第225話 大安の日に…💕〜私達の幸せな結婚〜《ストーカー視点》
結婚式場 kahdeksan(カハデクサン)にて
今日式を挙げる予定のとある新婦の控室前にてー。
《菱山健(40話、41話 芽衣子のストーカーとして登場)視点》
俺は
185cmの長身に端正な顔立ちという美貌を生かして、メディアでも大活躍中の若手俳優だ。
当然女性にモテモテの人生を歩んでいるこの僕だが、意外にも身持ちは固く、中学の時に出会った初恋の女性を一途に想い続けている。
その女性の名は氷川芽衣子さん。
ミューズのような美貌と鬼神のごとき強さも魅力の彼女は、僕に何度も愛の蹴りをくれたものだった。
高校に一度会った彼女は、矢口京太郎という、風貌は凡庸ながら、(彼女の趣味である)嘘コク対応に関して優れた実力を持つ男と一緒にいた。
彼女は、未熟者の僕に修行が足りない事を諭し、いつの日か僕が嘘コクマスターになった時再会する事を誓い合ったのだった。
→※菱○さんは完全な主観により、過去を語っています。
そして、日夜修行に励み、嘘コク対応の実力を身に付けた俺の元に、
彼女と矢口京太郎が結婚するという知らせが届いたのだった。
これは、きっと『修行の成果を見せ、その嘘コクを暴き、私を式場から攫ってほしい』という彼女から僕へのメッセージに違いない。
俺はあらゆる情報網を使って、式場や、時間を調べ上げ、彼女の待つ控室へ向かったのだった。
→※菱○さんの行為は、完全にストーカーです。絶対に真似しないで下さい。
「ふふっ。俺のマイエンジェル。今こそ卒業の時。
世界一美しい姿の君を攫ってあげるからね?」
白いタキシードに身を包んだ僕は、ウェディングドレス姿の彼女を思い浮かべ、ニヤリと笑みを浮かべた。
まだ時間が幸いせいか、控室の近くに人影はなかった。
今の内だ。
「……!……!!」
「……!」
!?
俺が控室のドアに近付いた時、中で何やら怒鳴っているような声がした。
どうしたんだろう?氷川さん、僕が来ないか不安になっているんだろうか?
耳をドアの近くにつけて、中の様子を窺うと、氷川さんとスタッフが何やら揉めているようだった。
「新婦様っ!!ドレスが汚れてしまいます!!お願いからここでお待ち下さいっ!!
新郎様はすぐこちらに来て下さいますからっ!!」
「でも、私、心配でっ!!世界一カッコイイ姿の旦那様を攫おうとする嘘コク女子がいるかもしれませんっ!! 」
「いえ、あちらにもスタッフがおりますから、大丈夫ですって!!新郎様もこんなお綺麗な新婦様を置いて行くような事なさらないですよっ!!」
「分かりませんっ!!旦那様の好みドストライクの嘘コクTheBirthとか、9人目がいるかもしれませんっ!!少しお顔を見るだけですから許して下さいっ!!」
おおっ!なんてことだ!氷川さんは真の旦那様である俺が他の女子に惑わされて来れないんじゃないかと心配していたのか。
可哀想に…。今すぐ迎えに行ってあげなければ…!
「ああっ!!新婦様ぁっ!!お待ち下さいっっ!!!」
ガチャッ!!
!!
突然控室のドアが開き、純白のウェディングドレス姿の氷川さんが姿を現した。
おおっ。僕のミューズ!!何て愛らしい姿なんだっ!!
「心配しないで、氷川さんっ!君の真の旦那様=俺と逃げ…」
俺が言いかけた時、彼女がドレスの裾をたくし上げあげて蹴り上げるようにこちらに向かって来た。
ドッゴオッ!!!
「へぶしっ!!」
彼女の一蹴りで俺は天井近くまで体を跳ね上げられた。
「新婦様ぁっ!!」
「止めないでスタッフのお姉さん、ごめんなさいっ!!京ちゃん。今会いに行きますっっ!!」
ドサッ!! ドスドスッ!!
「グボッ!!グフグフッ!!」
床に叩きつけられ、うつ伏せに倒れた俺に更なる苦難が降り掛かる。
床に倒れた俺に気付かず、誰かがハイヒールで俺を踏み付けたのだ。
かかと部分が腰に刺さって痛いなんてものじゃない。
「た、頼むど、どいて…。」
僕は懇願するも、更に背中に衝撃が走った。
ドカドカッッ!!
「グギャッ!」
「めーこっ!!」
「きょ…京ちゃんっ!!」
もう一人背中に乗って来た誰かに、俺は革靴で踏み付けられた。
ん?今の声、女性の方は氷川さん?という事は、男性の方は矢口京太郎か?
「ひ、ひか…!や、やぐ…!」
氷川さんが乗られるのは光栄だが、矢口に乗られる筋合いはないぞ!降りろよ!!
抗議しようとしたが、痛すぎて声が出なかった。
更に二人は、俺の体の上でイチャイチャなやり取りをし始めた。
「めーこ、スタッフの人困らせちゃダメだろ?俺はここにいるから、心配するなって。」
「よ、よかったぁ。昨日、京ちゃんを狙う女の子に京ちゃんが連れて行かれる夢見ちゃって、お顔見るまでは不安だったの。」
「何言ってんだよ。俺はそんなモテないって。めーこならあり得るかもしれないけど…。」
「そんなワケないじゃない。ふふっ。もし、そんな人がいようものなら、私、右足で蹴り倒しちゃうよ。」
→※既に蹴り倒し済みとは知らない。
「それなら両方共安心だな?めーこ、なんだか、幸せ過ぎて、現実感がないよ。まるで地面についていないみたい足元がフワフワする。」
「私もそんな感じがするよ。京ちゃん💕」
→※(菱○さんを踏み付けているので、)本当に地面に足がついていないとは知らない。
ドスドスッ!
ドカドカッ!
「グゲボェッ!!」
足を踏み鳴らして寄り添っているらしい二人の愛を誓う二人の声が響いた。
「反嘘コク同盟に誓って、もう離さないよ。めーこ。」
「反嘘コク同盟に誓って、もう離さないで。京ちゃん。」
反嘘コク同盟って何だ…??
氷川さんの好きなものは嘘コクじゃなかったのか?
何がどうな…って…。
チュッ💕
薄れゆく意識の中、俺の体の上で湿ったリップ音が鳴り響いた。
「着付けしてる母さんとおばさんも、もうすぐ来るだろうし、それまでめーこの控室にいるな?」
「ありがと。京ちゃん。クゥンクゥン!♡♡」
「あらあら。本当に仲の良いご夫婦ですねぇ。では、新郎様も新婦様の控室でお待ち下さい。」
ようやく二人が俺の体から降り、スタッフと共にイチャイチャ遠ざかっていく頃には俺の意識は既になく、別のスタッフに声をかけられ大騒ぎになっていた事も全く記憶になかった。
「きゃあっ!!お客様!?ご体調でも悪いんですか?大丈夫ですか?ちょっと、誰か来てーっっ!!」
*あとがき*
読んで頂きまして、フォローや、応援、評価下さって本当にありがとうございます
m(_ _)m
芽衣子ちゃん&京太郎くん 結婚式の話が長くなり過ぎまして、一回、菱○さん視点で切ります。
次回、京太郎くん&芽衣子ちゃん視点になります。8千字程ありますので、お時間ある時に読んで下さると嬉しいです。
今後ともどうかよろしくお願いします。
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