、小柄な体に長い白髪ストレートヘア、その髪はまるでペチュニアの花の様だった。目はダイヤモンドの様に輝き大きかった。圧倒された。

そのダイヤモンドがこちらを覗き込んでいる。まるで体の中まで見通すように。

俺は言葉が出なかった。そうしてお互い見つめ合って数十秒経過したとき、ザタンは何も言わずに結界を張り始めた。

このときにようやく脳が機能した。

[何故、結界を張り始めたんだ?]

[しかも高度な結界だ。周りから全てを遮断する気なのか?高度の結界は、その領域を異空間とつなげるため、とてつもない魔力が必要になる。]

[そうすると暗殺か?]

[それかさっき言っていたように仲間達に攻撃が当たらないようにするためなのか?なら高度な結界にする必要はない。]

[わからない一体何を考えてるんだ?]

そう思考をめぐらせてる中ザタンは言った

「戦う前に一ついいかしら?」

「おぅ、いいぜ。」

暗殺の可能性を考えて俺は身構えた。

次の瞬間おもいもよらない出来事が起こった

「お願い私を殺して」

そう言って魔王、いや彼女は頭を下げて俺に頼み込んできた。[暗殺される]なんて考えてた俺は全く状況の理解出来ないままだった。彼女は頭を下げているから表情自体はわからないが少し震えているようにも見える。

「どういう事だ」

そう返事すると、彼女は顔をあげ何かを決心したように堂々と話し始めた。

「現在魔王軍は私、魔王がいるから人間を襲っているの。理由は今まで人間族と魔族は間隔はあけていたものの長きにわたって戦争を続けてきた。その象徴的存在である「魔王」と「勇者」そのどちらかが死ぬまで終わらないの。でも私はもう仲間が犠牲になるのを見たくない。だから戦争を終わらせるためにあなたには私を殺したあと、魔族と人間族の頂点として引っ張っていってほしいの。いつか

お互いで協力して信頼し合える平和な世界にするために。だからお願い私を」

「殺して」

話を聞いた俺は戸惑いながら聞いた。

「なんで俺を信用できる」

彼女は言った

「私は、相手の心が読めるの。だから貴方の考えてる事も理解している。あなたはまっすぐで正義感の塊だわ。しかも、もし私が武力で本気を出したところであなたには絶対勝てないからよ」


[どうしてだ!どうしてこんな自分より小さな子が、こんな顔ができるんだよっ!!]


俺は声を荒げて言った。

「ならっ!今みたいに話し合いを皆んなの前でしよう!そうすれば君が死ぬ必要はないんだ!」

だが彼女は寂しさが残るように微笑んで言った。

「それは無理よ。」


「どうして!」


「もう、女神に契約を交わしたの。」


「.........」


俺は言葉を失った。

そして彼女は言った。

「もっと昔の世代から決断するべきだったのよ。そうしていたらきっと私たちは良い友人だったでしょうに。」

そう彼女が告げた後に現れた

女神だった。












見て下さりありがとうございました。初めてかいてみたので出来は悪いと思いますが、長編にしたいと思っているのでこれからもよろしくお願いします。今後の流れとしてはこの記録が終わったら日本での生活が始まるのですが。逆の異世界転生ハーレムラブコメを展開していこうと思っています。ではまた後で

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

逆転生勇者〜やっとの思いで魔王倒したら別世界の一般人に転生したんだが。 五月雨ユーゲツ @samidare02

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ