第154話 おまけ話 幼馴染み達

《潮&雅 編》


〜言い間違い〜


小山潮6才、大山雅7才のある日…。

空手の道場にてー。


「ハァッ!!」

「グハッ!」


「勝者 白瀬柑菜!」


「「柑菜ちゃんカッコイイ…!!」」


白瀬柑菜(8才)が小学生高学年男子相手に勝利するところを見て、歓声を上げる潮と雅。

柑菜は二人にVサインを送る。


「柑菜ちゃん、大きくなったら私と結婚して下さい♡♡」

柑菜の左手に飛びつく雅。


「え〜、結婚?雅可愛いから考えとこうかな〜?」

可愛い妹をあやすように、頭をナデナデする柑菜。


「ダメだよ!雅は女だから、今の日本では結婚できないよ。大きくなったら、俺と結婚してください♡♡柑菜ちゃん!」


柑菜の右手に飛びつく潮。

(なお、この時、早生まれの潮は、雅より背が5センチ程低い。)


「う〜ん。潮も可愛いからどうしようかな?」

可愛い弟をあやすように、頭をポンポンする

柑菜。


「うーん、じゃ、大きくなってから、私に勝てた方と結婚するな?それまで、強く為に、お互いに仲良く稽古に励むんだぞ?ホラ、仲直り仲直り…。」


そう言って、柑菜は潮と雅の手を握らせ、にっこりと笑った。


「「え〜。は、はーい…。」」


お互い不満有りげな顔をするも、柑菜の言葉に不承不承納得する二人。

         

          *

          *


空手道場の帰り道、険悪な雰囲気の二人ー。


「柑菜ちゃんに言われたから仲良くするフリするけど、私、潮には絶対負けないから!

あんまり柑菜ちゃんにベタベタしないでよね?」


「俺だって柑菜ちゃんに言われたから仲良くするフリするけど、雅には負けないからな!雅こそ、柑菜ちゃんに引っ付き過ぎで、狡いぞ?」


距離を離して歩きお互いに牽制し合う雅と潮。


「ムッ。何よ、潮、年下のくせに生意気な…!柑菜ちゃんと結婚するのは私だから!潮じゃないから!」


「ム厶ッ。何だよ、雅、偉そうに…!何ヶ月かしか違わないだろ?柑菜ちゃんと結婚するのは、男の俺だから!雅じゃないから!」


「何言ってんの、潮?柑菜ちゃんと結婚するのは、私!」

「違う、雅!柑菜ちゃんと結婚するのは、俺!」


「私!」「俺!」「私!」「俺!」


不毛な攻防戦の末…。


「もう!だから、柑菜ちゃん、潮と結婚するのは、私だって言って…ん???」

「??!」


雅の発言に、目を丸くする、潮。


「ちち、違うからっ…。///

い、言い間違えちゃっただけだからっ…。」


かあぁっと真っ赤になって訂正する雅。


「あ、ああ…。わ、分かってるよ…。//

(あれ?雅、真っ赤になってなんか可愛いな…。)」


「し、しばらくこっち見ないで!潮…。」


「わ、分かった…。」


さっきとは一転して、甘酸っぱい空気になる二人…。


「雅…。さっき、言い過ぎちゃって、ごめんね?」

「い、いいよ…。潮…。私もキツく言っちゃって、ごめんね?」


「いいよ…。雅、手繋いで帰ろ?」

「…!い、いいよ…?潮、よく転ぶから、私が支えてあげるね…?」


それからは、仲良く手を繋いで帰る潮と雅であった…。



❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇


《京太郎&芽衣子》


〜彼女は何故ドブに落ちたのか〜


※130話「勝利の笑顔〜敗北の過去を越えて〜」の過去編直後のお話です。


京太郎(9)とのお風呂イベントにおいて、

母、麻衣子のGカップオッパイの前に、敗北を喫したペタンコ胸の芽衣子(8)…。


(京ちゃんは、私のお兄ちゃんみたいな人で、お母さんと、京ちゃんが仲良くなるのはいい事の筈なのに、なんでこんな気持ちになるんだろう…。)


自分でも、気持ちのモヤモヤを持て余す日々であった。


「めーこ。遊ぼ?」


「ご、ごめん。京ちゃん。今日、遊べない。めーこ、気分があまり良くなくて…。」


「そっ、そっか。大丈夫か…?元気になったらまた遊ぼうな。」


「う、うん…。」


京太郎が、遊びに誘いに来てくれるも、断ってしまう芽衣子。


(あーもう!ホントは遊びに来てくれて嬉しいのに、どうして断っちゃうんだろ?

でも、(前髪で隠れているとはいえ)こんな不機嫌な顔京ちゃんに見られたくない…。)


悩んでいる芽衣子に母、麻衣子が声をかける。


「芽衣子?奈美ちゃん(京太郎母)が、京ちゃん、芽衣子ちゃんと最近遊べなくて寂しがってるって言ってたわよ?あなた達ケンカでもしたの?」


「ち、違う。ケンカなんかしてない!ホントはめーこだって京ちゃんに会いたいんだよぅ!うえぇっ…。でもっ…!」


涙ながらに、お風呂での一部始終と、心のモヤモヤを母に訴える芽衣子。


「なるほどね…。芽衣子はそれで、京ちゃんと、お母さんにモヤモヤを感じちゃったんだ。」


「うん…。めーこ、お母さんも京ちゃんも大好きなのに、どうしてこんな気持ちになるんだろう…?」


芽衣子の疑問に笑顔で答える麻衣子。


「それはね。芽衣子の京ちゃんへの好きが、

女の子が男の子を特別に想う気持ちに変わって来ているという事じゃないかしら。

芽衣子は、お母さんにヤキモチ焼いたのね。」


「そ、そうなのかな…。」


「大丈夫よ?心配しなくても、あなた達が年頃になる頃には、芽衣子もお母さんと同じ位胸がふっくらした、可愛い女の子になってるから!そうしたら、京ちゃんだって、芽衣子に夢中で私みたいなオバサン見向きもしないわよ。(自分で言ってて少し悲しいけど)」


「そ、そうかな…。めーこもボインになれるかな…?京ちゃんも、私を見てくれるかな…?」


「なれるなれる!それに、今だって、京ちゃんはこれだけ心配してくれてるんだから、

芽衣子の事大好きでいてくれると思うわよ?」


「京ちゃんがめーこの事、大好き…?//エヘヘ…。そんなぁ…。」


麻衣子の言葉に照れて頭を撫で付ける芽衣子。大分元気が出たようだった。


         *

         *


その翌日の放課後、鉛筆を買いに文房具店に向かう道の途中、芽衣子の後ろから、京太郎が追いかけてくる。


「おーい。めーこぉ!!もう元気になったのか?」

「あっ。京ちゃん…!うん。元気になったよ。心配かけてごめんね?」


「どっか行くのか?」

「うん。鉛筆買いに…。」


「…!俺もノート買いに来たところなんだ。一緒に行こ?」

「あっ。うん!!♡」


仲良く並んで文房具に向かう二人。


(久しぶりに京ちゃんと一緒で嬉しい♪

京ちゃんは、今はめーこの事妹みたいに思ってるかもしれないけど、いつかは女の子として、好きになってくれたらいいな…。)


と、芽衣子が京太郎とラブラブになっている将来を思い描いていると…。


「あ、そう言えばさ…。めーこに渡すものがあったんだった…。」


「??」


「はい。これあげるよ!」


京太郎は、カバンから小さいピンクの箱を取り出して、芽衣子の前に差し出す。


「え!?これ…なあに?もらっていいの…?」


「えーと…。(何入ってるかは俺も知らない…。)うん。いいよ。開けてみなよ?」


京太郎から、突然贈り物をされ、ドキドキしながら、芽衣子がピンクの箱を開けてみると…。


「えっ。指輪っ…?!」


中から、透き通ったピンクの石がついた、おもちゃの指輪が出て来て、驚く芽衣子。


(あ、あれっ?男の子から女の子に指輪を贈るのって、確か結婚の約束をする時じゃなかっけ?

京ちゃん、めーこの事、妹みたく思ってくれてるって言ってたけど、本当は、女の子として好きだと思ってくれてたってこと?//

きゃああぁっ!!ど、どうしようっ!!

京ちゃんから、結婚を申し込まれちゃった!?う、嬉しいっっ♡♡♡)


顔がドンドン熱くなり、火にかけたヤカンのように、プシューッと湯気が出始めた芽衣子。


「それさ、お母さんが会社で、何かの景品でもらったらしいんだけど、女の子用のおもちゃだったから、めーこにあげたらって言われて…って、芽衣子、聞いてるか?顔真っ赤だけど、大丈夫か…?」


京太郎の説明も、いっぱいいっぱいで、ほとんど聞こえていない芽衣子。


「う、う、うん…。あ、あ、ありがとう

京ひゃぁん…。い、一生大事にするる…、

ああっ?!」


ぷるぷる震える手で指にはめようとして、ポロッと指輪を落としてしまう。


「あ、ああっ…!あああっ!」


コロコロ転がる指輪を慌てて追いかけるものの…。


ポチャン…。


指輪は道脇の側溝の中に落っこちてしまう。


「っ……!!!!」


(きょ、京ちゃんにもらった指輪がっ…!

京ちゃんとの結婚がっっ…!!)


「あちゃー。落ちちゃったかぁ。まぁ、景品のおもちゃだし、気にすんな、めーこ…えっ?!」


「うわぁぁっ!!うわあぁんっっ!!」


バシャーンッ!!


「め、めーこぉっ!!!」


京太郎が叫ぶのと、芽衣子が大泣きしながら側溝に飛び込むのと、同時だった…。


その後、京太郎も、芽衣子を助ける為に側溝に飛び込み、二人共、服が泥だらけになり親には大目玉を食うものの、おもちゃの指輪は何とか見つかった。


その後、それは芽衣子によって

京太郎の写真と、トレーディングカードと共に、宝物として大切に保管される事になるのだった…。


              fin.💍

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