第3話 久々の来客

 6月3日の午前11時。

 玄関のブザーが鳴った。

 メイリープが慌てて玄関に立った。


「メイドのメイリープです。旦那様に御用ですか?」

「あぁ、そうさ! ミスター・トオルは居るか?」


 徹の居るリビングから玄関までは一直線の間取りだ。

 リビングから徹が声を張る。


「ロシェットが来たならリビングまで通しなさい‼」

「かしこまりました‼」


 メイリープがロシェットに体ごと振り向く。


「ミスター・ロシェット、私についてきてください」

「ありがとな♪」


 ダボダボサイズのパステルカラーのブルーのパーカーを着て、そのパーカーのフードを被りながら、下はダメージジーンズを穿いているロシェットがメイリープの後をついて来る。廊下をまっすぐ進んだ先のリビングに着くと、徹は命令した。


「ご苦労、メイリープ。下がって良いぞ」

「失礼します」


 メイリープはメイド室へ入った。



「どうした、ロシェット?」

「お前、学者なんだろう? だったら、ピザ屋と手を組んでピザが作れるアンドロイドを開発したらどうだ?」

「ピザ屋は拒否するだろうな。おそらく無理だ。話はそれだけか?」

「まだ聞きたいことがある。お前、女のアンドロイドを抱いたことはあるか?」

「機械を抱いたことはない。今日はつまらない話ばかりだな。帰れ」

「ピザ屋の話はつまらなくないと思うけどな~‼」

「さっさと帰りたまえ」

「わかったよ」

「メイリープ‼ お客様を玄関の外までお見送りしろ‼」


 すぐにメイド室からメイリープが出てきた。


「お任せください、ミスター・トオル‼ ――ミスター・ロシェット、玄関口までお見送りします」

「わかった、わかった。そうしてくれ」


 ロシェットが帰ってから内鍵をかけると、メイリープはリビングに戻って来た。


「お見送りしてまいりました」

「よくやった。疲れただろう、メイド室で休んでなさい」

「ありがとうございます。失礼します」


 メイリープはメイド室へ入ると自分で自分を充電し始めた。



 それから2時間後は、売れない週刊誌の記者がインタビューに来たり、テレビ出演のオファーが来たが、すべて徹は断った。


 夜になると徹はフランシスに留守番を任せ、メイリープと一緒に階下へ降りてバーに入った。

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異世界で2代目メイドを開発した僕の快適なライフログ closet @medy7373

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