鳥籠の中で閉じ込められて、人間のために歌を歌わせ続けられている白と黒の二羽のカナリア。夕方、白いカナリアと黒いカナリアが役目を交代するほんの少しの時間、二羽は言葉を交わす。「奇跡の存在」と謳われたカナリアたちを描いた異世界ファンタジー。細やかな情景の描写と共に、カナリアたちの本心が繊細に紡がれます。二羽の純真さに比べて、人間たちのエゴが醜く映ります。きらびやかな装飾の描写が虚しく冷たいものに見え、カナリアの歌が優しく温かく響きました。