F14トムキャットJ

 21世紀前半に退役した後も人気と知名度の高い傑作艦上戦闘機。

 可変翼とリフティングボディが生み出す造形美は空戦性能に裏打ちされた実力から来るものだ。

 空戦性能も優れているが、最大の特徴は射程一八〇キロを超すフェニックスミサイルを搭載していることであり、機動部隊にミサイルが到達する前、発射前に母機を破壊する事を目的にしていたため、非常に長い射程を持っていた。

 最大六発搭載可能だが、六発搭載すると燃料が空になっても着艦重量をオーバーするため、四発が標準となっている。

 非常に強力な戦闘機だが、可変翼とフェニックスミサイルが複雑で高価、高コストであるため、導入国は開発国のアメリカ、イラン、中華民国、台湾そして日本だけだった。

 合衆国海軍に五〇〇機配備の他、日本向けに一二〇機、イラン向けに八〇機、中華民国向けに六〇機、台湾向けに三〇機が輸出された。

 中でも日本とイランは金払いが良かったため、アメリカ海軍より優先して納入された。


 開発当初より高性能である事を示していたトムキャットだが、アメリカ海軍と議会の中では、トムキャットが高額すぎてコスト的に割に合わないと判断されていた。

 高すぎるため当初の七〇〇機から三〇〇機へ削減しようという動きもあった。

 更に製造費が改修などで納入費を超過し海軍が超過分の支払いを拒絶したため、グラマン社は窮地に陥り、輸出に活路を、輸出代金に上乗せする事を計画した。

 こうして、輸出が行われた。

 日本は空母護衛もそうだが、縦深の少ない細長い列島を守るためにアウトレンジで迎撃できる長距離対空ミサイルフェニックスとF111CJ戦闘爆撃機より遙かに空戦性能に優れたF14を求めた。

 中華民国は、長い国境で対峙する北の中華人民共和国と統一されたベトナムに対して優位を維持する為。

 台湾は、対立する中華民国への対抗のために配備した。

 イランは山がちのため、長時間滞空し早期警戒が可能な機体を多く欲したため、F14を選んだ。

 また紛争の絶えない中東で優位に立つためにも争って購入した。

 当初の八〇機に加え七〇機の追加購入を示されたためイランへ優先されることになった。

 イラン国王のトップダウンの決定に、大蔵省を説得できなかった日本は遅れを取ることになる。

 配備が進んだ後、米海軍がF14の性能に満足したこともあり、米海軍への配備数も増やされることとなり生産ラインの拡大を計画したが到底間に合わない。

 結果、遅延の分、グラマンへライセンス料を払うことで日本でライセンス生産と独自改修をアメリカからもぎ取ることに成功した。

 グラマンもライセンス料のおかげで経営が立て直せた。

 その際に、日本は独自改良をフルに行い、アメリカ海軍では予算不足で出来なかったエンジン改装を行って、性能を上げている。

 また、生産に余裕が出きたため、F14輸出数、イランへの導入が増えている。

 しかし、直後、原油価格の下落によりイランの財政は悪化し、イランの支払いは滞る。

 さらにイランへ九〇機、フェニックスミサイル三〇〇発が輸出された段階でイラン革命が勃発。

 反米主義国となり、アメリカと国交断絶と反米主義となる。

 残っていたイラン向けのF14とフェニックスミサイルの輸出はストップし在庫が溜まることになる。

 イラン向けの需要は消滅し、イラン空軍用の機体は日本と中華民国、台湾への輸出、そしてようやく米海軍への配備が進められる。

 特に日本はF14の性能を気に入り、八〇機を追加配備する。

  一部は中華民国と台湾へも輸出され、爆弾、AIM120ミサイルを搭載可能な独自改修型も開発しており本国アメリカを抜いて東アジアで配備が長く続けられた理由の一つとなっている。



全長: 19.1 m

全幅:

 最大: 19.54 m (主翼を展開した状態)

 最小: 11.58 m (主翼を後退させた状態)

全高: 4.88 m

翼面積: 52.49 m²

空虚重量: 18,191 kg

最大離陸重量: 33,724 kg

最大速度:

高高度: マッハ2.34 (約2,485 km/h)

低高度: 1,544 km/h

航続距離: 2,400 km(増槽なし)

戦闘行動半径: 約926 km

実用上昇限度: 16,000 m

上昇率: 228 m/s


エンジン

エンジン:

ゼネラル・エレクトリック F110-GE-400 ターボファンエンジン(アフターバーナー付き)2基

推力:

F110-GE-400:1基あたり 120 kN(アフターバーナー時)

武装

 固定武装: M61A1 20mmバルカン砲 1門(弾薬676発)

ミサイル:

 AIM-54 フェニックス空対空ミサイル(最大6発搭載可能)

 AIM-7 スパロー空対空ミサイル

 AIM-9 サイドワインダー空対空ミサイル

 ハープーン×4

搭乗員: 2名 (パイロット + レーダー迎撃士官: RIO)


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https://kakuyomu.jp/works/16816927862106283813/episodes/16818093087532501519

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