第35話 茶髪美少女の葛藤
「ま、胸糞悪くなる話だから、二人について、詳しい説明は省くけど、細井美葡に、剛原の気持ちを自分に取り戻すために、巻き込まれた事があってさ。芽衣子ちゃんも、嫌な思いする事になるから、あいつらには関わらない方がいいよ。」
京ちゃんは過去の事を思い出してか、苦い表情で私に語った。
「何となく想像できます。さっきのアレだけで、もう嫌な気分になりましたもん!京先輩、巻き込まれて災難でしたね…。
それにしても、あの
細井美葡…!」
嘘コク三人目の
私はこの前の女子会で、柳沢先輩に聞いた話を思い出していた…。
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「嘘コク三人目の子は、細井美葡。他クラスだけど、私達と同じ二年生で、見た目はギャルっ娘。同じく同学年でサッカー部の剛原くんの彼女で、サッカー部のマネージャー。
で、まずその彼氏の剛原くんが、かなりの女好きらしくって、気に入った外見の女子がいると、マネージャーに勧誘がてら、しつこく口説いてくるから気を付けて!」
「えっ?彼女いるのに他の子口説いてくるんですか?」
「キモイ先輩だな…。」
柳沢先輩の話に私もマキちゃんもドン引きだった。
「細井さんは浮気性な彼氏の心を取り戻すために、矢口に当て馬役をやってもらってたみたい。ただ、矢口には彼氏と別れるためって言ってたらしいけど。何日か二人でお昼してるの見たことあるな。」
「があぁん!京ちゃんが女の子と二人きりでお昼を…!!」
私がショックを受けて涙目になると、柳沢先輩は慌てて付け足した。
「いや、でも、矢口はあんま楽しそうじゃなかったし、細井さんに嫌々連れ回されてるって感じだったよ?
それに、その後すぐ細井さんは剛原くんと過ごすようになったから、彼女の目的は達成されたみたいだけど…。
その後、矢口は細井さんの嘘コクを真に受けて付き纏った上、ふられたっていう噂がたったの。」
「うーわ、最低…!」
「ひどい…!!
京ちゃんは、善意で細井さんを助けようとしたのに、踏みにじられてどんな気持ちだったんだろう。」
私は京ちゃんの気持ちを考えると胸が痛んで涙が出そうになった。
「うん。矢口はその事で、大分嫌な思いしたと思う。だけど、矢口はあくまで、善意で細井さんを助けようとしただけで、そこに好意はなかったと思うの。その後、矢口は細井さんの事を引きずってる様子はなかったし、一切関わりもなかったみたい。」
「でも、その人達、腹が立ちます!」
「私もムカつくけど…、芽衣子ちゃん。矢口が引きずっておらず、これ以上何もないのだったら、厄介な人達に自分から関わっていかない方がいいと思うの。栗珠を懲らしめるのは、私も全力で協力する。だけど、その後は、復讐する事よりも芽衣子ちゃんは矢口と幸せになる事を優先した方がいいんじゃないかな。」
神妙な表情でそう言う柳沢先輩に、マキちゃんも頷いた。
「私もそう思うぞ?芽衣子。そんなムカつくカップルは、いずれ自滅するよ。
その時、芽衣子が矢口先輩と、ラブラブで幸せなカップルぶりを見せつけてやればいいじゃん。それが、本当の意味でリベンジになるんじゃないかい?」
「ムカつく相手への最大のリベンジは相手より幸せになること…ですか。でも…、でも…!!」
私は悔しい気持ちを必死に押し殺し、唇を噛み締めた。
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「芽衣子ちゃん…?」
細井美葡の名前を出した途端、芽衣子ちゃんの表情が一変して、一瞬般若のように見えた気がしたけど、気のせいかな…?
「くうぅ〜っ…!」
そして、今は両手をワナワナさせ、何かを堪えるような苦しそうな表情になっている。
「芽衣子ちゃん。お手洗いなら、我慢しないで…。」
「ち、ちがいますぅっ!」
言いかけると、芽衣子ちゃんが真っ赤になって否定した。
やべ。違ったらしい。セクハラしちったか?
「京先輩!」
芽衣子ちゃんは睨むような表情で、呼びかけてきた。
「は、はい…。」
怒られるのかと身構えた俺だったが…。
「私と、デートしましょう!」
「へっ?」
思わず声が上擦ってしまった。
「嘘コクミッションのデート、しましょうっ!!」
片手を上げて、選手宣誓でもしそうな決然とした表情で彼女は叫んだ。
*あとがき*
次回から、デート編になります♡
剛原&細井カップルへの制裁は46話以降までお待ち下さい。
ご心労おかけしますが、よろしくお願いしますm(_ _;)m
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