第156話 おまけ話 風紀委員の純白


「おや。芽衣子嬢じゃないか。さっき服装チェックで会ったぶりだけど、元気にしているかい?」

「氷川さん、こんにちは!」


「白瀬先輩、大山先輩、風紀委員の皆さん…!こんにちは。見回りですか?」


体育の授業の後、着替えをし、教室に戻る途中、風紀委員の女子達に行き合う芽衣子。


「ああ。女子と男子に別れて、異性では見回りにくいとこを中心に見回りをしようと言う事になってな。」


「ふふっ。私も風紀委員に復帰して、潮にお付き添ってもらう事もなくなったし、庭木くんも入ってくれたし、風紀委員の活動も前は出来なかった活動ができるようになったんだよ?」


「そうなんですね?それはよかったですねぇ…!」


明るい表情で語る白瀬柑菜と大山雅に芽衣子も笑顔になる。


「ああ。そうそう。臨時風紀委員の君達にぜひともお礼をしたいと思っていたんだ。今週の金曜日、君と矢口少年を私の家に招待して、風紀委員の皆でおもてなしさせてもらいたいんだけど、ご都合どうかな?」


柑菜はキラキラ爽やか笑顔で芽衣子を誘う。


「いいんですか?私は予定ないですけど、京先輩にも聞いてみますね?」


「ああ。分かり次第返事を貰えると嬉し…。」


ビュウッ。


「わっ!」

「ひゃうっ!」

「「「「「きゃあぁっ!」」」」」


言いかけた瞬間廊下の窓から風が吹き込み、

女子達のスカートが舞い上がり、下着が一瞬丸見えになる。


「み、皆さん…同じ(スタンダードな)白のパンツ??!///」


「「「「「「氷川さん(芽衣子嬢)白の紐パン??!///」」」」」」


それぞれのパンツを見て、驚く芽衣子と風紀委員女子達。


「め、芽衣子嬢…。一応言っておくと、過激なパンツは校則違反だぞ…?臨時風紀委員の服装チェックをしていたときは、布地多めのものだったはずなのに、何故…??」


「ふわぁっ。すいません!//いつもはアンダースコート履いてるんですが、今日は体育の授業の後、履き忘れたみたいです。すぐにスコート履きます…。」


柑菜に注意され、顔を赤らめる芽衣子。


「それなら今日はいいが、スコートを履いてまで、そのパンツを履くのは、やはり矢口少年の趣味…なのかね?」


「え、ええっ。そりゃ、そのパンツ『可愛い』って言ってくれましたけど…。」


「「「「「「矢口くん(少年)は紐パン好き…!!///」」」」」」


「いや、ち、違うんです、以前私が間違えて送ってしまったパンツの画像を見て、そう言ってくれただけで、京先輩の好みが紐パンというワケでは…!」


慌てて訂正するものの、風紀委員女子達はざわめき、柑菜は額に手を当てて、頬には涙の雫を煌めかせ、首を振った。


「ううっ、芽衣子嬢。庇わなくていい。矢口少年とて健康な男子。紐パンに惹かれる気持ちは仕方がない事と言えよう。


けど、やっぱり学校には、その過激なパンツは、そぐわないし、たまたま見たのが私達だったからよかったものの、万が一矢口少年以外の男子に見られてしまったら、君だって矢口少年だって嫌だろう。」


「そ、それはっ…。」


芽衣子は、返す言葉もなく、青くなって俯く。


「彼氏の要求に答えたいとか、背伸びして、大人っぽい下着に憧れる気持ちも分からなくはない。

だけどね、芽衣子嬢。可愛いものや、学生らしい爽やかな下着が似合う、少女の時代は今しかないんだぞ?

そこに置き去りにしてしまった気持ちはないのかい?」


柑菜の言葉がツキンと胸に刺さる芽衣子。


(週5で履いていた動物パンツ…。子供っぽいからとしばらく封印していたけど…。あの動物柄可愛くて大好きだったよな…。履き心地いいし…。ハッ。そんな事考えちゃダメ!!)


「そ、そんな…。置き忘れていた気持ちなんて…。そんなもの、そんなもの私には…!」


芽衣子は目をギュッと瞑って、フルフルと首を振るが…。


「芽衣子嬢!強がらなくていい。自分の気持ちに素直になっていいんだぞ?」


「…!!」


柑菜が肩に優しくポンと手を叩かれ、泣き出す芽衣子。


「ううっ…。白瀬先輩。私、本当はちょっと無理してましたっ…。動物パンツが履きたい…ですっ!!ああぁっ…!!うわぁぁっ…!!」


「芽衣子嬢…!うん…。うん…。それでいいんだ…。一足飛びに大人になろうとしなくていい。少しずつでいいんだよ。大丈夫。矢口少年なら、そのままの君をきっと受け止めてくれるだろう…。」


そんな芽衣子を宥めるように、柑菜は、その背中を撫でる。


「ううっ。氷川さん…!いい話…!!」


雅を始め、風紀委員の女子達ももらい泣きに嗚咽を漏らす。


          *

          *


「芽衣子嬢。いい機会だから、風紀委員の女子御用達の白パン(未使用・新品)を君に授けよう。やっぱり学生は清潔感のある白のパンツが一番だ。臨時とはいえ、君は風紀委員の一員だったんだ。これを履いて、私達の事を思い出してくれな?」


「は、はい!ありがとうございます!!大事に使わせて頂きます。」


パチパチパチ…。

他の風紀委員女子達が目を潤ませて、拍手で見守る中、

芽衣子は、柑菜から、卒業パンツを授与されたのであった。



❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇


「…という事があったんですよ…。」


翌日の昼休み。屋上でお弁当を食べながら、芽衣子は京太郎に、にこやかに白瀬先輩とのやり取りを語った。


「そ、そうだったんだ…。それで、今日の朝服装チェックのとき、風紀委員女子達にどことなく冷たい目で、見られていたのか…。

白瀬先輩は、『芽衣子嬢の成長を急かさないで、そのままの彼女を受け止めてあげてくれ。』と涙ながらに訴えてくるし…。」


京太郎は朝の出来事を思い出し、しょっぱい顔になった。


(俺が芽衣子ちゃんに紐パンを履く事を強要してると思っていたのかな。萎えるわぁ…。)


「ああ〜、そうだったんですね?風紀委員の方を誤解をさせる言い方をしちゃって、すみません!」


慌てて手を合わせて、謝る芽衣子。


「せっかく京先輩に可愛いと言って頂いたパンツ達(紐パン&Tバック)ですが、履くのは休日のみで、学校では風紀委員の方に頂いた白パンか、動物パンツにする事にしました。本当にすみません…。」


「いや、何故に俺に謝る??それに、例によって、何故そんなにも下着事情を俺に開示する??

芽衣子ちゃんの好きな下着を身に着ければいいと思うよ?」


と言いながらも、今日のパンツは、白瀬先輩にもらった白パンなのかな…。

と京太郎がつい邪な妄想をしていた時、ブワッと突風が吹き、一瞬芽衣子のお弁当が浮き上がった。


「あっ!お弁当がっ…。」


ふぁっさー!!


「…!!!!」



芽衣子がお弁当を両手で押さえた瞬間、スカートが翻り、パンツが丸見えになる。


急いで後ろのスカートを取り押さえる芽衣子だが、時すでに遅し…。


振り返ると、真っ赤になった京太郎がそこにいた。


「京先輩…見ちゃい…ました…よね?///」


「ごご…ごめん…!!」


「ど、動物パンツシリーズ、コンプリート…しちゃいました…ね…?」


芽衣子は、困ったような笑顔を京太郎に向けたのだった…。


❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇

*あとがき*


パンツ系おまけ話としては、(多分)最終話

になるかと…。

今までありがとうございました(;_;)


読んで頂きまして、フォローや、応援、評価下さって本当にありがとうございます

m(_ _)m


次回は、京太郎くん&芽衣子ちゃんが白瀬先輩のお宅を訪問する話になります。

今後ともどうかよろしくお願いします。






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