異世界、魔法、蒸気機関。目の前には桜が咲く。こんな異世界に行きたい。

 おっさんが異世界に転送されたら、とびっきりの美少女になっていた。
 誰もが憧れるであろう夢を体現した有栖栄太郎は、異世界で大活躍!……すると思われる。
 話はまだ始まったばかり、世界の全容もまだまだ伝わり切っていない。何しろ主人公の美少女が世界を見始めたばかりなのだから。
 しかし作者がちらちらと見せてくるこの世界は、興味を引きつけてやまない。
 近代的なのに木製の建物、溢れる自然、そこに当たり前に住むエルフやドワーフ、ゴブリンや鬼。馬車ではなく車が走り、しかしその仕組みは蒸気機関だ。憧れと機能性を両立させることができたこの世界、しかもそこには魔法がある。
 彼女は強い魔法が使えるらしい。何故なのかは本人にもわからないようだ。しかもその魔法を使うときに振るうのは杖ではなく、銃。ドイツ産のオートマチックという硬派っぷりだ。美少女といかつい銃、この取り合わせはアンバランスの奇跡だろう。
 もちろん、作者の軽妙な文章は健在だ。笑いどころも満載で、それこそおっさんには針でついたように刺さるのではないだろうか。
 まだまだ序盤だ。これからさらに盛り上がっていくことだろう。
 彼女(?)これからの大活躍を是非注目していきたい。

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