半島再派遣
一度は日本政府の命令により朝鮮半島から撤収した日本軍だったが、一〇月二五日の反撃を受けて、GHQより再びの派遣要請を受けた。
日本政府は渋ったが、ニミッツの執拗な要請により、根負けして半島への再派遣に同意した。
李承晩も強烈に反対したが、圧倒的な中国、満州両国の援軍を得た北朝鮮軍が迫る現実を見れば、受け入れざるを得ない。
渋々、派遣を認め日本軍は再び朝鮮半島に上陸した。
だが、急な派遣である事と、北海道で続く北への対応、部隊派遣の準備。
以上の理由から早急に送り込めたのは一個師団、海兵師団のみだった。
しかし、他の師団から部隊を編入し精鋭を集めて編成された最強部隊となっていた。
その先遣隊が、今救援に到着した。
「突入!」
指揮官の命令で、日本の部隊は一糸乱れず突進する。
陣地内に突入してきた中国兵に突撃し、銃剣で刺し殺す。
激しい白兵戦になるが仕方ない。
味方である米兵が近くにいるのに銃を使うわけにはいかない。
身体を張って、近接戦闘を行い、遂に中国兵を追い返すことに成功した。
「日本の海兵第一連隊偵察中隊の宗像三等保安正いえ少佐であります。遅くなりました」
戦闘が一段落すると日本側の指揮官がサミュエルに話しかけていた。
「救援に感謝いたします。自分はサミュエル軍曹いえ曹長であります。指揮官の少尉は後方の壕におります」
「失礼します。サミュエル曹長!」
後輩の軍曹、伍長だったが野戦昇進で軍曹に昇進していた。今は中隊本部に詰めている。
「先程の戦闘で中隊長が負傷、指揮不能となりました。後方の大隊司令部より命令で只今よりサミュエル曹長は少尉に昇進。中隊の指揮を行えとのことです」
「分かった」
全くついていないことだ。
戦局が劣勢なのに昇進すると言うことはそれだけ負担を背負い込む事になる。
年金の増額ぐらいは期待させて貰ぞ、とサミュエルは連邦政府に貸しを与えたと思うことにする。
「了解したと伝えろ、それと他に命令は?」
「現陣地を保持せよとの事です」
「けっ」
最悪な命令過ぎて、他の軍がいるのに悪態が出てしまう。
「武器弾薬食糧それとパープルハートが足りないと言え。失礼しました、三等……」
「少佐で良い。我々は救援だ。米軍の支援を命じられている。状況を教えてくれ」
「この北側が一番の激戦地です」
「了解した。我々が陣地に入り防止する。良いか」
「お願いします」
他国の軍隊、かつての敵に頼るのはシャクだが、兵力が少ない今、背に腹は代えられない。
サミュエルは頼むことにした。
「了解した、第一小隊! 稜線に沿って展開! 北にキルゾーンを設定し敵を粉砕できるようにしろ! 迫撃砲小隊は後方に展開しキルゾーンに狙いを定めよ」
宗像が命じると、すぐに彼の部隊の三分の一が移動した。
残り三分の二は、予備として待機させている。更に火力のある迫撃砲を展開させることで陣容を分厚くしている。
手堅い指揮であり、頼りになる。
サミュエルも部下を再編成していると、中国軍側から銅鑼の音が響いた。
「敵が来たぞ!」
何度目かの夜襲が敢行されてきた。
しかし、増援を得たおかげで踏ん張ることが出来ていた。
特に火力が増強された北側は敵の兵力が多いにもかかわらず、圧倒的な火力をぶつけて粉砕していた。
「凄い」
爆発の嵐で昼のように明るくなった北側の戦闘を見えてサミュエルは、驚くと共に戦意が昂揚していた。
「こっちも負けるな! 撃ち返せ!」
日本軍の優勢を見てサミュエル達米海兵隊も奮起した。
迫ってくる敵に対して銃撃を浴びせていく。
激戦地であった北側から兵力を集める事が出来たため、火力は向上している。
この攻撃はしのげる。
サミュエルは確信したが、打ち砕くように側面の陣地で爆発が起きる。
「畜生めっ」
大口径砲の砲撃だがタダの大口径砲ではない。
一瞬だが弾道が、ほぼ真横に砲弾が飛んできたのが見えた。
候補言うから打たれた山なり弾道ではなく、近くから売ってきた砲弾。
そんな事が出来る相手を、最悪の相手をサミュエルは知っていた。
悪い予感が当たったことを部下が報告してきた。
「フィアーズタイガーです!」
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