また明日

また明日

「また明日」

いつも通りの別れの挨拶を交わす。

もう夕暮れであと数分したら真っ暗になる。

遊び場となっている廃墟から帰る。

明日から盆休みが始まる。親戚がみんな帰ってくるのだ。

「ただいま〜」

両親は共働きで夜遅くにならないと帰ってこない。友達にそのことを言うと若干気を使われるが、こちらとしてはいつものことなので全然気にしていない。いや偶に家族連れでファミレスに来ているのを見て羨ましいとは思うが、どうしてもと言うほどではないのだ。

両親は夫婦仲が悪い。僕が生まれてからのような気もする。

しかし、明日から盆休みだ。親戚と同時に両親もずっと家にいる。最初の頃は知らない人がたくさんいてテンションが上がり、皿を割ってしまったりした。

もともと両親は対外的にはおしどり夫婦として知られていた。だからか割れた皿を見て顔を真っ青にしていた。

思えばそのときからかもしれない。帰って来た2人はいつも仕事が忙しいと言って2人揃ってすぐに寝て、起きたらすぐに出勤している。

内心凄く寂しかったが、偶におやつを買ってきてくれたりもするので、完全にないがしろにされたわけでもないと思う。

おやすみまた明日。