第221話 おまけ話 恐怖☠スイッチのない部屋
166話「双子の詩」にて、
読書同好会メンバーの小倉紅、小倉碧にどんな作品を作ったのかを聞かれ、キックボクシングの様子を短歌にして、大不評だったため、「血生臭いから…」と見せるのを躊躇う芽衣子。
紅と碧に不思議顔で、
「ホラーな詩でも書いているの??」
と聞かれたのだが…。
「いえ、そうではないのですが…。
…!!💡 でも、ホラーな作品も試してみてもいいかもしれませんね。」
頭をさすり、一瞬気まずそうな顔をしたが、双子の発言に、何か思い付いた様子の芽衣子。
「え…?||||」
「へ〜…ホラーかぁ…!(芽衣子ちゃん、感性が独特だから、面白い作品作りそうだなぁ…。
あれ?でも芽衣子ちゃん、以前怖いのダメっていってなかったっけ?もう平気になったのかな?)」
怖い系の苦手な上月は青褪め、京太郎は興味津々ながら、少し疑問も感じていた。
「なんか、すっごいインスピレーションが湧いてきましたっ!!」
恐ろしい勢いでノートに文章を書きつける芽衣子。
「おおっ!氷川さんすごいですっっ!!✨✨」
「おおっ!思わぬ才能が開花したんでしょうかぁっ?✨✨」
盛り上がる紅と碧。
「ホラーな詩はちょっと難しかったので、、短編を書いてみました。
それでは皆さん、聞いて下さい…。
『スイッチのない部屋』です…。」
「「わあっ。待ってました〜!!」」
「芽衣子ちゃん頑張れ〜!」
「っ〰〰〰〰!!」
若干青褪めて、ワクワクする紅と碧、応援する京太郎、怖くて涙目になる上月。
「あれは、ちょうど二年前…。仮にHさんとしましょうか。彼女が家族と共に引っ越した時に実際にあったお話です…。
引っ越し当日…。引っ越し業者の人に荷物を新しい家に運び込んでもらい、大型の家具を配置までしてもらった時、彼女は妙な事に気付いたんです…。
一部屋だけ、壁のどこにも照明を点けるスイッチがないのです。
不思議に思いながらも、Hさんは、照明器具の紐で点灯消灯をする事にしました。そして新生活にも慣れた頃…。異変は起こりました!!」
「「「…!!(おおっ。なんか怪談らしくなってきた!)」」」
「ひぐっ。(いやあぁっ!)」
稲川淳○風に語る芽衣子に、期待が高まる紅、碧、京太郎。恐怖に早くも泣き出す上月。
「照明器具の紐を引いても、照明が点かなくなってしまったのです。
電球を取り替えても、同じ事でした。
そこで、Hさんは、照明を修理する為、事情を説明して、業者の人を呼ぶことにしたのですが…。
修理業者の人は、その部屋に入るなり、顔色を変えて汗を流し出しました。
そして、棚が置かれた壁の辺りを指差して、Hさんに、こう言ったのです…!
「お、奥さん…!あそこに…!!」」
「「「…!!! ||||」」」
「きゃあああーっ!!||||」
背中がゾワッとする読書同好会メンバー。
「「スイッチあるじゃないですかっ💢」って…。」
「「「「へっ?」」」」
芽衣子の言葉にポカンと口を開ける読書同好会メンバー。
「どうやら、最初に引っ越し業者の人に棚を配置してもらった時に、照明のスイッチをほとんど隠すように置いてしまったらしく、スイッチが見つからなかったみたいなんですね。
修理業者の人が棚と壁の僅かな隙間に手を伸ばし、スイッチを点けると、難なく明かりが点きました。
Hさんが平謝りする中、修理業者の人は苦笑いして帰って行きましたとさ。
ホラー短編「スイッチのない部屋」でした。皆さんどうでした?」
ドヤ顔する芽衣子に、微妙な顔の読書同好会メンバー。
「うーん…。面白かったような気がするけど…??」
「これ…ホラーですかぁ?」
「全然ホラーじゃないわよっ…!ただのうっかりな奥さんの話じゃない。こ、怖くなんてなかったんだからねっ?」
「小話としては、よかったんじゃないか?
それにしても、照明器具の紐を使っていたなら、何で急に照明がつかなくなったんだろう?」
疑問に思って首を捻る京太郎に、にこやかに答える芽衣子。
「あっ。それはですね、家族の中でただ一人、静くんだけはそのスイッチの存在に気付いて、そっちで照明を操作してスイッチをオフにしていた状態だったみたいで…」
「ん?静くん??もしかして、コレ、芽衣子ちゃんのお家の話??」
思わず義弟の名前を漏らしてしまい、京太郎に指摘され、顔を赤らめる芽衣子。
「あ…。///バレましたか…。エヘヘ。そうです。Hさん=氷川麻衣子、ウチのお母さんのお話です。
キッチンの棚の位置を少しずらすだけで、スイッチと照明の問題は解決しましたが、
いやぁ、私もスイッチの存在に全く気付いていなかったので、お母さんから後で話を聞いてビックリしました。」
「はは…。あのキッチンの照明の話だったのか…。」
京太郎がこの前取り替えたばかりのあの照明には、過去、そんなエピソードがあったのかと苦笑いを浮かべる京太郎。
「うーん。実話なら、作品と言えるのか…。」
「言えないのか…。」
「いや、言えないでしょう!」
顔を見合わせて疑問を問いかける紅と碧に、
断定する上月。
「で、ですよね〜?あ、ホラーの作品、もう一つ作ってあるんです。今度はちゃんと私が制作したものです。その名も、「☠シープ・オブ・メリーさん☠」」
「「「「☠シープ・オブ・メリーさん☠…!!」」」」
読書同好会メンバーで芽衣子の作品のタイトルを神妙な顔で復唱するも…、皆次の瞬間首を傾げる。
(ん?シープ??🐑)
京太郎は、タラリと汗を垂らして心配げに芽衣子を見遣る。
(もしかして、芽衣子ちゃん激しく何かを勘違いしてないか?)
*
「もしもし。私メリーさん。メエェリさんのひつじぃ〜☠ひつじいぃい〜☠」
「やっぱり…。」
芽衣子のホラー(?)作品を聴きながら、ため息をつく京太郎だった。
*
「今のは、なかなか怖かったですよ?」
「氷川さんの音程を無視した独特の歌い方が、ホラーぽかったです。」
作品を発表し終わり、紅と碧がそう言って頷き合い、上月は気分悪そうに口元を押さえる。
「うう…。あの歌、夢に出て来そう…||||
氷川さんの読み方は確かに怖かったけど、文章として黙読した時にその怖さが伝わらないんじゃ、やっぱりホラー作品とはいえないんじゃないかしら?」
「そうですかぁ…。本当に怖いものは、私も苦手だし、やっぱりホラーは向いてないかなぁ。
でしたら、私はさっき紅先輩、碧先輩が発表されたような素敵な詩を書いてみたいです。」
ホラーに適性がないと分かり、がっかりしながらも、次の目標を決める芽衣子。
「そういう事なら、この紅先輩に何でも聞いて下さい❤」
「碧先輩も作品完成したら、さし絵とか協力しますよ💙」
「❤!💙!ありがとうございます✨✨」
「芽衣子ちゃん、よかったね。」
「紅さん、碧さんがついててくれるなら安心ね。」
紅、碧の協力を得て、167話に続くのであった…。
*あとがき*
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読者様に、読んでよかったと思って頂ける作品であれたら嬉しいです。
今後ともどうかよろしくお願いします。
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