第6話:親の反対 ③
彼は何かワケありの事情があると思い、「分かりました。また、遊びましょう」と言って電話を終え、人混みを人が少ない方に歩き始めた。
実は、今日は遠出することになっていたため、優依と芽依を同級生の麻友美と由美に頼んでいたが、わずか3時間でお迎えに行くことになるのは心苦しいと思っていた。
そして、由希子から改めて連絡をもらい、由希子のアパートの最寄り駅まで行き、そこから由希子の車で地元に向かっていた。
その道中で由希子が「この前はごめんね。うちの親と揉めて、説得するのに時間がかかったのよ」とその時断った理由を教えてくれた。
実は由希子は半年前に彼氏が交通事故に遭い、彼が「こんな状態になってしまったし、これ以上由希子に迷惑をかけたくないから別れよう」と彼から別れを告げられたことで2ヶ月前に結婚を前提に付き合っていることを両親に報告したにもかかわらず、別れてしまった事に対して父親が「お前みたいなやつはうちに帰ってくるな!もし、帰ってくるなら勘当するぞ!」と言ってきたことで一旦帰省をやめて、母親を介して話し合っていたという。
そして、そのトラブルから2週間後に和解し、今日の帰省になったのだ。
3時間後、彼女の地元に着いた。
この時、竜典は「こんなに空気がおいしいのですね」と生まれた時から都会の空気を吸っていた彼にとっては地方の空気はとても新鮮な空気だった。
その後、彼女の実家に行くと彼女が帰省してくると知っていたのか、親戚が集まっていたが、父親の姿は見当たらなかった。
家に入るとお母さんが「由希子お帰り。でも、お父さんあんたに会いたくないってさ」と父親がいない理由を知った。
庭に出てみると、確かに、いつも大切に車庫にしまってある父親が3年前に買った高級車が見当たらない。
由希子はお母さんに「お父さんどこに行ったの?」と聞くと「さぁ?あなたが着く頃突然出ていったから行き先聞くのを忘れた。」というのだ。
そして、その夜は親戚の方々が集まって、バーベキューや花火などかなり優雅な時間を過ごすことになり、彼はあらかじめ彼女の家の近くにあるホテルを予約して、泊まったが、竜典はある事が気になった。
それは、“由希子に妹がいて、その妹が自分をじっと見て、何かを訴えていた”事だった。
実は愛優と付き合っていたときもあれほどまでに見つめられたことはないし、以前に付き合っていた彼女も中学生という事もあってここまでしてこなかった。
翌日、再び由希子の家に向かい、彼女の家族や友人たちと雑談をしながら過ごし、午後に家を出た。
家を出てから少し経ったときに由希子に電話が来た。
電話に出てみると、相手は由希子の妹の恭子だった。
由希子が「恭子どうしたの?」というと恭子が「お姉ちゃん、私も大学は都心に行きたいから後で連れて行って」というのだ。
この時、由希子は恭子が何を言っているのか分からなかった。
3時間後、彼のアパートの最寄り駅に降ろしてもらい、そのまま歩いて帰ろうとしたときに由希子から「ねぇ、また遊びに行こう。今度は私の友達や彼氏も連れて」と言われたことで竜典は笑顔で「分かりました!またお願いします!」と言って彼女が颯爽と車に乗って去って行った。
空と笑ってごらん NOTTI @masa_notti
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