第214話 これからの私達

《京太郎視点》


キスシーンを馬に目撃され、動揺していた俺とめーこだったが…。


「お、お、お母さん…。///プロジェクトAはもういの。今までありがとう…!

プロジェクトBに移行して、その後、頃合いを見計らって更にプロジェクトCへお願いします!!」


「…!!!わかったわ!ついにこの時が来たのね?」

「「??」」


めーこが、何かプロジェクトとか分からないない事を言うと、

馬…多分芽衣子ちゃんママ=めーこのお母さんは、ブルブルッと身震いすると、首を傾げる俺と静くん(その時、初めて静くんにも見られていた事に気付いた//)の目の前でその馬の頭をゆっくりと取った。


中から現れたのは、昔の記憶そのままに綺麗なめーこのお母さんだった。


「京太郎くん…。久しぶりね?」


「お、おばさん…!ご無沙汰してます…!」


馬としては何度か会い、話をしていたが、

人間としては久々に会うことになるめーこのお母さんに挨拶され、俺は緊張しながら頭を下げた。


「ふぅ…。やっと馬の呪いが解けたか…。」


静くんが腕組みをして、苦笑いしていた。


「ふふっ。王子様の(娘への)キスで呪いが解けるなんて、おとぎ話みたいでロマンチックねぇ…。」


王子様きょうちゃん…♡♡」


微笑みながらそんな事をいうめーこのお母さんに、照れるめーこ。


「え、い、いやぁ…。||||」


俺は照れる振りをして、ガタガタ震えている体を無理矢理押さえた。


リアルおとぎ話、ガチで怖い…!!

心臓止まるかと思った。


芽衣子ちゃんママが馬の顔を被っていた理由は、恐らくめーこのお母さんだとバレない為だったのだろうとこの時になって、初めて分かったのだが…。


めーこも、おばさんも、もっと他の方法考えつかなかったのか?と俺は突っ込みたい気持ちでいっぱいだった。


         *

         *


それから、俺はキスを見られてしまった事もあり、おばさんと静くんの前で、めーことの交際を宣言する事になった。


反嘘コク同盟という、またよく分からない肩書きを作ってしまったものの、内容は付き合う事とほぼ変わりないのだ。


めーこも、照れながら、嬉しそうに交際を報告してくれた。(ついでに、とんでもない事を暴露もしてくれたが…。)


おばさんは、涙ながらに俺達の仲を認めてくれ、静くんは何故かすごく俺の心配をしてくれていたが、一応認めてはくれたみたいだった。


それから、俺とおばさんとめーこは、小さい頃の色んな話をした。

母とおばさんの電話の内容から、俺がめーこの事と、京介おじさんの事を知ったと聞いて、「不用意な会話をしてしまって申し訳なかったわ。」と、おばさんに何度も謝られてしまった。


問題のめーこの留学の事だが、おばさんが鷹月史師匠から話を聞いた時、もう少し話し合ってみたいので、保留にさせて欲しいと願い出てくれたらしい。


めーこはもう一度よく考えてから鷹月師匠に返事をするとおばさんに伝えた。


大体話が一段落したところへ、めーこに俺に見せたいものがあると言われ、その場を辞して、めーこの部屋に移動する事になった。


「はっ!(壁に貼ってあるポスター=京ちゃんと一緒に撮ったプリクラの写真を大きく引き伸ばしたもの、見られたら引かれちゃうかな?)え、えっと、少し準備があるので、ちょっとここで待ってて下さいね?」


部屋に入る直前、めーこに慌てたように言われ、先に部屋に入り、めーこが何やらガサゴソ片付けをやっているらしい音を聞きながら、廊下で待つ事になった。


先週の週末に芽衣子ちゃん(めーこ)を家に呼んだ時は、いつもは汚くしてた自分の部屋、随分片付けたし、見せたらマズイもの全部棚の奥に見えないように隠したよな。


女の子も、異性に見せたくないものとか、あるんだろうかと俺は少しドキドキしながら待っていると、程なくして、部屋のドアが開かれた。


「ふうっ…。お待たせしました。京ちゃん、どうぞ入って、入って?」


片付けが大変だったのか、頬を紅潮させ、息を切らせためーこが、部屋の中に俺を招き入れてくれた。


ここには何度か訪れた事があるが、以前と変わらず、女の子らしい可愛い家具や小物が配置されていて、甘い香りが漂よっていた。


「どうぞ、座って座って?」


ローテーブルの近くの床にピンクのクッションが2つ並んでる辺りに座るように勧められた。


「あ、ありがとう…。」

「で、では、私も失礼して…。」


俺はクッションの上に座ると、めーこもその隣に座ったが、かなり距離が近い。


身動きすると肩が触れ合うほどの近さから漂ってくるめーこの甘い匂いに、カチンと固まっていると…。


「エヘヘ。京ちゃん、これ、覚えてるかな?


めーこは恥ずかしそうに笑ってローテーブルの上にあるものを指差した。

俺はそれら=古びたカードをマジマジと見つめた。


「ん?これって…、あっ!ドラゴンマスクのカード!?もしかして最後の日に俺があげた奴?」


思わず俺はそのカードを手に取った。


小学生の時俺は「ドラゴンマスク」というテレビ番組が大好きで、めーことよく見ていたっけ。


ガチャで引き当てた「ドラゴンマスク」のレアカードをめーこと別れる時にあげた覚えがある。


「京ちゃん…!覚えててくれたんだね?」


嬉しそうに頬を綻ばせるめーこに俺は、頷いた。


「ああ…。めーこ、ずっと持っててくれたのか…。」


「うん。私の宝物だったんだよ?」


「めーこ…!」


女の子に最後にあげるプレゼントが、ヒーロー番組のカードとか気が利かないにも程があるが、めーこはそれを今まで大事に持っててくれたんだな…。


ふんわり花のような笑顔を浮かべるめーこに胸がじんと熱くなった。


「俺の家にも、夏祭りにめーこからもらった銃のおもちゃ、まだ家にあるよ?」


小さいのおもちゃは大概捨てたけど、あれだけは捨てられずに残していたのだった。


「本当?嬉しい!」


めーこは顔を輝かせた。


「私が京ちゃんをいつも大事に思っていたように、京ちゃんの中にも、私がいて、大事に思ってくれていたんだね…。」


「そうだよ?ずっとめーこの事を大事に思っていた。めーこがいなくなって、すごく、すごく寂しかった。」


「京ちゃん…。」


めーこが俺をウルウルした目で見上げていた。


「ワガママだけど、俺はもうめーこにどこも行って欲しくない。

でも、めーこがどうしても、キックボクシングをやりたくて留学をしたいと言うなら…。」


キックボクシングの達人である筈のトラ男をサンドバッグにし、海外の試合で優勝経験のある姉弟子の南さんをも圧倒するほど、破格の強さを持つめーこは、素人目に見ても才能に溢れている。


めーこが本当にその才能を伸ばしたいと願うなら、俺にそれを止める権利などあるのだろうか…。


そういう迷いがありながらめーこの様子を窺うと、彼女は切なそうな嬉しそうな笑顔を浮かべていた。


「京ちゃん、嬉しい…。私も、もう京ちゃんと離れたくない。ずっとここにいたいよ。

けど、いいのかな…?

私の取り柄といったら少し右足が強いくらいで、他に身を立てる方法が思いつかないんだよね。

経済的にも京ちゃんを幸せにしてあげるには、辛いけれど、T国で修行してプロになるまで待っててもらうのも一つの道かとも思ったのだけど…。」


「なんだよ、その昭和の少年漫画的な人生設計は…!!」


真剣な表情でそんな事を語るめーこに、俺は思わず突っ込んだ。


「俺の事を想ってくれるのは嬉しいけど、

俺だって、将来ちゃんと就職するつもりだし、自分と家族の食い扶持ぐらいは自分で稼げるように頑張るよ。めーこがどうしてもキックボクシングのプロになりたいんでなかったら、そこまでしてくれなくていいよ。」


「そ、そうなの…?」


めーこは、大きな目をパチパチさせ俺を見詰めている。


「あ、ああ…。そう…だよ…?///」


思わず真剣に将来を語ってしまったが…。

今の、お互いに将来もずっと一緒にいる事を前提に話をしていたような気がして、顔が熱くなった。


「今日の京ちゃん、とっても男らしくて頼りになるんだね…。///」


めーこはポっと染めた頬に片手を当てた。


「分かった。師匠には、留学の件断るね?

振り回してしまって申し訳なかったな…。明日謝りに行こう。」


「ごめんな…。俺が、めーこを誤解させるような事をしてしまったから…。

鷹月師匠には俺も一緒に謝りに行くよ。」


めーこが留学の件を断わると言ってくれて、心底ホッとしたけど、ぬか喜びをさせてしまったであろう鷹月師匠には俺も申し訳なく思って、そう申し出た。


「いやいや、そんな。京ちゃんのせいじゃないのに!」


否定するめーこに、俺も首を振った。


「いや。めーこの事は俺の責任でもあるよ。

今まで、たくさん失敗してしまったけど、

これからは、大事な事は二人で相談して決めて、二人で責任を取ることにしたいんだ…?

だめ…かな…。」


「二人で相談して、決めて、二人で責任を…。

分かったよ。京ちゃん。明日、一緒に鷹月師匠のところに謝りに行こう。」


めーこは、俺の手をギュッと握り、信頼の瞳を向けて来た。


「私、これからは一人で抱え込まないで、京ちゃんに何でも相談するようにするね?」

「うん。俺もそうするよ…。本当に今まで、ごめんな…。」


大事な事を相談しなかった為に、彼女を失いかけた恐怖と絶望を思うと今でも背筋が凍る。


彼女に心から詫び、もう二度と同じ過ちを繰り返さないと強く決意した。


トスッ。スリスリ…。


「京ちゃぁん…。」

「!!め、めーこ…。//」


甘えるように俺の胸に頭をもたせかけて頬をすり寄せてくるめーこの頭を撫でようとすると手を伸ばした途端…。


チャラリ〜♪チャラリラリ〜♪


「「?!」」


絶妙のタイミングで俺のスマホの着信音が鳴った。


「ご、ごめん。めーこ…。」

「う、ううん…。」


俺達は脱力しながら、スマホの画面を覗き込むと…。


そこには、上月の名前…ではなく、「秋川栗珠」の着信が表示されていた。


「「秋川(先輩)?!」」


俺達は驚いて顔を見合わせた。


「何の用だろう?出てみてもいいか…?」

「う、うん…。」



「はい。矢口だけど…。」

「く、組長様ぁっ…。この度は、大変申し訳ありませんでしたぁっ…。許して頂きたいなどとは…とても言えませんっ…。」


めーこに聞こえるよう、スピーカーをONにして電話に出ると、息も絶え絶えな秋川の切声が、聞こえた。


「あ?いきなりなんだ?」


隣のめーこがこそっと説明してくれた。


「ホラ、京ちゃん。以前、秋川先輩が上月先輩に嘘コク女子達の余計な情報を教えて動揺させてしまった事があったかもしれないと伝えていたでしょ?」

「ああ…。」


そう言えば、小説対決が決まった日に、芽衣子ちゃん(めーこ)から秋川が上月に余計な事を言っていたらしいと聞いていたな…。


おそらく、付き合って二日目の午後、上月の態度がおかしかったのは、そのせいだったのかと思い当たったが、小説対決前の上月に作品作りの集中を欠くような事は伝えられず、

腹立たしくは思いながらも、秋川の処遇については、保留になっていたのだが、色々あり過ぎて忘れていた。


「ううっ…、この栗珠、ど、どんな罰でも受ける覚悟では…ありましたが…、どうか姉御様の呪いの歌の刑だけは…止めて頂けませんでしょうか…?」


「??呪いの歌!?」


俺が怪訝な顔で、めーこを見ると、彼女はふるふると頭を振った。


「いや、呪いの歌なんて知らないよ?ただ、私は、繋ぎの罰として、秋川先輩にメリーさんの怪談を聞かせただけ。」

「ああ…メエェリさんのひつじぃ〜☠の奴か。」

「ひいぃっ!!呪いの歌ぁっ。||||||||」


芽衣子ちゃん(めーこ)の説明で小説対決前に作ってたオリジナル怪談を秋川に聞かせたのは分かったが、さわりを歌っただけで、秋川は悲鳴を上げ、震えているのかガタガタと振動が伝わって来た。


「姉御様の破壊的な歌が頭から離れなくて…。

きっと呪いの歌に違いありません。

夜もよく眠れず…、怖くてトイレにも行けず…。お恥ずかしい話、一週間連続でおねしょをしてしまい、今や、布団に二重におねしょパッドを取り付けられ、祖母からは紙オムツを贈られる有り様です…っ。ううっ…。

姉御様に何度もご連絡をしたのですが、繋がらずっっ。

私めにこんな事を、組長様にお願い申し上げる資格はないのですが、他の罰なら何でも受けますから、姉御様に呪いを解除をするよう、とりなしては頂けないでしょうか?」


「「いや、そう言われても…。」」


涙ながらに訴えかけてくる秋川に、俺もめーこも、当惑するばかりだった。


おそらく、芽衣子ちゃん(めーこ)がその時限り、怖がらせるためにした怪談の中の歌があまりにも破壊的に下手だった為、秋川の中で、呪いの歌として印象付けられ、恐怖が膨らみ、一週間おねしょをするという思ったより重い罰になってしまったのだろうと推測された…。


やれやれ、仕方ない…。秋川の自業自得とはいえ、このまま、おねしょをし続けるのを放っておくのも、なんだしな…。

めーこの名誉の為にも説明してやる事にした。


「いや、呪いなんてかけてないから!そもそもあの話は、めーこ…芽衣子ちゃんがあまりに歌が下手な為、独特の節回しで怖く聞こえるだけで怪談ですらないから!」


「がぁんっ!京ちゃんっ?!||||」


めーこはショックを受けて、涙目になった。


あ。やべ。歌が下手だって、ハッキリ言っちゃった。


「ええっ。そ、そうだったんですか?」


驚きの声を上げる秋川に、頷いた。


「あ、ああ。全てはお前の勘違いによるものだから、勝手にトイレにでもなんでも行ってくれ。


上月にやった事は許せないが、今更、罪を償ってもらう為にお前と関わりたいなんて思わないし、多分上月もそうだろうと思う。


これに懲りたら、二度と人を陥れたり、傷付けたりするような事をするなよ?」


「は、はいっ。お言葉、肝に命じます。本当に申し訳ありませんでした。」


スマホからガバッとその場に平伏するような音がして、反省したらしいのはよかったのだが、再びガバッと起き上がる気配がして…。


「はっ。姉御様、歌があんまり得意でないという事でしたら、今までのお詫びに私が教えて差し上げましょうか?


私、最近、カラオケで上達しまして…。」


「いや、調子に乗んな?」


ブツッと電話を切ってやった。


「秋川先輩相変わらずだね…。」

「だな…。」


めーこと俺は苦笑いするしかなかった。


「あ。ホントだ。秋川先輩から着信来てた…。マキちゃんからも京ちゃんが来る事を知らせてくれるメールが来てる…。ごめん。京ちゃん。心配かけてしまったみたいだから、少し返信していいかな…?」

「うん。いーよ?」


めーこはスマホを確認して、すまなそうな顔を向けて来たので、俺はもちろんOKした。


「えーと…。『ご心配かけて、ごめんなさい…。』」


隣で難しい顔をしてメールの文面を打っているめーこを見ながら、俺はとても満ち足りた気持ちになっていた。


よかった…。「めーこ」を「芽衣子ちゃん」を取り戻す事が出来て…。


正直、俺の中で、まだ完全には二人を統合できていないのだが、

隣にがいてくれる。ただ、それだけで、俺は失った世界を取り戻す事が出来たような気がしていたんだ。


安心したら、急に強烈な眠気に襲われ、体に力が入らなくなって来た。


「……っ。……。」

「めーこ…。芽衣子…ちゃん…。」


めーこが何か言っていた気がするが、俺は聞き取れないまま、俺は彼女の名を呟くと、何かフワフワと柔らかなものに抱き止められて、意識が遠くなっていくのを感じていた。



❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇



《芽衣子視点》


秋川先輩からの電話の後、私はスマホの着信を見ると、秋川さんからの電話の他、更に何人も私を心配してメールをくれているのに気付いた。


せっかく隣に京ちゃんが隣にいてくれている時に申し訳なかったけれど、少し待っててもらうようお願いして、返信させてもらう事にした。



「えーと…。『心配かけて、ごめんなさい…。落ち込んだりもしたけど、私は元気です…。』」


う〜ん。なんか、ジブ○作品のような文面になっちゃった。


京ちゃんとの関係をどんな風に説明したらいいんだろう?


嘘コクの次は反嘘コク同盟とか、マキちゃんには呆れられちゃうかもしれないな…。


「ん?京ちゃん…?」


悩んでいると、隣に座っている京ちゃんの体がフラッと傾いだのを横目に見て、問いかけると…。


グラッ…。ポッスン! 


「ひゃああっ!京ちゃん?!!///」


急に京ちゃんが倒れ込んで来て、そのお顔が私の胸に突っ込んで来た。


「めーこ…。芽衣子…ちゃん…。」

「あんっ…♡んっ…♡」


更に京ちゃんが、私の胸に頬を擦り寄せて来たので、くすぐったさに私は思わず変な声を上げてしまった。


京ちゃん、嬉しいけど、いきなり大胆過ぎる…!!//


「あ、あのっ!京ちゃんっ!待って!!

嫌じゃないけどっ、嬉しいけどっ!


今は静くんもお母さんもいるし、汗かいてるし…。

そ、それに、今日は下着普通の白のシンプルな奴で可愛くないし…。

プロジェクトBより先は、日を改めて、また今度に…!!」


京ちゃんに押し倒されて、パニックになり、手足をワタワタさせて必死に主張した私だったけど…。


「ぐーっ。すぴぴー。くかー。」

「あれれ…?」


京ちゃんからの返答はなく、代わりに安らかな寝息が聞こえて来た。


「あ、あはは…。そう言えば、京ちゃん、ここ何日かあまり寝れてなかったもんね…。」


早とちりしてしまった私は、頭を掻きながら、苦笑いをした。


「……。…めん。芽衣子…。」


京ちゃんが寝言で何か言っている。


ん?「めーこ」でもなく、「芽衣子ちゃん」でもなく、「芽衣子」??


「ごめん…。名前…呼んであげらなくてっ…。芽衣子…。芽衣子…。」


!!!


以前、「芽衣子ちゃん」から、「芽衣子」に呼び方を変えて欲しいと京ちゃんにお願いした時の事を思い出した。


あの時は、京ちゃん、すぐには呼び方を変えるのは無理と言っていたけど…。


「気にしてくれてたんだね…。」


私は胸の奥がじんわり温まるのを感じた。


「そんなに焦らなくていいんだよ?京ちゃん…。私達にはたっぷり時間があるんだから、これからいっぱい私の名前を呼んでね…?」


私はあなたの「めーこ」で、「芽衣子ちゃん」=「芽衣子」で…。


ずっと、ずっと、世界一で一番あなたを大好きな女の子であり続けるんだからね?


「大好きだよ?京ちゃん…。」


京ちゃんの首に手を回して、ギュッと抱きしめ、幸せな気持ちで彼の体温と匂いを感じていた。

ん?なんか、胸の辺りが濡れて来たような…??


「あっ…。//京ちゃんのよだれがっ。どうしよう?下着まで滲みて来ちゃった…!///キャフンッ。ブルブルッ。」


あと、言い忘れてたけど、私、時々、「♀ワンコ」…。


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