他人様の日記は覗き見するもんじゃねえ

藤浪保

他人様の日記は覗き見するもんじゃねえ

おいお前。そうだこれを読んでいるお前だ。他人様ひとさまの日記を覗き見するたあ、ふてえ野郎だな。他人の日記は勝手に読むものじゃねえ。読んでもいいと言われた? いいや俺は許可してねえな。誰だそんな出鱈目でたらめをぬかすヤツは。そいつは俺をたっている偽者だ。この日記の持ち主が今まさそう書いてるんだから絶対だろ。俺は許可してねえ。だってのに、どうしてお前はまだこれを読んでんだ? 勝手に読むなっつってるだろ。いいか、日記ってもんはな、その日に起こったことだけを書くわけじゃねえ。その時に思ったことや感じたことも書くもんだ。いわば心の中をさらけ出すわけだな。中には妄想をさも現実に起こったかのように書くことだってある。誰かに忖度そんたくする必要はねえ。悪口だろうが罵倒ばとうだろうが暴言だろうが書き放題だ。だがな、それは読むのが自分だけっつうのが前提だ。他人に読まれるとわかってりゃ、忖度だって気遣いだってするだろう。少しくらい面白いことを書いてやってもいいかという気にもなる。でもこれは違う。俺が俺のためだけに書いている。だからお前は読むな。お呼びじゃねえんだ。お前が読んでる間は俺は絶対に日記は書かねえからな。読み続けたって期待するもんは出てこねえぞ。ほらもう諦めろ。読むなって書いてるだろ。考えてもみろよ。そこに自分の悪口や不都合なことが書いてあったらどうすんだ? 知らなきゃよかった事をわざわざ知ることもないだろう。好奇心は猫をも殺すっていうぜ。だからやめておけって。しつこいヤツだな。いい加減にしろよ。粘り強さは長所にもなるが、粘着質は嫌われるぞ。なあ頼むよ。お前が読むのをやめないと日記が書けないんだ。気にせず書けばいい? 読まれてるとわかっていて書けるものか。だから頼む。この辺でやめてくれないか。はっ、頼んでも駄目かよ。いいから書け? 下手したてに出てやりゃあつけ上がりやがって。ああ、わかったよ。そうかい。お前が読むのをやめないなら、俺が書くのを途中でやめ











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