お母さんからの手紙っていいですよね。 身近な家族の、でも「書き言葉」という、実はそんなに見たことなかったりする側面。 独特の味わいというか、なにかむず痒さとほの切なさの入り混じったような、「お母さん」感が作中の手紙にも滲んでいるところが本当に好き。 ——が。 それがこんなに不気味になっちゃうなんて。 すごかったです。 約200文字と一瞬で読めちゃうので是非見てみてください。
曖昧さが回避できない。どちらがどちら側なのか。手紙の内容は常軌を逸している。かといってそれが届いてしまうほうの世界も歪である。とにかく不幸事がありそれによって現実と異界が繋がってしまった状態がある。手紙はいう「片付けろ」と。するとますます散らかり始める。一つの結果に向かって集約していく展開は物語をする上でスタンダードであるが、この『夏の手紙』のように拡散して混じり合い着地させないのも面白いと感じた。起きていることは理解出来るのに真意のようなものには到達出来ない。