済州島へ向かう韓国艦隊
「全艦急げ」
韓国艦隊は司令官の命令で済州島を救援するべく全速で対馬海峡に向かって航行していた。
「司令官危険です」
参謀として専門家として進言、あるいは命の危機に耐えきれず、部下が注進する。
「対馬海峡で日本軍が待ち伏せしている可能性があります。このまま突入するのは危険です」
「済州を攻めている今が好機なのだ。日本艦隊がかかりきりの状態で攻撃すれば、日帝を撃破出来る」
「ですが、狭い海峡に入れば確実に日本軍に見つかります」
「では味方を見捨てろというのか。済州島を韓国領土を失って良いというのか」
「そ、それは……」
部下はつらかった。
祖国を守るために軍人になったのであり、領土が占領されるのは防ぎたい。
司令官に強く静止することは出来なかった。
「それに海峡の北側にある釜山は我らの根拠地だぞ」
韓国海軍の主要基地は対馬海峡に面した釜山だ。
「釜山からの支援が見込める」
「ですが、日本の目の前を通ることに」
弱気な意見だが、祖国のために研鑽してきた軍事知識が、常識が、確実に危険である事を訴えていた。
「いずれにしろ、チェジュ島を救うには日本の目の前を通る必要がある。このまま行く」
「……分かりました」
韓国海軍の主要基地は西海岸に集中している。
東側は良港が少ないため、港自体が少ない。
いずれにしろ韓国艦隊が根拠地に帰還するには、対馬海峡を通過するしかなかった。
津軽か、宗谷海峡を通ろうにも燃料が足りない。
「哨戒機から報告です! 敵の機動部隊を発見しました!」
「何処だ!」
「済州島の南東沖一〇〇海里です」
それは奇跡だった。
韓国海軍が飛ばした哨戒機が日本軍に見つからず運良く、済州島近くへ進出。
信濃が艦載機との通信を行っている所を傍受し、信濃の位置を導き出した。
それを艦隊に伝えた。
「直ちに攻撃隊を出せ!」
「はいっ!」
攻撃が成功する可能性は少ない。
だが、このままでは艦隊が撃破される事は分かっている。
艦載機だけ陸上へ退避させても、日本の空爆で破壊されてしまう。
ならば、数少ない航空機を攻撃に投入するべきだと司令官も部下たちも考えた。
「全機発進!」
F4ファントム一二機、シュペルエンダール一二機からなる攻撃隊が発艦し、信濃攻撃に向かった。
これが韓国海軍の出せる、最大限の攻撃だった。
「レーダーに接近する機体あり」
「敵機か!」
「いいえ、味方です。F4ファントム四機、F5タイガー八機です」
僅かながら上空援護の為に空軍が差し向けてくれた機体だった。
一時安堵と希望がもたらされたが、一時でしか無かった。
「電波を探知! 敵に発見されました!」
「敵機接近! 二十機以上います」
それは信濃から発艦した艦載機部隊だった。
韓国軍の機動部隊を先に潰した方が良いと判断し、済州島攻略支援を取りやめてまで行った攻撃だった。
「直衛機に迎撃に向かわせろ」
「はい」
直ちに直衛機を迎撃に向かわせた。
だが、間違った選択だった。
やってきた攻撃隊にはF14の護衛が付いていた。
勿論フェニックスミサイルも搭載しており、迎撃に来たファントムとタイガーへ発射。
一方的なアウトレンジによりファントム二機、タイガー三機を残し、壊滅。
更に接近してきたF14に格闘戦を挑まれ、ファントム一機、タイガー一機を残して全滅した。
「直衛隊、退避します……」
辛そうにレーダー手が報告すると艦橋内に重苦しい沈黙が流れた。
「敵機接近します」
「来たか。敵機が来襲するぞ!」
唯一司令官だけが士気を上げようと声を張り上げる。
「総員戦闘配置、対空戦用意!」
「多数の飛行物体を確認」
「敵機か!」
「いいえ! これは!」
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