興信所を雇うより殺した方が早い
神澤直子
第1話
私はその人を見た。
頭全体が白髪だが、しかしそこまで年齢を重ねているような雰囲気でもない。予想では60代--いや50代と言ったようなところか。
中年も超える年齢だと言うのに、全くお腹の出ていないスラリとした身体。身長はそこまで高くはないが、小さいわけでもない。
その人はチラリと私を見て、それから何事もなかったようにタバコに火をつけた。
それから足許にあるそれを軽く蹴飛ばす。
「じゃあ、嬢ちゃん片付け頼むよ」
私の肩をポンと叩いて、ニカっと笑うと歩いてどこかへ行ってしまった。
たしかに死体処理が私の仕事だが、だけど、もうちょっと形を残してやってもいいと思う。ぐちゃぐちゃに変形したそれに吐き気をもよおしながら私は細切れになった肉の破片を集め始めた。
興信所を雇うより殺した方が早い 神澤直子 @kena0928
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます