時間の翁神

ギリシャ神話の解説で良く見かける

「農耕神クロノスと時間神(または河川神)クロノスは別の神」

について検証します。


時間神の出典はシロス島のフェレキデスが残した哲学の散文「ペンタ(ヘプタ)ミュコス(奥底)」での創作とされ、原典は残されていません。


ペンタは5、ヘプタは7なので論争を避け「いくつかの真理、深淵、奥義」と言った解釈で良いと思います。


綴りとしては

農耕神クロノスはΚρόνος

時間神クロノスはΧρόνος

と、書き損じ程度には違うようです。


ゼウス《zeus》がザース《zas》表記であったりハデスがクトニー表記であったりする同出典中で、クロノスが表記ブレの範疇で済まされない理由が明確であるとは言えません。


インダス河などの例もありますが、河川名は即ち周辺地域の名称、住民やその守護神の名前に関係する事が多いので「違う」と断言するには相応の根拠が必要となります。


ちなみにアケロン川の綴りは「Αχέρων」、渡し守カロンの綴りは「Χάρων」であり、河川神クロノスはアケロン川の神である事が推察されます。


いずれにしても時間神クロノスが農耕神クロノスと習合状態にあり、同一視する人も多く「混同」とするには材料不足であると言えます。

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