第19話 さらに西へ
次は伊勢神宮の様子を見に行くことにする。この時代では、すでに全国各地から参拝に来るほどによく知られている存在だ。実際に行ってみると、そこそこの人数が参拝に来ているようだ。
念願の参拝ということもあって、すごく満足そうな顔をしている。みんな平伏して拝んでいる。それほどに重要な意味を持つものだのだ。そのために自分の力で歩いてやってくるのだ。
宮司のお祓いを受けている人もいる。敷地内はかなり広く、あちこちを回っている人もいる。それぞれが思い思いに楽しんでいるようだ。人生で一度は訪れたいと思うのがこの伊勢神宮なのだ。
神宮の周囲を見てみると、茶屋などが並んでいる。行き帰りにゆっくりとくつろいでいるようだ。すごくまったりとした時間が流れているように感じる。現代においては、あらゆる物事がかなりのスピードで流れていく。そのことによるストレスを感じている人も多いことだろう。
しかし、この時代の人々は時間に追われることなどない、とてものんびりとした生活を送っているのだろう。もちろんどちらも悪いことではない。双方に良し悪しはあるからだ。
それでも、この時代の人々を見ていると、すごく幸せそうな表情をしているのである。とても素晴らしいことだろう。
そしていよいよ、都周辺の調査に移動する。現在の京の都だけではなく、かつて都が置かれていた場所についても調査する予定だ。まずは奈良周辺へとやってきた。かつてこの一帯を転々として都が置かれていた。もちろんその当時はかなり発展していたことだろう。
現在の状況はというと、そこまで長い年月が経っていないということもあるのだろう。廃墟と化しているわけではない。しかし都が移る時に一緒に引っ越した人ばかりで、人口はかなり少なくなっている。
今では農民と必要最低限の地方役人しか住んでいないようだ。みんな農作業で汗を流している。生活文化は他地域とさほど変わらないようだ。お互いに助け合って、頑張って暮らしている。
現在の都、京都へとやってきた。これまで調査してきた場所とは打って変わって、ものすごく繁栄している。中央には南北に貫く朱雀大路がある。至る所に道路が張り巡らされており、まさに碁盤の目のようだ。
最も豪華絢爛な建物はやはり内裏だろう。時の帝がいるのだから当然のことではあるのだが。商人たちが暮らしている建物は内裏ほどではないものの、かなり綺麗な見た目でお金がかかっていそうだ。
都のあちこちに市場があり、そこでさまざまな取引が行われている。市場ごとに取り扱う品物が許可されているようだ。そのため競合相手がおらず、争いごとも起こらないらしい。
この時代での調査もしっかりとこなすことができた。あとは記録を整理してまとめ上げれば、ついに任務完了だ。しっかりとしたクオリティーの報告書を作ららなければならない。
時空調査団物語 ソウト @soto0116
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