第157話 おまけ話 白瀬先輩のお宅訪問《メメちゃんとの関係改善ビフォー》
「やあやあ、よく来てくれたな。矢口少年!芽衣子嬢!もう風紀委員の皆は来ているぞ?どうぞ上がってくれ給え!」
「「お邪魔しまーす。」」
風紀委員の臨時委員を務めたお礼に、風紀委員長、白瀬柑菜のお家にお呼ばれした京太郎&芽衣子。
(うわぁ〜。白瀬先輩の家って大きいんだななぁ。)
(庭も広かったし、白瀬先輩ってお嬢様なのかな?)
大きな家を見て、気後れしながら、広い玄関口から中に入る二人。
「白瀬先輩、これ、俺と芽衣子ちゃんからです。よかったらメメちゃんにあげて下さい…。」
「えっ。ありがとう!今日はお礼だからお土産持ってこなくてよいと言ったのに、君達律儀だなぁ。」
京太郎にお土産に柑菜の家の飼い犬、メメ用にカリカリジャーキーを差し出され、柑菜は笑顔で受け取る。
「ウチの犬、ジャーキー大好きなんだよ。あ。メメ…。」
「キャンキャン♡ハッハッハッ。」
お出迎えするように、廊下に白毛の子犬(柴犬♀)がこちらに歩いて来ると柑菜の足元に前足で飛び付き、手に持っているジャーキーに興味津々の様子だった。
「ありゃ。さては、オヤツの気配を感じ取ってこっちへ来たのか?目ざとい奴だなぁ。
もう、分かった分かった!メメ、ジャーキーくれたお兄さんとお姉さんにご挨拶したらなな?“ありがとう”は?」
柑菜がそう言うと…。
メメは、前足同士を合わせて、二本足で立ったまま、京太郎と芽衣子にペコリとお辞儀をするように、頭を下げた。
「おおっ、すごいなぁ!“ありがとう”の挨拶してくれた。」
「うわぁ!可愛い〜♡お利口さんですねぇ!」
京太郎と芽衣子は歓声を上げる。
「メメちゃん、すごいなぁ…。」
尻尾をフリフリやって来たメメの頭を屈みながらヨシヨシと撫でる京太郎。
「クーンクーン♡♡ペロペロペロ…。」
「うわ、メメちゃんやめてよ〜。」
「ハハッ。矢口少年、大分懐かれたなぁ…。」
「ガガ〜ン!!(私もあんなにペロペロした事ないのに…!)」
メメが甘えて京太郎に体を擦り付け顔を舐めまくっている様子を見て、ショックを受ける芽衣子。
「メメ。ホラ、芽衣子嬢だよ?仲良くしてな?」
「キャフン?」
柑菜に声をかけられ、芽衣子の方に振り向くも…。
「メ、メメちゃん…。よ、よろしくお願いします…。」
「キャ、キャフンッ?! ||||||」
般若のような恐ろしいオーラを醸し出す、芽衣子の引き攣った笑顔に怯えるメメ。
「キャフンキャフン!💨💦」
足元へ、急いで逃げ帰るメメに、柑菜は不思議そうに首を傾げる。
「あれれ?メメ、どうした?ワンコ同士仲良くできると思ったんだけどな…。」
「い、いえ、白瀬先輩?私、人間なんですけど…??」
「あ、あはは…。」
驚いて抗議する芽衣子と、苦笑いをする京太郎であった。
*
*
「「「「「「「「「「氷川さん!矢口くん!臨時委員お疲れ様!本当にありがとう!!」」」」」」」」」」
居間では、大山雅、小谷潮、庭木信太他、風紀委員の女子達皆で二人を温かく迎えてくれ、大テーブルの真ん中の二人がけのソファ席に座るよう勧めてくれた。
「お菓子沢山焼いたから、よかったら、食べてね?」
副委員長の雨宮姫華が焼きたてのクッキーやカップケーキ、お茶などを運んで来ながら、声をかけて来る。
「お家の台所お借りしてるけど、委員長には一切手伝ってもらっていないから、安心して食べてちょうだいね?」
「姫華。どういう意味だよ?」
「「ホッ。」」
姫華の言葉に、渋い顔をする柑菜と密かに胸を撫で下ろす潮と雅であった。
*
*
京太郎と芽衣子ににっこり天使のスマイルでお礼を言いに来る庭木信太。
「氷川さん、矢口くん。本当にありがとうね?君達のおかげで、僕、風紀委員にも復帰する勇気が持てたし、何故かクラスでも話してくれる子(主に女子)が増えて、いじめられたり、パシリにされたりしなくなったよ。」
「「それはよかったな(ですね)…。」」
クラスでも、女子のハーレムに囲まれているであろう信太の様子を思い浮かべる京太郎と芽衣子。
「風紀委員の仕事も覚えてきたし、風紀委員女子の皆も優しいし、それはいいんだけどね…。一つ困る事があって…。矢口くんと氷川さんに相談してもいい…かな…?」
両手の指をモジモジと動かし、斜め45度の上目遣いでこちらを見上げるショタ美少年オーラ全開の信太。
「(うっ。庭木くん、なんか悔しいが、可愛い…♡)ああ。どんな事かな?…うおっ?♡」
「(はっ。庭木先輩のあまりの可愛さに京ちゃんまで目がハートに?いけないっ!)ええ。どんな事でしょうか?…んしょっ!」
信太の可愛さに危機感を覚え、話を聞こうと座り直した拍子に、京太郎の腕を取り、さり気に胸を押し付ける芽衣子。
「最近、女子に告白される事が度々あるんだけど…。皆いい子だし、可愛いし、どうやって相手を選べばいいのか分からないんだ…。中途半端に返事したら、相手にも悪いし、どうしたらいいのかと思ってさ…。モテる中、お互いを選んだ二人に相談をしたいと思って…。」
「「え、えーと…。」」
信太にため息をつきながら相談を持ちかけられ、答えに困る二人。
「(いや、贅沢な悩みだな?俺、そんな選ぶ程モテモテになった事ないし、何なら振られたり裏切られたりするばっかだし、何て答えたらいいか分からないな…。)」
「(随分フワッとした悩みだな〜?私なら一番好きな人以外は全員ぶっ倒すけど、そうは言えないし…。)」
そこへ、7人の風紀委員女子達(庭木くんのハーレム)がニコニコしながらこちらの方へやって来る。
「皆さん、今から余興で椅子取りゲームをしま〜す!誰が最後に一つの椅子に座れるか、当ててみてくださいね?
ちなみに、最後に残った人は、庭木信太くんの隣の席を獲得することができます。」
「え、ええっ。そうなの?」
知らない内に自分が賞品のような扱いになって驚く信太。
「「わ、わあぁ…。」」
恐ろしい戦いが繰り広げられる予感に、引き攣り笑いを浮かべる京太郎と芽衣子。
そして…。
「ぎゃあああ!信太くんの隣は私よぉ!!」
「私!私の方が椅子の面積多く座ってるから勝ちよぉ!!」
「あんたのお尻が大きいだけで、椅子の面積は、私の方がとってるわ!」
「何ですってぇっ?!」
阿鼻叫喚地獄絵図の女の椅子取りゲームが始まった。
「あわわわ…!女子怖いよぉ… ||||||」
青褪めて正視できない様子の信太に、厳しい表情で語る芽衣子。
「庭木先輩、目を逸らしてはいけません!女は敷居を跨げば七人の敵あり”とはよく言ったもの。
彼女達は庭木先輩の為に命をかけて戦っているのですよ?“自分で選べないのなら、せめて彼女達の死闘を見守ってあげて下さい!」
「わ、分かったよ…。俺、最後まで彼女達の戦いを見届けるよ…!」
ぎゃあぎゃあ言っている女達の戦いを涙目で見守る信太。
それを横目で見遣りながら、首を傾げている京太郎。
(いや、芽衣子ちゃん、その言い回し、男の間違いじゃ…。しかし、庭木くんもハーレムの中で最強の女子と付き合う事にするとしたら、大変だろうな…。)
その中でも椅子取り合戦を平和に観戦している人々もいた。
「おおっ!やっぱり武闘派の女子達は強いなぁ!そこだ!行け!!はむはむ…。それにしても姫華のクッキーはうまいなぁ…。」
「ふふっ。委員長、沢山召し上がれ?(最近、女子達の関心が、庭木くんに行きがちで、委員長を一人占め出来て嬉しいわ♡)」
「最後は、武闘派の佐々木さんと三原さんの一騎打ちかなぁ?潮の隣は、私だけだからね♡?他の女子に誘われても、断ってね?」
「他の女子に誘われる事はないと思うけど、俺は雅の隣にしか座らないから♡!安心して?」
そして、更に激闘の末ー。
最後に残った椅子に半分ずつ座った後、激しい尻相撲の末、接戦を制したのは、庭木の髪をカットしてショタ美少年にした、三原夏子だった。
「三原さんっ。優勝おめでとうっ!最後のものすごい尻相撲、感動したよっ!!」
涙を浮かべて駆け寄る庭木だったが、夏子はただ微笑んだまま、もうその呼びかけには答える事はなかった。
「三原さん…?三原さんっ!!」
激しい死闘により憔悴した夏子は、獲得した椅子に座ったまま気絶していたのだった。
夏子に縋り付いて号泣する庭木。
「ううっ…。三原さんっ!!俺の為にこんな事になって!ごめんっ。ごめんよぉっ!!」
「ううっ…。三原さんっ!!後世に語り継がれるべき素晴らしきケツドンでしたっ!!あなたの死闘を忘れませんっ!!」
芽衣子も感動の涙を流す。
盛り上がる二人を横目で見ながら一人ドン引きの京太郎であった。
(いや、椅子取りゲームで気絶って…。風紀
委員女子激し過ぎ…!)
(続く)
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