通販サイトを見ていたら同じクラスの木村さんの右足が売られていた。

やんごとまと

第1話

深夜、通販サイトを見ていたら同じクラスの木村さんの右足が売られていた。


思わず画面に顔を近ずけた僕はその商品画像に釘漬けになった。同じ学校の奴がイタズラで出品したのだろうか。それにしては妙にリアルな画像である。全体的に少し日焼けした肌と、対象に靴下のせいで白いままの足首にいつも木村さんが付けていた青いミサンガがまいてある。画像に写っているのは片足だけなのだが、付け根の部分は画像からはみ出していてどうなっているかは分からなかった。


「イタズラだとしてもどうして...」


深夜なので家族にバレないようにそっと呟いた。木村さんはそんなイタズラ受けるような人ではない。学年1位の成績を持つ木村さんは、よく同じクラスの女子達に勉強を教えていた。教え方が上手いと評判で、 私も教えてもらいたい という声が耐えなかった。それに、笑顔がかわいいと男子からの人気も高かく、彼女にしたい女子ランキングとかいう下品なランキングにも3位くらいに入っていた記憶がある。どの生徒に木村さんってどんな子?と聞いてもポジティブな意見しか上がらない、そんな生徒だった。そんな木村さんがこんなイタズラ受けるとは考えずらい。いや、心の内で木村さんを恨んでいる奴がもしかしたら居るのかもしれない。そいつがこんな悪趣味な事をしたのだろうか。そもそもこれはイタズラなのだろうか。本当にこの足は木村さんの足なのかもしれない。僕はそんな訳ないか、と心の中で呟き、ページを下へスクロールする。値段を見るためだった。木村さんの足には一体いくらの値がついているのだろう。そんな好奇心に支配される僕は少し興奮していたのかもしれない。

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通販サイトを見ていたら同じクラスの木村さんの右足が売られていた。 やんごとまと @nekkko

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