第166話 双子の詩
「改めまして、副部長の小倉紅です。氷川さん、よろしくお願いします。」
「小倉碧です。お願いします。」
「氷川芽衣子です。よろしくお願いします。」
紅ちゃん&碧ちゃんと芽衣子ちゃんはにこにこと互いに丁寧なお辞儀をし合っていた。
この三人は、仲良くなれそうな雰囲気で俺はホッと胸を撫で下ろした。
「紅さんは詩を、碧さんはイラストを、それぞれセットでかいているの。
ちょうどさっき、新しい詩を作っていたんじゃなかったかしら?
よかったら、披露してみてくれない?氷川さんにもいい刺激になると思うのだけど…。」
「いいですよぉ?今日はギャラリーが多いから、聞かせがいがありますぅ。」
「よく聞いてて下さいねぇ?」
小柄な二人は、詩の暗証を始めた。
『透き通った宝石の赤』
紅ちゃんが綺麗なソプラノの声を響かせ…。
『澄み切った空の青』
碧ちゃんが全く同じ声でそれに続く。
『近づいていく』
『遠ざかっていく』
『『そっくりな2つの足音がー。』』
『揺れている』
『響いている』
『『そっくりな2つの声がー。』』
『笑っている』
『怒っている』
『『そっくりの2つの顔がー。』』
『『二人木々の緑に混じり合って
溶けていく 今 光の中にー。』』
紅ちゃん、碧ちゃんは、同じ声を綺麗にリエゾンさせて、唱じ終わるとペコリとお辞儀をした。
「素敵な詩でした…!
お二人の声も綺麗にハモっていて感動しました!!」
芽衣子ちゃんは、顔を紅潮させてパチパチと拍手をし、俺と上月も、それに続いて拍手を送った。
「なかなかよかったわ。紅さん、詩の解説をしてくれるかしら?あと、碧さんも、イラストはあるのかしら?」
「「はいっ。」」
上月に、紅ちゃん碧ちゃんが元気よく返事をした。
「碧とケンカした時の事を思い出しながら作りました。最後は、光が差す中庭のベンチで仲直りしたという設定で、さっき、実際に学校の中庭のベンチに行って情景を見ながら書き上げたんです。
赤、青、緑で光の三原色を意識して、最後は緑に囲まれ、二人で光に包まれている様子を光に溶けていくと表現しました。」
紅ちゃんが詩の解説をし終わると、碧ちゃんが、持っていたスケッチブックを広げた。
「詩のイメージをラフ画ですが、こんな感じに描いてみました。」
スケッチブックには、パステルで、
二人全く同じ顔かたちの女の子がすれ違うように交差しているシーンと、緑にあふれ、光指す中庭のベンチに、その女の子が睦まじく寄り添っているシーンが描かれていた。
「「どうでしたかぁ?」」
「イラストも素敵ね。三原色の色がついて、仕上がったものを見るのが楽しみだわ。
詩は言葉に出した響きがいいわね。
最初に相反する対の言葉を連ねて、バラバラなものが、やがて一つにまとまっていく動きも感じられたわ。」
「紅ちゃんは言葉選びが本当に上手だよね。碧ちゃんのイラストも、どんどん上手くなってくし…。二人寄り添っているところなんか、すごくいい感じだと思うよ?」
「「えへへへ…。ありがとうございます!」」
上月と俺の褒め言葉に、紅ちゃんと碧ちゃんは嬉しそうに顔を綻ばせた。
「えーと、えーと、イラスト詩も、雰囲気がぴったり合っていてとっても可愛らしくて、素敵です。」
「「氷川さんも、ありがとう。!」」
芽衣子ちゃんも考え考え言葉にした作品の感想に、紅ちゃん碧ちゃんも満面の笑顔で答える。
「爽やかさや、情緒がある作品って、こういうものなんだなぁと実感しました。私の作品とは全然違います…!」
芽衣子ちゃんの言葉にさっきの殺伐とした短歌を思い出し、上月と俺が苦笑いを浮かべた。
そんな俺達の様子を不思議そうに見遣りながら、紅ちゃん碧ちゃんは、芽衣子ちゃんに興味津々の様だった。
「氷川さんも、詩を書くの?」
「氷川さんの作品も見せて欲しいな?」
「い、いえいえ、私の作品は血なまぐさくて、とてもお二人に披露できるものでは…!!」
「血なまぐさい…??」
「ホラーな詩でも書いているの??」
両手を突き出して、必死に首を振る芽衣子ちゃんを見て、紅ちゃんと碧ちゃんは、真ん丸な目をパチパチと瞬かせた。
*あとがき*
詩については、あまり詳しくなく、作中の詩もど素人が作ったと思って大目に見て頂けると、大変有難いです(T_T)💦
紅ちゃん、碧ちゃんの詩は文学方面に詳しい上月さんが感心するぐらい素晴らしいという設定になっています。
芽衣子ちゃんは、下手なりに頑張って作っている感じでしょうか。
作者自身の国語力がない為、説明が必要になってしまい申し訳ないです💦💦
ご迷惑をおかけしますが、今後もよろしくお願いしますm(__)m💦
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